夢幻航路   作:旭日提督

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今回は主に対リサージェント級戦になります。


第六六話 激突、サファイア宙域戦線(Ⅱ)/博麗幻想郷(Ⅲ)

 

 ―――夢を、見る。

 

 

 夜空には月が照り、夜の闇を色取り取りな弾幕が飾る。

 

 月を背に、二人の少女が舞い踊る。

 

 白黒と紅白―――二人の少女は競い合うように、鮮やかな弾幕(はなび)を打ち上げる。白黒の少女は星の弾幕、紅白の少女は光の弾と御札を以て、夜空を明るく染め上げていく。二人の周りを弾幕が包み、少女達はそのなかを踊るかのように舞い、弾を躱しながらも尚弾幕(はなび)を放つ。

 

 夜空が光で染め上げられ、二人だけの世界を切り取っていく。絶えず輝く弾幕(はなび)によって視界は白く、白く染め上げられる。気付いたときには、もう二人の姿は見えなくなっていた。

 

 

 視界はそこで、一度暗転する。

 

 

 ―――目を開くと、そこは一面の黒い空・・・

 

 黒い黒い雨雲から、大粒の雨が溢れ落ちる。それはまるで涙のよう。

 

 ―――遠くに、二人の少女の姿を幻視する。

 

 あれは・・・ついさっきまで弾幕を打ち上げていた二人だった。

 

 白黒の少女は力無く木の根元に身を預け、向かい合う紅白の少女に向けて言葉を紡ぐ。

 

 彼女が何を言ったのかは聞き取れない。だが、その言葉は紅白の少女にとっては相当に堪えるものだったらしく、彼女は白黒の少女が言葉を紡ぎ終えると同時に泣き崩れる。

 

 白黒の少女はそんな彼女を案じてか、泣き崩れる紅白の少女をそっと抱きしめ、耳元でなにかを囁く。

 

 同時に、白黒の少女の身体は金色の粒子となって消失を始める。

 それでも尚、白黒の少女は紅白の少女を抱きしめ続けた。

 

 彼女の身体はついに空へと還り、紅白の少女は縋るように身体の身体だった金色の粒子に手を伸ばす。だが粒子は容易に彼女の手をすり抜けて、空へと拡散していった。

 

 ―――慟哭が、響く。

 

 残された紅白の少女は天を仰ぎ、大粒の涙を流す。

 

 絶望と悲嘆に満ちたその姿は、見ているだけで痛々しい。

 

 私は思わず、彼女の元へ駆け出した。だってあれは、私の■■■■なのだから―――/その必要はない。アレはもう過ぎた事だ。

 

 少女の姿はいつの間にか闇に溶け、気付いたときには既に見えなくなっていた。

 

 ぐらん、と地面が揺れる。

 

 突然の揺れで、私の身体は(そら)へと放り出される。

 

 そこで再び、視界が暗転した。

 

 

 ―――気付いたときには、私は宙に浮かんでいた。

 

 眼下の景色は、酷い有様。

 

 紅い空には醜悪な黒い塊が我が物顔で飛び回り、彼等が飛翔する度に地面が剥がされていく。

 

 ―――幻想の楽園も、根を差す大地が砕けては惑星(ほし)と運命を共にする他ないということだろう。

 

 

「―――醜いものですわ。人と妖の理に因らず幻想が滅びる様は」

 

 唐突に、声が響く。

 

 ―――貴女は、誰だ?/―――オマエは八雲、ではないな・・・。

 

「このような結末は、有ってはならない。奈落へのレールは、敷き直さなければならない―――お分かりですね?」

 

 こいつは、何を言っているんだ・・・?/―――ああ、また"仕事"か。

 

「楽園の行く末は、人と妖の理によって定められるべきもの。そこに部外者が介入するなど許されない」

 

 先程から響く女の声は、全く要領の得ない話を続ける/―――結局私は、文字通り永遠の巫女という訳か・・・

 

 ―――気がつくと、目の前には少女の姿をしたナニカが立っていた。

 

「―――そういう訳だ。少しばかり主導権を返させて貰うぞ、紛い物の人形」

 

 ボロボロになった紅白の巫女服を纏ったソレ―――私と同じ貌をしたソレが、私の頭蓋に向かって手を伸ばす。

 

「それで宜しい、永遠の巫女。その責務、存分に果たされますよう―――」

 

 視界が彼女の掌に覆われ、視界が闇に染まっていく。

 

 

 最後に見た少女の顔は、ひどく寂しそうだった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う―――っ・・・」

 

 ―――目が覚める。

 

 瞼を開き、視界が顕になっていく。

 

 どうやらここは、寝る前と同じ、医務室のようだ。

 

「あら、起きたんですか、霊沙さん」

 

「っ―――ああ、藪医者か。最悪な目覚めだよ」

 

「藪医者とは、相変わらず失礼な人ですね。―――まぁ、否定は出来ないんですけどね」

 

 あのマッド女医―――シオンは特に私のことを気にする訳でもなく、目元の書類に視線を落としている。

 

 

 ドォォォン・・・

 

 

 ―――唐突に、衝撃が襲ってきた。

 

 艦内が揺さぶられ、私もバランスを崩しかける。

 

「―――今のは?」

 

「ああ、敵の主力艦隊と交戦中ですからね。時々揺れますよ。さっきの揺れと比べれば大分マシな方です」

 

「は、戦闘―――!?クソッ、私が寝ている間に・・・」

 

 シオンが溢した戦闘という言葉に反応して、私は思わず飛び起きる。敵の主力艦隊ということは、あの巨大戦艦も敵の戦列に居るのかもしれない。アレが居るというのなら、戦力は一機でも多い方がいいに決まっている。―――こんな処でくたばっていては、務めを果たすことが叶わない。

 

「あ―――どこに行く気ですか!」

 

「チッ、藪医者に構ってる暇はないんだよ。礼だけは言っておくぞ。世話になった」

 

「ば、馬鹿ですか!?そんなボロボロの身体で行ったって―――」

 

 シオンが言葉を言い切るまえに、私はベッドから飛び起きて、医務室から逃げ出すように駆け出した。

 

 ―――確か、あの機体は前の戦闘でお釈迦になっていたんだっけ。・・・あのマッドに集れば余っている機体の一つや二つはあるだろう。

 

 私は靄のようにあやふやな記録から、これからの行動に必要な情報を思い出す。

 あのマッド共なら、実験機の一つや二つ、倉庫の肥やしにでもしているだろう。使えそうな機体を拝借すれば問題ない。

 

 

 ―――気がつくと、マッド共の実験機が置かれる格納庫の前まで来ていた。

 

 私は躊躇わずに扉を開き、格納庫の中を見回した。

 

「第一班は機材を片付けておけ!それと試作品もね!戦闘の衝撃で倒れたりでもしたら目も当てられない!第二班は直ちに被弾箇所のダメージコントロールの指揮を取れ!」

 

「ハッ!」

 

「了解です!」

 

 戦闘の真っ只中ということもあってか、格納庫のなかでは整備班長のにとりが部下達に指示を下していた。

 

 格納庫の中を見渡して適当に使えそうな機体を見繕った私は、その機体に向かって駆け出す。

 

「第三班は次の指示に備えて待機―――っておい!あんた、何してるんだ!?」

 

「っと!やべっ、見付かったか―――!」

 

「・・・あんた、よく見たら霊沙じゃないか!寝てる筈じゃあなかったのかい!?」

 

「ああ、元気になったんで出てきただけだ!それに戦闘だって聞いたら黙って寝てる訳にはいかないだろ。悪いけどこの機体、借りてくよ」

 

「ば、馬鹿!その機体はまだ調整中―――」

 

 にとりの奴が気付く前に、私は格納庫にあった黒い人形機動兵器に向かっていた。アイツが気付いたときには私はもう搭乗用のリフトにいたので、もうこの距離なら追い付けまい。

 アイツがなにか叫んでいた頃には、既に操縦席に身を滑らせていた。

 

「えっと・・・コイツ、どう動かすんだ?こうか?」

 

 ―――ただ、初めて乗り込む機体だっただけに、肝心の操縦法が分からない。何とも間抜けな話だ。

 以前乗っていたYF-21の操縦法を思い出して、ぶっつけ本番でなんとかしてみる。

 

 以前の機体を参考にして適当に機械を弄っていたら機動に成功したようで、操縦席内のモニターに次々と光が灯っていく。

 

「えぬ、だぶりゅーじー・・・なんだこれ、機体の型式か?まぁどうでもいい。問題は使えるかどうかだが―――」

 

 私は以前の機体でやっていた操作を思い出して、この機体の状態を確認する。どうやら機体自体は問題なく飛ばせるらしく、武装はカタパルトに入ってから選択したものが出てくる仕様になっているらしい。―――そもそも選べる武器がミサイルかリニアガンしかないんだが。

 とりあえず武装は両手にミサイルランチャーを一基ずつで良いだろう。ぶっ壊す対象はあの巨大艦だし。

 

「ばんがーど・おーばーど・ぶーすと―――ああ、要はブースターってやつか。丁度いい。こいつも装備しておこう」

 

 適当に機体のオプションを漁っていると、専用のブースターらしきものもあったので、ついでとばかりに装備を選択しておく。

 

 気がつくと、自動で機体はカタパルトの位置まで移動していて、格納庫に繋がる扉は既に閉ざされていた。

 

《N-WGIX/v 発進シークエンスニ移行シマス》

 

 機械的なガイド音声が響くと、自動で機体が稼働し、両手は事前に選択された武装を受け取る。背中にも、ガチャリとブースターが接続されたみたいで、モニターの機体情報が更新されていた。

 

 カタパルトに誘導灯が点り、ハッチが開く。準備は万端のようだ。

 

「・・・これでいいみたいだな。よし、それじゃ発進―――」

 

 私は思いっきり加速レバーを引いて、カタパルトから機体を発進させる。同時にVFのときは感じなかった猛烈な重力が、いきなり牙を剥いて襲いかかってきた。

 

 ―――な、なんだ・・・この重力―――っ!

 

 突然の重力で思わず意識を失いかけるが、そこは私、なんとか耐え抜いて見せた。ブースターは全力で加速を続けているらしく、未だにこのきつい重力は改善される見込みがない。

 

「っ―――と、あれ・・・だな・・・!」

 

 機体のセンサーが、一隻の戦艦の姿を捉えた。

 

 ―――間違いない。あの時にいた敵の巨大戦艦だ。

 

 敵の巨大戦艦の周りでは既に戦闘が始まっているらしく、時折火花が咲いては散っていく。既に味方の部隊が展開しているらしい。

 

 私は機体の進行方向をあの巨大戦艦にセットする。

 

 

 黒い機体は一直線に、白亜の巨艦目掛けて突撃する。

 

 ~『紅き鋼鉄』旗艦〈開陽〉艦橋~

 

 

 刻は霊沙が実験機を駆って飛び出す数刻前~

 

「敵巨大戦艦を正面に捉えました!」

 

「作戦通りに行くわよ。対艦攻撃隊、発進!」

 

 旋回を終えて敵の巨大戦艦―――リサージェント級を正面に捉えた〈開陽〉は、事前の作戦に従って対艦ミサイルを装備したジムを全て発進させる。

 〈開陽〉に追随する2隻の巡洋戦艦、〈オリオン〉〈レナウン〉からもジムの部隊が吐き出され、〈開陽〉から発進した部隊と合流した。

 

「"下駄"の射出はまだ?」

 

「ハッ・・・只今射出開始しました!」

 

 ジムの部隊に続いて発進したのは、2基のロケットを横に繋いだ無骨なブースターユニットだ。ベースジャバーという名前らしいが、コードネームである"下駄"の方が呼び方としては広まっている。急造なので一発でも被弾すれば大爆発を起こすほど脆いが、その分速さはある。

 

 先に発進したジムの部隊は"下駄"に乗り込み、腕に内臓されたサブアームで剥き出しのグリップを掴む。

 上下に一機ずつジムを載せた"下駄"から加速を始め、リサージェント級に向かって突撃を開始した。

 

《こちらカーゴイル1、全機配置についた。これより作戦を開始する》

 

「了解した。健闘を祈る」

 

 攻撃隊を指揮する(といっても大半は無人機だけど)ガーゴイル1、マークさんから通信が届く。発進した攻撃隊は、既に全機が加速を始めていた。

 ちなみにマークさんの機体だけ蒼い新型になっているが、これは彼が土壇場でマッドから新型機を掠め取ったためらしい。確か―――ペイルライダーとかいう名前だったかしら。

 

 敵戦艦に向かう3隻の戦艦に先行して、50機あまりの凶悪な対艦ミサイルを携えたジムの群が敵艦に殺到していく。

 

「敵艦より、小型のエネルギー反応多数の展開を確認。直掩機と思われます」

 

「やっぱり居たか―――艦載機隊の大半を別働隊の護衛に回したのは不味かったかな・・・どう?こっちの攻撃隊は突破できそう?」

 

「はい―――ブースターがあるので強引に防空網を破ることは可能かと思われます。ただしジム部隊は対空装備がないので、攻撃を受けたら逃げ回るしか手がありません」

 

「チャンスは一度だけ、か・・・上手くやってくれるといいんだけど―――」

 

 突撃を続けるジム部隊を遮るように、敵の円盤形航空機が壁を作る。"下駄"を履いたままのジム部隊は、速度に任せるがままに突破を図ったが―――

 

《―――チッ、こちらカーゴイル1。敵にはかなりのやり手がいるようだ。速度があっても落とされるときは落とされちまう。既にこっちは6機が墜ちた》

 

 これは―――もしかしたら悪手だったかもしれない。少しばかり、マッドの技術力を信用し過ぎたかも。

 

「カーゴイル1、作戦行動の継続は可能か?」

 

《ああ―――ここは何とか抑えてみせる。まだ作戦行動に支障はない》

 

「了解した。そのまま任務を継続せよ」

 

 航空管制を担当するノエルさんと向こうで戦っているマークさんとの間で通信が交わされる。

 送られてきた情報を見たところ、敵の直掩機は30機ほどらしい。マークさんの言葉から察するに、単機で抑えているみたいだけど、果たして大丈夫なのだろうか。

 

 だけどそんな心配とは逆に、戦況を示すモニターは次々と敵機が落とされていく様を映していた。どうやら、心配は杞憂に終わったらしい。

 

《―――こちらカーゴイル1、目標を制圧した。これより対艦攻撃に移る》

 

「了解。戦果を期待しています」

 

 敵の直掩機を全て片付けたマークさんの機体は、先に進ませたジム部隊に追い付こうと、再び敵の巨大戦艦へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~『紅き鋼鉄』巨大戦艦攻撃部隊~

 

 

《前方ニ敵機。数30》

 

 コックピット内に、無機質なガイド音声が響く。

 

 操縦桿を握る黒いノーマルスーツに身を包んだパイロット―――マーク・ギルダーは、レーダーに示された敵は編隊の規模を確認した。

 敵の直掩機30機は、15機ずつの梯団に分かれて二重の防御壁を形作る。

 

「数は30、か。カーゴイル2、聞こえるか?俺はここに留まって敵の直掩機を抑える。お前は攻撃隊の指揮を執れ」

 

 マークは通信回線を開き、僚機へと指示を下す。

 

《は―――ですが、幾らなんでも一機では・・・》

 

「問題ない。少し動かしてみただけだが、この機体はジムとは段違いの性能だ。流石はあのマッドが太鼓判を押すだけはあるな。それに、対空兵装を持っている機体は俺のペイルライダーしかない。なら俺が殿を引き受けるのが筋だ」

 

《―――了解しました。ご武運を》

 

 彼の僚機―――エリス・クロードの駆るジム・コマンド(指揮官用ジム)からの通信が切れると同時に、編隊は敵直掩隊の射程に入る。

 

 攻撃隊はその速力で強引に突破を図り、敵に隙を与えまいとする。その思惑通りに大半の直掩機は照準が追い付かずに彼等が駆けていった空間に向けて虚しくレーザーを放つだけだったが、中には手練れもいたのか、3機のブースターが落とされて搭載されていたジム諸共火達磨にされた。

 

「―――チッ、こちらカーゴイル1、敵にはかなりのやり手がいるようだ。速度があっても落とされるときは落とされちまう。既にこっちは6機が墜ちた」

 

 彼自身、これだけの速度を出していればそうそう当たることはないと高を括っていただけに、敵の技量に驚嘆する。同時に貴重な火力を減らされた苛立ちからか、やや不機嫌な声で母艦へと報告を入れた。

 

《カーゴイル1、作戦行動の継続は可能か?》

 

 母艦からの返答は、無機質な確認だった。

 

 航空隊のオペレーターを担当するノエルのことは、その容姿もあって航空隊のなかでは中々の評判なのだが、元軍人のためなのか戦闘時は冷静すぎると一部からは不満な様子だ。ただ、このように冷静に状況を尋ねてくる様もまた彼女らしい、と彼は内心で考えていた。

 

「ああ―――ここは何とか抑えてみせる。まだ作戦行動に支障はない」

 

《了解した。そのまま任務を継続せよ》

 

 マークも当たり障りのない言葉で返答し、簡素な通信はそこで途切れる。

 

 彼の目の前には、敵防御壁の第二陣が迫っていた。

 

「・・・カーゴイル2、俺は奴等を抑える。その隙に突破しろ」

 

《・・・了解》

 

 彼の僚機は、ただ一言返答した。

 

 それを以て、彼は次の行動へと移る。

 

 マークは瞬時に両腕と兵装担架システムのレーザーマシンガンを展開し、即座に敵機の未来位置を割り出してすれ違い様に蒼い火線を叩きつける。

 彼の機体から放たれた銃撃はその大半が敵直掩機に命中し、それらを物言わぬ棺桶に変貌させた。

 

 銃撃を成功させた彼はベースジャバーから機体を離脱させ、さらにもう一機の敵機を落とす。

 

「さぁて、これで5機落とした訳だが―――」

 

 彼の眼前には、闘志を湛えた25機の円盤が舞っている。そのうちの何機かは間違いなく手練れだ。

 対するは彼の機体一機のみ。普通に戦って勝てる相手ではない。

 

 だがそれでも、彼には勝算があった。

 

「HADES、だったか。あのいけ好かねぇマッド共が開発したとかいうシステムとやら、試させて貰おうか!」

 

 マークは躊躇わずに、そのシステムの起動ボタンを押す。

 彼の乗るペイルライダーのモニターが緑色から赤く変わり、全身のダクトも排熱を帯びて赤熱化する。

 

 敵直掩隊の円盤が、システム起動に伴い一時的に無防備になったペイルライダーへと殺到し、幾重にも光線を重ねるが、光線が過ぎた先には既にペイルライダーの姿はない。

 

 その直後、一機の円盤が滅多打ちにされた。

 

「ハハッ、コイツは良いな。反応速度が段違いだ!」

 

 ペイルライダーに搭載されたシステム―――HADESは、装置が演算した最適解を瞬時にパイロットへとフィードバックするシステムである。その分パイロットが処理しなければならない情報が増え、かなりの負担となってしまう代物なのだが、彼はそれを問題なく使いこなしていた。

 

 勇敢な円盤が彼のペイルライダーへと攻撃を仕掛けるが、その攻撃は宙を虚しく裂くだけで、次の瞬間にはその10倍もあろうかという銃撃が円盤に降り注ぐ。

 そうして一機、また一機と討ち取られていった直掩機の円盤は、遂に数機を残すのみにまで撃ち減らされていた。

 

「―――成程、こいつがさっきの手練れか。流石はここまで生き残っただけはあるな」

 

 マークは、目の前から迫る生き残りの円盤が先程ジムが載ったベースジャバーをすれ違い様に落とした手練れだと直感していた。それだけに、操縦桿を握る手にも力が込められる。

 

「だがそれも終いだ。ここらで幕引きといこうじゃないか!」

 

 彼は放熱が追い付かずに焼き焦げたレーザー機銃を捨て、ビームサーベルを握って突進する。

 

 眼前から迫る敵機が猛烈に射撃を加え、阻止を試みる。今までの敵より遥かに正確な射撃を前に、ペイルライダーも何発か被弾を受けるが、システムの演算のお陰か重要部分には命中していない。

 

「貰った―――!」

 

 銃撃を終えた円盤は、素早く離脱を図る。

 だがそれよりも速くマークは機体を移動させ、敵機の真横についてサーベルを降り下ろす。

 

 サーベルは寸分の違いなく円盤を切り裂いて、真っ二つに割れた円盤は大爆発を起こして果てた。

 

「―――ふぅ。これで片付いたか。さて、こっちもエリスに合流しないとな」

 

 敵直掩隊の全滅を確認したマークは、機体を敵巨大戦艦の方角へ向け、母艦への通信回線を開く。

 

「―――こちらカーゴイル1、目標を制圧した。これより対艦攻撃に移る」

 

《了解。戦果を期待しています》

 

 必要最低限の言葉を紡いで、通信は終わる。

 

 彼が駆るペイルライダーはバックパックから、機体と同色の蒼いブーストの炎を吹かして僚機の下へと急ぐ。

 

 白亜の巨大戦艦の周りでは既に、幾つもの花火が咲いていた。

 

 ................................................

 

 

 敵巨大戦艦リサージェント級に向けて突撃したジム部隊は、更なる試練に襲われていた。

 

 敵は、攻撃隊が先程突破してきた直掩隊に加えて10機ばかりの戦闘機部隊を艦の周囲に残しており、その部隊とジム部隊との間で壮絶な格闘戦に発展していた。

 

 大型対艦ミサイルを装備したジムは、一度攻撃を受ければ忽ち大爆発を起こして塵と化してしまう。それを理解しているからこそ、簡易AIの駆るジムは敵機に構うことなく、その母艦へと直進する。既に母艦に取り付いている彼等はベースジャバーを脱ぎ捨てており、先程までの速度という最大の加護を失っていた。そのため、運の悪い機体は銃撃をまともに受けてしまい、使命を果たすことなく散ってしまう。

 だがジム部隊は黙ってやられている訳ではなく、ときには頭部に配置された固定武装の57mmバルカンで果敢に反撃を試みる機体もあった。鈍足な対艦攻撃部隊と油断していた敵機は、彼等の反撃によって数機が叩き落とされる。

 

 そしてジム部隊は遂に目標としていた敵巨大戦艦の歪曲レーザー砲砲口部に到達し、両腕に備えた大型対艦ミサイルと兵装担架システムに装備した多目的ミサイルポッドを向ける。

 

「これで・・・!!」

 

 ペイルライダーのマークからジム部隊を託されたもう一人のパイロット、エリス・クロードは、ミサイルの引き金に手を駆ける。指揮機である彼女がミサイルを放てば他の無人機達もミサイルを発射するようプログラムされており、幾らか数を減らしたとはいえ40機弱のジムから放たれるミサイル攻撃は圧倒的な威力を持つ。それだけの火力があるのだから、攻撃が成功すればこの砲口は完膚なきまでに粉砕されるだろう。

 

 砲口の真下に取り付いたことで、彼女は勝利を確信した。

 

 だが虚しくも、突如機内に鳴り響いたアラームの音声によりその確信は打ち砕かれる。

 

「な、何・・・っ!」

 

 エリスは只ならぬ事態が起こると直感し、即座に対艦ミサイルは発射してその場から離脱を図る。

 だが他の無人機達は、指揮機の行動を基準にするシステムだったことが仇となり、ミサイル発射後は未だに満足な回避行動に移れていなかった。

 

 そのことが、ジム部隊に悲劇をもたらす。

 

「高エネルギー反応!?まさか・・・」

 

 エリスは敵の目論見を悟り、急いで脱出指示を下す。しかし、無慈悲にも鉄槌は放たれた。

 

 巨大戦艦の砲口が緑色に輝いた直後、数十もの光線がジム部隊の頭上に降り注ぎ、発射された対艦ミサイルの群を完膚なきまでに叩き落としていく。

 レーザーの嵐はそれだけでは収まらず、ミサイルを発射したジム達の頭上にまで降り注いだ。

 ミサイルを発射した直後で満足な回避行動を取れていないジムは成す術なく拡散したレーザーの雨に呑まれ、悉くが撃墜されていく。

 

 ミサイルの発射時には39機が存在したジムは、このとき16機までに撃ち減らされていた。

 

「なんてこと―――クッ、こちらカーゴイル2、攻撃失敗。繰り返す、攻撃失敗!!」

 

 ジム部隊の攻撃は、完全に失敗した。

 事態を悟ったエリスは、旗艦への通信回線を開いて悲壮に満ちた声で報告する。

 

 だが、事態はそれだけでは収まらなかった。

 

「今度は・・・また敵機――――!」

 

 追い討ちとばかりに、巨大戦艦から更に円盤が射出される。その数、42機。

 幾らミサイルを放って身軽になったジムとはいえ、満足な火器もなしに圧倒的多数の敵機に追い回されては歯が立たない。

 

「っ―――、全機、"下駄"まで戻れ!離脱する!」

 

 敵機に対して全く勝ち目がないと即座に理解したエリスは、辛うじて残っていたジムを纏め上げて、脱ぎ捨てたベースジャバーの位置まで離脱を図る。ベースジャバーにさえ乗ってしまえば、あとは加速力で幾らでも敵の追撃隊を引き離すことが出来るからだ。しかし、敵追撃部隊はジム部隊とベースジャバーの間に布陣しており、突破することは容易ではない。

 

 ジム部隊にとって、第二の地獄が幕を上げた。

 

 ~『紅き鋼鉄』旗艦〈開陽〉艦橋~

 

 

《こちらカーゴイル2、攻撃失敗。繰り返す、攻撃失敗―――!!》

 

 その様子は、ここからでもはっきりと捉えられた。

 

 攻撃位置についたジム部隊は、拡散する緑色の光線の雨に呑まれ、発射したミサイル諸共悉く墜とされていく。

 

 誰もがその光景を前に言葉を失い、攻撃失敗を伝えるパイロットの声が、艦橋内にただ虚しく響いていた。

 

 嵌められた―――ッ!

 

 この場にいる誰もが思ったことだろう。

 

 まさか敵のレーザー砲に、あんな機能があるなんて完全に想定外だった。反射板を搭載した航空機によって屈曲させるという特性こそあったものの、砲自体は単なる巨大レーザー砲だと思い込んでいた。だが、それは違った。敵のレーザー砲は、更なる形態を残していたのである。

 

「なんてことだ―――拡散機能まであったとは―――」

 

「―――攻撃隊、23機の信号をロスト。攻撃隊の半分以上が、今の攻撃で撃墜されました」

 

 あまりの事態に思考が付いていかず、艦橋クルーの砲口も僅かにしか耳に入らない。

 だが、すぐに私の思考は現実へと引き戻される。

 

「っ!敵艦より更なる小型のエネルギー反応多数発進!追撃部隊と思われます!」

 

「――――何ですって!いけない、ジム部隊にはもう・・・」

 

 ここに来て、更なる敵機来襲の報せである。

 砲口の破壊のみに注力していたジム部隊は、最早敵機に抗う力など残されていない。しかも間が悪いことに、敵機はジム部隊とベースジャバーの間に陣取るように展開している。あれでは、ジム部隊は逃げたくても逃げられない。

 

「クソッ、認めたくはないが、敵の方が一枚上手だったようだな」

 

 私の背後の席で戦況を監視していたコーディが悪態を吐く。彼の言うとおり、今回ばかりは敵にしてやられた。

 だが、ここで立ち止まる訳にはいかない。あの砲口を放置していれば、艦隊の艦がどれか敵喰われてしまう。それだけは、避けないといけない。

 

《こちらカーゴイル1!攻撃隊の撤退を援護する!》

 

「了解した!ただし無理はするな。離脱が最優先よ」

 

《そんなことは心得ている。こんな場所でくたばる気は無いんでね!》

 

 遅れて戦域に到着したマークさんはペイルライダーは、再び殿を買って出て敵機へと攻撃を始めた。自分が敵の円盤を引き付けている間に、ジム部隊をベースジャバーまで逃がす算段のようだ。

 しかし幾らマッドが自重という自重を葬り去って作り上げた高性能機でも、たった一機では相手にできる数なんてたかが知れている。ペイルライダーの攻撃を無視してジム部隊に向かった敵機は半分以上にまで上った。

 そしてジム部隊の方も、未だ健在な機体でも何らかの損傷を受けている機体の方が多い。彼等の奇跡は、あのレーザーの雨から生還したことで消費され尽くしていたのだろう。損傷のため満足に動けないジム達は、一機、また一機と討ち取られていく。

 

「―――もう手は残されていない、か・・・。本艦は此より、敵艦に対して砲雷撃戦を敢行する!機関、最大戦速!」

 

「っ、了解!機関出力最大!」

 

「参ったねぇこりゃ。了解、最大戦速!」

 

 ジム部隊は壊滅した。最早、通常砲戦で決着を図るしかない。

 そう考えて、命令を発したときだった。

 

「れ、霊夢さん!第四カタパルトが勝手に・・・」

 

「何、どうしたの!?」

 

 早苗が艦内でなにか異常を見つけたようで、慌てた様子で報告を寄越してきた。

 

「はい―――マッドの機体開発区画から延びるカタパルトが勝手に稼働しています!」

 

「はぁ、マッド!?あの連中、また何かやらかしたの?」

 

「いえ、それが―――あっ、なにか機体が射出されたみたいです!」

 

 早苗の報告の直後、猛烈な勢いでナニカが艦内から射出された。その物体は宇宙の闇に溶け込むような漆黒の躯を持ち、機体の何倍もの大きさのブースターユニットを全力で噴射して敵艦へと向かっていく。

 

「い、今のは―――」

 

《艦長!緊急事態だ!》

 

 私の言葉を遮るように、そこで整備班のにとりから緊急通信が入る。

 

「にとり!?、一体何が起こったの?」

 

《ああ、それが―――霊沙の奴が試作機を奪って無断出撃しやがった!アレはまだ未調整の代物だ!あんな機体に生身で乗ったら―――》

 

「はぁ!?霊沙?アイツはまだ医務室で寝ている筈じゃあ―――」

 

「っ、霊夢さん、あの機体、此方からの操作を受け付けません!」

 

「あんの馬鹿―――!」

 

 ・・・状況を整理すると、霊沙の奴が医務室から脱走したらしい。更に間が悪いことに、にとりの話ではヤバい代物にまで乗り込んでしまったらしい。加えて早苗の操作も受け付けないときた。もう、此方から出来ることはない。

 

「チッ、こうなったら、アイツが帰ってくるのを待つしかないか・・・」

 

 あの病状でさらに無断出撃なんて、どれだけ無茶をすれば気が済むのよ、アイツ。帰ってきたらきつく言っておかないと―――

 

「ふむ―――もう飛び出してしまったのなら仕方ないな。ここは一つ、彼女に懸けてみることにしよう」

 

「コーディ・・・?」

 

 彼女の無断出撃で慌てていた私達とは対照的に、コーディは落ち着いたような口調で溢した。

 彼の視線の先には、尚も加速を続けるアイツの機体の姿があった。

 

 

 ...............................................

 

 

【イメージBGM:ARMORED CORE VERDICT DAYより「Mechanized Memories」】

 

 

「チッ、コイツはちと、流石にキツいな―――!」

 

 霊夢達が旗艦の艦橋で一人の少女を心配していた頃、その原因となった当の霊沙は、試作機動兵器"グリント"のコックピット内で忌々しげに呟いた。

 

 猛烈な勢いで加速を続ける機体は、容赦なく彼女の小さな身体に壮絶なGを叩きつける。だが他人とは違い出生がやや特殊な彼女は、平然と、まではいかないものの、そのGに耐えきっていた。

 

 目指す先には、敵の旗艦と思われる巨大戦艦が鎮座している。

 

 通常の3倍の速度で飛翔する"グリント"は、普通ではあり得ない程のスピードで旗艦〈開陽〉と敵巨大戦艦との間の距離を駆けていく。この加速力は、機体の背中に装備されたブースターユニット、VOB(Vanguard Overed Boost)によって生み出されたものだ。

 

 このロケットを4基束ねただけのように見える簡素なブースターユニットは、その急造品じみた外見とは裏腹に、凶悪な加速性能を誇っている。VOBの開発コンプセントは『遠距離からの強襲』の一言にあり、広大な宇宙空間を一瞬で駆け抜けるために僅か数秒で駆逐艦の最大戦速の2倍近い速度まで加速するという化物じみた加速性能を有していた。(ちなみにベースジャバーに用いられたブースターはVOBの予備部品や試作品が使われているが、そのままの仕様だと機体強度の関係でジムが耐えられないので、大幅にデチューンされている)だがそれだけに問題も多く、そもそも慣性制御が追い付かず並の人間では到底耐えられる代物ではなかった(事実、ジムのデータを用いたシュミレーションではパイロットはぺちゃんこに潰されるという結果が得られている)。加えてシュミレーションでは、ブースターを装備される機体自体も壮絶な加速に耐えきれず、既存の機体では悉くが空中分解を起こすことが判明していた。そこで開発されたのが、彼女が乗るこの強襲用機動兵器"グリント"である。

 

 "グリント"は既存の機動兵器―――ジムとは異なり、デフレクターの展開すら可能とする出力を持つ新型機関を搭載することで慣性制御へ回すエネルギー量を確保し、また慣性制御装置もコストを度外視した超高性能な特注品が宛がわれている。この二点により、上記の問題点を解決して優秀な機動兵器となる―――筈だった。

 まず機関出力に関しては予定していたものには及ばないが、必要なエネルギー量は確保できていた。問題なのは後者である。

 コスト度外視の特注品と言えば聞こえはいいが、幾ら『紅き鋼鉄』が誇る変態技術者集団(マッドサイエンティスツ)といえど、いきなり既存品を遥かに上回る性能の慣性制御装置を造るのは些か難易度が高すぎた。加えて『紅き鋼鉄』は0Gドックとしてはかなりの規模を誇るのだが、所詮は一航海者に過ぎない。使える予算とて、決して潤沢ではなかった。そんな状況下で完成した慣性制御装置は、マッド達が求める水準には遥かに及ばなかったのである。

 この機体の開発は、マッド達の総本山であるサナダなら構想段階で流石にストップを掛けたであろうぐらいには無茶な計画だったのだ。しかしこの機体を手掛けたのが、実利より浪漫を優先する整備班(機械バカ)だったことが災いし、ここまで開発が続けられてしまったのである。多少の要求値の下方修正こそあったものの、それでも既存の航宙機(なお基準は大マゼランレベル)の3倍の性能・単独で敵中枢を破壊できる制圧力を目指して開発された"グリント"は、機体自体は何とか形になるまでには漕ぎ着けていた。

 しかしこのままでは乗れるパイロットが居ないため、無人化を前提とした再調整が行われていた。そんな折に、この機体は霊沙に奪取された訳である。

 

 常人では到底耐えられないこのじゃじゃ馬を、彼女は劣化した夢想天生を発動させてGを受け流すことを試みた。その試みはある程度は成功したといえるが、元が既に劣化しているために身体の一部が引っ張られ、完全にGを無効化することまでは叶わなかった。それでも尚、彼女は操縦桿を握る手を離さない。

 

 ―――アイツを封じないと、艦隊はここで壊滅する。ここで依り代が吹き飛ぶのは、些か不都合だ/今はとにかく、アイツのフネがやられる前に―――!

 

 彼女は冷静さを湛えた氷のような瞳で/熱い闘志を秘めた瞳で、眼前に迫った巨大戦艦の姿を睨む。

 

「邪魔―――!」

 

 VOBの推進力で強引に突き進む彼女の"グリント"を阻むように、先程までジム部隊を追い回していた敵の円盤部隊が"グリント"の前に立ちはだかる。

 

 彼女はその様子を確認すると、VOBの固定兵装であるマルチミサイルで目標を直ちにロックする。

 "グリント"は円盤部隊とのすれ違い様にミサイルポッドから大量のマルチミサイルを吐き出し、進路上に立ち塞がった円盤を一機残らずスペースデブリへと変貌させた。

 

 円盤部隊を突破して敵巨大戦艦の直下まで機体を移動させてきた彼女は、"グリント"の背中に接続されたVOBを切り離し、慣性と機体各所の姿勢制御用スラスターを使って一瞬で機体を敵巨大戦艦の砲口直下へと滑り込ませる。

 

 "グリント"の両腕に備えられたミサイルが、砲口に向けられた。

 同時に、巨大戦艦の砲口も緑色に輝き出す。

 

「その手は―――喰らわない」

 

 それを見た霊沙は、一気にジェネレータ出力を最大まで上げる。直後、機体を包み込むように淡い緑色のシールドが出現した。

 

 "グリント"の機体をシールドが包み込んだ直後、巨大戦艦の砲口からジム部隊を葬った拡散レーザーが発射される。

 しかし、APFSを張った"グリント"にはレーザーの光線は届かず、レーザーの雨が止んだ頃には無傷の黒い機体が姿を現した。

 

「―――終いだ。沈め」

 

 何処までも無機質で、氷のように冷酷な声で、彼女は死刑宣告を告げる。

 

 レーザーの発射直後でシールドを失った巨大戦艦の砲口に向けて"グリント"の両腕から8基の大型対艦ミサイルが放たれる。

 防御手段を失った巨大戦艦の砲口には最早それを防ぐ術はなく、吸い込まれるようにミサイルは砲口に着弾し、朱い炎を盛大に吹き上げて爆発した。

 

「これで、とりあえずは、大丈、夫―――」

 

 ミサイルの着弾を見届けた霊沙は、今までの無理が祟ったためか、眠るように意識を手放した。

 

 




お待たせしました。第六六話です。マー君と霊沙が暴れるだけでした。本来ならこの話で決戦を終わらせるつもりでしたが、次の話まで延びそうですw
まぁ色々あるとは思いますが―――少し解説すると、今回出番多めのマーク・ギルダーとエリス・クロードの二人はGジェネシリーズのオリジナルキャラクターから引っ張ってきたものです。以前にもちらほらと出ています。加えて、何度も書きましたが霊沙の外見は禍霊夢(ロリ)です。

機体に関しては、一年戦争狂気の産物のペイルライダーは愉快なマッド達の手にかかってただのつよいジムと化しました。きれいなHADES(笑)
そしてもう一機、霊沙が奪った"グリント"ですが、外見はACVDに登場したラスボス機のN-WGIX/vまんまです。但しVOBはACfAのデザインがイメージです。マッドの浪漫が詰まっていますw

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