兄と妹~ときどき妹~   作:kielly

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穂乃果ちゃん!ほのかちゃん?ホノカチャン!

今回は前半ほのりん、後半ほのぱなといった構成でお届けします。



ほのわんとりんにゃん、そしてダイエット

「わんわんっ!」

「にゃあ?」

「なんだろうこの言いようのない感じは」

 

 今、俺の目の前には2人の……いや、"2匹"の動物がいる。どうしてこうなった。説明しようと思ったものの、なんと説明したらいいやら俺にも分からん。

 

「くぅん」

「にゃぁ!」

「しかしふた……2匹とも可愛いなぁもう……よーしよし」

「くぅぅん♪」

「ふにゃぁぁ……♡」

 

 穂乃果だけならまだわかる。なんせここは高坂家の長男の部屋だから、妹が部屋に来ることくらいは普通だろうし、たまにこうやって甘えてくることもある。ただ、今は人をやめているというだけで。

 しかしながら、何故か凛ちゃんまで部屋にいて、しかも穂乃果と一緒になって人をやめている。

 だが、大きな問題は『 人をやめているか否か』ではなく、『 いつ、どうやって凛ちゃんが俺の部屋に来たのかがわからない』というとこである。

 正直、全く記憶にない。

 

「凛ちゃん、いつの間に俺の部屋に来てたの?」

「んにゃ? にゃぁ、にゃあ!」

「あ? 凛ちゃん、普通に答えてくれないかい? お兄さん本気で困ってるんだけど?」

「にゃぁ……んん」

「あ~スリスリされるの気持ちいいわぁ……ってそうじゃなくて!」

 

 本気で猫になりきっているのか、にゃあにゃあと鳴いては俺にスリスリしてくる凛ちゃん。非常に可愛らしいのだが会話にならない。困った。

 

「穂乃果、これはどういうことなんだ?」

 

 頼みの綱である妹に聞いてみた。

 

「もうっ、凛ちゃん! そうやってスリスリするのずるいっ! 穂乃果も猫がよかったっ!!」

「おい」

 

 が、ダメ。妹もあてにならない。

 しかし一応人の言葉を話せるみたいだから、まだマシだ。

 だったら

 

「ほら、おいで穂乃果〜、お兄ちゃんが撫でてやるぞ〜」

「わんっ! ……くぅぅん♡」

「よーしよし。なぁ穂乃果、なんで凛ちゃんが俺の部屋にいるんだ?」

「んん~♪」

「おーいほのかー、聞いてるか~?」

「くぅぅ……ん……すぅ……すぅ」

「寝るんじゃねえよ!?」

 

 必殺・甘やかせて白状させる作戦、無事に失敗。すやすやと眠りについてしまった。しかしあまりにも可愛らしい寝顔に、起こす気力もなくなってしまった。横にいる凛ちゃんもいつの間にか寝てしまっている。動物2匹しておやすみモードのようだ。

 ……唐突にほっぺたをぷにぷにしたくなってきた。

 えいっ。

 

 ぷにっぷにっ。

 

「んん……にゃぁ」

「んぅ……すぅ……すぅ」

「可愛い」

 

 2匹のほっぺたを同時にぷにっとすると、2匹とも何とも可愛らしい反応が返ってきた。ふむ……案外動物化した2人も悪くないかもしれない。

 可愛いのでもうちょっと続けてみることにした。

 

 ぷにっ。

 

「んんっ……」

「ぅぁ……」

 

 ぷにぷにっ。

 

「ふにゃ……ぁ……」

「ぁ……ぅ……」

「やっぱり可愛い」

 

 ぷにぷにすると、ちょっと声を漏らすところとか、それでもなお眠り続けるところとかこの無防備さとか。うん、何かに目覚めそうだ。

 

 よし、このまま2人をいじめつくして――――

 

「にゃぁ……?」

「くぅぅん?」

「あっ」

 

 いじめようと思った矢先、2匹とも目が覚めてしまったようだ。惜しい、何とも惜しいタイミングだ。

 

「お~起きたか2匹とも~」

「わんっ!」

「にゃっ!」

「あぁ……癒される」

 

 元気に鳴く2匹を見てまた癒される。萌え死ぬかもしれないわ、これ。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「ほら、2匹ともご飯だぞ」

「っ! わんわんっ!!」

「にゃっ!? にゃにゃにゃっ!」

「ほれ、ここに置いとくから食べてくれ」

「!? がうぅぅぅ……」

「シャアーッ!」

「え!? 怒ってる!?」

 

 ご飯ということで牛乳を皿に入れ2人の前に出したのだが、なぜか2匹してこちらを威嚇している。なんということだ……皿の中の牛乳をペロペロする2匹をまじまじと見つめていたかっただけなのに!!!!

 こいつら、まさか俺の心を読んで……?

 そんなことを考えていると、2匹は急に人間に戻ったかのように立ち上がり、部屋の外に出て行った。

 数秒後、戻ってきた2匹の手にはそれぞれ"ランチパック"と"カップラーメン"が。

 

「おいそれもろ人間の食べ物じゃねえかよ!!」

「っ!? わ、わんっ」

「にゃあ!」

「可愛いから許す」

 

 ちゃんと穂乃果はランチパックを口に咥えた状態で持っていて、凛ちゃんは自分の前にカップ麺を置いている。持ってきているものはアレだが、そういうところを見てしまうと許してしまうあたり俺は萌えに弱いのかもしれない。

 

「ったく、仕方ないな。ほれ穂乃果、開けたぞ~」

「くぅん♪ はむっ……もぐもぐ……わんっ!」

「美味しいか~?」

「わんっ♪」

「にゃ……」

「ほら、凛ちゃんもお湯ついできてあげるから、ちょっと待っててな」

「にゃっ!」

「……ほーれついできたぞ。あとは3分まってな~」

「んにゃ~♪」

「可愛いなぁ」

 

 穂乃果はランチパックをモグモグと食べていて非常に愛くるしく、凛ちゃんに至っては、付いてないはずのしっぽを振っているのがよくわかるくらいに喜んでいてこれまた非常に愛くるしい。

 俺、この2匹、ペットとして飼ってもいいっすか??

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「よしよし」

「くぅぅん♡」

「にゃぁぁ♡」

「ったく、可愛いなこんちくしょうめ!!!」

 

 ごはんを食べさせてからというもの、ずっと2匹をなで続けている。そのたびに可愛い声で鳴くものだからずっと飽きずに続けているのだが、撫でている側である俺の方が気持ちよくなってきた。気分が高揚しているのもあって、俺は2匹にこんなことを言ってみた。

 

「穂乃果、凛ちゃん、ほれここ。ほらっ」

「「???」」

「ほっぺにチューっってしてくれ」

「ふぇ!?」

「にゃにゃ!?」

 

 2匹して驚いたところまでは一緒だったが、そのあとの態度が全然違うものだった。穂乃果は苺みたいに真っ赤な顔で「ぅぅ……」なんて呻きのような声をあげながら目をそらしているが、凛ちゃんは不思議なものを見るような目で俺をじっと見つめてきている。

 穂乃果に関しては何かを言いたげな様子なのだが、凛ちゃんは全くその様子が見られないのが、どういう心境なのかが全く伝わってこなくて困る。というか穂乃果はさっき人の言葉をしゃべってたのになぜしゃべってくれないのか。

 よくわからないが、もうちょっとだけお願いしてみる。

 

「ほれほれ、お兄ちゃんは撫でてやったお返しを求めているぞ~」

「くぅぅぅ……」

「……?」

「凜ちゃんだけは本気で何考えてるのか分かんないんだが」

 

 穂乃果はさらに顔を赤くして照れているのが分かる。というかこれはいつものこと、今日はたまたま人を辞めているというだけで。しかし凛ちゃん……分からん。

 と思っていたら

 

「んっ……にゃぁ♪」

「えっ、えっ!?」

 

 何を考えているのか全く理解できなかった凛ちゃんがまさかの頬キッスをしてくれた。嬉しさよりも戸惑いが大きすぎてイミワカンナイんだが。

 

「り、凛ちゃん……?」

「んん~♪ にゃぁ♡」

「な、なんなんだ一体」

 

 頬キッスを決めてくれたあと、凛ちゃんは再び俺にすり寄ってきた。ま、マジでなんなんだこの娘は……

 とりあえず全身全霊、愛をこめて撫で返しています。

 

「ぅ……くぅん」

「可愛いなぁ凛ちゃん」

「ふにゃぁ♡」

「……わんっ!」

「わっ!? 穂乃果!?」

 

 凛ちゃんをただひたすらに愛でていると、急に横から穂乃果が凛ちゃんを払いのけ、俺を押し倒す形で穂乃果が上に乗ってきた。

 

「お、おい穂乃果?」

「……ん」

「え、あ、あれ?? おーい穂乃果ー???」

「んん……」

「ちょっ!? お、俺がお願いしたのは頬キッスなんだが!?」

「…………」

 

 押し倒してきた穂乃果は、目を閉じたまま、正面から俺に向かって唇をこちらに近づけている。あれれ~おかしいぞ~? 俺がお願いしたのはマウスtoマウスじゃなくてマウスtoチークなんだが???

 というか兄妹でこれはさすがに――――

 そう思っている間にも距離は縮まっていく。

 

「んん」

「いや、待ってくれ穂乃果!」

 

 15センチ。

 

「ん……」

「ほ、穂乃果」

 

 10センチ。

 

「…………」

「…………」

 

 5センチ。

 

 5センチを切ったときにはもう、俺も覚悟を決めていた。キスなんて初めてだが、こんなに可愛い我が妹に奪われるのなら本望だ。

 

 俺も覚悟を決め、目を閉じた――――――――

 

 

 

 

「おにいちゃーん、ねえお兄ちゃんってばぁ」

「んん……ほのか?」

「まーだ寝ぼけてんの? 私、雪穂なんだけど?」

「ん? 雪穂……雪穂!?」

 

 ハッとなって目を開けると、そこにはもう1人の妹である雪穂の顔が。

 

「あ、あれ!? 俺確か穂乃果と……」

「なーんかお姉ちゃんの名前と凛さんの名前出してたけど、どんな夢見てたのー?」

「ゆ、夢……あぁ、そうか夢か。あはは」

「んー?」

 

 不思議そうな顔で見つめてくる雪穂には申し訳ないが、夢の中の内容なんて言えるはずがない……ちょっとだけ、惜しかったかな。

 

「もう、お兄ちゃんったら……お客さん来てるから、早く用意して迎えてあげてね? じゃ」

「え? お客さん? って雪穂、誰が来てるのか教えてくれよ! ……いっちまったか」

 

 雪穂によると、どうやらお客さんが来てるらしい。相手くらい教えてくれてもいいのに、そう思いながら、お客さんを待たせないよう急いで準備をする。

 誰なんだろうか?

 

 ガチャ。

 

「えっ!?」

 

 急にドアが開き、誰かが入ってくる。俺はゆっくりと振り返り、誰なのかを確認する。

 

 するとそこには――――

 

 

「わんっ!」

「にゃぁっ」

「へ?」

 

 

 夢の中に出てきた、穂乃果と凛ちゃんの"2匹"だった。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「ふぇ~、お腹いっぱいだぁ~♪」

「おい穂乃果……さすがに今日は食べすぎじゃないのか?」

「ぷへ、お兄ちゃんおんぶー!」

「ったく、こんな調子じゃ太るぞ~。アイドルとしてそれはどうなんだ~?」

「お兄ちゃんが穂乃果のこと好きでいてくれるならいいもんっ! それよりお兄ちゃん、おーんーぶーっ!!!」

「はぁ。ほらよ、乗りな」

「わーい♪ えへへ、お兄ちゃんあったかーいっ♡」

「手間のかかる妹だ」

「えへ……へ……すぅ……すぅ」

「寝るの早っ!?」

 

 穂乃果ととあるレストランで食事をしたのだが、穂乃果は予想以上の量を食べていた。そして食べた直後にすやすやと眠る。

 これって結構まずいのではないだろうか?

 

 

 

 ある日の学校終わり、学校から"ある"通知が。

 

「お、お母さん、これって!」

「え、ええそうね。これは一大事だわ……」

「お姉ちゃん……」

「ただいまー」

「「穂乃果っ!? あ、光穂(お兄ちゃん)か」」

「何その反応悲しいんだけど」

「そんなことより!」

「これを見なさい光穂!」

「急になんだ――――こっこれは!?」

「ねえ、これかなりヤバいよねお兄ちゃん?」

「やべえ、なんてもんじゃないぜ雪穂……」

 

「たっだいま~っ!」

 

「「「!?」」」

「いや~今日も楽しかった~っ! って、あれ?みんなで何見てるの?」

「穂乃果」

「お姉ちゃん」

「これを見ろ」

「これ? ……あーっ!? それ私の健康診断のやつ! お兄ちゃん見ちゃったの!? 女の子のトップシークレットが載ってるのにっ!!」

「いいからこれをみろ!!」

「えっ……どうしたのおにい――――ああああああああああああっ!?」

 

 この瞬間、穂乃果は現実を知ったのだった。

 

 

 

 

「たるみすぎですっ!」

「うっ!」

 

 部室に来て早々に海未ちゃんから怒られてしまった穂乃果。いやでもこれは仕方ないだろ、あんだけ食っちゃ寝してたらそりゃ太るわ。

 

「そうだよ穂乃果ちゃんモグモグさすがにたるみすぎだよぉパクパク」

 

「まったく穂乃果は! あなたはアイドルをやっている自覚があるのですか!? 大体、あなたがアイドルやろうって言いだしたのではありませんか!」

「うっ……お、おにいちゃぁん、海未ちゃんが怒るよぉ」

「穂乃果、俺と一緒に頑張ろうな?」

「うわああああん! お兄ちゃんまでそんなぁ!!」

 

「うんうん、いつまでもお兄ちゃんにゴックン甘えてちゃだめだよパクッ穂乃果ちゃんモグモグ」

 

「「「………………」」」

「だ、大体穂乃果は光穂さんに甘えすぎなんです!」

「そんなことないもんっ! お兄ちゃん穂乃果に厳しいもんっ!!」

「そ、そうか? ごめん穂乃果、次からはもうちょっと優しくするな?」

「ご、ごめんっ! お兄ちゃんはすっごく優しいよ! 大好き!」

「ほ、穂乃果……!」

「お兄ちゃんっ」

「もうっ!! そうやって逃げるのはやめなさい穂乃果!!!」

 

「はぁぁ♡ おにぎりおいしっ♡」

 

「花陽ちょっといいですか?」

「ほえ?」

 

 3人してあえてスルーしていた花陽ちゃんをついに手を出す海未ちゃん、これはまさか――――

 

 

「花陽! あなたもダイエットです!!」

「ぴょええええええええええ!?」

 

 やっぱりな。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「うぅ」

「ぐすっ……」

「さて、どうしたものか」

 

 海未ちゃんにお叱りを受けた2人は、μ'sみんなの同意の元、特別メニューとして"ダイエット練習"というものを行うことになった。あ、コーチは俺な。しかし、ダイエットなんて人生に一回たりとも経験したことはない。

 

「とりあえず、走るか?」

 

 一緒に走ることにしてみた。

 

 

「はぁ……はぁ……」

「ぜぇ……ぜぇ……」

「君ら今アイドルがしちゃいけない顔してるけど大丈夫?」

 

 距離にして2kmくらい走ったのだろうか。2人してアイドルやめそうな顔をしているんだが。

 

「アイドルの練習やってるから体力あるんじゃなかったのか?」

「はぁ……はぁ……お兄ちゃん早すぎ……」

「ぜぇ……ぜぇ……追いつくのが……やっとでした」

「こりゃ重症だな」

 

 少なくともμ'sの練習の時のペースより遅く走ったのにも関わらずこのありさまである。これは徹底的に絞るしかなさそうだ。

 

「おい穂乃果、花陽ちゃん!!!」

「は、はい!」

「なにっ!?」

「今から神田明神まで全力疾走だ!!!」

「「えぇ~!?」」

「ずべこべ言わず走れおらぁ!!」

「ひぃ~っ!?」

「今日のお兄ちゃん、海未ちゃんみたいだよぉ~!?」

 

 泣き言を言ってるようだが、俺は気にしない。

 

 今日の俺は―――――――――鬼だ。

 

 

 

 

「おらあお前らはやく上がって来いよお!!!」

「おにいちゃ……はぁ……はぁ」

「もうっ……無理ですぅ」

「弱音はいてんじゃねえよ!!! あと30往復だ!!!」

「「いやあああああああああ!?」」

 

 神田明神についてそうそう、階段ダッシュ。徹底的に搾り上げてやる。

 

「ペースが落ちてるぞ!!」

「「は、はいぃぃっ」」

「そんなことじゃまた海未ちゃんに怒られるぞ!!!」

「「ひぃぃぃぃ!?」」

 

 泣き顔になりながらも必死に頑張る2人……ちょっと、ひどすぎるかな?

 

「次の1週終わったらいったん休憩入るから、頑張れよ~!!」

 

 やっぱり、鬼にはなり切れないわ、俺。

 

 

「おにいちゃぁん……はぁ……はぁ……疲れたよぉ」

「光穂さん……っ……どうでしたか?」

「あぁ、2人とも頑張ってたよ」

「ふぁぁ」

「お兄ちゃん」

 

 なんとなく2人をなでてみると、とても気持ちよさそうな表情をしてくれた。さっきまでは某有名画家が書いたような悲痛な顔をしていたというのに、不思議だ。

 

「これが、光穂さんのナデナデ……素敵です」

「これが? 花陽ちゃん、俺に撫でられたかったの?」

「……穂乃果ちゃんからよく聞いてたので、少しだけ」

「ふふっ、花陽ちゃんにだったら、言ってくれればいつでもしてあげるのに」

「だ、だって恥ずかしいじゃないですか! 撫でてください、なんて……」

「そんなに遠慮しなくていいんだよ? だってほら、うちの穂乃果を見てごらん?」

「んーん♡ おにいちゃぁん♡」

「いつもこうやってべっとりくっついてくるんだから。だから花陽ちゃんも遠慮なんかいらないからさ」

「本当に噂通りだったんですね」

「え?」

「なっ何でもないですっ! そ、それより」

「ん? どうした?」

「は、花陽も、その、穂乃果ちゃんみたいに……撫でられたぃ」

「ふふっ、可愛いな花陽ちゃんは」

「ん……ふぁぁ♪」

 

 照れながら、声が小さくなりながらも俺にお願いしてきた花陽ちゃんが可愛すぎて、つい思いっきり撫でまわしてしまった。気持ちよさそうな声をあげながら、満足そうな表情で俺によりかかってくる花陽ちゃん。まるで、妹がもう一人増えたみたいだ。

 と、ここで実の妹が駄々をこねてきた

 

「お兄ちゃん穂乃果も花陽ちゃんと同じくらいいっぱい撫でてー!! 撫でて撫でてなーでーてー!!」

「ったく、しょうがないなぁ」

「えへへ~♪」

 

 駄々をこねて甘えてくる穂乃果、遠慮しながらもお願いしてくる花陽ちゃん。こうしてると、本当に妹が増えたみたいに感じて、何だがほんわかする。

 ま、うちには素直じゃない妹がもう一人いるんだがな。

 

 あれこれ思いながらも、俺はただひたすらに2人をなで続けるのであった。

 

 

 

で、そんなことをし続けていたら

 

「もう日沈んできてるじゃねえか!?」

 

「「あっ」」

 

 撫ですぎていたせいか、いつの間にか日が沈みかけている。あれ、ダイエットが目的じゃなかったんだっけ? これ。

 

「お兄ちゃん帰ろうよ~! お腹すいたー!」

「わ、私も、帰りが遅くなると親が心配するので……」

「ま、それもそうだな。遅い時間に女の子に外歩かせるわけにはいかないし、今日はこの辺で終わるか」

 

 結局、ダイエットもそこそこに今日は解散となった。やべ、これ明日海未ちゃんに怒られるかもな。

 

 

 と思っていたのだが。

 

「さ、3キロ減!?」

「たった1日で!?」

「光穂あんた何やらかしたのよ!?」

「普通にダイエットメニュー与えただけだよ!!!」

 

 なぜか1日で3キロも落とすという恐ろしいほどに素晴らしい結果が出てしまっていた。絢瀬、海未ちゃんが驚き、矢澤に至っては俺が何かやらかしたと思っているらしい。心外だ。

 

「お兄ちゃんはやっぱりお兄ちゃんだったよ!」

「光穂さん、すごく優しかったです……ポッ」

「花陽が赤くなってる……やっぱりあんた何かやらかしたのね。おとなしく捕まりなさい」

「おまえこそその身長とルックスで高校生はさすがに詐欺だろ。おとなしく捕まれ」

「なんでよ!?」

「まぁまぁ♪ 2人がダイエットに成功したんやからええやん♪」

 

 俺と矢澤の言い合いを楽しそうに宥める東條の発言通り、事実ダイエットは成功していた。正直、俺が一番驚いているのではないだろうか。

 

「で、かよちん。光穂さんはどんなメニューをくれたんだにゃ?」

「そうよ、教えなさいよ花陽。気になるわ」

 

 凛ちゃんと真姫ちゃんが興味津々な中、花陽ちゃんが答えた。

 

「うん、それはね――――特大の飴と、ちょっぴりの鞭、だよ。えへへ……」

「な、なんか花陽が」

「すごく嬉しそうにしてるにゃ……」

「今のかよちゃん、恋する乙女みたい♪」

「こっことりちゃんっ!? ソッソンナコトナイヨォ!?」

 

 何やら意味の分からないことを話しているが、特大の飴、 俺鞭しか与えてなかったつもりなんだけどな。どこらへんが飴だったんだろうか、疑問である。

 この日から、俺は数週間の間、『ダイエットマスター』と呼ばれることになってしまったのだった。

 

 

 

「光穂さん、ちょっとよろしいですか?」

「ん? 海未ちゃん?どうかしたの?」

「あの、できれば私にも光穂さん流のダイエット法というものを教えていただきたいのですが……いつまでも光穂さんに頼るばかりではご迷惑になりますので」

「え? 俺流のダイエット方法? って言ってもなぁ、神田明神の階段めっちゃ走らせたくらいしか覚えてないし」

「……本当にそれだけですか?」

「え? んー……あっ」

「な、何か思い出しましたか!?」

「めっちゃ撫でた。これでもかってくらい撫でまわした」

「は?」

「いやだから、めちゃくちゃ撫でまわしたんだよ。2人が可愛すぎるからさ」

「聞いて損しました。ありがとうございました」

「えぇっ!?」

 

 

 海未ちゃんには理解されないダイエット法だったらしいよ。

 

 




ほのりん最高だよなぁ・・・
ほのぱなも最高だよなぁ・・・

穂乃果ちゃんって至高だよなぁ(真顔)

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