もちろん、家族や友達にはこの小説を投稿しているのさえも秘密にしているため、Twitterを始めたことを話してませんがね。
そのせいか、全く話す相手がいない。そして使い方がわからない。
そのせいか「このボタンは何?」という状況が続いてます。
俺のアカウントを教えたくても、何を教えれば見つけることができるのか。
とりあえず駿我という名前のジャイロの口がアイコンのアカウントをフォローでもしてください。
今回もあらすじはなかった・・・。
この前の事件の結果、人里の警備の人間から報酬としてこっちの金を少し貰うことができた。
この金は小傘に渡してくれ、と言ったが小傘が
「ジャイロさんの助言もあってのことでしたし」
と言ったため、俺も貰うことになった。病気以外なら何でも貰う・・・なんてこと言ったがこれはどうだが・・・。
「・・・あそこのうなぎ?ってのでも食うか」
いい感じに、店があったため、そこで金を使うことにした。昼間と夜遅くにやっているらしい。
ここに来てから、何度もあの店を見ているが、何かしらの事件に巻き込まれるため食べる機会がなかった。
「幽々子様は私よりもあの天国、天国言ってるやつの方がいいんだよ、どうせ、力だよねー。ち、か、ら!」
「妖夢さんも良い剣術の腕を持ってるじゃないですか!それに炊事や洗濯なら勝てませんって」
「それがアイツ、そう言った家事も余裕でこなすの!何て言うか、彼の幽霊が手伝ってるって感じ?二人で仕事をこなす的な?」
店内から女二人の声が聞こえる。
俺は理解した。この声はあの幽霊がたくさんいる屋敷にいた庭師の妖夢か。
そしてアイツというのはプッチのことだろう。
「お、いらっしゃい」
俺は思いきって暖簾をくぐった。そしてカウンター席の妖夢の横、一つとばして座る。
「・・・妖夢さん、ちょっと静かにして貰ってもいいですか?他の客に迷惑だから」
「いいよ~全然」
妖夢の前には酒の入っていた瓶が何本か置いてある。相当飲んでいるのが見てわかった。
そして妖夢は俺に気づくと、すぐに席をつめた。
「聞いてくださいよ、ジャイロさんッ!あのボウズ頭がね~!」
「・・・店主、うなぎをくれ。あの暖簾に書いてあった」
俺はピンク色の髪をした女店主にうなぎを頼む。
「了解。・・・そういや、この人と知り合いですか?」
「知り合いだよ~。前に助けてもらったのね、アイツに襲われてるところを」
襲われたと聞き、店主はすぐに振り返った。
「襲われたって?大丈夫ですか!?」
「あー、大丈夫大丈夫。ちょっと、後頭部ぶつけたくらい」
それにしても、本当に酒臭い。こんなに飲んで大丈夫なのだろうか?これでも、あの家に仕えているものなのだろう。
「アイツに剣かまえたらさ~、変な幽霊出してきてさ。それで畳ごと天井にぶつけられてさ~、ヒック。もう痛いったらありゃしない・・・ちょっと、ジャイロさん!さっきから黙って、何とか言ってくださいよ!」
本当に酒癖の悪いやつだ。
今度は俺の頭を帽子の上から撫でてきやがった。もしも、頭のことを何か言われるとキレる図書館のアイツにこんなことしたら、こいつ殺されるな。
「はい、うな重一つ!ついでにビールも付けましたよ!」
気前の良い店主は俺の前にうな重とビールを置く。ビールはサービスとして、うなぎというのはこんなものなのか?
「あれ?ジャイロさん、もしかして・・・うなぎ食べたことないんですか?うまいですよ、幽々子様なんて、すぐに食べちゃうんですから」
「本当に困りましたよ。ものの数分で仕入れた分、全てたいらげちゃったんですから。まぁ、それなりの代金は払って貰ったので良かったのですが」
俺は恐る恐る一口運んだ。
「う、うまいじゃねぇか!これッ!ここ最近の食事の中で一番うまい!」
旅の間はあまりウマイものが食えないことがあった。街に行ったときはジョニィとウマイものを食うこともあったが、これはそれぐらいに匹敵するものだった。
俺はその美味しさのあまり、思わず立ち上がってしまった。
「そんな美味しかったですか!?あ、ありがとうございます!」
店主も思わず、お礼を言ってしまうくらいだった。
俺は箸を止めることがなく、ペロリとたいらげてしまった。
「店主!おかわりだ!もう一杯くれッ!これはウマイッ!」
「はいよッ!それとあまり店主って言わないでくださいよ、私の名前はミスティア・ローレライっていいます」
「そうだよ、みすちーって呼んであげて!」
「みすちーか。みすちー、おかわり」
「・・・はいよ!」
あれから数分後、二杯目を食べ終えた俺は寝てしまった妖夢を起こそうとしていた。
「・・・もう閉店時間だよな」
「はい。またいつでもやってますので・・・。あの、できたら、妖夢さんを連れてってくれませんか?今日の分の妖夢さんが飲んだ分は後で払ってもらえばいいので」
俺は少し考えたあと、勘定の皿に報酬でもらった分、全てを出した。
「これでこいつのも払えないか?」
「・・・ギリギリ足りてますね。いいんですか?」
「こいつが起きたら、貰うからいいさ。つりはいらないぜ。」
俺は出入り口の戸を開けると、みすちーの顔を見て、
「ごちそうさまでした。また金が入ったら来るぜ!」
と言い、外に出た。
「あ、ありがとうございました!」
みすちーの綺麗な声が外にまで伝わっていた。
・・・さて、こいつをどうするか。スースーと寝息をたてながら寝ているこいつを起こすのもどうかと思うし、ここから白玉楼まで送るのは容易いことだ。(あの急な階段以外はな)
俺は馬に妖夢を乗せると、馬を歩かせた。もちろん、俺は乗っていない。
「・・・あれ?ここは?」
「やっと起きたか」
「ジャイロさん?これは・・・」
「とりあえずお前はそこに乗ってろ」
あまり俺は女を馬に乗せたくないんだがな。
なぜなら、勝利の女神が逃げちまうからだ。そして女神が嫉妬しちまう。
・・・まぁこんなときくらいは許してくれ。
ここから白玉楼までは近く、案外遠くはなかった。
馬を走らせて・・・だいたい5分か?今の速度だと、20分はかかりそうだけどな。
「ごめんなさい」
「?」
一人言か?何かあやまっている・・・。
「幽々子様・・・ごめんなさい・・・
☆
妖夢が見ていた夢の話。
これは妖夢が幽々子に仕え始める数年前の話。
まだ若く、妖夢の師匠であり、爺である妖忌から剣術を教わっていた頃の話だ。
妖夢は家事の一つとして、幽々子の茶碗を洗っていたとき、目の前を通った幽霊に驚き、茶碗を割ってしまったことがある。
妖夢は幽々子に言わず、隠そうとした。
だが、そこを妖忌に見つかり、妖夢は何十分も怒られたあげく、何週間も連続で修行をすることになったのだ。
「妖夢、形あるものいつかは壊れる。だが、その真実を隠してはならない。壊れたことで幽々子様は悲しむだろう」
「・・・」
妖夢の目からは今にも涙がこぼれそうだった。
妖忌はそれを見ると、懐から取り出した財布からお金を渡した。
「今日の修行はこれで幽々子様のお茶碗を買ってきなさい。もちろん、一人でな。そして頭を下げてあやまりなさい」
妖夢は涙を拭くと、すぐに白玉楼から出た。
「・・・本当にそれでいいのかしら?」
幽々子は最初から、これを見ていた。
「何が言いたいのですか?」
「その修行は甘えになるのではないのかしら?失敗したら、誰かが助けてくれる・・・という」
「・・・孫を持ってみるとわかりますよ。この気持ちが」
「・・・難しいことを言うわね」
妖忌は割れた茶碗を持つと、全ての破片の裏側を見せた。
そこには『ごめんなさい』と書かれていた。
幽々子はそれを見ると、その破片を箱の中に入れて、部屋まで持っていった。
☆
「着いたぞ」
俺は馬の背中の上で寝たままの妖夢を持ち上げると、白玉楼の扉を開ける。
今日、白玉楼には誰もいないらしく、そのため、一人残された妖夢は酒を飲みに、あのみすちーの店に行ったのだろう。
俺は妖夢を真正面に見える部屋の畳の上に置いた。
「ふぇ・・・あ、ありがとうございます」
妖夢は起きたのか、縁側に座って靴を履いていた俺に礼を言う。
「それよりも、何か空気がおかしくないか?」
俺はそんなことよりも、この空気の重さにどこか違和感を得た。この宙を舞う幽霊なんかのことではない。
それ以上の何かがこちらに向かってきている。
俺がその違和感に対抗するように鉄球を握った次の瞬間だった。
ガオンッ!
その何かは俺の横を過ぎ、聞いたことのない音を出して壁に大穴を開けた。
次もジャイロの回じゃないかな。
まぁ次の敵は・・・あの可愛い名前とは真逆の性格をした男ですよ。