幻想回転録   作:駿駕

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あらすじ
吉良吉影は新たな爆弾を発現させる。
その爆弾によって仗助と露伴は敗北してしまう。




吉良への手がかり

それは突然だった。

 

橋の近くで男の死体が見つかったらしい。

その男の下半身は粉砕骨折し、着ていた服は燃えるような後ができている。

そして頭には砲台のようなリーゼントが半分燃えていた。

「仗助・・・」

それは変わりに変わった仗助の姿だった。

「吉良に・・・やられた。そんな・・・」

さとりはさっきまでの冷静な姿とは真逆にその場に膝から崩れ落ちる。

お燐も、お空も、勇儀も・・・ここ最近、仗助と会話した奴らは全員悲しい表情をしている。

「お燐は・・・仗助の死体を回収しなさい。処理はしないで地上の良い場所に・・・景色の良い場所に埋めてやりなさい」

「わかりました・・・」

俺はなぜかそれを聞いて、お燐よりも先に仗助のもとへと走って向かった。無意識だった。仗助の周りの観衆を払いのけてでも、仗助のところへ!

 

「やめなさい!」

 

さとりが大きな声を出す。

こんなにも大きな声を出したのは会って初めてだろう。

観衆もその声に手を止める。

「ジャイロさん!あなたにはやることがあるでしょう?こんなところで死んだ人間を見ている暇なんてない!・・・

 

あなたは、仗助の分、吉良と戦うだけなの!もう、吉良の障害にならないとか、吉良に近づかないとか、そんなの関係ない!あなたの勝ち方で勝ちなさい!

 

さとりは死体の近くからどんどん離れていく。地霊殿へと帰るのだろう。

お燐は荷車に仗助を入れて、持ってきた白い布を被せた。

「ジャイロさん・・・失礼しました」

俺はお燐のその些細な言葉にすら返事ができなかった。

「仗助・・・お前の死を無駄にすることはできない」

 

それから毎日のように、俺は気が狂いそうになりながらも吉良を探していた。

危険?そんなことをどうでもいい。

ただ俺はアイツを見つけて、アイツを倒す!

それだけを考えて・・・

そんななか、あることがわかった。

この町にはここ最近、夜中にゾンビが徘徊するらしい。そしてそれを仕切るのは人間だという。

嘘にも聞こえるが、可能性がある限り、俺はそこに行くべきだと考えた。

 

そして夜。俺は建物の屋根に立ち、町の様子を見ていた。

「確かにゾンビじゃあねぇか!驚いたぜェ。」

そこにいたのはゾンビだった。活気のある暗い町にさらに暗さが増す。確かにこれは旧地獄と言っても過言ではない。

「吉良はどこにいる?」

「さぁ、どこだろうね」

なぜか俺の後を追うように歩ってきたお燐が、この屍の多さに少し背筋をゾクゾクさせている。

「まぁ、あたいはこの死体を集めにきただけですから、おもいっきり倒しちゃってください」

お燐は猫のように屋根を跳び移る。

俺はそれを追うように屋根の上を助走を付けて跳ぶ。

ギリギリ屋根に着地すると、すぐに屋根に伏せた。

「ん?どうしました?」

「聞こえないか?この奇妙な音」

「確かに・・・妙な音がしますね」

「この音!・・・お燐!来るぞ!」

「え?」

俺達の前にその音の正体が現れた。

水色の装甲に小さなキャタピラ、そして骸骨のような顔。

その骸骨は確かにこっちを見ていた。

「コッチヲミロ・・・」

「シアハートアタックだ!・・・ヤツはもう、俺達に気づいている!」

俺は骸骨めがけて鉄球を投げる。だが、鉄球はそれの勢いに負けて弾かれてしまう。

「ジャイロさんの鉄球が押し負けたッ!」

「コッチヲミローーーッ!」

俺は鉄球を足にあて、皮膚を鋼のように固くさせると、勝てるはずがないが、宙に浮いたシアハートアタックを蹴る。シアハートアタックは蹴りをくらって突進は止まったが、その場で内部から爆発する。

「うぉ!?」

俺はその爆発で屋根から落ちそうになる。なんとか雨樋にを掴んだが、勢いと俺の体重によって鈍い音が響く。

シアハートアタックは爆発してもなお、こちらに近づいてくる。見えないが屋根の瓦の上をキャタピラが進む音が聞こえる。

俺が諦めかけたその時、

「にゃああああああ!えぃッ!」

お燐が瓦の上を走るシアハートアタックを上からおもいっきり踏み潰した。シアハートアタックは少しだけ車輪を屋根にめり込ませると、俺たちを屋根から突き落とすような爆発を放った。

お燐はすぐに側の家の屋根に飛び移ったが、俺はそのまま下に落ちた。

「だ、大丈夫か・・・」

「ジャイロさんこそ」

「ほう、上がうるさいと思ったらネズミじゃなかったか」

俺達の前に現れたのは、この世界にとても似つかわしくないスーツを着た、吉良 吉影だった。

「ジャイロ、君とは紅魔館いらいか?」

「吉良 吉影・・・。今回こそ、決着をつけるぜ!」

俺は鉄球を吉良の目にでもえぐり混ませるくらいに見せつける。だが、吉良はそれを見ようともしない。

「私はただ平穏な人生を過ごしたいだけなんだ。この町こそ、私の目標を達成することができると考えていたよ。だが、東方 仗助や岸部 露伴に邪魔をされ、あげくのはてにこの世界の妖怪までも・・・どこまで私の目標を邪魔したいんだ?」

「お前のその性格が変わらない間は、俺はおたくを倒すために戦うぜ」

「・・・まぁ、いい。君を始末してから考えるとしよう。キラークイーン!」

「そぉらッ!」

俺ははなから向かってくるキラークイーンを狙ってなんかいない。この世界ならスタンドにダメージを与えることができるのがわかっているが、間接的に倒すんじゃあダメだ。

「俺の狙いはただ一人、吉良!テメェだけだぜ!」

吉良は鼻で笑う。

「君は何か、勘違いをしているみたいだな」

吉良の前に何かが現れた。まるで壁にでもなるかのように。

「私のスタンドがあの頃からずっと変わっていないと思ったか?」

そこには死んだはずの仗助がスタンドを出して立っていた。

「仗・・・助・・・?」

「私のスタンドは進化している!これは第四の爆弾と言っていいだろう!時だけでなく、生命までも自由自在に操る!それが、私のスタンド、キラークイーン・レクイエムだ!」

生命・・・つまり、あの仗助はゾンビとか死体とかではなく、生きているのか?

「グレート・・・ジャイロさん、どうして助けに来てくれなかったんスか?」

「!・・・それは」

「怖かったんスか?俺だけ探させて、ジャイロさんは地霊殿にいたんスよね?」

「ジャイロ、君に東方 仗助を止めるだけの力はあるか?ないよなぁ、その鉄球を仗助の顔面にめり込ませる勇気があるか?」

吉良は高笑いをした後、仗助に俺への攻撃命令をする。

仗助はクレイジーダイヤモンドを出すと、その拳を俺に叩き込もうとした。

「ぐはァッ!? 」

「何ィィィーーー!?」

俺の鉄球はすでに仗助の眉間に当たっていた。

「吉良よォ・・・これはもう仗助じゃねぇぜ。早く、こんな屍!爆発させろ!」

「チッ、ジャイロ。君も私みたいに人間としての心を捨てたね」

キラークイーンは親指でスイッチを押す。仗助は内部から爆発した。

「吉良 吉影。俺をあの頃から変わっていないと思っているな?俺も進化したんだぜェ。・・・この鉄球で!俺はスタンドを発動できるようになったんだぜェッ!」

俺の手のひらで鉄球は回転する。オリジンはその回転から姿を現し、仗助の肉片を片っ端からくっつけていく。

「仗助の死体があってよかったぜェ。ここまで持ってきてくれてありがとうな」

「き、キサマァァァーーーッ!」

「おいおい、そう怒るなよ」

仗助は不備一つなく、いつもどおり崩れた髪をクシで直す。そしてだいたいの形を整えると、スタンドを出した。

「東方 仗助!ジャイロ・ツェペリ!キサマらを完全に始末する!」

「来いよ!吉良 吉影ッ!テメェの顔を平穏じゃねぇ顔に変えてやるぜッ!」

仗助は吉良に向かっていく。二人の声は夜の町、さらに遠くへと響き渡っていく。

「援護するぜ、仗助。」

「いや、ここは俺一人にやらせてください。ここで本当に決着をつけて終わらせる、そんな意志でやってるので」

「そうか、ならお前に任せたぜェ。後ろで見てるから、いつでも助けを呼べよな」

「了解!」

俺は後ろに下がるとき、仗助とハイタッチをした。これが選手交代という意味だけではないものだというのはすぐに理解した。

 


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