↑のこのいつもの挨拶ですが
意味があるのは知ってましたか?
その答えが、後書きに書いてあります
「「行ってきま~す!」」
「はーい、いってらっしゃ~い」
俺と穂乃果は練習に向かうため、朝早く家を出た。今回は俺も練習のサポート要員として練習に呼ばれたんだ。
家のドアを開け、外に出ると
「おはようございます」
「おはよう穂乃果ちゃん、光穂さんっ♪」
穂乃果の幼馴染2人が待っていてくれた。
「おはよう2人ともっ!」
「おはよう。2人ともわざわざ待っててくれたんだ?」
「ええ。2人で来るとなると、遅刻される可能性もありますので」
「今日の練習は賑やかになりそうっ♪」
「えー……」
海未ちゃんには白い目で見られ、ことりちゃんに関しては全く関係ないことでにこにこ笑っている。にしても……
俺、海未ちゃんに白い目で見られるようなこと、してたかな?
飴と雨
学校に着いたのだが、来る途中の2人の様子が変だった。海未ちゃんはずっと俺と穂乃果の様子を窺っていて、ことりちゃんは終始にこにこ。なんか2人して怖いんだが。
部室につき、部室の扉を開けると、そこにはもうみんなが揃っていた。
「げっ!? 光穂! なんであんたが来てんのよ!」
「え~? 来ちゃだめにこ~?」
「ちょっ!? にこの真似しないでよ気持ち悪いから!」
「昨日俺ちゃんとお前に今日来るからって伝えたのに忘れてるから真似したんだよ!」
「昨日……あっ」
「こいつ……」
「お、お兄ちゃん落ち着いて!?」
あぶねえ、穂乃果に止められなきゃ矢澤を八つ裂きにするところだったぜ……やはり、うちの妹は最高だな!
「ところで、ねえ光穂っち」
「ん、どうした東條?」
珍しく東條から尋ねられる。いつもは俺が尋ねる側なのに。
「ねえ、どうして――――」
「いつまでも穂乃果ちゃんの頭を撫でてるん?」
珍しく尋ねきたと思ったらそんなことだった。俺は自信満々に答える。
「あぁ、それは穂乃果が可愛いからだよ」
若干ドヤ顔を作って東條に言ってみせた。隣で穂乃果が「あぅぅ」なんて可愛く言いながら赤くしてたのでさらに撫でまわしながら、東條の反応を見る。
「あちゃ~……こりゃあかん」
「は?」
引き気味の表情でつぶやくようにそう言った東條。いやいやいや、意味が分からんのだが。
「なんでそんな反応なんだ?」
「いや~、穂乃果ちゃんも穂乃果ちゃんやけど、光穂っちも光穂っちやなぁって」
「どういうことだよ!!」
東條の意味の分からない返しに困惑する俺。なんか気になって周りを見てみた。
「あ、あれ?」
見ると、海未ちゃんと真姫ちゃんからはジト目で見られているのに気が付いた。東條だけじゃなかった、だと? しかしよく見てみると、ことりちゃんは相変わらず俺と穂乃果を見てはにこにこしてるし、花陽ちゃんは穂乃果と同じくらい顔を赤くしてうつむいているし、凛ちゃんには羨ましそうな目でこっちを見ていた。
そして、絢瀬と矢澤はと言えば――――
「光穂君、わかるわ」
「まぁ光穂だものね。それに穂乃果の"妹力"は半端じゃないわ」
俺に同情してくれていた。いつも冷静な絢瀬、そして何かと俺を弄りたがる矢澤からは何かしら言われるだろと思っていたばかりに、なぜか安心してしまった。
練習が始まる前からなんか疲れたんだが。
「1,2,3,4!」
「ことり、少しステップずれましたよ! 凛、リズムをしっかりとって!」
練習が始まった。とはいっても俺は絢瀬と海未ちゃんの横で見てるだけなんだけどな。にしても穂乃果が可愛い。
ずっと穂乃果だけを凝視していると、穂乃果と目が合った。
「穂乃果、その笑顔を本番でもお願いします!」
「うんっ♪」
目が合ったあとの穂乃果の笑顔が一層まぶしくなった。それに気づいた海未ちゃんが褒めると、さらにまぶしくなった。
「光穂君、穂乃果のことばっかり見てたでしょ」
「バレたか。いやだって可愛すぎだろうちの妹」
「わかるわ。私も何だかんだ穂乃果のことばっかり見てるから」
「絢瀬……!」
「ほんと、可愛いわぁ♪」
「あぁ、そうだよな……!」
絢瀬、まさかの共感者。しかも俺と一緒で、穂乃果のことばかり見てるなんてな!
「でもね光穂君」
「ん?」
「うちの亜里沙だって可愛いのよ?」
訂正、こいつシスコンだわ。ド真面目なオーラ醸し出してるけどシスコンだわ。
あ、俺はシスコンじゃないけどな?
「はーい、じゃあ休憩ね」
絢瀬の声に、みんなが休憩を取り始める。
「お兄ちゃん!」
「お、穂乃果お疲れさん。ほれタオル」
「拭いて拭いて~!」
「おうよ!」
「ありがとっ……ん~♪」
休憩が始まってすぐ、俺のところに穂乃果が来て甘えてくる。うん、可愛い。タオルを手に軽く覆って、優しく穂乃果の汗を拭きとる。
「気持ちいい~っ♪」
「俺にはこれくらいしかできないからな」
「そんなことないもんっ! お兄ちゃんがいてくれるだけで穂乃果頑張れるもんっ!」
「ったく、可愛いなもう!」
「んぅ……えへへ、もっとナデナデしてっ♡」
甘えてくる穂乃果のあまりの可愛さに、右手に持つタオルで穂乃果の汗を拭きとりながら左手で穂乃果の頭を必死に撫でるという器用さを発揮する俺。穂乃果が喜んでくれるんならそれでいいんだ。
「光穂さん……」
「ん?」
必死に穂乃果を癒していると、海未ちゃんが若干引き気味な表情でこちらに来た。
「あの……家ではいつもそのような感じなんですか?」
「え? あぁ、まぁそうだな」
「お兄ちゃんと穂乃果はいつでもこんな感じだけど、それがどうかしたの、海未ちゃん?」
「え? あ、いえ……何でもないです」
「ん??」
なにか言いたげにしていたのに、結局何も言わないまま戻っていた。何だったんだ?
再び練習が再開された……なんだが空の色が怪しいけど、大丈夫か?
「1,2,3,4,5,6,7,8! 花陽表情硬いわよ~!」
「希、もうちょっと動きを大きく! 真姫も表情硬いです!」
「わかってるで~!」
「はいっ!」
「これでどうかしらっ♪」
天気の暗さとは打って変わって、メンバーの表情は明るくて、正直"表情が硬い"なんて言われても何が悪いのかわからないレベルで輝いてると思うんだけどなぁ。
ここでまたしても、穂乃果と目が合った……おっと、惚れそう。他のみんなにはない、まるで"太陽"のような輝きだ。さすがは俺の妹といったところか……!
「光穂さん、ちょっといいですか?」
「ん? どうした海未ちゃん?」
穂乃果を凝視していると、横にいる海未ちゃんから声をかけられた。
「光穂さん、穂乃果を見て、どう思いますか?」
「どうって……例えば?」
「ダンスの動きとか、表情とか、でしょうかね」
「ん~、俺はダンスが下手とか上手いとかそういう技術面の話は分かんないけど、でも笑顔だけなら誰にも負けてないな」
素直に思ったことを話してみた。なんたって穂乃果の笑顔は世界一だしな!
「私も、そう思いますよ」
「おっ! やっぱりそうだよな!」
「でも、今日の穂乃果の笑顔は別格なんです」
「え?」
「いつもの練習以上、いえもっと、ライブのときよりももっと輝いてると思います」
「そ、そうなのか? 俺はあの笑顔はいつも見てるぞ?」
海未ちゃんは、今の穂乃果の笑顔を"別格だ"と言ったけど、俺に言わせりゃ"いつも通り"の笑顔。何かいつもと違うことがあったんだろうか?
「私が思うに、今日の穂乃果の笑顔がいつも以上に輝いているのは――――光穂さんがいるからではないか、と思ってます」
「……俺?」
「はい。私は見たことがないのに光穂さんは見慣れてる、それを聞いて確信しました」
「そうか?」
俺がいるから? 俺何もしてないんだけどな……あ、また目が合った。
「はい、じゃあ休憩ね! 10分間、きっちり休みとりましょ!」
あれこれ考えていたら、また次の休憩に入った。きっとまた穂乃果が……
「お兄ちゃ~ん!」
ほら来た。
「お兄ちゃんタオル~!」
「はいよ、拭いてやるからちょっとまってな」
「うんっ! ……えへへ♡」
「どうした穂乃果?嬉しそうにして」
「えへへ、お兄ちゃんに汗ふいてもらうの好きっ♪」
「いちいち可愛いな穂乃果は……もっと拭いてやるからな!」
「ありがとうお兄ちゃんっ!」
俺はさっきと同じく、左で撫でつつ右でふき取る作業を行う。穂乃果は笑顔、ご満悦みたいだ。
「なんやあの激甘空間……」
「イミワカンナイ」
「凛もあんなお兄ちゃんがいたらなぁ」
なんか外野が白い目向けてきたり妹が一人増えそうな予感を漂わせているが、俺は気にせずに穂乃果を癒すことに全力を出す。
「ねえお兄ちゃん」
「どうした穂乃果?」
「今日の穂乃果、どうかな?」
「うん? いつも通り可愛いぞ?」
「えへへ……てそうじゃなくって、その、踊りとかそういう方で」
穂乃果も海未ちゃんと同じことを言ってきた。
「笑顔が輝いてたぞ!」
「うーん……できれば踊りの方のことを教えてほしいなって」
「そっちか」
しかも穂乃果に関しては、踊り限定らしい。技術面に関しての知識には疎いとはいえ、妹からの真剣な質問……穂乃果が質問してきたと同時に周りからもなぜか視線集まってるし。
よし、ここは兄らしく指導してる姿を見せてやる……!
「じゃあ早速いくぞ?」
「う、うん!」
「あの曲のステップ、穂乃果らしくて可愛かったぞ!」
「えへへっ♪」
「あとは腕をクイッとさせるところ、元気さが出てて良かったぞ」
「ふぁぁ……♡」
「あとはそうだなぁ……あ、足でキック? するとこ、子供らしくてよかった!」
「んんっ♪」
「こんな感じかな」
「うぅ……厳しいよぉお兄ちゃぁん」
「「まてまてまて!」」
「「え?」」
俺が指導を終えると、何故か東條と真姫ちゃんがツッコミを入れてきた。海未ちゃんもその横に。なんだろう?
「今の指導のつもりやったん!? 褒めてしかないやん!」
「それに穂乃果も"厳しい"って何よ!? いつもあんた海未に散々怒られてるでしょうが! それの方がよっぽど厳しいわよ!」
「そして光穂さんは、やっぱり頭を撫でながら話すんですね。一体これのどこに"厳しさ"があったのでしょうか……」
あれ、なんか否定されてるんだが。簡単にまとめると「厳しさのかけらもない、撫でながらはおかしい」ということらしい。
「十分厳しくやったと思うんだけどな?」
「ありえん! ありえんよ光穂っち!」
「そうよ! こんなの指導でも何でもないわ!」
「ん~? これが俺なりの指導なんだが」
「いいなぁ、凛も光穂さんをお兄ちゃんに欲しいにゃ」
「た、確かに……光穂さんがお兄さんならすごく癒されそう」
「だめだよ凛ちゃん花陽ちゃん! お兄ちゃんは穂乃果と雪穂だけのお兄ちゃんなんだから!」
「やんやんっ♪ お兄ちゃんを取られそうになって慌てる穂乃果ちゃん可愛いっ♪」
な、なんか話がどんどんそれてきてる気がするんだが。そして結局、俺の指導はダメだったんだろうか?
分からないまま休憩が終わってしまった。
「1,2,3……あ、雨が」
「来ちゃいましたね」
休憩が終わって再び練習を始めたのだが、ついに雨が降り出してきてしまった。各々バッグから折り畳み傘を取り出したり、近くにいるメンバーの傘に入ったりしている。
そんな中、うちの妹はというと
「えへへ~♪ お兄ちゃんと穂乃果、相合傘だね~♡」
俺が開いた傘の中に入ってきたのだった。
結局、少し待機してみても雨がやまなかったため、練習は中止となり、メンバーのほとんどが雨に濡れてしまっていたためそのまま帰宅という形になった。
その練習の帰り道、いまだに止む気配がない雨の中、穂乃果が話し出す
「お兄ちゃん、腕、組んでもいい?」
「え?あぁ、いいぞ?」
「えへへ……お兄ちゃん」
「どうした?」
「……練習中、絵里ちゃんとか海未ちゃんと話してたよね?」
「あはは、やっぱ見られてたか」
「だってお兄ちゃん、穂乃果のこと見てくれてないのかなって心配だったんだもん」
「あぁ~、だからさっきあんな質問してきたのか」
「……穂乃果が頑張ったとこ、ちゃんと見てくれてるのかなって思って。でもお兄ちゃんちゃんと見てくれてたんだねっ」
「当たり前だろ? 妹の可愛い姿は見逃せるはずがない」
「えへへっ♪ ……お兄ちゃん、温かい」
「……雨に濡れてるから、身体が冷えてるのか?」
「ううん。それもあるけど、お兄ちゃんの体温とか、優しさとか。そういうとこ全部、温かいの」
「そっか」
「ねえ、お兄ちゃん――――」
「いつまでも、こうやって腕組んで歩いて、お互いの温かさが伝え合えればいいねっ!」
そうやって笑う穂乃果の笑顔は、こんな止みそうにもない雨の中で、それでも一層輝きを増す、一輪の花のようだった。
穂乃果ちゃんって可愛いんです(当り前)
練習してる穂乃果ちゃん凝視して「は、恥ずかしいよぅ・・・」って言われたいです(変態)
穂乃果ちゃん!ほのかちゃん?ホノカチャン!
これの意味、教えますね
実はこれ、3つに分かれてるんです
穂乃果ちゃん!・・・穂乃果ちゃん可愛い!
ほのかちゃん?・・・あれ?穂乃果ちゃんヤバくね?
ホノカチャン!・・・ホノカチャアアアアアア!!!
なんです。
要は、穂乃果ちゃん好きからほのキチになるまでの過程だったんですね。
ちなみに僕は「ホノカチャン」から「穂乃果ちゃんホノカチャン」への昇華を果たしました。
みなさんもぜひ、僕に追いついてきてくださいね!
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