ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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ミニミニタイム!

【エリチカープリクラ編ー】


絵里「ほら加奈芽っ。ここよここっ。」

加奈芽「はいはい分かってますって。」


休みの日、絢瀬絵里は友達の
亜滝加奈芽(第17話参照)とゲーセンに来ていた。
加奈芽は留学生でロシアにいた頃、
そちらにいた絵里と知り合い、仲良くなった
長い付き合いの友人。
絵里に連れて行かれやって来たのはプリクラだった。

加奈芽「まさかエリーがプリクラに
はまっちゃうなんてね〜、お姉さん嬉しいなっ。」

絵里「い、いいでしょ別に。それに加奈芽。
誕生日が違うからって年上扱いしないでよ。
同い年でしょ。」

加奈芽「あはははっ、ごめんごめん。
ほら、始まるぞー。」

加奈芽がそう言うとカウントダウンが始まり
パシャリと写真を撮られた。
2人は色々な可愛いポーズを撮り、
加工の画面に移動する。

絵里「‥‥えいっ!」

加奈芽「うわっ。私の目が乙女に!
なら、エリーにはこれだっ。」

絵里「あ、豚だわ‥。」

加奈芽「‥‥ブヒーチカ?」

絵里「ちょっと!その言い方ばダメよ加奈芽!」

2人はそんな会話をしながら加工を終え
写真を手に取る。

絵里「加奈芽加奈芽!次はあれで撮りましょうっ。」

加奈芽「どんだけ撮るのよ。分かったから
子供みたいにはしゃがないで。」

絵里「平気よっ。ね、早く行きましょう?」

加奈芽「‥‥‥。あ〜‥エリー。
あれってもしかしてエリーの友達?」

絵里「え?」

余程プリクラが気に入ったのか
次のプリクラに向かおうとする絵里に
まるでお姉さんのように加奈芽は
はいはいとついて行くが、その目の前に
こちらを見ている晴希と攻大の姿があった。

絵里「‥‥!」



晴希「‥‥え、えーと、よう。」

攻大「絵里ちゃん子供みたいにはしゃいでるけど
なんかあったか?」

偶然通りかかった2人に先ほどのテンションを
見られた絵里はみるみる内に顔が赤くなっていく。



絵里「‥‥え、エリチカお家に帰る!!」


加奈芽「あ、エリー!‥全くしょうがないなぁ。」


攻大「‥‥名言いただきました。」

晴希「‥最近ポンコツ化がまた一段と進んできたな‥。」


第40話 古の覚醒

朝比奈考古学研究所で二藤攻大は寝ているすきに

ベルトをグレムリンに奪われてしまい

戦えない状態であった。

中本を絶望させる為にスプリガンとタキシムまで

参戦し、操真晴希はウィザード、

藍崎秀夜はダークウィザードとなり応戦するが

状況は一変し、晴希達は危険な状態であった。

 

 

「ふん!とっととくたばりやがれ!」

 

 

「うっ!?」

 

 

「フフフフ!それっ!」

 

 

「うぁっ!!」

 

 

スプリガンの剣キュオリシティ、グレムリンの

双剣ラプチャーに斬られ火花を散らすウィザードは

倒れこみながらもダークウィザードと攻大、

そしてゲートの中本を見渡す。

 

 

「まてや!黒いやつ!俺は‥まだ死んじゃいねぇぞ!!」

 

 

「‥‥ほう、それも希望という力なのか?

弱いのによく吠えるな。」

 

 

 

「ぐ‥‥ベルトさえあれば‥‥!!」

 

 

 

「ーーーーーーッッ!!」

 

 

「ひ、ひぇええええ!」

 

 

横たわるダークウィザードは

ウィザーソードガンを杖代わりに立ち上がり

タキシムに向かって叫んでおり、それに反応した

タキシムは黒い剣、デロイストを構え

ダークウィザードと向き合う。

攻大は痛む身体を抑えながらグレムリンを睨み、

中本はグールの群れに襲われていた。

今動けるのはウィザードとかろうじて

ダークウィザード。だが数が合ってないし

こちらには怪我人、ゲートがいる。

ウィザードはスプリガンとグレムリンの

攻撃を何とか避けながらコネクトリングを取り付け

シフトレバーを上下に動かしソレを

ドライバーへとかざした。

 

 

 

《コネクト・プリーズ》

 

 

「手が足りてない時はこれだ!」

 

 

 

《ドラゴタイム セットアップ!スタート!

ウォータードラゴン!》

 

 

 

「はぁっ!」

 

 

「「ッ!?」」

 

 

ウィザードはドラゴタイムを取り出し装着し、

素早くドラゴダイアルを回し

サムズエンカウンターを押した。

まずはウォータードラゴンスタイルのウィザードを

召喚させるが自分の支援ではなく

中本の場所へと召喚させ、ウィザーソードガン

剣モードでグールの群れを一掃する。

 

 

「うぉらっ!」

 

 

「がぁ!?くっ!」

 

 

《ハリケーンドラゴン!》

 

 

その間にフレイムウィザードはスプリガンの

キュオリシティの攻撃にダメージを食らうが

構わずドラゴタイムのサムズエンカウンターを押し、

中本の場所に今度はハリケーンドラゴンスタイルの

ウィザードを召喚させる。

 

 

「中本さんを頼む!」

 

 

「あぁ、中本さん!しっかり掴まってください!

ハァッ!!」

 

 

「え?ぎぃゃあああああああっ!!?」

 

 

グールを倒したウォーターウィザードは

フレイムウィザードとダークウィザードを助けるべく

ハリケーンウィザードにそう言いながら

スプリガン達の元へ駆け出す。

了承したハリケーンウィザードは中本を掴むと

その身体に風を纏わせ中本ごと空へ飛んで行った。

いきなり連れてかれたせいなのか中本は

ものすごい声で叫んでいた。

 

 

「はぁっ!」

 

 

「っ!!青色のウィザード‥‥。」

 

 

 

「秀夜!大丈夫か!?」

 

 

「ちっ!邪魔すんじゃねぇ‥!」

 

 

ウォーターウィザードは苦戦している

ダークウィザードの元へ駆け出し、

ウィザーソードガンを銃モードに変え

タキシムに向かってコントラクトリガーを引き

魔力で作られた銃弾を数発放つ。

不意の攻撃は苦手なのか少し怯むタキシム。

その間にウォーターウィザードは

ダークウィザードの前に立ち安否の確認をすると

反抗する元気はあるらしいので大丈夫と見たのだった。

 

 

「あーぁ、中本さん連れてかれちゃったよ?」

 

 

「っ!おい待て!」

 

 

「行かせないよ!フンッ!」

 

 

《ランドドラゴン!》

 

 

「はぁっ!」

 

 

「!おぉっとっ。」

 

 

中本を連れて行かれグレムリンは空を見上げて

そう言ってると焦ったのかスプリガンが後を

追おうとする。が、フレイムウィザードに

行く手を阻まれる。更にドラゴタイムの

サムズエンカウンターを押して

ランドドラゴンスタイルのウィザードが

地面から召喚され、グレムリンに攻撃をする。

ゲートは逃げられ4対3となってしまった

ファントム側。ウィザードらの攻撃を避けている際に

グレムリン、スプリガン、タキシムは

いつのまにか囲まれてしまう。

 

 

「ちっ、一旦出直すか!」

 

 

「仕方ないね、行くよ滝川さんっ。」

 

 

「‥‥了解した。」

 

 

 

「っ!おい待ちやがれ!」

 

 

「っ!待てっ!俺のベルト返‥」

 

 

「じゃあねー☆ よっ!」

 

 

 

「「「っ!!」」」

 

 

スプリガンの言葉にグレムリン、タキシムは了承し

囲んでるウィザード達の隙間から逃げ出す。

ダークウィザード、攻大は後を追うが

グレムリンはラプチャーを振り下ろし

ウィザードらの付近に斬撃を飛ばし

斬撃は地面に当たると爆発する。

その爆発に怯んでる隙に逃げられてしまい

攻大は強く拳を握りしめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

音ノ木坂学院、アイドル研究部の部室にて。

 

 

 

 

「「「「「「「えええぇええっ!?」」」」」」」

 

 

「攻大君、ベルト盗まれちゃったのぉお!?」

 

 

「一大事じゃないっ!」

 

 

「本当なの晴希君!?」

 

 

「‥‥あぁ、かなりヤバい状況だ。」

 

 

μ'sメンバーが一斉に驚いた後、小泉花陽、

矢澤にこ、高坂穂乃果が更に詰め寄って

確認してくるが俺は頷き、そう言った。

晴希こと俺はあの後中本を連れ戻したが

1人にすると危険なので攻大が残ると

半分キレ気味で言っていたのだが

今のあいつにはビーストドライバーと

ビーストリングを盗まれて変身ができない、

つまりゲートを守る力すらないので

俺が残ろうとした瞬間、なんと秀夜が

「こいつの側に入ればあの黒い奴と戦えるんだろ?

だったら残ってやる。あ?学校?知らね。」

と言ってゲートを見ると言いだしたのだ。

どうゆう風の吹き回しか分からないが

俺はその言葉に甘えさせてもらい

俺は登校し、今現在、攻大の事を

μ'sのメンバーに伝えていた。

 

 

「こうっち、最近魔力食べれずに体調悪いのに、

ベルト奪われたんやったら、魔力食べれないやん‥!」

 

 

「‥じゃあ、このままだと攻大君の命は‥‥。」

 

 

東條希に続き南ことりがそう言うと

皆は一気に顔が青くなる。

攻大の魔力の源はキマイラと言うファントム。

ベルトの装着者に古の魔法使いとして

力を与える代わりに定期的にファントムを倒して

その魔力を与えなければならない。

ここ最近下級ファントムのグールしか与えず

しかも今ベルトを盗まれた状況。このまま

ベルトを取られたままだと‥‥。

 

 

「‥‥‥ああ、キマイラに喰われて死んでしまう。」

 

 

「‥‥っ!!」

 

 

「絵里、どこへ行くのですかっ?」

 

 

俺の言葉を聞いた瞬間、絢瀬絵里は血相を変え

部室から出ようとしたが園田海未に止められ

絵里はドアノブにかけようとした手を止める。

 

 

「絵里、落ち着け。ベルトが取られた以上、

下手に動いてもしょうがな‥」

 

 

「落ち着けれるわけないでしょ!?

‥‥‥‥‥あ‥‥、ごめんなさい。」

 

 

俺は椅子から立ち上がり、絵里を

落ち着かせようとすると絵里は勢いよく振り返り

俺に怒鳴ってきた。こんなにも感情的で

大声を出す絵里は久々に見たのか部室の中の

メンバーはビクッと驚き、同時に静まり返った。

友人が死んでしまうのがとても怖いのだろう。

でもそれは皆んなも同じだ。

絵里はそれをみてすぐに冷静さを取り戻し

謝ると、突然星空凛が立ち上がり、口を動かす。

 

 

「そうにゃ!晴希君が攻大君のゲートの中に入ってキマイラを倒せばいいんじゃないかにゃ?」

 

 

「確かに、それはいいアイデアね。

凛のくせにやるじゃない。」

 

 

「真姫ちゃん、余計な言葉が多いにゃ!」

 

 

 

「‥‥いや、それは試そうとしたんだけど

攻大に断られた。」

 

 

「「え?」」

 

 

凛の提案に西木野真姫が髪をくるくると

いじってそう言うが、実はここに来る前

それを試そうとしたんだ。

だが、攻大はお前にキマイラは倒せねぇと

言って強く断られた。命がかかってんのに

あそこまで強情するのが攻大らしいが

俺はその分、不安でいっぱいだった。

改めて部室が静かになると今度は絵里が

口を動かす。

 

 

「なら、直接現場を確かめに行くわよ。」

 

 

「え‥?いやでも、

た、確かめに行くって学校‥」

 

 

「確かめに行くわよ。」

 

 

「いやあのだから学校‥」

 

 

「行くわよ?」

 

 

「あ、はい。」

 

 

俺は止めようにもズイズイと詰め寄られ

その真顔が怖かったので俺は目線を

そらしながら頷いた。

最近頻繁に学校を途中で抜けだしてるけど

先生はケロッとしており何も注意してこない。

白い魔法使いのおかげだろうけど、

このままだとこれが当たり前になってしまう‥。

‥次からはなるべく抑えないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

朝比奈考古学研究所にて。

 

 

 

「あんた不用心にもほどがあるわよ!?

どうゆう神経したら大事なベルトなんて取られるの!!」

 

 

「い、いってぇ!?にこちゃんハリセンで

叩かないで!?それに皆まで言わなくていい!

あの時はお酒で‥‥‥あ」

 

 

「‥‥‥‥‥ふぅん、こうっち。

今こうっちは何歳やったっけ‥‥?」

 

 

「あ、えと‥あの‥‥‥‥(晴希、晴希ー!

助けてくれぇー!)」

 

 

「攻大!!」

「こうっち!!」

 

 

「ひぃいいいいっ‥‥‥!!」

 

 

 

中本の研究室に来た俺と絵里、にこ、希。

研究所には手当をされた攻大、それに秀夜と

中本がいて、にこと希、実は先ほど絵里もだが

さっそく攻大に説教をしていた。

怒っているように見えるが内心は

かなり心配してるのだろう。

 

 

「ちっ、おい操真。何でてめぇらが来たんだ。」

 

 

「‥‥‥そりゃゲートを守るためと

ベルトの行方を知るためだ。

あ、お前1人じゃ不安だったのもあるな。」

 

 

「あ?何つった今?」

 

 

「別に何も?1人であのタキシムに

勝てたのかなーって思っただけ。」

 

 

「んだとてめぇ‥!」

 

 

「こら!痴話喧嘩しないの!

‥‥あなたが藍崎君ね?晴希から色々と聞いてるわ。」

 

 

秀夜は攻大達のやり取りを見ながら鬱陶しそうに

俺にそう言ってくる。俺は少しイラっときたので

喧嘩腰の口調で言い返すと段々とヒートアップする。

が、絵里に止められ彼女は初めて会う秀夜に

挨拶するのだが、秀夜は鼻を鳴らして窓の外を

眺めていた。それを見て俺と顔を合わせ

苦笑をすると今度は中本に話しかけていた。

 

 

「中本さん、朝の6時頃にファントムの

グレムリンが攻大のベルトを盗んで

行かれたのですよね?どこからどう入って

盗んで行かれたのですか?」

 

 

「え?‥‥‥え、えぇ、はい。見ました。

確か‥‥‥‥そこの窓から‥だったかなぁ‥‥?

あぁショックで、記憶が、あやふやだなぁ‥。」

 

 

絵里はまるで聞き込み調査のように

メモ用紙とボールペンを出して中本にそう言ってると

中本は何か誤魔化してる様な口調で絵里に

説明をしていた。目もどこか泳いでいる。

それを見ていた絵里、俺、そして秀夜も何か思ったのか中本を睨みつけていた。

 

 

「‥‥‥にこ、希さん、攻大、ちょっと。」

 

 

「え?」

 

「何や晴希君?」

 

 

「は、晴希ーー‥‥。」

 

 

俺は絵里と顔を合わせ頷くと

絵里は出て行き、秀夜も場を察したのか

研究室から出て行く。俺は説教をしている

にこと希を止めて3人にも研究室から

出て行くよう頼んだ。

‥‥‥説教をされていたせいか攻大は

泣きそうな顔をしている。ま、自業自得だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「‥なぁ、お前のベルトと指輪を盗んだの

中本さんじゃないかな?」

 

 

「はぁ?何言ってんだ?中本さんが

盗むわけねーだろ!それにあの人も盗まれてんだぞ!?」

 

 

「‥‥はっ、脳みそまでマヨネーズかよ。

あんなの嘘に決まってんだろバカが。」

 

 

 

中本研究室から離れて博物館との渡り廊下で

俺、絵里は攻大とにこ、希に中本が犯人だと

推測するとにこと希は何となく察していたのか

納得するが、攻大は全くもって疑ってすらいない。

そんなバカに秀夜は見下してるように笑いながら

攻大にそう言っているが彼はまだ首を傾げる。

 

 

「長年くすぶってた中本さんにとって、

今回の発見はおっきなチャンスなんだろ。

だから中本さんは恐らく‥」

 

 

「よぉし分かった!皆まで言わなくていい。」

 

 

俺は丁寧に説明してあげると攻大は

俺の話を止めて真剣な目付きで俺たちを見回す。

分かってくれたみたいなので絵里達は

全くと溜息を出そうとした瞬間。

 

 

「俺が本人に確かめる‥。」

 

 

 

「そうね‥‥って、え?」

 

 

「ちょっ、こうっち!?」

 

 

攻大はそう言って中本研究室に駆け出していき

にこ、希、絵里はまさかと思い慌てて

後を追いかけて行った。それを見て俺も秀夜も

追いかけようとすると秀夜が走りながら

口を動かす。

 

 

「け、アホすぎるだろあいつ。

確かめた所で正直に話すわけでもねぇのによ。」

 

 

「‥‥まぁそこがあいつらしくて

良いところなんだけどな‥‥‥‥‥‥ん?」

 

 

秀夜の言葉に俺は苦笑しながら答えると

突然スマホからメールの着信音が鳴り出す。

俺はそれに気付き画面を確認すると

なぜか凛からのメールだった。

この時間は授業中なのにどうしたんだ‥‥?

俺はそう思いながらメールを開くと

1枚の画像と共にこんな文章が書かれていた。

 

 

 

りんちゃん:晴希君!この子すごいにゃ!

この箱ゴーレムちゃんが作ったんだよ!

褒めようとしたら中に入っちゃったにゃ!(^O^)/

 

 

 

「‥‥!これは、すげぇな‥‥。

(てか、授業中だろ‥。)」

 

 

その文と共に送られてきたのは

おそらく美術の時間だろう。

美術室の机が映し出されてあり

そこにあるのは見事に作られた豪華そうな

宝箱があり、外側の鍵穴部分にはドラゴンを

要したデザインが施されている。

思わず声に出すほどの完成品だった。

 

 

「なぁ、これ凄くないか?

うちの使い魔が作ったんだけどよ。」

 

 

「あ?んなもんどーでもいいわ。

さっさと行くぞ。」

 

 

隣にいる秀夜に俺はスマホの画像を見せるが

全く興味なさげにこちらを睨み

早く行くぞと顎をくいっと動かしていた。

コメントしてくれてもいいだろと俺は

ふてくされながらそう言って中本研究室に

向かおうとすると、何故か向こう側から

攻大達が戻ってきたのだ。

 

 

「あれ?みんなどうしたんだ?」

 

 

「予想通りやっぱり黒だったわ。」

 

 

「‥‥あ〜なるほど、やっぱりか。」

 

「おい、あのゲートはどおした?」

 

 

「攻大の馬鹿、中本さんに直接

聞きに行ったら逆ギレして

もう二度と来るなって研究室に

とじこもっちゃったわ。」

 

 

「‥‥‥こうっち。」

 

 

絵里の言葉に大体予想が付き俺は頷いていると

秀夜は中本の様子を聞く。

それをにこが答え、希は攻大を見ると

攻大は怒るのではなくフッと鼻で笑い

落ち着いた態度で喋った。

 

 

「いや、むしろよかった。

中本さんなら指輪もベルトも無事だろ?

グレムリンだったらそこんとこ怪しかったけどな!」

 

 

「そんな呑気な事言ってる場合じゃ‥」

 

 

「あー皆まで言わなくていい、分かってる。

問題は、こっからどうするかだ。」

 

 

「‥‥‥ふっ、だな。

必ずファントムも襲ってくるだろうし‥。

さて、どうするか‥‥‥。」

 

 

あっけからんとした表情で喋る攻大に

絵里は一言物申そうとするが左手を出して

止める攻大。その後の言葉にはちゃんと

奪い返す気持ちがこもっていた。

ベルトも指輪も中本に取られているのは

もう間違いないだろう。

だがあちらがしらばっくれてる以上、

こちらから動くことはできない。

俺はどうするかと悩んでいると

先ほど凛が送ってきた画像を思い出す。

 

 

「いい事思いついた。

ちょっと学校に戻ってくるっ。」

 

 

「え?ちょっ、晴希!?」

 

 

俺は中本を惑わすある作戦を思い付き

皆にそう言ってその場から駆け出し姿を消した。

なんのことか分からずにこは呼び止めるが

晴希は既に廊下の曲がり角を曲がり、

階段を降りていった。残ったメンバーは

晴希の行動に首を傾げていると

秀夜がポケットに手を突っ込み、

その場から去ろうとする。

 

 

「秀夜君どこ行くん?」

 

 

「ファントムもいねぇし、暇だからあっちで寝る。」

 

 

「寝るって‥あんたこの状況でよくそんな事

言えるわね。」

 

 

「は、知るか。俺の勝手だろ。」

 

 

希が声をかけると秀夜は歩きながら適当に返し、

その態度にイラっときたのかにこが眉間に

しわを寄せて秀夜にそう言うと秀夜は

にこをギラリと睨んで言い、

最後は鼻を鳴らしてその場を去った。

 

 

「‥‥あー!何なのよあいつ!

感じ悪すぎじゃない!?

にこにープンプンよ!」

 

 

「‥‥えぇ、あの子がもう1人の

魔法使いなのよね‥。

正直言うと悪い印象しか捉えられないわ‥。」

 

 

姿が見えなくなったのを確認すると

にこは抑えていた感情をさらけ出し

秀夜に向かって文句を言っていた。

絵里もにこの意見に反せず頷くが

希は2人とは違い、希はポケットから

タロットカードを1枚取り出す。

そこには『JUPITER』と書いてあった。

 

 

「‥‥もうすぐ分かり合えるやろな。

ね、こうっち。」

 

 

「ん‥‥?あーそだな。」

 

 

「‥あんた大丈夫なの?」

 

 

「ちょっと腹減っちゃって‥‥、

近くにコンビニなかったっけな〜‥‥?」

 

 

「‥‥‥攻大‥‥。」

 

 

そのカードを見ながら希はそう言って

攻大を見ると攻大は気のせいか少し顔が窶れていた。

それに気づいたのかにこは心配するが

攻大はいつも通り笑って自身のお腹を摩り

辺りをキョロキョロと見回していた。

その姿を見て絵里は攻大の名を呼び

心配そうに見つめていた。

 

 

「‥‥‥‥ん?

皆んな、晴希から連絡が来たわ。」

 

 

ふと、絵里のスマホから着信音が鳴る。

絵里は画面を確認するとにこ、希、攻大に

呼びかけ、その内容を皆に見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

とある地下通路にて。

 

 

「お前まで俺を手伝うなんて、

どうゆうつもりだグレムリン。」

 

 

「フフフフッ☆いい事教えてあげる。

あのゲートの心の支えは、自分の研究が

世の中に認めてもらえること。」

 

 

「何‥‥?」

 

「ほぅ、それは朗報だな。」

 

 

中本を襲いに行ったのはメデューサの指示で

タキシムと共に向かったスプリガン。

だが博物館には何故か気紛れのグレムリンもいた。

その性格を知っているスプリガンは

あの場から退散した後、現在、ソラに問い詰めると

ソラはゲートの心の支えを2人に教え

スプリガンは疑い、タキシムは仮面越しに

ニヤリと笑う。するとソラが座っている

階段の上からメデューサがこちらに向かって降りて来た。

 

 

「何故お前がそれを知っている?」

 

 

「知ってるもなにも、昨日の夜会ってきたんだ☆

僕がちょーっと唆して睡眠薬を入れたワインを

渡してあげたら、ビーストのベルトと指輪を

盗んじゃったからね〜。フフフフフフ!」

 

 

「心の支えを探る為にゲートに近付いた

わけじゃないでしょ?あれこれ嗅ぎ回って

一体何を企んでいるの?」

 

 

中本が気前よく攻大にワインを渡したのも

ビーストのベルトと指輪を盗ませたのも

大分はソラの仕業だった。

ソラは甲高い声で笑うとメデューサは

腕組みをしながら階段を降りソラにそう言っていた。

ソラはそれを聞くと立ち上がり、

その場の階段をピョンと飛び降りて口を動かした。

 

 

「僕は全てを知りたいのさっ!

サバトの事、魔法使いの事、

ワイズマンの知ってる事!

滝川さんもそう思うでしょ?」

 

 

「‥‥‥我はそんなものに興味はない。

我があるのは‥‥‥‥。」

 

 

ソラはタキシムに意見を賛同してほしいのか

聞いてくるがタキシムは小さく首を横に振り

口を動かすが。

 

 

「‥‥我があるのはワイズマンの為。それだけだ。」

 

 

「‥ふぅん、そっか。

‥ところで、滝川さんいつまでその格好でいるの?

その姿(怪人態)だと動き辛くないかな?」

 

 

何かを言いかけていたがタキシムは

すぐに言い換えてソラを見る。

するとソラはタキシムの姿を見て

疑問に思ったのか問いかけていた。

それはスプリガンもメデューサも同じ意見なのか

その言葉にピクっと眉をあげてタキシムを見る。

そう、彼の姿はずっと怪人態のままなのだ。

この状態で昼間は碌に行動ができないはず。

魔法使いの前に現れるのも撤退するのも

いちいち物陰に隠れないといけないだろう。

タキシムは立ち上がり、ソラ達から

背を向けると同時にその質問に答えた。

 

 

「この姿が我を存在させる故。

スプリガン、あのゲートは任せたぞ。

我は少し力を蓄えてくる‥。」

 

 

「お、おう。分かった。」

 

 

タキシムはスプリガンにそう伝えると

タキシムは歩き出し、地下通路の奥へと

進んで行き姿を消した。

姿が見えなくなるのを確認したソラは

その後を見ながら口を動かした。

 

 

「‥‥‥ふぅん、()()()()‥か。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

メデューサ達から離れたタキシムは

もう見えなくなったのを感で判断すると

その身体から紫のモヤが出始め、なんと人間の姿に変える。

その格好は黒いアウターとズボン、シャツは

グレーのシンプルな服装、銀髪の少し長めの髪に

剣の形をしたネックレスをぶらさげている。

実はこの身体は少し前にワイズマンから

用意されていたのだ。

ワイズマンからは人間態の姿はグレムリン達に

教えても構わないと言うが、タキシム本人は

それを拒み怪人態の姿で通していた。

 

 

「‥‥我は今人間について

知りたいのかもしれんな。

あんなに叫び、笑い、目から水を流すなど‥‥

一体どうゆう仕組みをしているのだろうか‥。

フフフ、あの女(海未)のおかげで興味が湧いた。

人間とは面白い生き物だ‥。」

 

 

タキシムはフフフと笑いながらそう言って

階段を登り、地上へ出ると秋葉原の街や人間を

キョロキョロと見渡したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

朝比奈考古学研究所にて。

 

 

 

「‥‥‥‥‥いない‥な?」

 

 

先ほどベルトを取ったと攻大達に疑われ

バレそうになりながらも何とか追い出した中本。

それから数時間が経ち、中本は自分の研究室から

こっそりとドアを開け、外に攻大達がいないのを

確認すると隣の部屋の資料室に向かう。

追い出した後にも中本は発掘品の調査と

攻大のビーストドライバーとビーストリングの

研究をしていたが全く案がまとまらない。

試しにビーストリングをビーストドライバーに

セットしたりもしたが『NO‥。』という

音声しか鳴らずリベレイションズドアすら展開しない。

やはり装着者じゃないと開けられないのだろう。

 

 

「‥‥‥‥違うか〜‥‥‥‥。」

 

 

思い当たる資料を確認するがどれもこれも

当てはまらない資料ばかり。

中本はため息を吐きながら必死に探していた。

 

 

 

 

 

 

 

「おーいっ!攻大ー!見つけたぞー!」

 

 

 

 

「‥‥ん?あの声はさっきの‥‥。」

 

 

 

ふと、廊下の方から晴希の声が聞こえ

中本は資料を置いておそるおそる資料室の

ドアからこっこりと廊下を覗いた。

 

 

「ほれ、攻大のベルト、見つけたぜ。」

 

 

「おぉ!スゲェ!本物そっく‥ムグゥ!?」

 

 

「(バカ!さっきライン見たでしょ!?)

よ、よかったわね〜攻大っ!」

 

 

 

 

「‥‥!!ば、バカな‥‥!?

いつのまに‥‥‥‥!?」

 

 

そこにいたのは急いで戻ってきた

晴希が攻大になんとビーストドライバーを

差し出していた。攻大は嬉しそうに

何かを言いかけるがその口を瞬時に

絵里に塞がれ、絵里は冷や汗を流しながら

笑顔で答えた。それを見た中本は

()()()()()()()()()()()()

ビーストドライバーをなぜ晴希が持っているのかと

脳内の中で思考が駆け回り、中本は急いで

自分の研究室へと戻った。

そして慌てて奥の棚の並べてある本を

バラバラと投げ落とすと、その奥には

ビーストドライバーとビーストリング、

そして発掘品が確かにそこにあった。

 

 

「え‥‥‥あれ‥‥‥‥?」

 

 

「やっぱり貴方が盗んでたのですね?」

 

 

「ま、にこは分かってたけどねー。」

 

 

「っ!?‥‥‥!?じ、じゃあそのベルトは‥!?」

 

 

中本はベルトを見ておかしいと思った瞬間、

いつの間に入ってきたのか絵里、にこに

話しかけられ中本は慌てて振り返ると

秀夜以外の5人が揃っていた。

そして希の手にあるビーストドライバー。

中本は棚の奥に置いてあるビーストドライバーを

見比べて希のベルトに指差してそう聞くと

俺はドヤ顔で口を動かした。

 

 

「あぁ、ニセモノだよ。」

 

 

「優秀なゴーレムちゃんに作ってもらったんやで。

‥にしてもほんま良くできてるわ〜‥。」

 

 

「‥!!‥‥あぁ‥‥‥‥‥!」

 

実はこのベルトはうちの使い魔、

バイオレットゴーレムに頼み、急遽

作ってもらった品だ。中本の前で

見つけたと騒いで本物のベルトを見つけようと

思っていた作戦だが見事に成功。

希もニセモノのベルトを中本に向けて

そう言った後すぐに手の中でニセモノのベルトを

隅々まで見て感想を言い始めると

中本は観念したのか肩を下げて顔を下に向ける。

 

 

「何でこんなことしたのよ?

そこまでして研究したい理由でもあるの?」

 

 

「‥‥‥‥認めてもらいたかったんだ。

数年前、私は外国で土器の破片を発掘した。

私は喜んでそれを日本に持ち帰り、所長に

見せると、君の知名度も上がると評価してくれた。

だがその翌日‥、所長は自分が発見したと

嘘の発表をし、私から発掘品を盗んだのだ‥。

私はあの無念を晴らしたかった‥‥。

今回の発見は最後のチャンスだと思った‥。

どんな事をしても成果を上げたかったんだ‥。」

 

 

にこの問いに中本は長々とその理由を話した。

確かに発掘なんてそうそう上手くいくもんじゃない。

何カ月も見つからずに諦めてしまうかもしれない。

そして歳を重ねれば重ねるほど行動範囲は

狭くなってしまう。それで焦ったのか

共通点のある攻大のベルトを盗んでまで

研究したかったのだろう。

 

 

「だからって、やっていいことと悪い事が‥!!」

 

 

「まぁまぁ絵里ちゃん落ち着い‥‥!!?」

 

 

 

「「「攻大っ!?(こうっち!?)」」」

「っ!?攻大っ!!」

 

 

だがやる事は泥棒と変わらない。

しかも命に関わるベルトを取ってしまったせいか、

絵里は怒り爆発しそうになり中本に

ズイッと近寄る。攻大はそれを宥めようとした

その時、突然攻大は足を竦んでその場に

四つん這いに倒れこみ、俺達は慌てて

攻大に駆け寄った。

 

 

「へへっ、キマイラの奴‥。

思った以上に腹ペコらしい‥‥。」

 

 

「攻大‥‥!晴希っ!」

 

 

「あぁ、攻大手を出せ。」

 

 

よく見ればかなり顔色が悪くなっている攻大。

絵里はすぐに俺を見て、俺はエンゲージリングを

攻大の右中指に取り付けようとするが、

すぐに攻大は俺の手を振り払った。

 

 

「何遍も言わせんな‥‥!

俺は男に指輪をはめてもらう気はねぇし、

お前じゃキマイラは倒せねぇ‥。」

 

 

「バカヤロウ!やってみなきゃわかんねーだろ!」

 

「攻大!あんたの中にキマイラがずっといたら

永遠に苦しみ続けるのよ!?」

 

「そうよ!もう貴方は十分頑張ったわ‥!だから!」

 

 

「それがどおした!!」

 

 

 

「「「「!?」」」」

 

「こうっち‥‥‥。」

 

 

意地を張る攻大に俺、にこ、絵里は説得するが

急に怒鳴り声を上げ皆は驚いてしまう。

そして攻大は顔色が悪くなりつつも

俺や絵里を見て語り出した。

 

 

「俺、正義の力を貰って世界を救うなんて

絶対できやしないって思って

貰わなかったんだけどよ‥。

あの遺跡に行って、キマイラと出会って

無理矢理契約させられて魔法使いになった。

そして日本に来て初めてゲートを守った時

その人は悲しそうだけど幸せそうな顔してた。

死と隣り合わせだけどその時俺は思ったんだ。

最初は抵抗あったんだけどよ‥、

このベルトと指輪のおかげで、俺は魔法使い、

人を守れる仮面ライダーになれたんだ。

こんなチャンス二度とないだろ?

俺にとってキマイラは、希望でもあり

でかいチャンスなんだよ‥‥。」

 

 

「お前‥‥‥そんなことを‥‥‥。」

 

 

攻大の真意を知った俺は驚き、

勝手にエンゲージリングをしまったのだ。

 

 

「‥‥あんたばっかじゃないの?」

 

 

「ほんまや‥ポジティブにもほどがあるで‥。」

 

 

「‥‥‥本当、大馬鹿ね‥‥。

命までかけて‥‥‥。」

 

 

「へへ、命まで掛けて

守りたいもんができちまったかもな。

‥あんたなら分かるだろ?俺の気持ち。」

 

 

「‥‥‥‥二藤君‥。」

 

 

にこ、希、絵里は苦笑し、そう言って攻大を見つめる。

ここまでくればただの大馬鹿野郎だ。

命をかけてまで守りたいもの。

でも、もし、俺も攻大と同じ立場だったら

きっと同じ事を考えていただろう。

攻大は四つん這いになりつつ

中本をジッと見つめると中本は攻大の意思に

理解したのかゆっくりと頷いていた。

 

 

 

「グレムリンの言う通りだったな。

相変わらず不用心だ!」

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

「ファントム!?」

 

 

瞬間、いつの間に入ってきたのか

警備員の姿をした男性がそう言って構えると

怪人態のスプリガンへと姿を変える。

俺はそれを確認した瞬間、反射的に

ディフェンドリングを取り出した。

 

 

「心の支えは、大事に大事に

金庫にでもしまっとかねぇと、こうなっちまうぜ!

ハァッ!」

 

 

「っ!伏せろ!!」

 

 

《ディフェンド!・プリーズ》

 

 

「「「きゃあっ!?」」」

 

 

 

スプリガンはそう言って背中の金管らしき突起から

エネルギー弾を放ち、俺は絵里達をしゃがませ

素早くディフェンドリングを取り付けて

ベルトにかざした。すると音声が鳴り、

同時に俺は右手を前に突き出すと

そこそこ大きめの赤い魔法陣が現れ、

エネルギー弾から絵里達を守った。

 

 

「希さん、ちょっと借りますっ。」

 

 

その瞬間、俺は希の持っていた

ニセモノのビーストドライバーを取り、

俺はスプリガンにソレを見せた。

 

 

「お前なんかに心の支えは渡さないよ。」

 

 

「ふん、貴様に守りきれるかな!」

 

 

俺の持つニセモノのビーストドライバーが

心の支えと思ったらしくスプリガンは

ソレに目掛けて剣のキュオリシティを振り下ろす。

 

 

「よっと!!」

 

 

「ぐっ!?」

 

 

「攻大!こいつは俺が一芝居させてやる!

だからお前は必ず食いに来い!」

 

 

俺はキュオリシティを避け

ガラ空きになったスプリガンの背中に蹴りを入れる。

仰け反っている間に俺は攻大にそう言いながら

新作のリング、ドラゴンが穴に落ちる様な絵柄の

〝フォールリング〟を右中指に取り付け

ベルトへとかざした。

 

 

 

 

《フォール・プリーズ》

 

 

 

「うぉっ!?」

 

音声が鳴ると文字通り俺の足元に落とし穴の様な

穴が空き、俺とスプリガンは穴から落っこちて

下の階の部屋へ着地する。

やたら綺麗な部屋で幾つか賞などが

かざってあるのを見る限りここはどうやら

所長室の様だ。次の瞬間、俺は所長の椅子に

座ってる所長‥‥‥ではなく、秀夜が座って

寝ている事に大きく驚いた。

 

 

「うおっ!?秀夜!?何でここに!!」

 

 

「‥‥‥‥んぁ‥‥?‥‥おぉー、

ファントムかぁ〜〜〜〜んーーーっ。」

 

 

「余所見してんじゃねぇ!」

 

 

「うわっと!?」

 

 

俺の声かけに反応し、背伸びをしながら

体を起こす秀夜。学校から戻って見てなかったから

帰ったのかと思った。

すると一緒に落としたスプリガンは

そう言いながらキュオリシティを俺目掛けて

振り回してくる。

俺は避けながらドライバーオンリングを

右中指に付け替え、秀夜も椅子から立ち上がって

ドライバーオンリングをベルトへとかざした。

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

「おい!秀夜!ここの所長さんは、どうした!

オォラッッ!!」

 

 

「おあぁっ!?」

 

 

「あー‥‥ちょっといじったら

泣いてどっか行った。」

 

 

「何したんだよ‥‥‥?」

 

 

俺と秀夜のベルトから音声が鳴り

ベルトはウィザードライバーへと形を変える。

俺はスプリガンの攻撃を避けながら秀夜に聞き、

隙を突いてスプリガンの肩に

ドロップキックを浴びせスプリガンは

片隅に置かれてる高そうな壺に向かって

吹き飛び、壺は割れてしまう。

その間に秀夜は所長の机を飛び越えて

首を鳴らしながら答え、俺はその内容が

気になったが今はそんなこと気にしてる場合ではない。

そして、俺と秀夜はウィザードライバーの

シフトレバーを上下に動かした。

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

 

「変身。」

 

 

「変身!」

 

 

《フレイム!・プリーズ

 

ヒーヒー・ヒーヒーヒー!!》

 

 

《ダークネス・プリーズ

 

アク アク・アクアクアーク!!》

 

 

俺は変身リングをつけた左手を軽く横へ振り秀夜は引き裂くように左手を横へ振り、

ウィザードライバーへとソレをかざす。

そして互いのドライバーから音声が鳴り、

2人の真正面に現れた魔法陣が体を通り抜けると

俺は仮面ライダーウィザード、フレイムスタイル

秀夜は仮面ライダーダークウィザードへと

姿を変えた。

 

 

 

「んじゃあ、軽く殺してやっか〜‥‥!」

 

 

「ちょ、おい秀夜!‥あー、こーゆー時

話聞かないのは攻大に似てるなぁ!」

 

 

ダークウィザードはそう言いながら

ウィザーソードガン剣モードを取り出し

スプリガンへと駆け出す。

ウィザードの呼び止めを無視して‥。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

中本研究室にて。

 

 

「俺のベルトと指輪だけは返してもらうぜ。

じゃ、中本さんを頼んだ。」

 

 

「分かったわ。」

 

「任せときぃ。」

 

 

「っ!ま、ま、待ってくれっ!」

 

 

盗られたビーストドライバーとビーストリングを

腰と左中指に取り付けた攻大は中本を

絵里達に任せ、攻大は晴希に言われた通り

スプリガンの元へ向かおうとするが

突然中本に呼び止められる。

攻大は足を止め振り返ると、なんと発掘品と

青いキマイラの顔が付いてる指輪を

渡してくれたのだ。

 

 

「え‥?」

 

 

「すまなかった!君は大切なものの為に

自分の命をかけている。でも私は

嘗ての無念を晴らそうとしているだけだ‥。

あの時自分がされた様に、誰かを犠牲にして。

‥だからこれは、君が持つのに相応しい‥。」

 

 

「中本さん‥、じゃ遠慮なく。」

 

 

「っ、攻大っ!」

 

 

中本から発掘品と指輪を受け取り

攻大は行こうとした瞬間、今度は絵里に

呼び止められる。

 

 

「無茶しないでね‥‥‥?」

 

 

「‥‥‥皆まで言わなくていい、もちろんだ。」

 

 

胸に手を置き心配そうに見つめる絵里に

そう言われ、攻大は背を向けながら

頷き、スプリガンの元へ駆け出した。

いつもはこんな事口にしないはずなのに

絵里はそこまで攻大の心配をしていたが

今の一言とそのかっこいい後ろ姿を見て

絵里は優しく微笑み、彼の無事を待つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

「うぉらっ!!はぁっ!」

 

 

「うぉっ!?」

 

「どあっと‥!!?」

 

 

「はっはっは!さっきの威勢はどおした

指輪の魔法使い共!」

 

 

外へと移動しウィザードとダークウィザードは

スプリガンと交戦するが強さはスプリガンの方が

一枚上手で2人の魔法使いはおされていた。

スプリガンの持つ盾、リドルを突き出し

吹き飛ばされるウィザードらを見て

高笑いをするスプリガン。

 

そして。

 

 

「もらったぁっ!!」

 

 

「っ!!ぐぁっ!」

 

 

振り下ろしてくるキュオリシティを

咄嗟に防ぐべく、ウィザードは

ウィザーソードガンと共にビーストドライバーも

構えてしまい、力強い攻撃に

ビーストドライバーは真っ二つに斬られてしまう。

 

 

「っ!?しまった‥‥!」

 

 

「おいおい、それマヨネーズのベルトだろ‥‥?」

 

 

「はっ!用心が足りなかったな!」

 

 

斬られたビーストドライバーを見て

ウィザードはショックを受け、

()()()()()()ダークウィザードは驚き

スプリガンは嬉しそうにそう言って

ウィザードとダークウィザードの顔元に

キュオリシティを差し向けた。

 

だがそこへ、腹を空かせた野獣が現れる。

 

 

 

「待たせたな!晴希!それと〜、秀夜だっけか!

あれ?いつのまにここにいんの?」

 

 

 

「えっ?あれ‥‥ベルト‥‥?」

 

 

「ふ、それ程でも。」

 

 

「‥‥‥おい、どうなってやがる?」

 

 

ビーストドライバーを装着して現れた

攻大にスプリガンは転がっている

真っ二つのビーストドライバーを見比べて驚き

ウィザードはそれを拾いながら鼻で笑う。

そしてダークウィザードもおかしいと思ったのか

ウィザードにそう聞いていた。

 

 

「バカな!?ベルトは、今俺が‥!」

 

 

「ニセモノだよ。かっこ2回目っ?」

 

 

「な、何だと‥‥!?」

 

 

「‥‥へぇ、こいつぁすげぇな。

おい操真。さっき話してた使い魔俺によこせ。」

 

 

「は、やらねーよ。」

 

 

半分笑いながら種明かしをする

ウィザードに驚くスプリガン。

その完成度にダークウィザードも驚き

使い魔のゴーレムをくれと言ってくるが勿論断る。

 

 

「本物は食い意地が張ってんだ!

悪いが、さっそく食わせてもらうぜ。」

 

 

ウィザードとダークウィザードは

真っ二つのビーストドライバーと

使い魔の小話をしてる間に攻大は

スプリガンにそう言って発掘品を持ちながら

左手を頭上大きく掲げる。

 

 

 

「変〜〜〜〜〜〜身っ!!」

 

 

 

《SET!Open!!

 

L!・I!・O!・N! ライオーン!!》

 

 

 

「ガオッ!」

 

 

 

長々しく魔法の言葉を言いながら

両腕を大きく回し、

勢いよくCの文字を表すポーズで右に身体を傾け

左のリングスロットにビーストリングをはめ込み、

回転させるとリベレイションズドアが展開され

その中からキマイラオーサーが現れ、

魔法陣が身体を通り抜けると攻大は

仮面ライダービーストへと姿を変える。

 

 

「おっしゃあ!ランチタイムだ!」

 

 

「だったら!もう一度壊すまでだ!

行けグール共!」

 

 

「「「ーーーッ!!」」」

 

 

ビーストは手を合わせスプリガンに

決め台詞をかますとスプリガンは

グールの魔法石をばら撒き、

数十体のグールが地面から槍を構え出現する。

それを見たビーストは嬉しそうに駆け出す。

 

 

「うし!まずは前菜!おっるぁっ!!」

 

 

かなりご立腹なキマイラに少しでも

魔力を食わせねぇとと思い、ビーストは

グールの1体に向かって蹴りを入れた。

 

のだが。

 

 

「ッ!ーーーッ!」

 

 

「えっ?どあっ!?」

 

 

「「「ーーーッ!!」」」

 

 

「うっ!?ち、力が出ねぇ‥‥!?」

 

 

いつもなら吹き飛んでもおかしくないほど

脆いグールのはずなのに蹴りを入れて

怯むどころか受け止められてしまい

それに驚くビースト。そして拳を

顔に貰ってしまい倒れこみ、

残りのグールにタコ殴りにされる。

どうやら今のビーストはかなりの魔力不足と見る。

 

 

「っ!攻大!?

ちょ、秀夜これ頼む!」

 

 

「はあっ!?ちょ、いらねぇよこんなもん!」

 

 

やられてるビーストを見てウィザードは

真っ二つのビーストドライバーを

ダークウィザードに渡してウィザードは

ビーストの所へと助けに向かうが、、

 

 

「おらっ!余所見は不用心だぜぃ!フンッ!」

 

 

「ぐっ!?くそっ‥!攻大っ!!」

 

 

「ちっ!ド阿保が!」

 

 

「おおっと!お前も行かせねぇ、よ!!」

 

 

「っ!?‥‥テメェ。」

 

 

スプリガンに行く手を阻まれキュオリシティを

振り下ろしてくるが、何とかウィザーソードガンで

受け止める。ダークウィザードは焦れったいと

思ったのか真っ二つのビーストドライバーを

投げ捨て代わりにビーストの元へ向かおうとするが

そうはさせまいとスプリガンの肩の突起から

エネルギー弾が放たれダークウィザードの

足を止めさせる。

 

 

「「「ーーーッ!!」」」

 

 

「うぉあっ!?‥つつつ〜!?

くそ、グールにやられてちゃ後味悪すぎるぞ‥!

こうなったら一か八か‥!」

 

 

グールの槍を何度も食らってしまい

吹き飛ばされるビースト。槍を構えて

じりじりと近寄るグールの群れに

ビーストはそう言いながら先ほど

中本からもらった青い指輪を右中指に取り付ける。

 

 

「ほら、腹減ってんだろ‥‥?」

 

 

「「「「ーーーッ!!!」」」」

 

 

「頼むぜキマイラ!!フンッ!!」

 

 

 

指輪に向かってビーストはそう言いながら

こちらに駆け出すグールを見て焦り

速攻で青い指輪を右のリングスロットにはめ込んだ。

するとビーストの視野が一瞬で暗くなり

気が付くと、変身前の身体で立っており

見覚えのある空間が広がっていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「っ!?‥‥‥ここは‥‥‥‥。」

 

 

 

「いよいよ、お前も命が尽きそうだな。

二藤攻大。」

 

 

「っ!!キマイラ‥‥!?」

 

 

攻大は背後から聞こえる声にすぐに振り返ると

雄々しく姿を現した攻大の魔力の源、

キマイラが現れる。

 

 

「ようやく見つけた僕だが、別れの時か‥‥。」

 

 

「‥おい!そんな事より教えろ!

こいつは一体何使えるんだ!?

今使えるのか、使えねーのか!?」

 

攻大の周りをノシノシと歩きながら話すキマイラ。

それとは裏腹にギャーギャーと吠え

発掘品をキマイラに見せる攻大。

やかましいと思ったのかキマイラは一睨みし

その発掘品について答えた。

 

 

「それを使えば、我の本当の力を現実世界で

使うことができる。しかし、

今のお前では耐えられるかどうか‥‥。」

 

 

「‥‥‥‥何だ、使えるんだな。」

 

 

「っ!?聞いていたのか二藤攻大!

今のお前では‥!」

 

 

どうやらその発掘品はキマイラの力を

出し切れるアイテムなのだろうが

魔力が足りてない攻大が今使うと

どうなるか分からないと喋るキマイラ。

だが攻大は使えると分かった瞬間

その顔はニヤリと笑う。

 

 

「分かってる!皆まで言わなくていい。

過去の俺なら逃げてたかもしれない‥、

だがな!今は逆にワクワクしてる!

どんなデメリットだって乗りこなす自身がある!

だからキマイラ!俺に付き合え!」

 

 

「‥‥‥‥‥‥。」

 

 

今の攻大は魔法使い。そして人を守る力を持つ

仮面ライダー。その満ち溢れた強い眼差しに

キマイラは睨み返すが、次第にフッと笑う。

 

 

 

「いいだろう、口を開けて待っているぞ!!」

 

 

「!?‥‥‥あぁ!待っていろキマイラ!

さあ、食事の時間だ!!」

 

 

キマイラはそう言って攻大の体の中に入り込む。

そして攻大の身体は光輝き、その姿は

みるみる内に変わっていく。

 

 

 

 

《ハイパー!》

 

 

 

「「ッ!?」」

 

 

そして、現実世界に戻り、

ビーストのベルトから音声が流れる。

グールの群れはその輝き出すビーストの身体に

怯んでいると一気に輝き出し、グールの群れは

空中へ吹き飛ばされる。

その瞬間、ビーストのベルトからエネルギー体の

キマイラが現れ空中を浮かぶグールらを

一瞬でたいらげ、その周りを飛翔する。

 

 

 

 

《ゴーッ!ハィハィ、ハィ、ハイパー!!》

 

 

 

音声が流れると同時にビーストの背後に

魔法陣が現れ、飛翔していたキマイラは

その魔法陣の中へ入り込むとビーストは

青い炎の様なエネルギーに包まれ

ビーストの素体が青、

頭部が青と金、複眼が赤く変化する。

金色のアーマーも左右対称の形状になり、

胸部はキマイラの頭部を模している姿、

〝ビーストハイパー〟へとその身を変えた。

そして青い指輪と発掘品にヒビが入り

青い指輪はハイパーリング、発掘品は

青と金をベースに鏡が付いた銃

〝ミラージュマグナム〟になる。

 

 

「ワオ!派手!スフィンクスか!?」

 

 

「‥っ!!あの姿‥‥!?」

 

 

「っ!なんだと‥‥!?」

 

 

ウィザード、ダークウィザード、

そしてスプリガンも驚きその姿を見届けていたが。

スプリガンはやばいと思ったのかウィザードらを

放っておき、ビーストに向かって走り出す。

 

 

 

 

BGM 〜BEASTBITE 攻大version〜

 

 

 

 

「「「ーーーーーーッッ!」」」

 

 

「っしゃあ!一気に食い尽くすぜ!」

 

 

《ミラージュマグナム!》

 

 

残ったグールに向かってそう宣言し、

ビーストはミラージュマグナムの

シュートリガーに指を引っ掛け

クルクルと回しながらグールに向け

トリガーを押し込む。

すると黄色い光弾が何発も放たれ

それを食らったグールは一撃で爆散し、

魔法陣となってビーストの

ドライバーの中へと入り込んでいく。

 

 

「次はお前だ!!」

 

 

「はっ!おもしれぇ!!でやっ!」

 

 

 

こちらに向かってきているスプリガンに

そう言いながらミラージュマグナムを構えるビースト。スプリガンはリドルを構えて

接近し、キュオリシティを突き出すが

ビーストはミラージュマグナムを使って

その攻撃をいなしていく。

 

 

「ふん!きかねぇぜ!!」

 

 

「ならこいつはどうだ?おぉりゃっ!!」

 

 

「っ!?どあっ!?」

 

 

ミラージュマグナムの光弾は

リドルによって防がれ余裕を振る舞う

スプリガンだがビーストはそう言って

両腕に付いている魔力を帯びた紐

フリンジスリンガーが伸び、大きく腕を振ると

鞭のようにスプリガンへと当たり、叩きつける。

 

 

「ぐっ!?小癪な!!はぁっ!」

 

 

 

「っ!どぉおおりゃあああああ!!」

 

 

フリンジスリンガーを食らい距離を取る

スプリガンは背中の突起からエネルギー弾を

ビーストに向けて放つ。ビーストはその瞬間、

スプリガンの周りを全力で駆け出し

放たれたエネルギー弾を全て避ける。

 

 

「食らいなぁ!!ハァッ!」

 

 

「っ!?どぁっ!ぐあっ!?」

 

 

駆け出したビーストは空中へ跳躍し、

横へ回転しながらミラージュマグナムを

スプリガンへと向けてシュートリガーを引き

その光弾をスプリガンに浴びせる。

火花を散らしながら倒れこむスプリガンに

ビーストは逆に余裕の姿を見せつける。

 

 

「ぐっ!?バカな‥‥‥!?

この前はこれほど強くは‥‥‥!?」

 

 

「見誤ったな!野獣は空腹になると

覚醒すんだよ!じゃあ、決めさせてもらうぜ

メインデッシュ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

一方で、ビーストハイパーへとなった攻大らを

朝比奈考古学研究所の屋上から

1人の青年、ソラがその場を見下ろしていた。

 

 

 

「古の魔法使いも進化したんだ☆

今回は高みの見物だねっ。

‥‥これでもまだファントムを

増やそうとするのかなぁ、ワイズマンは。」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「しゃ、決めるぜー!」

 

 

スプリガンに宣言し、ビーストは

ミラージュマグナムのリングスロットに

ハイパーリングをはめ込んだ。

 

だがしかし。

 

 

 

「‥‥‥‥ん?あれ?あ、鏡。

じゃなくて形が‥‥え?おおいっ、

おい、おい!」

 

 

「今だっ!ハァッ!」

 

 

「え、どぶぁっ!?」

 

 

はめ込んだのだが何故だか

リングスロットのサイズとハイパーリングの

サイズが全く合わず、必殺技が発動しない。

ビーストはミラージュマグナムに付いてる

鏡を気にしながら何度も試していると

スプリガンはその隙をついて

背中の突起からエネルギー弾を放つ。

顔面に諸に受けたビーストは豪快に

吹き飛びながらもミラージュマグナムと

ハイパーリングを見て苛立てていた。

 

 

「いっってぇええ‥‥!おいなんだよキマイラ!

協力すんじゃねぇのかよ!?

お前口開けて待ってるって言ったじゃ‥‥。

ん?口‥?もしや‥‥‥!」

 

 

ビーストはハイパーリングを見ながら

怒っているとキマイラの言っていた

口を開けて待っているという言葉を思い出し

まさかと思い、ビーストはハイパーリングの

顔部分を掴み、上へとスライドさせた。

すると閉じていたキマイラの口が

ガバッと開かれたのだ。

 

 

「ぅおおおおっ!口開いたぁーーー!!

よっしゃああ!!」

 

 

 

《ハイパー!マグナムストライク!》

 

 

 

その変なギミックにビーストは興奮し

もう一度ハイパーリングをミラージュマグナムの

リングスロットにはめ込むと今度はちゃんと

音声が鳴り、ミラージュスペクターから

エネルギー体のキマイラが飛び出し、

もう一度ビーストの中へと入り込む。

 

 

「今度こそメインデッシュ!おぉっらぁ!」

 

 

 

「っ!?ぬぐ!ぬぐぐぐぐ‥‥‥!?

うぁああああああああっっ!!!」

 

 

 

ミラージュマグナムを構え、

スプリガンに向かってシュートリガーを引くと

エネルギー体のキマイラが銃口から飛び出し

スプリガンに向かって飛んでいくが

スプリガンは盾のリドルを構えて防ぐ。

が、その威力は段違いでリドルは砕かれ

スプリガンはダメージに耐えきれず爆散し

魔法陣となってビーストのベルトの中へと

入っていった。

 

 

 

「ふぅ!ごっちゃん!

いや〜!やっと食えた〜!!」

 

 

「‥‥ふふ、すげぇな‥‥‥。」

 

 

「‥‥‥‥‥‥。」

 

 

 

手を合わせるビーストに

ウィザードは魔力を何とか食べ、

更に新しい力を手に入れた

攻大を見て自然と笑みが零れる。

そして、その後ろでは圧倒的な

力を見せた攻大を見てダークウィザードは

強く拳を握りしめ、2人に気づかれないよう

そっとその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

空港にて。

 

 

 

「じゃ、こいつの事は任せろ。

俺があんたの分までみといてやるからよ。」

 

 

「あぁ、よろしく頼むよ。

私はまた発掘調査からやり直すよ。

思い出したんだ‥‥わたしの夢は世間に

認めてもらうのではなく、未知の遺跡の謎を

解き明かすことなんだって‥‥。」

 

 

「‥‥‥‥‥夢‥‥‥。」

 

 

ゲートを守ることができた俺たちは

希、にこ、絵里、攻大と共に

中本を見送るため空港に向かっていた。

キマイラの事は攻大に任せて

中本はまた1から発掘調査に励むそうだ。

そして中本の言っていた本当の夢を聞いて

俺は少し昔の事を思い出した。

 

 

「‥ま、また面白いもん見つけたら教えてくれよ?

今度はそだな〜〜、魔法のランプとか、

魔法の槍とか?他にも魔法の‥」

 

 

「何!?そんなものまであるのか!?

どこだ、どこの遺跡だ!?よし一緒に行くぞ。

今すぐだ!」

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいっ。

攻大はまだ学生ですので行かれてもらっては‥。」

 

 

攻大の変な妄想に中本は本気にしてしまい

攻大も連れて行こうとするが絵里に止められる。

すると中本は絵里に向かって爆弾発言をした。

 

 

「何かねお嬢さん。彼氏が連れて行かれるのが

寂しいのかね?」

 

 

「か、かれ!?彼氏!??」

 

 

「え!?そう見えちゃいます!?

いやー参ったな〜!どうする絵里ちゃーん?」

 

 

「ち、ちちちちちが、ちが、違うわよ!!」

 

 

「ぶべぇっ!?いっ、いってぇええええ!

何で叩くんだよぉ!?」

 

 

 

中本の発言に絵里は一気に顔を赤くし

照れながら揶揄う攻大の頬に

絵里は思い切りビンタをかましていた。

それを見ていた希とにこは微笑ましく

見守っていると希はふと思ったのか

俺に訪ねてきた。

 

 

 

「そういえば、晴希君は、夢とか目標とかないん?」

 

 

「え?夢?俺のっすか?」

 

 

「せやで。」

 

「それはちょっとにこも気になるわね。

あんたは何か目指したいものとか

やりたい事とかあるの?」

 

 

ふと希は攻大と中本を見て思ったのか

俺にそうきいてきた。

俺はう〜んと少し考えた後、

 

また、自分の過去を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なぁ!なあ、なあ!春樹君!

お前の夢って何だったっけー?』

 

 

『え‥‥‥‥?えと、その‥‥‥‥。

わ、分からない‥かな‥?』

 

 

『はぁ?お前嘘つくんじゃねぇよ。

じゃあこの本は何だ?その歳で

【仮面ライダー】になるつもりかよ!?』

 

 

『きゃははは!マジウケるんですけど!

あんたその顔でなんとかライダーに

なろーとしてんの?やばい超ウケるw

ほら、変身って言ってみてよ?ヘンーシンってw』

 

 

『やめてあげなよ可哀想でしょ?w』

 

 

『あ、えと‥‥‥ははは‥‥‥』

 

 

『笑ってんじゃねぇよ気持ち悪ぃ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥。」

 

 

「‥‥‥‥‥晴希君?」

 

 

「えっ?あぁ‥‥うん、俺の夢は‥‥

ファントムを倒すこと‥‥それだけですよ。

‥ちょっと用事思い出したんで先に帰ります。」

 

 

「あ‥う、うん。ほなな?」

 

 

俺は一瞬忘れてしまいたい記憶を思い出し

すごい顔になったのだろう、希が

顔を寄せて来たが俺は()()()()

そう言って一足先に帰った。

 

 

 

「急にどうしたのよあいつ?」

 

 

「‥分からへん、でもさっきの晴希君の

あんな顔見たことないで‥‥。

余計な事聞いてしもうたみたいやね‥‥。」

 

 

にこは先ほどの顔を見てなかったのか希に

そう聞くが、希はバツの悪そうに晴希の

後ろ姿をそう言って見ていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

 

 

「なんで使えねぇんだよ‥‥!?」

 

 

何度も試す紫のドラゴンの指輪。だが

エラー音しか鳴らず、苛立つ秀夜。

 

 

 

 

 

「ちょっと付き合ってくれるかしら?」

 

 

「え!‥‥も、もしかして‥!!君達って‥!」

 

 

秋葉原にて晴希はツバサ達と遭遇!

トップアイドルとデート!?

‥‥って攻大も一緒だった。

 

 

 

「ボクより弱いなんて君それでも男なの?」

 

 

「俺が‥‥弱いだと‥‥!!?」

 

 

ファントムの強さにダークウィザードだけが

ついて行けなくなり、己の弱さに悔やむ

ダークウィザード。

 

 

 

 

「ウゥオアアアァアアアッッ!!!」

 

 

「‥‥秀‥夜‥‥‥‥?」

 

 

突然叫び出す秀夜。その姿は‥‥‥‥。

 

 

 

第41話 力の異変




あっつい‥‥‥
あ、どもしょーくんです( ゚д゚)

書けた書けた〜(>_<)
ついに進化した二藤攻大!
絵里との距離も縮まったかな?(^^)
さて、次回は‥‥
いよいよ秀夜のお話。
晴希、攻大はパワーアップを遂げ
自分だけ置いていかれる秀夜。
そんな彼に一体何が起こるのか‥‥!?

と、言いたいところですが!
お先にコラボの方をやらせていただきます!(>_<)
ますたーつりーさんと
真姫リコットさんとのコラボです!
自分なりに考えた内容ですので
若干内容は違うかも知れませんが
今日か明日には投稿します!


感想、評価などがあれば是非お願いします(^^)

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