そう思ったジャイロは鉄球の回転をレミリアに教えることになる。
「レミリア!LESSEN5、確か、そうLESSEN5だ!」
果たして、黄金の回転を習得したレミリアは、遺体の揃った大統領を倒すことができるのか!?
※このあらすじは99%嘘でできています。
ちなみに1%はジャイロとレミリアが出てくるくらいです。
火の消された玄関先では・・・
「あっという間に玄関を包み込んでいた炎が消えましたよ!これはスクープですね!マジックや超スピードなんてチャチなもんじゃないですよ!」
文がその様子をメモに書き留める中、美鈴は入るか考えていた。
(この先で拳が交わる音が聞こえる)
美鈴はその音に興奮していた。今にも入ろうとしていた。
「美鈴さん。今は見守りましょうよ。きっと、犯人はジャイロさんが倒してくれますよ」
「ですが・・・」
「アハハ、美鈴はそんな天狗の言葉に立ち止まるの?」
かわいい声と共に玄関を突き破って、何かが入った。
二人は声でそれが誰かわかっていたが、それを止めるのは無理な話だ。もしも、止めるというのなら、命を差し出す覚悟で行かなければならない。
「・・・ヤバイですね。これ、ジャイロさん、死んだんじゃ」
「あやや、本当にマズイことになりましたね」
☆
それは突然の出来事だった。
仗助と吉良の間に入ったそれは、二人を突き飛ばした。
「ッ!何だこいつは!?」
「う・・・こいつァ、グレートにヤバイですよ」
金髪の少女。赤い服に虹色の宝石のついた羽。
それは二人に勝る強い力を持っていた。
「あなたが、爆弾魔?」
少女は吉良に近寄ると、手のひらを吉良の顔の前に向けた。
「ッ!キラークイ・・・」
「ねぇ、返事してよ」
少女は吉良の首を掴むと、吉良を浮かせた。
「そ、そうだ!私が犯人だッ!や、やめてくれ!」
少女は吉良を離した。吉良はそのまま、地面に落ちる。
「ゲホッ!ゲホッ!何だ・・・こいつは」
「ごめんね。じゃあさ、私の友達になってよ」
「はぁ?何を言って」
「なって?」
「・・・はい」
吉良はその圧に耐えきれなかった。
その少女の狂ったような破壊のオーラに。
「アハハハハハハハハッ!私のおもちゃが増えたァ!楽しませてくれるよね?みんなァ?」
その笑いは俺達の心を凍らせた。
吉良は返事をした後、全くもって声を出すことなく、少女の下に倒れた。そして、少しすると目の色を変え、こちらに何かを飛ばした。
「ジャイロさん!グレートにマズイですよ!こいつァ!あれは追尾機能付きの爆弾です!」
「コッチヲ見ローッ!」
爆弾は永遠亭で見た。あのときは妹紅によって燃やされたが、今アイツはここにいない。そして俺の鉄球じゃ無力だ。
「ここは俺に任せてください!」
仗助はマッチ箱からマッチを取り出すと、それを指で弾いた。
「ヤツは熱を探知する!今、ヤツの狙いはそのマッチだ!マッチを追いかけ、上に飛んだ瞬間、ヤツの腹に拳をぶちこむ!」
仗助の考え通り、追尾弾はマッチに向かって飛んだ。そして腹が剥き出しになる。が、
「アハハ、あのマッチ。爆発させないとね」
少女によって、マッチは粉々に破壊されてしまう。
もちろん、熱は消え、追尾弾の狙いはこちらに移る。
「他のマッチを!」
「ドカーン!」
仗助の持っていたマッチも少女の声と共に爆発してしまった。
「うぉッ!?あの女、こんなこともできんのかよ!」
「私の名前はフラン。フランドール・スカーレット」
フランと名乗った少女はまた、大きな声で笑い始める。
「さぁ、次はその変な頭を爆発させてあげる!」
「・・・テメェッ!今俺の頭のことなんつった!」
フランの言葉に、仗助はキレて我を失う。
「来るッ!・・・空気弾!」
仗助のスタンドは、吉良の放った空気弾を片手で払うと吉良を飛び越え、フランを殴った。
「へぇ~。あなたも私のおもちゃになってくれるの?」
だが、フランの顔面には届かず、フランの手のひらによって拳は受け止められた。
「俺の頭を貶すヤツは、例え少女でも許さねぇ!」
スタンドのラッシュがフランを襲うが、フランはそれを両手で全て防ぎ、仗助の後ろに回り込むと、地面に叩き落とした。
床を壊して下の部屋に落ちた仗助は、その穴から入ってくるフランを、自身の能力で床を修復して止めたが、フランは周りを壊して、仗助に攻撃する。
「仗助!」
「君の相手はこの私だ!キラークイーンッ!」
スタンドから放たれた空気弾が、俺の前で爆発する。
その威力に押し返されるが、鉄球は爆発を貫いて、スタンドの腹部を完全に仕留めた。
「そこに空気弾を放つ二人目のスタンドがいるのはわかってるぜェ。鉄球はそいつをまず倒すために撃ち込んだんだ」
「キシャァアァアアアアッ!」
「ッ!猫草がッ!」
鉄球はキラークイーンの腹に入っている植物をえぐり出す。
やはり、もう一匹スタンドがいたようだ。
「私はまだ戦える!キラークイーンッ!第三の爆弾!」
「させねぇよッ!オラァッ!」
猫草を倒した鉄球は戻ってこない。もう一つの鉄球で、ヤツの爆弾のスイッチを狙わなければならない。
第三の爆弾を発動するとき、吉良は自ら爆弾のスイッチを押す。そのため、その手を破壊すれば、押すことはできない。
「ッ!右手が!」
「当たった!」
鉄球はヤツの親指を破壊する。
「クソッ!まだ私は戦える!私は」
「もういいよ」
その声は奥の部屋から聞こえる。
俺たちがその方向へ視線を変えた瞬間、まるでボロ雑巾にでもなったような仗助が扉を破壊して、床を転がった。
「嘘・・・だろ?」
「仗助ッ!」
俺はすぐに仗助に近寄り、肩をさすった。
「ジャイロ・・・さん・・・アイツは・・・グレート・・・にヤバイですぜ・・・俺はもう」
「仗助ッ!やめろ!死ぬんじゃない!」
「フフフ、フハハハハハハハハッ!やったぞ!東方 仗助を倒した!やった!やったぞ!」
「うるさい」
高らかに笑う吉良はフランによって、仗助と同じくボロ雑巾のようになる。
「うるさいおもちゃだなぁ。・・・さぁ、次はあなた」
「やめなさい!フラン!」
女の声が、玄関に響く。
そしてその声はフランの攻撃を止めた。
「お姉さま・・・。」
部屋の壊れた扉から現れたその女はコウモリのような羽を生え、フランのような服を着ている。
フランの言葉の通り、それはレミリアだった。
「フフフ、こんなに壊して・・・また、地下に閉じ込めるべきかしら?」
フランとは違うオーラ。それはこの館の主人に相応しい、カリスマ性が溢れ出すようなオーラを放っている。
言葉にし難いそれは俺を違う意味で動けなくさせた。
「綺麗な手だなぁ」
吉良はまだ再起不能になってなかった。
吉良はレミリアの後ろに立つと、どこかから持ってきた剣でレミリアの腕を切り落とした。
「・・・やったぞ。こんなにも綺麗な手を・・・私は」
「フッ・・・それくらい全くもって痛くないわ」
レミリアの腕は次の見たときには完全に回復していた。
「はぁ?新しい、綺麗な腕ぇ」
「本当に気持ち悪い」
レミリアのその新しい腕は、吉良の鼻をへし折り、顔面のあらゆる部分を破壊した。
「この・・・このクソカスどもがぁぁぁぁぁッ!」
吉良の最後の叫びはその静寂に響くことなく、黄金の光と共に消えてしまった。
「・・・ジャイロさん。爆弾魔をここまで追い込んでくれてありがとう。でも報酬は思ってた金額よりも、減らさせてもらうわ。トドメは私でしたから」
「それよりも、仗助を治してくれないか?アンタのその治癒力なら、仗助も」
「・・・私たちは何かを破壊して生きているといってもいい生物ね。彼の能力は、この世でどんなことよりも優しいものだった。だが、生命が終わったものは・・・もう戻らない」
「ッ!・・・すまない。悪いことを言った」
「だが、この世界は何でも許すことができる。その覆らぬ定義を壊す定義も・・・ね?」
レミリアは切り落とされた手を彼の頭に乗せる。
すると、その手から流れる血は彼の体内に入っていき、逆に曲がった腕の間接や、砕かれた手の骨がだんたんと治っていくのが見てわかった。
「ちょっと、吸血鬼のような身体になっちゃうけど、仕方ないよね。それよりも、フラン!」
「うぅ、お姉さま」
「この人が起きたら、あやまりなさい。そして、後で図書館に向かいなさい。いい?」
「・・・うん!」
これで解決か。
「そうだ、ジャイロさん。報酬を渡すわ。ついて来なさい」
俺はレミリアについていくと、彼女の書斎についた。
客室も兼ねてなのか、大きなソファが二つ向い合わせで置かれていた。
「咲夜、彼に紅茶を」
「はい、お嬢様」
「・・・まぁ、ジャイロさんはそこに座って」
俺はレミリアの言う通り、ソファに座る。
「お嬢様、紅茶です。それでは・・・」
「ありがとう、咲夜」
レミリアは一口、咲夜によって注がれた紅茶を飲むと、こちらを見た。
「で、報酬のことなんだけど、あなたにだけ、特別の報酬があるわ」
レミリアは立ち上がり、書斎机の引き出しを開け、拳二つくらいの箱を持ってきた。
中には、これまで使ってきた物と同じ鉄球が二つ入っていた。