ジョニィvs.ウェザー。
ジョニィは命蓮寺の方へ跳んでいったブラックモアを追う。そこで待っていたのは天気を操るスタンドを使う無口な男、ウェザーだった。
※正直、ウェザーのことを忘れていて、急遽入れることを考えたため、ウェザーらしさがないですが、それでもかまわない方は読んでいってください。
僕は逃げ腰だった。
ウェザーのスタンドに恐怖したからだ。
考えてみれば、人里一帯に豪雨を降らせているということは、それなりにスタンドパワーが強いということだ。
そして、一瞬だが、アイツの闇が見えた気がする。最初、会ったときはどこか正義感のありそうな感じだったが、現実は違った。
「・・・どこにいった」
ウェザーは僕を探している。
ちょうどこの縁側の下からなら、アイツの足に爪弾を撃ち込むことができる!
「タスク!」
僕はタスクを出すと、縁側から飛び出し、爪弾をアイツのスタンド目掛けて撃ち込んだ。
「・・・」
ウェザーは動かなかった。
大抵の人間なら、銃弾が飛んできたら普通は避けるために努力するが、ウェザーは全く動かなかった。なぜなら、
「・・・燃やせ」
ウェザーのスタンドは爪弾を燃やすことができるからだ。
僕はその瞬間を見ていた。
彼の周りにできた雲から放たれた雷によって、爪弾が灰と化したところを。
「ウェザー・リポートは進化した。ここに来て・・・格段に進化したんだ。範囲だけでなく、その威力も」
ウェザーの纏っていた雲は少しずつ、僕の方へ近づいてくる。
今だと思って爪弾を撃つが、雲に飲み込まれ、雷で燃やされてしまう。
「この濃密雲は全てを飲み込み・・・燃やし尽くす。その弾をもキレイに・・・」
「ッ!・・・スローダンサーッ!」
僕の声にスローダンサーは反応し、こっちに来るが、ウェザーのスタンドによって、濃霧を出され、行き先わからず、足取りを止めた。
「・・・もう遅い」
その言葉に前を見た。雲はそこまで近づいていた。雷の貯まった雲は、今にも雷を落としそうだった。
「・・・万策尽きたか。ジョニィ」
ウェザーがそう言った次の瞬間、
「スタープラチナッ!」
その声と共に僕の前へ現れ、雲をはらったのはこの前、ここで一輪と戦っていた男だった。
「オラッ!」
その男のスタンドの拳は、ウェザーの雲を完全に散乱させると、ウェザーに向かって走っていく。
「DIOを狙ってもう一度ここに来たが、この異常気象の犯人を見つけられた!」
「ウェザー・リポート。」
今度は、台風のときのような強風を男に向かって放ち、男の行く手を阻む。
「ッ!何だ、この風は!」
「・・・この強風なら、その拳は届かない」
「だが・・・今なら、爪弾が届くッ!」
爪弾の勢いとその形なら、風を裂き、この風の壁を貫くことができる!
僕は諦めかけていたタスクを手に乗せると、爪弾をその風のバリアに向けて、何発も撃ち込んだ。
「ぐああッ!」
ウェザーは爪弾をくらうと、その風を止める。
そして、前に突撃していった男のスタンド、スタープラチナの拳がウェザーを寺までぶっ飛ばした。
「やったのか!?」
「いや、まだだ。何か嫌な予感がするぜ」
寺までぶっ飛ばされたウェザーは、瓦礫の中から、その姿を現す。
「ヘビー・・・ウェザー・・・。お前が来たか」
ウェザーはどこか違った。さっきまでの冷静な姿は風のバリアのように消え、そこには、黒いオーラを纏った『悪』が立っていた。
ウェザーが纏った雲には虹がかけられている。
それも進化の一つなのか?
「こいつはマズイ・・・」
次の瞬間、ウェザーのスタンドの拳は前にいた男の顔面を捕らえていた。
それをまともにくらった男は仰け反り、カウンターを入れるように、スタープラチナの拳をそのスタンドに刺した。
だが、それは雲のようになり、脇腹をえぐるだけで、ダメージを与えているようには見えなかった。
「その単調な動きじゃ、俺のスタンド、ヘビーウェザーを倒すことはできないッ!」
あの無口な性格から一変、声色すら変わったウェザーは、スタープラチナもろとも、男を風と雷で圧倒する。
近づくこともできない落雷地帯と、台風のような風。
爪弾すら、今の状態じゃあ撃ち込んでも意味がない。
「えっと、すまない。こんなときに聞くのもなんだが、アンタはなんて名前だ?」
「空条 承太郎・・・。お前は?」
「僕の名はジョニィ。ジョニィ・ジョースターだ」
「!・・・気になることがあるが、今はいい。今はあの天気男を殴ることだけを考えろ」
「だな・・・」
ウェザーはこちらをジッと見ている。いつでも攻撃できるのだろうが、こちらの動きを伺っているのか、動こうともしない。
今ぶつかっていっても、その風と雷を前に、ダメージを受けて再起不能になるだけだ。
「・・・お前のそのスタンド。爪を飛ばす以外に何ができる?」
「他に、穴から爪弾で狙撃することや、自身を穴に巻き込んで、相手に近づくことも・・・できなくもない」
「?・・・できなくもない、というのは、確実ではないということか?」
「あぁ。それをするには、黄金の回転を」
「まぁ、どうでもいい。俺は・・・お前を信じて、ただアイツを殴るということを考えて突っ走るだけだ!」
「お、おい!」
承太郎はそんなことを言うと、何も聞かず、あの台風の中に突っ込んでいった。
「来るか!だが、この台風でアンタを始末する!」
石畳をも軽く浮かせて飲み込んでいく、巨大な台風と化したスタンド能力は、その中にいるウェザーを完全に守る盾となった。
「アンタの拳が届くわけがない!」
そう叫んでしまうくらいの威力だった。
「ぐ、ぐあ・・・」
鎌鼬のような風の刃を繰り出す台風は承太郎の制服に、切り傷を負わせる。そして今、雷によって、帽子が飛んでいった。
「やめろ!できるわけがない!」
「道だ・・・俺には道が見えている」
「道か・・・俺のスタンドの前でよく言えるな!逃げる道も、助かる道も、輝ける道もない!この嵐の前に力尽きるのだからな」
「・・・やれやれだぜ」
「!?」
「逃げる必要はないな・・・なぜなら、俺のスタンド、スタープラチナによってぶちのめすからだ。そして、今さっきお前は道がないと言ったな?道は自分で切り開くものだ。だよなぁ、ジョニィ!」
僕はその雷が帽子をぶっ飛ばした瞬間を逃さなかった。
「タスクッ!」
act.2となったタスクは、その爪弾の威力で、ウェザーの風のバリアに穴を開け、その穴を引き裂くように、承太郎のスタープラチナが拳をねじ込んだ!
「ぶちかますぜ!」
スタープラチナの拳連打(ラッシュ)がウェザーに決まる。
あのオラオラという連打。
もしも、こいつが人型のようなスタンドだったら、僕もあんな感じにしたい。act.4・・・そう願った。
「オラッ!」
ウェザーは台風の中から、押し出されると灯籠に勢いよくぶつかり、地面に頭を擦らせた。
たぶん意識はないだろう。
「やれやれだぜ・・・」
承太郎は帽子を拾うと、ギュッと深くかぶり、門の方へ歩っていった。
「どこへ行くんだ?」
「・・・ここにDIOはいなかった。そして、この異常気象の原因を倒した・・・。もう、ここに用はないぜ」
雨雲は去り、雨は完全に止んでいた。
承太郎はポケットに手を入れると、その場を去った。
「そうか・・・。僕はこの寺の人達を助けにいかないとな」
「ジョニィ!これはどういうことですか!?」
男の声が、寺から聞こえる。
ブラックモアだった。
「ウェザーは死んだ。残るはアンタだけだ」
「・・・いや、もう限界でェす」
ブラックモアは僕に降参と言いながら、両手をあげた。確かに彼は雨を操る。雨のないこの晴天は彼にとって敗北といってもいいだろう。
「離れの倉庫に彼女らはいます」
ブラックモアはそう言うと、すぐにそこから逃げていった。
「ジョニィさん!助けに来てくれたのですか!」
倉庫の戸を開けると、そこには手首と足首を縄で縛られた聖達、寺の者が座っていた。
「大丈夫か!」
僕はすぐに近くにあった短刀で縄を切る。
聖の弟子と思われる人達は頭をさげる。そして、聖も頭をさげた。
「あのときはごめんなさい」
縄を切り、ほどいた後の最初の言葉がそれだった。
「?・・・どういうことだ?」
「ほら、あのとき、私が無理矢理、寺から出したことです。私はこの力によって、彼らがここに来るということがわかっていました」
「全然大丈夫だ。それよりもケガはないか?」
「それなら、みんな平気だと思います」
「いや、・・・ナズが!」
部屋の奥で、一人の女が、ネズミのような耳をした女を抱きかかえて、涙を流している。
息が荒い。・・・まさか、あの二人が何かこの女にしたのか!?
「だ、だい、じょう、ぶ・・・ですよ。この、くらい・・・ッ!」
ナズと呼ばれた女を床に下ろすと、抱きかかえていた女がナズの服の腹部を捲った。
「う、何これ・・・」
ナズの腹には大きなデキモノができていた。
この状態・・・あの二人の能力ではこんなことにはならない。まさか・・・
この寺への侵入者は、ウェザー、ブラックモア以外にもいたのか!?