ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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最初に言っておく!!

皆様の要望に答え、
感想で出さないといってましたが
ツン夜君少しだけ出しときます(>_<)

あともう1人、
本当は出さない予定だったのですが
これも皆様の要望&お友達のお願いで
とある人物も出します笑

それでは1期最終話、どぞ(^^)








第30話 ミュージックショータイム!

放課後、2年穂乃果のクラスにて。

 

 

「‥‥‥‥。」

 

「‥‥‥。」

 

 

あれからもうすぐ2週間が経過し、

高坂穂乃果がスクールアイドルを

辞めると言った以来、親友の園田海未とは

ほぼいっさい口を聞いていなかった。

学校に来て目が合うとお互いは

目を逸らしてしまう。

そして今日、今も授業が終わり

生徒達は部活や帰宅などで次々と教室を出ていく中、

海未と穂乃果も全く喋らず鞄へと教科書を入れ、

先に海未が弓道部に行くため教室を出ていく。

 

 

「‥‥‥‥‥。」

 

 

鞄のチャックを閉め、穂乃果も帰ろうと

立ち上がろうとした時、ふと隣の机と

前の机を見る。それは南ことりと

操真晴希の机だった。

ことりは留学の準備の為

学校に来ておらず

明後日には空港を行ってしまう。

そして晴希は未だに意識が戻ってない。

μ'sのメンバー全員が心配するが

今は医者の言葉を信用するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

音ノ木坂学院、校門前にて。

 

 

 

「まだ落ち込んでるんだ‥。」

 

「うん、なんかスクールアイドル辞めたの

海未ちゃんと喧嘩したのが原因らしくて‥。」

 

 

帰宅途中、ヒデコが穂乃果達の様子を

2人に聞くとフミコはそう答える。

あの屋上の一件以来、穂乃果は本当に

スクールアイドルを辞めてしまったのだ。

 

「ことりちゃんも留学の準備でずっと休んでるし、

操真君もまだ容体がよくないらしいよ。」

 

 

「そっか〜‥‥、それで海未ちゃんと

全然話してないのか〜。」

 

 

ミカも寂しそうに言うとヒデコは顎に手を置き

数秒経つと閃いたように指を鳴らす。

 

 

「じゃあこういう時こそ、

私達が何とかするしかないでしょ!」

 

 

と、ヒデコが言った瞬間

学校の方から暗い顔をした穂乃果が

校門(こちら)へと歩いて来ていた。

 

 

「穂乃果、たまには一緒に帰らない?」

 

 

「えっ‥‥‥?うん、いいよ。」

 

ヒデコに急に話しかけられた穂乃果は

びっくりするが断る理由もないので

穂乃果は愛想笑いで頷く。

 

 

「あ、もしかしてこれからお見舞いとかだった?」

 

「ううん、さすがに毎日行ったら晴希君に

迷惑かなって‥‥‥。」

 

 

「そっか、じゃあ今日放課後空いてるんだね?」

 

 

「ちょ、ちょっとヒデコ!?」

 

 

落ち込む穂乃果に軽々しく聞いている

ヒデコをミカは止めようとするがヒデコは

ミカにウィンクをして人差し指を立てる。

 

 

「気にすることないじゃない、だって穂乃果は

学校を守ろうと頑張ったんだよ?」

 

「‥そうだけど〜。」

 

「学校守る為にアイドル始めて、

その目的が達成できたからアイドルを辞めた。

何も気にすることないじゃないっ。ね?」

 

「‥‥‥そうだね。」

 

 

ヒデコの言葉に穂乃果はそう言った。

いや、そう言うしかなかった。

もともとの目的は学校存続の為に

アイドルを始め、それが達成できた。

なら、アイドルを辞めても何もおかしくない。

穂乃果はそう思っていた。

だけど今ヒデコに言われて、なぜか

穂乃果の胸はその言葉にチクリと痛んだ。

 

 

「学校のみんな感謝してるんだよ?」

 

「うんうん!μ's見てウチの学校

知ったっていうのも、沢山いたみたいだし!」

 

「そうそう、元気だしなよ。」

 

 

「‥‥うん、ありがと。」

 

 

ヒデコ、ミカ、フミコにそんなことを言われて

少しは励みになった穂乃果はほんの少しだが

笑顔を見せた。そしてヒデコに手を引っ張られ

穂乃果達は秋葉原の駅前へと向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

弓道部にて。

 

 

 

「‥‥‥!」

 

 

 

凛とした表情で海未は

矢に沿って目線を移し、的に向けて

弓の弦を離し、矢は的にめがけて飛んでいく。

 

 

「‥‥‥ふぅ。」

 

 

「最近、随分熱心ね。」

 

 

一呼吸する海未に隣にいた弓道部員の1人が

海未の姿を見て声をかける。

 

 

「はいっ、大会が近いですから。」

 

 

「スクールアイドルの方は

本当にもういいの‥?」

 

 

「っ、‥‥‥‥‥。」

 

 

笑顔で答えるも、次の一言で

海未は黙り込んでしまい、

再び矢を取り出し、

的に向けてソレを構える。

 

 

そして海未は

何かを紛らわすかのように

弦に力を入れ、矢を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

生徒会室にて。

 

 

「‥‥本当にこれでよかったんかな?」

 

 

「9人と2人がいないんじゃμ'sじゃないって

言ったのは希でしょ?」

 

「そうやけど‥‥‥。」

 

 

 

窓から外の景色を眺めてる東條希はふと呟いて

絢瀬絵里の方へ振り返ると書類を片付け終わった

絵里は苦笑しながら答え、立ち上がる。

 

穂乃果と海未がμ'sに来なくなり

1週間前に絵里が提案したこと。

それはμ'sの活動をしばらく休止することだった。

皆は仕方なくそれを受け入れるが

最後まで反対したのはやはり部長の

矢澤にこだった。

ラブライブ!出場できなかった故に

活動すら休止させられる。

そんな現実ににこは受け止められなかったが

1年の西木野真姫は

穂乃果や晴希達がいないんじゃμ'sは

解散したようなものだと言い、

それを聞いた残りのメンバーは

深刻な顔を浮かべる。

 

穂乃果はスクールアイドルを辞めてしまい

海未は弓道部に専念するといって

あまり顔を出さなくなり、

ことりは留学の為、学校を転校することになり、

晴希は戦いで重症を負い、病院で寝たきりだ。

 

もともとスクールアイドル『μ's』を始めた

きっかけはこの2年のグループなのだが

その肝心の2年がそれぞれの事情で

これなくなっている。

真姫の言った通り、この4人がいないのでは

μ'sという重要なピースは欠けている

ようなものだった。

その現実ににこもその場は仕方なく受け入れ

晴希の親友で、ライバルである二藤攻大は

悔しいのか屋上の壁を思い切り殴っていた。

 

 

 

 

そして生徒会の仕事を一通り終えた

絵里と希は生徒会の仕事を終え

帰宅する途中、絵里から口を動かした。

 

 

「正直、穂乃果が言い出さなくても、

いずれこの問題にはぶつかっていたと思う。

来年までだけど、学校は存続することになって、

私達は何を目標に頑張るのか、考えなきゃ

いけない時が来てたのよ‥‥。」

 

 

「‥‥それが今、ってわけやね。」

 

絵里の言葉に希は青空を見つめながらそう頷いた。

学校存続を達成し、どんどんバラバラに

なっていくような気がした希はタロットカードを

取り出して、1枚のカードを引き当てた。

 

 

「‥‥やっぱりここはあの子の出番やね‥。」

 

 

カードには『HOPE』と書かれており、

希はそのカードを見つめながら小さく呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

秋葉原駅前、ファーストフード店にて。

 

 

 

「あんた達はどうするつもり?」

 

 

「とりあえず食う!!」

 

 

「あんたは黙ってなさい。」

 

 

 

攻大、そして1年の星空凛と

小泉花陽はにこに連れてかれ

ファーストフード店に来ていた。

にこは1年の2人にこれからどうするか

聞いてると隣の攻大は少し苛立ってる様子で

頼んだハンバーガーにマヨネーズをかけて

早いペースで口へと運んでいた。

 

 

「‥どうするって?」

 

「アイドルよ、決まってるでしょ。

‥‥続けるつもりはないの?」

 

 

「「‥‥っ。」」

 

「私だけで続けない?」

 

にこの言葉に花陽と凛の心は揺らいだ。

絵里に活動休止と言われ仕方なく了承した

にこだが、やはり諦めきれずにいたにこは

1年の2人(追加バカ1人)を誘って

スクールアイドルをしようとしていた。

 

 

「‥‥にこちゃん‥‥。」

 

 

「‥‥、絵里ちゃんにあんなこと言われたけど、

俺は納得いかねーっつーの。

‥その話、俺は乗ったぜ。」

 

「攻大君‥‥‥。」

 

「‥‥攻大‥‥ありがと。」

 

 

にこの言葉に花陽は少し俯くと

食べるのをとめた攻大はそう言ってにこや

1年の2人を見る。凛とにこは攻大を見て

にこは小さく感謝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

音楽室にて。

 

 

 

 

「‥‥ふぅ。」

 

 

ピアノを軽く弾き終わった真姫は

一息吐くと、ふと音楽室の扉の窓を見つめると、

ある人物の事を思い出す。

 

 

 

 

 

 

『君は‥もっと、

もっと音楽を楽しみたいんじゃないのか?』

 

 

 

 

 

 

「‥‥ここで初めて会って、

初めてあんな事言われたわね‥‥‥。」

 

 

 

いつものお気に入りの曲を弾き終わった

直後に笑顔で拍手をしてくれて、

音楽を辞めそうになった真姫を

全力で守った(晴希)の姿が真姫の視界に映り、

真姫は立ち上がると窓際の方へ行き、

青空を眺めた。

 

 

 

 

「‥早く目、覚めなさいよ‥‥バカ晴希。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

1時間後、ことりの部屋にて。

 

 

 

「あ、海未ちゃん、いらっしゃい。

遅かったね、練習?」

 

 

「はい‥‥‥‥っ。」

 

部活を終え久しぶりにことりの家へと来た

海未はことりの部屋を見て

入ろうとした足を止める。

いつもは可愛らしい家具や

ぬいぐるみでいっぱいだった部屋は

綺麗さっぱりなくなっており

あるのはベットと少数の小物だけだった。

 

 

 

「海未ちゃんも断ったの?」

 

 

「‥はい、続けようとするにこの気持ちも

分かりますし、できることなら‥‥‥。」

 

 

「じゃあ、どうして‥?」

 

ことりの問いにドアを閉めながら海未は答える。

できることなら私も続けていたい。

そう言いたかったのだがそれ以上は

喉から言葉が出ず、再度ことりの問いに

俯きながらも口を動かす海未。

 

 

「‥‥‥私がスクールアイドルを始めたのは、

ことりと穂乃果が誘ってくれたからです。」

 

 

「っ!‥‥‥‥ごめんなさい‥‥‥。」

 

 

「いえ、人のせいにしたい訳ではないんです。

穂乃果にはあんな事を言ってしまいましたけど、

辞めると言わせたのは私の責任でもあります。」

 

「そんなことないっ、あれは私がちゃんと

言わなかったから‥‥!」

 

 

穂乃果とことりに誘われ始めた

スクールアイドル。

仮に今続けても2人がいないのでは

続ける意味がない、それに責任感を感じた

ことりは謝るが海未はそう言って自分を攻め、

ことりも便乗して自身のせいだと発言する。

 

 

「穂乃果と晴希とは‥‥?」

 

 

「‥‥‥晴希君は何度かお見舞いに行ったけど

まだ目を覚まさないって‥‥。

穂乃果ちゃんは‥‥‥。」

 

 

ことりは海未から目を逸らしてそう答える。

どうやら穂乃果とはここ最近全く会ってないらしい。

 

 

「‥‥もうすぐ日本を発つのですよね?」

 

 

「‥‥‥‥‥うん。」

 

 

「ことり、本当に留学するのですか?」

 

 

「えっ‥?」

 

 

「私は‥‥‥‥っ‥‥。

いえ!なんでもありません‥‥‥!」

 

 

もうすぐいなくなる大切な友達に

海未は思わず涙目になり行かないでほしいと

言おうとしたが、そんなわがままを言う訳には

いかないと、後ろに振り返り

涙を隠した。

 

 

 

「海未ちゃん‥‥‥‥。

無理だよ、今からなんてそんなこと‥‥。」

 

 

 

「‥‥‥‥分かっています‥。」

 

 

 

もう後戻りはできない。

これはもう仕方がない。

ことりの言葉に海未は自身の気持ちを

押し殺して頷いた。

否、頷くことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

それと同時刻、

秋葉原のとあるゲーセンにて。

 

 

「穂乃果ちゃんもうちょっと右!」

 

 

「行け!穂乃果!そこっ!」

 

 

「‥‥‥っ!やったぁっ!!」

 

 

ヒデコ達に誘われ、

穂乃果は秋葉原へと足を運び、

さっそくと言わんばかりに

クレープ屋や小物グッズ店、

そして今、ゲーセンでクレーンゲームを

満喫していた。

ミカとヒデコの指示でクレーンを落とし

くまのぬいぐるみをガッツリと掴み

見事取ることのできた穂乃果は

両手を上げて大いに喜ぶ。

 

 

 

「ねえ、次はあれやろーよ!」

 

 

そこにフミコは穂乃果達の背後にある

ゲーム機に指を指す。

それは以前にこ達とやった、

音楽と共に画面に流れる矢印マークに合わせて、

足元のパネルを踏むとという

体感型のダンスリズムゲーム

『アポカリプスモードエキストラ』だった。

 

 

「じゃあ最初、穂乃果とミカね!」

 

 

「えっ?」

 

 

「負けないよーっ、私これ得意なんだからっ。」

 

 

「よぉ〜し!」

 

 

いきなり自分が指名され驚く穂乃果だが

ミカのやる気に火がつき穂乃果はミカと

一緒にコインを入れ曲を選択。

そしてゲーム機のパネルへと踏み出す。

 

 

 

「いっくよ〜!」

 

 

「よしっ‥‥‥‥‥‥っ!」

 

 

 

互いが気合いを入れ、曲が流れ出す。

すると穂乃果はその曲と画面に

映し出されるステップゾーンを見て

呆然と立ち尽くす。

それは最初に‥いや、初めて

スクールアイドルをやろうと

校舎裏1人でほぼオリジナルで踊った時に

使用した曲だったからだ。

流れる矢印にミカは慣れてるのか

上手にステップゾーンに合わせて

パネルの矢印を踏み始める。

 

 

「穂乃果!始まってるよっ?」

 

 

「‥っ!うわわ‥‥!」

 

 

ヒデコの言葉にようやく我に帰った

穂乃果は遅れてステップゾーンに

合わせてパネルの矢印を踏み始める。

数回しかやったことのないこのゲームに

穂乃果は最も簡単にクリアしていく。

 

「おぉーっ!」

 

「いい感じ!うまいよっ!」

 

 

見ているフミコとヒデコも熱くなるほど

穂乃果のほぼパーフェクトなステップに

魅了されていた。

 

 

 

「っ‥‥‥‥!」

 

 

次第に穂乃果自身もだんだんと楽しくなり

笑顔でパネルの矢印を踏んでいた。

 

最初はことりや海未にも断られ、

1人でダンスの練習をしていた穂乃果。

そんな彼女のやる気に幼馴染の2人は

一緒にスクールアイドルをやることを決意。

そこへ3人となったスクールアイドル

『μ's』の前に現れた指輪の魔法使い、晴希。

初講堂ライブは失敗に終わったが

その後1年組、花陽、凛、真姫が加入。

そして3年組のにこ、絵里、希、

古の魔法使い攻大が加入し

3人だったμ'sは男子2人を合わせて11人に。

 

皆とやってた練習。

時には熱くなり、時にはやりすぎて倒れかけた。

でも、そんな毎日に嫌という言葉など

一切なかった。

 

 

日々のやっていた練習を思い出しながら

穂乃果は軽快にパネルを踏んでいき

最後、フィニッシュが差し掛かる。

 

 

「はっ!!」

 

 

穂乃果は両手を上げ、見事なポーズを

決めながら、流れる曲は終わり

ゲームセットとなった。

 

 

「はぁ‥はぁ‥‥‥。」

 

「はぁ〜スッキリしたっ。」

 

 

「‥‥すごい、練習してたの?」

 

「え?いや全然っ。」

 

疲れるミカに対して穂乃果は

清々しい笑顔でそう言うと

ヒデコは穂乃果のゲーム画面を見て驚く。

 

 

「スタートでミスしてなければ

凄い点数だったかも!」

 

 

「そうかな〜〜。

‥‥‥‥‥っ。」

 

 

 

フミコも褒め穂乃果は照れ笑いで

ゲーム画面を見る。そこには高ランクの

AAAが載ってあり、同時にそれは

初めてラブライブ!のサイトに

スクールアイドルとしてログインした事を

思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「「「じゃあね〜っ。」」」

 

 

「うんっ、バイバーイ!」

 

 

遊び終えた穂乃果はヒデコ達と別れ

笑顔で見送っていたが、ヒデコ達が見えなくなると

その笑顔はすぐに消え、その場に立ち尽くす。

軽く息を吐いた穂乃果は振り返り

秋葉原の街を歩いていると

街中の巨大モニターに目を運ぶ。

 

 

 

『みんなー!私達についてきてねー!』

 

 

「「「「「きゃあ〜〜❤︎」」」」」

 

 

 

そこにはトップスクールアイドル、

A-RISEの宣伝の様な映像が映し出されており、

そのリーダー綺羅ツバサの掛け声に

モニターの前に集まってるファンは見惚れていた。

同時に穂乃果も見惚れていた。

 

 

「‥‥きっと、凄いアイドルになるんだろーな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なれるわけねーだろあんなガキ共。」

 

 

 

 

 

 

「うわわっ!?‥え?秀夜君!?」

 

 

 

「あ?‥‥お前、オレンジ頭。」

 

 

 

穂乃果はそう呟くと背後から

少し恐そうな声が聞こえ慌てて振り返ると

そこには買い物袋をさげた私服姿の

藍崎秀夜が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

秋葉原のとある公園のベンチにて。

 

 

 

 

 

「あっはははは!そうかぁ!

あのバカは病院おくりか!傑作だわっ!」

 

 

「ちょっ!?笑うのはひどいよ秀夜君!」

 

 

少し話す事になった穂乃果は

近くの公園に足を運び

怪我をした晴希の事を言うと秀夜は

腹を抱えて笑っていた。

 

 

「いや〜笑った笑った‥‥はらいてー。」

 

 

「‥‥秀夜君ひどいよ。

晴希君の友達でしょ?

だったらそんなに笑う事ないんじゃ」

 

 

「はぁ?違うな。」

 

 

「え?」

 

 

お腹をおさえて涙目になる秀夜に

穂乃果はそう言うと急に笑うのやめて

穂乃果の喋り途中に口を挟む。

 

 

 

「俺はあんな野郎なんかと友達でも何でもねえ。

くたばろうがどこで何しようが

知ったことじゃねぇよ。」

 

 

「っ!いくらなんでもそれは‥!」

 

 

秀夜の言葉にカチンときた穂乃果は

秀夜に怒鳴ろうとするが秀夜は手持ちの

買い物袋を持ってベンチから立ち上がる。

 

 

 

「‥‥1つだけ言っといてやる。

魔法使いはそう簡単に死んだりしねぇよ。

‥‥‥‥、くたばる方がおかしい‥‥‥。」

 

 

「え?何?」

 

 

 

立ち上がった秀夜はそう言うと

最後の方が聞き取れなくて穂乃果は

聞こうとするが秀夜は無視して歩き出す。

 

 

「あ!ちょっと秀夜君っ、最後なんて言ったのー!?」

 

 

「うるせー、オレンジ頭。」

 

 

「オレンジ頭じゃない!穂乃果だよっ!

高坂穂 乃 果!」

 

 

帰ろうとする秀夜に穂乃果は声を上げて

聞こうとすると秀夜は振り返らずに喋ると

穂乃果は頬を膨らませて

自分の名前を叫んだが秀夜はそのまま、

公園から姿をけした。

残った穂乃果はもうとため息吐きながら

鞄を持って帰ることにした。

でも何故か秀夜の魔法使いは死んだりしない

という言葉に穂乃果は少しだけ

安心感を覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

神田明神にて。

 

 

 

「はぁ‥はぁ‥はぁ‥!」

 

 

「かよちん遅いにゃ〜。」

 

 

「よぉし、花陽ちゃんだいぶ取り戻してきたな。」

 

 

神田明神の階段で花陽は全力で駆け登り

頂上にいる凛と攻大のところまで行くと

凛は待ちくたびれたように両手を頭の背後に

さげてそう言い、攻大はストップウォッチを

見ながらグッドをつくる。

 

 

「えへへ、久しぶりにやるとキツいね〜‥。」

 

 

「「‥‥あ。」」

 

「え?」

 

 

花陽は息を切らしながらそう言うと

凛と攻大は花陽の後ろから来る人物に驚き、

花陽も何かと気になり振り向く。

 

 

「凛ちゃん花陽ちゃん、攻大君。」

 

 

「穂乃果ちゃん‥‥‥。」

 

 

「よ、元気そーだな。」

 

 

「あはは、なんとかね。

それより、練習続けてるんだねっ。」

 

 

 

「当たり前でしょ。」

 

 

それは秋葉原から帰ってきた穂乃果であり、

穂乃果は3人の名前を呼ぶと花陽と攻大が

返事し、穂乃果は練習服の3人を見てそう言うと

顔を洗ってきたにこが穂乃果達のもとに近寄る。

 

 

「スクールアイドル続けるんだから。」

 

「えっ‥?」

 

「何?悪い?」

 

「いや‥‥。」

 

ジト目で見ながらツンとした態度のにこは

そう言って穂乃果は少し戸惑う。

そらに構わずにこは喋り続ける。

 

 

「μ'sが活動休止したからって

スクールアイドルやっちゃいけないって

決まりはないでしょ。」

 

 

「で、でもなんで‥‥?」

 

 

 

「‥‥‥好きだから。」

 

 

「っ!」

 

 

こんな状態なのにアイドルを続ける理由。

単刀直入な答えはにこらしいが

その答えに穂乃果は思わず口を開けてしまう。

 

 

「にこはアイドルが大好きなの。

みんなの前で歌って、ダンスして、

みんなと一緒に盛り上がって、また明日から

頑張ろうって‥‥そうゆう気持ちにさせてくれる

アイドルが、私は大好きなの!

穂乃果みたいにいい加減な好きとは違うのっ!」

 

 

「っ!違う!私だって!」

 

 

「どこが違うの?」

 

「っ!?」

 

「自分からやめるって言ったのよ?

やってもしょうがないって。」

 

「それは‥‥‥。」

 

アイドルは人を笑顔にさせる。

いつかそんな事を言ってたにこ、

にこのアイドルへの思いは誰よりも強く

誰よりも努力しているんだと伝わるぐらいの

勢いで穂乃果にぶつける。

いい加減だと言われ穂乃果は怒るが

にこの正論に返す言葉もなくなる穂乃果。

 

 

「にこちゃん、ちょっと言いす‥‥!

‥‥攻大君‥‥‥。」

 

 

さすがの言いように凛はにこを叱ろうとしたが

攻大は凛の肩を掴み、

攻大は凛を見て無言で小さく首を振る。

 

 

「‥‥にこちゃんの言う通りだよ。

邪魔しちゃってごめんね‥‥‥。」

 

 

「穂乃果ちゃんっ!」

 

 

スクールアイドルを辞めると言ったのは

確かに穂乃果自身だ。それに対しては

返す言葉もなく、にこの言葉を受け止め

穂乃果はそのまま帰ろうとすると

花陽が叫び穂乃果の足を止める。

 

 

「今度、私達だけで講堂でライブをやろうと

思ってて、もしよかったら‥‥‥。」

 

「穂乃果ちゃんが来たら盛り上がること

間違いなしにゃ!」

 

 

「穂乃果ちゃん、

晴希の分まで一緒に応援しようぜ!」

 

 

「‥‥アンタが始めたんでしょ?

絶対来なさいよ?」

 

 

「‥‥‥みんな‥‥‥。」

 

花陽の誘いに凛、攻大、そしてにこが

穂乃果が来ることを待っていた。

その皆の誘いに穂乃果の心は大きく

揺らめき、大きく頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

穂むらにて。

 

 

 

「ほぁ〜、きぼう‥‥?雪穂、

これはシュークリーム‥?」

 

「違うよ、それはあんこ。豆を煮たものなんだよ。

今穂むらで大人気のお饅頭なんだ〜。」

 

 

「ハラショーっ!」

 

 

絵里は妹の絢瀬亜里沙の友達、高坂雪穂を

家まで送り届けていた。そして穂むらに

到着すると雪穂はお礼にときぼうのほむまんを

2人にあげた。当然亜里沙は饅頭を見るのは初めてで

不思議そうに両手で持ち、眺めていた。

 

 

「わざわざ送ってくれてありがとうございます。

よかったら上がって行ってくださいっ。

お姉ちゃんも喜びますよ。」

 

 

 

「‥‥‥そうね、じゃあお言葉に甘えて。」

 

 

雪穂の誘いに絵里は2階の穂乃果の部屋を

見つめながら頷き、穂むらの中へと入って行った。

 

 

 

 

ーー

 

 

 

「‥‥‥ごめんね。」

 

 

「あ、いえいえお気になさらずっ。

今お茶を‥‥‥。」

 

「違うわ‥‥、μ's活動休止にしようって行った事‥。

本当は私にそんなこと言う資格なんてないのに‥。

ごめんなさい。」

 

 

「そ、そんなことないよ‥‥‥、

てゆうか、私が辞めるって言ったから‥‥。」

 

 

穂乃果の部屋にて。突然の絵里が謝ってきたが

穂乃果は家に上がってきたことかと思い

お茶を用意していたが、絵里のごめんとは

活動休止を勝手にしてしまったことに対しての

ごめんだった。その方向に持っていった穂乃果は

また責任感を感じ、少し暗い表情になると

絵里が口を動かした。

 

 

「‥‥私ね、凄くしっかりしてて、

いつも冷静に見えるって言われてるけど、

本当は全然そうじゃないの。

‥いつも迷って、困って、泣き出しそうで、

希に実際恥ずかしい所も見られたのよ。」

 

 

「絵里ちゃん‥‥。」

 

 

絵里は自分の事について語り出し

一旦区切る辺りで苦笑を浮かべる。

 

 

「でも、隠してる。自分の弱いところを‥、

私は穂乃果が羨ましい。

素直に自分が思ってる事を

そのまま行動に起こせるところが‥。」

 

 

「そ、そんなこと‥‥‥。」

 

 

絵里はそう言って穂乃果が淹れてくれた

お茶を飲むと美味しいと言って一息吐き、

再び絵里は語り出した。

 

 

「ねぇ、穂乃果。

私には‥穂乃果に何を言ってあげればいいか

正直わからない。私達でさえ、晴希が倒れ、

ことりがいなくなってしまう事がショックだから

いつもそばにいる海未や穂乃果の事を考えると

胸が張り裂けそうになる‥‥‥でもね、

穂乃果に、そして晴希に‥、

一番大切なものを教わったの。

変わることを恐れないで、

その恐怖に立ち向かい、突き進む勇気。」

 

 

「‥‥‥‥‥。」

 

 

晴希が倒れ、ことりがいなくなる事は

海未や穂乃果だけでなく、μ'sの皆が

それを認めれなかった。

その事実を聞いた絵里は誰もいない場所で

泣いたりもした。

当初、生徒会長だった絵里は皆から

頼れる存在だと思われていたが

その頑張り故にいつしかあまり笑わなくなり

ずっと生徒会室にこもっていた。

だがそこから引っ張ってくれたのは

穂乃果と晴希、そしてμ'sという

スクールアイドル。

彼女、彼らの出会いに絵里は導かれ

ここまで来れたんだと思う。

 

そして絵里は穂乃果に右手を差し出す。

 

 

 

「私はあの時、貴方達の手に救われた。」

 

 

 

それはあの時、絵里を迎え入れた時のように、

絵里は穂乃果に優しく手を差し伸べていた。

それを見た穂乃果は手を掴み、

押入れの中にしまってある練習服を見て

その瞳は大きく何かを決意したように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

そして、ことりが旅立つ当日。

空港にて。

 

 

 

 

「本当にいいのことり?

みんなにさよなら言わなくて‥‥。」

 

 

「うんっ。会うと‥‥私きっと泣いちゃうから‥‥。」

 

 

「そう‥‥‥。」

 

 

空港の中、理事長はことりを見送る為、

学校の方は一時欠席とし、

最後まで持ち物や身だしなみをチェックする。

最後の最後まで心配してくれる唯一の母親に

ことりは思わずクスリと笑ってしまう。

 

 

「お母さん、そろそろ行くね。

着いたらすぐ連絡するねっ。」

 

 

「ことり。

体に気を付けてね?」

 

 

「っ!‥‥お母さん‥‥‥‥‥っ。」

 

 

 

ことりは鞄と1つの紙袋を下げて

搭乗口へ向かおうとすると理事長は

一言、ことりに伝える。

その言葉にことりは泣きそうになり、

瞳が揺らぐのを隠すかのように

早足で、まずはチケット購入の為、

自動チェックイン機へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

西木野総合病院にて。

 

 

 

病院の器具や人口呼吸器を付けられてる

晴希は深い眠りについていたが、

その病室に1人の男性が姿をあらわす。

そして男性は眠ってる晴希の頭に

手をかざすと、そこから光が放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥‥‥‥‥‥はるき

 

‥‥‥晴希

 

 

 

‥‥‥操真晴希‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

(‥‥‥?‥‥誰だ‥‥?)

 

 

「‥‥μ'sを守ってくれたことには感謝する。

だがお前はこんな所で‥‥‥

倒れていい人間ではない‥‥。」

 

 

 

(‥‥‥っ!!お前は‥っ

白い‥魔法使い!?)

 

 

あれから何日眠っていたのだろう‥‥。

俺の意識の中で誰かが

俺の名を呼ぶ声が聞こえ、

その声に耳を傾けてると

その意識の中に全身白いコートのようなもの

で包まれ、顔は橙色の宝石、

その腰には俺と違う

ウィザードライバーが付けられている。

1年らが言っていた白い魔法使いだろう。

 

 

「もう1度立ち上がれ、

お前は選ばれた魔法使いだ。」

 

 

そう言って白い魔法使いが取り出したのは

薄汚れた石だった。

 

 

 

(‥‥それは‥‥‥?)

 

 

「今からお前を完全に回復させる。

だが今回きりだ。次にまたこのような事があれば

その時はどうすることもできない。

次はないぞ。」

 

 

白い魔法使いが言い終わるとその薄汚れた石から

光が放たれ、俺の意識、いや、俺の身体が

その優しい光に包まれる。

それと同時に白い魔法使いの姿もだんだんと

消えていく。

 

 

 

(っ!待てっ!あんたは一体誰なんだ!?

俺たちと同じ転生者なのか‥!?)

 

 

俺が問いかけると白い魔法使いは

左中指に付けてる指輪、

おそらく変身リングだろう、

それをこちらに見せて口を動かした。

 

 

「‥少なくとも、お前たちより前から

私はここにいる。

操真晴希‥来たるべき時が来るまで

その身を大事にしろ。お前たち魔法使いが

私の()()()()()なのだから。」

 

 

 

(どうゆう意味だ‥‥‥!?)

 

 

そう言い残し、白い魔法使いは俺の意識の中から

消えて、俺の視界は眩い光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

音ノ木坂学院、講堂にて。

 

 

穂乃果、海未、ことりを除いた

6人のメンバーでライブを

することとなった今日。

6人のμ'sメンバーは最後の

ミーティングを行う為、部室へ。

そして穂乃果に呼び出された海未は

1人講堂へと足を運んでいた。

 

 

「‥‥‥‥‥。」

 

講堂の舞台の上で待つ穂乃果。

そこへ、講堂の扉が開かれ

海未が姿を現す。

 

 

「穂乃果‥‥‥。」

 

 

「ごめんね、急に呼び出したりして。

‥‥‥ことりちゃんは?」

 

 

「いえ‥‥‥、今日日本を発つそうです。」

 

 

「‥‥‥そうなんだ‥‥。」

 

 

久しぶりに会話をした穂乃果は

少し慣れない様子で海未に話しかけるが

それは海未も同じだった。

そして聞かされたことりの出立。

別れの挨拶どころか、全く喋ってなかった

穂乃果は落ち込んでた自分に腹が立ったが、

首を横に振り、海未に今思っている事を告げた。

 

 

「私ね、ここでファーストライブをやって

ことりちゃんと海未ちゃんと歌った時に思った。

もっと歌いたいって、もっとスクールアイドル

やっていたいって、私‥辞めるって言ったけど

気持ちは変わらなかった‥‥‥。」

 

 

「‥‥‥‥。」

 

今思う本当の気持ち。

海未は真剣にその言葉を聞き、

続けて穂乃果は口を動かす。

 

 

「学校の為とか、ライブの為とかじゃなくて、

私好きなの。歌うのが大好きなのっ‥‥‥

それだけは譲れない‥‥‥。

だから、ごめんなさい!」

 

 

「っ?」

 

 

突然謝る穂乃果に海未は戸惑う。

 

 

「これからもきっと迷惑をかける!

夢中になって気づかなかったり、

色々と空回りもすると思う‥‥‥、

だって私、不器用だもん!

でも‥‥、でも!追いかけていたいの!

私達を守ってくれた大切な友達の為にも!

だから‥‥‥!」

 

 

「‥‥‥‥っ、ふふっ。」

 

 

「えっ‥海未ちゃんっ!何で笑うの!?

私真剣なのに!」

 

 

 

必死に伝えた穂乃果の言葉に

感動するのかと思いきや、海未は

突然笑い出し、それにショックを受ける

穂乃果だった。

 

 

「ふふっ、ごめんなさい。

でもね、はっきり言いますが‥‥‥、

穂乃果にはずっと迷惑をかけられていますよっ。」

 

 

「‥‥えぇっ?」

 

 

笑い終わる海未は一呼吸して

真剣な目付きで穂乃果を見て

身構える穂乃果だが、和かにそう言われ

思わず声を漏らしてしまう。

 

 

「ことりとよく話していました。

穂乃果と一緒にいると、いつも大変な事になると。

その事については晴希も思っていると思いますよ。」

 

 

「は、晴希君もっ?」

 

 

喋りながら講堂の階段を降り、

穂乃果の元へと近寄ってくる海未。

穂乃果の性格はとにかく無我夢中で

スイッチが入ると周りが見えなくなる

困った性格で、小さい頃、海未やことりを

連れ回しては散々な目にあっていたそうな。

 

 

「大体、スクールアイドルを始めようと

言われた時もそうです。

私は本気で嫌だったんですよ、

どうにかして辞めようとしました。

穂乃果を恨んだりもしましたよ?

全然気付いてなかったでしょうけど。」

 

 

「‥‥‥‥ごめん‥‥。」

 

 

やはり自分の性格は他の人を

無理矢理巻き込んでしまってる。

初めて海未にそんなことを言われ

ショックを受ける穂乃果だが、

続けて海未は喋った。

 

 

「ですが、穂乃果は連れて行ってくれるんです。

私やことりでは、勇気がなくて行けない凄い所に。」

 

 

「‥‥海未ちゃん‥。」

 

 

「私が怒ったのは、穂乃果が自分の気持ちに

嘘をついていたのが分かったからです。

穂乃果に振り回されるのはもう慣れっこですよ。

晴希や花陽、凛に真姫ににこに希に絵里に攻大、

みんなもう慣れていると思います。

だから‥‥その代わり連れて行ってください。

私達の知らない世界へ!

それが、穂乃果。貴方の凄いところなんです。」

 

 

「‥‥‥‥‥っ。」

 

 

海未に言われ穂乃果は大きく頷き、

重要なピースがガッチリとはまったような気がした。

そして、海未は穂乃果の隣に立ち、

一緒に講堂の全体を見渡すと

海未は一呼吸し、口を動かした。

 

 

 

 

「だって〜可能性感じたんだ〜

そうだ〜、ススメ〜〜」

 

 

「‥‥後悔した〜くない目〜の前に」

 

 

「僕らの〜道がある〜」

 

 

海未が口ずさんだ曲は

穂乃果達が初めてアイドルをしようと

誓い、3人で歌った穂乃果の大好きな曲。

海未の後に続き、穂乃果も歌い、

そして最後はことりが歌っているような気がした。

 

 

 

 

 

【BGM〜ススメ→トゥモロウ〜】

 

 

 

 

 

「‥‥さぁ!ことりが待ってます!

迎えに行ってあげてください!」

 

 

「えぇっ!?で、でもことりちゃんは‥!」

 

 

「私と一緒ですよ、ことりも

引っ張って行ってほしいんです、

わがままを言ってほしいんです!」

 

 

「わ、わがままぁ!?」

 

 

「そうですよ、有名なデザイナー学校に

選ばれたのに残れだなんて‥‥

でも!そんなわがままを言えるのは!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方しかいない‥‥ってことね。」

 

 

 

 

海未が言いかけたその時、

講堂の扉から声が聞こえ穂乃果は振り返ると

そこにはμ'sのメンバー、

花陽、凛、真姫、にこ、希、絵里、

そして攻大が立っていた。

 

 

「み、みんなっ!?」

 

 

 

「穂乃果の性格にはいつも振り回されてばかりよ。」

 

 

「全く同意見ね、本当に疲れるわ。」

 

 

「でも、‥それが穂乃果ちゃんですっ。」

 

 

「いつも明るくて頼りになる!」

 

 

「ウチらμ'sのセンター!」

 

 

「穂乃果、行ってあげて。

貴方の友達を迎えに!」

 

 

驚く穂乃果の後に

にこ、真姫、花陽、凛、希、絵里が

そう言いながら講堂の階段を降り、

絵里は講堂の扉へと右手を揚げる。

 

 

「みんな‥‥‥うんっ!!」

 

 

「よしっ!穂乃果ちゃん!

空港まで俺が連れてってやる!

ぶっ飛ばすから振り落とされんなよ!」

 

 

そして攻大はバイクのキーを取り出し

穂乃果はそれに頷き、ことりのいる

空港へと全力で向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

空港にて。

 

 

「‥‥‥。」

 

 

椅子に座り頻繁に腕時計を確認することり。

飛行機に1人で乗ることなんて滅多にないので

確認は重要な事だった。

他の客が次々と搭乗口に向かっていき、

そしてことりも、その時間となり

搭乗口に向かおうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ことりちゃん!!」

 

 

 

 

 

「っ!!」

 

 

 

ことりは背後から腕を掴まれたが

それが誰なのかすぐに分かった。

その手はいつも引っ張ってくれて

いつも振り回されて

いつもことりが知らない世界へと

連れて行ってくれる手だった。

 

 

 

「ことりちゃん!ごめん!

私、スクールアイドルやりたいの!

ことりちゃんと一緒にやりたいのっ!

いつか、別の夢に向かう日がくるとしても!

ことりちゃん、行かないでっ!」

 

 

穂乃果はそう言ってことりを抱きとめる。

昔から変わらないわがまま。

だが、それが穂乃果なのだ。

ことりは次第に涙を流し、

穂乃果の腰にそっと手を回す。

 

 

 

「ううん‥‥‥わたしの方こそごめん‥!

わたし、自分の気持ち‥‥分かってたのに‥!

ごめん‥‥ごめんね穂乃果ちゃん‥‥。」

 

 

 

 

「ことりちゃん‥‥ありがとうっ‥‥!

‥‥‥ことりちゃん、行こうっ。

みんなのところへ!」

 

 

 

「‥っうん!」

 

 

 

ことりの言葉に涙目になる穂乃果だが、

涙を拭って穂乃果はことりにそう言い、

ことりは笑顔で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉっと待ちな!そらよっと!!」

 

 

 

「っ!?きゃあっ!」

 

 

「っ!ことりちゃん!」

 

 

瞬間だった。

 

 

 

 

穂乃果が先に駆け出し、

ことりも後を追うように駆け出そうとした瞬間。

何処からか声が聞こえ、ことりの足元めがけて

火の玉が飛んで来て、ことりはその衝撃に

飛ばされる。

 

 

 

「ことりちゃん大丈夫っ!?」

 

 

 

「う、うん‥‥‥っ。

‥‥あれ?紙袋‥‥!?」

 

 

 

 

 

「お探し物はこれかなぁ〜?」

 

 

 

 

空港の中はパニックになり、

穂乃果は吹き飛んだことりのもとへ駆け寄ると

ことりは鞄と共に持っていた紙袋が手元に

ない事に気付き、慌てて探そうとするが

先ほどの声の主に穂乃果とことりは前方を見る。

そこにはゴツゴツとした体に猪のような顔の

ファントム〝オーク〟がことりの紙袋を

プラプラと振り回していた。

 

 

 

「っ!ファントム‥!!」

 

 

「っ!!か、返してっ!それは大事なものなの!」

 

 

 

「グレムリンに言われて嗅ぎ回っていたが、

どうやらこれが()()()()らしいなぁ。

ほら、返してやるよっ。」

 

 

 

 

突然現れたファントムに穂乃果は警戒し、

ことりはその紙袋を返してもらおうと叫ぶ。

オークはその紙袋を見ながらそう言うと、

 

 

 

 

ボォッ!

 

 

 

 

「っ!!?」

 

 

 

オークは口から火の玉を紙袋に吐き

紙袋は一瞬にして燃え上がり、

その燃え上がる紙袋をオークは

ことりたちの目の前に投げた。

その紙袋の中身は、穂乃果と海未と、

そして晴希の4人でμ'sを始め、

初ライブの時に初めて作った

思い出の衣装だった。

 

その衣装が目の前で燃やされ

ことりはそれを見て走馬灯のように

衣装の思い出が頭のなかを過る。

 

 

 

 

『うわぁー!可愛いっ!

本物のアイドルみたい!』

 

『これは本当すげぇな‥

よく作ったなことり。』

 

『こ、これは‥‥

言ったはずです‥スカート丈は

膝下までなければ履かないと‥!』

 

 

 

 

 

その思い出が過る瞬間、

その光景に紫の亀裂が走りだす。

 

 

 

 

「‥っ!!?‥‥ううっ‥!!」

 

 

 

まるで心に刃物か何かを突き刺された様な

痛みが走り、ことりは絶望した。

 

 

「っ!?ことりちゃんっ!!ことりちゃん!!

どうしよ‥!こ、攻大君は‥‥!」

 

 

 

「あぁーあの古の魔法使いか?無駄無駄。

今頃グール共がお前とすれ違って空港の

出口でお出迎えしてくれてるぜぇ。」

 

 

絶望し、顔に亀裂が入ってくことりに

穂乃果は慌てて一緒に来た攻大を呼ぼうとするが

オークは笑いながらそう言ってこちらに

近づいて来る。

 

 

「そんな‥!!ことりちゃんっ!

しっかりしてっ!!絶望なんかしちゃダメだよ!」

 

 

「‥‥っ‥!‥‥‥!」

 

 

 

「おら、邪魔だ!」

 

 

「っ!きゃあっ!!」

 

 

穂乃果は絶望することりの両肩を持ち

必死に声をかけるがことりは壊れていく

全身の痛みを耐え切れず悶え苦しんでいた。

そして穂乃果が邪魔に見えたオークは

穂乃果の襟を掴んで投げ飛ばす。

 

 

 

「はははははっ!

こうも簡単に絶望できるとは

思ってなかったぜ!

さあ、絶望して新たなファントムを生み出せ!!」

 

 

 

「‥‥!やめて‥‥ことりちゃんっ!!」

 

 

 

穂乃果はことりに手を伸ばそうとするが

届かず、ゲートの侵食はどんどん進んでいく。

オークはことりの周りを

ゆっくり歩きながら高笑いする。

肝心の攻大は外で戦ってるので

どうすることもできない穂乃果は

涙を流し出す。

 

 

いやだ‥‥‥!

ことりちゃんが‥死ぬなんて‥‥‥!

絶対にいやだ‥‥‥‥!

お願い‥‥‥‥助けて‥‥‥!

 

 

 

「助けてっ!晴希君っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッッ!!!」

 

 

「っ!?ぐわぁっ!!」

 

 

 

その名前を呼んだ瞬間だった。

1人の少年が穂乃果の頭上を飛び越え

ウィザーソードガンを剣モードで

構え、オークへと飛びかかり斬りつけた。

オークは火花を散らしながら吹き飛ばされ

空港の床を転がっていく。

その少年の背後姿は穂乃果達がよく知っている

人物だった。μ'sを支え、

人々の絶望から希望へと導いてくれる。

そして、穂乃果達がピンチの時は

いつも駆けつけてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「呼んだか?穂乃果。」

 

 

 

 

指輪の魔法使いこと、操真晴希が。

 

 

 

 

「‥‥!晴希君っ!

晴希君ーーーっ!!」

 

 

「っ、どわっとと!?‥‥悪い、

心配かけちゃったみたいだな。」

 

 

「本当だよ!バカ!本当にバカだよ‥‥!

うぅ‥‥!!晴希君!ことりちゃんが‥‥!」

 

 

「分かってる、俺の目の前で絶望なんて

絶対させやしない。穂乃果は隠れてろ。」

 

 

 

晴希の存在を確認した穂乃果は

今まで溜めてた感情が込み上げ、晴希に向かって

駆け出し、勢いよく抱きついた。

晴希は穂乃果を優しく受け止め、

安全な場所に隠れろと伝えると、

穂乃果は安心した様子で晴希から離れる。

そして晴希はよろよろと立ち上がろうとする

オークを睨みながらことりのもとへ近寄る。

 

 

 

 

「‥‥‥晴‥‥希‥君‥‥‥っ‥‥。

わ、わたし‥‥‥もう‥‥‥ダメ‥かな‥?

初めて‥‥ライブのために‥‥作った衣装が‥。」

 

 

「っ!‥‥‥諦めるなことり。

お前は必ず守る。

だから少し待っていてくれ。」

 

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

ことりの言葉に晴希は近くにある

焦げて真っ黒になってる物を見つける。

ソレをみた晴希は怒りが込み上げ、

ことりにそう言いながら

ドライバーオンリングでベルトから

ウィザードライバーへと変えて、

シフトレバーを上下に動かしながら

ことりの前へと立ち上がる。

 

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

 

「ぐぅ‥‥!?指輪の魔法使い‥‥!?

貴様、傷を負って倒れたんじゃないのか!?」

 

 

「誰かの助けの声を聞けば、

俺は魔法使いとして絶対に駆けつける。

完全復活してな‥‥‥、変身っ!」

 

 

 

 

 

 

《フレイム!・プリーズ

 

ヒーヒー・ヒーヒーヒー!!》

 

 

 

 

晴希はそう答えながらフレイムリングを

左中指に取り付けて、魔法の言葉と共に

バイザーを下げてドライバーへとかざし、

大きく左腕を横へ振り上げると魔法陣が現れる。

魔法陣は晴希の身体を通り抜けると、

 

俺は、仮面ライダーウィザードへと姿を変えた。

 

 

 

 

「晴希君‥‥‥‥‥!」

 

 

 

 

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

 

 

 

【BGM〜Life is SHOW TIME〜】

 

 

 

 

 

 

ウィザードは決め台詞を言って

ウィザーソードガンを構えて

オークへと駆け出す。

 

 

 

「ハァッ!」

 

 

「っ!ぐっ!!」

 

 

 

駆け出した勢いでウィザードは

身体を捻りながら飛び、空中で回転しながら

オークを斬りつける。

その華麗な動きにオークは対応できず、

取り出した斧を持っても防ぎきれず

そのまま後ずさっていく。

 

 

 

 

「っ!行け!グール!」

 

 

後ずさったオークはそのまま

グールの魔法石を取り出し、

辺りに数体のグールが出現する。

 

 

 

「っ、今はお前たちと遊んでる時間はないんでな!」

 

 

 

亀裂が進んでくことりを見ながら

ウィザードはそう言って

ウィザーソードガンの

ハンドスプリングを展開し、

フレイムリングをハンドオーサーへとかざした。

 

 

 

 

《フレイム!・スラッシュストライク

 

ヒーヒーヒー・ヒーヒーヒー》

 

 

 

 

ウィザーソードガンから待機音声が流れ

剣先に炎のエネルギーが渦を舞って集まっていく。

 

 

 

「ハァァァアアア‥‥‥‥!」

 

 

 

「「「「「ーーーーッ!!」」」」」

 

 

 

ウィザードは腰を下げて

気合いと共に炎のエネルギーはだんだんと

大きくなり、まるで業火の大剣の様な形へと

変わっていく中、グールの群れは雄叫びを上げ

こちらに接近してくる。

 

 

 

 

 

「ハァアッッッ!!」

 

 

 

そしてグールの群れが近付き、

その槍をふりかさぞうとした刹那。

ウィザードはウィザーソードガンを振り上げ

グールの群れはあっという間に炎上し、爆散した。

 

 

 

「っ!?一撃で‥‥‥!?」

 

 

 

「魔法使いを甘く見過ぎだな。

‥さぁ、フィナーレだ!!」

 

 

 

一撃で倒されたグールにオークはビビって

後ずさり、ウィザードはそう言いながら

キックストライクリングを右中指に取り付け

シフトレバーを上下に動かし、

ドライバーへとソレをかざした。

 

 

 

 

 

《チョーイイネ!

 

キックストライク!

 

サイコーッ!!》

 

 

 

 

「はぁぁぁぁ‥‥‥‥!」

 

 

 

音声が鳴り響くとウィザードは

ウィザードローブを払い、右足に力を入れる。

すると右足に先ほどのウィザーソードガンと同様

炎のエネルギーが渦を舞って収縮していく。

 

 

 

「くっ‥‥‥こんのぉおおおお!!」

 

 

 

オークは後がないと思い、斧を掲げて

ウィザードへと走っていく。

 

 

 

「‥‥ふっ!」

 

 

 

ウィザードもエネルギーが溜まった事を確認し、

オークへと駆け出し、その場で

側転から空中へと飛びだし、華麗にバク宙を決める。

そして空中で蹴りのポーズを取り、

 

 

 

 

 

「でぇえやぁああああああっ!!!」

 

 

 

 

「っ!!?ぐあぁああああっ!!!」

 

 

 

ウィザードの必殺技、

〝ストライクウィザード〟を放ち、

真正面から受けたオークはダメージに耐え切れず

苦痛の声を上げ、爆散した。

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥よし。」

 

 

その爆発をバックに左手を顔の近くまで上げて

ポーズを取ったウィザードはすぐに

ことりへと駆け寄り、エンゲージリングを取り出す。

 

 

 

「晴希君っ!早く!ことりちゃんが‥‥!」

 

 

隠れろと伝えた穂乃果はやはり友達の事が

心配だったのだろう、ことりの側で

ことりの手を握りながらウィザードへと叫ぶ。

既にことりは亀裂がかなり侵食しており、

急がないとまずい状況まできていた。

 

 

「しっかりしろことり。

お前の思い出はあの衣装じゃなくても

しっかりとここにあるじゃないか。」

 

 

 

「‥‥‥晴‥希君‥‥‥。」

 

 

ウィザードはそう言って自分の胸に

手を置きことりはそれを見ながら

小さく笑って右手をウィザードに差し出す。

 

 

 

「約束する。俺がお前の

最後の希望になってやる。」

 

 

 

ウィザードはそう言いながらことりに

エンゲージリングを取り付け

シフトレバーを上下に動かし、

ことりの手をドライバーにへと

持っていき、かざした。

 

 

 

 

《エンゲージ・プリーズ》

 

 

 

音声と共にまるで聖地の鐘の音色が響き渡り

ことりの意識はそこに吸い込まれていくように

その場に倒れた。そしてその頭上に魔法陣が現れ、

ウィザードは勢いよく魔法陣へ飛び込み、

ことりのアンダーワールドへと向かった。

 

 

 

 

 

「‥‥晴希君、必ず助けて‥‥‥‥。」

 

 

 

アンダーワールドに入っていったウィザードを

見送る穂乃果は眠ってることりの手を握り、

彼がやってくれることを無事に祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

ことりのアンダーワールドにて。

 

 

 

「よっと‥‥ここがことりのアンダーワールド‥。」

 

 

 

ことりのアンダーワールドに来たウィザードは

その白黒の世界を見渡す。

そこは穂むらの家であり、

穂乃果の部屋でことりは初ライブの時に

作った衣装を穂乃果達に見せていた。

だがそこに亀裂が走り、そこから

どでかい影が姿を現し、

雄叫びと共に穂乃果の部屋の壁を壊し

外へと出て行った。

 

 

「っ!逃がすかっ!」

 

 

《コネクト・プリーズ》

 

 

巨大な手の形をしており

その指先は5つの蛇の様な顔付き。

そして手の内側にはギロリとした瞳のある

巨大ファントム〝ヨルムンガンド〟の姿を

確認したウィザードは

コネクトリングを使い

穂乃果の部屋から飛びだし、

その下に魔法陣から出した

マシンウィンガーに跨り

ヨルムンガンドの後を追った。

 

 

 

 

「行くぜっ!来い、ドラゴン!」

 

 

 

暴れまわるヨルムンガンドの後を追いながら

ウィザードは片手でシフトレバーを上下に動かし、

ドラゴライズリングをドライバーにかざした。

 

 

 

 

《ドラゴライズ!・プリーズ》

 

 

 

 

 

音声が鳴り響き、走行するウィザードは右手を

頭上に掲げると一回り大きな魔法陣が現れ

そこからウィザードの魔力の源、

〝ウィザードラゴン〟が咆哮を上げ

ウィザードの真正面を飛翔する。

 

 

 

「ドラゴン!力を貸せっ!!」

 

 

 

ウィザードはそう言いながら

マシンウィンガーを持ち上げ

ドラゴンの背中に合体させると

ウィザードラゴンは

〝ウィンガーウィザードラゴン〟となり

ヨルムンガンドへと突っ込んでいく。

 

 

 

「ーーーーーーッッ!!」

 

 

ウィンガーウィザードラゴンが

ヨルムンガンドに接近していくと

ヨルムンガンドはこちらに気付き、

蛇の口から紫のエネルギー弾を

こちらに飛ばしてくる。

 

「ーーーーッッ!!」

 

「おっと!」

 

 

ウィザードはそれに気付き

空中を舞うようにエネルギー弾を避けていく。

そしてウィザードラゴンはそのまま

ヨルムンガンドへと急降下していき

頭上から勢いよくヨルムンガンドを

押さえつけるが、ヨルムンガンドの

力も負けておらず押さえつけてた

ウィザードラゴンを跳ね除けた。

 

 

 

「ぐっ!?このっ!!」

 

 

体制を立て直し、もう一度ウィザードラゴンで

アタックをしかけ、今度は取っ組み合いとなる

ウィザードラゴンとヨルムンガンド。

その巨体同士の戦いで街は壊れ亀裂が走っていく。

それを見たウィザードはマシンウィンガーの

ハンドルを大きく傾けヨルムンガンドを

転ばせる。

 

 

 

「これ以上ことりのアンダーワールドを

無茶苦茶にさせるわけにはいかない!

行くぞドラゴン!」

 

 

「ーーーーーッッ!!」

 

 

 

ウィザードの言葉にウィザードラゴンは

咆哮を上げて返事をし、ヨルムンガンドから

離れ、空中へと飛翔した。

その間にウィザードはキックストライクリングを

右中指に取り付けシフトレバーを上下に

動かし、ソレをかざした。

 

 

 

《チョーイイネ!

 

キックストライク!

 

サイコーッ!!》

 

 

 

音声が鳴り響くとウィザードは

ウィザードラゴンから離れ、空中を飛び出すと

ウィザードラゴンの身体は変形して巨大な竜の足、

〝ストライクフェーズ〟へと姿が変わる。

 

 

 

「フィナーレだ!!」

 

 

 

 

ウィザードは掛け声をあげ、

ストライクフェーズへと右足を入れ

凄まじい勢いでヨルムンガンドへと

突っ込んでいく。

 

 

 

「ーーーーッ!?」

 

 

ヨルムンガンドは負けずと

こちらに向かってエネルギー弾を放つが

ストライクフェーズの勢いは止まらず

その全体が炎に包まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

「いっけぇえええええっ!!!」

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーッ!!!」

 

 

 

 

ドラゴンの必殺技、ストライクエンドを

受けたヨルムンガンドは苦痛の雄叫びと共に

爆散し、ウィザードとウィザードラゴンは

同時に地面へと着地した。

 

 

 

「ーーーーッ!」

 

 

「ふぃ〜‥。」

 

 

雄叫ぶウィザードラゴンを見ながら

ウィザードも一息付き、

無事ことりのアンダーワールドを守る事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

音ノ木坂学院、講堂の舞台裏にて。

 

 

 

間も無く始まるμ'sのライブ。

時間もそろそろ近づいており

メンバーの7人は穂乃果達の

帰りを舞台裏で待っていた。

 

 

 

「うぅ‥緊張するぅ‥‥!」

 

 

「それより!凛達制服のままだよ!?」

 

 

「スクールアイドルらしくていいんじゃない?」

 

花陽は深呼吸をし、

凛はそのままの姿で驚くがそれでいいと

片目を閉じて笑う真姫。

 

 

「穂乃果達は間に合うの?」

 

 

「絶対に、来ます。必ず。」

 

 

「って言ってる間にもうそろそろ時間やけど‥?」

 

 

「お客さんを待たせるわけにはいかないわ。」

 

 

 

にこ、海未、希、そして絵里は時計を見て

そう言い、仕方ないと7人で講堂の舞台に

行こうとする。だが海未は信じていた。

必ず来てくれると‥‥‥。

 

 

 

それが、μ'sの穂乃果なのだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっとっとと!?いたいっ!?」

 

 

 

「穂乃果ちゃん!?」

 

 

「間に合ったー☆」

 

 

「ことり!!攻大も!」

 

 

ギリギリの所で穂乃果は滑り込み、

お尻から転んでしまい凄く痛がる穂乃果。

その背後からことり、なぜか泣いてる攻大‥‥

そして、、、

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま、みんな。」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「っ!

晴希!!?(君)」」」」」」」

 

 

最後に笑顔で入ってきた晴希に

メンバー全員が驚き、同時に安心の笑みがこぼれる。

 

 

 

「なんだかよくわかんねーけど!

はるぎが復活じだんだよおおお!!」

 

 

「うぉっ!?ちょちょっ!

泣きながら抱きつくな気持ち悪い!」

 

 

「あ、ごめんん‥‥ズビーッ!」

 

 

「ぎゃあああっ!!?人の服で

鼻を噛むなぁ!!」

 

 

 

泣きながら抱きつく攻大に

俺は鬱陶しがると鼻水出してた攻大は

晴希の制服で鼻を噛み、それに激怒する俺。

 

 

 

 

 

「‥あは‥ははは!

もぉ、晴希君‥‥‥!」

 

 

「本当心配させてくれるんだから‥‥。」

 

 

「おかえり、晴希‥‥っ。」

 

 

泣き出す花陽、真姫はそう言って

絵里は優しく俺を迎えてくれた。

 

 

「‥‥じゃあ、全員揃った所で、

部長さん、一言。」

 

 

 

「えぇえええっ!?

‥‥‥なーんてね、ここはもちろん考えてあるわよ!」

 

 

 

希にいきなり指名され驚くにこだが

にこはそう言ってピースを作った手を

皆の真ん中に差し出す。

それを皆は互いを見て頷き、

俺と攻大も加えてピースを作った手を

繋げて輪のようにする。

 

 

 

「今日みんなを!一番の笑顔にするわよ!」

 

 

「あぁ、胸張れよお前達!」

 

 

 

にこと晴希の一言で

皆は頷き、穂乃果から順に

いつも練習前に言ってる掛け声を言った。

 

 

 

 

「1!」

 

「2!」

 

「3!」

 

「4!」

 

「5!」

 

「6!」

 

「7!」

 

「8!」

 

「9!」

 

 

「10!」

 

「11っ!」

 

 

 

穂乃果、ことり、海未、真姫、凛、花陽、

にこ、希、絵里、そして攻大、晴希の

11人がそれぞれの番号を呼ぶ。

 

 

 

 

「よぉし!行こう!!

私達のライブへ!私達の希望を見せるために!」

 

 

 

 

 

穂乃果はそう言ってμ'sの9人は

講堂の舞台へと駆け出した。

 

 

 

 

‥‥‥行ってこい穂乃果、ここからが、

お前達のミュージックショータイムだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして舞台の幕が上がり

穂乃果は大きく目を開き

講堂全員を見渡した。

 

初ライブでは全くいなかった客‥‥

でも今、現在では、

満席になるほどの観客が、

μ'sを応援する皆が集まっていた。

 

 

 

私達はまた駆け出す。

夢に向かって、

この思いを

未来に届けるために!

 

 

 

「行くよ!私達のショータイム!!」

 

 

 

 

 

 

 

【BGM〜START:DASH‼︎〜】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

とある病室にて。

 

 

 

 

 

「‥‥‥あ、μ's‥‥‥‥。」

 

 

 

 

ベッドから空を眺めていた少女は

ふと机に置いてあるiPadを手に取り、

ラブライブ!のサイトを眺めていると

START:DASH‼︎を踊っているμ'sの姿があった。

 

 

 

「コヨミさん、検査の時間ですよ〜。」

 

 

 

「あ、はいっ。」

 

 

 

看護師に呼ばれ、返事をする長髪の少女。

彼女はμ'sの曲を見て何を思ったのか

笑って窓から青空を見つめていた。

 

 

少女と‥魔法使いが出会うのは、

それほど、遠い未来ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー2期に続くーーー

 




はいどうも最近ギャレンのテーマソングに
ハマったしょーくんです(^^)辛味噌っ( ゚д゚)


1期最終回、ラブウィザード無事かけました
(*^^*)
最後はμ's復活し、晴希も復活!
ちょっと今回のファントムは
やられるために出させたような感じですが笑

ここまでかけていけたのも
お気に入りや評価をしていただいた
皆様のおかげです(*^^*)
読んでくれた皆さん、
どうもありがとうございました(^^)
引き続き、2期の方もよろしくお願い致します
(≧∇≦)

ー 追伸 ー

後々に小説情報のタグをいくつか
追加させていただきます(>_<)

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