医者に行ったところ、その部分の爪を切らなければならないと言われ、爪を切ることになり、痛み止めの麻酔を注射をすることに・・・
思ってたよりも痛く、思わず叫んでしまいました。
三年前の骨折以来の痛み・・・。ひさしぶりに痛い思いをしました。
地霊殿の夜中・・・
「やっほー。こいしだよ」
「うぉ?何だ何だ?」
暗闇に一人、僕の前に現れたこいしを名乗る少女は床に座り込む僕の周りをグルグルと走り始める。
「今日は一日、私を探してたんだよね。眠そうなお空から聞いたよ。でも、探しが甘かったね」
「甘い?」
「うん、お空が作る卵焼きくらいに」
お空が作る卵焼き、というのもとても想像し難いものだが、なんとなくはわかった。
「今日はね、アリスの家にいってたんだ。でも、いなかったから、ずっと人里で遊んでた」
「・・・アリスの家なんてあったか?ここに」
「アリスの家は地底にはないよ」
僕たちが話していると、部屋の扉が開いた。
そこには息がきれたさとりが立っていた。
「こいしッ!」
「・・・じゃ、明日は地底のどこかにいると思うから~」
こいしはそう言うと、部屋から消えてしまう。
瞬間移動か?
「ジョニィ・・・さん。あなたの前にこいしは現れるのでしょう?」
今にも泣きそうなのか声が震えている。
何があってこんなことになってしまったのか、聞きたかったが、さとりはこれ以上、口を開きそうにない。
「明日もあなたに時間をあげるわ。だから、お空とこいしを探して見つけてきて。こいしに・・・こいしに謝りたいの」
「あぁ、言われなくてもそうするつもりさ。これ以上、悲しい顔を見るのは、嫌だ」
「そう・・・頼むわ・・・おやすみなさい」
さとりは部屋から出ていく。
さとりはそのときに何かを落とした。・・・二人が写った写真だった。
二人とも眩しいほどに笑っていた。
次の日、
「また今日も、さとり様は・・・」
「あぁ、わかってる。今日は頼まれ事があってね。お空、行こう。」
「うにゅ?今日も遊びに行くの?」
お空はまだ食事をしていた。
今日の朝、お空が作ったと思われる卵焼きが出たが、確かに甘い。
「いや、こいしを探しに行く」
「!?・・・わかった。さとり様のためだもんね」
僕はすぐに館から出ると、スローダンサーに乗り、館の前でお空を待つ。
お空はご飯を丸め、おにぎりにするとそれを片手に館から出た。
「私は上から探す。だから、」
「わかった。家のなかとかなら、任せろ!」
俺はスローダンサーを走らせ、お空は上から人里の空を飛んでこいしを探した。
こいしの姿はわかっている。だが、彼女がその姿をしているとは限らない。
だが、希望は捨ててはいけない。
迷いはもうない。
「ジョニィッ!今曲がり角で!」
お空の声が空から降る。それを聞くと、すぐに曲がり角を曲がった。
その先には見覚えのある顔があった。
「ウルムド・アブドゥル・・・。なんで、アンタが」
レースにラクダで参加し、一日目でリタイアした男。
だが、あのときとどこかが違う。
「ウルムド?そいつは誰だ?私はモハメド・アブドゥルだ」
「・・・人違いか?すまない、」
「かまわんよ。ただ、こんな平和な村で何を急いでいたんだ?」
さっきまで飛んでいたはずのお空は僕の近くには降りると、その人の顔をジロジロ見る。
「あ、この人は占い師のおっさんだよ。最近、この人里に来て占い師の仕事をしてるんだ」
「よく知ってるな。知り合い?」
「いや、さとり様から聞いただけ」
アブドゥルは服のポケットから、カードを取り出す。
どうやら、今から占いでもするみたいだが・・・
「今は急いでいるんだ。占いは後でしてくれ」
「急いでましたか」
「ねぇ!アブドゥルさん!今日はあの炎の手品やらないの?」
「本当に話を聞いたってだけなのかな?・・・まぁ、やってあげましょう」
アブドゥルはカードを箱の中にしまう。そして、
「マジシャンズ・レッド!」
と声を放った。
さっきまで、静かで優しい顔をしていた占い師が大きな声を放つ。
すると、目の前に赤い鳥が現れた。鳥というよりは鳥人か?
「私のスタンドは炎のスタンド。このスタンドで炎を操ることができる」
「スタンド!アンタもスタンドが使えるのか?」
「も、ということは君もか」
俺はそれを聞き、タスク(act1)を出す。
「おお、これはまた可愛らしいスタンドだな」
アブドゥルは俺のタスクを撫でる。
すると、なぜか彼の手のひらに切り傷のような跡ができた。
「綺麗な花にもトゲがある。そういうことか?」
「すまない、こっちに来てから力が制御できなくて」
「で、思い出したのだが、君たちは誰かを探していたのではないのか?」
「そうだよ!ジョニィ!こんなところで話してる暇なんてないよ!」
手のひら返し。最初に足を止めさせたのはお空だろう・・・。
「ハハハ。人探しなら任せてくれ。このスタンドの炎は生命をも感じとり、人を探すことも可能だろう」
アブドゥルのスタンド、マジシャンズ・レッドは口から炎を吐く。その炎は六方向を差すような形になり、目の前で浮遊している。
「君たちが探しているのは・・・予想だが、あの館の主人の妹だろう?」
マジシャンズ・レッドの炎はこいしの姿を作り出すと、その浮遊した六方向を差す炎に合体する。
炎は北の方角と東の方角を差す。つまりは・・・北東の方向を差しているのだろう。
「この方向にいるのか?」
「たぶんな・・・。絶対とは言い難いだろう」
「いるよ!絶対!アブドゥルさんが言うんだもん!」
「ハハ・・・照れますな。でも、信じることは大事ですよ」
アブドゥルは炎をお空に渡す。
「君も炎を操ると聞いた。君ならこれを使えるはずだ。私は次の里へ行かないとな・・・」
僕たちとは反対を向くと、橋を渡っていなくなってしまった。
そのあと、お空が彼と会うことはなかったという・・・。
☆
夕方になり、私はジョニィとお空の帰りを玄関で待つ。
見ていた小説は最終章に入り、終わろうとしていた。
「さとり様。ここにいると、風邪をひきますよ」
心配してお燐がやってきた。
(さとり様、ジョニィさんに試練を与えるとか言っても、やっぱり心配なんだろうな)
お燐の考えていることはいつも筒抜けだ。お空よりも考えていることがわかりやすい。
「・・・わかったわ。そろそろ、夕飯の準備でも」
さとり様ーッ!
お空の声。
振り返ると、ジョニィとお空、そして・・・
ジョニィの後ろにはこいしが座っていた。こいしは笑顔で手を振っている。
「こいし!」
私はこいしを見ると、無意識に足が動いていた。
そして、馬から降りたこいしを抱き締めた。
「ごめんね、お姉ちゃん」
「私こそごめんなさい。あんなこと言っちゃって」
私はいつのまにか泣いていた。
これまでこいしが出ていって数日が経ったというのはよくあったが、なぜか今回だけは泣いてしまった。
僕は泣いているさとりを見た。
「ジョニィさん、本当にありがとうございます。さとり様があんなに涙を流すなんて」
お燐は俺に礼をする。
「いや、礼はお空と里にいた占い師に言ってくれ」
「占い師?」
「あのアブドゥルっていう・・・?」
お燐は全くもって知らないようだ。
お空はさとりから話を聞いたと言ったが、お燐は聞かされてないのだろうか。
「アブドゥルさんはもうこの世にはいない人だわ」
僕の話を聞いていたのか、さとりがこいしと手を繋いでやってきた。
「どういうことだ?・・・つまりは僕たちは幽霊と話していたのか?」
「そういうことになるわね・・・」
「あんなくっきりと形が見えるのか?」
「この世界ならあり得なくもないわね」
つまり、あの人は死んでいて、それでもなお、スタンドを使って僕たちを助けたのか・・・
そういえば・・・
「・・・ンドゥールってやつを知ってるか?」
「知ってるけど・・・何でかしら?」
前々から引っ掛かりがあった。
まるで、僕の行くべき道を塞ぐように、敵が現れ、僕を試してくる。
そう思っても仕方がない。
「古明地 さとり。君は僕を試しているのか?」