兄と妹~ときどき妹~   作:kielly

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穂乃果ちゃん!ほのかちゃん?ホノカチャン!

今さらですが、ホワイトデー記念です。




光穂のお返し

「今日はホワイトデーか……よし」

「あれ? お兄ちゃん出かけるの?」

「あぁ、穂乃果か。ちょっと買い物行ってくるわ」

「穂乃果もお兄ちゃんと買い物行く~!」

「ごめん穂乃果、今日は俺だけで行ってもいいか?」

「ぶー。ちゃんとお菓子買ってきてくれる?」

「それはもちろん」

「やった~♪ じゃあ穂乃果は家でお留守番してるね!」

「おう、頼んだぞ」

「うんっ!」

 

 そう、今日はホワイトデー。チョコをくれた穂乃果にお返ししなきゃな……あと、雪穂にもな。

 

 

 

 

 

 光穂のお返し

 

 

 

 

 

 

「さて……」

 

 俺はとあるショッピングモールに来ている。目的はもちろん、妹たちにバレンタインのお返しをするためだ。とは言ったものの、こういったところは1人じゃ来たことがなくて、いつも穂乃果や雪穂に案内してもらっているため、全くと言っていいほど慣れていない。

 ……やべえ、人多すぎ。なにこれ。あまりの人の多さに驚いてしまい足がすくんでしまっていたところに

 

「あら? 光穂君?」

「えっ?」

 

 後ろから声が。

 

「あ、絢瀬じゃん!」

「こんにちわ。光穂君もお買い物なのかしら?」

「そんなとこだな」

 

 まさかの絢瀬との遭遇である。穂乃果の誘いで練習を見に行くことは度々あったからその時に話したことはあるのだが、2人きりで会うっていうのはもしかしたら初めてかもしれない。たぶんだけどな。

 しかし、これはツイている。

 

「絢瀬はここによく来るのか?」

「ええ。そんなに頻繁には来ないけど、たまに来るくらいかしら。」

「ふむ……」

 

 これはちょっと、頼んでみるか。

 

「絢瀬、ちょっとお願いがあるんだけど」

「ん、どうしたの光穂君?」

「ちょっとさ、俺にここの案内してくれないか? 全く分かんなくってさ、買いたいもの買えるか怪しいんだよ。頼むっ!」

「えっ!?」

 

 俺のお願いに驚きの表情を見せる絢瀬……絢瀬も、こんなリアクション取れるのな。いつも冷静だから、もっと大人びた反応来るのかと思ってたわ。絢瀬は顔を真っ赤にしながら少しの間考えたのち

 

「わ、私でいいのなら、いいわよ?」

「よっしゃ! 頼むぜ絢瀬!」

 

 OKという返事をくれたのだった。

 

 

 そのころ高坂家では――――

 

「えへへ……お兄ちゃんがお菓子買ってきてくれる~♪ あれ、でもどこにお買い物に行くんだろう? 何も聞いてなかったや。でもっ、お兄ちゃんが買ってきてくれるなら何でも美味しいよねっ!」

 

 穂乃果は1人、部屋で独り言。

 

「――――そういえば、この前お兄ちゃんにあげたチョコ、どうだったのかな。お兄ちゃんすごく喜んでくれてたけど、そんなに美味しかったのかな……お兄ちゃん、早く帰ってこないかな。あ~もうっ! 寂しいよぉっ!! お兄ちゃん早く帰ってきてよ~っ!」

 

 

 ショッピングモールにて――――

 

「光穂君は何を買いにきたのかしら? それによって場所が大きく変わってくるのだけれど」

「こんだけ広かったらなぁ……実はさ、ホワイトデーのお返しをしたくて」

「あら? 光穂君に彼女さんなんて――――あ、そっか、穂乃果たちのことね」

「あぁそうなんだけどさ。その"彼女なんて"っていう言い方はやめてくんねえかな。傷ついたんだけど」

「あら、ごめんなさい」

 

 絢瀬に軽くいじめられながらも俺がここに来た理由を説明した。そりゃこんだけ大きいところじゃ買えるエリア限られるよなぁ……

 

「ホワイトデーのお返しってことはお菓子よね?」

「まぁな」

「だったらちょうどよかった、私もチョコを買いに来たのよ」

「わざわざチョコを買うためだけにこんなところに来るのかよ……」

「それだけ私にとって、チョコっていうのは大事なものなの」

「すげえなおい」

「まぁそんなことはいいわ。早速行きましょう♪」

「お、おう」

 

 やたら張り切り出した絢瀬に連れられ、お菓子が売ってあるらしいエリアへと向かった。

 

 

 

「あれ? あれってお兄ちゃんと絵里さん……?」

 

 

 見られたことにも気づかないまま。

 

 

 

 

「お~……すごいなこりゃ」

「ホワイトデーだからね」

 

 案内されて来てみたはいいものの、かなりの人であふれていた。こりゃすごいわ。1人じゃ間違いなく来たくない場所トップ3くらいには入るわこれ。

 

「あ、あの、光穂君」

「ん? どした?」

「あっちに私の買いたいチョコが売ってるお店があるの……行ってきても、いい?」

「あ、そうなのか。わざわざ案内してくれてありがとな。助かったよ」

「助けになったのならよかったわ。じゃあ、また学校でね!」

「おう、ありがとな~」

 

 そう言って絢瀬は向こうの方へと向かっていった。……さて、何を買おうか。人ごみの中、俺は考え始めるのだった。

 

 

 

 高坂家にて――――

 

「むー。お兄ちゃんも雪穂もいないなんて、暇だよぉ……」

 

 ピロリーン

 

「あ、通知だ。誰からだろう――――雪穂? えっと、なになに……えっ? お、お兄ちゃんが、絵里ちゃんと……デート!?」

 

 

 

 再びショッピングモールにて――――

 

「ま、こんなもんでいいだろうな」

 

 2人へのお菓子を買った俺はそのエリアを出る。1人でこんな人ごみの中に居続けるとか無理だわ。

 エリアを抜けた後で思い出す。。

 

「絢瀬はもう帰ったのかな」

 

 この場所を教えてくれたのは絢瀬、口ではお礼を言ったものの、やはりそれだけじゃ足りない気がして。出来ることなら何かしらのお礼をしたいのだけど……

 ふと、視線の先の店を見る。

 

「ん?あの金髪ってまさか……?」

 

 見覚えのある金髪の女性がいたため、俺はその店に近づいてみた。

 

 

「ん~。これも食べたい、これも――――でも予算外よねぇ。」

「絢瀬」

「ひゃあっ!? ……あ、光穂君?」

 

 声をかけてみたところ、やはり絢瀬だった。何やら2つのチョコを見つめて悩んでいるようだった。

 

「その2つのチョコが食べたいのか?」

「え? えぇ、そうなのだけど……ちょっと予算オーバーだからどっちを買おうか迷っちゃってて」

「ふーん。ちょうどいいわ。ちょっとその2つ貸しなよ」

「えっ、えっ??」

 

 絢瀬から2つのチョコを受け取って、俺はある場所に向かった。

 

 

 

「あ、ありがとう。こんな高いチョコを2つも……」

「いいんだよ、俺もお礼がしたかったんだ。」

「でも、これに似合うほどの助けなんてした覚えないわよ?」

「実はさっきのチョコの店、穂乃果に連れられてきたことあってさ。美味いよなあそこのチョコ。だから迷う気持ちはわかるからさ、だったら2つとも買ってあげようかなって」

「……ありがとう、とっても嬉しいわ」

「いえいえ」

 

 2つのチョコを受け取った俺はそのままレジへ行き、絢瀬の代わりに会計を済ませた。お礼がしたいと思っていたからちょうどよかった。ま、ちょっと値段が予想以上に高くて驚いたんだけどな。

 

「まぁこれは今日の分もそうだけど、いつも妹を助けてくれてるから、そのお礼も兼ねて。ってことにしていてくれないか?」

「ふふっ、十分すぎるくらいだわ♪ 本当にありがとう。大切に食べるわ」

「おう、大切にしろよ~」

「ふふっ! 本当に兄妹似てるのね」

 

 この後もこのまま雑談をしながら、お互いの家に帰るのであった。絢瀬って意外と子供っぽいところもあるんだな。

 そんな発見があった1日だった。

 

 

 

「ただい――――穂乃果?」

「むー……!」

「ど、どうしたんだそんな怒った顔で?」

 

 家に帰ってドアを開けると、ドアの目の前に穂乃果が不機嫌そうな顔で立っていた。あれ? 俺何かしたっけ?

 

「今日――――絵里ちゃんとデートしてたんだよね?」

「……は?」

「知ってるもんっ! 今日絵里ちゃんと2人きりでショッピングモール行ってたんだよねっ! 雪穂から聞いたのっ!」

「……あー、見られてたのか」

 

 なるほど、そういうことか。さっきの帰り、雪穂から『ごめん言っちゃった』っていう謎のメッセージが届いてたのはそういうことだったのだろう。しかし何か勘違いをしているらしいわ。

 

「穂乃果、俺絢瀬と会ってたのは間違いないけど、別に会うのを目的にショッピングモールに行ったわけじゃないんだぞ?」

「ぶーぶー! 穂乃果はずっと家で寂しい思いしてたのにっ!!」

「それはごめんな。次行くときは絶対穂乃果と行くから。な?」

「お兄ちゃん、約束だよ?」

「おう、穂乃果との約束だ。」

「それならいいよっ。でも! 寂しかったんだもんっ! なのにお兄ちゃんはっ」

「ごめんな穂乃果、でも絢瀬と遊んでたってわけじゃないんだぞ? ちゃんと目的があってさ。たまたま会っただけなんだ」

「うー。絵里ちゃんに確認するよ~?」

「あぁ、別にいいぞ。」

「……ううん、やっぱりいい。それよりも、今日はずっと穂乃果の横にいてねっ。寂しい思いをさせた罰だよっ」

「あはは、わかったわかった。いい子だな穂乃果は」

「えへへ♪」

 

 絢瀬と会ってたことがバレてしまってどうなるかと思ったが、案外穂乃果は暴れることなく俺の腕の中でスリスリしている。撫でてやると嬉しそうに笑う。本当に寂しかったんだろうな。

 そう思うとなんだか悲しくなってきたので、俺は本題を切り出す。

 

「穂乃果。今日出かけてた理由なんだけどさ――――ほら、これ。バレンタインのお礼な。食べたいキャンディがあるんだって言ってただろ?だから買って来たんだ」

「ふぇ――――あっ、それ! えっ? でもそれってバレンタインのお返し、なんだよね……?」

「あぁ。せっかく手作りチョコもらったんだから、手作りのお返しは俺には無理だからせめて穂乃果が欲しいものを、って思ってさ。」

「あ……お、お兄ちゃん」

「ん?」

「確認なんだけど、それってバレンタインのお返し、なんだよね?」

「?? あぁ、そうだぞ」

「お兄ちゃんっ!! 穂乃果もお兄ちゃん大好きっ!」

「あはは、キャンディがそんなに嬉しかったのか? 買ってきてよかったよ」

「えへへ~♡ お兄ちゃぁん♡」

「よしよし。今日は寂しい思いさせたから、穂乃果をとことん甘やかすぞ~」

「ん~っ♡ もっとナデナデして~っ!」

「ふふっ」

 

 一時はどうなるかと思ったが、キャンディをあげた途端にいつも以上に穂乃果が甘えてきた。きっとそれだけ、このキャンディが食べたかったんだろうな。買ってきて本当によかったわ。これは、絢瀬に感謝だな。俺一人じゃあんなとこいけなかったし。

 一波乱あったものの、いつも以上に甘えてくる我が妹をただただ愛でる。

 今日はそんな一日だった。

 

 

 

 

「ほら雪穂、バレンタインのお返しな」

「あ、お兄ちゃん。ありがと――――って!これキャンディじゃん!?」

「ん? うん、キャンディだけど? それがどうかしたのか??」

「あぅ……お兄ちゃんってばほんっとそういうとこ知らないよね」

「え? 何? なんかまずかったか?」

「……ありがとう、お兄ちゃん。嬉しい。」

「え?? 嬉しいんならいいんだけど」

「えへへ……♡」

 

 キャンディは我が妹2人ともに好評であったようだ。

 

 

 

「……美味しい。ふふっ」

「お姉ちゃん、そのチョコそんなに美味しいの?」

「あ、亜里沙。えぇ、美味しいわ。それに、このチョコはちょっとだけ特別なの。」

「ハラショー♪ お姉ちゃん、すっごく幸せそう♪」

「そ、そうかしら? でも――――」

 

「すっごく幸せなのは、その通りかもね」

 

「ありがとう、光穂君♪」

 

 




思ったより絵里ちが出てきてて驚きでした。
ほのえり推しなものでして・・・てへぺろ。

でも!やっぱり穂乃果ちゃん!!!ホノカチャン!!!!!




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