ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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ミニミニタイム!


「とある屋上の会話」



穂乃果「あー!穂乃果も魔法使いたいよー!」

海未「急に何をいいだすかと思えば‥
魔法使いは晴希がいるではありませんか。」


屋上の昼休み、晴希を除いて
穂乃果、海未、ことりはピクニックシートを
敷いてご飯を食べていると、穂乃果が突然
そんなことを言い出した。


穂乃果「違うのっ!穂乃果も魔法を使いたいの!
ね、ことりちゃんもそう思うでしょ!?」


ことり「えっ!?う、うん〜‥多分。」


穂乃果「ほら!」

海未「無理矢理言わせてるだけじゃないですか‥。
でも魔法使いでしたら、攻大と
後、秀夜さんもいますよね。」


穂乃果「あー、でも攻大君の魔法って日常じゃ
使えないよ?秀夜君も最近全然会ってないし。」

ことり「あの人、結構ツンデレだよね?☆」


穂乃果「あ、確かに!ツンデレ秀夜君だね!」

海未「‥‥‥ツン夜さん。」


穂乃果&ことり「え‥‥‥?」


海未「な、なんですか!?わ、私がギャグを
言うのがそんなに珍しいですか!?」



第28話 雨天のライブ

 

「ぐぅああ‥‥あああっ!!!」

 

 

「晴希っっ!!」

 

 

レイスの鎌が背中に突き刺さり

ウィザードは苦痛の声を上げ、

かばってもらったビーストは

その光景を見て驚愕する。

 

 

「ふん‥!庇うなど愚かな。おらっ!」

 

 

 

「ぐぅ‥‥!‥ううっ‥‥!!」

 

 

「晴希っ!!おい、しっかりしろっ!!」

 

 

レイスはそう言って鎌を引き抜き、

ウィザードをビーストの所へ蹴飛ばすと

ウィザードは変身が解かれ、

激痛が走る背中を操真晴希こと俺は

手で押さえると、血でぐしょぐしょに

なってることに気付き、さらに痛みが俺を襲う。

 

 

「てめぇ!よくも晴希をっ!!」

 

 

 

「おっとぉ、気を抜いてるお前らが悪い。

まぁ今日は疲れたから、また明日出直すぜ。」

 

 

ビーストは怒り、ダイスサーベルでレイスを

斬りつけようとするが、レイスはひらりと交わして

俺とビーストにそう言って闇の中へと姿を消した。

 

 

「つっ‥‥!くそっ!!‥‥‥晴希!大丈夫か!?

すまねぇ、俺のせいでお前が犠牲に‥!」

 

 

ビーストはその場で体育館の床を強く

足踏みをし、急いで俺へと駆け寄る。

 

 

 

「いや‥‥!どうってことないさ‥‥‥うぅ!」

 

 

「そんなに血ぃ出して平気なわけあるか!

ちょっと待ってろ!」

 

 

 

無理矢理余裕を見せる俺だがこんな大怪我は

今までしたことないので正直気を失いそうだった。

それを見たビーストはそう言いながら

ドルフィンリングを右中指に取り付け

ビーストはドライバーの

右のリングスロットへとはめ込んだ。

 

 

 

《ドルフィー!ゴーッ!

 

ドッドッドッドッ、ドルフィー! 》

 

 

 

 

ビーストドライバーから音声が鳴り響くと

右肩辺りに青色の魔法陣が現れ

ビーストの身体を通り抜けると、

ビーストはドルフィンマントへと

スタイルチェンジした。

 

 

「はぁーー‥‥‥っ。」

 

 

 

「‥‥‥っ、‥‥血が‥痛みが止まった‥!?」

 

 

 

ビーストが力を入れると俺の身体が

青い光に包まれ背中の激痛と血の流れが止まる。

 

 

「いや、一時的に止めただけだ‥。

これは怪我とかは直せないんだよ‥悪い‥。」

 

「いや‥大丈夫だ‥助かった‥‥。」

 

 

「お、おいおい!?無理すんな!

痛みは止めても怪我は治ってないんだから!

あとは俺に任せてお前は病院に‥!」

 

 

立ち上がる俺に変身を解いた二藤攻大は

慌てておさえようとする。

確かに背中をさすってみると

鎌で斬りつけられたあとが残っていた。

 

 

「いや‥病院には行かない‥。」

 

 

「ちょっ!はぁっ!?何言って‥!

それは一時的なもので怪我は治って‥」

 

 

「行くわけにはいかないんだっ!!」

 

「っ!」

 

 

今すぐに病院に行かないとこの怪我はまずいだろう。

だが俺は拒否すると攻大は両肩を掴んでくるが

俺は大声を出してそれを制した。

 

 

「明日は大切な文化祭、なんだ‥!

絶対に成功させたい‥!だから頼む‥‥!

文化祭が終わったら‥必ず病院に行く!

今ここで倒れるわけにはいかないんだ‥‥!

それまでは黙っててくれ‥攻大‥‥!」

 

 

 

「‥‥‥‥晴希‥。」

 

 

攻大にしがみつき必死に願う俺。

今病院に行ったら穂乃果達に余計な

心配をかけてしまう。

さっきのファントムの件もあるし、

痛みが多少和らぐのなら1日ぐらい耐えれる‥。

その俺の覚悟の目を見て攻大はあー!と

言って頭を掻いてため息を吐くと、

自身の羽織ってた薄いジャケットを

俺にかけてきた。

 

 

「皆まで言わなくていい‥、

とりあえず俺の服来とけ、背中血だらけだぞ。

だけど無理はすんな!絶対だ!

明日のライブが終わったら速攻で‥いや、

秒速で病院いくからな!」

 

 

「‥‥助かる。じゃあ、早いとこ

希さん達を探さないと。」

 

 

「え?‥うおおぉ!しまった忘れてた!!

待ってろみんなーー!!俺がついてるぜぇ!!」

 

 

 

「あ、ちょっ、攻大っ‥‥‥ったく。

‥‥‥‥ん、希さん‥?」

 

 

俺の言葉に攻大は両手で頭をおさえてそう言うと

俺が呼びかける間も無く、

全力で体育館から飛び出して行った。

それを俺は軽く息を吐いて見てると

スマホの着信がなり、画面を見ると

少し前にずっとかけていたのに繋がらなかった

東條希からの着信だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「晴希に負担は絶対かけさせねぇ‥‥

ドジ踏んじまった分、俺が頑張らねぇと!」

 

 

 

体育館を出た攻大は出口付近で立ち止まり、

そう決意して逸れた希達を探す事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

音ノ木坂学院図書室付近にて。

 

 

 

 

「‥‥‥あ、こうっちー!晴希君ー!」

 

 

 

 

「希さんっ。」

 

 

「希ちゃん!無事かっ!?ってみんな!?」

 

 

 

希に図書室へ来てくれと言われ

俺と攻大は図書室付近へ向かうと

そこに希は立っており、

攻大が声を上げるその場には

絢瀬絵里、西木野真姫、小泉花陽、

星空凛、矢澤にこが目をぐるぐると回して

気絶していた。

 

「絵里ちゃん、にこちゃん!みんなっ!」

 

「希さん、何があったんだ!?」

 

 

「落ち着いてや2人共、えりちらは

幽霊の女の子見て気絶してるだけやから。」

 

 

 

「マジかよ‥‥それは災難だったな‥‥‥。」

 

 

「でも幽霊に出くわしてよく無事で‥‥‥‥‥。」

 

 

あっけからんとしている希の表情に俺と攻大は

思わず聞き流しかけたが、口を動かすのをやめて

俺たちは希を見る。

 

 

 

「えぇえええええっっっ!!?」

 

「‥‥マジですか希さん?」

 

 

 

攻大はオーバーと思ってしまうほど

声を上げながら後ろに飛び退き廊下の壁に

ぶち当たり、少し痛かったのか腰を抑える。

俺は怪我もしてるのであまり大きな声は出せないが

希の言葉が分かった瞬間全身に鳥肌が立ち、

すぐにでもここを出たいと思っていた。

 

 

 

「ほ、本物の幽霊いたのかよ‥‥!?

てことは‥あ、あの模型の奴も幽霊の

仕業‥‥!?」

 

 

 

「うん。あ、でもウチが除霊しといたで。」

 

 

 

 

「「じょ、除霊!?」」

 

 

 

 

「幼い時に両親失くしたらしくて、

病院の窓から飛び降りて死んだみたいなんよ‥‥。

彷徨っていたらたまたま

ここ音ノ木坂学院に迷い込んで、

夜な夜な警備員を驚かしていたらしいんよ。

ずっと1人で寂しかったんやろね‥‥。

さっきお話してあげたら笑顔で

天国にいってもうたで。」

 

 

 

 

希がそう説明する間も俺と攻大は

ポカンと口を開ける。

じゃあこの事件は幽霊の仕業だったわけか‥。

安心したような怖いような気持ちで

俺は力が抜けて壁に寄りかかる。

 

 

「あぁ‥‥マジですか‥、

とりあえずよかったです‥‥‥。」

 

 

「まぁ一件落着ってことやなっ。

ところで晴希君、何でこうっちの服きとるん?」

 

 

「え?あぁその‥‥。」

 

 

 

「あ、あー皆まで言わなくていい!

‥そ、そうそう!ちょっと寒気がするらしくて

俺が服貸してやってるだけだ!な?」

 

 

攻大の服を羽織ってる俺に希は気づいて

声を掛けてくる。さっきファントムにやられて

出血がヤバイので隠してます‥‥、

なんて事はもちろん言えないので言い訳を

考えてると俺と希の間に入って攻大が

今思いついたかのように誤魔化して俺を見てくる。

 

 

「えっ?晴希君大丈夫なんっ?」

 

 

「あ、うん‥なんとか大丈夫‥。」

 

 

「大丈夫じゃねーだろっ。

絵里ちゃん達は俺が家まで送って帰るから!

お前は今日は早く帰って休んでろっ、いいな?」

 

 

「うん、無理はせんほうがええよ。

風邪だったら大変やし。」

 

 

「え、いやでも」

 

 

「晴希!」

 

 

それは申し訳ない、と言おうとしたが

攻大は俺の名前を呼び、その目はかなり本気だった。

 

 

「‥分かった、すまない2人とも。」

 

 

 

 

「おうっ!背中無理す‥‥気を付けてな!」

 

 

「うんっ、えりち達はウチらに任せとき〜。」

 

 

普段なら無理矢理でも送ってあげたい所だが、

正直皆の前で笑顔で振舞っているのが精一杯で

立ってるのもかなりキツい。

ここは2人に任せて、俺は早く家に帰って

早急に応急処置をすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

夜12時前、穂むらにて。

 

 

 

「‥‥はぁ‥‥‥‥‥。」

 

 

ベッドで寝転がってる高坂穂乃果は

天井をボーっと眺めていた。

日付けももうすぐ変わり、

明日はいよいよ文化祭。

その為に早めに寝なければ

いけないはずなのだが、、、

 

 

「晴希君達どうしてるんだろ‥‥、

連絡もきてないし‥‥。」

 

 

穂乃果はそう言いながらスマホのラインを開く。

先ほどからメールを送信してるのだが、

返事どころか既読すらつかない。

いつもなら用事がないかぎり

すぐに返信は返ってくるはずなのだ。

 

「‥‥‥‥。」

 

学校に無断で調査に入ってるのだから

スマホなんてつついてる暇はない、

穂乃果はそう思い込んで

スクールアイドル『ラブライブ!』のサイトを

開いて確認すると、通知のようなメッセージが

ちょうど画面に出た。

 

 

「‥‥‥っ‥。」

 

 

穂乃果は見るとそこには順位を上げてきている

スクールアイドルの名前があった。

そのスクールアイドルは23位だったのが

今では20位まで駆け上っている。

PVの動画も見てみると前より輝かしく、

キレキレなダンスを見せていた。

 

 

「‥‥‥、そうだっ。」

 

穂乃果はこのままでは追い抜かれてしまう‥、

そう思い、ふと閃いたようにベッドから

起き上がると寝間着から運動服に着替えて

静かに階段を降りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ〜‥‥‥ん?お姉ちゃん、また行くの?」

 

 

「え、あぁ うん。ちょっとだけ。」

 

 

そろそろ寝ようかと伸びをして居間から出てきた

穂乃果の妹、高坂雪穂は玄関で

靴紐を結んでいる穂乃果を発見し、声を掛けると

見つかっちゃった、の様な顔で穂乃果は

そう言って靴を整えて立ち上がる。

どうやら穂乃果はランニングをするついでに

音ノ木坂学院に行って晴希達を見に行こうと

思いっているらしい。

 

 

「あんまり夜遅いとお母さんに怒られるよ?」

 

 

「う、うん。ごめん、すぐ戻るからっ。」

 

 

先ほどもランニング行ってたのか

心配する雪穂に穂乃果はそう言って

玄関を開ける。

 

 

 

 

 

ザァアアア‥‥‥‥

 

 

 

 

「うわ、‥‥雨‥‥‥。」

 

 

玄関を開いた瞬間、外はそこまでではないが、

音が響く程の雨が降っていた。

その雨に穂乃果は肩を落として空を眺めているが、

 

 

 

「‥‥ううん、雨なんかに負けられないよ!

穂乃果、ファイトだよっ!」

 

 

自分に言い聞かせてフードを被り

雨の中を走ろうとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「なにしてんだ?」

 

 

 

 

「え‥‥っ?うわわわわっ!!?晴希君っ!?」

 

 

走ろうとした反対側の道から声を掛けられ

穂乃果は振り向くと傘を差して立っている

晴希の姿があった。

 

 

 

「え!?晴希君何でここに!?とゆうか学校は!?

どうだったのっ?」

 

 

「たまたま穂むらの前を通ろうとしたら

お前が見えただけだ。

それと学校の調査だが‥‥まぁ、

今日の文化祭に話すよ。」

 

 

 

「えぇっ、今教えてよぉ!」

 

 

「ちょっ、近い近い!分かった分かったっ。」

 

 

水浸しの地面をビシャビシャと水を散らして

穂乃果は俺に近寄ってきてそう言うと

俺は近寄りすぎる穂乃果に若干後ずさって

そう答えた。

だが当然気になる穂乃果は更に近付き、

俺は止めながらそう言って軽く一息吐く。

 

 

「‥‥その前に、穂乃果。こんな時間に

何しようとしてたんだ?」

 

 

「え、あはは‥‥ちょっとランニングを‥‥。」

 

 

「あははじゃないだろ。」

 

 

「あぅっ。」

 

 

俺は話す前に練習服を着てここにいる

穂乃果に問いかけると穂乃果は誤魔化し笑を

して目をそらすが俺はその頭に軽く

チョップを入れると可愛らしい声で頭を抑える。

 

 

「最近寝てないってのにこんな時間まで

ランニングするとかバカヤローかお前。」

 

 

「‥‥‥だ、だって!晴希君‥連絡返さなかったから

ちょっと心配で‥‥‥。」

 

 

 

注意する俺に穂乃果はもじもじとそう答える。

あ、‥‥‥そういえば連絡は来たけど

あの幽霊のせいなのか送信できなかったんだよな‥

‥‥ってこいつ、俺がここにこなかったら

音ノ木坂に来るつもりだったのかよ‥。

若干頬が膨れる穂乃果に俺は

フードを被ってる頭に手を置き、

軽く撫で始めた。

 

 

 

「悪い、心配かけて。

でも、お前が今走って風邪なんか引いたら

それこそ俺どころかみんなが心配しちまう。

今日はゆっくり休んで、文化祭に備えよう?

な?」

 

 

「‥‥‥‥ん、分かった‥‥//」

 

 

 

撫でられる穂乃果は暗くて分かりづらいが

頬を赤く染めて小さく頷いた。

 

 

「よしっ。じゃあ俺は帰るから、ちゃんと寝ろよ?」

 

 

「うんっ。」

 

 

俺はそう言って穂乃果は頷き、

俺は背を向いて雨の降る夜道を帰ろうとした。

 

 

 

 

 

「晴希君っ!」

 

 

 

 

 

すると、穂乃果が名前を呼んで呼び止め、

俺はんー?と振り返る。

 

 

 

 

 

 

「ライブ、必ず成功させるから!

しっかり見ててね!!」

 

 

 

 

「‥‥あぁ、穂乃果、ファイトだぜ。」

 

 

 

満面の笑顔で俺に告げた穂乃果に

俺は力一杯笑って穂乃果に向けてグッドをする。

穂乃果はそれを見て にへへと笑い、

おやすみーと言って穂むらへと入って行った。

あ、学校の話してない‥まぁ‥いいか‥。

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥うぅ‥‥‥っ。」

 

 

それを確認した俺は、一気に力が抜けて

その場に傘を落とし、四つん這いになった。

 

 

 

「ぐぅ‥‥うううっ‥!痛みが‥‥‥!!」

 

 

攻大のお陰で痛みと止血は和らげることは

できたのだが本当に一時的だった。

ファントムに斬られた背中がまた激しい痛みに

襲われ、背中が徐々に熱くなっていく。

俺はその痛みに必死に耐えながら

苦痛のうめき声を上げて立ち上がる。

 

 

 

 

 

「‥‥負け‥てたまるかよ‥!

穂乃果達も‥頑張ってるんだ‥‥!!

文化祭、絶対に成功させてやる‥!!」

 

 

 

余計な心配をかけさせたくない。

もし倒れたら穂乃果達は

ライブに集中できなくなる。

 

その気持ちを頼りに俺は立ち上がり、

雨に打たれながらそう決意し、

落とした傘を拾って

杖代わりに、その夜道を帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

朝7時、晴希の家にて。

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥うぅ‥‥‥?」

 

 

 

目がさめると俺は床で

タオルケットを敷いて寝ていた。

あ、そう言えば背中の血がベッドに染み付いたら

困るから床で寝たんだっけ‥‥

地べたに寝たようなものなので身体が痛い。

 

 

 

「‥‥き、傷は‥‥‥‥‥。」

 

 

俺はゆっくりと起き上がり、

ゆっくりと痛む背中に我慢しながら

上の服を脱ぎ、立て鏡に背中を向けた。

 

 

 

「‥‥‥‥え?塞がってる‥‥‥‥?」

 

 

 

完治とは程遠いが深い傷だったはずなのに

それなりに塞がっていた。

とは言っても下手に激しい運動をすれば

また出血しそうだけど。

 

 

「‥‥まさか、ドラゴン‥?」

 

 

俺はそう言って胸元に手を置く。

以前、フェニックスと初めて戦った時、

あの時もかなりの重症を負って

ダムの湖へと落とされたのだが

ドラゴンのおかげで一瞬で

傷は塞がっていた。

ドラゴン曰く、力を貸してくれたみたいなのだが

今回もそうなのだろうか‥‥。

 

 

 

「‥‥ありがとな、ドラゴン。」

 

 

何はともあれ、痛みはあるが

昨日より楽になっていることは確かだ。

俺は小さく魔力の源に礼を言って、

今日、いよいよ始まる文化祭へ向かうため、

行く準備をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

使われていない工場の中にて。

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

「レイス、何をしてるの?」

 

 

雨が降る空を工場の中から人間態である

レイスは眺めているとその奥から

メデューサ、そしてフェニックスが

レイスに近寄っていく。

 

 

「ん、‥あぁ、メデューサ様にフェニックス様。

いやなに‥‥ただ黄昏てただけですよ。」

 

 

「へっ、呑気な野郎だぜ。

夜中なのに指輪の魔法使いに

邪魔されたんだってな?」

 

 

「‥‥‥‥ですが深手を負わせることはできました。

次出てきたら俺がこの手で‥‥。」

 

 

 

「それはどうかしらね。」

 

 

メデューサ達の姿を確認したレイスはそう答えると

フェニックスがレイスの肩に手を置いて

そう言うとレイスは静かにそれを払いのけ

拳を作りながら怪物態へと姿を変えると

メデューサは腕を組みながらそう答える。

 

 

 

「あの魔法使いは油断できないわよ。」

 

 

 

「‥‥‥‥‥俺の能力があれば

絶対敵いませんって、じゃあ俺はこれで。」

 

 

「待てよ、俺も行くぜレイス。」

 

 

 

ゲートの元へ向かおうとするレイスに

フェニックスは呼び止めて同行しようとする。

 

 

「フェニックス様が自ら‥?」

 

 

「あぁ、俺の魔力は完全復活!

もう指輪の魔法使いなんかに負けねぇし、

相手は2人いんだ!こっちだって2人いねぇと、

ルール違反ってやつだからな!」

 

 

 

「‥‥‥‥そうね、いいわ。

フェニックス、貴方も行きなさい。」

 

 

 

「っ!おっしゃっ!!ありがてぇ!」

 

 

 

フェニックスは手から炎を出して怪物態へと

姿を変えながらそう言うと

メデューサは顎に手を置きながらそう言って

フェニックスはガッツポーズを取る。

 

 

 

 

 

「へへっ!今度こそぶっ潰してやるぜ、

指輪の魔法使い!!」

 

 

 

フェニックスは拳を力強く握りしめ

そう宣言して雨の中、レイスと共に

標的へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

通学路、裏道にて。

 

 

 

 

 

「くそ、雨続きかよ‥‥。

今日のライブ大丈夫だろか‥。」

 

 

 

夜中から降り始めた雨は

今日明日も続くらしくザァザァと

降っていた。

こんな雨だと屋上でやるライブは

中止になるのが当たり前だが

どうせ穂乃果の事だ、きっとやるに違いない。

俺は思わずふっ、と口元が緩み

雨の中を登校していた。

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、見つけたぜー。」

 

 

 

「っっ!!」

 

 

この気の抜けた声に俺は身震いを感じて

俺は即座に背後を振り返る。

そこには大きな大剣、カタストロフを

肩に乗せて雨に打たれながらも堂々と突っ立ってる

赤いファントムがいた。

しかし俺はそいつをよく知っている

ファントムだった。

 

 

 

 

「フェニックス‥‥!!」

 

 

 

 

「よぉっ、指輪の魔法使い。

こんな所を1人で歩いてるなんて、

おかげで探す手間が省けたぜ。」

 

 

 

「っ!‥最悪のタイミングだな‥‥!

ゲートを狙いに来たのか?」

 

 

「あぁ?俺はゲートなんてどぉでもいいんだ。

俺はただ‥てめぇと遊びたいだけだ。

魔法使い。」

 

 

 

「っ!ガルーダ!」

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

 

カタストロフをこちらに向けて

フェニックスはそう言ってゆっくりと

俺にへと歩み寄る。

俺はドライバーオンリングをベルトにかざしながら、

使い魔のレッドガルーダを呼ぶと

すぐに俺の元へ飛んできて

甲高い鳴き声をしながら真横を

フヨフヨと羽ばたいていた。

 

 

 

「ファントムが出たから攻大達に伝えてくれ。」

 

 

俺がそう言うとガルーダは頷き、

雨の降る空を飛んで行くが、

魔力切れが近いのかその動きは

鈍っていたが、なんとか羽ばたき、

音ノ木坂学院へと向かった。

 

 

 

「行くぜー、おらぁっ!!」

 

 

「っ!ちぃっ!!」

 

 

 

次の瞬間、フェニックスは地面を踏み台にして

カタストロフをジャンプ斬りの要領で

振りかざしてくるが、俺は開いてた傘を

フェニックスへ投げて後方へ飛び退く。

勿論傘は真っ二つに斬られフェニックスの

両サイドへと斬られた傘は落ちた。

 

 

 

「怪我してっから避けれねぇのかと思ったが、

動きは鈍ってないみたいで安心したぜっ。」

 

 

 

「っ!‥‥知ってるなら手加減してほしいな!」

 

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

 

フェニックスの言葉に本調子ではない俺は

焦りながらそう言い放ち、ドライバーの

シフトレバーを上下に動かした。

ドライバーから待機音声が流れ始め

雨に打たれながら俺はウォーターリングを

左中指に取り付けバイザーを下げながら

魔法の言葉を言った。

 

 

 

「変身っ。」

 

 

 

 

 

《ウォーター!プリーズ

 

スイ〜スイ〜スイ〜スイ〜》

 

 

 

 

ウォーターリングをドライバーへとかざすと

音声が鳴り響き、俺はフェニックスへと

左手を伸ばした。

すると真正面から水の魔法陣が現れ

俺の身体を通り抜ける。

そして俺は仮面ライダーウィザード

ウォータースタイルへと姿を変えた。

 

 

「お前が俺の元来てるってことは、

学校に昨日のファントムがいるってことか?」

 

 

「っは!そうゆうこと、

悪いが邪魔させてもらうぜ?

オルァッ!!」

 

 

 

「ッ、フッ!」

 

 

 

変身したウィザードはウィザーソードガンを

剣モードで取り出しながらそう聞くと

戦いたくてウズウズしてるフェニックスは

言い終わるとすぐにカタストロフを振りかざす。

ウィザードはそれをウィザーソードガンで

受け流し、一旦距離をとると

ウィザードはすぐにフェニックスへと駆け出した。

 

 

 

 

「(そっちは任せるぞ攻大!

それと‥‥約束守れなくてごめん、穂乃果。)」

 

 

今のウィザードは激しい戦闘をすると

背中の傷がまた開いてしまうだろう。

だが相手がフェニックスとなると

そう簡単に勝たせてはくれない。

ウィザードは今音ノ木坂学院にいる

古の魔法使い、攻大に昨日現れた

ファントムを任せ、

そう決めてフェニックスと死闘を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

時間は少し経ち、

音ノ木坂学院、部室にて。

 

 

 

 

 

「にゃあーーー‥‥まだ降ってるのかにゃあ‥。」

 

 

「さっき見に行ったけど

お客さん全然来てなかったよ‥。」

 

 

「この雨だもの、しょうがないわ。」

 

 

 

部室の窓から雨が降る空を見る

凛と花陽の言葉に机の上に座ってる

真姫も嫌そうに雨を眺めていた。

 

 

「私達の歌声で、お客さんを集めるしかないわね。」

 

 

「う〜、そう言われると燃えてくるわね〜!

にっこにっこにー❤︎」

 

 

1年生たちの横から絵里とにこもそう言って

同じく窓から空を眺めていた。

雨は収まるどころか激しさを増していく。

 

 

 

 

 

「えぇ!?じゃあ調査したけど

結局何もなかったのっ?」

 

 

「うん、警備員さんもきっと疲れてて

幻でも見たんと思うで、な〜こうっち。」

 

 

「あ、あぁ多分そうだぜ、

全く、お前らもビビりすぎて

気絶するなんて‥‥あ、なんでもありません。」

 

 

椅子に座ってる穂乃果は昨夜の調査のことを

聞いていたが希曰く何もなかったとのこと。

話を振られ攻大も汗を流しながら

気絶した6人へと振り返ってそう言うが

ジト目で数人攻大を見返してきたので

攻大は咄嗟に縮まる。

 

 

「でも、覚えてないのよね‥‥

あの後何があったのかしら‥。」

 

 

「凛も気付いたら攻大君におんぶされてたにゃ!」

 

 

「目が覚めた瞬間俺に飛び蹴りを入れたのは

どこのどいつですか〜?」

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

絵里が困り顔でそう言うと凛は

手を上げて言ってくるが、

攻大は首元を抑えて凛を睨むが

彼女は上の空だ。

気絶した6人は幽霊の事を覚えてないらしく、

気絶した後の事だけらしい。

今真実を言ったら確実に怖がるだろうから、

適当に考えた事を伝えてその場をやり過ごしている。

因みに送って帰ってた攻大はおんぶしていた

凛が目を覚まし、咄嗟に飛び蹴りを首元に

喰らったらしい。

 

 

「やっぱ皆んな女の子だなっ。

あー皆まで言わなくていい!

次何か会った時は俺が守って‥」

 

 

「でもこうっち、昨日うちが驚かしたら

叫んで逃げて行ったやろ?」

 

 

「だぁあああ!?希ちゃんそれは

言っちゃダメだろっ!」

 

 

 

攻大と希がギャーギャーと騒ぎ、

笑いに包まれる部室の中。

だがそれとは裏腹に部室の外では

園田海未と南ことりが互いに深刻な表情で

話をしていた。

 

 

 

 

「‥‥本当にいいのですか?」

 

 

「‥‥うん、本番直前にそんな話をしたら、

穂乃果ちゃんにも、みんなにも悪いよ‥。」

 

 

 

海未の言葉にことりはそう答える。

ことりは海外のとある

ファッションの専門学校へと

来てみないかと言う1通のエアメールが届いた。

服を作る仕事につきたいことりは

今通ってる音ノ木坂学院をどうするべきか

悩んでた所に

お母さんである南理事長は

「こんなチャンス滅多にないわよ?」と後押しされ、

悩んでたことりは留学を決意。

1番の親友である幼馴染の穂乃果、

そして晴希やμ'sメンバーの皆んなに

この事を伝えようと思ったのだが

なかなか言い出せず、やっとのおもいで

海未に伝えることが出来た。

はじめは海未も驚愕したが

夢を追いかける為なら仕方ありませんと

嫌々の本心でそれを了承した。

 

 

「でも、今日がリミットなのでしょう?」

 

 

「うん‥‥、だからライブが終わったら話す。

皆んなにも‥‥穂乃果ちゃんにも‥‥。」

 

そして今日穂乃果達に伝えないと

後がないことりを海未は聞くのだが

ライブ直前にそんな事を言えるわけがない。

ことりはライブが終わって集まった時に

言うと海未に伝えて、部室の中へと入って行った。

 

 

 

「あ、ねぇねぇことりちゃん。

晴希君知らない?まだ学校に

来ていないみたいなんだけど‥。」

 

 

「えっ?う、ううん、ことりは聞いてないよ?」

 

 

ことりと海未が部室に戻ると

穂乃果がさっそくことりに話しかけてきた。

もう文化祭は始まっており、

あと数十分後には屋上でライブが行われる。

それなのに、晴希の姿がどこにも見当たらないのだ。

 

 

「‥‥あいつ‥‥まさか、、」

 

 

今1番晴希に起きてる事を知ってる攻大は

先ほどまで騒いでいたが本心はめちゃくちゃ

焦っていた。スマホとりだしてラインや

着信履歴などを確認するが晴希からの連絡は

きていない。それに不安を感じた攻大が

立ち上がったその時だ。

 

 

 

「ーーーッ、ーーーッ。」

 

 

「あ、ガルちゃん!」

 

 

 

部室の窓を自力で開けてビショビショで

入ってきたガルーダに花陽が反応するが

いち早く攻大がその鳴き声に反応した。

 

 

 

「っ!!やっぱりかよっ!

ファントムが出たらしい!」

 

 

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」」

 

 

 

攻大の言葉にμ'sメンバーが顔色を変える。

それと同時にガルーダの魔力が切れて

ガルーダリングだけがその場にぽとりと落ちた。

 

 

 

「くそっ!ちょっくら行ってくる!!

ライブ頑張れよみんな!」

 

 

「攻大っ、気を付けて!」

 

 

「ライブまでには戻ってきなさいよ!」

 

 

攻大はそう言って部室から飛び出し

絵里、にこの言葉に軽く手を上げて反応し、

うぉおお と言う掛け声で廊下を走っていく。

それを見届けるμ'sメンバーの中、

穂乃果は床に落ちたガルーダリングを拾って

見つめて、雨の降る空へと見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥晴希君‥‥‥‥。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

音ノ木坂学院校門前にて。

 

 

 

 

 

「はぁ‥、はぁ‥‥!

くそっ!晴希の方にファントムが現れるなんて!

無事でいてくれよ‥‥!!」

 

 

 

攻大は晴希が交戦してる通学路の場所まで

全力で走り、文化祭で賑わう人混みを

避けながら校門付近へと来た瞬間だった。

 

 

 

 

 

「おぉっとと、待ってくれそこのお兄さん。」

 

 

 

「あぁっ!?何だよこっちは急いでるんだけど!」

 

 

 

 

校門を出た瞬間、

その横の壁に寄りかかってる

黒服でグラサンをかけてる男性が攻大を

呼び止めると急ぐ攻大は苛立ちながら

その男性に振り返る。

 

 

 

「悪いがあっちの指輪の魔法使いの用は

俺の用が終わってからにしてくれないか?」

 

 

 

「は?何言ってやが‥‥‥お前まさか‥‥!?」

 

 

 

「ふはははっ、そのまさかさ!」

 

 

 

黒服の男性の言葉に攻大は顔の表情を変えると

その男性はニヤリと笑い、その姿を

ファントムに変えようとした。

 

 

 

 

 

「んぬぁああ!?待て待て待て!!」

 

 

 

「ぶっ!?ちょっ、はぁっ!!?」

 

 

 

姿を変えようとする男性を攻大は

慌てて止めに入り、その男性の頬を

思い切りビンタする。

 

 

 

 

「ここは人がいっぱいだ!場所を変えよう!

‥あ、そうだ、体育館裏なら誰もいないし

誰も使ってないな!」

 

 

「はぁっ!?何言ってんだお前!

‥ってちょちょちょっ!引っ張んな魔法使い!」

 

 

 

「皆まで言わなくていい!

あんな所で戦ったら他のお客さんに迷惑なんだろ?

ファントムのくせに気がきくじゃねぇか!」

 

 

 

「お、俺はそんなつもりはねぇぞ!!」

 

 

 

 

男性の言葉を無視して攻大は

半分急かしながら男性の

腕を引っ張り体育館裏へと連れて行った。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

「よし、仕切り直しだ!

‥‥じゃあ、こっちもかなり急いでるんでな、

速攻で喰わせてもらうぜ?」

 

 

 

《ドライバー オン!》

 

 

 

「もう何なんだよお前‥‥‥はぁ〜‥。」

 

 

 

体育館裏へと場所を変えた攻大は

ドライバーオンリングをベルトにかざし

ビーストドライバーへと形を変えながら

そう言うと男性は攻大の行動に

ため息を吐きながらファントム、

レイスへと姿を変える。

そして攻大はビーストリングを

左中指に付け左手を大きく頭上へと掲げた。

 

 

 

「変〜〜〜〜身!!」

 

 

 

 

《SET!Open!!

 

L!・I!・O!・N! ライオーン!!》

 

 

 

「ガォッ!!」

 

 

 

 

両腕を大きく回し、勢いよくCの文字を

表すようなポーズで右に身体を傾け

左のリングスロットにビーストリングをはめ込み、

軽く捻るとリベレイションズドアが展開され

キマイラオーサーが現れる。

掛け声と共に攻大の真正面に魔法陣が現れ

攻大の体を通り抜けると攻大は

仮面ライダービーストへと姿を変える。

 

 

 

「っし、ランチタイムだ!‥‥‥ん?

ってお前!?昨日のファントム!

よくも晴希に手ェ出したな!!」

 

 

「はぁ!?ちょ、気付くの遅すぎだろ!?」

 

 

 

「皆まで言わなくていい!

速攻で喰ってやるぜっ!」

 

 

 

「‥何なんだよお前っ!!」

 

 

 

 

話のきかないビーストにレイスは

苛立ちながら鎌を取り出し、

互いはぬかるんだ地面を駆け出して

ビーストは取り出したダイスサーベルを

突き出すがレイスは鎌の刃の部分でそれを受け止め

火花が飛び散り、交戦を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

同時刻、

ウィザードvsフェニックス。

ビルの屋上にて。

 

 

 

 

 

 

 

「ぐあっ!‥‥‥ぐっうぅ‥!!」

 

 

 

「はっ、どうした?その程度か?」

 

 

 

場所が変わりビルの屋上で交戦する

ウィザードとフェニックス。

ウィザードはいつのまにかハリケーンスタイルと

なって戦ってはいたがそれでも相手は

フェニックス、そして怪我をしてる分、

思うように身体が動かないでいた。

 

 

 

 

「っ、だったら‥!」

 

 

 

ウィザードはウィザードホルダーに手を伸ばし、

フレイムドラゴンリングを左中指に取り付けて

ドライバーのシフトレバーを上下に動かして

ソレをかざした。

 

 

 

《フレイム!・ドラゴン

 

ボウー!ボウー!・ボウーボウーボォ!!》

 

 

 

荒々しい音声と共に背中に魔法陣が現れ

ウィザードから炎を纏った

ウィザードラゴンが飛び出し

その周りを飛翔しながらウィザードの

身体に入り込む。

そしてウィザードはドラゴンの咆哮と共に

ハリケーンスタイルから

フレイムドラゴンスタイルへと姿を変えた。

 

そしてウィザードはそのまますぐに

スペシャルリングを右中指に取り付けて

シフトレバーを上下に動かし、ソレをかざした。

 

 

 

 

《チョーイイネ!

 

スペシャル!

 

サイコーッ!!》

 

 

 

「‥ん?」

 

 

 

見覚えあるような音にフェニックスは

こちらを見ている。その隙に

ウィザードの背中に魔法陣が現れ

魔法陣から炎を纏ったウィザードラゴンが

咆哮を上げながらウィザードの身体を

背中から貫く様に合体する。

 

 

 

「ハァッ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

ウィザードの掛け声と共にドラゴンの口から

灼熱の業火の如く凄まじい火、

ドラゴンブレスが放出され、

フェニックスの身体へと直撃する。

 

 

 

 

 

だが、

 

 

 

 

「‥‥‥はぁあ〜‥‥。」

 

 

 

「っ!何っ!?」

 

 

 

 

ドラゴンブレスの炎が直撃しながらも

フェニックスは全く怯まず、

それどころか炎を喰らいながらも

こちらに近づいてきていた。

 

 

 

「同じ技に2度も効くかよ‥。

俺は死と再生を繰り返す度に強くなる‥、

〝不死身〟の、フェニックス様だっ!!」

 

 

 

「っ!!ぐあっ!ぐっ!?」

 

 

フェニックスの掛け声と共に

その身体からドラゴンブレスよりも強力な

火が放出され、ウィザードのドラゴンは

強制的に解除され、その炎の熱波に

ウィザードは吹き飛ばされる。

 

 

 

「あぐぁ‥‥‥くっそ‥‥!!背中が‥!」

 

 

その攻撃に背中を強く屋上の地面へと

叩きつけられ若干のジメジメした感覚を感じる。

どうやら傷口が開いて出血しだしたのだろう。

 

 

 

 

「ハッハッハ!さぁ、キラキラとその目障りな頭、

今度こそ叩き割ってやるぜ!!」

 

 

 

「っ!フゥッ!!」

 

 

 

「っ!?ぐぁあ!」

 

 

フェニックスはそう言いながら横たわる

ウィザードにカタストロフを

振りかざしてくるが、

ウィザードはウィザーソードガンを

起き上がる勢いで突き出して

それに怯み後ずさるフェニックス。

 

 

 

「こう見えて俺も強くなってるんでね、

お前と遊んでる暇はない。」

 

 

 

起き上がるウィザードはそう言いながら

ウォータードラゴンリングを

フレイムドラゴンリングと取り替えて

付けるとシフトレバーを上下に動かし、

ソレをかざした。

 

 

 

 

《ウォーター!・ドラゴン

 

ジャバジャババシャーン!

ザブンザブーン!!》

 

 

 

荒々しい音声が鳴り響き、

背中に大きな水の魔法陣が現れると

ウィザードの周りに水を纏ったドラゴンが

咆哮を上げながら飛翔し、水が渦巻く

ウィザードの中へと入っていく。

そしてウィザードは水のドラゴンの翼を広げ

フレイムドラゴンスタイルから

ウォータードラゴンスタイルへと姿を変えた。

 

 

 

「ふぅ‥‥‥ハァッ!!」

 

 

「へへ‥おらぁっ!」

 

 

 

 

姿を変えたウィザードは

ウィザーソードガンを構えて腰を下ろし

掛け声と共に駆け出す。

フェニックスもその姿に期待しながら

カタストロフを構えてウィザードに

振りかざしてくる。

互いの武器がぶつかり火花が飛び散るが

パワーは明らかに劣っている。

振りかざすカタストロフの威力に

ウィザードはウィザーソードガンで

対抗するが受け流すのが精一杯だった。

 

 

「‥‥ぐっ!?」

 

 

「隙あり、っと!!」

 

 

「っ、ぐぁあっ!?」

 

 

そして一瞬背中に激しい痛みが身体中にへと

走り、ウィザードは怯むと

その隙にフェニックスはカタストロフを

突き出し、ウィザードは吹き飛ぶが

背中を地面に打ち付けないようにと

数歩後ずさり、なんとか踏みとどまる。

 

 

 

「うぉおおあああっ!!!」

 

 

 

「っ!」

 

 

咆哮を上げてカタストロフを構えて

接近してくるフェニックスにウィザードは

すぐにブリザードリングを右中指に取り付けて

シフトレバーを上下に動かし、ソレをかざした。

 

 

 

《チョーイイネ!

 

ブリザード!

 

サイコーッ!!》

 

 

 

「ハァッ!!」

 

 

 

「っ‥!?‥‥んんんっ!!」

 

 

 

音声が鳴り響くとウィザードは掛け声と共に

右手を突き出すと冷気を帯びた魔法陣が現れ

そこから吹雪の様な勢いの冷気が出てきて、

接近するフェニックスを押し返す。

 

 

 

「‥‥‥!こんなもんに‥負けるかよぉ!!」

 

 

 

身体の一部が凍り始めるフェニックスは

そう叫ぶと全身が炎に包まれ凍っていた

身体を一瞬で解凍し、冷気を浴びながらも

再び接近してくる。

 

 

「っ!まだだっ!!」

 

 

 

ウィザードはそう言って

冷気の魔法陣を前に突き出し、その隙に

ウィザーソードガンのハンドスプリングを展開し、

ハンドオーサーにウォータードラゴンリングを

かざした。

 

 

 

《ウォーター!スラッシュストライク!

 

ジャバジャババシャーン・ジャバジャババシャーン》

 

 

 

「ハァアアアッ!!!」

 

 

 

待機音声が流れ、水のエネルギーが

ウィザーソードガンの剣先に纏い始める。

ウィザードは掛け声を上げてフェニックスに、

ではなく、まだ発動している

ブリザードの魔法陣に振りかざした。

水を帯びた斬撃はその魔法陣に当たると

 

 

 

 

「っ!!何‥‥‥‥‥っ!!?」

 

 

 

 

氷の塊となり一瞬にしてフェニックスを

氷漬けにした。

その固まるフェニックスを見逃さず、

ウィザードはスペシャルリングを右中指に

取り付けてシフトレバーを上下に動かして

ソレをかざした。

 

 

 

《チョーイイネ!

 

スペシャル!

 

サイコーッ!!》

 

 

 

音声が鳴り響くとドラゴンが飛び交う

演出はなく、ウィザードの腰部に魔法陣が現れ

そこからドラゴンの尾〝ドラゴテイル〟が出現する。

 

 

 

 

「ハァッ!!」

 

 

 

ウィザードはその場で前転すると

その勢いにドラゴテイルを振り下ろし、

氷漬けになったフェニックスを

一瞬で粉々に粉砕した。

 

 

 

「‥‥ふぅ‥‥‥!なんとかなったか‥。」

 

 

ウィザードはそう言いながらドラゴテイルを

解除し、その場に雨の降る音だけが響き渡った。

 

 

 

「‥ぐっ‥‥!無茶しすぎた‥‥‥!!

‥早く、急いで学校に向かわねぇと‥‥!」

 

 

ウィザードは背中を抑えながら、

屋上から見える音ノ木坂学院を見てそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

音ノ木坂学院、部室にて。

 

 

 

 

「晴希も攻大も大丈夫かしら‥‥。」

 

 

「何?今更心配?あの2人が負けるわけないでしょ?」

 

 

「そうは言っても心配なものは心配なのよ‥。」

 

 

間も無くライブが始まる中、μ'sメンバーは

ライブ衣装へと着替えて雨の降る空を窓から

見てると絵里がそう呟く。

にこは今更だと気を張ってるが本当は

彼女も心配なのだろう。

魔法使いの晴希と攻大と言えど、

ファントムとの戦いには互いに命を懸けて

戦っているのはメンバーの全員も分かってるはず。

例え2人が強くても、何れファントムも

強いファントムが出るかもしれない。

でも彼女らは無事を祈って待つことしか出来ない。

それに対して絵里は嫌なのか思わず

声を漏らしたのだろう。

 

 

 

「大丈夫だよ!晴希君達は負けないよ!」

 

 

 

「穂乃果‥‥。」

 

 

そこへ衣装へと着替え終わった穂乃果は

元気よくそう皆に言った。

 

 

 

 

「ファーストライブの時もそうだった。

あそこで諦めずに頑張ってこれたから

今のμ'sがあるんだと思う。

それに答えてくれるかのように、

晴希君達も私達、人を守るために

必死に頑張ってくれてる。

だからみんな、晴希君達を信じて

私達も今を頑張ろう!!」

 

 

 

 

「‥そうだよね、その為に

ずっと頑張ってきたんだもん!」

 

 

「後悔だけはしたくないにゃっ!」

 

 

「そうね‥、なら私達は

このライブで戦わないと!」

 

 

「せやなっ、ウチらはウチらなりの戦い方がある!」

 

 

「進化した私達を見せるわよ!」

 

 

「やってやるわ!」

 

 

穂乃果の強い言葉に、花陽、凛、絵里

希、真姫、にこが強い思いでそう答える。

3人だったあの頃の時、

諦めてたらここまでこれなかっただろう。

あの時、晴希の言葉で穂乃果達は歌うことができた。

穂乃果も、心配ではなく、無事に帰ってくる

という気持ちで迎えようと、そう思ってるのだろう。

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

「ことり‥‥。」

 

 

「っ、あ‥、ごめん。」

 

 

だがライブが終われば重大な事を

言わなければならない。

その悩みを抱えたことりの表情は暗く、

海未も心配そうに声をかけた。

 

 

「とにかく今はライブに集中しましょう。

せっかく晴希達とここまで来たのですから!」

 

「‥‥‥うんっ。」

 

 

 

海未、ことりも今まで練習してきた日々を

壊す訳にはいかない。そう決意して

ことりはこの一件を今だけ忘れて

皆と一緒に屋上へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

屋上にて。

 

 

 

 

「亜里沙ー!拓人ーっ!」

 

 

「あ、雪穂っ。」

 

「ギリギリセーフ、だね。

今始まるとこだよ。」

 

 

ライブを見に来た中学生グループ、

雪穂と絢瀬亜里沙、天空寺拓人は

傘をさしてる観客の中を通りながら合流し、

用意されてる舞台を見る。

雨天なのでお客はあまりいないだろうと

思っていたが屋上を埋め尽きそうなほどの

人数が集まってくれていた。

 

 

 

そして、舞台に立つ9人のメンバー。

 

 

 

「(大丈夫‥‥、晴希君なら必ず来てくれる。

だって、そう約束したんだ。)」

 

 

 

真ん中に立つ穂乃果は目を瞑り

そう思いながら目を開き、集まってくれてる

観客達を見下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

「(行くよ、私達のショータイム!)」

 

 

 

 

その思いと共に舞台の後ろにある

μ'sの旗は風で大きく揺れる。

そして、この日の為に頑張って作った、

μ'sの新ソングが流れ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一進一跳!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

BGM 〜No brand girls〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

音ノ木坂学院、体育館裏にて。

 

 

 

 

「っ、始まったな‥!」

 

 

「余所見してんじゃねえよ猫が!」

 

 

 

 

屋上で流れ出した曲にビーストは

屋上の方角を見上げるとレイスは

鎌を持ってビーストへと振りかざしてくる。

ビーストはダイスサーベルでそれを受け止め

バッファリングを右中指に取り付けた。

 

 

 

「この顔のどこが猫だ!お前の目腐ってるだろ!」

 

 

 

 

《バッファ!ゴーッ!

 

バッバ・ババババッファー!》

 

 

 

ビーストはバッファリングを右の

リングスロットにはめ込むと音声が鳴り響き

赤い魔法陣が右肩を通り抜ける。

そしてビーストはバッファマントを纏った。

 

 

 

 

「一気に喰わせてもらうぜっ!!」

 

 

 

「ふん、喰われてたまるかよ!」

 

 

 

ビーストはそう言うとバッファマントの鼻から

煙が出て闘牛の勢いでビーストは駆け出す。

レイスも対抗する為鎌を振り回して駆け出した。

 

 

 

「ドォラァっ!!」

 

 

「うぉっ!?」

 

 

甘く見ていたレイスはバッファマントを

突き出したタックルを諸に受けてレイスは

吹き飛び、体育館の壁へとぶつかる。

 

 

「しゃあ!もっと行くぜぇ!」

 

 

「うっ‥!調子に乗るなぁ!!」

 

 

 

「ぐわぁっ!?」

 

 

ビーストらもう一度タックルしようと構えると

レイスは叫んで鎌を振り上げる。

すると鎌から黒い斬撃が出てビーストは

ダイスサーベルで間一髪受け止めるも

その衝撃で吹き飛びぬかるんだ地面へと転がる。

 

 

 

「今度こそ死ね、魔法使い。」

 

 

その隙にレイスは鎌に不気味な

エネルギーを溜めてそう言ってビーストへと

距離を縮めて行く。

 

 

「いってぇ‥‥!お前に言っといてやる!

そんなちっぽけなもんで死なねーっつーの!」

 

 

 

 

「じゃあ、避けんなよ!!」

 

 

 

ビーストの挑発にレイスはカチンときたのか

その黒いエネルギーの斬撃を振り放ち、

ビーストはそれと同時にカメレオリングを

取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ハリケーン!スラッシュストライク!》

 

 

 

 

 

「はぁっ!!」

 

 

 

その時、ビーストとレイスの放った斬撃の

間の真上から音声と掛け声が聞こえ、

その黒い斬撃を真上から来た風の斬撃が

ぶつかり、衝撃とともに斬撃は消滅した。

 

 

 

 

 

「っ!?な、なんだ!?」

 

 

 

 

 

「‥なんだよ、せっかく俺がこいつ喰って

お前のとこに駆けつけようと思ったのによ。

‥‥晴希。」

 

 

 

何が起きたのかわからないレイスはそう言って

辺りを見渡す。ビーストはその攻撃が誰のなのか

すぐに分かり、そう言いながら頭上を見上げると

ハリケーンドラゴンスタイルのウィザードが

ウィザーソードガンを持ってレイスとビーストの

間に着地する。

 

 

 

 

「お前より魔法使いの先輩だからな。

俺が先に駆けつけて当然だろ?」

 

 

 

「バカ言ってんじゃねーよ‥。

怪我、大丈夫なのか‥?」

 

 

 

降りたったウィザードはビーストに

そう言ってビーストは背中の怪我を聞いてくるが、

ウィザードは問題ないと言って

2人の魔法使いはレイスを見る。

 

 

 

「お前‥!?まさかフェニックス様が

やられたのか‥‥!?」

 

 

 

「俺の方が強かったみたいだな‥‥!

さぁ、フィナーレだ!」

 

 

「へへっ、メインデッシュだ!」

 

 

 

レイスは戸惑い、ウィザードは

痛みに耐えながら

キックストライクリングを

右中指に取り付け、

ビーストはビーストリングを

左のリングスロットにはめ込もうとした。

 

 

 

「はははっ!残念だが俺にそんな技は効かない!

俺は闇にまぎれて敵を襲う!

どんな攻撃もその気になれば受け流すことが

できるんだよっ!」

 

 

だがレイスは高笑いし、言い終わると

レイスの身体は黒い霧の様に空中を

フワフワと浮上し始めるが、

ウィザードはふっと鼻で笑う。

 

 

 

「‥‥闇か、ならとっておきの指輪があるぜ。」

 

 

 

 

ウィザードはキックストライクリングを

一旦取り外し、ライトリングを取り付け

シフトレバーを動かしソレをかざした。

 

 

 

 

 

《ライト・プリーズ》

 

 

 

 

音声が鳴るとウィザードは右手を頭上に掲げる。

するとライトリングから強烈な光が

体育館裏の周りを包み込む。

 

 

 

「うわっ!まっぶし‥!」

 

 

 

「っ!!ひ、光だとぉっ!?」

 

 

ビーストもその光に思わず目をそらすが

レイスはやはり光が苦手だったらしく、

霧状になっていた身体が元に戻り

ぬかるんだ地面に四つん這いになって倒れる。

 

 

 

 

「ふっ‥‥行くぜ、攻‥‥うっ!?」

 

 

 

「っ!晴希!!」

 

 

 

ウィザードは今度こそ決めようと

キックストライクリングを取り付けようとするが

一瞬の緩みで背中の痛みがウィザードを襲い

ウィザードはその場に膝をつく。

ビーストもそれを見て慌てて駆け寄ると

苦しんでたレイスが静かに笑い出す。

 

 

 

 

「あっはははは‥‥‥‥!

お前も弱ってるじゃねぇか‥‥!!」

 

 

 

「っ!テメェ!」

 

 

 

笑いながらウィザードを見るレイスに

ビーストは怒りウィザードの前に立つと

左のリングスロットにビーストリングをはめ込んだ。

 

 

 

 

 

 

《キーックストライークッ!!ゴーッ!》

 

 

 

 

「決めさせてもらうぜっ!!」

 

 

 

ドライバーから音声が鳴り響き

ビーストの右足にエネルギーが溜まっていくと

ビーストはジャンプすると

体を丸めて回転しながら頭上に現れた

魔法陣を通り抜ける。

 

 

 

 

「うぉおおらぁあああっ!!」

 

 

 

そして上空でキックのポーズを構えると

右足にキマイラの顔が浮かび上がり

その勢いはレイスへと向かっていく。

 

 

 

「っ!‥‥‥‥はあっ!!」

 

 

 

 

だがレイスは当たる瞬間に霧状になり、

ビーストのキックストライクは外れた。

 

 

 

「っ!しまったぁっ!」

 

 

「‥っ!避けられた‥‥!」

 

 

ビーストは外れて悔しがり

膝をつくウィザードはそう言って

消えたレイスを探すが霧状の状態すら

見当たらなく、辺り一面は雨の音と

μ'sの1曲目がそろそろ終わる音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

「残念だったな、どうせやられるなら!

お前達の守ってる物をぶっ壊してやるよ!!」

 

 

 

 

 

 

「っ!ぶっ壊すってこの学校をか‥‥!」

 

 

 

「‥!まずいっ!!」

 

 

何処からともなく聞こえたレイスの声に

ビーストとウィザードは反応するが、

ウィザードはその意味をすぐに理解し、

急いでスペシャルリングを右中指に取り付け

シフトレバーを動かしソレをかざした。

 

 

 

 

《チョーイイネ!

 

スペシャル!

 

サイコーッ!!》

 

 

 

音声が流れるとウィザードの背中に

魔法陣が現れウィザードは同時に魔法陣から

風を纏ったドラゴンがウィザードの背中から

身を包み込む様に翼を覆う。

咆哮を上げて背中にドラゴンの翼を宿し

急いでウィザードは体育館裏から跳躍し、

ある場所へと向かった。

 

 

 

「おおい晴希っ!?どうしたんだよっ!?」

 

 

突然飛んで行ったウィザードにビーストは

遅れをとり、ウィザードを呼ぶが

彼の姿はどこにもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

音ノ木坂学院屋上にて。

 

 

 

 

『oh yeah!oh yeah!oh yeah!

oh yeah〜〜!』

 

 

 

屋上ではμ'sの曲が終わり、

観客の歓声と拍手がμ'sを包む。

 

 

 

「はぁ‥‥はぁ‥あ、ありがとうございます!

それでは、続いて2曲目、聴いて下さい!」

 

 

 

息を切らしながらも穂乃果達は

笑顔でそう言ってメンバーの互いを見て

次の曲の配置につこうとする。

 

 

その時、

 

 

 

 

 

「死ねっ!人間共っ!!!」

 

 

 

「えっ‥?」

 

 

その時だった。

観客達の真上に霧状の様なものが集まり

ファントム、レイスとなり、

レイスは鎌を振り上げると

無数の刃がレイスの周りに現れる。

 

 

 

 

「はぁっ!!!」

 

 

 

そしてレイスは鎌を振り下ろすと

無数の刃は舞台上のμ'sメンバーへと

飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

「させるかぁああああっ!!!」

 

 

 

 

 

刹那。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぐっ!?‥‥‥‥!!!!」

 

 

 

 

 

 

飛んできたウィザードは

μ'sの前に両手、ドラゴンの翼を広げて

無数の刃からμ'sを守った。

 

 

 

 

 

「え‥‥‥‥は、るき‥‥君‥‥?」

 

 

 

 

「う‥‥うぐ‥‥‥‥!!」

 

 

 

 

穂乃果、μ'sのメンバー、そして

観客達が見る先には1体の怪物と

身体中に刺さってる刃で今にも倒れそうな

ウィザードの姿があった。

 

 

 

 

「なっ‥!?身を呈して守っただと‥‥!?」

 

 

 

「‥‥‥〜〜〜〜!!!」

 

 

 

 

《ライト・プリーズ》

 

 

 

声にならない叫びでウィザードは

ライトリングをかざし、

強烈な光が屋上を包み込む。

 

 

 

 

「きゃあっ!?」

 

 

「ま、眩しい‥‥!!」

 

 

「晴希君‥!!?」

 

 

 

 

「がぁああっ!!またこの光かぁ‥!!!」

 

その場にいる全員はその光に目を逸らし、

レイスも光に耐え切れず、屋上から逃げようとした。

 

 

 

 

「にがずがぁあ‥‥‥!!!」

 

 

 

 

《チョーイイネ!

 

キックストライク!

 

サイコーッ!!》

 

 

 

ウィザードはそのまま

キックストライクリングを

右手の中指に取り付け、

シフトレバーを動かしソレをかざし、

音声が鳴り出すと右足に風が纏始める。

 

 

 

 

 

 

 

「でぇやぁアアアアアアッッ!!!!」

 

 

 

 

 

「っ!?ぐわぁあああああっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

背中を見せて逃げようとしたレイスに

ストライクウィザードがあたり、

レイスは吹き飛び空中の上で爆散した。

 

 

 

 

「‥‥‥っ!晴希君!!!」

 

 

 

 

 

視界が戻り、穂乃果は晴希の

名前を呼び辺りを探すと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドチャッ‥‥‥。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観客と舞台の間に変身が解かれた

血まみれの晴希が落っこちてきた。

 

 

 

 

「きゃあああああっ!!?」

 

 

「うわぁあああっ!!人が‥!」

 

 

「いやぁああっ!!」

 

 

その酷い姿に観客達は悲鳴を上げ、

屋上の床はどんどんと血で染められていく。

 

 

 

「「「「「「「「晴希(君)っ!!?」」

」」」」」」

 

 

 

だが悲鳴で後ずさる観客に対して

舞台に立っていたμ'sメンバーは

晴希の名前を呼び、その場に駆け寄った。

 

 

 

「晴‥‥、晴希君っ!!」

 

 

「そんな‥‥いやぁあっ!!」

 

「晴希っ!晴希っ!!!」

 

 

ことり、花陽、真姫、

そして残りのメンバーも呼びかけるが

全く反応がない。

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥嘘‥‥‥‥だよね‥‥‥‥?

晴希君‥‥‥?」

 

 

 

 

 

 

そして穂乃果も、身体、口から血を流す

晴希の手を握って呼びかけるが、

それでも反応はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「晴希君‥‥‥‥ねぇ 晴希君っ‥

起きてよ、晴希君ーーーっっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨が降り注ぐ屋上、穂乃果の声に反応せず、

操真晴希は大量の血を‥流して

 

 

 

 

その血は屋上の床を真っ赤に染めながら

 

 

 

 

彼の命は闇に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

 

 

「何で‥‥何でそんな怪我してたのに

病院に連れてかなかったのよっ!!」

 

 

「真姫、にこ!落ち着きなさい!

攻大を攻めてもしょうがないでしょっ!」

 

 

病院で告げられた事実に真姫とにこは

怒り、攻大に攻める。

 

 

 

 

「こんな状態じゃ、ラブライブ!なんて

出場は不可能ね‥‥。」

 

 

「‥今は晴希君の回復を待って、

ウチらは穂乃果ちゃん達を励まそうや。」

 

 

ラブライブ!の出場を諦め、

気持ちがごちゃごちゃになり泣き出す穂乃果。

3年である絵里と希はなんとか

メンバーを励ますことに。

 

 

 

 

「実は‥‥、突然ですが、ことりが

留学することになりました。」

 

 

 

海未から言われた衝撃の事実に、

μ'sメンバーをさらに苦しめる。

 

 

 

 

 

「‥私がもう少し周りを見ていれば、

こんなことにはならなかった。」

 

 

 

 

「私、スクールアイドル‥辞めます。」

 

 

 

穂乃果の口から信じられない言葉が。

どんどん離れていくμ's。

どうなってしまうのか‥‥。

 

 

 

 

 

 

第29話 大切なともだち

 




はい、しょーくんです(^^)

GWなのにバイトで潰れてイライラ気味です☆
だがなんとかかけたゼェ‥。

評価、感想などがあれば是非お願いします!(*^^*)

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