ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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魔法の指輪「ウィザードリング」

今を生きる魔法使いは

その輝きを両手に宿し、

「絶望」を「希望」に変える。


神秘の調味料「マヨネーズ」

今を食す人々は、

その未知なる味に驚愕し、

「人」は「マヨラー」に変わる。


ー ラブウィザード2nd Season ー
第31話 もう1度、ラブライブ!


全校集会にて。

 

 

 

 

『音ノ木坂学院は入学希望者が増え、

予想を上回る結果となった為、

来年度も生徒を募集することとなりました。』

 

9月の後半‥と言ってもあと数日で10月になる頃。

壇上でマイクを使って挨拶と同時に

今起きている事を説明する南理事長。

 

今各地で話題となり一般高校生が生徒を集めて

結成されているもの。

それはスクールアイドル。

秋葉原でおなじみUTX学園の芸能科から始まった

セミプロアイドルグループA-RISE。

その人気故に全国の高校でも真似をする人が

爆発的に増え(中には男子も結成しているらしい。)

全世界に影響されていた。

 

そしてその一環として音ノ木坂学院も

スクールアイドルは存在していた。

音ノ木坂学院は古くから存在する伝統校だが、

その古さ故にだんだんと入学希望者は減り、

ほとんどの生徒希望者はUTX学園に

持って行かれたのだ。そしてとうとう

音ノ木坂学院は生徒の数が少なくなり

廃校にまで追い込まれていた。

 

そこで、とある元気な少女が

廃校を阻止する為に時代の流れに乗って

結成したグループ、その名も『μ's』。

μ'sのおかげで入学希望者は増え

廃校を免れることができた。

その知らせを伝えるべく、

理事長はこうして生徒を呼び、

全校集会で立派にお話をされている。

‥‥まぁ、あの世間でもよくある

長ったるい話だな。

 

 

『3年生は残りの学園生活を悔いのないよう過ごし、

実りのある毎日を送っていって

もらえたらなと思っています。

そして1年生、2年生はこれから入学してくる

後輩達のお手本となるよう、気持ちを新たに

全身していってください。』

 

『理事長、ありがとうございました。

続きまして、生徒会長挨拶。

生徒会長、よろしくお願いします。』

 

 

そう言って理事長は軽くお辞儀をし、

司会の言葉と同時に壇上から降りて後ろに下がる。

ちなみに司会者はヒデコ、フミコ、ミカの3人だ。

生徒会長挨拶。その言葉に生徒会長の3年生の

絢瀬絵里が講堂の椅子から立ち上がり

他の生徒の視線を集めてしまう。

 

 

だが、絵里が生徒会長‥‥、

それはつい先日までのことだ。

 

 

絵里は立ち上がると舞台裏の方に視線を向けて

精一杯の拍手を送った。

舞台裏にいる()()()生徒会長へと。

そしてその入り口にスポットライトが照らされ

生徒会長が顔を出し、壇上へと歩んでいく。

その堂々とした姿に講堂の皆は

期待をふくらませていたが、

舞台裏で控えてる2年生の園田海未、南ことり、

そして俺、操真晴希は心配そうに

その場を見届けていた。

壇上へ上がった生徒会長は、

目を閉じ、一呼吸する。

そして笑顔で講堂の皆を見て口を動かした。

 

 

 

 

『皆さん!こんにちは!』

 

 

 

その明るい声に便乗するかのように

講堂に座っている全生徒から

期待と歓声の声が聞こえる。

 

 

 

『この度、新生徒会長となりました!

スクールアイドルでおなじみ、(わたくし)!』

 

 

彼女はそう言って区切ると

壇上に置かれてるマイクを設置台から外し

頭上へ高く投げた。

そして彼女は1回くるりと回り、

落ちてくるマイクを見事にキャッチすると

 

 

 

 

『高坂穂乃果と申します!!』

 

 

 

穂乃果は成功した顔でそう講堂の皆に言った。

あの自己紹介は本当やめてほしかったが

無事成功してなにより。

‥‥失敗したら超恥ずかしいだろ〜な〜‥。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

放課後、生徒会室にて。

 

 

 

「どぉあああ〜!‥疲れたぁ‥‥‥。」

 

 

「なんつー声出してくたばってんのさ‥。」

 

 

「穂乃果ちゃん、お疲れ様☆」

 

 

全校集会も無事?に終わり

生徒会室で思い切り突っ伏している

新生徒会長、高坂穂乃果。

その疲れ具合に俺はジト目で見てため息を吐き、

書類を片付けてることりは相変わらずの

甘々ボイスで穂乃果にそう言う。

 

何故穂乃果と俺たちが生徒会の仕事をしてるのか、

それは元生徒会の絵里と希が突然

穂乃果達に生徒会の仕事と座を託したのだ。

「穂乃果ならできる。」

「カードもそう告げてるんや。」

などと言い残して‥‥。

まぁ穂乃果だけではもたないだろうと

俺も正直嫌々で入った、そうゆう訳だ。

 

 

「生徒会の挨拶ってライブとは全然違う‥。

緊張しっぱなしだったよぉ‥‥‥。」

 

 

「でも、穂乃果ちゃんらしくてよかったと思うよ☆」

 

 

 

「どこがよかったんですか!?」

 

 

くたばる穂乃果にことりはそう言って褒めてると

資料を持って帰ってきた海未が半分怒り気味で

生徒会室へと入ってくる。

因みに海未は副会長。

ことりは会計と書記。

俺も副会長、及び庶務を担当している。

 

 

 

「せっかく昨日4人で挨拶文も考えたのに!」

 

 

「あはは‥‥ごめ〜ん‥。」

 

 

海未は持ってきた資料を整理して

書類収納ケースに入れながら文句を言うと

苦笑いしながら反省する穂乃果。

そう、あの派手な自己紹介の後、

穂乃果はせっかく練習した挨拶文を忘れてしまい、

その場に立ち尽くしてしまったのだ。

仕方なく俺が代わりに挨拶したというわけだ。

 

 

「ぐぬぬ、せっかく練習したのに‥。」

 

 

「ま、ドンマイだな。」

 

 

 

「とにかくっ!」

 

 

しくしく泣く穂乃果を俺が苦笑しながら

宥めていると海未が両手いっぱいの書類を

穂乃果の目の前にドサッと置き、

それを見た穂乃果はゔぇ!?と言って

その身体を起こす。

 

 

「今日はこれを全部処理して帰ってください!」

 

 

「こんなにっ!?」

 

 

「あ〜あとこれも。」

 

 

机に次々と置かれた山積みの書類を見た

穂乃果は色んな意味で絶望するが

それに追加するように俺は1枚のプリントを

穂乃果に渡すと穂乃果は目を通して読み上げた。

 

 

「学食のカレーが不味い‥、

アルパカが私に懐かない‥‥、

文化祭に有名人を‥‥、

いつもプレーンシュガーばかり頼んで

新作を頼んでくれない人がいる‥‥ってこれなに?」

 

 

 

「一般生徒からの要望‥‥

ってよりも愚痴だなそれ。」

 

 

「あはは‥‥。」

 

 

読み上げた穂乃果に俺にそう答えると

隣でことりが苦笑する。

すると穂乃果は俺と海未をジト目で睨みだす。

 

 

「もう!少しくらい

手伝ってくれてもいいじゃない!

晴希君と海未ちゃん副会長なんだし!」

 

 

「もちろん私と晴希は事前に目を通しています。」

 

 

「え!?じゃあ目を通したのならやってよぉ!!」

 

 

頬を膨らませて俺と海未にそう言う生徒会長(穂乃果)

穂乃果がことりと別の作業をしてる間に

俺と海未は先に目を通していたので

後は生徒会長である穂乃果が決めるだけなのだが

量が量なのか子供の様に駄々をこね始める。

だが海未はまだまだと言わんばかりに口を動かす。

 

 

「仕事はそれだけじゃないんです!

あっちには校内で溜まりに溜まった忘れ傘の放置!

こちらにはクラブの活動記録やまとめも

放ったらかし!そこのロッカーの中にも

3年生の引き継ぎが丸ごと残ってます!」

 

 

あるもの全部指を指して残ってる仕事を

全部言った海未の言葉に穂乃果は

目の前に置かれてた山積みの書類に顔をうちつける。

 

 

「生徒会長である以上!この学校の事は

誰よりも詳しくないといけません!」

 

 

「で、でも4人いるんだし手分けしてやっても‥。」

 

「そうだぞ海未。さすがにこの量は

穂乃果1人じゃきついと思うんだが‥‥。」

 

 

「2人は穂乃果に甘すぎます!

生徒会長になった穂乃果には

これくらいしてやらないと後々困るのは

穂乃果なんですよっ。」

 

 

穂乃果には厳しい海未にことりと俺が

フォローに入ろうとするが容易に断られる。

‥‥ドンマイだ穂乃果。一応副会長である

俺と海未はやれるものはやっといたからな。

 

 

 

「うぅ〜‥‥生徒会長って大変なんだね‥‥。」

 

 

 

「わかってくれた〜?」

 

 

「あ、絵里ちゃん!」

 

 

泣き言を吐く穂乃果に生徒会室のドアを開けて

答えたのは元生徒会長の絵里だった。

 

 

「うふふ、頑張ってるかね君たち?」

 

 

「うぃーす!どうだ調子は?」

 

 

「希ちゃん!攻大君も!」

 

 

絵里の後から持ち前のタロットカードを手に

入ってきた3年生、元副会長の東條希。

同じく3年生で古の魔法使いの二藤攻大。

 

 

「あーうるさいのが入ってきたか‥‥。」

 

 

「んー?どゆことかな操真晴希君?」

 

 

「なんでもないですよー、マヨラー君。」

 

 

「あ、そうですかー、脳みそドーナツ野郎。」

 

 

「うるさいぞ単純バカ。」

 

 

「クール気取りかクソドーナツ。」

 

 

 

「‥‥‥‥。」

 

「‥‥‥‥‥。」

 

 

 

 

 

 

「「表出やがれぇええっ!!」」

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと!?会っていきなり

喧嘩しないでください!」

 

 

「お、落ち着いて2人ともっ。」

 

 

入ってきたマヨ‥攻大に俺はボソッと呟き、

俺と攻大は煽るように笑顔でバカにしてると

お互いは胸ぐらを掴んでそう声を上げると

海未とことりが止めに入る。

だがそれに慣れたのか喧嘩をしている俺らを素通りして絵里と希は穂乃果の方へと向かっていく。

 

 

 

「大丈夫?挨拶カチカチだったわよ〜?」

 

 

「えへへ、ごめんなさい。それで今日は?」

 

 

「とくに用事はないけど、どうしてるかなって。

自分が推薦した手前もあるし‥心配で。」

 

 

「明日からまたみっちりダンスレッスンもあるしね。

‥‥カードによれば、穂乃果ちゃん

生徒会長として相当苦労するみたいよ〜?」

 

 

様子を見に来たと苦笑して答える絵里の後に

希は『THE HANGED MAN』と書かれたカードを

取り出してそう言い、

穂乃果はえぇ〜と嫌そうな顔をする。

因みに意味は苦痛に耐えて尽くす、

肉体疲労が溜まっている‥‥という感じだが

そのぶん耐えたのちに素晴らしい物が

手に入るという意味でもある。

 

 

「だから3人共、フォローしたってね?」

 

 

「気にかけてくれてありがとうっ、

希ちゃん、絵里ちゃん、攻大君っ☆」

 

 

優しくそう言ってくれた希に

ことりは甘々な声でお礼を言うと

攻大はその声に心をやられたのか

胸をおさえて口を動かす。

 

 

 

「ぐぉっ!ことりちゃんの悩殺ボイスが‥

よし!皆まで言わなくていい!

何か俺にも手伝わせてくれ!」

 

 

「おー、じゃあ手伝うのはいいから

なんかジュース買ってきてくれ。人数分な。」

 

 

「おう、分かったぜ!!」

 

 

気合いの入る攻大に俺はそう言うと

笑顔で生徒会室から出て廊下を走って行った。

‥‥ふ、バカは使える。

 

 

「‥と、とにかく困ったことがあったら

いつでも言って。できるだけなんでもするから。」

 

 

「うんっ、ありがと!

‥‥‥でも、この量はさすがに気が参るよ〜‥。

あ、そうだ!」

 

 

俺と攻大のやり取りを見て汗を垂らす

絵里は振り返り穂乃果にそう言うと

穂乃果は笑顔で頷くがやはり量が量なので

どうしようか悩んでいると突然椅子から立ち上がり、

置かれた書類を持って教室から出ようとする。

 

 

「穂乃果、どこ行くんだ?」

 

 

「教室!そっちの方が捗るかなって思って!」

 

 

俺が聞くと穂乃果はそう答えて生徒会室を出て行った。

 

 

 

「‥未だに穂乃果が生徒会長なのが

信じられないな。」

 

 

「おや、ウチからすれば晴希君が副会長ってことも

信じられへんけど?」

 

 

「ちょ、どうゆう意味っすか希さん。」

 

 

ボソッと呟く俺の言葉が聞こえたのか

希はうししと笑いながら答える。

俺は苦笑しながらあと少しだけ残ってる

仕事を終わらせようとすると

突然生徒会室の扉がガチャリと開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

時は少し遡り、音ノ木坂学院屋上にて。

 

 

 

穂乃果達2年生が

生徒会の仕事でお休みになっている間、

1年のメンバーと3年生でアイドル研究部の

部長、矢澤にこが練習服を着ていつも通り

屋上でダンスの練習に励んでいた‥‥つもりだった。

 

 

「‥‥、いい?特訓の成果を見せてあげる。」

 

 

「「‥‥!」」

 

 

星空凛、小泉花陽の前に立ち、

そう告げたにこは真剣な顔をして

彼女達を背に後ろに向く。

凛と花陽はその成果をしかと見届けるような

強い眼差しでにこを見るとは裏腹に、

屋上の柵に身体を寄りかかっている西木野真姫は

いつもの癖で髪をくるくるといじりながら

呆れた目でにこを見ている。

そして数秒経ち、勢いよく振り返ると‥

 

 

 

「にっこにっこにー❤︎

あなたのハートににこにこにー❤︎

笑顔届ける矢澤にこにこ❤︎

あ、ダメダメダメ〜❤︎にこにーは、

み〜んなの、も・の❤︎」

 

 

 

 

 

「気持ち悪い。」

 

 

 

「ちょっとぉ!?昨日一生懸命考えたんだからー!」

 

 

「知らない。」

 

 

特訓の成果と言えどほぼやることは

いつものにこにこにーと一緒で内容が

少し違うだけだった。

成果(笑)を見せ終えた途端真姫からの

冷たい一言でにこは頭から煙を出して怒るが

彼女はツンとした対応をしてそっぽを向く。

 

 

「てゆーか、4人でこんな事してて

意味あるの?」

 

 

「はぁ?アンタ達何にも分かってないわねぇ。

これからは1年生が頑張らなきゃいけないのよ?」

 

 

にこに呼び出されて来た凛は半分面倒くさそうに

聞くとにこはそう言って自分達の荷物置き場に

置いてあったビデオカメラと三脚を取り出して

1年生達の前に手慣れた手付きでセットする。

 

 

「いい?私はアンタ達だけじゃ

どう頑張ればいいか分からないだろうと思って

手助けに来たのっ、先輩として!」

 

 

「‥‥そのビデオは?」

 

 

「何言ってんの!ネットにアップする為に

決まってるでしょ!今やスクールアイドルも

グローバル!全世界へとアピールしていく

次第なのよ!ライブ中だけでなく、

日々レッスンしていくのもアピールへと繋がるわ。」

 

 

 

いつもPVや撮影で使う部のビデオカメラ。

それを使って1年生の踊りをネットに上げて

アピールをしようと先輩としての

手助けをしてくれていた‥のだが。

にこは言い終わるとグフッと企む顔で笑いだす。

 

 

 

「イッヒッヒ‥‥、こうやって1年生を甲斐甲斐しく

見ている所をアピールすれば、

それを見たファンの間に、にこにーこそ

センターに相応しい!との声が上がり始めて

やがて‥‥‥‥‥!」

 

 

「全部声に出てるにゃ〜‥‥。」

 

 

「っ!?‥‥‥にこっ☆」

 

 

 

ゲスな顔で企むにこの言葉は全て筒抜けで

凛はそう言うと誤魔化すようににこは笑顔を作る。

すると、荷物置き場からスマホの

バイブ音が聞こえる。どうやらそれは

花陽のスマホらしく、すぐに取りに行き

スマホの画面を確認すると。

 

 

 

「え‥‥?え、ちょっ!

ええぇぇぇぇぇっ!!?」

 

 

 

「かよちん?どうしたの?」

 

 

「‥花陽?」

 

 

「ありえないデス‥‥こんなこと‥!」

 

 

 

 

スマホの画面を見た花陽は皆も驚くほど

声を上げ、凛と真姫は何事かと聞くが

花陽は真姫達にそう言った瞬間

立ち上がり、何かを確認したいのか

全力で部室へと行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

部室にて。

 

 

 

「あぁー!どうしよう!?

すごい、すごすぎますー!!」

 

 

「‥‥突然どうしたのよ?」

 

 

「アイドルの事となるとキャラ変わるわよね。」

 

 

「凛はこっちのかよちんも好きだよっ。」

 

 

部室に来た花陽はさっそくパソコンを立ち上げ

あるサイトを開くとその内容を見て驚愕する。

その様子を後から追いかけてきた

にこ、真姫、凛の順番で見ていた。

 

 

「夢!夢なら夢って先に言ってほしいです!」

 

 

「一体なんなのよ!?‥‥え!?」

 

 

「教えなさいっ‥‥‥っ!?」

 

 

「「「ええぇぇぇぇぇっ!?」」」

 

 

興奮する花陽に真姫とにこは花陽にそう聞くと

そのサイトに目が行き、皆の背後から覗き込んだ

凛と一緒に真姫、にこ、凛は声を上げてその

内容に驚愕する。

 

 

「こ、これは一大事ね‥‥!」

 

 

「と、とにかく!これは穂乃果達に報告するわよ!」

 

 

驚く真姫の後ににこはそう言って部室から飛び出し、

その後を続くように真姫達も部室から出て、

廊下に貼ってあるチラシが剥がれて吹き飛ぶほど

速度で4人は生徒会室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

時は戻り、生徒会室にて。

 

 

 

 

「穂乃果っ!!」

 

 

 

「うぉっ!?にこ!?どうしたいきなりっ。」

 

 

勢いよく生徒会室のドアを開き

穂乃果の名前を呼びながら入ってくるにこと

1年生達に驚きながらも用件を聞く俺。

 

 

「穂乃果はっ?」

 

 

「穂乃果なら教室に行かれましたよ。」

 

 

「教室の方が捗るからってそっちに行っちゃったよ。」

 

 

「とゆうか皆んなお揃いでどしたん?」

 

 

にこは穂乃果を探してるみたいだが

入れ違いになったらしく、穂乃果は

教室に行ったことを海未とことりは伝え、

希はにこ達を見てそう聞くと花陽が口を動かす。

 

 

「事情は後で説明します!

とにかく皆さんは部室に行っててください!」

 

 

花陽はそう伝えると穂乃果を探すべく

にこ達と再び廊下を走って教室へと向かった。

 

 

 

「‥‥どうしたのかしら?」

 

 

「さぁ‥?とりあえず、部室に行ってみるか。

‥‥あ、クラーケン。攻大呼んできてくれないか?」

 

 

突然の出来事に絵里は俺を見ながら首を傾げ、

俺も同様に首を傾げながら、

生徒会室をフヨフヨと飛んでた俺の使い魔、

イエロークラーケンにそう言って

花陽が言ってた部室へと向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

2年の教室にて。

 

 

 

「穂乃果ちゃんっ!」

 

 

 

「あ、凛ちゃん。」

 

「どうしたのお揃いで?」

 

 

穂乃果を探すべくにこと1年一行は

凛は穂乃果の名前を呼びながら教室の扉を開けると、

そこにいたヒデコとフミコが

4人の存在に気付く。

 

 

「穂乃果ちゃんは!?」

 

 

「あー、穂乃果なら

どうしても体動かしたいから屋上へ‥」

 

 

凛が聞くとフミコがそう答えてくれたが

言い終わる前に凛達はすぐさま屋上へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

屋上にて。

 

 

 

「穂乃果ぁ!」

 

 

「あ、真姫ちゃんっ。」

 

 

次に屋上へと来たにこと1年生一行。

そこには先ほどまでいなかったミカと

その友達が2人ほど居た。

 

 

「あの、穂乃果はっ?」

 

 

「え、あっ、穂乃果ちゃんなら

お腹が空いたから何か食べてくるって。」

 

 

 

「ちょっ!どんだけ移動してんのよ〜!?」

 

 

真姫が聞くとミカは笑顔で答え、

にこはそう叫びながら1年一行と共に

屋上を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

アルパカ飼育小屋にて。

 

 

 

「「メェ?」」

 

 

 

「ここに来てどーすんのよぉお!!」

 

 

穂乃果の行き先が分からず

花陽を先頭に走ったにこ達は何故か

アルパカの小屋へと足を運んでいた。

凛以外は全員息切れをしており、

何故ここに来たのかとにこは苛立っていた。

 

 

「ねぇ!穂乃果ちゃん知らない!?」

 

 

「メェ、メェメェ〜〜。」

 

 

「‥中庭だね!ありがとうっ!」

 

 

 

 

 

「「何で通じるの!?」」

 

 

「かよちんはアルパカ使いだからにゃ〜っ。」

 

 

花陽はアルパカに聞くが

当然動物なのでこちらの声もアルパカの鳴き声も

互いに理解できないが、アルパカの返事に

花陽は頷き走り出す。

それを見たにこと真姫は驚くが

凛はさらりとそう言って花陽の後を追いかけていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

中庭にて。

 

 

 

 

「はむっ‥‥いや〜、今日もパンが美味い!」

 

 

「はぁ‥はぁ‥‥す、少しは‥じっとしてなさいよ‥!」

 

 

「探したんだよ〜?」

 

 

中庭のベンチでランチパックを美味しそうに

食べてる穂乃果をやっと発見して

凛以外は全員バテバテに疲れており

花陽に至っては地面に倒れてるほどだ。

息切れをしながらもにこは穂乃果にそう言って

凛はケロッとした顔で穂乃果に言う。

そしてにこはもう離さないと言わんばかりに

穂乃果の肩を掴み、口を動かした。

 

 

「穂乃果‥‥!もう一度、あるわよ‥‥!」

 

 

「もう一度‥‥‥っ。」

 

 

「もう一度‥‥!」

 

 

 

「?‥‥もう一度?」

 

 

にこの言葉に息切れをする花陽と真姫も

同じ事をいい、それが何なのか分からず

穂乃果は首を傾げるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

アイドル研究部、部室にて。

 

 

 

 

「「「「「「え!?もう一度

〝ラブライブ!〟!?」」」」」」

 

 

「そう!A-RISEの優勝と大会の成功をもって

終わった第一回ラブライブ!それが

なんとなんと!その第ニ回大会が

行われることが!早くも決定したんです!」

 

 

 

部室で待つようにと言われ

後から穂乃果を連れてやってきた

にこ達。そして衝撃の事実に

俺、攻大、希、絵里、海未、ことりは

声を揃えて驚いてしまう。

興奮している花陽はそう言いながら

部室のパソコンのラブライブ!のサイトを開き、

穂乃果以外の皆はそこへ集まる。

 

 

「ここからが重要!規模の大きい今回の

ラブライブ!では、ランキング形式ではなく

各地で予選が行われ、各地区の代表になった

グループが本戦に出場できます!」

 

 

「つまり、人気投票による今までのランキングは

関係ない、ということですか?」

 

 

「‥‥‥どうゆうことだ?」

 

「要は次に行われるラブライブ!は

前みたいにランキング形式を気にせず、

どのチームも予選を突破できれば、

μ'sでも出場できるってことだろ。」

 

 

「その通りっ!!!」

 

 

花陽の説明に海未はそう答え、

それでもはてなマークを浮かべる攻大に

俺が説明すると花陽がそう言ってガバッと

椅子から立ち上がる。

 

 

「それって私達でも出場できる

チャンスってこと!?」

 

「凄いにゃ〜っ!」

 

「これならいけそうだね☆」

 

 

「えぇっ!」

 

 

形式が変わったラブライブ!に

にこ、凛、ことり、絵里がそう言って喜ぶ。

 

 

「やらない手はないわね。」

 

「そだな。またとないチャンスだし。」

 

 

「よぉし、じゃあラブライブ!出場目指して‥」

 

 

「ちょっと待って!」

 

 

真姫、俺、そしてことりの掛け声で‥

と言いたい所だが、突然絵里は声を上げて

喜ぶ皆の注目を集める。

 

 

「地区予選があるってことは、

私達、A-RISEとぶつかるってことじゃない?」

 

 

絵里のその発言に皆は あっ と声を漏らす。

A-RISEのメンバーもμ'sと同じ秋葉原の

スクールアイドル。地区予選ってことは

同じ地区とぶつかる‥‥つまり、

A-RISEとぶつかるってことになるな。

そして絵里の発言を聞いた他のメンバーは

悲しい顔になり、花陽はその場に膝をついた。

 

 

「お、終わりました‥‥‥‥。」

 

「ダぁメだ〜〜っ!」

 

 

「A-RISEに勝たなきゃいけないなんて‥!」

 

 

「いっそのこと、みんなで転校しよう!」

 

 

「無茶を言わないでくださいっ。」

 

 

花陽、にこ、ことりはそう言って

凛は海未に無茶な事を言い出すが

まぁできるわけないので海未はキッパリと言う。

 

 

 

「‥‥、これはいくらなんでも‥‥っ。」

 

 

 

「なんだなんだ。みんなして諦めやがって、

別にA-RISEに勝てばいいだけの話だろっ?」

 

 

「えっ?」

 

 

 

希でさえも弱音を吐こうとした瞬間、

ふと、頭を掻きながら攻大がそう言って

絵里は思わず声を漏らす。

攻大の言葉に俺は鼻で笑うと口を動かした。

 

 

 

「攻大の言う通りだな‥。

やる前からその気になってたら

俺たちが今までしてきたことは

一体なんだったんだ?ってことになるぞ。

今回のラブライブ!のエントリーは自由、

なら出場してもいいんじゃないか?」

 

 

攻大に続き、俺の言葉に皆は互いに顔を見合わせ

やる気を出してくれたのか頷いてくれる。

 

 

「そ、そうだよね!大変だけど、やってみよう!」

 

「やってみる価値はあるわね。

じゃあ、決まりって事でいいわね?

‥‥‥、穂乃果?」

 

 

這いつくばってた花陽もバッと起き上がり

目を輝かせていた。絵里も決意したようで

皆にそう言ってやる気をださせるが、

ふと、先ほどから会話に全く入らず

椅子に座ってお茶を飲んでる穂乃果に目がいく。

そして次の穂乃果の言葉に皆は驚く事となった。

 

 

 

「‥ラブライブ!、

出なくてもいいんじゃない?」

 

 

「‥‥‥え?」

 

 

突然の笑顔で言う穂乃果の言葉に俺も思わず

聞き返してしまった。

そして穂乃果はもう一度笑顔で口を動かした。

 

 

 

 

「ラブライブ!、出なくてもいいと思う。」

 

 

 

 

 

「「「「「えぇえええっ!?」」」」」」

 

 

 

 

穂乃果のその言葉は今度こそ

俺たちの頭の中に入り、

穂乃果以外の全員は一箇所に集まり声を上げる。

 

 

 

「ほ、穂〜乃〜果〜〜っ!!」

 

 

「うわわっ!?何何っ?」

 

 

するとにこは穂乃果の手を引っ張り、

隣の部室に連れて行くと皆も急いでそちらに

移動し、凛は部室の真ん中に椅子を置き、

そこににこは穂乃果を座らせると

その目の前に大きめの鏡を海未とことりが置くと

海未は口を動かした。

 

 

「穂乃果!自分の顔が見えますか!?」

 

 

「見え‥ます。」

 

 

「では鏡の中の自分は何を言ってますか!?」

 

 

「‥‥海未ちゃん、急にどうしたの?」

 

 

 

「急にどうしたじゃないわよ穂乃果っ。」

 

 

「ラブライブ!に出ないって‥‥。」

 

 

「ありえないんだけどっ!」

 

 

海未の問い詰めに穂乃果は首を傾げると

絵里、希に続き、にこも強くそう言って

一旦区切り、穂乃果にずいっと近寄る。

 

 

「ラブライブ!よラブライブ!

スクールアイドルの憧れよ!?

アンタ!真っ先に出ようって言いそうじゃない!」

 

 

「そ、そう‥‥?」

 

 

「穂乃果ちゃん、何かあったのか?」

 

 

「い、いや別に‥‥。」

 

 

「だったらなんで出ないのよ!?」

 

 

にこはそう言って穂乃果の両肩をガシっと掴み、

さすがの攻大も気になるのか聞いてみるが

穂乃果は目をそらすだけでその反応に

にこはさらに問い詰めるが。。

 

 

「私は‥、みんなで歌って踊って

楽しくやれればそれで‥‥‥。」

 

 

「今までラブライブ!を

目標にやってきたじゃない!違うの!?」

 

 

「穂乃果ちゃんらしくないにゃっ!」

 

 

「挑戦してみてもいいんじゃないかなっ?」

 

 

穂乃果の誤魔化すような感じの返事に

にこは半分怒り気味にそう言って

凛と花陽も後押しするが、

穂乃果は苦笑するだけだった。

その光景を俺は黙って見てると

にこは穂乃果から数歩離れて、

穂乃果に向けて指を突き出した。

 

 

「穂乃果っ!!勝負よっ!」

 

 

「えっ!?はいっ、‥‥って、え?何を?」

 

 

「これから神田明神の階段でどっちが

先に登れるか競争よ!にこが勝ったら

ラブライブ!出場で、穂乃果が勝ったら

出場は諦めるわ!」

 

 

「ちょ、ちょっとにこ、急に何を言い出すの‥」

 

「えりち!」

 

 

にこの発言に穂乃果は理解しかねたが

後の説明に穂乃果、

そして他のメンバーでさえも驚く。

その急な勝負に絵里は止めようとするが、

希は絵里の名を呼び、絵里は

振り返ると希は真剣な表情でコクリと頷いた。

 

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

「にこちゃん‥‥‥分かった。」

 

 

そして真剣な眼差しで穂乃果をみるにこに

穂乃果はその勝負を了承し、急遽俺たちは

神田明神へと向かう事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

神田明神に向かう途中の道沿いにて。

 

 

 

 

 

「突然どうしちゃったのかしら‥。」

 

 

「生徒会の仕事が忙しくなってきたのが

理由かもしれません。」

 

 

「で、でも忙しいから出ないって、

穂乃果ちゃんが思うはずないよっ。」

 

 

神田明神へ徒歩で向かうμ'sメンバー達。

雲行きも少し怪しく、いつ雨が降っても

おかしくない天気のなか、にこは穂乃果に

勝負を申し込んだのだ。

そして皆より後を歩く穂乃果の前方で

絵里、海未、ことりは穂乃果を見ながら

神田明神へと向かっていた。

 

 

「‥きっと穂乃果ちゃんは

今のμ'sはみんなで練習して

歌を披露する場もある、

それで十分って思ってるんやと思う。」

 

 

「何それ、意味わかんない。

だったらラブライブ!に出てもいいじゃない。」

 

 

希の言葉に真姫は髪をくるくると

いじりながらそう言った。

 

 

「女の子の考えてる事ってたまに

分からなくなるんだよな〜、だろ晴希?

‥‥‥晴希?」

 

 

 

「‥‥ちょっと、穂乃果と話してくるわ。

みんな、先行っててくれる?」

 

 

 

攻大と並んで歩いてた俺は

攻大の小言を無視して皆の後ろを歩いている

穂乃果の元へと向かった。

 

 

「くっ、俺より穂乃果ちゃんの方がいいのかよ‥。」

 

 

「‥いや、きっと伝えに行ったんやと思う。

こうっちも分かるやろ?」

 

 

「伝えに?何をにゃ?」

 

 

穂乃果の元へ向かった俺の背中を見て

攻大はむくれた顔でそう言うと

希は目を閉じながら口を動かし、

その言葉に凛は首をかしげた。

 

 

「これ、見てほしいんや。」

 

 

「「「「「‥‥!」」」」」

 

 

「‥‥‥‥。」

 

「‥‥‥‥‥。」

 

 

「っ!‥‥‥‥。」

 

 

希の見せたラブライブ!のサイト。

それを見た海未、ことり、真姫、凛、花陽は

驚き 絵里、にこは

分かっていたかの様に黙り込み、

攻大もその意味にやっと気付き、黙り込んだ。

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

「穂乃果。」

 

 

「あ、晴希君‥‥。」

 

 

後方を歩く穂乃果の所へ向かった俺は

穂乃果に声をかけるが穂乃果は

こちらに来ていたことを

声をかけるまで気付いていなかったようだ。

 

 

「ライブ、どうして出ないんだ?」

 

 

「‥‥そ、それは‥‥‥‥。」

 

 

「自分がはしゃぎ過ぎて周りが見えなくなる、

それで迷惑がかかってしまう、とか?」

 

 

「えっ‥‥?晴希君知ってるの?」

 

 

「聞いただけだ。

詳しいことまでは分からないけど。」

 

 

穂乃果がラブライブ!に出たくない理由、

それは俺が無理をして倒れた時、

周りの事を考えずに自分が

はしゃぎ過ぎたせいで俺が倒れた、

そしてことりの留学の相談にのってやれなかった。

(ことりの留学の話を知った時は

俺もかなり驚いたな‥‥。)

ある程度攻大達にその話は聞かされたが

予想的中で俺は少し笑ってしまう。

 

 

「晴希君、なんで笑ってるの?」

 

 

「いや、本当穂乃果らしいなって。」

 

 

「え〜っ?どうゆうこと?」

 

 

「なんでもないよ。

なぁ穂乃果、ライブ‥出てもいいんじゃないか?」

 

 

俺はエントリーを誘ってみるが

穂乃果はやはり躊躇いがあるのか俯いてしまう。

その表情を見た俺は軽く息を吐き、

少し離れた先頭を歩くμ'sメンバーを

見つめながら口を動かした。

 

 

「穂乃果、今度のラブライブ!

開催日いつか知ってるか?」

 

 

「え‥、ううん。」

 

 

俺の質問に穂乃果は横に首を振る。

やはり知らなかったようだ。

おそらく花陽達もラブライブ!が

開催される事だけに目がいってて

気付いていないだろう。

俺は少し悲しげな表情で穂乃果に伝えた。

 

 

 

 

 

「来年の3月、もしかしたら亜里沙ちゃん達が

音ノ木坂に受かってるかもしれない。

それと同時に‥‥‥言わなくても分かるな?」

 

 

 

「‥‥‥‥!」

 

 

 

俺は穂乃果に伝えると穂乃果は驚いた顔で

先頭を歩くμ'sメンバーの、

3年生のメンバーを見ていた。

それから俺たちはしばらく黙り込んでしまい

気が付けば神田明神にたどり着いていた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

「じゃあ晴希、お願いするわよ。」

 

 

 

「はいはい、2人共動くなよ?」

 

 

 

階段の前でにこと穂乃果がそれぞれの位置に立ち、

それ以外のメンバーは少し後ろで見守る事に。

そしてにこの言葉に俺はここ最近

いつもの事になので軽めに流しながら

ドラゴンにネクタイがついた新作の魔法リング、

〝ドレスアップリング〟を右中指に付け

ベルトへとかざした。

 

 

 

《ドレスアップ・プリーズ》

 

 

音声が鳴ると穂乃果、そしてにこの頭上に

魔法陣が現れ、2人の体を上から下へと

通り抜けると、なんということでしょう。

2人は学生服からジャージ姿へと

変わったではありませんか。(棒読み)

 

 

「くっそっ、何で晴希だけあんな便利な魔法を‥!」

 

 

「今回の新作リングは凄い便利ですね。」

 

 

「えぇ、今回は本当に魔法使いらしい指輪ね。」

 

 

「おい絵里、なんだその言い方。

まるで今までの指輪が魔法使いっぽくない

みたいな言い方だぞ?」

 

 

衣装チェンジしたにこと穂乃果を見て

後ろから攻大と海未と絵里のそんな会話が聞こえ

俺はジト目で絵里にそう言った。

‥‥まぁ、スメルリングとか魔法っぽくない

指輪もあったので否定はしない。

俺が復活した(第30話)次の日に家に

新作リングが2つ置かれていた。

 

その1つが今使ったドレスアップリング。

一体どういった仕組みなのかは分からないが

使用すると自分や他人の服装を思いのままに

衣装チェンジすることができる。

まさに絵本に出てくる魔法使いそのものの様な

夢の魔法。これでどんな時でも服装を

自在に変えれる‥‥魔力は使うけどな。

 

そしてもう一つはまだ未使用だが、

ドラゴンがマッチョポーズを決めて目がメラメラと

燃えている絵柄の魔法リング。

近い内に試してみないと。

 

 

‥だが、新作リングを届けてくれるはいいのだが

その本人(神様)が顔を出してもくれない。

神だけあって他の事とかで忙しいのかも

知れないけど、あの白い魔法使いの事について

何か知りたいのだが会えないので

全く聞き出せない。

攻大やμ'sメンバーもどうやら白い魔法使いに

会ったらしく、人の記憶を消す魔法を

使っていたらしい。そして1番気になったのが

後処理を頼まれている‥と言っていたそうだ。

 

ん〜‥何だ‥?俺らが魔法使いとして怪物と

戦った後処理を神様か誰かに頼まれてるのか‥?

記憶も消せる魔法があるのだから

有り得るかも知れない‥‥。

 

 

「‥‥まさか‥、いやそれはないかな。」

 

 

ふと俺はその魔法が使える事に対して

ある疑問が頭に浮かんだ。

この世界に転生されて前世の記憶は

ある程度残ってはいるが

何か()()な事だけが頭から綺麗サッパリと

なくなっており、もしかしたら白い魔法使いが

消したのかと考えられたがそれも一瞬だった。

 

こちらに転生した時、神様は転生の事故で

その一部の記憶が消えたって言っていたし、

わざわざ白い魔法使いが同じ転生者の

記憶を消しに来るなんて事はしないだろう。

それにその記憶ももう何だったのか分からないので

あまり気にかける気分でもなかった。

 

 

 

 

 

「よぉ〜〜〜いドォン!!」

 

 

「あ!にこちゃんずるいっ!」

 

 

 

そんな考え事をしていると

いつの間にか勝負は始まっており

にこはフライング合図で先に駆け出し

穂乃果はそう言いながら

2人は階段を駆け上っていた。

 

 

 

 

「‥すっげえ顔してるなにこちゃん。」

 

 

「あぁ、あの顔で追っかけられたら

夢に出てきそうだな。」

 

 

にこの駆け登る顔を見て攻大は耳元で

ボソッと囁いてきたので俺も

汗を垂らしながら答えた。

‥‥まぁそれだけ、ラブライブ!に出たいんだろな。

 

そう思っていた時だった。

中盤まで差し掛かった辺りでにこは

階段につまづいてこけてしまうのが見えた。

それに気付いて穂乃果も足を止めにこへと

近づいてるのが見える。

 

 

「にこちゃんっ!?」

 

 

「何やってんだあいつ。」

 

 

 

思わず花陽は叫び、俺や皆も心配した顔で

にこと穂乃果の元へ向かった。

それと同時に、雨が静かに降り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

「晴希君から聞いたんだけど、

ラブライブ!の開催日が3月らしくて‥

それって‥‥‥。」

 

 

 

「‥‥そうよ、3月になったら

私達4人は卒業‥‥。

こうしてみんなと一緒にいられるのは、あと半年。」

 

 

神田明神の神門の下にて。

雨が降り、勝負は中止となり

ドレスアップリングで着替えた穂乃果とにこ。

そして穂乃果は絵里達に開催日の事を聞くと

絵里は静かに答え、その横に並んでいた

攻大、にこ、希は暗い表情になり

1年や2年生組もその事を知っていたのか

皆も俯いてしまい、どんよりとした空気が流れる。

ラブライブ!開催日は3月、

それはつまり、今いる3年生、絵里達は

卒業してしまうということだった。

 

 

「それに、スクールアイドルとして踊れるのも

在学中だけなんや‥‥。」

 

 

「そんな‥‥。」

 

 

「いっそのこと留g‥‥痛ぇっ!?」

 

 

「したら許さへんで?」

 

 

希の言う通りスクールアイドルとして

踊れるのは在学中だけだった。

その言葉に穂乃果はショックを受けるが

それを和ませようと攻大が何か言おうとしたが

希に頬をつねられてしまう。

 

 

「別にすぐ卒業しちゃうわけじゃないわ。

‥でも、ラブライブ!に出られるのは、

今回でラストチャンスなの‥‥。

本当はずっと続けたいと思う。

実際卒業してからも、プロを目指して

続けている人も大勢いる。」

 

 

絵里は一旦区切ると皆を

見渡しながら口を動かした。

 

 

「でも、このメンバーでラブライブ!に

出られるのは、今回しかないのよ‥。」

 

 

「そだな、卒業して同じ大学とか行くなら

本格的にプロを目指してアイドルするって事も

できるけど、皆それぞれやりたい事とかで

進路はバラバラになっちまうかも知れないしなっ。」

 

 

「‥‥‥やっぱりみんな‥‥。」

 

 

絵里に続き、攻大も真面目な顔になり

現実的にそう言っていた。

‥進路か‥‥‥、みんな卒業して行ったら

きっと寂しいだろうな‥‥。

おそらく穂乃果や皆もそう思っているだろう。

穂乃果がボソッと呟くと花陽が口を動かした。

 

 

「私達もそう、例え予選で落ちちゃったとしても、

この11人で頑張った足跡を残したい。」

 

「凛もそう思うにゃー!」

 

 

「‥やって見てもいいんじゃない?」

 

 

 

「っ!みんな‥‥。

ことりちゃんや海未ちゃんは?」

 

 

1年生も先輩達の為にラブライブ!に出場したい。

そんな思いのこもった瞳に穂乃果は心揺らぎ、

幼馴染のことりと海未に聞いてみたが

2人も同じ気持ちだった。

 

 

「私は穂乃果ちゃんが選ぶ道ならどこへでも☆」

 

 

「穂乃果、私達の事なら心配いりません。

貴方も本当は出たいのでしょう?」

 

 

 

「っ!‥やっぱりバレてた?」

 

 

「当たり前です。

何年一緒にいたと思ってるんですか?」

 

 

ことり、そして海未の言葉に穂乃果は

観念したかのように笑い

海未もそう言いながらつられて笑ってしまう。

 

 

 

「始めたばかりの時は何も考えずに

やってこれたのに、今は何をやるべきか、

分からなくなる時がある‥。

でも‥‥でも、1度夢見た舞台だもん‥‥‥。

やっぱり私だって出たい!

生徒会長やりながらだから、

また迷惑かけるかも知れないけれど、

本当は物凄く出たいよっ!」

 

 

「‥やっと本音が出たな。」

 

 

「えっ?」

 

 

穂乃果の気持ちに俺や他のメンバーは

頷き合い、穂乃果の前に横一列に並んだ。

 

そして、

 

彼女の大好きな曲を。

 

みんなで。

 

 

 

 

「「「「だって〜可能性感じたんだ〜♩」」」」

 

 

「「「「そうだ〜ススメ〜〜♩」」」」

 

 

「「後悔した〜くない目〜の前に♩」」

 

 

「っ!‥僕らの〜道がある〜♩」

 

 

希、にこ、絵里、海未が1パート

真姫、凛、花陽、ことりが2パート

俺、攻大が3パートを歌い、

最後は穂乃果が歌ってくれた。

 

可能性を感じたなら後悔せずにススメ。

 

穂乃果が大好きな曲でこのμ'sを動かした

原点の曲でもあるこの曲。

そして歌い終わった後、

俺は笑顔で穂乃果に言った。

 

 

 

「穂乃果、やろう!もう1度、ラブライブ!」

 

 

 

「「「「「「「「やろう!」」」」」」」」

 

 

 

「‥‥うんっ!よぉし!やろう!

ラブライブ!出よう!!」

 

 

俺の後に皆も声を揃えてそう言うと、

やっと穂乃果らしくなり、ラブライブ!に

出場することを決意。すると穂乃果は

神門の下をを飛び出しまだ雨が降っている

空の下へと走りだし、神社の真ん中らへんで

足を止めた。

 

 

 

「ほ、穂乃果!?」

 

 

「穂乃果ちゃん濡れるぞ!?」

 

 

突然の行動に海未と攻大は叫び

俺達もびっくりしていた。

だが穂乃果はその場から動かず

雨の降る空を見上げると、大きく息を吸った。

 

 

 

 

「‥‥雨止めぇえええーーーーーっ!!」

 

 

 

‥急に何を言い出すんだ?

穂乃果は天に向かってそう叫び

穂乃果の行動を見ていた

俺達は驚きが絶えずにいたが、

次の瞬間、奇跡は起きたのだ。

 

 

 

 

「‥‥え?嘘‥‥?」

 

 

皆が空を見上げ

にこが声を漏らした瞬間だった。

降っていた雨はぴたりと止め、

徐々に太陽の光が差し掛かっていく。

偶然か奇跡か‥、

穂乃果の言葉で雨は止んだのだった。

 

 

 

 

「っ!本当に止んだ!

人間その気になればなんだってできる!

ラブライブ!に出るだけじゃもったいない!

この11人で残せる最高の結果!!」

 

 

穂乃果はそう言って一旦区切り、

右手を大きく頭上に上げ、

人差し指を突き出した。

そして、穂乃果らしい挑戦を口にした。

 

 

 

 

 

「優勝を目指そうっ!!」

 

 

 

 

 

 

「優勝っ!?」

 

 

「そこまでいくのっ!?」

 

 

「大きく出たわねぇっ!?」

 

 

「面白そうやん!」

 

「おっしゃぁ!やるならとことん

やってやろうぜっ!!」

 

 

その宣言に海未、凛、にこは驚くが

希と攻大は笑顔でのってきた。

1位なんて無防な挑戦かもしれない。だけど。

 

 

 

 

 

 

「ラブライブ!のあの大きな会場で

精一杯歌って!私達!1番になろう!!」

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果ならきっと連れていってくれる。

まっすぐで突っ走るあの子なら。

周りを笑顔にさせてくれるあの子なら!

 

 

 

 

 

俺達、μ'sはもう1度、ラブライブ!に

エントリーすることを

今ここで新たに決意したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

 

「うぉおあああああああっ!!!」

 

 

「‥あ、あれってもしかして‥‥?」

 

 

暴風雨の中、雄叫ぶフェニックス(人間態)に

穂乃果は違和感を感じる。

 

 

 

 

 

「コヨミちゃん!μ'sに入りませんか!?」

 

 

「え‥‥?えぇっ!?」

 

 

穂乃果は転校生の両肩をガッシリと掴み

まさかの勧誘!?

 

 

 

「もし約束を破って友達に嫌われたら

私‥‥ゔぁああああああん!!!」

 

 

「あ、あの、えと!だ、誰か助けて〜!」

 

 

「花陽までそんなこと言わないでよぉ〜!」

 

 

今度のゲートはかなりの泣き虫?

花陽も対応に困り晴希も泣きそうに‥。

 

 

 

 

 

 

「さぁ!孤独に絶望しろ!」

 

 

「こっから挽回させてもらうぜ!!」

 

 

「何でもいいから早く手伝え!」

 

 

ファントムと戦うウィザードに

助っ人?マヨラー登場!

ゲートを助けることができるか!?

 

 

 

 

第32話 転校生と近づく真相

 




はい!どうもしょーくんです!
あつい!あっついですね(>_<)
まだ5月だってのに笑

さてさて、始まりました
ラブウィザード二期!!
そして次回は、、皆さんお待ちかね!
いよいよコヨミさんと
ウィザードのさらなる進化が‥!
ドラゴタイ‥‥!

感想、評価があれば是非お願いします(^^)

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