夢幻航路   作:旭日提督

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第三五話 作戦発動

 

 

 ~カルバライヤ・ジャンクション宙域、惑星ブラッサム軌道~

 

 

 カルバライヤ宙域の治安維持を請け負う宙域保安局の本部が置かれている惑星ブラッサム、そこに向けて、火花を散らし煙を吐きながら、満身創痍の体で航行する艦隊の姿があった。

 

 

 

「―――何とか、無事に辿り着けたみたいね」

 

「はい・・・・あれだけの戦いで沈没艦が出なかったのは奇跡ですね―――」

 

 グアッシュの拠点、"くもの巣"での激戦から離脱した私達は何とか封鎖宙域を越えて、このブラッサムまで辿り着くことができた。途中で残党狩りとばかりにグアッシュの大艦隊が奇襲してくるのではと内心冷や冷やしていたものだが、幸いにもそのような事態はなかったのは救いだ。

 

「しかし、今回は随分とやられたわね・・・」

 

 早苗の言うとおり沈没こそは無かったものの、艦隊が受けた被害は甚大だ。私はそこで被害詳細に目を通す。

 

 駆逐艦〈タシュケント〉〈ソヴレメンヌイ〉〈ズールー〉、巡洋艦〈ブリュッヒャー〉の4隻が大破、駆逐艦〈ノヴィーク〉〈コヴェントリー〉〈ヴェールヌイ〉〈夕月〉、巡洋艦〈ナッシュビル〉、巡洋戦艦〈オリオン〉〈レナウン〉の7隻が中破、小破以下は駆逐艦〈霧雨〉〈ヘイロー〉〈秋霜〉〈コーバック〉〈グネフヌイ〉〈タルワー〉、巡洋艦〈ユイリン〉〈ケーニヒスベルク〉〈ピッツバーグ〉、戦艦〈開陽〉の9隻。艦隊の大半の艦が何らかの損傷を負ったことになる。

 

 酷いものだと装甲板の大半が要交換、砲身命数が尽きた艦もある。幸い竜骨が歪んで修理不可というほどまでの損害は受けていないので、空間通商管理局のドックに入渠すれば修理は可能だろう。

 艦の修理自体は無料だからそこまで財布に痛くはないが、問題なのはそれ以外の消耗だ。

 艦載機に関しては、スーパーゴーストは撃墜、帰艦後放棄を含めて18機喪失、F/A-17は11機撃墜、Su-37Cは9機喪失、ミサイル類の補充もグラニート6発を始め独自装備のミサイルが多数ある。艦載機の推進材なんかもかなり消費しているから、これらの補充でそれなりの額は持っていかれるだろう。

 

「はぁ、また計算か・・・頭が痛いわ」

 

「大丈夫ですよ霊夢さん。主計課の方々が上手くやってくれていますし」

 

「そう言われてもね・・・元々私は計算とか苦手なのよ」

 

 幻想郷にいた頃は買い物した時の釣り銭勘定か所持金の確認位でしか計算なんてやったことなかったから、私は未だに決算なんかが苦手だ。特に今回みたいな大量出費が予想される時なんかは特に。主計班のルーミアが頑張ってくれるから私の負担はそれほどでもないのだが、やはり苦手なものは苦手だ。頭が痛くなる。

 

「なんならあんたが手伝いなさいよ。AIなんだし、こういうの得意じゃないの?」

 

「それは駄目です!霊夢さんは艦長なんですから、艦長業務ぐらい馴れて下さい」

 

 ―――なんか早苗が冷たいわ。

 

 彼女の言うとおりこれは本来私がやるべき仕事なのだが、少しくらいはその頭のリソースを寄越してくれても良いじゃない。

 

「はいはい分かったわよ。私がやれば良いんでしょ」

 

「頑張って下さいね!」

 

 早苗は何もせず、私が書類を処理していくのを眺めるだけだ。――――やっぱり少しは手伝いなさいよ・・・

 

「霊夢さんが処理しきれているうちは私は艦隊の運行に専念します」

 

 見透かされていたみたいだ。早苗が先手を打って告げてくる。

 

「そう、なら艦隊は任せるわ。しばらく手が離せないから」

 

「はい、任されました!」

 

 さてと、ではブラッサムに着くまでに残りの書類を始末してしまおう。あっちに着いてからも色々やることがあるからね。

 

 

(ふふっ、艦隊の被害が押さえられているのも、軍神たる神奈子様の御加護があってこそです!)

 

 

 ・・・早苗が何か得意気に呟いているみたいだけど、何を言っているのかまでは良く聞こえない。多分艦隊がここまで善戦できたのも優秀なコントロールユニットのお陰だとでも呟いているのだろう。

 実際あれが無かったらここまでの艦隊戦なんて出来なかったんだし。早苗はそれなのに私が労ってやらなかったから拗ねているのかもしれない。それならさっきの態度にも説明がつく。

 

 ―――そうね・・・後で頭でも撫でてあげようかしら。

 

 私はそんなことを考えながら、黙々と書類を始末する作業に戻った。

 

 

 

 ........................

 

 ..................

 

 ..........

 

 .....

 

 

 

 

 

「尋問官サナエちゃん、出動しまs「ちょっと待ちなさいっ!」

 

「ほえ?何か問題でもありますか?」

 

「大有りだっての、何が尋問官サナエちゃんよ!」

 

 全く、どうしてこんな事になったのだろうか・・・

 

 事の顛末は数刻前のコーディさんの「〈阿里山丸〉に収容した捕虜から"くもの巣"の情報を聞き出せば、次の攻略が楽になるのではないか」という一言に起因する。

 それを受けて私は保安隊に捕虜の尋問を頼もうとしたのだが、何故かその言葉が早苗のアンテナに反応したらしく、尋問の仕事を引き受けると言って私の話を聞かないのだ。なので仕方なく任せてみると言ったらコノザマである。

 

 彼女は何処から引っ張り出してきたかも分からない悪党の制服っぽい黒い空間服に身を包んで、柄の外側に円形の月牙を備えたダブルブレードの赤い光刀を持ち出してはなにやら意気込んでいる様子だ。

 

「ふふっ、今の私は悪い海賊共を恐怖の底に陥れる大尋問官サナエちゃんです!好きなことは尋問と拷問!どんな情報だってききだしてみせます!!」

 

「だ・か・ら!まずはその物騒なものを仕舞いなさい!捕虜から死人が出るのは流石に勘弁よ!」

 

 とにかく今の早苗はアブナイ要素しかない。あんな武器を振り回されて〈阿里山丸〉が血の海に沈むのは流石に気が引くので、何としても早苗を止めなければ。

 

「・・・流石の私でも死なせはしませんって。拷問はしますけど」

 

「だからそれも問題だっていうの。とにかく貴女は仕事に戻りなさい!」

 

「ですから大尋問官サナエちゃんのお仕事は尋問なんですってば~!」

 

 どうしても早苗は聞く耳を持たないらしい。

 

「別に良いじゃん。無闇に殺す訳でもないんだし」

 

「そうですよ、霊沙さんの言う通りです!」

 

 おのれ霊沙、敵に回るか。

 

「しかし、その刀格好良いな。どこから手に入れたんだ?」

 

「これですか?サナダさんのガラクタから拾ってきました!」

 

 ―――成程、サナダ印か・・・って、余計危ないじゃない!

 

「ふふっ、この刀があればだれにも負ける気がしません!」

 

 

 早苗は光刀を振り回してポーズを決めると、それをビシッと突き出して宣言する。

 

「とにかくこの件はこれで終わりです!大尋問官サナエちゃん、出撃しまーす!」

 

「あっ、ちょっと、待ちなさい!」

 

 私の制止をものともせず、早苗は踵を返して早足で艦橋から立ち去ってしまった。

 

「・・・行ったな」

 

「・・・ええ。それより何であいつに加担したのかしら?」

 

「だって、面白そうじゃん」

 

「はぁっ―――もういいわよ。コーディ、早苗を監視してくれる?一応回線を繋いでおいて。何かやらかさないか見ておきたいわ」

 

「了解した」

 

 霊沙への追求は諦めて、今は早苗の様子を監視することにしよう。流石に血祭りはないかもしれないけど、なんだか不安だ。

 

「11番デッキよりシャトルが発進しました。〈阿里山丸〉に向かいます」

 

「・・・一応当初の予定通り保安隊も向かわせておいて」

 

「了解です」

 

 ノエルさんに念のため保安隊も捕虜の尋問に向かわせるよう指示しておいて、早苗の監視に移る。

 

 早苗が乗ったと思われるシャトルは〈開陽〉の後方に随伴する特務艦隊の陣形に到達すると、ヘルシップ〈阿里山丸〉に着艦した。

 

「・・・音声データは拾えた。映像はもうしばらく時間がかかる」

 

 コーディさんが監視用の回線を繋げたみたいで、音声のみであるが早苗の様子が伝わってくるようになる。

 

《さあ、観念しなさい!この守矢の大尋問官サナエちゃんの前では如何なる隠し事も無意味です!》

 

 音声のみであるが、何故か早苗がどや顔でポーズを決めながら宣言している様子が脳裏に浮かんだ。

 

《な、なんだテメェ!野郎共、やっちまえ!》

 

《オオーッ!!くたばりやがれ!》

 

《そうですか、あくまで戦いを選ぶという訳ですね。ならば容赦はしません!悪即斬です!》

 

 すると今度は海賊の方だろうか、幾つもの野郎の図太い声がしたと思うと、なにやら物音が聞こえてくる。具体的には、人間が飛び掛かる音に何かをブォンブォンと振り回す音、それと人間がバタバタと倒れていく音だ。

 

《なっ、12人の腕利きがたったの3秒で全滅だと!?》

 

《ふふっ、安心しろ、峰打ちだ》

 

 まだ音声しか聞こえないけど、多分早苗は刀を担いで決め台詞を言っているような気がした。

 

《ええ、さっきまではパラライサーモードでしたから少なくともお仲間の命は保証します。ではお楽しみの拷問タイムです!さぁ"くもの巣"のことを洗いざらい吐いてもらいますよ!!》

 

《ひぃっ、まっ、先ずはその刀を下ろせ!》

 

《貴方に指示される謂れはありません!悪党は悪党らしく大人しく尋問されやがれです!》

 

 早苗の台詞と共に、じゅわーっという嫌な音が響く。

 

 ―――あ、これ本格的にヤバイかも。

 

《なっ、何がパラライサーモードだ!壁!溶けてる溶けてる!!》

 

《今モードを変えました。DEAD OR DEATHです》

 

《それ選択肢になってない!分かった分かったからその刀を下ろしてくれ!》

 

《ちぇっ、つまらない人です。美少女尋問官に拷問されるなんて、人生に一度あるかないかという位の貴重な体験ですよ?》

 

《俺にそんな趣味は無ぇ!兎に角知ってることなら何でも話すから!》

 

《そうですか、仕方ないですね。じゃあくもの巣の内部構造を全て話して下さい》

 

 話の流れから推測すると、手段はともかく意外と上手くいくかのもしれない。早苗の行動への呆れはあるけれど、今は海賊の話に集中しよう。

 

《内部構造?それならお前達が奪ったフネのデータベースに地図があった筈だ》

 

《分かりました。では次の質問です。先日拐ったスカーレット社のご息女の居場所は?》

 

《スカーレット社?ああ、確か仲間がそんなこと言っていたな。俺は下っ端だから詳しくは知らねぇが、多分牢に入れられているんじゃないか?牢の場所は地図で確認すれば分かる筈だ》

 

《そうですかー。では最後の質問です。貴方方のトップが捕まっているのに戦力を増しているのは何故ですか?》

 

《ああ?んなこと知るかy《おっと、質問にちゃんと答えてくれないと困りますね~》

 

《な、何だその銃!何処から取り出し・・・》

 

 ジャキンという鈍い音がしたかと思うと、海賊の叫び声に続いてウィーンという何かが回り始める音が聞こえ始める。

 

《ちょっと待て、俺は何も知らなiぎみゃぁぁぁあぁぁっ!!》

 

 続いて弾幕が射出されるような駆動音と共に海賊の悲鳴が響く。これ、本当に大丈夫なのだろうか

 

「よし、これで映像回線も繋がったぞ」

 

 そこでやっと映像が繋がり、牢の惨状が明らかになる。

 

《ふぅ・・・悪は滅びました。これが尋問・・・楽しいかもしれない・・・》

 

 そこには何故か頬を赤らめて物騒なことを口走っている早苗と、その回りにはピクピクと痙攣して白眼を剥いている倒れた海賊達の姿があった。

 

《あっ、霊夢さーん、ただいま終わりました!》

 

「そ、そうみたいね・・・とにかく早く帰ってきなさい!後は保安隊に任せてあるから」

 

《了解ですっ!》

 

 早苗はビシッと敬礼を決めると、牢から出て施錠する。そのまま走り去っていったので、シャトルに戻るのだろう。

 

 一時はどうなることかと思ったが、流血は無かったようなのでまぁ良しとしよう。倒れてた海賊もセンサーが感知したバイタルに異常は見られない。その辺りはちゃんと弁えてくれていたようだ。

 

「しかし、我々の統括AI殿も中々破天荒な性格に育ったものだ」

 

「ああ。一体どうしたことか・・・」

 

 事態が終息したためか、コーディとフォックスがそう漏らした。確かに前の早苗はここまで酷くなかったと思うのだが、ほんとに一体どうしたのだろうか。

 

「まぁ一応穏便に済んだことだし、まぁ良いじゃないか。それじゃ私もあの光刀を作って貰うとするか!」

 

 霊沙は霊沙でマイペースだし・・・ほんと頭が痛くなる。

 

「はぁ・・・取り敢えず、入港まで周辺監視は怠らないで。配置に戻りなさい」

 

「了解です」

 

 

 こうして、大尋問官サナエちゃん騒動は一旦幕を閉じることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~惑星ブラッサム地上、宙域保安局本部前~

 

 

 無事にブラッサムまで辿り着けた私達はメイリンさんと合流して、再び宙域保安局を訪ねていた。

 

 ―――あれは・・・ユーリ君?

 

 そこで見知った人影を見た私は、彼等の方に寄った。

 よく見るとユーリ君の他に数人の彼のクルーと保安局の制服に身を包んだ青年の姿が見える。

 

「あら、こんなところで奇遇ね。貴方達も何か用事かしら?」

 

「その声は・・・霊夢さん!?久しぶりにですね・・・」

 

 後ろからユーリ君に声を掛けてみると、少し驚いた反応を返される。こんな所で再開するとは思っていなかったからだろうか。

 

「そうね。所で、こんな場所に何の用なのかしら?」

 

 彼等がわざわざ宙域保安局に来なければならない理由というのにも少し興味があるので、私はそれを聞いてみることにした。

 

「はい、実はエピタフに関する情報提供のためにジェロウ教授の研究に協力することになりまして、そのためムーレアまでの通行許可が欲しい所なんです」

 

 ジェロウ教授というと、確か小マゼランではかなり有名な研究者の名前だっけ。確か酒場のテレビで少し見た覚えがある。多分彼等と一緒にいる白衣の老人がそうなのだろう。尤も、私はサナダさんでもないのであまり詳しく知っている訳ではないが。

 

「成程ね、あんた達も大層な人を乗せてるのね。でもそれ、止めておいた方が良いわ」

 

 だが、彼等の戦力では仮に通行許可が出たとしても犬死にするだけだ。

 

「えっ、それはどうしてですか?」

 

「・・・ムーレアっていうと封鎖宙域の向こう側にある星でしょ?そこに行くならグアッシュの拠点近くを通らなきゃいけないんだけど、はっきり言って今の貴方達じゃあそこに突っ込んだら、死ぬわ。私でも逃げ帰ってきた位だから」

 

「れ、霊夢さんが!?」

 

 彼は今の台詞に大層驚いているようだ。それも無理はない。実質スカーバレルの大半を潰している様を間近で見ている訳だし、私達の戦力のことは私達以外では彼等が一番分かっているだろうし。

 

「ええ。宙域保安局でも手に負えないってのがよく分かったわ。何せ大マゼランのフネまで持ち出してくる始末だし」

 

「え、大マゼランですか!?」

 

「大マゼラン、それは本当か!?」

 

 そこに予想していなかった方向から横槍が入る。保安局の青年だ。

 

「おっと、失礼。俺はカルバライヤ宙域保安局二等宙尉、バリオ・ジル・バリオだ。で、その話は本当なのか?」

 

「ええ、本当よ。今日はそれを伝えに来たのだし。それと私は0Gドックの博麗霊夢よ。宜しく」

 

 私がバリオと名乗った青年にそう返して自己紹介すると、メイリンさんが彼にデータプレートを差し出す。

 

「私はスカーレット社警備部門のメイリンと申します。先程霊夢さんから話があった通り、これがその交戦データになります。貴殿方の上司に渡していただければ幸いです」

 

「・・・そうか。事態は予想以上に深刻なみたいだな。それよりここで立ち話をするのもアレだ、我々の上司の下へ案内しよう」

 

 バリオさんはメイリンさんからデータプレートを受けとると、建物の中に私達を案内する。

 

 宙域保安局の庁舎に入った私達はその一室に案内された。そこには前回来たときにあったシーバットさんともう一人、保安局の制服を着た真面目そうな青年が待っていた。

 

「おお、よく戻ってきたか、メイリン殿、霊夢君。そして君がユーリ君かね?話はバリオから聞いている。私はカルバライヤ宙域保安局三等宙佐シーバット・イグ・ノーズだ。霊夢君、君の情報提供には感謝する」

 

「ウィンネル・デア・デイン三等宙尉。シーバット宙佐の元で部下をしている。バリオとは同僚だ」

 

 すると、シーバットさんと真面目そうな青年―――ウィンネルさんが挨拶する。

 シーバットさんは続けて私に対して礼を述べた。ここに来る前に宇宙港で捕虜の引き渡しと、鹵獲した海賊船から尋問で得られた情報を元に漁ったデータを保安局に渡していたから、情報提供とはそのことだろう。

 

「ユーリです。今回は一つお話があって来たのですが―――」

 

「博麗霊夢よ。そのことについてだけど、"くもの巣"はかなりヤバい状況だわ」

 

「メイリンと申します。何とか我々は"くもの巣"に接近することは出来ましたが、彼等の戦力を突破するのはかなり難しいです」

 

 私とメイリンさんは初対面のウィンネルさんに挨拶して、シーバット宙佐に向き合う。

 

 

「・・・グアッシュの連中は大マゼランの艦船を投入してきたわ。しかもそれなりの数を用意してね」

 

「な、何と・・・連中はそこまで強力になっていたのか!?」

 

 私の言葉に、シーバットさんの瞳が見開かれる。常識的に考えて、小マゼランの海賊風情が大マゼラン艦を大量に運用するなどやはり考えられないのだろう。

 

「宙佐、彼女達から受け取ったデータプレートです」

 

「う、うむ・・・・」

 

 シーバット宙佐は動揺を押さえ込んで、バリオさんからデータプレートを受けとる。

 

「それで本来なら教授の研究のために宙域封鎖を解いてもらいたくてここを訪れたのですが、霊夢さんの話だと僕達には突破できる自信は・・・」

 

 ユーリ君が肩を落とす。彼にしてみれば期待が裏切られたようなものなのだろう。

 

「うむ、死んでは元も子もないからネ。さて、どうしたものか」

 

「む、貴方はジェロウ教授ではないですか!貴方も彼等の艦に?」

 

「儂の研究に協力してくれるそうなのでネ。しかし困った事だネ。これでは研究どころじゃないヨ」

 

 そこに白衣の老人が前に出てシーバットさんと話す。やはり彼がジェロウ教授で間違いないみたいだ。

 

「・・・宙佐、丁度良い機会です。彼等に協力を頼んでみては?」

 

「彼等に?まさか例の計画にか?」

 

「ええ。彼等ならザクロウの連中に面は割れていないことですし、駒としてはもってこいだ」

 

「何言ってるんだバリオ、民間人をそんなことに巻き込むなんて無茶すぎるだろ!?」

 

「・・・うむ、そこのお二方はともかくユーリ君までは・・・」

 

「でも仕方ねぇだろ。バハロスの連中は当てにならねぇんだし、そんなに時間もねぇんだ。何せあの3人が飛ばされる前に落とさねぇと不味い。」

 

 なんだかバリオさんが二人を説得しているようだが、例の作戦に関することだろうか。

 

「・・・分かった。ではユーリ君、今現在グアッシュ海賊団の勢力は馬鹿にならないほど拡大している。霊夢君の話からも聞いていただろう。その上で、ムーレアへの通行のために我々の作戦に協力してくれるか、ここで判断して欲しい。私としては民間人を巻き込みたくないというのが山々だが、もはやそうは言っていられない状況なのだ。かなり荒療治になるが、グアッシュの連中に対抗するにはこの計画しか無いのだ・・・」

 

 シーバットさんが申し訳なさそうにユーリ君に頼み入る。保安局の人間として、民間人に頼らなければならない状況に不甲斐なさを感じているのかもしれない。

 元々私達は作戦とやらに協力する腹積もりでいるけど。

 

「・・・分かりました。どうやらグアッシュを退治しなければムーレアまでは行けないみたいですし、今までも海賊相手に戦ってきましたから。大マゼランと聞いて少し不安ですが、出来る限り協力したいと思います。」

 

「おっ、これは面白くなってきたな」

 

 ユーリ君はシーバット宙佐の頼みを承諾する。トーロ君はあまり危機感がないのか、霊沙みたいな反応を返した。

 

「うむ、協力感謝する。では、詳しくはバリオ宙尉から聞いてくれ。打ち合わせ場所は、そうだな・・・」

 

「一杯引っ掛けながらで良いでしょう。この建物でできる話でもない。」

 

「む、その方がかえって安全か。ではバリオ、任せたぞ」

 

 わざわざ酒場に移動するとは、保安局の建物ではしにくい話なのだろう。サナダさんの忠告が頭を過る。彼等も内側の目を気にしなければならないとは、中々に大変そうだ。

 

「んじゃ、俺たちゃ一足先にやってます。ウィンネル、行こうぜ」

 

「あ、ああ・・・」

 

 バリオさんは困惑気味なウィンネルさんを連れて軽く手を振ると、この室内から出ていった。

 

「じゃあ私達も行きましょう、ユーリ君」

 

「・・・ええ、そうですね」

 

「では失礼致しました、シーバット宙佐」

 

「ああ。くれぐれも気を付けてくれ」

 

 私とメイリンさんに、ユーリ君とその一行はシーバット宙佐に一礼して保安局の庁舎を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~惑星ブラッサム・0G酒場~

 

 

 保安局の庁舎から移動した私達は、0Gドック御用達の酒場に足を踏み入れた。そこには一足早くここに来ていたバリオさんとウィンネルさんの姿も見える。

 

「おっ、来たか」

 

 向こうも私達の姿を認めたのか、軽く手を挙げて挨拶する。

 

「・・・済まないね、本当は君達のような民間人を巻き込むべきではないんだけど、もはやそうは言ってられない状況なんだ・・・。とにかく、詳しい話はバリオから聞いてくれ」

 

「別に貴方が気にすることはないわ。どのみち私達もグアッシュを退治しないと目的が果たせない訳だし」

 

 ウィンネルさんは気まずそうに謝罪するが、そもそも私とメイリンさんは目的達成のためにはグアッシュともう一戦交えなければならない状況だし、元から保安局の作戦とやらに乗るつもりだ。それに、ユーリ君の方も向こうは向こうであの宙域にグアッシュが溜まると色々困るらしい。保安局とはその点で利害が共通しているのだから、協力するのはある意味当たり前だ。

 

「ああ、それならこっちも助かる。そんじゃ、先ずは一杯引っ掛けてのんびりしろよ」

 

「あの、僕達は未成年ですよ?」

 

 バリオさんは話の前にユーリ君に酒を勧めるけど、ユーリ君はそれを受け流す。

 それより、ユーリ君って未成年なんだ。ここでの成人年齢って何歳なのかしら?まぁ、私には関係ないけど。

 

「そうねぇ、私としては賛成だけど、この場はさっさと済ませたいから今は遠慮しておくわ」

 

「ははっ、そりゃ残念だ。んでも、そっちの色っぺーおねーちゃんなら大丈夫だろ?」

 

 ユーリ君と私がバリオさんの誘いを断ると、今度はトスカさんとメイリンさんに声を掛ける。けど、どうやらトスカさんにもその気はないようだ。

 それより、メイリンさんはここでも会ったときと同じ艦長服を着ているんだけど、彼の中ではどうやら色っぽいの中に入るらしい。トスカさんならそう言えると思うんだけど、彼女まで入るのは私には謎だ。私よりはスタイル良さそうだけど。

 

「こっちは急いでいるんだ。さっさと本題に入ってもらいたいね」

 

「同上です。それに、何処が色っぽいですか」

 

 ・・・なんかメイリンさんの方から拳を握りしめる音が聞こえた気がした。

 

「んな硬いこと言わないでさ、まずは仲良くなってからでも―――」

 

「・・・ナッツを握り潰されたいのかい?」

 

「・・・ついでにそのだらしないモノも引き千切られるかもしれませんが」

 

「うっ、解ったって。二人ともんなコワい顔しないでくれよ」

 

 トスカさんとメイリンさんが凄い剣幕で睨むと、流石にバリオさんも退かざるを得なかったようだ。トスカさんはともかく、メイリンさんはかなり急いでいる事情があるからね。

 

「・・・それで本題だが、グアッシュ海賊団についてどれくらい知ってる?」

 

「えっと、確か一年前に頭のグアッシュが捕まってるとか、サマラっていう女海賊と対立してるとか・・・ぐらいですね」

 

 バリオさんが漸く本題に入り、質問にユーリ君が答える。私が知っているのもその程度だし、連中が大マゼラン艦を保有していることはさっき話したからわざわざ言わなくてもいいだろう。

 

「ああ、それだけ知っててくれりゃ充分だ。んで、問題は頭のグアッシュが捕まったにも関わらず連中の勢いは全く衰えていないって事だな。それどころか最近は、ますます艦船数を増やしている有り様でね・・・。まさか大マゼランの艦船まで持ってるたぁ思わなかったがんな訳で、恥ずかしながらもう我々保安局の手には負えないって状況なんだ」

 

「そりゃまた、随分とぶっちゃけた話だな」

 

「仕方ないわ、あれだけの勢力だもの」

 

 トーロ君がバリオさんの話に突っ込むけど、一度戦った身としては、グアッシュの戦力は保安局でどうこうなるようなレベルではない。バリオさんも、前線勤務でそれを実感していたのだろう。

 

「・・・正規軍は、動かせないんですか?」

 

「いや、バハロスの連中はダメだ。海賊はこっちの管轄だって話で終わっちまったよ」

 

「タテワリギョーセイのヘーガイってヤツか」

 

 ユーリ君が正規軍を動員できないのかと聞くが、エルメッツァと違ってこの国は国防と航路の治安維持で組織を二分しているみたいだし、トーロ君の言った通り上が号令を掛けないと軍は動かせないって訳だ。

 だが保安局の方からしたらその号令を待ってる間にますますグアッシュが増長して手を出せなくなる、って事態を恐れているのかもしれない。それに、自国企業の御令嬢が囚われているとあれば焦る気持ちも分かる。

 

「・・・・正規軍の任務はネージリンスとの国境防衛ですからね。彼等からしてみればわざわざ海賊対策部門を保安局として分離しているのに、その保安局に戦力を抽出するというのは納得がいかないのでしょう」

 

「まぁ、そういうこった。あいつらは政府レベルで指示がない限りは勝手に動けないだろうさ・・・。そんな訳で、我々は毒を以て毒を制するしかないって結論になったわけだ」

 

 メイリンさんの言葉を受けて、バリオさんが話を続ける。

 

「どういう事ですか?」

 

 そこに、ピンク色の髪の子、確かティータがバリオさんに尋ねた。

 毒を以て毒を制する・・・つまり、かなり搦め手を使うという事なのだろう。字面から大体想像できるが――。

 

「つまり―――サマラ・ク・スィーと取引をしてグアッシュに対抗する」

 

 ・・・予想通りの結論だ。保安局からしたら、単独でグアッシュに対抗しているサマラの戦力はかなり魅力的なのだろう。だから司法取引を試みる訳か。

 

「はぁ?」

 

「保安局が海賊と取引すんのかい?」

 

「それは・・・マズいんじゃないですか?」

 

 ユーリ君達の反応はいまいちで、順にトーロ君、トスカさん、ユーリ君の順で苦言を呈する。

 

「マズいね」

 

 それに対するバリオさんの応答はいたってシンプルだ。やはり彼にも、その作戦が不味いものだと分かっているらしい。

 

「いや、幾らなんでもヤバすぎだろ」

 

「ヤバすぎだね」

 

 トーロ君が更に懸念を表明するが、バリオさんの答えは変わらない。その返答を受けて、トーロ君は言葉に詰まる。

 

「だが、そうせざるを得ないほどグアッシュ海賊団の勢いは日々増している。大マゼラン艦なんて保有する始末みたいだからな。このままじゃカルバライヤの航路の要・・・このジャンクション宙域の海運がズタズタにされちまう。そうなる前に、何とかして手を打たないといけないんだ」

 

 バリオさんが真剣な表情で訴える。それだけこの宙域は、この国にとって重要な場所だという事だ。

 

「・・・話は大体分かりました。それで、僕達は何をすれば良いんですか?」

 

「そうね。作戦とやらに話は分かったけど、私達が何をすれば良いか分からないようじゃ動きようもないわ」

 

 私とユーリ君がバリオさんに尋ねる。協力するとは言っても、具体的に何をするのか指示がなければどう動いていいのかも分からない。

 

「そうだな、君達にはサマラと交渉して、協力の約束を取り付けて欲しい。俺達保安局の人間じゃ話もさせてくれないだろうからな」

 

「成程ね、それで民間の私達を頼る訳ね」

 

「そういうこった」

 

 確かにバリオさんのような保安局の人間が訪ねていってホイホイ話に乗るような海賊なんて想像できない。だから民間の私達を介して話を取り付けて貰おうという訳か。

 

「んで、条件はカルバライヤ全宙域における指名手配の停止、それと過去3年以前の罪状データおよそ2万件の消去だ」

 

「・・・そんな条件で、名の通った海賊がウンと言うかねぇ・・・。」

 

 バリオさんが提示する協力の条件はその通りだが、サマラの側からしてそれが協力に値する条件かどうかと言われると、正直微妙なところだろう。

 

「・・・今まで保安局の追撃も軽くいなしてきたサマラからしてみれば、指名手配を停止されたところで何も変わらないと言うような気が・・・」

 

 メイリンさんも私と同じ意見のようで、その条件で提案に乗ってくるかどうかは微妙に思っているみたいだ。彼女の言う通り、サマラにとっては今まで指名手配など気にも留めていないというのであれば、条件を呑む確率は低いかもしれない。

 

「そうかもしれねぇが、ウンと言ってもらうしかないな。まさか保安局が海賊に報酬を出すなんて訳にもいかないし」

 

 ただ、保安局にも彼等の立場がある。海賊から航路の安全を守る保安局が海賊に報酬を出すなんてのは本末転倒だ。その条件は、司法取引として譲歩できる最大のラインなのだろう。

 

「―――あんた達の手持ちのカードがさもしいのが心許ないわね」

 

「うっ・・・そこはあまり言わないでくれ」

 

 私がバリオさんに指摘してやると、彼は苦虫を噛み潰したような、乾いた笑いを溢す。バリオさん自身もこの条件で呑んで貰えるかは微妙だと薄々実感しているらしい。

 

「それでだが、サマラは資源惑星ザザンの周辺宙域によく出るらしい。あの辺りは資源採掘船を狙ってグアッシュの幹部クラスも活動しているからな」

 

「そいつをさらにサマラが狙うって訳か。成程、まるで食物連鎖だな」

 

 肝心のサマラの居場所だが、彼女はそのザザンとかいう資源惑星の周辺によく出るという話だ。いつぞやに女装させられたイネス君の言う通り、グアッシュと敵対している彼女にとってはいい狩り場という訳なのだろう。

 確かそっち方面の宙域はまだ回っていなかったし、施設に立ち寄ってくるついでにサマラも探してみよう。

 

「分かりました、やれるだけやってみます」

 

「ああ、なんとか頼むよ。もし彼女と接触できたら保安局に顔を出してくれ。そのときにはここの全員に通信で知らせる。」

 

 ユーリ君がそれを承諾する。私達も、見掛けたら声を掛ける程度に考えておこう。この宙域を回っているうちに出会えればそれに越したことはない。

 

「それとこれはバハロスの艦船設計社の地図だ。報酬の一部の前払いだとでも思ってくれ。必要があれば訪ねてみるといい」

 

 そう言ってバリオさんは私とユーリ君に地図が入ったデータプレートを手渡す。それを見てみると、どうやら正規軍が使用する艦船を取り扱っている艦船設計社の地図らしい。一介の航海者に軍が使用するモデルを開示するとなると、その期待は中々に高いものなのだろう。なら、此方もそのときが来ればご期待に応えられるよう暴れるとしますか。まさか連中にぶつけるのはサマラだけじゃないでしょうし。

 

「ところで確か、霊夢とかいったね。お嬢さん」

 

「ええ、そうだけど。何の用かしら?」

 

 バリオさんの話が終わったところで、今度はトスカさんが話し掛けてくる。

 

「いや、サマラの事なんだけどさ、こっちには説得できるあてが多少あるんだ。だから見掛けたときはこっちにも教えてくれ。話はそれだけさ」

 

「分かったわ。とにかく見つけたらIP通信でも送ればいいのね。まあ、見つけられたらの話だけど」

 

「ああ、よろしく頼むよ」

 

 トスカさんはそう言うと、他の仲間に混じって酒場を後にした。

 

 

「さて、それじゃあ私も行きますか」

 

 私は酒場に残るバリオさん達に一礼して酒場から出ることにした。二人は、というかバリオさんはもう飲んでいるみたいで、グラスを傾けながら軽く手を降ってくれた。ウィンネルさんの方は「サマラは・・・危険なんだ」とか呟いて重苦しそうな表情をしている。相手はランキングに食い込むような大海賊なんだし、遭遇したときは気を付けることにしよう。

 

 それから私はメイリンさんとも別れて、自分の艦を目指す。

 

 

 

 

「あっ、霊夢さん。お疲れ様です」

 

 酒場から出てしばらく歩いていると、向こうから早苗が出迎えてくれた。

 

「あら、早苗じゃない。――――聞いていたのかしら?」

 

「はい、バッチリです!音声も感度良好です!」

 

 早苗は得意気な顔をして答える。実は今回のやり取りは端末を介して早苗に録音させていたのだ。サナダさんの忠告も気になるし、メイリンさんとは契約したけど保安局にタダ働きされるのは気が向かないからだ。もし保安局が何も報酬を寄越さないというのであれば今回の録音で恫喝する腹積もりだったのだが、バリオさんの反応を見るにそれは杞憂で終わった。

 

「私のモットーは"労働には対価を"だからね。タダ働きされてやるつもりはないわ」

 

「クスッ、霊夢さんらしいです。それより、サナダさんから何か話があるみたいですから、早く艦に戻りましょう!」

 

「はいはい分かったわよ。そんなに引っ張らないで」

 

 早苗は私の手を掴んでぐいぐいと引っ張っていくが、私はそれを制して自分のペースで歩くことにした。

 

「ちぇっ。分かりましたよ。それでは私も霊夢さんに合わせて帰ることにします」

 

「物分かりが良くて助かるわ」

 

「私は優秀なAIですからね!」

 

 隣でフフンと早苗が鼻を鳴らす。こんな人を小馬鹿にしたような得意気な態度まであっちの早苗にそっくりだ。彼女の隣にいると、どうしても幻想郷のことが頭を過る。

 

 

 ―――紫とか、元気にやってるかしら・・・

 

 

 私はそのことを思い出して、向こう側の様子を考える。

 

 既に幻想郷では死んだ身なので今更戻りたいとは思わないが、望郷の念というものはあるのだろう。

 

 

 

 早苗の隣でそんなことを考えながら、私は艦隊の待つ宇宙港へと歩を進めた。

 

 

 

 

 

 




次回予告でマハムント改造と言っていましたが、もう1話先になりそうです。ここまで長引くとは思っていませんでした。尋問官サナエちゃんのネタで字数を持っていかれまして(笑)早苗さんは可愛いので仕方ありませんね。


大尋問官サナエちゃんの元ネタは分かる人には分かると思います。ちなみに光刀はラ〇トセーバーではなくビームサーベルです。お間違えの無いように。なお暗〇面に落ちた訳ではありません。早苗さんは真面目にはっちゃけているだけです。
早苗さんが黒い服と赤い光刀を選んだ理由は、単に格好いいからだそうですよ。

次回こそマハムント改造回になります。

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