ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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指輪紹介ー!( ゚д゚)


シャドウリング

藍崎秀夜が神からもらったオリジナルリング。
(SSの回で受け取ったものです。)
使うと自身とほぼ同じ強さのコピーを
呼び出すことができる。コピーリングとは違い
複数は無理だが単独で動くことができ、
命令すればそれを聞いて行動する。
ただ、数回ダメージをくらえば消えるのが難点。

秀夜「こいつは使える。
命令すれば動いてくれるからな。」

ほほう、まさか秀夜君がコメントするとは
( ゚д゚)

秀夜「黙れカス」


作者さんは256の精神ダメージをくらった。


第21話 ことりのワンダーゾーン

「夏休み前で1年だけだけど!

‥‥1年だけとか短いけど、

皆んなよろしくなー!」

 

 

教室の教卓の前でまぁ元気よく挨拶するのは

前回ファントムのマンティコアの戦いに

巻き込まれたゲート、って思っていたが

実は魔法使いだった。

魔法使いビースト、そして3人目の転生者。

その名は二藤攻大。

彼は18歳。3年生へ編入したのだ。

 

 

 

「新しい男子生徒よ!」

 

「うはー、凄いテンション上がるんだけど!」

 

「でも晴希君の方がかっこいいかな〜。」

 

 

 

クラスの女子達はそれぞれ攻大の

評価や感想を述べていた。

 

 

 

「ハラショーやね、えりち。」

 

「希、私の言葉とらないでよっ。

‥‥でも驚いたわ。

また男子生徒が編入してくるなんて。」

 

 

3年と言えばこの2人。

東條希と絢瀬絵里は攻大を見るなり

そんな会話をしていた。

因みに矢澤にこは別クラスです。

 

 

「よろしくね攻大君。

じゃあ君の席は‥」

 

「先生ー、隣空いてまーすっ。」

 

「ちょ、ちょっと希っ。」

 

担任が席を探してると希は手を上げて

そう答えた。

 

 

「おお!いいのか!?ありがとうっ!」

 

攻大はテンションを上げて

絵里の隣、希の後ろへの席へ座る。

 

 

 

「ええんよ。あ、自己紹介まだやったね。

うち、東條‥」

 

「あーわかってる!皆まで言わなくていい!

東條希ちゃんと絢瀬絵里ちゃん!だろ!」

 

 

「おぉ、びっくりや。

ウチらの名前知ってるんやな。」

 

「な、何で私達の名前を‥‥?」

 

希と絵里がそう言うと攻大は へへんと

自慢気にこう答えた。

 

 

 

 

 

 

「一応アニメで見‥‥んんっ!

だって俺は、魔法使いだからなっ。」

 

 

 

 

 

「‥‥えええぇぇぇぇぇっっ!!?」

 

 

「‥‥ふふ、これで揃ったんやな。」

 

授業が始まるのに、攻大の発言に

絵里は他の教室に聞こえるほどの声をだし、

この後恥ずかしい思いをしたのでした。

 

希は1枚のカードを取り出し、ニコリと

笑ってそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

放課後にて。

 

 

 

「いやー!広くなった部室を見ると

やっぱ達成感あるよねー!」

 

「まだ達成してないだろ。」

 

 

高坂穂乃果は広い部室で

座りながら足を大きく伸ばしてそう言っていた。

なぜ広い部室が出来たかというと

南理事長が屋上では雨の日の

練習はできないだろうと空き部屋を

俺こと操真晴希、そしてμ'sの皆んなと

掃除して使わせてくれたのだ。

理事長ありがとうーー!

 

「この調子でラブライブも

優勝できるんじゃないかな!」

 

「にゃー!絶対優勝するにゃーっ!」

 

「ゆ、優勝‥‥もしできたら‥ふぁあ‥!」

 

 

 

 

「安心してる場合じゃないわよ。」

 

 

穂乃果に続き、1年の星空凛、小泉花陽が

目を輝かせていると3年生の絵里が入ってきた。

 

 

「あ、絵里先輩。」

 

「お疲れ様です☆」

 

浮かれすぎてぐでーっとしてる穂乃果を

見ていた園田海未と南ことりは絵里に気付いて

挨拶をする。

 

 

 

「お疲れ皆んな、それより穂乃果。

生徒が入ってこないかぎり、廃校の可能性は

まだあるんだから、浮かれるのはまだ早いわよ。」

 

 

「‥‥‥!」

 

 

絵里が真面目に注意してると隣の海未は

なぜか肩を震わせて泣いていた。

 

「う、海未?」

 

「嬉しいです‥!‥まともな事を

言ってくれる人がやっと入ってくれました!」

 

 

 

「それじゃあ凛達

まともじゃないみたいだけどー?」

 

 

「え、凛はまともだったのか?」

 

「シャーッ!」

 

ジト目で海未につっこむ凛に俺はおふざけで

呟くと猫みたいに威嚇された。

 

すると、

 

 

 

 

 

「おおぉ!ここが部室かぁ〜っ!!」

 

 

 

かなりハイテンションで入ってきたのは

魔法使いビーストの攻大だ。

そしてその後ろから希も部室に入ってきた。

 

 

「あ、えーと攻大君と、希さんっ。」

 

「ライオン先輩にゃ。」

 

「こ、こんにちは‥」

 

 

「おぉ!穂乃果ちゃん、凛ちゃん

花陽ちゃん!やっぱ可愛いねー!おっす!」

 

 

かなりのテンションとさりげなく褒める

攻大に若干顔が引きつる絵里と海未。

で、褒められた3人は顔を赤く染めていた。

まぁ可愛いのは事実だけどよ。

 

 

「ん?何だお前もいるのかよっ。」

 

 

「‥いたら悪いか?マヨネーズ。」

 

 

攻大は俺に気づくと邪魔の様な目で見てくる。

そしてさりげなくマヨネーズ呼ばわりすると

攻大は眉をピクリと動かした。

 

 

「俺はマヨネーズじゃない!二藤攻大だ!」

 

「マヨネーズ大好きのマヨラーだろ。

お前のせいで穂乃果とことりが大変だったんだぞ。」

 

 

そう、今日の昼休み。

俺はμ'sの2年組といつも通りに

昼飯を食べていたのだが、穂乃果とことりの

手元に何故かマヨネーズがあったんだ。

そしてそれを弁当やパンにぶっかけた‥‥。

海未から聞いた話だと元凶はこのマヨラーだと

言っていたので俺はこいつを

マヨラーと呼んでるわけだ。

 

「えー、晴希君マヨネーズ結構美味しいんだよ?」

 

「うんうんっ☆」

 

「やめとけ、かけすぎは身体に悪いぞ。」

 

穂乃果の言葉にことりは頷く。

流石にあの量を見てたらこっちも

吐き気がするんでな‥‥‥。

 

 

「え、えっと‥こ、攻大先輩。

先輩はどうして魔法使いに‥‥?

晴希さんと同じ凄い人からもらった力なんですか?」

 

ふと、珍しく花陽が攻大に質問していた。

それはμ'sの皆んなもそうだった。

俺はこいつが転生者と分かった時点で

神様から貰った力なんだろうが、

攻大が言った言葉は、全然予想外な言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、この力は外国の

とある遺跡で手にした力なんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「遺跡‥ですか?」

 

「へぇ!なんかかっこいいね!」

 

「だから、古の魔法使いなんて呼ばれてたんだね。☆」

 

 

海未、穂乃果、ことりの順番で答え、残りのμ'sも

驚いているが、1番驚いてるのは俺だった。

 

 

「ちょ、‥‥‥ちょっと来い!」

 

 

「は?お、おい!なんだよ!?」

 

俺は攻大の肩を持って部室の隅へ連れて行く。

そして小声で攻大にしゃべる。

 

 

「お前、神様から貰った力じゃないのか?」

 

「え?あーっ。分かった分かった。

お前の言いたい事はよーく分かる。」

 

攻大も小声でそう言うが

いちいちその言い方にカチンときて

攻大の肩を強く握る。

 

 

 

「こっちは真面目に聞いてるんだっ!」

 

 

 

「いてて痛い!?分かった分かった!

‥‥本当は神のおっちゃんが何か力を

くれようとしてたんだけど

俺はそれを拒んだんだよ。」

 

 

「え?‥‥拒んだ‥‥?どうゆうこと?」

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、2人とも何の話してるの?」

 

俺が攻大に聞こうとすると背後から

穂乃果と凛が近寄ってきた。

すると攻大は俺の手を振り払って

背後を振り返る。

 

 

「いやいやなんでもないっ。

こいつが俺の力に嫉妬してんだよ。」

 

 

「は?いや、誰もそんな事言ってない‥」

 

「分かってる!皆まで言わなくていい!

だが俺はもっと嫉妬させちまうことを

これから言ってしまうぜ。」

 

 

「‥どうゆうこと?」

 

攻大の言葉に絵里は首をかしげる。

すると攻大は全体を見渡せる所まで下がり

左手の親指を自身にあてた。

てか、話の途中だったのに‥‥

まぁまた改めて聞くか‥。

 

 

 

 

 

 

 

「俺も!μ'sのサポートとして入るぜ!」

 

 

 

「あ、うん!いいよ!よろしくね攻大君!」

 

 

 

「受け入れ早いわ!?」

 

攻大が言った瞬間あっさりと

穂乃果は受け入れたので俺は

漫才の様に穂乃果をつっこんだ。

急な展開で残りのメンバーも困惑するが

 

 

 

「うんっ、ウチは歓迎やで。

こうっち中々面白い子やし。」

 

 

「マジ?いやーさすが希ちゃん!

‥‥ん?こうっち?」

 

 

さすがにその呼び方は俺も反応した。

攻大だからこうっちなのか?

 

 

「うんっ、攻大だからこうっち。

ええやろ?」

 

 

「うおぉぉ!全然いいよっ!

なんか嬉しいぜっ!」

 

 

おれが思ってたまんまの通りに

攻大は喜ぶ。そう言えば、

絵里先輩とにこも

えりちとにこっちで呼んでたっけ。

 

 

「あはは、海未ちゃん達はいいよね?」

 

 

「まぁ、穂乃果がそう言うなら‥。」

 

「私もいいよ☆」

 

「凛も賛成ー!」

 

「わ、私も賑やかになりそうなので‥。」

 

穂乃果が聞くと海未、ことり、凛、花陽で答え、

攻大は俺に近寄ってくる。

 

 

「サンキュー!皆んなよろしくなっ!

‥‥とゆうわけで、俺もμ'sに入る!

お前だけおいしい思いさせねーっつうの!」

 

 

「いや‥‥もうさっきからなに‥‥、

あ、いや、なんでもない。

まぁよろしくな。」

 

攻大は俺に人差し指を向けてそう言ってくる。

正直めんどくさくなって

反発するのを俺はやめ、加入を受け入れた。

すると、絵里が手をパンパンと叩いて

皆の視線を集める。

 

 

「話は決まったわね?

私も攻大君の加入に異論はないわ。よろしくね。

さぁ皆んな、さっそく練習始めるわよ。」

 

 

さすが絵里先輩。海未のように

しっかりとまとめ役をこなしている。すると

 

 

「あ、ごめんなさい‥‥。私ちょっと‥」

 

「ん?どうかしたのか、ことり?」

 

早速練習を始めようと皆んな意気込みを入れる中

ことりは手を上げて困り顔で言ってきた。

 

「今日はこれで!」

 

 

 

ことりはそう言って身支度をして

部室を少し急気味で飛び出していった。

 

 

 

「あ、ことり。」

 

「先輩。」

 

 

「あ、にこちゃん、真姫ちゃん。

お疲れ様〜っ。」

 

部室からことりの姿を皆で覗くと

廊下で矢澤にこと西木野真姫が一緒に来ており

その横をことりは軽く挨拶して通りすぎた。

 

 

 

「どうしたんだろ?ことりちゃん、

最近早く帰るね‥‥?」

 

 

穂乃果は部室に戻って座り込み

そう呟いた。確かに最近帰るのが早い。

 

 

「ん〜‥‥。」

 

すると攻大は口に手を当て

何やら考え事をしていた。

 

「どうした?」

 

 

「なんかあった気がするんだけどな〜‥。

あ、それより練習だろ!?ここで着替えるの

なら俺は隅っこで待っとくから ぶほっ!?」

 

「え?隅っこ?」

 

「はいはい、俺たちは別の空き教室で

着替えよーなー。体操服ぐらい持ってるだろー?」

 

攻大の発言に花陽は首をかしげるが

皆が気付く前に俺は攻大の

頬を掴んで耳を引っ張り

部室から無理矢理連れ出した。

こいつ‥変態だったか‥‥。

加入させたのを間違えたかも‥。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

音ノ木坂学院屋上にて。

 

 

 

「いでででで!?いたいたいいたい!!

おまっ、もう少し優しくっ!?」

 

「お前固すぎ、よくこんなんで

加入するって言ってきたな。」

 

「だって!μ'sと練習っつっても

俺はてっきり見るだけかと‥あだ!?」

 

「見るだけって‥お前何で加入したんだよ。」

 

「え、癒しの時間っ 」

 

「くたばれ。」

 

穂乃果達が練習してる中

俺は攻大とストレッチをしていたが

まぁこいつが身体が固いの何の。

俺はバキバキと攻大の骨を鳴らしながら

彼のストレッチを手伝ってあげてた。

 

 

 

「‥なんか、晴希先輩。少し嬉しそうだね。」

 

「にゃ?」

 

「嬉しそう?どこが?」

 

その様子を休憩していた花陽、真姫、凛、希が

柵越しに見ていた。

花陽が呟いて凛と真姫が首を傾げていると

希がふふっと笑い出す。

 

「そうやね、ずっと晴希君1人だったから

まともに練習相手がいなかったのも

あるやろうし。」

 

 

希の言う通り、晴希は音ノ木坂でただ1人の

男子生徒。最初は緊張しまくりで

穂乃果達以外の女子とはまともに喋れないし、

μ'sと練習をする時は大抵1人で

ストレッチをしてるし、

体育の時間では別で先生と

授業をしていた。女子と混ざってするのは

何回かあるだけで一緒にやってると

色々と目が向いてしまう、との事で

晴希は先生にお願いしたらしい。

 

そんな晴希も徐々に慣れてきたがやはり

男子生徒1人だけだと寂しかったのか

攻大のストレッチに若干嬉しそうにやっている。

 

 

 

「くそ‥ストレッチするなら

μ'sの誰かとしたかったぜ‥あばっ!?」

 

「あ、ごめんw相手が俺で悪かったな〜。」

 

 

 

 

 

「‥‥とても仲良さそうには見えないけど。」

 

「そ、そうかな〜。」

 

晴希と攻大のやりとりを見て

真姫はそう言って花陽は苦笑した。

 

 

 

 

 

 

 

「ふわわわっ!?海未ちゃん!

すごいよーっ!?」

 

一方穂乃果は休憩がてら自分の持ってきた

ノートパソコンでスクールアイドルの

サイトを見ているが突然 海未とを呼ぶ。

 

「ランキング25ですか!?」

 

表示されてるランキングを見て海未は驚く。

ご察しの通り、今μ'sのランキングは25位。

ラブライブ!の出場条件は20位以内から。

つまり‥‥。

 

 

「あと5位で出場できるよ!やったー!」

 

 

「そうですねっ、絵里先輩が加わった事で

女性ファンも増えてきましたし。」

 

穂乃果が喜んでいると海未は背後にいる

絵里を見てそう言って穂乃果も絵里を見る。

 

 

「確かに‥‥背も高いし、美人だし、

何より大人っぽい!さすが3年生!」

 

「や、やめてよ‥‥‥。」

 

ジロジロと見られて恥ずかしいのか

絵里は頬を赤く染めてそっぽを向く。

そのやり取りは俺と攻大も見ていた。

 

 

「なぁ、絵里ちゃんって本当美人だよな。」

 

「‥‥確かに、アレは女性ファンがついても

おかしくないな。」

 

ストレッチを終えて

攻大の言葉に俺は反応した次に

にこへと視線を2人は向けた。

それは穂乃果と海未もだった。

 

 

「‥‥‥ん?‥何?」

 

 

「いや〜‥‥‥。」

 

自分を見ている穂乃果を見てジト目で

聞くと穂乃果は苦笑する。

 

 

「にこちゃんは‥‥‥‥、

まぁ可愛い!」

 

「にこ‥‥‥‥‥、

ドンマイ。」

 

 

「ちょっと!?何でこんな時だけ

アンタ達 意気投合してんのよ!?」

 

言われてみれば

攻大と俺は同時にため息を吐いていた。

それに気付いた にこがプンスカと怒る。

 

 

 

「本当に綺麗だねーっ!よし、

ダイエットだよっ!」

 

 

「穂乃果それ聞き飽きた。

何回同じ事言ってんだよ。」

 

 

絵里を見て穂乃果はそう言って目を輝かすが、

ダイエットと言う言葉はまだμ'sが3人の時から

ずっと言っているのだ。

しかもダイエットしてるとこは見たことない。

むしろパンの食べ過ぎで増えてる気が‥‥。

 

 

「晴希君、今、失礼なこと考えた?」

 

 

「イヤー、ベツニ?」

 

 

 

「穂乃果ちゃんダイエットとか言って

してないだろー?だから少し太r」

 

「っ! とうっ!」

 

「アベっ!!」

 

隣の攻大が言いかけた瞬間、

穂乃果は飲み終えたペットボトルを

攻大の顔面にぶつけて倒れる。

穂乃果は顔を赤くしながら

そっぽを向き、怒っていた。

‥‥こいつはバカか。

 

 

 

「でも、ここからが大変よ。」

 

 

そんなやり取りをしてると突然真姫が

口を動かし、皆の注目を浴びる。

 

 

「上に行けば行くほど、ファンも沢山いる。」

 

 

「あ〜‥‥そうだよねぇ‥。

20位か〜‥‥。」

 

真姫の言葉に怒ってた穂乃果は冷静になり

そう言って顎に手を置く。

μ'sのランキング上昇は本当に予想してないほど

急上昇に上がっていった。

ランキングが上がればそれだけファンが増えて

もしかしたら、A−RISEみたいになるかも‥。

いや、それは考えすぎか‥。

 

 

「あと5位まで上り詰めるには、

何か思い切った手が必要かしら‥‥。」

 

 

皆が考えこむ中、絵里がそう言って

メンバーを見渡す。あと5位くらいなら

ほっといても上がりそうだけど、

まあ念の為ってやつかな‥‥。

そう思いながら俺も考えていると。

 

 

 

「その前に、しなきゃ

いけない事があるんじゃない?」

 

 

「「「「「「「「え?」」」」」」」」

 

 

 

にこがそう言って座ってた身体を起こす。

何かしてない事なんてあっただろうか‥?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

秋葉原、街中にて。

 

 

 

 

 

 

「あの〜、凄く暑いんですが‥‥。」

 

 

穂乃果が呟く。

さて、突然だが目の前に8人の不審者がいます。

 

 

こんな暑い中、黒いコートにマスク、グラサン、

突然にこがこれ着て街の方へ行くと言い出して

穂乃果達は訳がわからないまま、

にこへ着いて行く事になった。

なんでこんな格好をしてるのかと言うと、

 

 

「我慢しなさい!

これがアイドルに生きる者の道よ!

有名人なら有名人らしく、街で紛れる

格好ってものがあるの!」

 

 

‥‥と、まぁ。そんな理由らしい。

俺と攻大はアイドルでもないので

不審者の格好はしてないが、隣の攻大は

穂乃果達を見るなり笑い転げている。

そしてにこはどこから取り出したのか

ハリセンで思い切り攻大を叩いていた。

 

 

「でもこれは‥‥‥。」

 

「逆に目立ってるかと‥‥。」

 

「馬鹿馬鹿しい!」

 

 

絵里と海未、真姫はマスクを外してそう言う。

彼女らの言う通り、周りの視線が凄い。

確かにこれは注目を浴びるが別の意味の注目だ。

俺ならすぐコートを脱ぐわ‥てか、一緒にいる

こっちも恥ずかしいぞ‥。

 

 

「‥‥晴希君も着てよ。」

 

 

「アイドルじゃないから着ない。」

 

「じゃあアイドルになってよ。」

 

「いや無茶言うな。

あ、お前なら着てもいいんじゃないか?」

 

 

「はぁ‥‥はぁ‥腹いてー‥‥‥‥へ?」

 

 

穂乃果が俺を見るなりそう言ってくる。

グラサン越しでも多分ジト目で睨んでるだろうな。

俺は笑い終えた攻大にそう言うが

話を聞いていないのでなんでもないと無視をした。

 

 

 

 

「ふぁぁあああっ‥‥‥‥!!」

 

 

 

「ん?」

 

 

背後の店から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

その店を覗くといつの間にか

コートやグラサンを取って店に置いてある

商品を見て感激している花陽と凛がいた。

 

 

 

「あ!花陽ちゃんコート脱いでる!

晴希君、この服部室へ戻してっ。」

 

「ごめんなさい晴希、

私もお願いしていいかしら。」

 

「私もお願いします。」

 

「うちもこれは暑いかな〜。」

 

俺の背後から穂乃果達も花陽と凛が

脱いでる事に気付き

次々とコートを脱いで俺に渡してきた。

やれやれ、まぁいいけどね。

 

 

 

《コネクト・プリーズ》

 

 

俺はコネクトリングをベルトにかざして

部室に繋がる魔法陣を出す。

そこにコートを入れて

穂乃果達は解放された様に身体を伸ばす。

雑用みたいだけど魔法って本当便利だよな。

 

「ちょっと!?なんで脱いでるのよ!?」

 

「おい!なんだよその指輪!

めっちゃ便利じゃねーか!?」

 

にこは穂乃果達に、攻大は俺にそう言ってきた。

 

「え?お前はこうゆうの持ってないの?」

 

 

「ねーよそんな便利な指輪!

なんだよ!その指輪俺にくれよ!」

 

「はっ、やるかよ。‥‥‥ぶはっ。」

 

「おまっ!何笑ってやがる!?」

 

 

便利な指輪を持ってないって‥‥、

こいつの指輪といい、ベルトといい、

俺とあのウザい魔法使いとは全く別物の

変身アイテムだったな。

‥‥なんか役に立てなさそうな魔法使いだ。

そう思ってると俺は不意に吹き出してしまう。

 

 

 

「ここってどこ?」

 

「知らないの?ここは最近できた

スクールアイドル専門店よっ。」

 

俺と攻大が会話してると穂乃果が花陽と凛がいる

店を見渡して呟くとまだコートを着てるにこが

説明する。言われてみればと俺は

辺りを見渡す。その店に置かれてるのは

スクールアイドルの服や缶バッチ、シールなど

ありきたりだがアイドルのグッズが

ずらりと置かれていた。アイドル好きの花陽なら

そりゃ興奮するだろう。

 

 

「うぁあああ‥‥!ふぉああああ‥‥!

うっわぁあぁああ‥‥‥!」

 

 

既に目の前で目を輝かせてこうなってるからな。

 

「こんな店があるなんて‥‥」

 

「スクールアイドルが出来たんやから

あって当然やない?」

 

外でその店を見てる絵里と希の声が聞こえてくると、

突然凛が何かを見つけたのか1つの缶バッチを

持って俺らに見せてくる。

 

 

 

「見て見て!この子凄く可愛い!

まるでかよちんそっくり!」

 

 

「うわっ、本当だ!凄い可愛い‥‥って。」

 

「これ、花陽じゃんっ!」

 

 

「え?えぇえええっ!?」

 

 

穂乃果と俺はその缶バッチを見てると

明らかに花陽の顔が写ってる缶バッチだった。

 

「何で花陽の缶バッチが‥?」

 

「ここにあったんだよ!」

 

俺が花陽の缶バッチを見てると

凛が元あった場所に指差す。そこには、

新入荷と書かれたμ'sのグッズがずらりとあった。

 

 

 

「うっそ!?」

 

「お、お、落ち着きなさい!!」

 

「ミューズって書いてあるよ!?

石鹸売ってるのかな!?」

 

「アイドルショップで石鹸って斬新だな‥。」

 

 

さすがの海未も驚いており、穂乃果は

本気なのかボケをかまし、

俺は冷静にツッコミを入れた。

 

 

「ど、どきなさーい!あれ!?

私のグッズがない!?どうゆうことぉ!?」

 

 

その時、にこが俺たちを掻い潜って

μ'sの商品に自分のグッズがあるか確認する。

何だ?自分の商品を買って飾るのか?

にこさん‥‥なんて恐ろしい子‥。

 

 

 

 

 

「すみません、あそこのμ'sの商品全部下さい。」

 

 

「えぇっ!?」

 

ふと、攻大がいなくなったかと思いきや

奥で店員とそんなやり取りをしていた。

お前本気なのか。そりゃ店員さんも驚くわな。

でも、俺も少し欲しいかも‥。

 

 

 

「こうやって注目されてますと、

勇気付けられますよねっ。」

 

「えぇ。」

 

「これって許可出てるの‥?」

 

「ええやん細かい事は気にしなくてもっ。」

 

 

商品を見て海未、絵里、真姫、希の順で

喋っていく。まぁアイドルをやって人気が出て

ファンが応援してくれたら嬉しいよな。

 

 

 

「ん‥‥これって‥‥‥ことりちゃん‥?」

 

 

ふと、穂乃果だけそのμ'sの商品の隣にある

1枚の写真に気づく。それはメイド服を着ていた

ことりの写真だった。

 

 

 

 

 

「すみませんっ!あの!ここに写真が!」

 

「はい?」

 

俺たちが商品を眺めていると

聞き覚えのある悩殺ボイスが

店外から聞こえてきた。

メイド服を着たその女の子は

店員に慌ててるような感じで声をかけていた。

 

 

「私の生写真があるって聞いて!

アレはダメなんです!今すぐ無くしてください!」

 

 

 

「‥‥‥。ことり?」

 

 

「ひゃあっ‥‥!!?」

 

 

 

その女の子は紛れもなくことりだった。

俺が声をかけると硬直したようにその場で固まる。

 

 

「ことりちゃん‥?」

 

「ことり、何してるんですか?」

 

 

 

「‥‥‥‥‥。」

 

ことりの存在に穂乃果、海未、そして

μ'sのメンバーと攻大も気付いて声をかける。

‥‥そしていつのまにか攻大の右手には

グッズを買ったと思われる買い物袋が

ぶら下げてあった。

ことりは無言で立ってると突然空の

ガシャポンのカプセルを持って両目に当てる。

 

 

「コトリ!?What!?

ドーナタデェスカ?」

 

 

 

「わっ!?外国人!?」

 

「え、マジか!?

てっきりことりちゃんかと思った!

えと、ハ、ハロー!」

 

「‥‥‥‥‥。」

 

 

 

突然のことりの行動に凛と攻大は

芝居でやってるのか騙されていた。

凛の背後の絵里は呆れた様にことりを見ている。

 

 

「ことりちゃん‥だよね?」

 

 

「チガイマース!

ソレディハ、ゴキゲンヨーウ‥

ヨキニハカラエ、ミナノシューウ‥‥。」

 

 

穂乃果が再度聞くが下手な誤魔化し方で

だんだん皆との距離をとって‥‥

 

 

 

「さらばっ!」

 

 

「「「「「「「「あぁっ!?」」」」」」」

 

 

 

メイド服のスカートを持ち上げて逃げ出した。

 

 

「海未ちゃん!追うよ!」

 

「は、はい!」

 

「先輩待つにゃー!」

 

「ことり先輩が‥メイド‥‥!」

 

「ことり!どうゆう訳か説明しなさーい!」

 

「も、もう!意味わかんない!」

 

「ちょ!ちょっと待ちなさいっ!」

 

「うはっ!面白そうだな!俺も行くぜ!」

 

 

穂乃果、海未、凛、花陽、にこ、真姫

絵里、そして攻大が逃げることりの後を追い

走って行った。

 

 

「あ!ちょ‥‥!あ〜行っちゃった‥。」

 

 

「‥‥‥‥晴希君、

ちょっとガルちゃん達借りるで?」

 

希はそう言って使い魔を呼ぶと

街を偵察していた俺の使い魔、

レッドガルーダ、ブルーユニコーン、

イエロークラーケンが希と俺の前に現れる。

 

 

「別にいいすけど、何するんです?」

 

 

「ちょっとな〜。ほな、行ってくる〜。」

 

 

希はそう言って皆が行った別の方角から

ことりの後を追うのか軽く走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

数分後、

 

 

 

 

「‥‥ん?」

 

アイドルショップの前で待機してると

希からラインが届き、俺は画面を開いた。

 

 

 

 

メイドさん、捕まえたでー!

( T_T)\(^-^ )

 

 

 

 

ラインを開くと希からこう書かれていた。

え、早くね?どうやったの‥‥?

 

たまに凄い希さんを俺は少し怖いと思ったのは

内緒な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

秋葉原、メイド喫茶にて。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「えぇええぇっ!?」」」」」」

 

 

「じ、じゃあことり先輩が秋葉の伝説の

カリスマメイド、ミナリンスキーだったんですか!?」

 

 

「‥‥‥そうです‥‥。」

 

 

皆が驚愕し、花陽の言葉に落ち込みながら

答えることり。

希に捕まったメイド服のことりは

花陽の言う通り、ここの喫茶店のアルバイト、

同時にカリスマメイドだった。

今は休憩時間らしくて

その間に勝手に置かれてた生写真を

破棄しようとアイドルショップに行ったのだが

偶然俺らに遭遇。そして、事情を聞くべく

ことりのバイト先で集まったわけだ。

 

 

 

「ひどいよことりちゃん!そうゆう事なら

もっと早く教えてよっ!」

 

 

「うぅ‥‥。」

 

 

ことりの1番の親友である穂乃果はやはり

バイトをしてたのが黙ってたのが

嫌だったのか怒っている。

 

 

「言ってくれたら遊びに来てジュースとか

ご馳走になったのに!」

 

「そこぉっ!?」

 

‥‥何とも穂乃果らしい答えだわ‥‥。

 

 

 

「あ、ことりちゃーん!

この萌え萌えオムライス1つ、

注文していいか?あ、ケチャップじゃなくて

マヨネーズなっ!」

 

「げっ!?2500!?たかっ!」

 

 

 

「ことり今休息中だから。てかお前少し黙ってろ。」

 

 

場の空気を読まない攻大はメニュー表を見るなり

ことりにそう言っていた。

向かい側に座ってるにこもちらりと

攻大の持ってるメニュー表を見るとその値段に

目を見開いていた。

 

 

 

「でもなぜアルバイトを‥‥?

そもそもことりがメイド喫茶店だなんて。」

 

 

 

「う、うん‥ちょうどμ'sを始めた頃に

道端でここの店長に勧誘されて‥

衣装が可愛いかったから始めたの。」

 

 

海未の質問に俯きながら答えることり。

衣装が可愛い‥うん、確かに可愛い。

一旦区切ったことりは再び口を動かす。

 

 

 

「自分を変えたいなって思って‥

私、穂乃果ちゃんや海未ちゃん、

晴希君と違って何もないから‥‥。」

 

 

「何もない?」

 

 

穂乃果の問いにうん と頷くことり。

 

「穂乃果ちゃんみたいに皆を引っ張っていくこと

なんてできないし、海未ちゃんみたいに、

しっかりもしてないし、晴希君みたいに

落ち込んでる人を勇気づけることもできない。」

 

そんな事を考えて気にしてたのか‥。

俺がそんなことないと言う前に穂乃果が

ことりに詰め寄る。

 

「そんなことないよ!歌もダンスも

ことりちゃん上手だよ!」

 

「衣装だってことりが

作ってくれてるじゃないですか。」

 

「少なくとも、2年の中では1番まともね。」

 

「そうそう、ことりが1番まと‥‥

真姫、それどうゆうことかな?」

 

穂乃果に続き、海未もことりの良いところを

褒めているので俺も言おうとしたら、

真姫のグサリとした言葉に俺は

ある意味色々とダメージを負った。

ことりがまともなんて‥おかしいだろう‥。

 

 

「‥‥私はただ、2人について行ってるだけだよ‥。」

 

 

ことりに関しては誰も不満なんてないメンバー。

だがことりは俯いたままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

秋葉原、ラーメン店にて。

 

 

 

「にゃー!やっぱりラーメンは美味いにゃー!」

 

「ちょっと凛!スープこぼれてるわよ!」

 

「ご、ご馳走様です先輩‥

でもいいんですか?」

 

 

とりあえず話を一通り聞いた俺たちは

時間も時間なので解散する事となり、

俺は1年組と帰るついでにラーメンを

食べたいと凛が言い出して今ラーメン店に

至るわけだ。ちなみに俺のおごりっす。

 

 

「おう、気にせず食べな。」

 

最近穂乃果達ばかりだからたまには

後輩達とも話す時間を作ってあげないとな。

俺は笑顔でそう言って醤油ラーメンをすする。

んー、美味い。

 

因みに凛と真姫も醤油ラーメン、

花陽は味噌ラーメンとご飯大盛りだ。

 

 

 

「でもことり先輩、まさかあんな事悩んでたなんて‥」

 

「私にとって結構些細な事だけどね。」

 

花陽と真姫が一旦食べるのをやめてそう言う。

 

「まぁ些細かもしれないけど、ことりにとっては

大きい悩みなんだろう。きっと穂乃果と海未を見て

自分も頑張らなきゃって思ったんじゃないか?」

 

「‥そうね、でも凄いのは

あの2人だけじゃないわよ?」

 

 

「‥うん、真姫ちゃんの言う通りだねっ。」

 

 

「え?どうゆうこと?」

 

真姫と花陽はラーメンを食べる俺を見て

微笑む。‥な、なんだよ、食いづらいだろ‥。

 

 

 

「にゃー!すみませーんおかわりにゃー!」

 

 

 

先ほどから黙って凛が店主にそう言って

空になったラーメン鉢を乗せる。

ん?のせる‥‥?

 

 

「おまっ!?何杯食べてんだよ!」

 

 

「次で5杯目だよっ〜。今日は

特にお腹空いてるからまだまだイケるにゃー!」

 

 

苦しい表情を見せずにけろっとした顔で

俺にそう言ってくる。

こ、こいつバケモンだ‥‥。

 

 

「い、いつもは2杯ぐらいか

替え玉でおさえてるんだよ?」

 

「先輩、凛にラーメン店で奢るのは

色々と危ないわよ?」

 

 

花陽と真姫はそう言ってラーメンを食べ始める。

ま、前に奢った時は2杯くらいで済んだのに‥。

 

俺はこの後人生初めての経験をしました。

ラーメン店で1万を超える金額を支払うなんて。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

翌日、音ノ木坂学院にて。

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

教室で1人、ことりは机にノートを開いて

考え事をしてる為、黙っていた。

その様子を扉越しから穂乃果、海未、俺は

覗いていた。そして

 

 

 

 

「‥チョコレートパフェ、美味しい。

生地がパリパリのクレープ、食べたい。

鉢割れの猫、可愛い‥。

五本指ソックス、気持ちいい。

マヨネーズたっぷり、あびゃー。」

 

 

 

何言ってるんだあの子、

みたいな感じになっているが実は、

あれは歌詞作りの最中なのだ。

だがことりは手を止め涙目になり、

 

 

 

「思いつかないよぉー!!」

 

 

叫ぶとともに机に突っ伏した。

‥さて、どうしてこうなってるのかと言うと、

先ほど絵里先輩から突然

秋葉でライブをしようと言われたのだ。

皆は了承し新曲でやる事になったのだが

なんと、作詞は海未ではなく

ことりが作ることとなった。

絵里先輩曰く、あの街でずっと

アルバイトをしていたことりならきっと

いい歌詞が出来る、らしい。

皆から応援されやってみようと

決心したことりだが‥

 

 

 

 

「ふわふわしたもの可愛い〜な、ハイッ☆

あとはマカッロンたくさん並べたら〜☆

カラフルで、し〜あ〜わ〜せ〜☆

ルールルーラーラー‥‥ルーラ‥‥‥‥

うぅ、やっぱり無理だよぉおお!!」

 

 

 

まぁこの様である。

 

 

「中々苦戦してる様ですね‥。」

 

「ことりに歌詞作りは少し荷が重すぎたかな‥。」

 

教室の扉越しに覗いてる海未と俺は

ことりを見守りながらそう言ってると

 

 

 

「ことりちゃんっ!」

 

「ふぇっ!!?穂乃果ちゃんっ!?

それに海未ちゃん晴希君!?」

 

 

穂乃果が勢いよく扉を開けてことりの名前を呼び、

隠れて見守ってたのでかなりびっくりしたのか

椅子から飛び上がることり。

 

 

 

「こうなったら一緒に考えよう!

とっておきの方法で!」

 

「え‥?」

 

 

穂乃果はそう言って早速と言わんばかりに

身支度をしだす。

なんだ、とっておきって‥‥‥?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

秋葉原、メイド喫茶店にて。

 

 

 

 

「おかえりなさいませ、ご主人様☆」

 

「おかえりなさいませご主人様!」

 

「おかえりなさいませ‥‥ご主人‥様‥‥」

 

 

 

可愛いらしく、元気よく、恥ずかしがりながら

ことり、穂乃果、海未はメイド服を着込んで

挨拶の練習をしていた。

正直可愛いすぎて意識が吹っ飛びそうな俺。

 

 

「ふぁー!2人とも可愛い!☆」

 

ことりは穂乃果と海未を見て褒める。

まぁ、穂乃果のとっておきってのは

ことりのバイト先へ行って働きながら

何かヒントをつかもうと思って

穂乃果、海未も加えて今日1日

アルバイトをすることになった、ということ。

 

 

「こんな事だろうと思いました‥‥。」

 

「いいじゃん!晴希君、どお?似合う?」

 

 

「あぁ、いいと思うよ。」

 

 

「本当っ?やった〜!」

 

 

恥ずかしがる海未を軽く流して

穂乃果はメイド服姿を見せる。

俺はどストライク!超可愛い!

と、いうのを抑えてクールに褒めた。

 

 

 

 

「にゃー!遊びにきたよー!」

 

「えへへ‥。」

 

すると、鈴の音と共にドアが開き

凛と花陽が入ってきた。

 

 

「秋葉で歌う曲なら秋葉で考えるってことね。」

 

 

それに続き、絵里、にこ、真姫、希が

入ってきて‥。

 

 

「うぉおお!ことりちゃんは昨日見たけど

並んでると3人共ちょー可愛い!」

 

 

最後に入ってきた攻大はカメラを取り出して

パシャパシャと写真を撮り出す。

 

 

「や、やめてください攻大先輩!」

 

 

「ん?あーごめんごめんっ。

じゃあラストもう1枚〜‥」

 

海未に怒られ1枚だけ写真を撮ろうとする攻大。

俺は息を吐いてコネクトリングを

右手の中指に付けてベルトにかざした。

 

 

《コネクト・プリーズ》

 

 

 

 

「おっと、かなり手が滑った。」

 

 

「え?あぁあああぁっっ!!

俺の一眼レフ〜〜!!?」

 

 

魔法陣を出した俺は攻大のカメラを取り上げて

魔法陣の中へと放り投げた。

 

 

「おまっ!何すんだよ!カメラ返せよ!」

 

 

「あー、別にいいけどもう水浸しだぜ?」

 

 

「はぁ!?どこへ投げたんだよ!?」

 

「海の中。」

 

 

「のぉぉぉおおおおっ!!」

 

 

攻大はそれを聞いてその場で四つん這いになる。

よっぽど高いカメラだったのか?

ふ、それは可哀想にw

まぁ許可なく撮ったのが悪いけどな。

俺らのやり取りに苦笑するμ's達。

 

「ではではー、早速取材を〜っ。」

 

 

だが希だけはビデオカメラを持って

メイド服の海未達を撮影しようとする。

 

 

「希先輩もやめてください!なぜ皆んな

いるのですか!?」

 

 

「私が呼んだのっ。」

 

 

レンズを手で隠して撮影を拒もうとする

海未、そしてμ's全員を呼んだのは

穂乃果だったのか。

 

 

「‥おい、アレはいいのかよ!?」

 

 

「ん?あー、アレは部活用のカメラだからな。

曲のPVに必要なモンだからさ。」

 

 

「おー、なるほどな!それは仕方ないな!」

 

 

俺の適当な説明にポンと手を叩いて納得する攻大。

ふむ、こいつ思った以上に大馬鹿だった。

 

 

 

 

「それより、早く接客してちょうだい。」

 

 

いつの間にか席へ座って

クレームつけそうな態度でにこはそう言う。

 

「「うっ‥。」」

 

こうゆう店のアルバイトは初めてだろう

穂乃果と海未はおどおどとするが

 

 

「いらっしゃいませ、お客様。

7名様でよろしいでしょうか?」

 

 

「は、はい。」

 

7名‥?あ、にこはもう座ってるからか。

いつもと違うことりの態度を見て

俺らは少し戸惑う。

 

 

「それではこちらのお席へどうぞ。

あちらとこちらをお使いください。」

 

ことりに席へ案内され、

それぞれが席へ座る。

 

「(え、よりによってマヨネーズと一緒かよ‥‥)」

 

 

「(は?よりによってこいつと一緒かよ!?)」

 

 

晴希と攻大はお互いの顔を見てそう思いながら

しぶしぶ席へ座った。

 

 

「こちらがメニューになります。

ただいまお冷をお持ちいたします。

‥失礼致しました。」

 

 

 

「さすが伝説のメイド‥‥」

 

「ミナリンスキー‥‥。」

 

完璧とも言える接客態度にメンバーやにこも驚く。

 

 

「あ、ことりちゃんー!

この萌え萌えオムライス1つ!

あ、ケチャップはなしな!

追加で妹キャラで!」

 

「ちょ、何だその注文っ?

そんなのあるわけ‥」

 

「かしこまりました☆」

 

「えぇっ!?」

 

皆の分のお冷を持ってきたことりに

おかしな注文をする攻大。

それを普通に承ることりに俺はびっくりする。

 

 

「そちらのお客様はどうなさいますか?」

 

 

「あー、えと‥‥自分も同じので‥

お願い、致します‥。」

 

「かしこまりました☆

萌え萌えオムライスが2つ、

妹キャラでですね☆それでは

少々お待ちください☆」

 

 

悩殺ボイス&完璧な接客態度に

思わず敬語になってしまう俺‥。

 

 

 

「凄いわね‥。」

 

「まるで別人みたいや。」

 

「ぐぬぬ‥!認めざるを得ないわ‥!」

 

 

別の席で絵里、希、にこが

ことりを見るなり感想を述べている。

だんだんと客足も増えており、

先ほどまで戸惑ってた穂乃果は‥

 

 

「お帰りなさいませご主人様!

こちらの席へどうぞー!」

 

 

何事もなく仕事をこなしていた。

実家が和菓子屋だから問題なく接客をしている。

 

 

「‥‥あれ?海未は‥‥?」

 

 

気がつくと海未はいつのまにかフロアから

消えていた。やはり恥ずかしいのだろうか。

そんな事で時間が経っていると

ことりがオムライスを2つ持ってきて

こちらに向かってきていた。

 

 

「うひょー!キタキター!」

 

攻大は鞄から専用のマヨネーズを取り出して

ワクワクしていた。

因みにマヨネーズには〝待ってました!〟と

書かれている。

 

 

 

 

 

 

「はい☆持ってきたよ、お兄ちゃん☆」

 

 

 

 

 

「‥‥‥え?」

 

 

 

 

気のせいだろうか‥今ことりは

俺らの事をお兄ちゃんと呼んだような‥。

 

 

 

 

「せっかく作ってあげたんだから

残したりとかしないでね?お兄ちゃん☆」

 

 

 

 

 

「「ぶほぁっ!!?」」

 

 

 

 

 

 

「きゃあっ!?」

 

席にオムライスを置いてことりが

悩殺ボイスでそう言うと俺と攻大は

真上に鼻血を吹き出した。

それを見た花陽はびっくりして叫ぶ。

 

 

 

「だ、大丈夫!?」

 

 

 

「ぐはっ!?俺‥死んでもいい‥!」

 

「くっ‥気が合うな‥俺もだ‥!」

 

 

 

花陽に心配されつつ俺と攻大は

鼻血を流しながらその場で萌え尽きた。

 

 

 

「‥変態にゃ。」

 

「変態ね‥。」

 

「ド変態だわ。」

 

「変態やね。」

 

「‥‥ハラショー‥‥。」

 

凛、真姫、にこ、希に変態呼ばわりされ

絵里はいつもの驚きで俺と攻大をジト目で

見ていた。

ただ、ことりは平然とした態度で飛び散った

血を持ってきたアルコールを吹きながら

拭き取っていた。

 

 

「あ、あんたよく平然としてられるわね‥」

 

 

「あ、お構いなく☆

()()()()()()()()()()()

 

 

にこはことりの行動を見てそう言うが

ニコッとした顔でことりは答える。

い、いつも‥‥!?

やはりことりちゃん‥恐ろしい子‥‥。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

「海未ちゃん!

さっきからずっと洗い物ばかり!

お客さんともお話しなよっ。」

 

「し、仕事はしています!そもそも

本来のメイドとは

こうゆう仕事がメインのはずです。」

 

「むー、屁理屈言ってるー。」

 

厨房の洗い場にて、

先ほどから海未がいないと思えば

ずっと洗い場にこもっていた。

見つけた穂乃果は注意するも

言い訳をして洗い物を片付ける海未。

 

 

「海未ちゃーん、これもお願い☆」

 

 

「あ、はいっ。」

 

フロアから食器を持ってきたことりに返事をする

海未だが、海未の顔を見てことりは困った顔をする。

 

 

「ダメだよ海未ちゃん、ここにいるときは

笑顔を忘れちゃダメ☆」

 

「しかし、ここは厨房ですよ‥‥?」

 

食器を受け取る海未は言い訳をするが

笑顔をずっと絶やさないことりは口を動かす。

 

 

「お客さんの前じゃなくてもそうゆう

心構えが大事なの☆」

 

「は、はい‥‥。」

 

「じゃあ海未ちゃん、笑顔は少しずつでいいから

洗い場はお願いするねっ。」

 

「あ、はい!任せてくださいっ。」

 

 

 

仕事を任されて少し笑顔を見せる海未に

ことりと穂乃果は微笑み、

2人は厨房の奥へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

「ことりちゃん、やっぱりここにいると

ちょっと違うねっ。」

 

 

「えっ、‥‥そうかな?」

 

 

機械でコーヒーを入れることりに

穂乃果がそう言うと自分でも

気が付かなかったのか惚けることり。

 

「別人みたいっ、いつも以上に生き生きしてるよ!」

 

素に褒める穂乃果の顔を見て少し頬を

赤く染めることりは入れたコーヒーを

じっと見て口を動かす。

 

 

 

「うん‥ありがとう、なんかね。

この服を着ていると‥できるってゆうか

この街に来ると、不思議と勇気がもらえるの。

もし、思い切って自分を変えようとするなら

この街はきっと受け入れてくれる気がする。

そんな気持ちにさせてくれるんだっ。

だからこの街が好き!」

 

これが今のことりの気持ち。

本当にこの街が好きなんだなと

優しく微笑む穂乃果は、ふと閃く。

 

「あ、それだよことりちゃん!」

 

「え?」

 

「今ことりちゃんが思ってることを

そのまま歌にすればいいんだよ!

この街を見て、友達をみて、色んな物をみて!

ことりちゃんが感じたこと、思ったことを‥」

 

 

 

 

そのまま、

 

 

ただそのまま、

 

 

 

歌に乗せればいいんだよ!

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

数日後、メイド喫茶の外にて。

 

 

 

 

 

「‥‥それでは聞いてください。

大好きなこの街を思って作った曲‥‥」

 

 

 

 

 

【Wonder zone】

 

 

 

 

 

 

人が集まってる中、ことりの一言で始まり

メイド服を着込んだμ'sのメンバーは

それぞれの配置につき、音楽が流れ出す。

きっと不思議な夢が始まる‥か。

ことりらしい歌詞だな。

 

 

 

 

「無事に歌詞できてよかったな。」

 

 

「あ、ぁあ‥そうだな‥。」

 

 

「ん?どうした?」

 

「な、なんでもねーよ‥‥!」

 

 

俺はことり達のライブを攻大と

観客に紛れて見ていたが明らかに元気がない

攻大に俺は首を傾げる。

 

攻大のその目は腹が減って

死にそうな目をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

ライブの後、神田明神にて。

 

 

 

 

「今日のライブ大成功だったね☆」

 

「うぅ、やっぱり恥ずかしかったです‥。」

 

「もー海未ちゃん、そろそろ克服しなよ!」

 

「む、無理なものは無理です!」

 

「はは、お疲れさん、3人共。」

 

日が落ちて辺りが暗くなる時間。

ことり、海未、穂乃果、晴希は

灯りで照らす家やマンションを

神田明神から眺めていた。

 

「本当に綺麗だな‥‥あの街は‥。」

 

 

「ん?何か言った晴希君?」

 

俺がボソッと呟くと穂乃果が聞いてきた。

 

「なんでもない、それより‥‥

思い出さないか?お前らが

初めてファーストライブをした頃を。」

 

 

「‥‥うん、思い出すねっ。」

 

 

「あの時はまだ私達だけでしたね‥‥。」

 

 

穂乃果と海未がそう呟く。

あの頃はまだ駆け出しの頃だった。

ファーストライブも今思えば

観客は後に集まったμ'sのメンバーだ。

偶然か出会いか‥‥それとも奇跡か、

こうして集まったのも

ここの3人がいたからこそなのかもな。

 

 

 

「あのね、みんな。」

 

 

 

「ん?」

 

「どうかしました?」

 

「どうしたことり?」

 

 

ふと、ことりが何か言いたげに

俺たちに声をかけた。

 

 

「私達っていつまで一緒なのかな?」

 

 

「どうしたの急に?」

 

「だって!あと2年で高校も終わっちゃうんだよ?」

 

 

 

少し悲しい表情になることり。

そうか‥‥思えばもう少しで夏休みに入る。

いつの間にか、穂乃果達と出会って

もう2カ月も経つんだな‥‥。

時が経つのは早いもんだ。

 

 

 

「‥それはしょうがない事です。」

 

 

海未も寂しいのか小さく口を動かす。

‥‥正直、俺も寂しいのかもな。

 

 

 

「‥えぇいっ!」

 

 

 

「ふわぁっ!」

 

「ほ、穂乃果!?」

 

「っ、ちょっ!!?」

 

 

しんみりした空気に突然穂乃果は

3人を寄せて抱きついてくる。

 

 

「大丈夫だよ!これからもずーっと一緒!」

 

穂乃果はそう言って俺らから離れて

向き合う。

 

 

「だって私、この先ずっとずっとことりちゃんや

海未ちゃんや晴希君、μ'sの皆とも

一緒にいたいって思ってるよ!大好きだもん!」

 

 

「穂乃果ちゃん‥‥うん!私も大好き!

ずっと一緒にいようね!」

 

 

「えぇ!」

 

「うんっ!」

 

「‥‥そうだなっ。」

 

 

 

ことりの言葉に俺たちは手を繋いで

そう誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その願いは

 

 

 

1枚の手紙と

 

 

 

俺の油断により、

砕かれていくのだった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し先のシーン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「晴希君‥‥‥‥ 晴希君っ‥

起きてよ、晴希君っ!!!!」

 

 

 

雨が降り注ぐ屋上、穂乃果の声に反応せず、

操真晴希は大量の血を吐き出して‥流して

 

 

 

血は屋上の床を真っ赤に染めながら

 

 

 

 

その場に倒れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

「どけマヨネーズ!」

 

「テメ!?また食事の邪魔すんのか!?」

 

目の前のファントムを取り合う

ウィザードとビースト。

 

 

「し、白い魔法使い!?」

 

「これを操真晴希に渡してくれないか?」

 

「え‥これって‥‥。」

 

1年生組の前に現れた白い魔法使い!

彼がくれたものとは!?

 

 

 

「話があるの‥。」

 

攻大の前に現れたメデューサ!

これはピンチ?いやチャンス!

 

 

「おい!何のつもりだ!?」

 

「うるせぇ!よくも騙してくれたな!」

 

突然ウィザードに襲いかかるビースト!

何があった!?

 

 

第22話 魔力が食事




はい!どうもしょーくんです!

ことりはやっぱり可愛いっすね☆

それと‥‥わたしは何も言いませんよ!


感想、評価があれば是非お願いします(^^)

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