柱の男、全滅。
ジョニィを幻想入りさせたものの、ジョニィの使い方(?)がわからない。
とりあえず、ジャイロに会わせようか。
しかし、ジャイロの方も・・・
その日の夜。
僕は彼女らと酒を交わした。勇儀は酒を強くすすめ、僕は倒れてしまった。
「もうおしまいかい?異世界の人間は弱いねぇ」
「アンタが強いのよ。こんな強い酒を人間に飲ませたら普通は死ぬわ」
「そうかい?私が特注で作らせた『神殺し』は人間には、ちとキツかったか」
机にドスンと置かれた一本の酒瓶は僕の目には何本にも見えた。
それほどに酔っている。少しずつ瞼が重くなり、僕は静かに眠ってしまった。
「寝たみたいだね、こいつ。」
「えぇ。今日のアンタ、怖かったよ。あんなムキムキの男三人を咆哮で殺しちゃうとか、本当に鬼だわ」
「鬼だからしかたないわ。アッハッハッハッ!」
勇儀は机をバンバン叩きながら、高らかに笑う。
「・・・その横で寝ている男。彼のことを頼めるかしら?」
一気に静かになる霊夢。勇儀もそれを察して笑いをやめる。
「ん?どうしたんだい?」
「名前はジョニィ・ジョースター。聞いた感じ、今この幻想郷で異変と戦っているジャイロを探しているらしい」
「へぇ、そうなの。でもこいつを私に任せるのとは関係ないんじゃないか?」
勇儀は杯を畳の上に置くと、あぐらから膝を立てた座り方に変え、外の景色を見た。
「そのジャイロは今、永遠亭にいる。けど、意識不明の重傷で今ジョニィが会えたとしても、帰れない」
「そのジャイロのためにも彼は近くにいた方が」
「確かにそれもあるわ。でも・・・」
「・・・まぁ色々とあるのか。いいよ、こいつには地霊殿を直すのに、ってこいつじゃ無理か。下半身不随だっけ?」
「まぁ、護衛くらいならできるんじゃない?」
二人は朝まで酒を飲んでいた。
次の日からジョニィは地霊殿の主である古明地 さとりの
護衛を任されることになるのだった。
その頃、ジャイロの方は・・・
「妖夢っ!あなたサイコキラーだったの!? 」
「ごめん、優曇華。・・・というより、マジシャンでてゐの役職盗ったら、サイコキラーだったの」
「むぅ、てゐ!」
「何か持ってそうな仕草してた妖夢を食べようとする優曇華が悪いうさ。やっぱり初心者うさね」
「もう!姫様は昼で死んじゃうし」
「ごめん、私はあまりこういうの・・・」
ジャイロの眠る横で人狼をやっていた。
しかも外に聞こえるくらいの大きな声を出して。
「それにしても師匠遅いうさね。もう帰ってきても」
「ただいま。」
噂をしていると永琳が帰ってきた。
「師匠!おかえりなさい!」
「あなたたち。まさか彼の近くで遊んでたとか言わないよね?外に聞こえてたけど」
全員が全員、あさっての方向を向き、口笛を吹く。
妖夢もこの行動に遅れて参加する。
「あれほどケガ人の近くで遊ばないと言ったよね?」
永琳は優曇華の耳を持つと、ドアの方向へ投げ飛ばす。
てゐはそれを見て優曇華の方へ向かうが、てゐもまた耳を掴まれる。
「ご、ごめん・・・うさ」
「今日、ここまでの道に落とし穴を掘ったのは・・・てゐよね?それに引っ掛かったって誰だと思う?」
「・・・(゜ロ゜)!」
てゐはそのまま、ボールでも投げられるかのように、永琳から見て東の壁に向かって投げられた。
「ウサギたちが今度こんなことをしたら、妖夢さんが注意してくださる?」
「は、はい」
小刻みに震える妖夢は心のなかで、優曇華から怖いという話を聞いて、私も幽々子さまも怖いと言ったが、想像していた以上だったと思い、今にも失禁しそうだった。
優曇華が注いでくれたお茶を飲んでいたら完全に漏れていた。
「永琳・・・この人は生きてるのか?」
「正直、死んでいるようなものよ。人里の人によると、彼は台風のような強い風をくらったらしい。しかも直撃」
「そうなの・・・。残念ね、外の世界から迎えが来たのにね」
「!・・・いつそんな話を聞いたの?」
「今日、夕方くらいに紫が来てね。ここに下半身不随の男が彼を目的に来るかもしれないって」
永琳はジャイロの胸元部分に手をあてる。心臓は・・・もう動いていなかった。
「なら、その人が来るまでに彼を治しましょう。あの守矢にでも頼めば、奇跡の力でなんとか」
「そうね。明日にでも優曇華に頼んで、早苗のところに行ってきてもらいましょう。ここ最近、あの二人仲いいみたいだし」
次の日、ジョニィは地霊殿に向かっていた。
僕は酔いつぶれてしまったのか、昨日の記憶が全くない。どうして、こんなところにいるのかもわからないくらいに・・・。
わかっていることは、ジャイロを見つけ出し、この世界から脱け出すことだ。
とりあえず、僕は勇儀に地霊殿に行くように言われたため、行くことにした。
「その地霊殿の主ってどんな方なんですか?」
「まぁ、難しいやつだが、とてもおもしろいやつだ。たぶんな」
「たぶんって!・・・まぁ行ってみます」
少し馬を走らせると、地霊殿に着いた。
大きな豪邸なのだろうが、少し壊れていた。何者かに襲われたかのようだった。
(もちろん、ジョニィは柱の男がいたことすら覚えていない)
「あなたはジョニィさんですね?」
「え?あなたは・・・」
豪邸の大きな扉を開けて現れたのは一人の少女だった。
・・・こんな少女がこの屋敷の主人なわけないな。
「・・・なるほど、でも私がこの地霊殿の主人、古明地 さとりです」
「どういうことだ!?まさか、心が読まれたのか?」
「はい。私は心を読むことのできるスタンドを持っています」
「スタンド!・・・この世界にもスタンド使いがいるのか!」
「・・・冗談ですよ。この世界にスタンドはいません。ですが、その能力はあります」
少女は地霊殿の中へ姿を消す。すると、中から誰も座っていない車イスを持ってきた。
「あなたは下半身附随で動けないんですよね?馬をこの中に入れさせるわけにはいかないので、車イスで移動してください」
屋敷の中はとても綺麗で、窓にはステンドグラスが張られていた。
廊下は広く、そして長い。車イスの僕からすれば、とても疲れる道だった。
「ジョニィさんのことは、勇儀から聞いています。ジャイロさんを探しているのですよね?」
「あぁ。ジャイロの居場所を知っているのか?」
「そこまでは知りません。ですが、ここには来ていないことは確かです」
僕はさとりに連れられて、部屋に入る。
壁に本棚があり、そこは大量の本でうまっている。
たぶん、彼女の書斎だろう。
「一つ、取引をしませんか?」
「取引とは?」
「三日間、私のペットになってください」
「・・・どういうことだ?」
ペット?ペットというのは、いったい・・・
「ペットというよりは、ボディーガードって感じですかね?これから三日間、私を守ってください。報酬は彼の居場所を教えます」
「本当か?」
「ただし、ちゃんと仕事をこなせたらの話です。もしも、この書斎を探ったり、私を守れなかったら、あなたを帰すつもりはありません」
「わかった。その代わり、ちゃんと情報はもらうぞ」
「・・・ちゃんと仕事がこなせたら・・・ね」
さとりは窓の方を向く。
一瞬、見えた表情はどこか笑っているようだった。
「さとり様!」
書斎のドアが勢いよく開けられる。
ドアから猫耳の少女が息を切らせ、勢いよく入ってきた。
「お燐!用があるときはノックをしなさいといったでしょう!」
「大変です!屋敷の前に馬がいます!しかも、屋敷前の芝を食べてます!」
「僕のスローダンサーだ!」
「あの初老の馬ね・・・。お燐!それくらいならいいわ。芝くらい食べさせなさい」
さとりは椅子に座ると、ずっしりとした机の上に置かれた本を開く。
「あの・・・僕は」
「そうね・・・その爪でチーズでも削ってもらおうかしら?」
「わかった。それじゃあ」
「・・・冗談よ。あなたを試したかっただけ。とりあえず、今日は仕事をしなくていいわ。明日から頼むわね」
この人、いったい何者なんだ?いくら心を読むことができるからといって、僕の能力を知ってるとは限らない。まさか、この人は僕についてたくさんの情報を持っているのか?
そんなことを考えながら、僕は書斎から出た。