ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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穂乃果「わたしも魔法使いたーい!」
ガルーダ「ピィッ?」
穂乃果「晴希君はいいよねぇ‥。ねぇガルちゃん」
ガルーダ「ピィピィ!」
穂乃果「そういえばガルちゃんって
ゴテゴテしてるのにどうして飛べるの?
魔法の力で浮いてるとか?」
ガルーダ「‥‥」バサバサ
穂乃果「んー、喋れないからわかんないか〜」
ガルーダ「この翼クリムゾンループって言って
穂乃果ちゃんの言う通り魔力の力で
空気の流れを操作して飛ぶことができるんだピィ。」
穂乃果「な、なるほどー!って喋るの⁉︎」


第3話 START:DASH‼︎

約束する

 

 

 

俺がお前の

 

 

 

 

最後の希望になってやる

 

 

 

 

 

 

(晴希君‥私、‥信じてるよ‥‥‥。)

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「よっと‥‥‥これが‥アンダーワールド‥」

 

操真晴希こと、

仮面ライダーウィザードが辿り着いた場所は

人間の精神世界、

アンダーワールド。

その空間は景色、物や、生き物が

全て白黒の世界。

 

ふーん‥‥

随分と田舎染みた所だな‥

 

「‥ん?」

 

 

「おばあちゃーん!」

 

ウィザードの横を1人の幼い女の子が

通り過ぎた。

サイドポニーのオレンジ色の髪型。

 

「幼い頃から変わってないんだな‥」

 

見て一瞬で分かる。

高坂穂乃果だ。

元気な姿が見てとれる、、

 

初めに言っとくが、ロリコンじゃねぇぞ。

 

 

 

「おやおや、穂乃果、おかえり。」

 

「おばあちゃん!見て見て!

池で捕まえたの!」

 

穂乃果が祖母らしき人物に

何かを見せた‥って

ザリガニ⁉︎

うおぉぉぉぉっ!鳥肌がっ!

小さい子は凄いなぁ‥

まぁ、俺も昔近くの池で色々捕まえたっけ‥

さすがにこの歳になるともう虫なんて

触れないが‥てか触りたくない。

 

「おやおや〜、よく捕まえたねぇ〜。」

 

笑顔で穂乃果の頭を優しく撫でる祖母。

穂乃果は嬉しそうに にへへ と笑う。

 

 

「すごいでしょー!ザルガニィ‼︎」

 

 

ザルガニってなんか美味しそうな名前だな。

 

「‥優しそうなおばあちゃんだ‥

あの人が穂乃果の希望だった人か‥」

 

俺も昔はあんな感じだったっけ‥

 

その光景に見とれてた‥

その時。

 

突然穂乃果と穂乃果の祖母に亀裂が走り、

ひび割れて飛び出してきたのは

巨大な怪物だった。

 

「うおっとぉ⁉︎」

 

巨大なファントム

〝シャバウォック〟は

甲高い咆哮を上げ、ウィザードの頭上を

通り過ぎ、穂乃果のアンダーワールドの中で

暴れ出す。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

ウィザードが入った後、

園田海未、南ことりが倒れている

穂乃果を見守る中、穂乃果の亀裂が

だんだん悪化していった。

 

「っ‥‥‥‥穂乃、果‥‥っ‥」

 

海未は泣きながら穂乃果の名前を

呼びかける。

晴希を信じて待つ。

それしかできなかった。

 

「海未ちゃん‥大丈夫‥‥

晴希君を信じよう?」

 

海未の手を握り

同じく彼を待つことり。

 

約束した時の晴希の顔を見て、

安心してるのか

ことりの表情は落ち着いていた。

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「でたな、ファントム‥」

 

アンダーワールドを突き破って

外に出るつもりだろうが

そうはさせん。

と、言ってもあのサイズのファントムは

さすがに倒すのに時間がかかりそうだ。

 

 

だから俺も、

 

 

〝自分の中の怪物を使うことにしよう〟

 

 

 

ウィザードは右手に

〝ドラゴライズリング〟をはめ、

ウィザードライバーに手をかざした。

 

 

 

《ドラゴライズ‼︎・プリーズ》

 

 

少し強気の音声と同時に晴希の頭上に

巨大な魔法陣が浮かび上がり、

その中から巨大なドラゴンが咆哮を上げ飛び出す。

 

 

「うおおぉっ!〝ウィザードラゴン〟っっ!!!」

 

 

赤・金・銀のメカニカルな風貌をした

西洋のドラゴン。

そのドラゴンの名前はウィザードラゴン。

原作では仮面ライダーウィザードこと主人公の

アンダーワールドに巣食う巨大なファントムだ。

ウィザードの力の源でもある。

かなりの戦力になりそうだがこいつは

アンダーワールドにしか呼ぶ事ができない。

‥この世界はどうか知らないけど‥。

 

きっとこいつは転生の時に神様が

俺の中に入れたのだろう。

俺も絶望したらこいつに喰われちまいそうだな‥

ちょっと怖いデメリットを考えながら

ドラゴンの召喚に興奮するウィザード。

 

 

だが、

 

 

 

 

「え‥‥、ぐはぁっ⁉︎⁉︎」

 

ドラゴンはウィザードを睨み、

その尻尾でウィザードを薙ぎ払い咆哮を上げ、

シャバウォック同様、アンダーワールドを

壊し始めた。

 

「いってえぇ‼︎ なんだあのドラゴン⁉︎

俺が主人だろぉ⁉︎」

 

‥いや、最初は言う事聞かないんだっけ‥

不意の攻撃によろけながら立ち上がるウィザード。

 

シャバウォックはドラゴンの存在に気付き

口からエネルギー弾やするどい爪を使って

ドラゴンを攻撃する。ドラゴンは苦痛の咆哮を上げ

地面へと落下する。

 

「ええと確か‥!」

 

曖昧な記憶を引きずりだし

俺はコネクトリングをはめ、ドライバーにかざす。

 

《コネクト・プリーズ》

 

魔法陣から呼び寄せた愛用のバイク。

〝マシンウィンガー〟に跨り、

ドラゴンとシャバウォックが戦う方角へ走り出す。

 

こちらに向かってくるウィザードに気付いたのか

ドラゴンはウィザードに接近してくる。

 

「ドラゴン!俺に強力‥いや、俺に従えっ‼︎」

 

ドラゴンとぶつかる寸前、

ウィザードのバイクは展開し、

タイヤの部分は魔法陣の絵柄になり、

巨大な翼のような形に変形し、

ウィザードラゴンの背中に合体した。

 

「っしゃあ!ジョグレス進っ‥‥‥

じゃない!!行くぞっ!」

 

背中に合体した形態

〝ウィンガーウィザードラゴン〟

これで従うようになる。

いちいちかっこいいんだから ちくしょう♪

ドラゴンは咆哮を上げ、

シャバウォックに向かって大きな羽(バイクだけど)

羽ばたく。

 

シャバウォックもアンダーワールドを壊すのをやめ、

こちらに向かって口からエネルギー弾を放つ。

その攻撃の雨をウィザードはバイクに乗るような

感覚で避け、ドラゴンの口から火炎攻撃を放つ。

 

お互いの弾幕合戦が続く中、これでは

拉致があかないと思い、ドラゴンは接近し

シャバウォックを掴み地面へと垂直落下する。

地面に激突したシャバウォックは苦痛の咆哮を上げ

鋭い爪で攻撃し、ドラゴンと距離を取る。

再度ドラゴンはシャバウォックに接近する中

ウィザードはウィザーソードガンを取り出し

ソードモードに構え、ドラゴンの背中に立ち上がる。

 

そしてハンドスプリングを開き、

 

《キャモナスラッシュ‼︎

シェイクハンズ‼︎

キャモナスラッシュ‼︎

シェイクハンズ‼︎》

 

待機音声が鳴る中、ウィザードは

フレイムリングをハンドオーサーにかざした。

 

 

《フレイム・スラッシュストライク!

 

ヒーヒーヒー・ヒーヒーヒー》

 

ウィザーソードガンの

剣先に炎のエネルギーが渦を巻くように集まる。

 

「これで決める!」

 

接近してくるシャバウォックを避け

その瞬間にウィザーソードガンを切りつけた。

 

 

シャバウォックは炎に包まれ

地面に落下し爆散した。

 

「‥ふぃ〜っと‥」

 

ドラゴンは勝利を勝ち取ったかのように咆哮を上げ

戦いは終わった。

 

 

 

‥これ、今降りたら襲ってきそうだよな‥‥

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

亀裂の進行が停止し、

穂乃果の身体から亀裂が消え、元の身体に戻った。

そして、その横に魔法陣が浮かび上がり、

マシンウィンガーに乗ったウィザードが

飛び出す。

 

「晴希さん!」

 

「晴希君!」

 

無事に帰ってきたウィザードに喜び声を上げる

海未とことり。

 

「安心してくれ、無事ファントムは倒した。

これで穂乃果はもうやられることはない。」

 

ウィザードはそう言いながら変身を解き、

彼女達の元へ向かった。

 

「‥っ‥‥よかったです‥本当に‥‥

穂乃果‥‥‥!」

 

穂乃果を抱き上げながら泣きまくる海未。

涙で顔グシャグシャになってるぞ海未さん。

 

「晴希君‥‥本当にありがとう‥‥!」

 

 

ことりは俺の手を握ってお礼をしてくる。

 

「ん‥まぁ、その、‥た、大したことじゃねぇよ‥」

 

 

 

人の命を助けた。

 

人の気持ちに応え、役に立てた。

 

なんて事は今まで一度もなかった。

女の子に手を握られて動揺してるのもあるが、

その達成に俺はとてもいい気分だった。

 

 

やっぱり仮面ライダーは凄いや‥‥

人々を守る為に戦う‥

 

俺はその気持ちを再度実感したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

俺は穂乃果を家に運んだ後、

家に帰宅した。

夜9時か‥なんか時間立つのはやいなぁ‥

 

海未やことりは穂乃果の事が心配な為、

穂乃果の家に泊まることになった。

 

着替えや明日の学校の教科書などを

俺の魔法で取り寄せたのだが

その際ことりの下着を運悪くとってしまい

海未に顔面全体にビンタをくらってしまった。

 

おかげで顔面が紅葉マーク。

ちょっと得した気分だけど痛い。

 

着替えは彼女達が俺が発動してる

コネクトを使って取り出し、

 

今日は親友の命を救ってくれたので許します

 

などと言って許してくれた。

 

「あぁ‥つかれた‥‥‥腹減った‥‥」

 

かなり身体がだるい‥魔力を使い過ぎた。

もうベットに倒れたかったが

風呂も入ってない、ご飯食わないと死ぬ、

だからも少し我慢しよう。

 

 

「なかなかいい仕事ぶりじゃったぞ。」

 

 

そう言って俺の目の前に神様がゲートみたいなので現れた。

驚く気力もない俺は軽く挨拶した。

 

「あ、神様、ちっす。」

 

「1日目だというのにかなり魔力を

使ったようじゃのぉ‥」

 

「そりゃね‥‥魔法使いってのも大変なんだな‥

で、何しに来たんですか?」

 

俺がそう聞くと神は1つの指輪を差し出した。

 

「ほれ、新しい指輪を持ってきたんじゃ。

前に進む指輪じゃ、きっと役に立つじゃろう。」

 

そう言って俺は指輪を受け取る。

ドラゴンの目が光っている指輪だな‥

これは‥ええと‥あー忘れた、

まぁいいや。そのうち思い出すだろう。

 

「今後はその机に勝手に指輪を置いとくからの。

じゃあのぉおーーーー。」

 

変なテンションで神はゲートをくぐって

その場から姿を消した。

 

「‥‥まえに進む‥か。」

 

 

俺はそう呟き、着替えて飯を作ることにした。

誰もいないその空間に

食材を切る音が響きわたった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

翌朝、俺はチャイムが鳴る音で起床した。

 

「んん‥誰だこんな朝っぱらに‥‥」

 

時間は朝の7時半‥今日は学食の

予定だし、バイクで登校するから

もう少しゆっくりできるが

まぁちょうどいいぐらいか‥

 

そしてチャイムがうるさい。

 

「はいはいはいはいっ。なんだよ‥」

 

眠気におそわれ、しぶしぶ立ち上がり

連チャンされるインターホンに

俺は少しイラつきながら玄関を開けた。

 

 

「うわぁっ。あ、‥おはよう。」

 

「お、おはようございます。晴希さん。」

 

「おはようっ、晴希君っ。」

 

そこに立っていたのは穂乃果、海未、ことりの

3人だった。

 

「ほ、穂乃果っ。もう大丈夫そうだな‥」

 

「うんっ。ありがとね、晴希君、

もう穂乃果は平気だよっ。」

 

俺の顔を見て少し頬が火照りながら

元気な笑顔を見せてくれて俺は朝から

テンション上がったぜ。

 

「てか、なんで俺の家が分かったんだ?」

 

「この子たちが教えてくれたんだよっ。」

 

そう言うと穂乃果、海未、ことりの

3人の肩に3匹の使い魔が乗っていた。

 

あーそういえば昨日3人の所にいろって

指示出したんだっけな。

俺以外の言う事も聞くのかこいつら。

可愛い女の子だから?

おい、目線逸らすな使い魔共。

 

「でも、びっくりだよー。学校から近い所に住んでるんだねー。」

 

「すみません、朝の練習の後

穂乃果がどうしてもと

言って聞かなかったので‥」

 

気にするな海未。

お前もきっと散々連れまわされたのだろう?

 

「大丈夫だ、ちょっと待ってろ、すぐ準備する。」

 

はぁーいと言って穂乃果は手をあげる。

その指にはエンゲージリングがはめてあり、

俺はそれを見て少し笑った。

 

準備が整い、俺たちは学校へ登校したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「いやー!今日もパンが美味いっ!」

 

「今日ライブだってのに‥

随分呑気だな〜。」

 

昼休み、穂乃果はランチパックを

食べながら言う。

穂乃果の家は和菓子屋なので

パンなどの洋食が珍しいらしいのだ。

俺は学食の予定だったが

穂乃果のパン見てたらパンが食べたくなったので

焼きそばパンとメロンパン、

そしてプレーンシュガーのドーナツを買った。

 

ここの学食は意外と種類が豊富なことに驚いた。

まさか原作の主人公の好きな

食べ物が置いてあるなんてなー。

食堂の人もオカマ口調の人で

 

「今日の新作よ〜☆」

 

などと言ってきたが俺は

プレーンシュガーがあったので迷わずそれを選んだ。

 

しかし本当呑気だなぁ‥‥。

海未を見なさい。

緊張でガッチガチに震えてるじゃないか。

 

 

「お客さんを野菜‥‥お客さんを野菜‥‥

‥‥‥‥‥あ、ポテト‥‥‥」

 

まだ野菜のやつ考えてたのか。

自分の弁当のポテトを見つめながら

ボソボソ呟く海未。

 

「振り付けとかも完璧に覚えたから大丈夫だよ!

後はライブの前に合わせるだけっ!」

 

「その前に講堂で新入生歓迎会があるよ

穂乃果ちゃん。」

 

穂乃果が元気に言うと隣で可愛らしいお弁当を

食べることりが言ってきた。

ことりの言う通り、今日は新入生歓迎会がある。

数少ない1年生を部活に誘うべく

生徒の皆は準備などをしていた。

俺もいくつか誘われたんだけど

μ'sもあるし断った。

それに比べて海未はすごいよな‥

ライブの練習と弓道部を掛け持ちでやってるらしい。

だが昨日、放課後のダンスの練習に弓道部で

遅れる海未を呼びに迎えに行ったら

見てしまった。

 

ラブアローシュートをしている海未を‥‥

 

何かまずいものを見た気がするので

俺は心の中にそれをしまいこんだ。

 

 

 

ーーーー

 

少し早く食べ終わったので残りの時間は

学校の中をブラブラと歩いていた。

 

「‥‥ほとんど空き教室だな‥」

 

生徒が少ないせいか、空き教室が

ちらほらと見る俺。

人が少ないのは前の俺にとって

ありがたかったかもしれない。でも、

なぜかこちらに来てから

それがどこか寂しいと思う自分がいた。

 

「もっと賑やかなだったらなぁ‥」

 

そう考えていると廊下の掲示板に

目がいった。部活の誘いや学校の情報、

そして、μ's勧誘の貼り紙もあった。

手書き全開だなこれ、

そう思っていると少し離れた所に

女の子がこちらを見るなり

距離をとろうとしている。

なんだ?邪魔か俺‥?

 

「あ、あのー、俺、邪魔だった?」

 

意を決して俺はその子に話しかけた。

メガネをしたどこか弱々しい彼女は

首を横に大きく振って答えた。

 

「い、いえ‥大‥丈夫‥です‥‥‥」

 

あー‥きっと女子校に男子がいるのに

戸惑ってるんだろうな。

声のトーンが下がりながら言う彼女は

μ'sの貼り紙に視線を向けた。

 

「‥ライブ、好きなの?」

 

「えっ?‥えっと‥その‥‥はい。」

 

もう1度 話しかけた俺に驚きながらも頷く彼女。

 

 

「今日この子たちが講堂でライブをするからさ、

よかったら見に来てくれない?」

 

「‥‥あ、‥はい‥見に‥行きます‥」

 

コミュ障なのか‥?

分かるぜ〜って言っても俺は

別に人と喋れない訳じゃない。

バイト先でも何なく喋れたしな。

 

「かーよちーんっ!」

 

すると遠くからボーイッシュな髪型の

穂乃果と同じくらい元気の良さそうな女の子が

こちらに向かって走ってきた。

 

「かよちん探したよーっ。こんな所に‥‥」

 

その子は俺の顔を見て動きが止まる。

 

「か、かよちん!ナンパされてたの⁉︎」

 

「へ?」

 

ちょっとマテーイ。

確かに喋りかけたのは俺だが

そんな気持ちは微塵も感じてなかったぞー。

 

「きっと強引に話しかけてナンパしようとしてるにゃ!

かよちんに近付かないで下さい!」

 

おぉ‥すごい言われようだ。

かなり勘違いをしてるねこの子‥‥

 

「り、凛ちゃん‥ち、ちが‥‥‥」

 

「大丈夫だからね、かよちん!

かよちんは凛が守るにゃ!」

 

喋らせてあげろよ。

でもこの子、友達想いなんだな。

 

「‥‥すまない、そんな気持ちで

話しかけたつもりはなかったんだ。」

 

俺は謝ることにした。反論したら

ギャーギャー言われそうなので。

 

「わ、分かればいいにゃ!今後気をつけるにゃよ!」

 

腰に手を当て言い張る短髪の彼女。

 

「気をつけるよ、あ、最後だけ言わせてくれ。

えぇっと‥名前は‥」

 

「わ、私、小泉 花陽‥‥です。」

 

「凛は星空凛にゃっ!」

 

おめぇも名乗るんかい。

 

口に出してツッコミそうにしそうになった俺は

ぐっとこらえた。

 

「俺は2年生の操真晴希だ。

さっきの話、考えといてな。」

 

 

俺はそう言ってその場を後にした。

あの2人‥‥どこかで見たような‥‥

んー、最近物忘れが激しいなぁ‥

 

 

 

「かよちん?さっきの話ってなんにゃ?」

 

「な、なんでもないよ。」

 

彼女は手に取ったライブの貼り紙を後ろに隠し

2人もその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

『‥‥‥これで、新入生歓迎会を終わります。

各部活も、体験入部を行っているので、

興味があったら、どんどん覗いてみてください。』

 

 

講堂の前に立つ金髪の3年生、そして生徒会長でもある、

綾瀬絵里は一礼をし、隣の副会長の、東條希とともに

その場から下りた。

 

授業も終わり、もう夕方になる時間帯。

生徒達は1年生を部活に誘う為に

大忙し。

 

そしてその中に、

 

 

 

「お願いしまーす!

この後午後4時から講堂でライブやりまーす!」

 

「是非、来てくださーい!」

 

「午後4時からです!よろしくお願いします!」

 

穂乃果、海未、ことりは生徒達を勧誘すべく

チラシ配りに一生懸命だった。

 

因みに俺も手伝ったんだが、

 

「なんで晴希君すぐなくなるの⁉︎」

 

俺はチラシを数分ぐらいで配り終えた。

皆受け取ってくれたがチラシより俺の顔見て

受け取ってたな‥何かついてる?

俺はコネクトリングでベルトにかざし、

魔法陣から家の手鏡を取り出し、顔をチェックした。

 

「晴希さん!こんな所で魔法使わないでください!」

 

怒られちゃった。

 

「やっぱり晴希君かっこいいからかな〜。」

 

く、また幻聴が聞こえるぜ。

 

 

「さて、配り終えたから‥」

 

俺は辺りを見回し、その場から去ろうとした。

 

「晴希君?どこ行くの?」

 

「トイレっす。」

 

「おぉうっ。行ってらっしゃい!」

 

聞いたらまずかったかな、みたいな顔で

チラシ配りに戻る穂乃果。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

穂乃果Part

 

 

「手伝っだってくれるの⁉︎」

 

「リハーサルとかしたいでしょ?」

 

「私達も、学校無くなるの嫌だし。」

 

「穂乃果達には、上手くいってほしいって思ってるから。」

 

「みんな‥‥‥‥」

 

私は凄く嬉しかった‥

この子たちは穂乃果のクラスメート、

ショートヘアのヒデコ、ポニーテールのフミコ、2人より

背が低くて髪を縛っているミカの3人!

私がライブをやると決めたとき

応援すると言ってたけどまさか照明や音響、

ビラ配りを手伝ってくれる

とっても頼りになる友達なんだ!

 

「講堂の準備は私達に任せて、穂乃果は

ビラ配りに行ってきなよっ。」

 

ミカがグッと拳にチカラを入れて

私はそれに笑顔で応えた。

 

 

 

 

そして、今ビラ配りをしているとこ!

晴希君すごいよっ。

もう配り終えちゃったんだもん!

配り終えて今はトイレに行っちゃった。

でも皆、晴希君の顔ばかり見てた。

 

「あ、あの。」

 

何故か不機嫌になる私の後ろから

突然声を掛けられた。

振り向くとそこに顔見知りの人物が立っていた。

 

「あ!君はこないだの!」

 

メガネをかけた女の子、

1年生の小泉花陽が立っていた。

 

「えっと‥その‥」

 

モジモジしながら私を見る花陽ちゃん。

 

「ライブ‥見に行きますので‥

頑張ってください‥」

 

「え⁉︎来てくれるの⁉︎」

 

凄く嬉しかった。

ライブ見に来ます、って言ってくれるなんて

思いもしなかったから。

 

だから、物凄く頑張れる気がした。

 

 

「絶対だよ⁉︎私達も頑張るから!」

 

そう言ったら恥ずかしがってどこか行っちゃった。

 

彼女の気持ちに応える為、私はさっきより大きな

声でチラシ配りを再開した。

 

 

 

 

そして、ライブ間近。

 

 

 

「うわぁああ‥‥!」

 

私は控え室で衣装に着替え鏡の前に立った。

凄く可愛いっ‼︎

本物のアイドルみたい‼︎

晴希君もこの姿見たら喜んでくれるかな?

 

 

「可愛いよことりちゃん!どぉ、どお?」

 

隣のことりに意見を聞いてみた。

ピンクをベースにした穂乃果の衣装。

対してことりは黄緑をベースにした衣装。

 

ことりちゃんも凄く可愛いっ!

 

「うんっ!とっても似合ってるよ!」

 

自分が作った衣装で喜んでくれてるのが嬉しいのか

すごく笑顔で答えてくれることり。

 

「海未ちゃんはーっ?」

 

先ほどから着替えが完了していない海未ちゃんは

はい〜っとカーテンをもぞもぞ動かしながら答える。

 

「もー、私達しかいないんだから、

早く着替えちゃいなよーっ。」

 

裸の付き合いもした仲なんだから

隠れる必要ないと思うけどなぁ‥

あ、付き合いと言ってもお風呂だよ。

 

そしてカーテンを開けた海未は

水色をベースにした衣装と共に出てくる。

 

 

 

「「おぉお〜〜〜っ‼︎‥‥‥え?」」

 

 

あれ?なんか足が赤いジャージで‥

 

 

 

「ど、どうでしょうか?」

 

 

誤魔化すためなのか笑顔でポーズを取る海未。

 

「どうでしょうかじゃないよっ‼︎

何この往生際の悪さはっ⁉︎」

 

私は海未ちゃんのスカートをめくり上げ

その下に履いているジャージを見た。

 

「さっきの頑張ってた海未ちゃんはどこに行ったの⁉︎」

 

「あの‥‥その‥‥‥か‥」

 

「か?」

 

海未は横の立てかけてる鏡を見つめた。

 

「鏡を見たら‥急に‥‥」

 

もぉ!じれったいな!

 

「えぇえいっ‼︎」

 

穂乃果は海未のジャージを勢いよく脱がした。

 

「いやぁぁぁぁっっ‼︎」

 

股を隠すように悲鳴をあげる海未。

 

「隠してどうするの?スカート履いてるのにっ。」

 

「で、ですがぁ!」

 

「海未ちゃんっ。可愛いよっ。」

 

私は海未ちゃんの手を引っ張り鏡の前に立たせた。

 

「ほらほら!海未ちゃんが一番似合ってるんじゃない?」

 

 

「えぇ‥‥ですが‥‥」

 

「それに、どぉ?こうして並んで立っちゃえば、

恥ずかしくないでしょ?」

 

私はことりちゃんと一緒に海未ちゃんと並んでみた。

海未もゆっくりと前を向いて立つ。

 

「は、はい‥確かにこうしていれば‥‥」

 

チラッと横を見る海未。

 

「(うぅ‥‥やっぱりはずかしいです‥‥‥)」

 

「さっ!もう1度リハーサルしよう!」

 

「うんっ!」

 

「は、はいっ。」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「あーっ‥いちいちこっちまで来るのめんどくさいなぁ‥」

 

 

俺は少し離れた所の来客用のトイレで用を済ませた。

ここしか男子トイレがないからである。

 

「おっと、そろそろライブが始まる時間だな‥」

 

スマホの時計を見るとあと数分で始まる時間だった。

急がないと‥

俺は駆け出すと横の渡り廊下から2人の女の子が

横切った。

 

「誰か助けてぇ〜〜〜っ⁉︎」

 

あれは‥小泉花陽、それと星空凛‥

 

花陽は凛に手を掴まれどこか連れて行かれていた。

花陽の手にはライブのチラシが握られていた。

そっちは運動部の‥なるほど。

 

「おい!待て2人ともっ。」

 

 

俺は少し遅れることを覚悟して2人に話しかけた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

『スクールアイドル!μ'sのファーストライブは間も無くでーす!

ご覧になられる方はお急ぎくださーい!』

 

アナウンスが聞こえる講堂の方角を

金髪の少女、綾瀬絵里は見つめていた。

 

「‥‥。」

 

「気になるん?」

 

絵里に声をかけたのは紫の髪の女の子、東條希だった。

 

「希‥‥」

 

「ウチはかえろーかな?」

 

関西弁で喋る希は、

そう言って自分のスクールバッグを持ち、

生徒会室を出た。

そして、再度窓から講堂を見つめ、絵里も

自分のスクールバッグを持ち、生徒会室を出た。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「いよいよだね‥‥‥」

 

 

リハーサルを終え、

講堂の幕が降りてる中、

穂乃果、海未、ことりは

並んで幕が上がるのを待っていた。

 

「うん‥!」

 

「っ‥‥うぅ‥!」

 

ことりは力強く頷くが海未は

やはり緊張しているのか震えが止まらなかった。

そこへ穂乃果は震えている手を優しく掴む。

 

「大丈夫!私達がついてるよ!」

 

「穂乃果‥‥」

 

落ち着きを取り戻したのか海未は震えが収まる。

 

「でも、こんな時なんて言えばいいのかな?」

 

ことりが首を傾げて訪ねてきた。

 

「μ's‼︎ファイッ!オーッ!」

 

「それでは運動部みたいですよ?」

 

「あはは、だよね。」

 

んー と考える穂乃果。そして、

 

「あ、思い出したっ。番号を言うんだよ

皆んなで!」

 

「あ、それ面白そう!」

 

賛成したのか海未も頷く。

 

「よぉし! じゃあ行くよ〜っ!

1!」

 

「2!」

 

「3!」

 

穂乃果、ことり、海未の順番でそれぞれ番号をあげる。

それが面白かったのか3人は笑い出す。

この場には3人だけどあと1人、メンバーがいる。

それが今、この幕の向こう側にいる。

 

 

「最高のライブにしよう!」

 

「うんっ!」

 

「もちろんです!」

 

そして、開始のブザーが鳴り、

幕がゆっくりと開かれていく。

 

 

穂乃果達は完全に開かれるまで

目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

最高のライブ‥私のファーストライブ!!

 

 

 

 

決意した穂乃果達は

目を開け、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もいない観客席を見た。

 

 

 

 

ヒデコ、フミコ、ミサを除いて、

そこには誰もいない、

ただ、ただ、

静かな空間が広がっていた

 

 

晴希君も、あの1年生も

そこにはいなかった。

 

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

「‥‥‥穂乃果ちゃん‥‥」

 

「穂乃果‥‥」

 

涙目になる2人は穂乃果を見る。

今、穂乃果の頭にはこの日の為に

練習してきた日が走馬灯のように

頭の中を過ぎった。

 

『穂乃果!腕をもっとあげてください!』

 

『こう?』

 

『もっとビシッとやった方がいいんじゃないかな?』

 

『‥完全に◯竜拳‥‥‥』

 

『そこ!笑わないでください!』

 

 

『あはははっ』

 

 

 

 

 

そして意識は現実に戻る。

 

ヒデコ、フミコ、ミサもこの状況でかける言葉もなく

ただ彼女たちを見つめるだけだった。

 

「っ‥‥‥そりゃそうだ!」

 

穂乃果は涙をこらえ、俯いてた顔を上げて言う。

 

「世の中、そんなに甘くない!」

 

海未、ことりが見つめる中

必死に笑顔を見せる穂乃果。

 

せめて晴希君だけでも私達の想いを‥

このライブを見せたかった。

 

そう思いながら穂乃果は溜まってた

涙を出そうとした

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「踊れっ‼︎ 穂乃果!ことり!海未っ!」

 

 

 

穂乃果が涙を出そうと瞬間、

聞き覚えのある声に講堂にいる皆は出入り口を見る。

そこには走ってきたのか

息を切らせながら叫ぶ晴希と

腕を掴んで引っ張ってきた1年生、花陽の姿があった。

 

 

「晴‥希君‥‥花陽ちゃん‥‥」

 

 

 

 

「観客は俺たちだ!見せてくれ!お前の‥

 

お前達のファーストライブをっ‼︎」

 

 

必死に叫ぶ晴希。

そして穂乃果は決意し、一歩前に

足を踏み出した。

 

 

 

「やろう!全力で‼︎」

 

「穂乃果‥‥?」

 

「穂乃果ちゃん‥‥?」

 

「だって!‥その為に今日まで

練習してきたんだ!

だから、歌おうっ‼︎」

 

 

強いその言葉に海未、ことりも

頷き合い、一歩前に出る。

 

 

「見せてくれ‥お前達の希望を‥‥」

 

俺は隣の花陽と穂乃果達を見守り、

曲が流れ出す。

 

 

μ's、ファーストライブ。

 

曲名は START:DASH‼︎

 

 

 

 

踊りだす3人に夢中に見る花陽。

 

後を追っかけてきて一緒に見る凛。

 

それに続くようにおそるおそる入ってくる

赤い髪の女の子。

 

逆の方からこそこそと入ってきた

ツインテールの女の子。

 

さっきちらりと見えたが

講堂の前に立っていた生徒会副会長の東條希。

 

音響室でライブを見る生徒会長、綾瀬絵里。

 

 

そして手伝ってくれた

ヒデコ、フミコ、ミカ と、

おまけで3匹の使い魔。

 

なんだ‥ちゃんといるじゃないか‥

 

俺は一緒に練習した彼女達のライブを見届けた

 

 

 

ーー

 

 

 

曲が終わり、今いるメンバーで

彼女達に精一杯の拍手を送った。

 

「やったな、穂乃果。」

 

穂乃果はこちらを見て、

息を切らせながらも笑顔でVサインをした。

 

 

「で、どうするつもり?」

 

拍手が終わると同時に

1人の少女が階段を下りてきて

穂乃果達に問い掛けた。

 

「生徒会長‥」

 

穂乃果と生徒会長、絵里はお互いを見つめながら

穂乃果は口を開いた。

 

「続けます。」

 

 

「なぜ?これ以上続けても、

意味があるとはとても思えないけど?」

 

確かに彼女の言う通りかもしれない。

この調子で続けても、

大抵の女の子は挫折するかもしれない。

 

だけど、俺は確信してる。

 

穂乃果は1度、絶望の淵から

戻ることができた子だ。

あの子の想いは人一倍に強いはずだ。

 

あの子は‥強い

 

 

 

「やりたいからです。

今、私もっともっと歌いたい、

踊りたいって思ってます。

きっと‥海未ちゃんもことりちゃんも

こんな気持ち、初めてなんです!

やってよかったって本気で思えたんです!

今はこの気持ちを信じたい‥

このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない‥

応援なんて全然もらえないかもしれない‥

でも、一生懸命頑張って、私達がとにかく頑張って

この想いを届けたい!今、私達がここにいる

この想い、希望を!」

 

穂乃果はそこで区切り、胸に手を当てる。

 

 

 

「いつか‥いつか‥

 

私、必ず‥‥

 

ここを満員にしてみせます‼︎」

 

 

彼女はそう宣言した。

 

 

 

 

ーー

 

 

「完敗からのSTARTか‥‥

それにあの晴希君って子‥

この先の‥彼女達の重要な存在になるやろうね‥」

 

 

講堂の外にいた希はそう呟き、

その場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

 

 

「へ、変身しちゃったのぉ⁉︎」

「ゔぇええっ⁉︎」

「か、かっこいいにゃ!」

 

目の前で変身する晴希に驚く1年生

 

 

 

「見せてやる!新しい姿!」

 

《ハリケーン・プリーズ》

 

赤から緑に変わるウィザード、

その実力は?

 

「私も‥‥魔法が‥使えたら‥‥

もっと積極的に‥‥」

 

絵本を見つめながら呟く花陽。

 

 

 

第4話 自信のない少女の夢




よしよし、ライブは終わらせたぜよ。

お次は1年生グループ加入編だー!( ゚д゚)

今回は戦いは前半だけです(>_<)
見ていただいた方、感想などお待ちしております(^^)

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