ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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一言、言わせていただきます。



待たせたなっ!!


…待ったかな?


第45話 希望と無限の魔法使い

美しい心を狙い、無差別に襲うファントム

レギオンはアンダーワールドに

侵入する力を持っていた。

戦いの中、レギオンに侵入されたウィザードこと、

操真晴希は‥‥‥。

 

 

 

 

 

「晴希君‥‥?」

 

 

 

パリィィィンッッッ!

 

 

 

「ぐぁあああああああっ!!!」

 

 

「「「「「「「きゃあっ!?」」」」」」」

 

 

アンダーワールドに入ったビースト達。

それから数十分が経過した時だった。

ドライバーが水晶の様に砕け散り

激痛で叫び出す晴希に、周りにいた

高坂穂乃果、園田海未、南ことり、

星空凛、小泉花陽、西木野真姫、奈良城コヨミは

破片が飛んできたのかと思ったのか

声を上げながら背を向けその身を守る様に避ける。

何事かと思い振り返ると、今度は

もがき苦しむ晴希の真上に亀裂が浮かび上がると、

 

 

「フンッ!」

 

 

「どぁああっ!!?」

 

「うぉおおおっ!?」

 

 

 

その亀裂の中から勢いよく飛び出したレギオン。

続いて仮面ライダービーストと

仮面ライダーダークウィザードも飛び出すが

レギオンは綺麗に着地するものの

2人の魔法使いはダメージを負っているのか

地面にその身体を打ち付け苦しんでいた。

 

 

「攻大君っ!秀夜君っ!」

 

 

「‥‥‥フン‥‥。」

 

 

「ぐっ‥‥!ま、待ちやがれ‥!!」

 

 

飛んできたビーストらに凛と花陽は駆け寄る。

そしてレギオンは苦しむ晴希を見ると鼻で笑い

その場から立ち去って行く。

追おうとするダークウィザードだが、

まず目線に入ってきたのは倒れている晴希だった。

 

 

 

「操真!おい!操真っ!」

 

「晴希!大丈夫かっ!?」

 

 

「晴希君っ!」

 

「晴希!」

 

「晴希君っ‥!!」

 

 

攻大らを入れ周りに集まる9人は

晴希の名を必死に叫ぶ。

が、とうの本人は返事さえすることも出来ず

ただ、ただ、踠き苦しんでいた。

 

 

 

「ドラゴンが‥‥‥っ!

俺の‥‥‥‥!魔力が‥‥‥消え‥た‥‥‥。」

 

 

 

「晴希君‥‥‥?晴希君っ!!」

 

 

晴希は苦しみながらも彼女ら、彼らに

力一杯そう言い残すと、まるで時計の歯車を

抜き取られたかの様に、その場で意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

古い工場にて。

 

 

 

「賢者の石を‥‥‥?」

 

 

「貴方が持っているんでしょ‥‥?

(バチチッ!)っ!?ぐぁあああああっ!?」

 

 

「フン‥、そんな事を知ってどうする、

グレムリン?」

 

 

右手が鎖に繋がれ宙吊り状態にある

グレムリンこと、ソラはワイズマンに

『賢者の石』という物を問い出していた。

鎖から電流が走り苦痛の叫びを上げるソラに

ワイズマンは問いかける。

 

 

「‥うっ‥!?‥‥貴方と同じさ‥‥。

だって、僕はグレムリンじゃなくて‥‥

『ソラ』‥だから‥!」

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

グレムリンの理解しかねる発言に

無言のまま見下ろすワイズマン。

だがその表情は気のせいなのか

小さく笑みを浮かべている様な気がしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

コヨミの家にて。

 

 

 

2階の一部屋のベットで意識を失っている

晴希の額にゆっくりと濡らしたタオルを

コヨミは載せていた。

少し眉がピクリと動くがすぐに安らぎの表情へと戻る。

コヨミはそれを見ながら、ゆっくりと

側に置いてある椅子へと腰掛け、

晴希‥。と呟きながら看病を続けた。

 

 

 

ーーーー

 

 

「晴希はっ!?」

 

 

「あ、にこっち‥。

今、2階で寝てると思うんや。

コヨミちゃんが看病してるんよ。」

 

 

「はぁ‥っ、はぁ‥っ。

‥‥海未!さっきの、話、本当‥なの?」

 

 

玄関を勢いよく開け入って来た矢澤にこは

すぐ様晴希の名を呼ぶが、既に呼ばれて来ていた

東條希は天井を見ながらにこに告げる。

同じく駆けつけた綾瀬絵里はそれを聞き俯く。

にこは急いで来たのか息を整えながらも

先ほど連絡をした海未に事情を確かめる。

 

 

「はい‥。攻大の話では、アンダーワールドで

晴希のドラゴンが大爆発をして‥‥。

だから、もう晴希は‥魔法が使えない‥‥と。」

 

 

「‥‥ハラショー‥‥‥。」

 

 

「そんな‥‥っ。」

 

 

海未の発言に絵里は小さく呟き、

凛は寄っかかっていた壁から崩れ落ちる様に

床へとしゃがみこむ。

すると、それを聞いたにこは

強く床を拳で叩きつけるように殴っていた。

 

 

「‥‥!どぉしてあいつは無茶ばかりすんのよ‥!」

 

 

「‥‥仕方ないわよにこちゃん‥‥っ。

悪いのはファントムなのよ‥‥。」

 

 

それを見て真姫は言う。

だが、その右手は強く握りしめられ

今にも限界の様な表情をしていた。

 

 

「‥‥!晴希君、魔法取り戻せるよね‥‥?」

 

 

「‥‥‥。ことりには、分からないよ‥‥。」

 

 

花陽は隣に座っていることりに聞く。

だがことりは現状が現状なのか、

慰めではなく正直に花陽に言っていた。

 

 

「‥‥‥晴希君‥‥‥‥‥。」

 

 

穂乃果は天井へ見上げる。

晴希の無茶は正直慣れかもしれないが

実際はあんな化け物(ファントム)と戦っている。

穂乃果、いや。

μ‘sの皆は時々思っている。

何故、晴希は自分の身を呈して、

他人を守るために怪物と戦っているのかと。

 

穂乃果は今にも涙を流しそうなその瞳を

晴希の寝ている二階へと向けていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

晴希‥‥‥。

 

操真晴希‥‥‥。

 

 

(‥‥‥誰だ‥‥‥‥?

‥‥‥‥ドラゴン‥‥‥?)

 

 

心の奥底から俺を呼ぶ声が微かに聞こえる。

意識が定かではないが俺はその声に耳を傾け

問い掛けをしてみる、が。

ウィザードラゴンらしきその声はずっと

俺の名を呼んでいるだけだ。

それどころか、徐々にその声がまるで

遠ざかるかの様に聞こえなくなっていた。

 

 

 

晴‥希‥‥‥‥。

操‥‥‥‥晴‥‥‥‥‥。

 

 

 

(‥!‥‥‥待ってくれドラゴン‥‥!!

ドラゴン!!)

 

 

 

「っ!?はっ!?‥‥うっ!!?」

 

 

俺は叫び必死に掴もうとしたその時だった。

目が覚め、瞬間飛び起きる。

直後に掴もうとした腕にじわりと痛みが走り、

徐々に現状を把握していった。

ここはコヨミの家‥‥?

俺は確か、、ファントムと戦って‥‥。

 

 

「っ!‥‥‥。」

 

 

俺は記憶がハッキリとした瞬間、

自分のかかっている布団をめくり上げ

ドライバーオンリングを腰のベルトへとかざす。

 

エラー、、と言ってくれたら

まだ安心していたかもしれない。

だが、いくらかざしても

()()反応してくれない。

ファントム、レギオンとの戦いで

晴希の中にいるウィザードラゴンが

消滅してしまった事を思い出し、

晴希は口にしたくない言葉を口にした。

 

 

「魔力が‥‥、消えてる‥‥‥!

‥‥‥‥‥ぐっ!!」

 

 

現状を知った上で口にしたその言葉。

悔し紛れに俺は強く拳をベッドへと叩きつける。

 

 

「‥‥‥‥‥‥。」

 

 

ちょうど、替えのタオルを取りに部屋から出て行った

コヨミだが、入るタイミングを失い、

悔しがる晴希の姿をドアの隙間から

見つめ俯いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

「ハァ‥!ハァ‥‥っ!」

 

街の交差点付近で全力で走る男性を見つける。

二藤攻大だ。

彼の上空には使い魔のグリーングリフォンが

飛び回っている。

 

 

「ハァ‥!すまねぇ晴希‥‥!

あのファントムは絶対俺が倒す‥!」

 

 

1度立ち止まり、辺りを見回しながらそう言い放つ。

すると別の通路から1人の男が攻大の元へと駆け寄ってくる。

肩にはブラックケルベロスを載っけた秀夜だ。

 

 

「おいっ、見つかったかっ?」

 

 

「いや、まだだ‥!そっちは‥‥!?」

 

 

攻大の言葉に首を振る秀夜。

 

 

「ぜってぇ見つけ出して殺してやる‥‥。」

 

 

「あぁ‥!あのファントムだけは‥俺が‥!」

 

 

「こうっち〜!秀夜君〜!」

 

息を切らしながらも互いは決意し、

周囲を見渡す。するとまた別の奥の通路から

2人を呼ぶ声が聞こえてくる。

2人はその方角へ顔を向けると、

希、絵里、にこの3人がこちらへと走ってきたのだ。

 

 

「お前ら‥、μ'sの連中じゃねーか。」

 

 

「絵里ちゃん、にこちゃんっ、希ちゃん!?

何で‥!?てかどうしたんだっ?」

 

 

「どうしたもこうしたもないわ‥!」

 

 

「ファントム‥!探してるんでしょっ?」

 

 

「ジッとしていられなくなってな、

ウチらも手伝わせてくれへん‥?」

 

 

突然やってきた3人は息を整えながらも

攻大と秀夜に同行をお願いする。

仮にも一般人をファントム探しに巻き込むのは

決して良くはないことだ。

秀夜は嫌そうな顔をし目を逸らすが

今の2人には、断る理由がない。

 

 

「‥ちっ、ヘマしたら承知しねえぞ。」

 

 

「すまねえっ。3人共。

俺のグリフォンちゃんを護衛させるから、

見つけたらすぐに知らせてくれよ!」

 

 

「えぇっ、分かったわ!」

 

 

「ふふん!大船に乗ったつもりで

このにこにーに任せなさい!」

 

 

「小舟の間違いやないん?」

 

 

「ちょっ!?希!どーゆーことよっ!?」

 

 

 

「‥‥本当に大丈夫かよ‥‥。」

 

 

了承を得て気合いを入れるμ'sの3年生組だが

変な気合い?も入っているためか、

秀夜は不安の息を吐きながら呟いていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

コヨミの家にて。

 

 

 

 

 

「‥‥‥え?あっ、晴希君!」

 

 

先ほど、μ's 3年メンバーが攻大の

ファントム探しの手伝いをしてくると出て行き

空気が静まり返っていたこの場だが穂乃果の一言により

1、2年のメンバー全員は同時に階段付近を見上げる。

そこには千鳥足で降りてきた晴希の姿があったのだ。

 

 

「晴希!目を覚ましたのですねっ。」

 

 

「もう身体は大丈‥ってどこいくにゃっ?」

 

 

「悪い、心配かけた。ファントムを探してくる。」

 

 

「えっ!?」

 

 

階段付近の椅子へと腰掛けてた海未と凛が

真っ先に駆け寄るが晴希は2人を通り抜け

その一言で花陽は驚愕する。

 

 

「ちょっ!?はぁっ!?あなたっ、

そんな状態で行けるわけないでしょ!」

 

 

「無茶だよ晴希君!」

 

 

「奴はドラゴンを倒しただけだっ。

俺自身何ともない。」

 

 

続いて真姫、ことりがその言葉を聞いて

晴希の前へ立ち、止めようとするが

まるで言い訳をする様に2人の間を割って入り

通り抜ける。

 

 

「フ、ファントムは攻大君が探してるからっ。

晴希君は無理しないでっ‥!」

 

 

「奴は無差別に人を襲ってる!

‥‥‥‥わりぃ花陽。攻大、秀夜(あいつら)だけじゃ‥!」

 

 

「あっ、晴希君‥!」

 

花陽も止めようとするが、

苛立ったのか声を荒げ、そのせいでビクつく花陽。

それを見た晴希は申し訳なさげに前髪を

右手でくしゃりと持ち上げ、その場から出て行き、

穂乃果は叫ぶが彼女の声は全く届いていなかった。

 

 

「‥‥晴希君、混乱してる‥‥‥。」

 

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

 

「コヨミ‥‥。どういうことです?」

 

 

晴希が出て行った直後、階段からそう言って

降りてきたコヨミに反応し、海未が問いかける。

 

 

「自分がやらなきゃって気持ちと、

魔力がなくなった事の整理が出来てないと思うの‥。」

 

 

「‥‥‥。よし!!

私晴希君を探してくる!」

 

「あっ、穂乃果っ!?

ことり!私達も行きますよ!」

 

「うんっ!」

 

「わ、私も!」

 

「かよちんっ!待ってよ!」

 

「あぁもうっ!私も行くわ!」

 

 

コヨミの言葉を聞いて穂乃果は数秒俯き、

グッと拳を握ると勢いよく飛び出していく。

その背後を海未、ことり、花陽、凛、真姫が

追って行き、大勢いたコヨミの家は

一瞬にして淋しくなっていた。

そしてコヨミは壁にかけてあった晴希の

コートを見つけると何かを決意したのか

可愛らしい頭を小さく頷いていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

「ふぅ‥‥っ、使い魔も出せないか‥‥。

ははっ、笑えるな‥‥‥。」

 

 

コヨミの家から出てものの数分後の道で

晴希は右中指に嵌めているガルーダリングを

ベルトへとかざしていた、、が。

やはり音すら鳴らない状態だった。

流石のこの事態に笑いが出るのか鼻でフッと

息が出てしまう晴希。だが落ち落ちしていても

仕方ない。こうしている間にもまた何処かで

罪もない人々が襲われているかもしれない。

晴希はよろめくその身体を手摺りに掴まりながら

必死に足を動かす。

 

 

「あっ、いた!晴希君っ!」

 

 

背後から声が聞こえる。

ほぼ毎日聞き慣れた穂乃果の声だ。

 

 

「晴希君!落ち着いてっ?」

 

「止まってください晴希!」

 

 

穂乃果は晴希の腕を掴んで止めると

その背後からことり、海未が駆け寄り

もう片方の腕を掴んでそう言ってくる。

 

 

「晴希君‥‥、ごめん!」

 

 

「え?」

 

 

突然目の前で頭を下げて謝ってくる穂乃果に

思わずポカンとした表情になってしまう晴希。

 

 

「私達‥晴希君に頼りすぎてました‥‥。」

 

 

「そうね、貴方は頑張りすぎよ。」

 

 

「ファントム探しとかは凛達に任せるにゃ!」

 

 

続いて1年メンバーの花陽、真姫、凛が

掻い摘んで言ってくるが、そんな危険な事を

任せるわけには行かない。

晴希は小さく息を吐き、ダメだと口にしようと

した瞬間だ。

 

 

「晴希!意識戻ったのか!?」

 

「ふん、簡単にくたばる男じゃねえもんな、

てめえは。」

 

 

「晴希!」 「晴希君!」

 

「やっと目を覚ましたのね!

てか、何で外にいるのよっ?」

 

 

「攻大君!秀夜君!

絵里ちゃん、希ちゃんににこちゃん!」

 

 

姿を見かけたのか全力で駆けつける攻大。

その背後から秀夜、絵里、希、にこが駆け寄る。

 

 

「攻大、秀夜、ファントムは‥」

「皆まで言わなくていい!‥いいから聞け。」

 

 

彼らを見て晴希が口にしようとしたのは

やはりファントムの情報だ。だが、攻大は

言い切る前に割り入り、小さくそう言った。

その表情はいつもの元気な表情ではなく、

真剣で、何処か焦りを感じる表情だ。

 

 

「お前のドラゴンがやられたのは‥、

全部俺の責任だ‥。どう謝っていいのかわかんねぇ‥。」

 

 

「‥‥‥。」

 

 

「攻大君‥‥。」

 

 

あの時、晴希のアンダーワールドで

レギオンに攻撃されそうになった攻大だが、

それを庇ったのはウィザードラゴンだった。

庇うために現れたのか、自分のアンダーワールドの

破壊を防ぐ為に出てきたのか分からないが

その判断でドラゴンはレギオンにやられてしまい

死んでしまった。

あの時、攻大が動けていたらこんな事には

ならなかったのだろう。

自分の姓だと罪悪感を抱きながら攻大は

レギオンを必死に探していたのだ。

9人のμ's、秀夜が見守る中、

攻大は拳を握り締め覚悟を決めたかのように

その言葉を発言した。

 

 

「今のお前じゃ、()()()使()()()()お前じゃ、

ファントムは倒せない!」

 

 

「‥っ!」

 

 

現状を突きつけられた言葉。

魔法が使えなくなった晴希は

言ってしまえば身体能力が高いただの()()

成り下がっている。そんな奴がファントムを

探したところで、何ができる?

 

答えは簡単だ。

少し対抗はできても相手は怪物。

下手をすればすぐに殺される。

言ってしまえば今晴希がやっていることは

ほぼ自殺行為みたいなものだった。

 

攻大の言葉に晴希はやっと、

現実を目の当たりにしたのか

張り詰めていた力が抜け手摺りに寄りかかる。

 

 

「‥はっ、まぁそんなこったな。

てめえは大人しく待ってろ。」

 

 

「っ、それはちょっと言い方が‥!

穂乃果‥‥?」

 

 

突き刺す様に秀夜は脱力してしまってる

晴希に言うと、腹が立ったのか海未が

物申そうと一歩前に出るが、

それを止めたのは穂乃果だ。

 

 

「晴希君、今は無理しないで

ゆっくり休も?大丈夫!

また魔法なんてすぐ使えるようになるから!

そんな事で落ち込むなんて晴希君らしくないぞ!

ファイトだよっ!」

 

 

「‥穂乃果‥‥。」

 

 

穂乃果の言葉、そして周りの目線により

晴希は大きく息を吐き、了承したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

とある路地裏にて。

 

 

 

「うっ‥!?あぁ‥‥!!」

 

 

工事服を着た中年男性は胸を押さえながら

背後の階段へと倒れ込む。

すると彼の胸元から巨大な亀裂が走り

亀裂から何かが飛び出してくる。

ファントムレギオンだ。

 

地面へ着地するレギオンだが

何処か様子がおかしいのか

自身の武器の薙刀を眺めてはその場に

立ち尽くしている。

 

 

「‥‥エキサイティングしない‥。

なぜ、エキサイティングしない‥‥?」

 

 

人の純粋な心をぶち壊す、破壊するのが

レギオンの快感。おそらくそこに倒れている

男性の心もレギオンに付け込まれたのだろう。

だが壊したはいいものを、いつもの快感を

感じられないレギオン。

すると、少し前の事が頭の中を過ぎったのだ。

それは、心を破壊し損ねた晴希だった。

 

 

「ふむ‥、あの竜を壊しただけでは

意味がない。やはり完璧に壊さなくては‥

それこそが俺のエキサイティング‥‥!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「‥‥‥‥はぁ。」

 

 

ゆっくり休めと言われた晴希は

家に帰って来たはいいものを

落ち着く事が出来なかった。

気晴らしに街がよく見える高台へと来ていた晴希。

また、もう一度ドライバーリングを

ベルトへとかざすが、何も反応しない。

 

 

「‥‥‥こんな時に限って、姿も現さないよな‥。」

 

 

晴希はボソっと呟く。その現さない相手は

この世界に連れてきた本人、神様だ。

危機的状態のはずなのにここ最近は

全く晴希たちの前に顔を出していない。

まぁ、多忙なのだろうと潔く諦めがついた晴希だが。

 

 

「‥‥‥くっ‥‥!!」

 

 

晴希は拳を今座っているベンチに叩きつける。

このままずっと魔法が使えない事を考えたのだろう。

何度も、何度も、ガンッ!ガンッ!と

鈍い音が誰もいない高台へと響き渡る‥。

 

だが、それを聞いていた者がいた。

 

 

「晴希君。」

「っ、‥‥‥‥コヨミ‥‥‥?」

 

 

殴っていた右手にそっと両手を乗せてきたのは

コヨミだった。晴希は彼女の存在に気付き

ハッと我に帰り、次第に来るじんわりとした痛み。

 

 

「落ち着いた?」

 

 

「‥‥‥悪い‥‥。

変なとこ見せちまった‥。」

 

 

「ううん、大丈夫。」

 

 

そう言ってコヨミは晴希の隣へと座る。

 

 

「‥‥怪我は大丈夫?」

 

 

「あぁ、大したことはないよ。」

 

 

「うん、よかった。」

 

 

言われてみれば晴希は身体の至る所に

ガーゼや絆創膏などが貼られているのに今気付く。

おそらくコヨミが付きっ切りで見てくれたのだろう。

次第と、彼女には母性本能が溢れているのか

晴希はコヨミに話しかけた。

 

 

「‥‥俺の魔法、使えなくなったみたい‥。」

 

 

「‥うん。」

 

 

「バカだよな‥‥、油断してやられちまうやんてよ‥。」

 

 

「‥‥。」

 

 

「攻大や秀夜‥、穂乃果達にまで迷惑かけちまった‥。」

 

 

次々と出てくる言葉。

まるで溜まっていた物が吐き出されているようだ。

そして、、それは言葉ではなく目からも

溢れ出してきた。

 

 

「もう‥‥俺はもう‥魔法使いじゃなくなった

俺はっ‥!人を助けることができない‥‥!」

 

 

晴希は蹲る。

己の不甲斐なさに‥。

そしてもう、魔法使いとしてではなく

ただの、()()に戻ってしまったことを。

コヨミも返す言葉がないのか

黙って聞いていたが、、

再びそっと、晴希の手に自分の手を重ねてきた。

 

 

「コヨ‥ミ‥‥?」

 

 

「私ね、音乃木坂に入る前はずっと入院していたの。

とても身体が弱くて、、もうお医者さんからは

助からないと言われていた事もあったわ‥。

言ってしまえば‥‥‥絶望したかも‥。」

 

「えっ…?」

 

コヨミは空を見上げ再び話す。

 

 

「でも、そんな私を勇気づけてくれたのが、

『μ's』。穂乃果達の歌を聞いて‥、

凄く勇気が出て無事退院できたの。

退院して、貴方と出会って、、

穂乃果達とも出会えた。

だから今私もμ'sのメンバーなのがとっても嬉しい‥!」

 

 

コヨミは笑う。天真爛漫の様なその笑顔は

本当にμ'sが好きなんだと伝わるほどだ。

 

 

「だからね、晴希君は‥晴希は‥‥、

皆んなを笑顔にする魔法使い。

魔法がなくても、晴希は晴希。

貴方は私達の最後の希望よ。」

 

 

「コヨミ‥‥‥。」

 

 

「大丈夫‥‥大丈夫だからね‥。」

 

 

優しく、勇気づけてくれるコヨミに

晴希は自然と震えと涙が溢れ出し、

静かに嗚咽をしながら時が経っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ここでもないか‥‥、奴はどこだ‥?」

 

 

彼方此方を探し歩き回るレギオンは

街中の広場へと訪れたが、お目当の晴希の姿は

どこにもなく、苛立っているのか

口調が少しだが早くなっていた。

 

 

「あっ!いたっ!あの人だよねっ!?」

 

 

「ん?」

 

 

若い女性の声に反応し振り向く。

そこにはこちらを指差していた穂乃果、

そして8人の女性と攻大、秀夜も後から集まってくる。

すると、攻大と秀夜は一気に駆け出し

レギオンに向かって飛び蹴りを食らわそうとしてきた。

ひらりと軽い身のこなしでソレを交わすと

今度は2人の拳や蹴りなどのぎこちない

連携攻撃をしてくる2人の魔法使い。

流石に両サイドからの攻撃と()()()()

身体では抵抗もできないのでレギオンは

その場から瞬時に離れ、攻大と秀夜を睨みつけた。

 

 

「また貴様らか‥‥。

失せろ、貴様らなぞに用はない。」

 

 

「お前にはなくても俺らにはあるんだよっ。

行くぜ秀夜。」

 

 

「ふんっ。」

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

《ドライバーッ・オン!》

 

 

「変身!」

 

「変〜〜〜身っ!!おっら!」

 

 

《ダークネス・プリーズ

 

アク アク・アクアクアーク!!》

 

 

《SET!Open!!

 

L!・I!・O!・N! ライオーン!!》

 

 

お決まりの魔法の言葉、そして変身シークエンス。

だが、今回の二人は何か強い気持ちと

小さな焦りが伝わる仮面ライダービースト、

仮面ライダーダークウィザードが見参した。

 

 

「っしゃあ!ランチタイムだ!」

 

「ディストラクションタイムといこうか!」

 

 

「‥‥‥!」

 

 

ダイスサーベル、ウィザーソードガンを取り出す

ビーストとダークウィザード。

それを見たレギオンは目を光らせ、

黒い靄に包まれると同時にその姿を

ファントムレギオンへと変える。

 

 

「ふんっ!随分気合いが違うな?」

 

 

「当たり前だ。ここでてめぇを喰わねぇと

晴希に顔向けできねぇ。」

 

 

「そういうこった。

行くぜぇえっっ!」

 

 

「っ!…ふん!!」

 

前と交戦したときとは気迫が違うのを察したのか

レギオンは薙刀を取り出しながら問うと

2人は意気投合の様に答え、その手に持つ

ダイスサーベルとウィザーソードガンを

薙刀を構えたレギオンに向け振りかざした。

レギオンは薙刀で受け止め両武器の刃が

混じり合い火花が散って行く。

 

 

「攻大!藍崎!そんなやつ

さっさとやっつけちゃいなさい!」

 

 

「負けたら承知しないにゃー!」

 

 

「が、頑張って〜っ!」

 

 

戦う彼らの姿を後ろから

にこ、凛、必死に応援する花陽達。

すると希は絵里に目を向けると小さく首を頷く。

それを見た絵里は頷き返し、μ'sメンバーに

声をかける。

 

 

「みんな、ここに居ても功大達の邪魔になるわ。

ファントムは魔法使いに任せましょう。」

 

 

「えっ?でも絵里ちゃん…っ。」

 

 

「ウチらには、まだやることがあるやろ?

ね?海未ちゃんっ。」

 

 

絵里の言葉に皆は戸惑う。

すると希は海未にウィンクをしながら聞くと

分かったのかにこりと頬を上げ

穂乃果の背中にポンと手を当てた。

 

 

「そうです穂乃果。私達には

やるべき事があります。

私達にしかできないことですっ。」

 

 

「私達しか…?」

 

 

「あ〜…わかった☆」

 

 

「えっ?ことりちゃんは分かったのっ?」

 

 

「もぉ、鈍いわね。

今落ち込んでるあの人を勇気付けに行くに

決まってるじゃない。」

 

 

ことりと真姫も理解したみたいだが

穂乃果はまだ頭にハテナマークを浮かばせている。

この事態で分からないのは流石ねっと

言わんばかりに真姫はおどおどする彼女を見ながら

答えを言ってあげた。

穂乃果はあっ と声を上げると頷き、メンバー

全員の顔を見合わせしゃがんでいた身体を

勢いよく立ち上がらせる。

 

 

「みんな、行こう!私達にしかできないことを

やる為に!」

 

 

「うんっ!☆」

「はいっ!」

「当然よ。」

「うんっ…!」

「了解にゃー!」

「ええっ!」

「しょーがないわねーっ。」

 

「うんっ。ほな、行こうかっ!

そっちは任せたでー!

あ、ちょっとグリちゃん借りるな〜。」

 

 

全員が返事と共に物陰から立ち上がり、

最後に希も立ち、交戦をしている

ビースト、ダークウィザードへと向かって叫ぶ。

ビーストはレギオンの振りかざす薙刀を

ダイスサーベルで受け止めながら

希らの方を向いて声を荒げた。

 

 

「おうっ!なに喋ってたかわかんねーけど

皆まで言わなくていい!この場は俺に任せろっ!」

 

 

《バッファ!ゴーッ!

 

バッバ・ババババッファー!》

 

 

「意地でも!こいつには…勝ぁああつっっ!!」

 

 

「っ!?ぅおっっ!!」

 

 

ビーストは喋りながらバッファリングを

右中指に取り付けドライバーの右リングスロットに

バッファリングをはめ込む。

音声が鳴り、赤い魔法陣がビーストの

右肩を通り抜けるとバッファマントへと

スタイルチェンジする。

攻撃力を上昇させるマントでビーストは

レギオンの薙刀を力強く押し返すと

弾かれたレギオンは怯み仰け反ってしまう。

 

 

《シャドウ・プリーズ》

 

 

「オッラァ!!」

 

 

「ぐっ…!?なんだ…!」

 

 

「マヨネーズ。テメーばっかに

おいしいとこ持って行ってたまるかよ。」

 

 

「マヨネーズじゃなくて二藤攻大だ!」

 

 

怯むレギオンにすかさずダークウィザードは

シャドウリングで呼び出した影のダークウィザードと

両脇からウィザーソードガンを斬りつけ、

火花を散らし、レギオンを吹っ飛ばす。

流石の不意打ちには応えるのか小さく苦痛を

訴えるかのように2人の魔法使いを睨む。

 

 

「…よし!後は任せてお前らは

あいつを救ってやれ!ここは俺が意地でも

こいつをぶっ倒すからよ…!

……ってあれ?」

 

「…いねぇぞ?」

 

 

「マジカヨ!?恥ずかしい台詞言った俺

お疲れだろぉ!?」

 

 

「…ふざけてるのか

遊んでいるのか分からない下品な奴らだ…!」

 

 

ビーストは肩にダイスサーベルを乗せ

後ろに居るはずの穂乃果達に声をかけるが

数秒返事が来ない事に気付き

後ろへと振り返る。そこにはもう既に物抜けのからで

ダークウィザードは静かにつっこむと

ビーストは四つん這いになり仮面の上から

滝の様な涙を流す(演出)をしていた。

その様子を見ていたレギオンは

バカを見るかの様に哀れな目をしながら

そう言った…のだが。

 

 

「「…んだとっ!?」」

 

 

 

《ハイパー!ゴーッ!

ハィハィ、ハィ、ハイパー!!》

 

 

《ダークネス!ドラゴン!

ヤミ・ヤミ・ヤミヤミヤミィイ!!》

 

 

レギオンの挑発に反応する2人は

意気投合の動作でハイパーリング、

ダークネスドラゴンリングをそれぞれ

右中指に取り付け、ビーストはドライバーのリングスロットに、ダークウィザードは

ドライバーのハンドオーサーへと指輪をかざす。

変身音声と共に2人のベルトから

エネルギー体のダークウィザードラゴン、

キマイラが飛び出し、彼らの周りを軽く飛翔し

魔法使いの中へと入り込む。

そしてビーストはビーストハイパー、

ダークウィザードはドラゴンスタイルへと

姿を変えたのだ。

 

 

「散々バカにしやがって!

こっからが本番だっつーの!」

 

 

「テメー何回下品って言った?ぶっ殺すぞ!」

 

 

「…よくわからん奴らだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

海辺にて。

 

 

 

「よいしょ、…ついたわ。」

 

 

「…ここは?」

 

 

マシンウィンガーで走行し、行き着く先は

とある海辺だった。

幸い、マシンウィンガーはガソリンで走る為

現時点では動かす事が可能である。

ヘルメットを外したコヨミは大きく背伸びをし、

深く深呼吸していた。

晴希もエンジンを止めバイクから降り

ヘルメットを外し、息を吸い込む。

波行く音、そして海の香りが漂い、

なんとも塩っ気のある様な匂いだ。

 

 

「入院してた頃、外出の時によく来ていた場所。

ここにいると何故か落ち着くの。

…どうかな?」

 

 

「…あぁ、たしかに落ち着くかもな。」

 

 

「そう?よかった。」

 

 

階段を降り、海の砂浜を歩く2人。

晴希の顔を見て純粋に微笑んでくれるコヨミ。

この子のお陰で晴希は気持ちは落ち着きを

取り戻しはしたが魔法が使えない分、

まだ焦りをその顔に残している。

 

 

「……。」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「あぁ、いや。

攻大と秀夜、大丈夫かなって…。」

 

 

「きっと大丈夫。あの二藤君達だよ?」

 

 

コヨミの言葉に晴希は数秒目を逸らし、

そだなっと小さくそう言った。

攻大と秀夜の事だ。きっと、きっと倒してくれる。

友達として晴希は彼らを信じるのは当たり前の事だと

自分の中で言い聞かせたのだった。

 

 

「………。(あれ?)」

 

 

ふと晴希は気付いた。

いや、来た瞬間から感じていた。

いや、気のせいだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場所…

 

ここを…

 

 

 

自分は、

 

 

 

転生する前から知っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「これでも食らえ!」

 

 

《ミラージュマグナム!》

 

 

「うぉっ!?」

 

 

《コピー・プリーズ》

「隙なんて与えねーよ。オラァッ!」

 

 

「っ!?ぬぅ…!?」

 

 

器用にビーストはガンスピンアクションをしながら

シュートリガーを引き、光弾をレギオンへと浴びせる。

火花を散らし、怯む間も無く別の方からは

コピーリングで二丁となったウィザーソードガンを

ダークウィザードはレギオンに向け

コントラクトリガーを引き、数発を浴びせる。

レギオンは薙刀、こちらは銃。

遠距離攻撃なら流石の強敵でも

苦戦を強いられるだろう。

 

 

「なるほど…、下品なお前らをここまで変えたのは

あの魔法使いの心か?」

 

 

「だったらどーした?」

 

 

「ますます興味が湧いた…!

ふふふ……エキサイティングっ!!」

 

 

 

「っ!?ぅおあっ!!」

 

「っ!!?二藤っ!!」

 

 

以前と戦った時よりも2人の魔法使いは

連携、能力を駆使し、レギオンを翻弄させている。

その発端が晴希だと知ったレギオンは

不気味な笑みを浮かべ、好奇心を表に叫ぶと

薙刀を振りかざし、空間を裂ける様な斬撃を放つ。

晴希の中のアンダーワールドを無理矢理こじ開けた

あの亀裂だ。

不意のその攻撃にビーストは反応が遅れ

右足が亀裂に飲まれまるで右足が

石になるかの様に動けなくなり

四つん這いになってしまう。

 

 

「うぐっ…!!動けねぇっ!?」

 

 

「ち、クソがっ!」

 

 

「お前もだ!ハアッ!!」

 

 

「しまっ…!?あぐっ!?」

 

 

ダークウィザードはウィザーソードガンを

レギオンに向けるがレギオンは再び薙刀を振りかざす。

一発目は避けるが範囲が広く、二発目で左腕が

飲み込まれてしまい動けない状態になってしまったのだ。

 

 

 

「ふん、しばらくは動けまい。」

 

 

 

「ちくしょぉっ…!」

 

「んだこれっ…!?っておいっ!!

待ちやがれっ!!」

 

ビクともしない右足、左腕に焦る魔法使い。

レギオンはその光景を目にし鼻で笑うと

その場からゆっくりと去って行く。

 

 

 

「ふふふ…、さあ、エキサイティングの時間だ。」

 

 

その目的は既に晴希へと変わっていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

『ーーーーッ!』

 

 

 

「はぁっはぁっ…あ!いた!」

 

 

「ぉおーいっ、晴希君〜!」

 

 

 

「穂乃果?それにみんな…。」

 

 

しばらく海を眺めていた晴希とコヨミは

聞き慣れた声に反応し振り返ると

そこにはμ'sの9人とその頭上に

使い魔のグリフォンがいた。使い魔を使って

ここまでやって来たのだろう。

 

 

「みんな…。」

 

 

「みんなしてどうしたんだ…?」

 

 

「晴希君を元気付けに来たよ!」

 

 

「おやおやー?コヨミちゃん抜け駆けで

晴希君に会ってたんやなー?」

 

 

集まってくる9人に晴希は驚き聞くと

率直に答える穂乃果。

コヨミがいることを知る希はいつもの

いたずら笑みで揶揄うと少し頬を真っ赤にするコヨミ。

 

 

「そ、その…、は、晴希…泣くほど落ち込んでたから…」

 

 

瞬間、コヨミの発言で皆の表情が変わり、

晴希はその()()()()で驚愕してしまう。

 

 

「晴希君泣いたのっ!?」

 

 

「にゃーっ!ビックニュースにゃー!」

 

 

「あんたが泣くことあるのねー!w」

 

 

「えぇーっ、ちょっと見てみたかったな〜☆」

 

 

「ハラショーっ。」

 

 

「ちょっ!や、やめろ!

別に俺は泣いてなんか…!

コヨミ!余計な事言わないでくれっ!」

 

 

穂乃果、凛、にこの3バカトリオに続き

ことり、絵里も興味津々と驚く。

当然晴希は顔を真っ赤にし、誤魔化そうとするが

海未や真姫、花陽達の驚く様でどこか

子供として見られてしまっている目の前では

動揺を隠しきれずただ俯いてしまう。

コヨミもしまったと言わんばかりに

口を両手で塞いでいる。

 

 

「まぁまぁ、誰だって泣く事はあるんやから。

でもウチもちょっと見たかったかなー?

晴希君の泣き顔。うしっ。」

 

 

「希さん…カメラをしまってもらえませんか…?」

 

 

フォローに入ってくれる希だが

いつの間に用意したのか右手には

いつも撮影に使っているビデオカメラが

ガッシリと握られている。

 

 

「…よかった。」

 

 

「えっ?」

 

 

すると、花陽からそう声が聞こえ

晴希や皆は反応し、花陽の方へと向く。

 

 

「私の気のせいかも知れないかも…。

さっきまで、ずっと落ち込んでいたけど

いつもの調子の晴希君を見れて少し安心しました。」

 

 

「そうですね。もうお気持ちは治りましたか?」

 

 

花陽に続き海未が確認してくる。

それを聞いた晴希は左手を自身の胸元に

そっと手を置く。

たしかに目覚めた時と比べたらだいぶ

気持ちが落ち着いている。

コヨミに元気付けられたのもあるが…。

 

 

「…あぁ、今のところはな。

皆んなのおかげだ。本当にありがとう。」

 

 

今落ち着いていられるのはこの暖かいμ'sのおかげだ。

魔法使いとして守らなければならない自分が

守られる側から元気をもらうなんてそうはないはずだ。

大変な事態のはずなのに、こんなに嬉しいと

思った事はない。

 

晴希の感謝の言葉を聞いたメンバーは互いを見つめ

満面の笑みを浮かべた。

この時晴希はまた、初めて穂乃果達と

出会った時の様に改めて心の中で誓う。

 

 

守ってやる、この子達を‥‥

この世界を。絶対に。

 

 

魔法の力は失われてしまったが、

くよくよしていても仕方ない。

晴希は右手を強く握り、

攻大達の無事と勝利を待つのみとなった。

……攻大達…?

 

 

「あっ、みんなっ。

攻大と秀夜はどうしてるんだっ?」

 

 

「今、ファントムと戦ってるわ。

頼りないけどあの2人ならきっと…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい、実にいい…!

エキサイティングっ!!!」

 

 

 

 

瞬間だった。

真姫が喋っていた直後、聞き覚えのある声が聞こえ

晴希は背筋が凍る様な嫌な感じが走り

その方角へと振り返るが時は遅し。

レギオンが薙刀を振りかざし、放った衝撃波が

晴希達の足元の砂浜へと直撃し、爆発を起こす。

その爆風にμ'sのメンバー、晴希やコヨミは

砂浜のあちこちに吹き飛ばされる。

 

 

「ぅうっ……!?

み、みんな…大丈夫…!?」

 

 

「ゴホッ…ゴホッ!」

 

 

「うぅっ…!」

 

 

一瞬の出来事に何が起きたのか分からない状態だが、

コヨミはいち早く皆の安否を確かめる。

それぞれの呼吸や咳、唸るの声が聞こえ

奇跡的に衝撃波は当たらずに済んだものの

皆の顔や身体には傷、血の様なものがちらちらと見える。

浅瀬の海へと吹き飛ばされた晴希は

ずぶ濡れながらもその光景を確認すると

歯を食いしばりレギオンへと睨みつける。

 

 

「どうしてここが…!!

…攻大達はどうしたっ!?」

 

 

「お前の心を壊し損ねたからな。

随分と探したぞ。下品な奴らは

俺の攻撃で動けない状態にしてある。」

 

 

「んだと…!?」

 

 

「じゃあ、ゆっくりと楽しませてもらおう。」

 

 

この時を待っていたかの様にレギオンは

薙刀を構え、こちらへと接近してくる。

晴希はクソがと啖呵をきり、生身の状態で駆け出す。

 

 

「ふんっ!はぁっ!」

 

 

「ぐっ!?うぉっ!?」

 

 

怪我を負わせてしまった穂乃果達から

レギオンの注意を逸らそうと迎え撃つ晴希だが

生身では攻撃を交わすのが精一杯。

増してや足は海に浸かっている為まともに

動く事もままならない。

そう考えてる事が的中してしまったのか

晴希は転んでしまい、レギオンはその隙を逃さず

薙刀を振りかざす。交わす事ができない晴希は

刃のついていない棒の部分を受け止める。

鈍い音が響き、受け止めた腕に激痛が走る。

 

 

「晴希…君…!!」

 

 

「っ!…俺はっ、俺はまだ…

やられるわけにはいかないっ!でぁっ!」

 

 

「っ!?」

 

 

砂浜からメンバー達の声が聞こえる。

ちらりと見ると倒れていた穂乃果達は

いつのまにか集まって一人一人が痛む腕や

足を抑えながら晴希を見ていた。

晴希はそれを見て、聞き、闘志が燃え上がる。

激痛が走る手の甲で受け止めてた薙刀を

押しのけ、晴希はレギオンの右肩に

右足の蹴りを二発ほど繰り出す。

ダメージは通る気配など全くないが

怯んでしまっている隙に懐へと摑みかかる。

だが、そんな悪足掻きなどすぐに終わり

レギオンは容易く振りほどき、薙刀で

晴希の胸元を切り裂く。

砂浜にいた花陽は小さく ひっ! と声を漏らし

目を背ける。

それもそのはず、斬られた晴希は胸元から

流血し、考えられない海水がその傷口を襲うのだから。

 

 

「ふんっ!実にいい!」

 

 

「っ!!でぇああああああっ!!!」

 

 

喉が裂そうなほどの声を荒げる。

痛みなど気にしている場合ではない。

例え手足がちぎれようとも、晴希は戦う。

彼女らを守る為ならば、全力で戦う。

 

「もうやめてっ!晴希っ!!」

 

「このままじゃっ、晴希君がっ!」

 

「晴希っ!」

 

「こうなったら私が…!」

 

「無茶よ!私達が戦えるわけないじゃない!」

 

「にゃあっ…!」

 

「どうしよぅ…!!」

 

「穂乃果ちゃんっ!!」

 

 

絵里、希、海未、にこ、真姫、凛、

花陽、ことりが必死に声を荒げる。

ファントムの恐ろしさはこの子達も嫌と言うほど

実感している。生身の人間では到底太刀打ちなんてできない。

今までこんなピンチを乗り越えてきた晴希でも

今回ばかりは違う。

その考えが彼女らの思考を妨げているのだろう。

 

だけど、、

 

コヨミと穂乃果はずっと黙って、

彼を見ていた。

 

こんな危機的状況でも、穂乃果とコヨミの目は

諦めていないのだ。

 

 

 

「フンっ!悪足掻きはもう終わりか?」

 

 

「ぐっ…!」

 

 

「終わりだ。諦めろ。フン!」

 

 

「うごっ!!」

 

 

左足で蹴飛ばされる晴希。

ゲホゲホと咳をし、傷口を抑え苦しむ。

だが、身体中ボロボロでも、彼は立ち上がろうとする。

 

 

「いい、実にいい。

やはりお前は潰し甲斐がある。

ボロボロの状態で立つその意思。

その心は実に魅力的だ。」

 

 

「…へっ…!

さっきから…気持ちの悪いことばっか、

いいやがるな…!」

 

 

一旦区切ると力一杯振り絞り立ち上がる晴希。

 

 

「魔法使いはな…!

常に理想が高いんだ…!」

 

 

晴希の頭の中の記憶が蘇る。

初めて、変身した時のポーズや台詞。

必殺技や独自で学んだ戦術や体術。

 

 

「目の前のものも…届かない時もある…!」

 

 

初の講堂ライブの失態。

守りきれなかった人。

屋上ライブで穂乃果達を悲しませてしまった事。

 

 

「だけど…現実(ショー)ってのは待ってくれない…!

幕が上がればやりきる…!終わりまで…!」

 

 

どんな事でも諦めないという強さ。

決して現実から逃げてはならない忍耐。

向き合おうとする心!

 

 

「フン、なにがいいたい?」

 

 

「俺は諦めない…!

命がある限り、自分の中にある

無限の可能性を信じて戦う…!

それがこの俺…!

 

 

指輪の魔法使い(仮面ライダーウィザード)だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那。

 

 

 

まばゆい純白の光が晴希の左手から放たれる。

 

 

 

「ぐぉっ!?な、なんだ…!?」

 

 

レギオンはその光を拒む様に晴希から遠ざかる。

 

 

 

「うぉっ!?なんだこの光…!!」

 

 

「なんも見えねえ…!どおなってやがる…!?」

 

 

「っ!?こうっち!秀夜君っ!」

 

 

石段から現れたのは攻大と秀夜だった。

レギオンの呪縛から解放されたのだろう。

だがまばゆい光に目を開けられず

その声に気付いた希は反応する。

そして、光が徐々に消えていくと

晴希は左手の中に違和感を感じ、

ゆっくりと手のひらを開ける。

 

 

「…指輪…?」

 

 

 

左手にあるのは見たことのない純白の

ダイヤモンドの様な指輪だった。

晴希はまさかと思いすぐにソレを左中指に装着し、

右中指にはめてあるドライバーオンリングを

ベルトへとかざした。

 

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

奇跡が起きた。

魔力を失ったはずの晴希なのに

音声が鳴り、ベルトはウィザードライバーへと

形を変える。そして晴希は自身のアンダーワールドから

聞き慣れた荒々しい咆哮が聞こえてくる。

 

 

「ドラゴン…!?どうして…!?」

 

 

『心の強さで俺を蘇らせたな。』

 

 

「心の…強さ…。」

 

 

アンダーワールド内で晴希の周りを飛翔するのは

光に包まれたウィザードラゴンだった。

 

 

『相変わらず面白い男だ。

操真晴希、改めてお前の希望になってやる!』

 

 

「っ!」

 

ドラゴンは晴希の中へと入り込む。

そして光が晴希を包み、現実のレギオンへと

その強い眼差しを向ける。

すると、晴希の身体から結晶化された

ウィザードラゴンが飛び出し、晴希の頭上を

咆哮と共に飛び交い始める。

 

それがショーの合図かの様に、晴希は

ドライバーのシフトレバーを上下に動かした。

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

リズミカルな待機音声。

晴希は左中指に付けてあるリング

『インフィニティリング』を

ハンドオーサーへとかざした。

 

 

 

魔法の言葉と共に。

 

 

 

「変身っ!!!」

 

 

 

《インフィニティ!

 

インフィニティ!

 

インフィニティ!》

 

 

力強く流れる音声。

すると頭上を飛翔していた

ウィザードラゴンは急降下で晴希の体内へと入り込み、

その身体は結晶へと砕け散る。

そして、その結晶は晴希の身体を包み込むのだった!

 

 

 

《インフィニティ!・プリーズ!

 

ヒースイフードー!ボーザバビュードゴーン!!》

 

 

 

 

音声が盛大に鳴り響き、

今ここに爆誕する。

 

 

淡い水色のような白銀の鎧。

 

輝かしい宝石のエンブレム。

 

覆うベゼルのフレームも、

ダイヤモンドの指輪を思わせる王冠のような

形状へと昇華した姿。

 

 

晴希は仮面ライダーウィザード、

インフィニティスタイルへと姿を変えたのだ。

 

 

 

「ハ、ハ、ハラショー!!」

 

「こ、これはウチも予想外やわ…!」

 

「…綺麗…!」

 

「き、奇跡としか言いようがないわ…!」

 

「凄い…凄いにゃあ…!」

 

「戻ったんだ…!晴希君の魔力が戻ったんですねー!」

 

「うぉっ!?花陽ちゃん!押すなって!」

 

「いででっ!ゴラッ!?傷口に響くだろが!あぅっ!」

 

 

ウィザードの新しい姿に

絵里、希、真姫、にこ、凛、花陽、攻大、秀夜は

驚きを隠せず、驚愕、そして喜びを露わにしていた。

 

 

「晴希…!」

 

「やった…!やったね!コヨミちゃん!

海未ちゃん!ことりちゃん!

やっぱり!晴希君は凄いよ!」

 

「うんっ!」

 

「えぇっ!断言できます。

彼は私達の希望の柱です…!」

 

 

コヨミ、穂乃果、ことり、海未も魔法使い復活を喜ぶ。

だが、喜んでいるのも後回し。

敵も目の前で魔法使い復活を喜んでいるのだから。

 

 

「俺が最後の希望だ。」

 

 

「エキサイティング!その心!

改めて斬り刻ませてもらうぞっ!ムゥンッ!」

 

 

キィィイン!!

 

レギオンは薙刀をウィザードへと振り上げると

ウィザードの身体に亀裂が走る。

だが、それよりも甲高い音が耳に入る。

まるで鋼鉄を斬ろうとする音だ。

 

 

「なっ…!?なに!?」

 

 

「ふっ!はぁっ!!」

 

 

レギオンは薙刀の刃先を見る。

煙が上がり折れているのだ。

それに比べウィザードは亀裂が入るモーションは

見えるが傷は一つもついていない。

ウィザードは右足で二発の蹴りをレギオンに

浴びせる。ドラゴンスタイルの時よりも

圧倒的なパワーがある事が実感できる

ウィザードは自信気に小さく頷いていた。

 

 

「来い!ドラゴンっ!!」

 

 

『ーーーーッ!!』

 

 

ウィザードは呼ぶと身体から結晶のドラゴンが

飛び出し、ウィザード右手へと姿を変えながら移動する。

巨大な紅蓮色の刃を宿した斧

『煌輝斧剣 アックスカリバー』となり、

ウィザードはそれをカリバーモードで待ち構える。

 

「はぁっ!」

 

 

「ぐうっ!?うぉっ!?」

 

 

真っ直ぐに伸びたスケアリータロンという刃が

レギオンの身体を斬り刻む。

レギオンからの攻撃は全く通用せず、

完膚無きまでにウィザードがレギオンを圧倒していく。

レギオンは口から炎の様な衝撃波を放つが

それもウィザードの装甲が弾き、

その周りに衝撃が落ち爆発する。

 

狼狽えるレギオン、ウィザードは

アックスカリバーを構えると武器から

ドラゴンの咆哮が聞こえる。

その声を聞いたウィザードはインフィニティリングを

シフトレバーを動かさず、ハンドオーサーへとかざした。

 

 

《インフィニティ!》

 

 

 

 

挿入歌:Missing Piece (μ's version)

 

 

 

 

「はぁっ!」

 

 

「っ!?」

 

 

ドライバーから音声が鳴りウィザードは駆け出すと一瞬にしてレギオンを通り過ぎて尚且つ

斬撃を与えていた。()()()()()() ()()()()()()()()のようだ。

もう2、3度。ウィザードは高速移動攻撃で

レギオンの懐を斬りつける。

ウィザードは高速移動をやめると今の持ち手

『グラップリングキール』から

刃が付いた持ち手へと持ち替える。

 

 

《ターンオーン!》

 

するとウィザードサインが右手の

インフィニティリングを認識し、音声が鳴る。

アックスカリバー『アックスモード』だ。

 

 

「うぉらっ!!」

 

 

「うぐぉっ!?」

 

 

赤く輝く刃『ブラッディトゥース』が

レギオンを切り裂く。その重々しい斬撃は

カリバーモードの時よりも比にならない程の

攻撃で、レギオンは火花を散らし、砂浜を

転げ回るだけだ。

 

 

「さあ、フィナーレだ。」

 

 

《ハイタッチ!シャイニングストライク!》

 

 

ウィザードはアックスカリバーに付いている

ハンドオーサーへ軽くハイタッチをすると

文字通りままの音声が鳴響く。

 

 

《キラキラ…!キラキラ…!キラキラ…!》

 

 

待機音声と共にウィザードはアックスカリバーを

振り回すとなんと徐々に巨大化していく。

人間サイズなど優に超えた巨大なアックスカリバーとなり

ウィザードはそれを持ち、天高く飛び上がる。

 

 

「っ!!」

 

 

「終わりだっ!!でぇやああああああっ!!」

 

 

レギオンに向け巨大なアックスカリバーを上空から

叩き斬る技『ドラゴンシャイニング』が炸裂する。

 

 

「うぅ……!!エキサイティング!!!!」

 

 

レギオンは高らかにそう叫び

爆発と共に消えて行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「見てろよ〜?ほっ!」

 

 

「うぁあっ!凄い凄い!」

 

 

 

公園の真ん中で健太は手に持つ棒を

布でかくし、呪文をかけ、布を捲ると

そこには以前花屋で買ったであろう

彩りの花があった。車椅子の状態だが、

しおりは大いに喜び、その花束を受け取っていた。

あれから数日後、喜ぶ事が2つある。

魔法が戻った晴希と、手術に成功したしおりちゃんだ。

車椅子だが回復も早く、1週間あたりで

歩けるようになるらしい。

晴希はその光景をニヤニヤしながら見てると

隣に座っている穂乃果が呟く。

 

 

「よかったね、手術が成功して。」

 

 

「うん、晴希君の魔法も戻った事だし。」

 

 

「本当、喜ばしい事この上ないですね。」

 

 

ことり、海未もそう言って健太達を見ていた。

そうだなと晴希は笑うと、急に攻大が立ち上がり

健太達の方へと歩き出す。

 

 

「よぉー!上手くなったじゃんか手品!

よし!皆まで言わなくていい!

俺からの餞別だしおりちゃん!」

 

 

「うわぁ!なになに〜?」

 

 

攻大はおもむろに鞄の中へと手をつっこむ。

何処かでプレゼントでも買ったのか。

それを見届ける晴希達だったが…。

 

それは大きな過ちだった。

 

 

 

「じゃあ〜ん!!福井産のちょっと高級なマヨネーズだ!

しおりちゃん、これをこのソーセージにぶっかけてだなa」

 

 

「ちょっ!?ちょっと攻大君!

しおりちゃんに何食べさせる気!?」

 

 

「お前!自分の偏食を他人に押し付けるなって

あれ程言っただろ!しかも相手はまだ

手術したばかりだぞ!?」

 

 

「なんだよ!?マヨネーズ食べたら

元気になるもんだろ普通!?」

 

 

「それは貴方だけです!穂乃果やことりも

何か言ってやってください!

…って、どうして貴方達まで

よだれを垂らしているんですか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

「メデューサ、タキシム。

今日から彼の指示で、ゲートを絶望させろ。」

 

 

「彼?」

 

 

洞窟の奥地。

カーテンでその身を隠すワイズマンの言葉に

タキシムは無言で眉を潜め、メデューサは

言葉を漏らす。すると、ワイズマンのいる

カーテンの中から1人の男性が現る。

見覚えのあるシルエットにメデューサは驚愕する。

 

 

「ハローっ。」

 

 

「…お前は。」

 

 

「グレムリン!?ワイズマン!これはどういうことでs」

「頼んだぞ。」

 

現れたソラにタキシムは静かに驚き、

メデューサは動揺していた。

レギオンを勝手に解き放ち、こちらの指示など

全く聞かないあのグレムリンが今日から

司令役だなんて…と。

その理由を聞こうとするがワイズマンはそう言って

その姿を消してしまった。

 

 

「これからよろしくね!ミサちゃん、滝川さん!

フフフフっ!!」

 

 

「っ!そんな…!」

 

 

「…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ふん…。これで、

操真晴希はインフィニティとなった。

良いぞ…物語は後半へと差し掛かる。」

 

 

更に洞窟の奥地でテレポートしたワイズマン…否。

白い魔法使いはそう呟く。

 

 

「フフフフ…。

この調子で頼むぞ、魔法使い。

そして、()()()()…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

「一日で、、ヒャクマン!?」

 

 

「ピイッ!?」

 

 

「ラーメンタベマクリニャ!?」

 

 

とあるチラシを見た晴希たち。

バイトの募集らしく、1日で日当100万‥え?

 

 

 

「なんか不公平だにゃーっ!!」

 

 

最近練習をせずにそそくさに帰るにこ。

彼女に一体なにが‥?

 

 

「運がいいのは俺達らしいな。」

 

 

不気味なファントムににこが狙われる!?

指輪の魔法使い、立つ!

 

 

 

「ちいさいにゃー!?」

 

 

街中でにこを発見!あれ、ちっちゃくない?

 

 

第46話 危険なアルバイト

 

 

 




さあさあ、随分と待たせましたねん。
本当申し訳ございません。
感想書いていただいたお人!
見てなくて申し訳ございません!すぐに返します!
どうもこんにちはしょーくんです。

いやぁ、何だかんだでここまで
よく書きましたな自分(^^)

ついに最終フォームとなりました晴希ちゃん。
最終フォーム強すぎです本当。
次回はあのお話!
さ、絶望する人は誰かな〜?

感想、評価などがあれば是非おねがいいたします。

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