ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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前回のラブウィザード!


1つ!

ラブライブ!の予選がついに行われ
μ'sメンバーはやる気を見せる!

2つ!

披露する場所を探すが見つからない!
そこへ、あのアライズが高坂の前へ姿をあらわす!

そして3つ!

UTX学園の屋上でμ'sはライブを披露!
ネットの視聴率は大きく上がり、
見事予選通過を成し遂げた!





晴希「‥‥なんか見たことあるな‥。
これってデジャブ?」


気にしない気にしない 



第44話 魔法が消える

 

「ハロー、内藤さんっ。」

 

 

人知れず洞窟の奥に来たソラは

いつもの笑顔で名を呼ぶと、

奥底で両手両足を鎖につながれ

顔には布を被せている人間がいた。

その人間はソラの存在に気づいている様だが

興味を示さず微動だにしない。

それを見たソラはフフッと甲高い声で笑うと

拘束している鎖をチラリと見る。

 

 

「欲望に従っただけで、こんな所に

閉じ込められるなんて‥可哀想に。

僕がこの鎖解いてあげるよっ。

『バチチッ!!』ッッ!?」

 

ソラはそう言って鎖に手を伸ばしたその時、

触れた瞬間、鎖から強い電流が流れ

ソラは慌てて手を離す。

痺れる左手を見ながらソラは鎖を再び見つめる。

 

 

「ふぅん、なるほど。

結構強力な結界だなぁ‥。フフフッ!」

 

 

紫色の煙から伸びている鎖は

どうやら誰かが作り出した結界らしい。

ソラはそれを見るとその姿をグレムリンへと

変え、自身の武器の〝ラプチャー〟を取り出し

重ねるとその鎖を鋏の様にスパンッと切り落とした。

切り落とされた鎖は濡れた地面に落ち

内藤と呼ばれる人間の左腕はぶらりと

脱力したようになる。

 

すると、

 

 

「っ、おわっとっ!?」

 

 

いきなり内藤は左腕を大きく振り払い

手首に付いていた鎖をグレムリンに

振りかざしてきたのだ。

咄嗟にグレムリンはその場で宙返りをし

鎖を避け、着地と同時に警戒態勢に入るグレムリン。

 

 

「相変わらずめちゃくちゃだなぁ、内藤さん。

僕は助けてあげたんだよ?」

 

 

「‥‥‥俺は内藤じゃない。

ファントム〝レギオン〟だ。」

 

 

グレムリンは鋏状になっているラプチャーを

チョキチョキと音を立てながらそう言うと

内藤、否。ファントムのレギオンは

顔を覆い被さっている布を取り、

更には口に塞がれているマスクを外すしながら

答え、その目は白色に光ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

音ノ木坂学院、屋上にて。

 

 

 

 

「‥‥‥行くよ、凛ちゃん。」

 

 

「うん!頑張ってかよちん!」

 

 

「‥‥何をしてるの?」

 

 

「手品の練習。今度、花陽

幼稚園のお遊戯会で披露するらしいわよ。」

 

 

小泉花陽は星空凛と見合い、

二人は息を整えていた。

それを見ていた綾瀬絵里は隣にいる

西木野真姫に問いかけると

髪をいじりながら答える真姫。

今はお昼休みの真っ只中だ。

すると花陽は耳の中に指を入れ

何かを取り出そうとする仕草をすると

そこから出てきたのは白色のピンポン球だった。

それを見た絵里はまず驚いていた。

 

 

「い、今からこのピンポン球を浮かせます!

ちちんぷいぷい!‥‥‥!」

 

 

花陽はお得いの呪文を唱え、ピンポン球を

そっと手から離した。するとどうだろう。

ピンポン球は手から離れその場でフヨフヨと

宙を浮いたではありませんか。

それを見ていた凛、絵里は

おおっ!と声を上げ拍手をする。

が、成功した気の緩みか、ピンポン球は

屋上の地面に落ちカツンカツンと音を鳴らしながら

転がっていく。

 

 

「ハラショー!すごいわね花陽っ。」

 

「やるじゃない花陽。」

 

「当然だよ!凛とずーっと練習したんだから!

でも、惜しかったにゃあ。」

 

 

 

「えへへ‥‥すごく難しいんだよこの手品。

‥‥ふえ?」

 

 

「「「えっ?」」」

 

 

絵里、真姫、凛は順に褒めていき、

ピンポン球を拾いながら花陽はそう答え

凛たちに振り返った瞬間だった。

なぜか凛たちより異様に背が高く感じた。

思わず花陽は首を傾げるが、

3人は花陽を見るなり驚愕していた。

花陽はおかしいと思い自分の足元をふと見ると

足は地面についていなく、なんと宙に浮いていたのだ。

 

 

「え、え、えええええっ!?

な、な、なんでぇ!?ダレカタスケテ〜〜!」

 

 

「かよちんが浮いてるにゃーーー!?」

 

 

「は、ハラショーっ!!これも手品!?」

 

 

「そ、そんなわけないじゃないっ!

何よこれ、意味わかんない!」

 

 

フヨフヨと浮く花陽は驚きのあまり叫び

凛、絵里、真姫もさすがに人が浮く手品など

見たことがなく、その場であたふたと戸惑い始める。

すると、屋上の扉がガチャリと開かれ、

2人のメンバーが顔を出してきた。

 

 

 

《グラビティ・プリーズ》

 

 

 

「これが本当の空中浮遊‥‥‥てね。」

 

 

「しししっ、スピリチュアルやろ皆んな?」

 

 

 

「「「晴希(君)!?」」」

 

「希!?」

 

 

現れたのは右中指にグラビティリングをはめ

腰のベルトに当てながら言ってくる俺こと

操真晴希と片手いっぱいに購買のパンを

持っていた東條希が悪戯笑みを浮かべながら

やってきたのだ。花陽はゆっくりと地面に

降ろされ、真姫は種明かしを見て

何だ〜と言わんばかりに息を吐いていた。

 

 

「にゃー!晴希君のは手品じゃなくて魔法だよ!」

 

 

「も〜、びっくりしたわよ〜。」

 

 

「わりわり、ほら。

パン買ってきたから早く食べようぜ?」

 

 

あまりの出来事に驚いた凛はプンプンと

俺に当たり、絵里は苦笑いをする。

俺は皆の顔を見てはニヤニヤし、

そして謝りながら希さんと買ってきた

購買のパンを取り出し、

昼飯へとありつけたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

再び、洞窟の中にて。

 

 

 

「レギオンが脱獄した‥‥‥?」

 

 

「厄介なのが脱獄したのか‥‥。

ワイズマンこれは‥‥。」

 

 

「ふむ、この結界を断ち切れる奴がいたとはな。」

 

 

異変を感知し洞窟に訪れたのは

上級ファントムのメデューサ(人間態)

タキシム(怪物態)そして、ワイズマンだった。

だが既にレギオンは洞窟から抜け出し

残っていたのはつないでいた鎖だけだった。

それを手に取りメデューサとタキシムは

呟くとワイズマンは高台からそう言って

洞窟の出口の方を見ていた。

 

 

「ワイズマンが作り出した強力な結界を断ち切る奴‥‥。」

 

 

「一体誰が‥‥?」

 

 

「‥‥。それよりもレギオンだ。

放って置けば、欲望のまま見境なく

人間を襲うだろう。

メデューサ、タキシム。分かっているな?」

 

 

 

ワイズマンの警戒を断ち切る者は

上級ファントムのクラスじゃないとできない。

タキシムは心当たりがあるのか顔を横にそらし

メデューサは分からずワイズマンに聞くと

ワイズマンはそんなことよりも脱獄した

レギオンを気にしていた。

ファントムは人間が絶望して生まれ

新たなファントムを生み出そうと

忠実に動く者も入れば

自身の感情が芽生え、欲望のまま

自由きままに行動するファントムもいる。

レギオンは欲望塗れの怪物で

ゲートをそっちのけで暴れまわる厄介者らしい。

 

 

「無論、御意。」

 

「私らが見つけ出し、止めて参ります。」

 

 

その厄介者はメデューサもタキシムもよく知っており

ワイズマンの言葉に忠実に従い

その洞窟を出て行った。

出て行き完全にいなくなったことを

確認したワイズマンはその姿を白い魔法使いに変え、

何時ぞやの濁った石を取り出し、見つめる。

 

 

 

「‥‥‥レギオンが脱獄したということは

ウィザードは〝最終形態〟になるのか‥。

私の()()が実るまであと少し‥か。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

その夜、とある路上にて。

 

 

街中を歩く人々、その路上際に

1人の男性が折りたたみ椅子に座り

アコースティックギターを弾いていた。

その音色は街行く人々を数人止め、

魅了するほど、なかなかの美しい音色だ。

 

男性は演奏を終了すると、見ていた数人の観客から

拍手が送られる。

そして皆は散り散りに立ち去ると

1人だけ、全身白い服と珍しい衣服を着た

男性だけ、その場に立ち止まり

演奏していた男性をずっと見ていた。

男性は酷く窶れており顔は青白く

その目付きも恐ろしいほど怖い。

 

 

「‥‥‥いい。実にいい。」

 

 

「ん?おっ。やっぱり?

いやー、分かってもらえるなんて嬉しいな!」

 

 

白服の男性は独特な口調で褒めると

演奏していた男性は椅子から立ち上がり

白服の男性に近寄る。

 

 

「美しい曲は美しい心が

なければ簡単には作れまい。

‥‥その心、エキサイティング!」

 

 

その時だった。

 

言い終わると男性の目は白く光り

その姿を〝レギオン〟へと変える。

レギオンは二刃を持つ薙刀を構え

男性へと近寄る。

それを見た男性はアコースティックギターを

地面に落とし、後ずさるが、背後は

池の橋の手摺で、逃げ道をなくしてしまった。

 

 

「っ!?ぎ、ぎゃあああああっ!!!」

 

 

男性は叫ぶがレギオンは一気に間合いを詰め

その薙刀を男性目掛けて振りかざしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

とある公園にて。

 

 

 

「はむっ‥‥‥んぐんぐ‥‥‥‥!

いや〜今日は格別にパンが美味い!」

 

 

「穂乃果、食べ過ぎですよ?」

 

 

「もう6個目だよ?穂乃果ちゃん。」

 

 

 

午前で授業を終えたμ'sメンバー

2年、1年組の俺たちは生徒会の仕事も

少なく、気晴らしにと公園に来て

昼食を始めていた。

だがどういうわけか先ほどから

高坂穂乃果はいつも以上に大好きなパンを食べては

幸せそうな顔をしている。

ランチパックに惣菜パン、よりどりみどりだが

そんなに食べてはお腹を壊すぞ?

園田海未も南ことりも心配する中、

真姫は俺に聞いてきた。

 

 

「いつも以上に食べてるわね。」

 

 

「朝寝坊してたべれなかったらしい。

にしてもお前食い過ぎだろ?回転寿司でもあるまいし。」

 

 

「『く〜‥‥』‥‥‥えへへ、

お寿司食べたくなっちゃった。」

 

 

「あぁ寿司食いてぇなぁ。」

 

 

「凛は稲荷寿司食べたいにゃ!」

 

 

俺は夢中に食べる穂乃果を見ながら

そう言うと、花陽のお腹から可愛らしい音が鳴り

頬を赤く染めながら言ってくる。

うむ、無性に寿司食いたくなってきたな。

 

 

「てゆか、いつもの事だけど

何で今日はそんながっついてるの?」

 

 

「む?‥‥(ゴクン)真姫ちゃんそれどーゆうこと?」

 

 

髪をくるくるといじりながら

いつも以上にがっつく穂乃果を見て

思ったのか口に出すと穂乃果は反応し、

口の中にある惣菜パンを飲み込み真姫をジト目で見る。

すると、深刻な表情と共に海未が喋った。

 

 

「昨日の晩の事件は知っていますね?」

 

 

「あぁ、例の昏睡事件の?」

 

 

「意識不明の人があちこちで発見されてる

ニュースだよね‥‥‥?でも、パンを

沢山食べてる穂乃果ちゃんと何か関係が‥?」

 

 

海未の言葉に俺と花陽は反応する。

今朝のニュースを見ていたが

昨晩、秋葉原のあちこちで意識不明の

男女が何人も発見され事件となっている。

原因は分からないまま病院で昏睡状態らしい。

そして花陽の言う通り、その事件と穂乃果に

何か関係があるのかと俺も疑問に思うと

穂乃果はいや〜と苦笑いしながらこう言った。

 

 

「ファントム絡みだと思って

調べてたら昨日と今朝ご飯食べるの忘れちゃって‥。」

 

 

「それで今いっぱい食べてるの?」

 

 

穂乃果の言葉に一同はカクンとずっこけ

凛は聞くと元気に頷く穂乃果。

穂乃果らしいなと皆は思うが、

それと同時に‥。

 

 

「晴希、今回の事件‥‥。」

 

 

「多分、穂乃果の思惑通り。

でも、ゲートでもない人達を無差別に

襲うのはあり得ないな‥ん〜。コヨミ。」

 

 

「わかったわ、みんな。

ファントムを探して、お願いできる?」

 

 

『『『ーーーッ。』』』

 

 

察したのか海未は俺の近くで囁き、

俺も海未の表情に気付き、迅速に推測する。

ゲートを絶望させるのがファントムの目的だが

今までゲート以外の目的で動いてる奴もいることが

分かったので、そう考えてもおかしくない。

俺はコヨミの名を呼ぶと、コヨミは

肩や手に乗っている使い魔達に優しく言うと

バイオレットゴーレム以外は了承し、

散り散りに何処かへ行ってしまう。

それを見届けた俺は周りを見渡すと噴水辺りで

中学生の男の子と小学生の女の子を見かける。

手を繋いでいるのを見る限り兄妹と見えた。

 

 

 

「んあー、空気が気持ちいいなっ、しおり。」

 

 

「‥‥‥うん。」

 

 

「またそんな顔する‥‥。よし!

これで元気出せっ。」

 

 

「‥‥‥手品?」

 

 

男の子は妹と繋いでた手を離し、大きく背伸びをする。

話しかけている様だが妹の元気はなく

男の子は残念そうな顔をする。

すると、男の子は手からマジックとかに

使われるスティックをポンっと音と同時に

取り出した。‥おぉ、今のどうやったんだ‥?

 

 

「へへへ、見てろよ〜〜?

『フワフワ〜〜〜‥‥カラン‥‥。』あ。」

 

 

「‥‥‥。」

 

 

男の子はスティックを擦り手から離すと

フワフワとその場で浮かせたのだ。

見ていた俺はおお、と驚くが、

失敗したのかすぐに落とし、

見ていた妹は深くため息を吐いていた。

あらら、仕方ないな。

 

 

「ちょっと貸してみ?」

 

 

《グラビティ・プリーズ》

 

 

こちらの方へと転がるスティックを

俺は拾い上げると同時に予め右中指に付けてた

グラビティリングをベルトにかざす。

音声が鳴り、俺はスティックを下投げで投げると

そのスティックは兄妹の周りを

奇天烈な動きでフヨフヨと浮き始めたのだ。

 

 

「うわぁ!凄〜いっ!」

 

 

「え‥‥?あ、あの、何‥‥‥?」

 

 

「何って晴希君が魔法で浮かしてるんだよっ!」

 

 

「え‥?魔法?」

 

 

それを見て暗い顔をしていたしおりは

楽しそうにはしゃぎ出す。

男の子は現状について行けず、

スティックを浮かしている俺を見るなり

警戒するような表情を取る。すると、

その様子に気付いたのか穂乃果がそう言って

他のメンバーもこちらに来ていた。

 

 

「グラビティリングって言う

物を浮かせたりできる魔法の指輪だよっ。」

 

 

「ま、何せこの晴希は魔法使いだから

これくらいできて当然よね。」

 

 

「真姫。〝この〟はつけなくていい。」

 

 

花陽はしおりに指輪の説明をすると

真姫が自信気に言っていた。

だがそれでも男の子は謙遜した顔で

こちらを見ているだけだった。

 

ふむ、仕方ないな。もう少し驚かせてみるか。

 

俺はスティックを浮かしている魔法陣を

しおりという女の子の真上に持っていった

その時だった。

 

 

「うわ!うわぁ〜〜〜っ!

お兄ちゃん!見て見て!魔法だよ!」

 

 

「えっ!?しおりが浮いて‥え!?」

 

 

魔法陣の重力でしおりは宙に浮かび

スティックと共に男の子の周りをフヨフヨと

浮かんでいた。それを見た男の子は驚き、

再度俺を見つめる。

 

 

「わぁー!いいないいな!

ねぇ晴希君、次私やってよ!」

 

 

「凛もやってみたいにゃー!」

 

 

「ちょ、わかったわかった。

順番にやってやるから少し待ってろ。」

 

 

「‥‥‥ふふっ。」

 

 

余程楽しそうに思ったのか穂乃果と凛は

子供みたくはしゃぎ、対応している俺を

コヨミは楽しそうに見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

とある交差点にて。

 

 

「すまんねぇ、荷物まで持ってもらって。」

 

 

「いえいえ、お気になさらず。」

 

 

青信号を渡っていた女性は隣にいる

ご老人の荷物を持ち、楽しげに会話をしながら

渡っていた。誰がどう見ても見ていて

気分が良くなる光景だろう。

渡り終えたご老人はお礼を言い、

女性はすっきりした顔でその場から歩き、

橋の下の通路を歩いていた時だった。

 

 

「いい、実に美しい。」

 

 

「‥え?‥‥‥あの、何か?」

 

 

「その心、是非()()()()()()()()。」

 

 

「っ!!?きゃああああっ!!」

 

 

背後から話しかけてきたのは不気味な男、

否。レギオンだった。

レギオンは目を光らせファントムの姿となり、

躊躇なく女性に薙刀で斬りかかったのだった。

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

『バウッ!バウッ!』

 

 

「‥‥ああ、‥この辺か?」

 

 

 

『ぐぅ〜〜‥‥‥‥。』

 

 

「あぁ〜、腹減った‥。

くそぉ、どっかに美味いファントム

落っこちてねぇかな‥。」

 

 

レギオンが現れたその数分後、

別の通路から肩にブラックヘルハウンドを

乗っけて現れた藍崎秀夜はヘルハウンドの鳴き声に

欠伸をしながら周囲を見渡す。

それとは別の通路からは、お腹を鳴らし

空腹を我慢するかのような表情で歩く

二藤攻大の姿が見えた。2人の通路は

やがてひとつに繋がり‥‥。

 

 

「「あ。」」

 

 

お互いバッタリと会い、

2人のその表情は険しくなる。

 

 

「テメェ、何でここにいやがる。」

 

 

「それはこっちの台詞だ。

あー皆まで言わなくていい、ファントム探しだろ?

生憎今ここは俺が探してるんだ。

だからこの辺のファントムは俺が頂くから

お前は邪魔すんなよ?」

 

 

「はっ、アホ抜かせ。

仮に目の前にファントムがいて

はい、差し上げますって

野郎が普通にいるかよ。」

 

 

「んだと厨二野郎?」

 

「あ?何だ、殺るのかマヨネーズ。」

 

 

会った途端に痴話喧嘩をしだす2人に

ケルベロスはやれやれと思ったような表情を

取っていると、奥から女性の悲鳴が聞こえる。

その声にピタリと話すのをやめた2人は

悲鳴が聞こえた方角へと走ると

女性は気絶したのか横たわっており、

その隣にはレギオンが立っていた。

 

 

「おおっ!噂をすればなんとやら!

やっぱりピンチはチャンスだな〜!」

 

 

「へ、ファントム発見と。

おい、そこのゲートからとっとと離れろや。」

 

 

「‥‥ゲート‥‥?ふん、生憎俺は

そんなものに興味はない。」

 

 

「「‥はぁ?」」

 

 

側に倒れている女性を見るなりレギオンは

鼻で笑いながら言うと

2人は同時に口を開けてしまう。

まあこれが当然の反応だ。

ゲート(人間)を襲わないファントムは

本当稀にしか存在しないからだ。

 

 

「俺が求めているのは人々を絶望させるんじゃなく、

俺の欲望を満たす美しい心‥」

 

 

「あー!待った待った、皆まで言わなくていい。

聞いても無駄だ。どうせお前は

俺に食われる運命だからな。」

 

 

「まあてめえはこれから死ぬんだからな。

とっととおっ始めようぜ。」

 

 

《ドライバー オン!》

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

 

レギオンの言いかけた言葉を無理矢理止め、

攻大、そして秀夜は互いのドライバーオンリングを

右中指に取り付け、ベルトにかざすと

攻大のベルトはビーストドライバー、

秀夜のベルトはウィザードライバーへと形を変えた。

2人はすぐに変身リングを付けると

互いは大きく構える。

それは魔法使いが戦闘態勢に入る瞬間だった。

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

「変身!」

 

 

「変〜〜〜〜身っ!!どぉらっ!」

 

 

 

《ダークネス・プリーズ

 

アク アク・アクアクアーク!!》

 

 

《SET!Open!!

 

L!・I!・O!・N! ライオーン!!》

 

 

攻大と秀夜は魔法の言葉を言い、

両腕を大きく回し、片方は引き裂くように

ポーズを取り、ドライバーへとかざした。(はめ込んだ。)

秀夜はウィザードライバーから音声が鳴り、

真正面に現れた魔法陣が体を通り抜けると

秀夜は仮面ライダーダークウィザードへと

姿を変えた。

攻大はビーストリングを回転させると

リベレイションズドアが展開され

その中からキマイラオーサーが現れる。

魔法陣が身体を通り抜けると攻大は

仮面ライダービーストへと姿を変える。

 

 

「何だ‥?」

 

 

「っおし、ランチタイムだ!」

 

 

「ちげーよ、ディストラクションタイムだろが。」

 

 

ビーストとダークウィザードを見たレギオンは

初めて魔法使いを見るような目で

首を傾げながら彼らを不思議そうに見る。

ビーストとダークウィザードは決め台詞を言い

ダイスサーベルとウィザーソードガンを取り出し

レギオンへと駆け出した。

 

まず、ダークウィザードはレギオンに向かって

横振りにウィザーソードガンを振るい、

次にビーストは跳躍し、ジャンプ斬りの要領で

ダイスサーベルを振り下ろすが、

レギオンは持ち手の薙刀で両方をいなし、

その場を退ける。

が、2人の魔法使いは相手に息つく間も与えず

次々と剣撃をレギオンに向かって攻撃する。

普段は仲の悪い2人。のはずが魔法使いになると

幾多の戦いの経験なのか異常な連携プレイを見せる。

 

 

「んがっ!?お前前に出てくんじゃねーっつうの!」

 

 

「ふん!雑魚は引っ込んでろ!」

 

 

もっとも、仲が悪いのは戦闘中でも

変わりない2人だが。

流石の猛攻撃に耐えれないのかレギオンは

一旦距離を取ると、薙刀を2人に突き向け

先ほどから質問したかったのか問いかけ始める。

 

 

「‥魔法使いでも人間でもない‥‥。

お前達は一体何者だ‥‥?」

 

 

 

「あぁ?何言ってやがるこいつ?」

 

「‥‥はっはーん。俺らの事を知らないとは、

お前、もぐりだな?俺はお前らファントムを平らげる古の魔法使い、ビースト!

‥‥‥ぁ、ついでに紫の魔法使い。」

 

「ついでってなんだてめぇコラ。」

 

 

魔法使いという存在を知らなかったレギオンに

ダークウィザードは冗談のつもりだろうと疑うが

馬鹿なビーストは自分だけ棚に上げ、

ダークウィザードに肩をど突かれる。

そんな説明をしてもなお、はてなマークを

浮かべるレギオンにビーストはカメレオリングを

右中指に取り付け、ダークウィザードも舌打ちを

しながら、シャドウリングを右中指に取り付け

お互いのドライバーに向け魔法リングを発動させた。

 

 

 

《シャドウ・プリーズ》

 

 

《カメレオ!ゴーッ!

カカッ、カッカカッ、カメレオー!》

 

 

 

発動され現れた魔法陣はビーストの右肩、

ダークウィザードの真横を通ると、

ビーストはカメレオマントにスタイルチェンジ、

ダークウィザードの横には、真っ黒いウィザード、

シャドウウィザードが現れる。

 

 

「見てろよ、オラッ!」

 

 

「挟み撃ちだ、いいな?」

 

「‥‥‥!」

 

 

 

「!?フンッ!」

 

 

ビーストはカメレオマントをレギオンに向けると

マントの口から舌の様な物が飛び出し

鞭のようにレギオンへと叩きつける。

一方ダークウィザードはシャドウウィザードへ

指示を出すとレギオンの背後へと回り込み

ウィザードらは同時に

ウィザーソードガンを銃モードへ変え

コントラクトリガーを引き、レギオンへと

撃ちまくり、無数の火花が飛び交う。

 

 

「っ!ハァアア!!」

 

 

「っどあ!?」

 

 

「ぶぉっ!?!」

 

 

攻撃を受け続けるレギオンだが

効いてないと見せつける様な衝撃波を体から放ち

ビースト、ダークウィザードは吹き飛ばされ

橋の下の浅い川へと落ち、シャドウウィザードは

衝撃に耐え切れず粒子となって消える。

 

 

 

「ガァッ!いってぇなゴラッ!」

 

 

「ってぇえっ!なら、こいつはどぉだ!」

 

 

 

《ハイパー!ゴーッ!

ハィハィ、ハィ、ハイパー!!》

 

 

《ダークネス!ドラゴン!

ヤミ・ヤミ・ヤミヤミヤミィイ!!》

 

 

 

水しぶきを上げながら

川に落とされた2人は激怒し、

互いはパワーアップリングを付け、

ベルトに装着(かざす)とエネルギー体となった

ダークウィザードラゴン、キマイラが飛び出し

2人の真上を咆哮を上げ飛翔する。

音声が鳴り終わると同時に2人の中へと入り込み

ビーストはハイパービースト、

ダークウィザードは、ドラゴンスタイルへと

姿を変えた。

 

 

「ふん、さっきから可笑しな事をする‥‥。」

 

 

 

「テメェの可笑しな考えよりはマシだ!」

 

 

「ぶち殺す‥!っ!?」

 

 

強化を終えた2人、だがその時だった。

レギオンが投げた魔法石からグールが出現し

ビースト、ダークウィザードへと襲いかかる。

急な出来事に2人は反応が遅れてしまい

思うように戦う事が出来ない。

 

 

「くそッ!んだよこいつらっ!」

 

 

「邪魔すんなよっ!おらっ!」

 

 

「ふんっ、戦い方も下品な奴らだ。

俺の求める美しさは、お前らでは皆無だ。」

 

 

 

 

「っ!?待て‥!あぁあ!くそッ!」

 

「ちっ!拉致があかねぇ!

一気に決めてやらぁ!」

 

 

グールらに手間をかけるビーストらに

橋の上からレギオンは言い残すと

そのままどこかへ去ってしまう。

追いかけようとするも行く手を阻むグール達。

ダークウィザードはブラックホールリングを

右手中指に付けると同時に叫び、

ドライバーのシフトレバーを上下に動かすと

ビーストも了承したかのようにハイパーリングを

ミラージュマグナムのリングスロットへと

差し込んだ。

 

 

 

《チョーイイネ!

 

ブラックホール!

 

サイコーッ!!》

 

 

 

《ハイパー!マグナムストライク!》

 

 

 

「っふん!!」

 

 

『『ーーーー!?』』

 

 

「どぉらっ!!!」

 

 

音声が鳴り響き、ダークウィザードは

右手をグールらの上空へ掲げると

その頭上に紫の魔法陣が現れる。

そこから凄まじい空気が流れ

グールらは宙に浮かび吸い込まれそうになるが

逃すまいとビーストはミラージュマグナムの

トリガーをグールらに向けて引き、

エネルギー体となったキマイラの光弾が放たれ

それを食らったグールらは爆発したのだ。

 

 

 

「‥ふぅ‥。ごっちゃん!って

言いたいとこだけど、やっぱグールじゃ

腹の足しになんねーなぁ‥。」

 

 

「んなことよりあのファントム

ゲートを無視してどっか行ったぞ。

しかも俺らのことを下品呼ばわりだ。

けっ!胸糞悪ぃっ!」

 

 

爆発し魔法陣となりその()

食い終わったビーストは変身を解き、

手を合わせるが不満そうに俯き加減で言う。

同じく変身を解いた秀夜もレギオンの言葉に

腹が立ったのか川の水を思い切り蹴り上げ

水しぶきをあげる。

すると、彼らの頭上でやけに騒がしい

鳥らしき鳴き声が聞こえる。

魔法使いの使い魔のレッドガルーダだ。

その直後、橋の上から足音が聞こえ

見上げるとそこには晴希、穂乃果、凛、花陽の

4人がこちらを発見し声をかける。

 

 

「あ、攻大君っ。あと怖い先輩にゃ!」

 

 

「ああん?」

 

 

「ひっ!?だ、誰か助けて‥!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「‥ファントムがゲートを襲わなかった?」

 

 

「おう、俺を満たすのは美しい心が

どうとか言ってたぞ。」

 

 

「え、気持ち悪いにゃ。」

 

 

「‥あぁ、それに俺らを知らねぇみてぇだったし。」

 

 

ファントムが出現したのを知り

真姫、海未、ことり、コヨミを残して

駆けつけた晴希こと俺たち。

川の下にいた攻大と秀夜は登ってくると

さっそく事情を説明してくれる。

幾多のファントムと戦ってきたが

ゲートに興味がないのも稀にいる。

‥美しい心がどうって‥、今回のファントムは

ある意味ヤバい奴なのか‥?

 

 

「攻大君達を知らないファントムもいるんだ‥。

とりあえず無事で良かったよっ。」

 

 

「でも襲われたあの人が‥‥。」

 

 

怪我がなさそうなのかホッとする穂乃果。

だが花陽は悲しそうに後ろを振り返る。

そこには先ほど倒れていた女性が

救急車のタンカーに乗せられているのだ。

例の昏睡事件の元凶が攻大達の戦っていた

ファントムなのだろう。

 

 

「‥‥‥‥‥。」

 

 

「‥。おい、どうした穂乃果?」

 

 

「え?ううん、何でもない。

でも‥‥何だか嫌な予感がするの‥‥。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

晴希達がいた場所から

少し離れた橋の下にて。

 

 

 

「‥‥‥。」

 

 

快楽を求め人間態のレギオンは

つぎの人間を探しにやや早歩きで歩いていた。

ワイズマンの指示を無視するファントム。

その末路は大体は決まっているが

大きく2つに分けられる。

 

1つは魔法使いに倒されるか、

 

もうひとつは‥‥‥、

 

 

「見つけたぞ、レギオン。」

 

 

「‥‥‥メデューサ。

それに、お前は‥‥タキシムか。

ワイズマンに従う哀れな飼い犬共め。」

 

 

「言葉に気を付けろレギオン。

ゲートを狙いファントムを増やすのが

我々の使命のはずだ。」

 

 

「フン、そんなものに興味ない。

それと、貴様らがこの俺を止めれるとでも?」

 

 

幹部クラスのファントムに消されるかだ。

レギオンの前に現れたのは人間態のメデューサ、

怪物態のタキシムだ。

凄まじい威圧で睨みあうファントム達。

メデューサはゆっくりと左手を上げていく

その時だった。

 

 

 

「ちょ〜〜っと待った。

ミサちゃんに滝川さんっ。」

 

 

「っ!?グレムリン!!」

 

 

「‥‥‥なんの真似だ?」

 

 

柵を飛び越え、レギオンの前に着地し

今に始まろうとしていた戦いを止めたのは

グレムリンこと、ソラだった。

ソラはメデューサとタキシムを止め

レギオンに逃げろと言うような目線を向けると

レギオンは鼻を鳴らし、向きを変え去って行く。

 

 

「にがさん。」

 

「っ!待てレギオン!!」

 

 

「おぉ〜っと!ごめんけど、

ここから先は行かせないんだよね〜。」

 

 

「‥‥どういうつもりだ、グレムリン。」

 

 

「ソラって呼んでよ滝川さん。

僕はどうしても知りたいことがあるんだ。

色々考えたけど、彼に会わなければ先へ進めない。」

 

 

「‥‥まさか、お前が封印を‥‥?」

 

 

「っ!?‥‥グレムリン‥‥!

ワイズマンに逆らって、

生きていられると思うなっ!!!」

 

 

レギオンの封印を解いた事に正直に頷くソラ。

だがそれはメデューサの逆鱗に触れ

メデューサは右手を大きく振りかざすと

ソラの周りに衝撃が走り火花が飛び散る。

罰してもおかしくないのにメデューサは

手を出さずソラを睨みつける。

ワイズマンの命令がないためなのだろうか。

 

 

「フフッ!そんなの百も承知だよ。

そうでもしないと()()()()()()()()()()

じゃっ、僕は失礼するよ〜っ。」

 

 

「っ!グレムリンっ!」

 

 

汚れがついたのか軽く服を叩くソラは

そう言って物凄いスピードでその場から

いなくなった。悔しいのか柵を

思い切り叩くメデューサ。

タキシムは彼が去って行く道を見ながら

小さく呟いたのだった。

 

 

 

 

「‥‥ワイズマンを怒らせたら

どうなることか‥‥。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

古い工場にて。

 

 

 

軽快にスキップをしながらやってきたソラ。

メデューサの怒りの忠告を受けたばかりなのに

この平常心はよほど怖くないのだろうか。

 

だが、悪魔は突然姿を現わす説もある。

 

 

 

「っ!!うぉあっ!!?」

 

 

突如、ソラの頭上、四方から白い鎖が

飛び出しソラの手足を瞬時に拘束したのだ。

一瞬でひっ張られ空中へとぶら下がる状態になる。

身動きが取れないソラの前に、

真っ暗な工場の道をこちらに向かって

歩いてくるものがいた。

 

 

「っ!ワイズマ‥ぁあァアアアっ!!!?」

 

 

その姿を確認し、名前を呼ぼうとした刹那。

白い鎖から紫色の電流が走り、ソラの身体を襲う。

 

 

「私に会う為にこの様な真似をするなど、

ふざけた事を‥。」

 

 

「ぐっ‥!?ううっ‥!!

そ、そんなことより‥!教えてくれないか‥!?」

 

 

現れたワイズマンは電流が流れ苦しむ

ソラの周りを歩きながら言っていると

苦痛を耐えながらソラは

必死にワイズマンに問いかける。

 

 

 

「サバトのことを‥‥!

魔法使いのことを‥‥‥!

そして‥!賢者の石のことを‥‥!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

噴水広場にて。

 

 

 

「にゃーっ、しおりちゃんすっごく喜んでたねー!」

 

 

「うんっ!さっすが晴希君!

魔法でパパッと色んな事ができちゃう!」

 

 

「ドレスアップでお前らも一緒に遊んでただろ。」

 

 

 

一旦攻大達と別れ別行動でファントムを

探すことになった俺たち。

真姫、海未、ことり、コヨミは攻大らの方へ

同行し、穂乃果、凛、花陽は俺の方へとついてくる。

家に帰ってくれた方が安全なのだが

一度決めたらついて行くと言われてしまい

俺は仕方なく了承したのだ。

しばらく歩いていると花陽が一軒のお店へと

指を指す。どうやら花屋の様だ。

すると、花屋で赤い花束を買っている

少年を発見すると、俺はすぐに近付き

声をかけた。

 

 

「よっ、何してんだ?」

 

 

「あ、さっきのお兄さん達っ。」

 

 

「うわーっ、綺麗なお花〜っ!」

 

 

「誰にあげるの?」

 

 

花陽が優しく聞くとしおりの兄、健太は

照れ臭そうに花束を見つめながら答えた。

 

 

「これをしおりにあげようと思ってさ。

あいつ、花好きだからこれで

元気になってくれるといいけど‥。」

 

 

「絶対に元気になるよ!ね、晴希君!」

 

 

「おぉ、プレゼント貰って喜ばない物なんてないぞ。」

 

 

なんて妹思いの兄なんだろう。

健太の妹のしおり、実は重い病気にかかっており

明日には手術をするそうだ。

励ますために手品を練習していたがなかなかうまく行かず、手詰まっていたところ

俺たちが来たわけだ。

こうやって家族思いの兄を見ていると

本気、微笑ましくなる。

この状態が終わらないといいな‥

そう思った時だった。

 

 

「実に美しい‥‥。」

 

 

 

「え?」

 

 

俺たちの背後から声が聞こえ

その声に振り返ると、そこには

全身白い服を着込み、体調の悪そうな

男性がこちらを見て不恰好に指を突き出していた。

 

 

「妹思いのその心、是非覗いてみたい。」

 

 

そう言った直後、彼の目はひかり

身体は黒いモヤに包まれ

その姿をファントム、レギオンへと変えたのだ。

 

 

「っ!?ファントム!」

 

 

「っ!健太君!」

 

 

「えっ‥!?化け物‥!」

 

 

レギオンが現れ血相を変えた健太を

穂乃果、花陽、凛は彼の前に立ち、

その前を俺が立って警戒態勢に入る。

 

 

「穂乃果、凛、花陽!健太を頼む!」

 

「「「わかった!(にゃ!)

(わかりました!)」」」

 

 

《コネクト・プリーズ》

 

 

「はっ!」

 

 

俺は穂乃果達にこの場から健太を連れて逃げろと

指示を出しベルト状態のドライバーに

コネクトリングをかざしながらその場を

右回転する。

音声が鳴ると同時に魔法陣から

ウィザーソードガン(銃モード)を取り出すと

その回転の勢いでコントラクトリガーを引き

魔法の銀弾はレギオンへと命中する。

 

 

「‥!ぐっ!貴様、俺の快楽の邪魔をするな!」

 

 

「気持ち悪い奴だな、悪いが俺で我慢してくれ。

変身っ。」

 

 

 

《ドライバーオン・プリーズ

ランド!・プリーズ

ドッドッ ドドドン・ドン ドッドッドン‼︎》

 

 

よろけるレギオンに向かって喋りながら

ランドリングを左中指に取り付け

ドライバーオンリングでウィザードライバーを

出現させると俺はすぐにシフトレバーを動かし

ランドリングをドライバーへとかざした。

音声が流れ左手を地面へつきだすと

岩を覆った魔法陣が俺の身体を頭上へと通り抜け

俺はウィザード、ランドスタイルへと変身した。

 

 

「‥!お前も魔法使い‥!」

 

 

「さぁ、ショータイムだ。」

 

 

《ドリル・プリーズ》

 

 

「よっ!」

 

 

「む‥!?」

 

 

シフトレバーを動かしドリルリングをかざすと

ウィザードはその場で高速回転をし始め

コンクリートを突き破り地中へと潜る。

レギオンは見失い辺りを警戒していると

 

 

「でやっ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「もおいっちょっ!!」

 

 

「むっ!小賢しい!」

 

 

「どっはっ!?」

 

 

地中から飛び出し拳を入れるウィザード。

また地中へと入り飛び出す。その戦法で

ジワジワと体力を削ろうとしたウィザードだが

飛び出す瞬間に腕を掴まれ

軽々と投げ飛ばされてしまう。

 

 

「なら、こいつは!」

 

 

《ハリケーン!プリーズ

フーフー!フーフーフーフー!!》

 

 

「これなら!」

 

 

《チョーイイネッ!サンダーッ!!》

 

 

「はぁっ!!」

 

 

「ぐぅっ!?‥‥むぅうん!!!」

 

 

「どあっ!?」

 

 

ハリケーンスタイルへチェンジした

ウィザードはサンダーリングをドライバーに

かざし、発動させる。

緑色のドラゴンの形をした雷は

轟音と共にレギオンへ直撃するが

気合いと共に弾き消される。

 

 

「は、晴希君の攻撃が効いてない!?」

 

 

「ど、どうしよう!?」

 

 

「まだにゃ!ドラゴンの力があるにゃ!

いっけぇ晴希君!」

 

 

「お兄さん‥‥!」

 

コンクリートの壁から戦いを見ている

穂乃果達は押されてるウィザードを見て

心配になったのか声を漏らす。

 

 

「ふん、邪魔をするな魔法使い。」

 

 

「悪い‥な、邪魔をするのが

魔法使いの取り柄なんでねっ。」

 

 

 

レギオンは薙刀を構え膝をついている

ウィザードへと近付く。

ウィザードはフレイムドラゴンリングを

左中指につけようとしたその時。

 

 

 

《バッファ!ゴーッ!》

 

 

《エキサイト・プリーズ》

 

 

 

「オラッ!」

 

「どぉらぁっ!」

 

 

「っ!?ぉあっ!!」

 

 

油断していたレギオンは突然吹き飛ばされる。

ウィザードは笑みをこぼしながら

駆けつけたバッファマントを羽織ったビーストと

むきむきな身体をしたダークウィザードを見ていた。

 

 

「みんな!大丈夫!?」

 

 

「あ、真姫ちゃん!海未ちゃんにことりちゃん!

それにコヨミちゃんも!」

 

 

穂乃果達の所には別行動していた

真姫、海未、ことり、コヨミが駆けつけ

一塊となってその場に隠れる。

 

 

「攻大、秀夜、助かるっ。」

 

 

「へっ、ファントムは俺がいただく予定だからな!」

 

 

「ち、やっぱ操真と一緒に行動した方が

よかったみてぇだな。」

 

 

「ははっ、うし!

これ以上関係のない人々を巻き込むのは

そのへんにしろファントム!」

 

 

「‥‥‥!ふふ‥‥!」

 

 

加勢に来たビーストとダークウィザードに

礼を言い、ウィザードは彼らの前に立ち

レギオンに叫ぶと、レギオンは不気味に笑い出すのだ。

 

 

「あ?気持ち悪ぃ、何が可笑しい?」

 

 

「正義感のある純粋な心‥‥。

いい、実にいい。その心、是非覗かせてもらう!

‥‥むぅうん!!!」

 

 

 

「なっ!?どあっ!?」

 

「うぉっ!!」

 

「があっ!?」

 

 

不気味に笑うレギオンはダークウィザードの

言葉を無視し、気合いと共に黒い衝撃波を放つ。

その威力は凄まじく、3人の魔法使いは

吹き飛ばされる。

穂乃果達にもその衝撃は走るが

壁がなんとか守ってくれている。

 

 

「晴希君!?みんなっ!」

 

 

「ぐっ!‥‥なんつー威力だ‥‥!?」

 

 

「‥‥‥っけ!やってくれる‥ゴホッ!」

 

 

「っ‥!攻大、秀夜‥!大丈夫か‥!?」

 

 

心配する穂乃果達だが、

衝撃が強かったのか、

苦しそうに倒れている魔法使いの3人。

 

 

「フン、この状況で自分より他人を心配か。

いい、実にいいっ。その心‥覗かせて貰います!」

 

 

「っ!!?」

 

 

 

 

 

刹那。

 

 

 

 

 

「フンッッッ!!」

 

 

「がぁあっ!?あぁっ!!?」

 

 

ウィザードの前に立ったレギオンは

薙刀を大きく振り下げると、ウィザードの

胸部に大きな亀裂の様なものが出き、

レギオンは()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「っ!?晴希!?」

 

 

「おいっ!どうした操真!?」

 

 

「晴希君っ!?」

 

 

その瞬間ウィザードは変身が解かれ

再び地面へと倒れこむとビースト、

ダークウィザード、そして穂乃果達も全力で駆け寄る。

 

 

「うぉあっ‥‥!?ぐっ‥‥!?あぁっ!?」

 

 

「ちょっ!?晴希‥!?何よこれ意味わかんない!」

 

 

「ファントムが晴希君の中に入ったにゃ‥!?」

 

 

「えぇえ‥!!だ、誰か助けて‥!」

 

 

「晴希君!しっかり!」

 

 

「どうなっているのです!?」

 

 

「晴希君っっ!」

 

 

悶え苦しむ晴希にμ's達は混乱してしまう。

すると、晴希は一番側にいた穂乃果の腕を

ガッと掴むと苦しみながらもその口を動かした。

 

 

「晴希君っ‥?」

 

 

「うっ‥‥!?あいつ‥‥!俺の中の心を‥!

めちゃくちゃに壊して‥!あぁっ!!」

 

 

「晴希君!!心って‥!

海未ちゃん!ど、どうしよう!?」

 

 

「‥‥まさか、先ほどのファントムは、

晴希のアンダーワールドに入ったのでは‥!?」

 

 

海未の一言に一同は凍り付いた。

アンダーワールドに入れるのは魔法使いしかいない。

だが、晴希の前でレギオンは突然消え、

晴希は突然の痛みに絶叫。

海未の一言のその確率は高いかもしれない。

戸惑っていたビースト、ダークウィザードは

原因を知ると若干嫌そうにしながらも

晴希の両腕を掴んだ。

 

 

「だぁっ!男に指輪嵌めるなんて

柄じゃねぇけど!友の為だ!」

 

 

「ったくその通りだクソッタレ!

おい、手ェ出しやがれ。」

 

 

 

《エンゲージ・ゴーッ!》

 

 

《エンゲージ・プリーズ》

 

 

ビーストは右手にダークウィザードは左手に

エンゲージリングを晴希に取り付け

自身のドライバーへとかざすと

音声が鳴り、晴希の頭上に魔法陣が現れる。

そこへ2人の魔法使いは勢いよく飛び込んだのだ。

 

 

「ううぅ‥!!」

 

 

「晴希君‥!大丈夫‥、大丈夫だから‥!」

 

 

苦しむ晴希をコヨミは力一杯その手を握り

ずっと喋り続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

晴希のアンダーワールドにて。

 

 

 

「よっと!っ!おい!何してやがる!?」

 

 

「っ!?魔法使い‥!?

貴様も心の世界に入れるのか‥!

ええい、俺の快楽の邪魔はさせん!」

 

 

飛び込んだビーストが目にしたのは

晴希のアンダーワールドの病室内。

あちこちにアンダーワールドに

亀裂が入っていたのだ。

そして目の前にいたレギオンは

薙刀で晴希のアンダーワールドを

切り裂いているのを発見し、

レギオンの欲にビーストは怒りを覚え

ダイスサーベルを取り出す。

 

 

「ふざけんじゃn‥!

『見つけたぜファントム!』どぶぁっ!?」

 

 

「‥‥あ?何してんだテメェ?」

 

 

ビーストは斬りかかろうとした瞬間、

後から入ってきたダークウィザードが

ビーストの頭上へと着地。

当然ビーストは下敷きになってしまう。

 

 

「んがあっ!降りる場所考えろっつーの!」

 

 

「下にいたテメェが悪い。」

 

 

「んだとぉっ!?」

 

 

「フン、敵を前にして仲間割れか。

やはり貴様らは下品な奴らだ。」

 

 

「「あぁんっ!?」」

 

 

レギオンの下品と言う言葉に対し、

強く反応するビーストとダークウィザード。

レギオンは病室から外へ飛び出すと

ビーストとダークウィザードも窓から外へ飛び出し

()()()()()()()()内で使える指輪を

それぞれのドライバーに使った。

 

 

「来いっ!キマイラッ!」

 

 

《キマイライズ!・ゴーッ!》

 

 

「来やがれ!ドラゴンッ!」

 

 

《ドラゴライズ!・プリーズ》

 

 

 

『『ーーーーーーーーッ!!』』

 

 

2人のドライバーから音声が鳴り響くと

頭上に巨大な魔法陣が出現する。

そこから2人の魔力の源でもあり強力な見方、

キマイラとダークウィザードラゴンが

咆哮と共に召喚される。

 

 

「おおっ!それがドラゴンかよっ!」

 

 

「テメェのライオンよりカッケェだろ?」

 

 

「んだとっ!?ライオン舐めんなよっ!?」

 

 

グダグダと言い合いながらも2人は

ドラゴンとキマイラに乗り、2体のファントムは

空中へと跳躍すると、先に飛び降りた

レギオンを見つけ、咆哮をあげる。

 

 

「どんどん亀裂が入ってやがる‥!」

 

 

「皆まで言わなくていい!早いとこケリつけるぜ!」

 

 

「む?‥野蛮な連中め‥!ハァッ!!」

 

 

ダークウィザードらがアンダーワールドに入るまでに

レギオンは恐ろしいほど晴希のアンダーワールドを

滅茶苦茶に斬り裂いたのだろう。

辺りを見回すダークウィザードにビーストは

そう言って、召喚された2体のファントムは

2人の魔法使いを乗せ、一気にレギオンへと

急降下する。それに気付いたレギオンは

薙刀を構え、なんとダークウィザードラゴンと

キマイラの近接攻撃を受け止めたのだ。

 

 

「むぅうんっ!!」

 

 

「どあっ!?大丈夫かキマイラ!?」

 

 

「ぶぉっ!?しっかり戦いやがれっ!」

 

 

そのまま受け流され地面へと叩きつけられる

キマイラとダークウィザードラゴン。

体制を立て直し、咆哮を上げると

キマイラの各パーツから5色の光線、

ダークウィザードラゴンは口から紫の火炎放射を

レギオンへと放つ。

 

 

「どぉおあ‥‥‥!!?」

 

 

さすがにこの攻撃は避けられないのか

ダメージを食らうレギオンだが、それでも

倒れず、必死に耐えていた。

だが、2体のファントムの攻撃は止めず

すぐに飛び交い、交互にレギオンへと

爪、牙、尻尾などを使って攻撃をしかける。

 

 

『『ーーーーーーーーッ!!』』

 

 

「っし!このまま押し切る!」

 

 

「ぐあっ!?ええいっ!小賢しい!!」

 

 

「っ!しまっ‥!!ぐぁっ!?」

 

 

「っ!二藤!!」

 

 

勢いの攻撃に調子に乗ったのが運のつき。

レギオンは一瞬の隙を突いて襲いかかるキマイラの

左前足を掴むとそのまま地面へと叩きつける。

キマイラは苦痛の咆哮、

ビーストは投げ出されてしまう。

 

 

「まずは、貴方から終わりにしてあげますよ!

ハァァアアアッ!!」

 

 

「っ!や、やべぇ‥‥!」

 

 

「ちっ‥‥!!あんのバカやろっ!!」

 

 

 

レギオンは薙刀に力を入れると

紫のエネルギーが刃先に収縮されていく。

そして地面を強く蹴り、キマイラとビーストの

頭上を勢いよく飛びかかる。

避けようとするビーストだが先ほど

叩きつけられたのが原因か、

怯んでしまい動けずにいた。

ダークウィザードはすぐに助けようと

ドラゴンと共にレギオンへと向かうが

あちらの方が早い。

 

 

 

 

このままでは‥!そう思った次の瞬間‥!

 

 

 

 

 

『ーーーーーーーーッ!!』

 

 

「ふんっ!‥‥ん!何です!?」

 

 

「っ!あれは‥!晴希のドラゴン‥!?」

 

 

突然、別の方角から咆哮と同時に

レギオンへと体当たりを打つける

巨大なファントムが現れた。

それはこの晴希のアンダーワールドに住む、

ウィザードラゴンだった。

しかし、レギオンの薙刀はドラゴンの頭に

突き刺さり、火花を散らしながら

レギオンごと上空へと飛翔していく。

 

 

「ええい!邪魔をするなっ!!ハァッ!」

 

 

『ーーーーーーーーッ!!??』

 

 

「っ!?ドラゴンッッ!!?」

 

 

連れ去られたレギオンは

ウィザードラゴンの頭部を何度も薙刀で

突き刺さしていく。

そして、レギオンは薙刀を思いきり振りかざし

ウィザードラゴンの頭を斬り裂くと、

ドラゴンの首は跳ね、その場で大爆発を起こした。

 

 

「おいおい‥‥!ドラゴンが‥‥‥死んだ‥‥!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

ドラゴンが爆発した瞬間の

現実世界にて、

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

晴希は大きく目を見開き、

何かを察知したみたいだが

既に手遅れだった。

晴希のウィザードライバーに突然

ヒビが入り、勢いよく砕け散ったのだ。

 

 

 

 

「ぐぁああああああああああっ!!!??」

 

 

その瞬間、凄まじい激痛が晴希を襲い

苦痛の叫びを上げてしまう。

 

 

 

「は、晴希君っ!?」

 

 

「ドライバーが‥!」

 

 

「砕けた‥‥‥!?」

 

 

「晴希君‥‥!晴希君っ!!」

 

 

驚くμ's達だが、晴希は激痛に耐え切れず

その場で気を失ってしまった。

 

晴希の中のドラゴンが死亡した‥‥。

 

 

つまり

 

 

彼はもう

 

 

魔法を使うことが

 

 

出来なくなってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

 

「魔力が‥‥消えてる‥‥!」

 

 

レギオンにやられ晴希のドラゴンは

アンダーワールド内にて爆発。

魔力の源を失った晴希に魔力は残っていなかった。

 

 

「魔法の使えないお前じゃファントムは倒せない。」

 

 

「黙って大人しく待ってろ。」

 

 

レギオンを倒せなかった攻大と秀夜は

責任を感じ、ファントム探しへ。

 

 

「俺はもう‥人を助けることができない‥‥!」

 

 

「魔法がなくても、晴希は晴希。

貴方は私達の最後の希望よ。」

 

 

魔力がなくなりひどく落ち込む晴希に

そっとコヨミが勇気付けてくれる。

 

 

 

「諦めない‥‥。

命がある限り、俺は戦う!!」

 

 

 

《インフィニティ!プリーズ!》

 

 

 

「俺が最後の希望だ。」

 

 

強い心が光を取り戻し、晴希は

純白に輝く新しい姿に!

さあ、最高のショータイムだ!

 

 

 

第45話 希望と無限の魔法使い

 




大変お待たせ致しました。
どうもしょーくんです(>_<)

ここのところペースが落ちていけませんね(>_<)
やはり小説を増やしたのがダメなのでしょうね‥。
ですが!決して途中放棄などしませんよ!
ついにこの回まで来たのですから!

私の予定している最終話まで
半分もきってますし、ここから段々と
最後の展開へと向かいます。
コヨミの謎、白い魔法使いの正体、
晴希達の運命。

ここまで書いてこれたのも見ていてくださる
読者の皆様方のおかげです。
最後までどうかよろしくお願いします!


感想、評価などがあれば是非お願いします(^^)

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