今回は絢瀬姉妹と遊園地
ほのえりって至高じゃないですか?常々おもいます。
ゆきありって至高じゃないですか?常々そう思います。
そういうことですよね
「亜里沙〜! あれ行こうよ!」
「ま、待って雪穂〜!」
「あっ、こら! 穂乃果を置いてくなんてずるいよっ!」
「あ〜、はしゃいでるなぁ」
「ふふっ、光穂くんも行ってきたら?」
「俺まで子供扱いしてんのか?」
「私たちだってまだ子供よ」
「……まぁな」
珍しくはしゃぐ雪穂、それに振り回される亜里沙。そして――――
「おーい! お兄ちゃんと絵里ちゃーん! 二人もおいでよ!」
それを遠目から見みていた俺と絢瀬を呼ぶ、元気っ子の穂乃果。高坂家の兄妹3人と絢瀬姉妹の2人の計5人は、訳あって一緒に遊園地に来ていた。
「早くしないと置いてっちゃうよ〜!」
「あぁ!」
「今行くわ〜!」
遊園地だよっ!with絢瀬姉妹
「もうっ! 2人とも遅いよぉ!」
「はいはい、ちょっと待ってろ」
「穂乃果は元気ね~」
「急がないと置いてかれちゃうよ!?」
雪穂たちが先に走っていってしまったのを追いかけたいのか、穂乃果が俺と絢瀬を急かす。
「じゃ、行きましょうか光穂くん♪」
「おう――――は? 何してんの!?」
「え? どうかしたの?」
走っていく穂乃果を追おうとして走り出そうとした瞬間、横にいた絢瀬が腕を組んできた。いきなりのことに驚く俺に、何食わぬ顔で俺を見つめてくる。
「な、なんで腕組んでんだよ!」
「え? ダメかしら?」
「いや、ダメとかそういうのじゃなくってだな?」
「ならいいじゃない、今日くらいは♪」
「どういう理論だよそれは!?」
な、なんだ今日の絢瀬は……いつも以上にぶっ飛んでるわ。
「あー!! 何やってるのー!?」
「あっ」
「あら?」
向こうに走ってたはずの穂乃果がこちらに向かって走ってきた。その表情はいかにも激おこだよっと言わんばかりだ。
「なんで2人で腕組んでるのっ!!」
「ち、違うんだよ! 絢瀬が急にだな!?」
「ふふっ、ダメだったかしら?」
「だめーっ! お兄ちゃんは穂乃果のなのっ!!」
「うぉ!?」
「あらあら♪」
ぷくーっと頬を膨らませながら、絢瀬と逆側の腕を組んできた穂乃果。ぐいぐいと腕を引っ張っては、絢瀬から引きはがそうとする穂乃果の真剣さは非常に可愛らしい。
可愛らしいのだが、強すぎて腕が引きちぎれそう。
「ほ、穂乃果! 痛い! 痛いから!!」
「やっ! お兄ちゃんと絵里ちゃんが離れるまで引っ張るもんっ!」
「あだだっ!? 痛いって!! 絢瀬、早く離してくれ頼むから!!」
「い・や・だ♡」
「あああああああああ!?」
穂乃果から引っ張られ、絢瀬からも引っ張られる。お互いが一切容赦しないから非常に痛い。俺も必死に抵抗するものの、全体重で両方から引っ張られるとさすがに耐えられない。
「ああっ!! やべえ……っ!!」
もうだめ、腕やられそう。まぁでも、可愛い妹と美人に腕を持ってかれるならそれも本望――――
「お姉ちゃん!?」
「光穂さんに何してるのお姉ちゃん!?」
「「あっ」」
先に行ったはずの雪穂たちが戻ってきて、双方の姉を止めに入ってくれた。あぁ……死ぬかと思った。
「お兄ちゃん大丈夫?」
「あ、あぁ。助かったよ雪穂、ありがとな」
雪穂マジ天使。その一言に尽きる。
「お、お兄ちゃん……ごめん……」
「穂乃果、気にしなくていいから」
「でもっ!」
「穂乃果、おいで?」
「うん……んっ」
「よーしよし、お兄ちゃんは全然怒ってないからな~」
「んん、ほんと?」
「ほんとだぞ。証拠に抱きしめてやろう、ほれっ」
「あっ……えへへ、ありがとお兄ちゃん♪」
「やっぱ助けないほうが良かったかな」
「ハラショー……!」
穂乃果の本気で謝るときの落ち込み顔がたまらなく可愛くて、怒る気すら失せてしまった俺は、穂乃果の頭を撫でた後抱きしめた。抱きしめたときの、安心したかのようなふわっっと笑顔になる感じ、これもまた可愛い。
「ふんっ、助けて損しちゃった」
「まぁまぁ。雪穂もほんとに助かったよ。あとで頭撫でてもいいか?」
「なっ、そんなのいらないからっ! お姉ちゃんじゃないんだしっ」
「そっか」
「そうなのっ! もういいっ、行くよ亜里沙!」
「あっ! 雪穂待ってよ!」
雪穂のやつ、照れてるな? 雪穂が嘘をつくときって、大概穂乃果と比べるんだよな。『お姉ちゃんじゃないんだから』なんて言ってるのがまさにそれ……あとでしっかり撫でておこう。
「あっ! 雪穂が行くなら穂乃果も行くっ! お兄ちゃんと絵里ちゃんもほらっいこっ!」
「そうだな」
「……もうさっきみたいなことしないでよ? 穂乃果本気で怒っちゃうよ?」
「分かった分かった、気を付けるさ」
「えへへ♪ じゃあ先に雪穂たち追いかけてるね!」
ジト目で忠告してきて、言い終わった後で雪穂たちを追いかけていった穂乃果。うん、可愛い。とはいえ、さっきのは俺から仕掛けたわけじゃない、悪いのは――――
「絢瀬。なんでさっきあんなことしたんだよ?」
「ふふっ♪ ごめんごめんっ」
「軽いなおい!!」
こいつまったく反省の色がねえ!! 元はと言えば絢瀬から腕に抱き着かれたんだぞ!? というか、今日の絢瀬のテンション、なんかおかしくね?
「お前酒でも飲んだのか? いつもと違いすぎないか??」
「やーね光穂くん、私はまだ高校生よ?」
「そ、そうだよな……まさか、遊園地に来て結構テンション上がってる、とか?」
「うーん、それもあるけど、やっぱり」
「やっぱり……?」
「"お兄ちゃん"が私に抱き着かれてやきもち焼いてる可愛い穂乃果を見れるなんて、テンションあがるじゃない?」
「確信犯かよ!? 気持ちは良くわかるけどさ!?」
「もっと言うと両方から腕引っ張られて苦しむ光穂くんもなかなかよかったわ♪」
「ドSか!?」
「でもやっぱり一番は、私のところに来て私を止めてくれる亜里沙の必死さ、健気さ、可愛さがたまらないわね♡」
「シスコン!?」
「やっぱり妹っ子って可愛いわね、キュンキュンしちゃうかも♡」
「こ、こいつ……!?」
絢瀬、まさかのドS+妹萌え+シスコンという凄まじい女子だったことが発覚……いやまぁ、分かるけどさ。
「さ、もう一回光穂くんの腕……いや、手繋いじゃおっかな♪」
「もう勘弁してくれ!!!」
絢瀬のテンションがぶっ壊れてるんだが。
「お兄ちゃん! ジェットコースターいこっ!」
「おう!」
「お兄ちゃん呼びの穂乃果……萌えるわ!」
「お前はジェットコースターで頭冷やせよ!?」
俺たちが初めに向かったのはジェットコースター、まぁ遊園地の定番だよな。
「ジェットコースター楽しみだねっ、お兄ちゃん!」
「穂乃果はそういうの好きだもんな」
「うんっ!」
人気アトラクションのためか結構な列ができているものの、俺ら5人はその列に並んだ。穂乃果は俺の腕を、離さないっと言わんばかりの強めの力で抱きしめる。絢瀬に抱き着かれたのがそんなに嫌だったのかな?
「お姉ちゃん、亜里沙こういうの経験ないからちょっと怖い……」
「大丈夫よ亜里沙、お姉ちゃんがついてるから。もちろん、雪穂ちゃんもねっ?」
「もちろんです! 亜里沙は絵里さんと私が守るから!」
「えへへ、2人とも心強い♪」
後ろでは絢瀬姉妹と雪穂が3人で並んでいる……雪穂は気づいていないようだが、絢瀬は亜里沙ちゃんの頭を常に撫で続けているのを俺は見逃していない。こいつ、やはりシスコンか。
「もうお兄ちゃんっ! 絵里ちゃん達のことばっか見ないでよぉ!」
「おおう、ごめんな穂乃果?」
「むー……罰として"なでなでの刑"だよっ、お兄ちゃん!」
「あらら~、厳しいな穂乃果は。ほら、気持ちいいか?」
「んん♪ えへへ、お兄ちゃん大好きっ♪」
「ははっ、穂乃果は本当に可愛いな!」
「えへへっ♡」
ったく、絢瀬は妹に対して甘すぎなんだよな。俺みたいに、きっちり罰を受けた方が良いと思うんだわ。
「やっぱり光穂くんってシスコンよね」
「てめえには言われたくねえよ絢瀬!!」
絢瀬に言われるとか、心外でしかないわ。
「ねえ雪穂、シスコンって?」
「亜里沙は知らない方が良いと思うよ」
ジェットコースターの順番が回ってきて、それぞれ席に着く。
「う~ドキドキする~っ!」
「テンション上がるよなぁ……って、お前は亜里沙ちゃんの横じゃなくていいのかよ」
「私はここでいいわ♪」
「あ、さいですか」
3人並んで座るタイプのジェットコースター、俺は真ん中で横に穂乃果と絢瀬が。後ろには雪穂と亜里沙ちゃんが座っている。
「あっ! 動き出した!」
ガタガタと動き出すコースター……なんか緊張するな。ゆっくり、ゆっくり坂を上がっていく。見える景色はいつも見てるものと違って、まるで飛んでるかのような錯覚を覚える。
ふと穂乃果の方を見ると、若干緊張してるかのように見える。穂乃果の緊張してる顔なんてそうそう見られたもんじゃない、貴重だ。
と、ここである視線に気づく。穂乃果の逆の方からだ。
「どうした絢瀬――――」
絢瀬の方に顔を向けたとき、俺の目に映ったのは
少しだけ涙を浮かべた、絢瀬の笑みだった。
にこっと笑うその笑顔は、なんだかとても切なさを感じて――――
「絢瀬おま……っうわああああああああああああ!?」
「「あははっ♪ お兄ちゃん(光穂くん)が叫んだー♪」」
「うっうっせえええ!!」
絢瀬の顔を見てたらいつの間にか落下し始めてたというね。2人に爆笑されてめっちゃ恥ずかしいんだが。というかこの2人強すぎだろ!? 普通叫ぶだろ!?
「きゃははっ♪」
「わ~すごい!!」
……後ろの2人も、めっちゃ楽しんでる。あれ、おかしいな。俺がおかしいのか?
ジェットコースターを終えた後、本当はもっといろんなもので遊ぶつもりだったのだが、思いのほかジェットコースターで時間を取られてしまい、次のアトラクションが最後ということになってしまった。
そんな俺たちが最後に訪れたアトラクション、それが――――
「観覧車、だな」
「うん」
定番中の定番、観覧車。ちょうど夕日が見えてきたくらいの時間帯のため、ここを選んだ。
「じゃ、私と亜里沙と雪穂ちゃんで乗りましょうか♪」
「えっ?」
「全員一緒に乗れるよお姉ちゃん?」
「いいのいいの♪ それに……ねっ?」
「あっ……そういうことですね」
「雪穂ちゃんは察しがよくて助かるわ! さ、行きましょ♪」
「お、お姉ちゃん!? 雪穂も!?」
「観覧車楽しみだね~亜里沙!」
何やら3人で意味深なことを言いながら、先に乗り込んでしまった。何だったんだ?
「お兄ちゃん、なんで一緒に乗らなかったんだろうね?」
「んー、わかんね」
「ん~……」
穂乃果と2人して悩む始末。あとで絢瀬に聞くか。俺と穂乃果の分の台が回ってきたため、2人で観覧車に乗り込んだ。
「わ~♪ お兄ちゃんお兄ちゃん! 見て見てこんなに高いよ!?」
「ほんと、たっけえな……」
徐々に高い位置に登っていき、それに合わせて景色も徐々に風景が変わっていく。夕日も合わさって、景色がとても神秘的に見える。なんか、ロマンチックだ。
「……お兄ちゃん、隣に座っても、いい?」
「え? そんなの良いに決まってるじゃん」
「ありがとっ」
いつもの穂乃果ならそんなことはわざわざ聞かないで座ってくるのに、なぜか聞いたうえで隣に座る穂乃果。
「景色、きれいだよね」
「あぁ、そうだな」
妹のはずなのに、いつもと振る舞いの違う穂乃果に若干緊張しながら、俺は相槌を打つ。
「いつまでも2人でこんな景色観れたらいいね」
「そうだな」
「お兄ちゃんと、離れたくないなぁ」
「……あぁ、俺もだ」
「お兄ちゃんは、好きな人とか、いるの?」
「えっ?」
「お兄ちゃんは好きな人、いる?」
「………………」
真面目な顔で、真面目な時の声で、俺をじっと見つめて穂乃果はそう質問する。好きな人、か
いる、いないで聞かれたら、俺は……
「いない、かな」
「そっか。なら、いいの」
いない、そう答えたとき、穂乃果は安心したような、悲しむような、そんな"微妙"な表情を浮かべた。
穂乃果が続ける。
「穂乃果はね? 好きな人、いるの」
「え」
「好きな人、いるけど――――いないの。」
「…………」
「好きだけど――――好きになっちゃ、いけないの」
正直、俺には何を言っているのかは分からない。だけどこれだけは。
「穂乃果」
「どう、したの?」
何もわからない俺でも言える。
「穂乃果、お前は可愛いんだ。だから叶えられない恋なんてないさ。だから俺はいつでも、穂乃果の背中を押すよ――――ファイトだよっ! ……ってな」
「お兄ちゃん……えへへっ」
ちょっと真面目になりすぎたかもしれない。けど、穂乃果が笑ってくれるなら、それでもいいか。 本当は、俺が穂乃果の夫になりたいんだけどな。
でもそれは、"兄妹"だから――――
「お兄ちゃん」
「……なんだ?」
「肩、借りてもいい?」
「いいよ」
「うん、じゃあお言葉に甘えてっ」
そういうと穂乃果は、俺の肩に身を預ける形で寄りかかってきた。外から見れば、今の俺たちって"恋人同士"に見えるのかな。
穂乃果は俺の手をギュッと握る。俺もそれに合わせて、手を握り返す。
「お兄ちゃん。もし、もしだよ? 穂乃果の"好きな人"に告白するってなったら――――そのときもお兄ちゃんは応援してれますか?」
「……あぁ、もちろんだ」
「ありがとう、お兄ちゃん」
ゆっくりと、景色がいつものものになっていく中、俺たちは、"恋人同士"のような振る舞いで、手をギュッと握りあいながら身を寄せ、その景色を眺めていた。
「そのときまで待っててね、お兄ちゃん」
隣の穂乃果が何かを言った気もするが、今の俺には聞き取れなかった。
「あははっ♪ ラブラブね、2人とも♪」
「「あっ!?」」
観覧車を降り絢瀬たちと合流したが、そのときもずっと手を繋ぎっぱなしだったことをすっかり忘れていた。それをみる絢瀬が笑って茶化してくる。くそっ、このシスコンめっ!
「雪穂雪穂! あの景色もう一回みたい!」
「ダメだよ亜里沙、もう時間なんだから」
「えぇ~!?」
「また今度来ようよ、ね?」
「うぅ……」
「あぁ~っ、亜里沙が可愛くて胸が苦しいわっ!」
「お前人数分けたのってそれが理由だろ!?」
「なっ何を言ってるのかしら?」
「目、すっげえ泳いでるんだけど」
今日一日で分かったこと。
絢瀬絵里、音ノ木坂の生徒会長はドSであり、シスコンである。
全音ノ木坂生は常に危険と隣り合わせであるということを、知っておくべきではないだろうか。
「今日はありがとな、楽しかったよ」
「ううん、こっちもたっぷり楽しませてもらったわ♪」
「はいっ! とっても楽しかったです! また行きましょうねっ!」
「おう! 亜里沙ちゃん、お姉ちゃんには気を付けるんだぞ?」
「???」
「光穂くん? それ以上言うと、生徒会長権限使うわよ?」
「なんだその脅し!? 職権乱用じゃねえか!?」
「冗談よ♪」
「冗談に聞こえねえんだよなぁ……」
最後の最後までドSっぷりを発揮する絢瀬……学校では気を付けよう。
その後、俺たちは解散し、今は穂乃果と雪穂の3人で帰ってるのだが、帰りながら、ふと思う。
絢瀬、いつもはあんな感じじゃないよな?
少なくとも、μ'sとして活動している絢瀬を見てきた俺としても、あんな絢瀬を見るのは初めてで、常に困惑し続けられた一日だった。
「お姉ちゃん、今日はやけにはしゃいでたね?」
「ふふっ、亜里沙の可愛いところいっぱい見れたからかしらね?」
「お、お姉ちゃんっ!?」
「ふふふっ! ほんとに亜里沙はいじりがいがあって可愛いわ♪」
「あうぅぅ……」
「私も、柄にもなく騒いじゃったわね。光穂くん、怒ってないかしら?」
「……ふふっ、頑張ってはみたものの」
「穂乃果には、"何もかも"敵わないわね」
ほのえりと遊園地に行ってイチャコラしたい人生だった。
ほのえりはCPのなかで一番好きです。
発狂レベルです。同人誌とか見かけたらたいてい買います。
感想・評価・お気に入りお待ちしてます!
実は、ほのえりが好きとか言っておきながら、えりうみのお話も書き始めました。
そちらはまったりマイペース更新なので、気が向いたときにでもぜひ。