前回のあらすじ
永遠亭に来たジョニィは、そこでエンリコ・プッチに会う。
ジョニィは彼の『悪』に気づき、爪弾を撃ち込むが、逆にプッチのスタンドによって返り討ちにあってしまう。
そしてプッチは新たなる計画を練り始めていた。
「あら、どこに行ってたのですか?」
私が部屋に戻ると、幽々子様が相手の方と話していた。
その話を止めるように入ったのは悪かったな。
「トイレに」
「そう。部屋の前から気配が無くなったから、少し心配したわ。主を置いて帰っちゃったのかなって」
「そんなことしませんよ」
「わかってるわ。・・・で、プッチ。この方があなたの身体を診てくれる医者の永琳先生。どんな病でも治してくれるわ」
「そんなに言わないでよ。でもだいたいの病気なら、治してあげれるわ」
彼女の口調から、幽々子様よりも年上だろう。この人も何年生きているのかわからない。そして。この前に座る長い銀髪に、赤と青のツートンカラーの服を着た女性もだ。
「で、どこが悪いんだ?」
「・・・」
私は幽々子様にはすぐに言えたのだが、この女性には言えない。
言ってはならないと言った方が正解か。
私は死ぬ前に身体中の細胞を破壊されている。そのせいか、今も細胞が悲鳴をあげるのがわかるのだ。特に一番障害の残った部分、肺は深呼吸をすると、身体中に激痛が走るほどだ。
ここがどんなにすばらしい技術を持っていたとしても、細胞全てを治す薬など有るわけがない。
「・・・なるほどね」
何かわかったかのような返事をすると、部屋の奥に続く診察室から錠剤の入った瓶を持ってきた。
「これを一日三回、食後に飲んで、十分な睡眠を取りなさい。そして、幽々子はこの子をあまり働かせないように。そうね・・・もしも帰りに不審者とか現れても、彼ではなく、あなた自身が戦いなさい。わかった?」
「わ、わかったわ。」
幽々子様は大きく頷いた。
☆
「アイツので来ていたのか・・・」
僕と優曇華は隣の部屋から、話を盗み聞きしていた。
僕はあの幽々子という女の方で来ているのだと思っていたが、プッチの方で来ていたというのを知ると、罪悪感が生まれてきた。
「それでもあのスタンド、僕の爪弾を軽々と弾いたぞ。そんなことができるのか?」
「・・・ジョニィさん。やっぱり彼は良い人なんじゃないですか?」
「いや、彼はどこか悪いことを考えている。絶対に・・・頭のどこかで」
優曇華は暖かいお茶を湯飲みに注ぐ。
今着ている服を着るとき、彼女が手伝ってくれた。何しろ、僕はこのような東洋文化な服を着たことがなく、それに下半身が不自由のため、誰かに手伝ってもらわないと無理だ。
地霊殿にいたときは、なぜかさとりが僕の着ているような服を二着持っていた。そして怖いことに、なぜかジャイロの服もあった。
「そう言えば、左腕は大丈夫ですか?薬の副作用というか、逆に腫れてたりしませんか?」
「あぁ。そのことならもう大丈夫だ」
そのとき、横の部屋で障子の開いた音と足音が聞こえてきた。どうやら、二人は帰ったらしい。
「!・・・スローダンサーは!?」
「あの馬ですか?あの馬ならたぶん敷地内にいると思います。私と同じ、師匠の弟子のうさぎに頼みましたので」
「・・・ならいいんだが」
僕は安心して、お茶を一口飲んだ。
そこには茶柱が一本立っていた。
☆
「はぁ・・・はぁ・・・」
「大丈夫ですか?・・・あの人の前で我慢しなくてもいいのですよ?医者なんですから、正直に答えないと医者にも迷惑です」
「・・・すまない」
少し歩いただけでこれだ。肺は急にスタンドを出したことで悪化している。
「早く帰って、ご飯を食べましょう。それで薬を飲んで」
「・・・すまない」
幽々子様の言葉に対して、謝ることしかできなかった。
今の私を見たら、DIOは笑うだろう。
『どうした、プッチ。お前はその程度の男なのか?』
そんなことを言いそうだ。
「それにしても、その人大変そうだね」
案内人のウサギが心配する。
・・・ウサギにすら心配されるとは思わなかった。
「まぁ、師匠の薬は万病に効く薬ウサ。心配しなくても、ちゃんと飲んでいればちゃんと治るウサ」
「えぇ。ちゃんと飲んでいればね。・・・わかりましたか?プッチ」
「・・・はい」
私は死んだ直後、空間に送られた。
そこにはDIOやDIOの仲間が色々と話していた。他にも違うチームの人間が集まっていた。
そこに、上からある女性に命令された。
『これから幻想郷というこの世界とは違う世界で、異変というなの革命を起こそうと思っている。そこで私に力を貸してくれないか?』
プライドのあるDIOはそれに、
「何をいっているのか私にはわからない」
と、拒否した。
「なら、もしもこの案に乗ると言うのなら、生き返らせてやろう。そして、この依頼を達成し、見事、革命が成功したなら、君たちの願いを一つ叶えてやろうじゃないか。倒された者への復讐でも、不老不死でも、金銀財宝でも何でもいい」
「・・・よかろう。」
DIOはそう言い、立ち上がる。他の人間も立ち上がり、上のものに従うものはそれに着いていくように立ち上がった。
「どうしたんだい?プッチ」
「君も願いがあるだろう?天国に行きたいという願いが」
「・・・あぁ、そうだな」
私はそこで立ち上がってしまった。
しかし、状況は変わった。
最初は私自身が天国に行くというのを願い事にした。だが、今はDIOの復活に変わったんだ。
DIOが死んだというのを新聞で見たときは、哀れみと共に悲しみが生まれた。
そこで私は考えた。もしも、DIOなら復活しても、新たな力に目覚め、私たちを助けてくれるかもしれない、と。
「DIO・・・」
「ん?どうかしたウサ?」
思わず声が出てしまったようだ。
「また調子悪いなら、戻るけど」
「すまない、大丈夫だ」
「まぁ、もう出口だし、あとは帰るだけウサ」
ウサギは手を振ると、竹林の中に消えていってしまった。
☆
「ジョニィさん」
「ん?どうした?」
僕が馬に乗ろうとすると、優曇華に止められた。
「今日は泊まっていってください。服もまだ乾いてないですし、ここらへんは泊まる宿もないですから」
「・・・わかった、泊まることにするよ。それと何だが、新聞とかないか?ちょっと前の新聞とか」
「あ、それなら昨日、姫様が燃やしちゃいまして・・・今日のならありますけど」
姫様?この家の主人はあの医者じゃないのか?
「今日ので大丈夫だ」
「じゃあ、新聞取ってきますね」
優曇華は立ち上がり、部屋から出ていく。
そして、それと入れ替わりで誰かが部屋の障子を開けた。
黒髪を足まで伸ばした女。東洋の十二単のような着物を纏ったその女はまさしく、姫と言っても・・・
「あれ?優曇華見なかった?」
違った。姫としての美しさは全くない。寝癖だらけの髪に、知らぬ人の前で腹をかくその姿は姫と言うにはほど遠い存在だった。
「優曇華なら、新聞を取りに・・・で、あなたはいったい」
「あ、病人?私は蓬莱山 輝夜。この屋敷の主よ」
「・・・はぁ!?」
思っていた姫とは違う。
戯言はいくらでも着くことができる。そんなわけがない。
姫ってのはこう、綺麗な美しさのあり、その・・・
「姫様!人前にそんなだらしない格好で!」
新聞を取って、部屋に帰ってきた優曇華に怒られた。今確かにこの女を「姫様」と呼んだよな・・・
「・・・幻滅したかしらね。そうよ、私が優曇華の言う姫よ。ほらほら、現実と違って幻滅しなさいよ!」
この憎たらしい女はあの男との戦いを忘れるくらい、僕をイラつかせた。
もしも、敵としてレースでいたなら、爪弾を何発も撃っていただろう。
しかし、優曇華の話だと味方。撃ち込んでケガなどさせたら、この屋敷全体と敵対関係を結ぶということになる。ジャイロにも迷惑をかけるに違いない。
「ッ!・・・すまない、失礼だったな」
☆
「ただいま~。妖夢~」
「ゆ、幽々子様ぁ~!」
屋敷の奥から飛んでいくように幽々子達の方へ行った妖夢は幽々子に抱きつくと、赤子のように泣き出してしまった。
「もう、妖夢ったら。それじゃあ強くなれませんよ」
「うぅ、ごべんばざいぃ。白玉楼がぁ~白玉楼がぁ~」
幽々子はそれを聞き、妖夢から白玉楼へ目線を変える。
幽々子の見た画には、穴だらけの白玉楼があった。
俺はその光景を見ていたからどうしてこうなったのかわかるが、普通の人間ならまず理解できない。
「・・・妖夢。どうしてこんなことになってるの?」
「じ、侵入者にやられまじたぁ~。ごべんばざいぃ。うぅ・・・。」
妖夢はその日、日が昇るまで幽々子に怒られた。そして次の日から白玉楼は数日間、工事のために入れなくなってしまったという・・・。