ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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ひ、評価に色がついてるでござる!( ゚д゚)

晴希「おぉ!やったな作者さん!」

これもみんなのおかげです(>_<)

超絶デットヒートさん!
まんじまんだらさん!
グラニさん!
優雅さん!ポッキーさん!
パフェ配れさん!
ますたーつりーさん!

評価をつけてもらいありがとうございます(≧∇≦)
お気に入りの皆さんもこんな文を読んでいただき
ありがとうございます!(*^^*)
これからも頑張りますので
是非見ていってください!


第19話 希望の穂むまん

高坂穂乃果の暴走(笑)を止めるべく俺こと

操真晴希は後を追いかけることになったが

そこでファントムのヴァルキリーと遭遇。

新しい力、ハリケーンドラゴンスタイルの力で

追い込むことができたが‥‥

 

 

 

「指輪の魔法使い!

やれるものならやってみなさい!」

 

 

「ひっ‥‥‥!?」

 

「お姉ちゃんっ!!」

 

 

「くそっ!!」

 

ヴァルキリーはウィザードの隙をついて

穂乃果を捕まえて上空高く飛んでいた。

穂乃果の妹、高坂雪穂も

涙目になりながら名前を叫び、

ウィザードは一か八かでウィザーソードガン

銃モードをヴァルキリーに構えた。

 

 

「おやおや、見境なしですか?

でしたら返してやります‥よ!」

 

 

 

 

 

 

「っ! きゃあああぁぁぁあ!!?」

 

 

 

 

「っ!?まずいっ!」

 

ウィザーソードガンを向けられたヴァルキリーは

穂乃果を掴んでた手を離したのだ。

叫びながら穂乃果は地面へ落ちていき、

反応に遅れたウィザードは急いで身体を

回転すると風を纏い

身体を覆う様に緑色の竜巻ができる。

その竜巻は身体から離れ落ちる穂乃果を

容易く支えて地面に優しく落ちた。

 

「〜〜〜‥‥‥‥。」

 

「お、お姉ちゃんっ!大丈夫っ!?」

 

 

 

 

「ふい〜、セーフ‥。」

 

 

大の字で倒れてる穂乃果に雪穂は近寄る。

本当はウィザーソードガンの銃モードで

ヴァルキリーを狙って、穂乃果を手放した時に

助けるつもりだったが‥‥

まぁ無事助けられて

安心の息を吐くウィザード。

 

 

「‥‥!‥‥‥また逃げたか‥。」

 

安心するのも一瞬、ウィザードは上空の

ヴァルキリーを確認しようと上を見上げるが

そこにはもうすでにいなかった。

 

 

 

 

「穂乃果、大丈‥‥夫じゃないな。」

 

 

ウィザードは変身を解き、俺は倒れてる

穂乃果の元へ行くが、彼女は気絶していた。

しかも人に見せられないすごい顔で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

その夜、穂むらにて。

 

 

 

『‥穂乃果達は無事なのですね、よかったです‥。』

 

 

「あぁ、何とかな。今は家に送り届けて

俺は帰るつもりだ。

穂乃果の家は使い魔達を見張らせる。」

 

『分かりました、気を付けて帰ってくださいね。』

 

電話相手の園田海未がそう言うと

俺はおう と頷いて

通話を切り、玄関にいる雪穂を見た。

 

 

「じゃあ今日は帰るぞ?何かあれば

この子達が助けてくれるからさ。」

 

 

「はいっ、ありがとうございます。」

 

雪穂の周りをガルーダとユニコーンがはしゃぎ

クラーケンは玄関に張り付いてジッとしていた。

 

 

「‥‥‥‥穂乃果は、どうだ?」

 

 

「‥お姉ちゃんは部屋です、

凄く落ち込んでましたけど‥。」

 

 

「‥‥そっか。」

 

 

ヴァルキリーが逃げた後、気を失った

穂乃果は目を覚ましたが何故か俺から

距離をとっていた。話しかけようにも

慌てて走って逃げ出すし‥、もしかして

嫌われちゃった??

 

「ま、まぁ大丈夫ですよ!お姉ちゃんの事だから

直ぐに元気になりますよっ。」

 

「‥そうだな、じゃあ俺は帰るよ、

お前らしっかりやれよ?」

 

雪穂の言葉に少し元気が出た俺は

使い魔に指示を出して自宅へ帰る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥晴希君。」

 

その後ろ姿を穂むらの2階の窓から

穂乃果は悲しい顔で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

その一方で夜のマンションの屋上にて。

 

 

 

 

 

「おい!ヴァルキリー!

ゲートを追い詰めたんじゃなかったのか!?

‥‥‥何1人でノコノコ帰ってきてんだよ?

あぁ!?」

 

 

「いやぁっ、ごもっともです、ごもっとも!

魔法使いの邪魔さえ入らなければ‥今頃

新たなファントムをご紹介できていた

はずなのですが〜‥‥。」

 

 

ウィザードから逃げたヴァルキリーは

フェニックスとメデューサに見つかり

何もせずにかえってきたヴァルキリーに

フェニックスはお怒りだった。

 

 

「っ、とっとと出直せっ!!」

 

必死の言い訳に余計に腹が立ったのか

フェニックスの身体から炎が溢れ出す。

 

 

「あ〜っ、まぁまぁ!今回は失敗しましたが

まだ手はありますよ〜っ、」

 

 

「‥‥次は上手くいくの、ヴァルキリー?」

 

 

ヴァルキリーの言葉に夜の街を見下ろしてた

メデューサが反応し、ヴァルキリーに振り向く。

 

 

「えぇ えぇ、もちろんですともメデューサ様。

今度こそご期待くださいっ。最高の絶望で

新しいファントムをご紹介させますよ!」

 

 

ヴァルキリーはフェニックスとメデューサに

近寄り、上司を煽てる様な仕草でそう言った。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

翌日、音ノ木坂学院にて。

 

 

 

 

 

「よっと!」

 

 

「「「わぁ〜〜〜〜〜っ‥‥‥!!」」」

 

 

授業中、体育の時間にてマットを使った

授業を体育館で行っていたが、俺はマットを使わず

側転や前方とう立回転、バク転などを決めて

周りのクラス生徒はそれを見て感激していた。

‥‥と言っても、俺以外は女子しかいないけどね。

 

そして体育の時間は年頃の男子にとって

色々と危険な時間でもある。

暑い時期なのでそりゃ汗もかく。

そして女子達のうなじがくっきrゲフンゲフン!

‥‥‥失礼。

 

 

 

 

「ふぅ‥‥。」

 

 

「操真君!はいタオル!」

 

「操真君!この後のお昼休みたまには

私達と食べない?」

 

「高坂さん達ばかりでなんかずるいよ〜!」

 

 

 

「あはは、ん〜‥‥

(他の女子と話してたら後で

海未に説教されそうだしなー‥)」

 

一息入れようにもクラスの

女子達は俺の周りに集まって来て

そう言ってくる。俺は苦笑しながら

会話を返すと、ふと離れた所で

マット練習をしている穂乃果を見た。

 

 

「‥‥‥‥っ。」

 

偶然、穂乃果も俺の方を見ており目が合うと

慌てて目を逸らす穂乃果。

俺は軽く息を吐いて女子達の相手をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ落ち込んでるの穂乃果ちゃん?」

 

「‥あ、ことりちゃん、海未ちゃん。」

 

マットで前転をしている穂乃果に

南ことりと海未が近寄る。

朝からあまり元気がない穂乃果は少しだけ

ことりと海未に昨日の出来事

(ヴァルキリーの交戦の時)を話したのだ。

 

 

「穂乃果が落ち込むのは珍しい事ですね。」

 

海未はちらりと晴希を見てそう言うと

穂乃果は頷く。

 

 

「いつも頑張ってる晴希君に、少しでも

手助けしようと思ったのに、足引っ張ってばかり‥

会わせる顔がないよぉ‥。」

 

「それで朝から晴希を避けていたのですね。」

 

「げ、元気出して穂乃果ちゃん!

そうゆう事もあるよっ。ほら、

晴希君だって何も言ってないでしょ?」

 

 

「‥‥‥そうだね、晴希君。

何も言ってくれなかった。」

 

「「‥え?」」

 

元気付けることりの言葉に穂乃果は

そう言って立ち上がり、2人は声を揃えて

その言葉の意味が理解できなかった。

そして穂乃果は口を動かす。

 

 

「‥そりゃそうだよね、私ドジだし

すぐ勘違いするし、頼りにならないし‥

私、晴希君の邪魔なだけなのかな‥‥。」

 

 

「そ、そんなことないよ!ねぇ海未ちゃんっ。

‥‥‥海未ちゃん?」

 

 

かなり落ち込んでる穂乃果にことりは慌てて

励まそうとするが海未は真顔で穂乃果を見ていた。

 

 

「‥‥‥でしたら、頼ってもらえるように

努力するしかないでしょう。」

 

 

「‥え?」

 

海未の言葉に穂乃果は首を傾げる。

そして海未は再びマット運動を再開する

晴希を見る。

 

 

「‥‥ああ見えて晴希、実はいっぱいいっぱい

ではないかと、最近思うのです。」

 

 

「晴希君が‥‥?」

 

 

「魔法使い‥晴希にしか、ファントムは

倒せません。でしたらその晴希を

支えるようになりたい。‥‥

私はそう思ってますよ。」

 

「‥‥‥。」

 

穂乃果は下を向く。ファントムが現れれば

どんな時間だろうと直ぐに駆けつけている。

例えボロボロになろうと必死に

他人を守ってくれている。

下手したら命を落とすかもしれない、

精神的にもかなりダメージがきているのかも

しれない。そんな状態でも晴希は戦ってくれている。

 

 

「‥‥‥‥よしっ。」

 

 

穂乃果は晴希を見て何かを決意し、

マット運動を海未達と再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

放課後、通学路にて。

 

 

 

「にゃー、ラーメン食べたいにゃー‥。」

 

「あ、ことりも食べたいかも☆」

 

「お前ほんとそればかりだな。

って、コトリチャンも?」

 

「ふふっ、凛ちゃんらしいね。」

 

今日は練習が休みだったので

(たまには休んでもいいやん。との事で。)

いつもより早く俺、ことり、

そして1年の星空凛と小泉花陽の4人で

通学路を帰っていた。

 

 

「ことり、穂乃果はどうだった?」

 

「うん、もうすっかり大丈夫だったよ☆」

 

ことりが笑顔でそう言って

俺はほっと息をついた。

 

「穂乃果さんと喧嘩してたんですか?」

 

「喧嘩はよくないにゃー。」

 

「いや俺にもよく分からなくて‥、

ことり、知ってるんだったら教えてくれよ。」

 

 

「ダーメっ。女の子の情報を探るなんて

変態だぞ晴希君っ。」

 

「えぇ〜‥‥なんだよ‥‥。」

 

可愛い仕草で人差し指を突き付けてくるが

突然ことりは俺の後ろを見て表情が固まる。

 

 

「‥ん?どうしたことり?」

 

「あの人‥‥‥前会った時の‥‥ファントム!」

 

 

「っ!?」

 

 

ことりの言葉に俺は振り返ると

遠くで後ろ姿だが紫の服を着た女性が

マンションの階段を登っていった。

 

 

「ちょっと行ってくる。」

 

「にゃっ!?先輩!」

 

「晴希君っ!」

 

凛とことりは呼び止めようにも晴希は

ダッシュで女性の後を追った。

 

「‥‥‥あのファントム‥

な、なんか、嫌な予感がする‥‥‥。」

 

花陽は右手の中指につけてるエンゲージリングを

左手で握りしめ、もう登りきって

見えなくなった女性の後をを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

「‥‥‥。」

 

「ちょっと待ってくれるお姉さん?」

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

屋上までたどり着き、俺は女性に声を掛けながら

ドライバーオンリングをベルトにかざし、

ベルトはウィザードライバーに形を変える。

女性はゆっくりと顔をこちらに向き

不気味な笑みをこぼす。

 

 

「行かせる訳には行かないっての、

力ずくでもね。」

 

「ふん、わざわざ私に挑むなんてね‥‥‥

‥‥‥‥‥愚かしい。」

 

 

 

女性はそう言って髪を靡かせると

同時に怪物態、メデューサとなり、

頭の髪の毛の蛇が

うねうねと動き始めこちらを睨む。

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

 

 

俺はこのファントムは強いと判断し、

シフトレバーを上下に動かし、待機音声が鳴る。

そして俺はランドリングをつけて

バイザーを下げ、軽く左手を顔の横に降る。

 

 

 

「変身。」

 

 

 

《ランド!・プリーズ

 

ドッドッ ドドドン・ドン ドッドッドン‼︎》

 

 

 

魔法の言葉を言いながらランドリングを

ドライバーにかざすと、音声が鳴ると共に

左手を真下へと向ける。そこから無数の岩が

浮かび上がり大地でできた魔法陣が上へと

通り抜け俺は仮面ライダーウィザード

ランドスタイルへと変身する。

 

 

 

「後悔するなよ?指輪の魔法使い‥‥。」

 

メデューサは両手を両サイドへ振り上げると

髪の毛の蛇が先ほどうねうねしてた数より

倍の数で伸びてきてウィザードに襲い掛かる。

 

 

 

「うわっキモ!」

 

思わず本音が出たウィザードは慌てて

シフトレバーを動かし、ディフェンドリングを

ドライバーにかざした。

 

 

《ディフェンド!・プリーズ》

 

 

音声が鳴りウィザードは正面斜め下へ

右手をかざすと岩でできた壁が地面から飛び出す。

メデューサの蛇は勢いよく壁にぶつかる。

 

が、

 

蛇の威嚇の鳴き声と共に簡単に壊される。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

《ディフェンド!・プリーズ》

 

 

ウィザードはもう一度壁を作るが

一瞬で無数の蛇は貫く。

 

 

 

《ディフェンド!・プリーズ》

 

 

《ディフェンド!・プリーズ》

 

 

 

2枚重ね、3枚重ねと壁を作るが

メデューサの蛇の勢いは止まらない。

 

 

「なる!ほど!お前はただの

ファントムじゃなさそうだな!」

 

壁を作りながら徐々に後ろへ下がる

ウィザードを見てメデューサは鼻をふんと鳴らす。

 

「私にそんな魔法は、通用しない。」

 

 

「そう決めつけるのはまだ早いぜっ!」

 

 

 

ある程度距離を置いたウィザードは

ウォーターリングを付け替えて

シフトレバーを動かしドライバーにかざした。

 

 

 

 

《ウォーター!・プリーズ

 

スイ〜スイ〜スイ〜スイ〜》

 

 

 

 

 

「っ!?うわっ!あぁっ!?」

 

 

音声が鳴り、正面に水の魔法陣が現れ

ウィザードを通り抜けるとウィザードは

ランドスタイルからウォータースタイルへと

姿を変えるがその間に目の前まで蛇は伸びており、

ウィザードの身体に巻きついてきた。

 

 

「ふっふっふっふ‥‥‥。」

 

 

ウィザードは持ち上げられ無数の蛇を使って

空中をブンブンと振り回す。

 

 

「うぐっ!?おおおおおおぉぉっっ!?」

 

 

蛇に締め付けられ蛇に睨まれてで

ウィザードは思わず叫んでしまいながら

なんとかシフトレバーを動かし、

リキッドリングをつけてドライバーにかざした。

 

 

《リキッド・プリーズ》

 

 

音声が鳴るとウィザードの身体は液状化して

締め付けられてた蛇からあっさりと抜け出し

地面へ落ちる。

それを見たメデューサは蛇を引っ込めて

腰に左手を当てる。

 

 

「‥‥何?」

 

 

「(うぉぉ‥!と、鳥肌がっ‥‥‥!)

こ、こういう使い方もあるんだよっ。」

 

 

ウィザードは身体についてる埃を払いながら

ウィザーソードガンを剣モードにして取り出し

メデューサへと駆け出す。

それを見てメデューサも応戦する様に

杖に蛇が巻きついている形をした

武器:アロガントを出して迎え撃つ。

 

 

「ふっ!」

 

「フン。」

 

 

最初の互いの一撃の接触で火花を散らす。

次にメデューサのアロガントの攻撃が来るが

ウィザードは避け 横一閃とウィザーソードガンを

斬りつけようとする。が、メデューサの

アロガントに容易く止められる。

 

 

「‥流石はフェニックスを一度は

倒しただけの事はある。」

 

「‥だろ?‥のわっ!?」

 

敵に認められ少し調子に乗った

ウィザードはアロガントを強く押されて

後方に下がるがなんとか踏み止まる。

 

 

「だがこれ以上‥‥遊んでる暇はない!」

 

 

「っ!?うぐっ!」

 

 

言い終わると同時にメデューサは

アロガントを振り回しウィザードの

腹へ叩き込む。

 

「フンっ、ハッ!」

 

 

「ぐっ!?がっ!!がはっ!?」

 

 

運悪くみぞおちに入り蹌踉めくウィザードに

メデューサのアロガントの勢いは止まらず

一方的に殴られるウィザード。

そして振り上げたアロガントに

ウィザードは吹き飛びその背後に置いてある

プラスチックの机にぶつかる。

 

 

 

「ふっふっふっ‥はぁぁあぁっ。」

 

 

メデューサはアロガントに力を入れ

アロガントの蛇の目が紫に光りだす。

すると散らばったプラスチックの机が

ウィザードの横へ集まり一塊の岩ができる。

 

「っ、何だと!?」

 

 

「フン!」

 

ウィザードが驚いているとメデューサは

杖を振り、その岩はウィザードに直撃する。

 

 

 

 

「ぐぁああああっっ!!?」

 

 

ウィザードはもろに受けそのまま

壁へと吹き飛び、岩に押し潰される。

 

 

 

「ぐっふぁ‥‥‥!強い‥‥っ。」

 

 

岩が砕け散ると壁に減り込んだウィザードが

ゆっくりと剥がれ落ち、変身が解かれる。

 

 

 

「ゲートが絶望する様を

指をくわえて見てるといい‥ふん。」

 

 

圧倒的な力を見せつけたメデューサは

そう言ってその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

「先輩っ!!」

 

「晴希さんっ!!」

 

「晴希君っ!」

 

 

 

メデューサがいなくなったのを確認にしてか

階段付近から凛と花陽とことりが駆け寄り

肩に腕を回され俺を抱えてくる。

 

 

「わりぃ、やられたわ‥‥っ。」

 

「ううんっ!謝らなくていいよ!

晴希君が悪いわけじゃないもんっ。」

 

若干涙目になって心配することりと花陽、

凛も心配な顔をしてこちらを見てくる。

ったく、嬉しいじゃねえか‥‥‥。

 

 

「早く手当しないと‥‥‥!」

 

 

「ここからなら穂乃果ちゃんの家が近いよ!」

 

おどおどする花陽にことりが提案し、

俺たちは穂むらに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

穂むらにて。

 

 

 

 

「あれ‥‥?お店が閉まってる‥‥?」

 

数十分もかからないうちにたどり着いた

俺たちだが、まだ夕方のはずなのに

店は閉まっていた。

 

 

「すみませーんっ!ことりですー!」

 

 

ことりが店をノックして叫ぶと

はぁーいと奥の方から声が聞こえて

店の玄関が開かれる。

 

 

「あ、ことりちゃん!凛ちゃんに花陽ちゃんっ、

晴希君‥‥って晴希君その顔どうしたの!?」

 

 

「え、あぁ、ファントムにちょっとね。」

 

出てきたのは白衣姿でマスクをしてる

穂乃果だった。顔に傷ができてる俺を見るなり

驚いている穂乃果だが、

同時に見慣れない姿で驚く俺たち。

長いこと一緒にいることりもだった。

 

「穂乃果先輩、お菓子職人みたいにゃ!」

 

「い、一応ここ和菓子屋だよ凛ちゃん‥。」

 

「穂乃果ちゃん珍しいねっ、

お仕事の服着てるなんてっ。」

 

凛、花陽、ことりの順番で驚いてると

軽く照れる穂乃果。

 

 

「ファントムってもしかして昨日の‥!?

とりあえず中入ってっ。今日は早めに

店じまいしてるから。」

 

 

「いや、また別の奴だ。それより

早めにって、何かあったのか?」

 

言われるがままに俺たちは店に入り

店じまいの理由を聞く晴希。

 

「うんっ!なんか凄い人が来てね、

うちの和菓子を買ってくれるんだって!

毎日500個ってかなり大変だけど‥」

 

 

 

「へぇ、500個ね‥‥‥‥‥‥‥‥え?」

 

 

 

 

 

 

 

「「「えぇええええぇぇぇ!!?」」」

 

 

 

その数を聞いて穂乃果と凛以外の

3人は驚愕してしまう店の外にも響く声で。

 

 

「ま、毎日500個!?」

 

「500ってそんなに多いのかにゃ?」

 

「多いってもんじゃ‥ここお父さんしか

作ってないんだろ?明日までに

間に合わないんじゃないかっ?」

 

 

花陽の驚きに凛は首を傾げ、俺は

穂乃果に聞いてみた。

 

 

「うん、だから今日は早めにお店をたたんで

家族総出でその凄い人にだす新作饅頭を

作ってるんだ!」

 

 

「ふぇえ‥、そんなに凄い人なんだ‥‥。」

 

俺の問いに穂乃果が答えなるほどと

俺は頷く。ことりが驚いていると穂乃果は

レジに置いてある名刺を見せてきた。

 

 

「これ、この人だよ!」

 

その名刺を受け取り俺たちは覗き込むと

桐谷克弥という名前で、成島屋百貨店の

地下食品売り場和菓子担当マネージャー、と

書かれていた。

 

「うぁーっ、なんかすごいにゃー!」

 

 

「凄すぎて逆に不安だぞ‥‥大丈夫なのか?」

 

俺が心配してると穂乃果は大丈夫と胸を軽く叩く。

 

 

「お姉ちゃんっ、早く厨房に戻らないとっ、

‥‥あ、皆さんこんにちはっ。」

 

 

奥の方から声が聞こえ暖簾から顔をだす

雪穂。穂乃果と同じく菓子職人の白衣に

身を包んでいた雪穂は穂乃果を呼びに来たのだろう。

 

「あ、いけない!じゃあ皆んな、

今日はあまり相手できないけど

勝手に上がってていいよ!ことりちゃん

救急箱の場所分かるよね?」

 

「うん、大丈夫だよ☆」

 

ことりは頷くと穂乃果は急いで厨房へと向かい

雪穂も俺たちに軽くお辞儀をして厨房へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

「いて!いてててて!?ことりっ!

も少し優しく‥!」

 

「我慢してっ。男の子でしょ!」

 

消毒を顔の頬につけることりに痛がる俺。

傷口に消毒は小学校の時から苦手だったんだよぉ!

 

あれから少し時間が経ち、

俺とことり、花陽と凛は穂乃果の部屋で

手当てをして貰い寛いでいるが

騒がしい子がいない分、少し部屋は寂しかった。

 

 

「ふぃー!お待たせ皆っ。」

 

襖を開けてクタクタの穂乃果が入ってきた。

 

「あ、穂乃果ちゃん☆」

 

「作り終わったんですか?」

 

ことり、花陽が反応すると穂乃果は

首を横に振る。

 

「ううん、まだまだだよ。

お父さんが言うには明け方まで

かかりそうって。だから私と雪穂は

もう休めって言われちゃってさっ。

ことりちゃんお茶入れてくれるー?」

 

そう言いながら畳に座り込み

ことりは言われるがままにお茶を入れる。

 

「先輩お疲れ様にゃ〜っ。

‥‥このお饅頭美味しい‥!」

 

 

「食ってばっかだな凛。

本当お疲れ様だな穂乃果。」

 

 

凛は机に置いてある饅頭を花陽と

仲良く食べてるのを見ながら穂乃果に言うと

穂乃果は照れるが少し俯く。

 

「晴希君‥昨日と今日は、ごめんね。

穂乃果、ドジばっかりしちゃって‥‥。」

 

 

「えぇ!?‥‥なんだよ‥〜。」

 

 

「うわわっ、やっぱ怒ってたっ?」

 

穂乃果が謝ると顔を天井に向け

ブハーっと息を漏らす晴希。

 

 

「いやいや違うよ。急に俺を逸らすから

逆に何か悪い事をしたのかと思っただけ。

別に怒ってないよ、穂乃果は俺の為に

頑張ろうとしてくれたんだろ?そう考えたら

嬉しいし、助かる。ありがとうなっ。」

 

 

俺は優しく微笑んで穂乃果の頭を撫でると

穂乃果は一気に顔が赤くなる。

そしてその光景を睨む3人の影が‥。

 

 

「晴希君、ことりには?☆」

 

「え?」

 

「穂乃果ちゃんばかりずるいにゃ!」

 

「せ、先輩‥私も‥‥その‥‥。」

 

ずいずいと近寄ることりと凛。

もじもじしながらもアピールしてくる花陽。

 

 

「だ、ダメだよ!今穂乃果が

褒められてるんだから!」

 

そして撫でられてた穂乃果はそう言って

俺を挟んで両者はバチバチと火花を散らす。

 

‥‥な、なんかヤバそうだな‥。

 

 

「あー、ちょっと‥‥‥トイレ!」

 

 

「あっ、晴希く‥!」

 

俺は立ち上がり穂乃果が呼び止める前に

穂乃果の部屋から出た。

 

 

「ふぃ〜‥少し時間空けとくか‥。」

 

俺は頭の後ろに手を置いて1階へと降りて行った。

 

 

 

 

「あら、晴希君。いらっしゃい。」

 

 

「あ、おばさん。勝手にお邪魔してすみません。

お仕事終わったんですか?」

 

1階に降りると穂乃果の母親が椅子に座って

お茶を飲んでいた。

 

「いいのよ晴希君だし。

あぁ、穂乃果から聞いたのね。実は

まだ新作作りがやっと完成した所なの。

一息ついたらさっそく作らないと。」

 

 

「大変ですね‥‥お父さんは‥?」

 

「まだ厨房よ、

気になるなら会ってみればどう?」

 

 

母親の言葉に俺はえぇ と反応するが、

正直気になるので厨房へ行くことにした。

 

 

 

 

「失礼しま〜す‥‥‥‥、うわ凄‥。」

 

 

俺は小声で厨房の襖を開けると

古い家の裏に中々広い厨房だったので驚いた。

甘い香りが漂う中、厨房の奥で餡を生地に

詰めている父親を見る。

 

 

「‥‥ん?何だお前か。作業の邪魔だ。

用があるならさっさと言え。」

 

 

相変わらず怖い態度で近寄りがたい。

俺は数回軽く頭を下げて厨房へ入る。

 

 

「穂乃果から聞いたんですけど‥‥

饅頭500個も作るんですか‥?」

 

 

「そうだ。」

 

「な、何でそんな仕事受けたんです‥‥?

確かに儲かるかもしれないですけど

毎日500って身体がもたないんじゃ‥‥。」

 

 

「そん時はそん時だ。」

 

俺の質問に短く返す父親。

か、会話が続かないでござる‥‥。

 

 

「‥‥‥。実はな、この仕事受けたの

雪穂と穂乃果なんだよ。」

 

 

「‥え?」

 

珍しく父親から話しかけてくれて

俺は聞き間違いか声を漏らす。

 

 

「お前の言う通り毎日500って大変かもしれねぇ、

だけどウチは穂乃果と雪穂には言ってないんだが

実は今、赤字続きでな‥‥。

これを機にやろうって妻に言われたんだよ。」

 

「‥‥‥そんなことが‥‥。」

 

赤字、という言葉に俺は驚く。

ここの饅頭は本当に美味しい、

毎日食べてもいいくらいだ。

なのにお客がいないのはどうしてなんだろう。

 

 

「‥最近の若いモンには饅頭とか和菓子は

好まないんだろう。年を重ねるにつれ、

どんどん客足が減ってな。

だからこの仕事を受けて、

なんとかしようと思ったわけだ。」

 

「‥‥なんか、すごいですね。」

 

 

「はぁ?バカ野郎、父親が娘や妻を養うのは

当然の責務だろーが。」

 

俺が呟くとそう言われた。うはー、やっぱ怖い。

 

 

「‥穂乃果や雪穂は昔からおっちょこちょいで

泣き虫でな、怒鳴るとすぐめそめそするし、

今でもそうだ。本当世話の焼けるガキどもだ。」

 

 

作業を続けながらも父親は語ってくる。

そしてタイマーが鳴り、蒸しあがった

出来立てほやほやの饅頭を1つ取り出す。

 

 

「でもな、そんなガキどもも‥

あいつらは、俺の希望でもあるんだ。

俺がしっかりしてねぇと、あいつらが困っちまう。」

 

 

「‥‥‥。それが新しい饅頭ですか?」

 

 

すごいお父さんで俺は感動して、

どこか温もりを感じた。そして出来上がった

饅頭に焼き印を入れてる所に俺は声をかける。

 

 

「あぁ、穂むまんをちょっと改良してな、

‥‥‥名付けるなら、『きぼう』だな。」

 

 

焼き印を離すとそこにはきぼうとかかれた

桃色の饅頭が仕上がっていた。

父親はそれを持って俺に食えと差し出してくる。

 

 

「あ、どうも‥‥あっつ、あちっ。

ふー、ふー、‥‥‥‥‥‥‥んー!うまっ!!」

 

 

出来立てで熱かったが口に入れる瞬間

甘い香りが漂い、中の甘い黄色い餡が生地と

非常にマッチして文句なしの美味さだった。

俺が夢中で食べてるのを父親は見て笑う。

 

 

 

「はっはっ!慌てなくてもまだまだあるぞっ。」

 

 

「え!?これ以上食べたら500個なんて

すぐ無くなりますよ!?」

 

「バカかっ。そんなに食えるわけねぇだろ。」

 

「あ、ですよね〜っ。」

 

 

少しだが、俺は穂乃果の父親と話すことが出来、

俺は凄い嬉しかった。

その光景を襖を少し開けて母親と雪穂が

こっそり見て笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

翌日の明朝、穂むらの外にて。

 

 

 

「ふぁ〜〜‥おはようございます晴希さん。」

 

「よっ、眠たそうだな雪穂ちゃん。」

 

 

翌日までに何とか500の饅頭を作ることが出来て

(俺も手伝わされた‥ちゃんと寝たから安心な?)

車に饅頭の入った可愛い箱に入れていた。

そして俺はきぼうの穂むまんを何個か食べている。

‥‥‥余分に作ったのを貰ったもんだよ。

 

「穂乃果は起きてないみたいですね。」

 

「あの子には夜更かしはキツかったのかしらね‥

無茶するんだからもう‥。」

 

 

俺が母親に聞くと母親は心配そうな顔で

2階の穂乃果の部屋をみる。

 

昨日は休んでいいと穂乃果と雪穂は言われたが

穂乃果はことり達を帰らせて

夜中の2時まで一緒に作っていた。

で、今は疲れ果ててダウンしてる訳。

 

「うし、それじゃあ行くか。」

 

「あ、お父さんっ。私も行く!」

 

積み終わった父親が運転席の

ドアを開けようとすると雪穂が助手席に乗る。

 

「おま、学校だろ?俺1人で行くから

お前は準備しとけ。」

 

「まだ時間あるから大丈夫っ。いいでしょ?」

 

雪穂はそう言ってシートベルトを締めて

行く気満々だった。

まぁ時間はまだ5時半くらいだしな。

行って帰っても余裕あるだろう。

父親は母親の顔を見て苦笑するなり

了承して車に乗り込んだ。

 

「‥クラーケン。」

 

そしてエンジンがかかると共に俺は

イエロークラーケンを呼ぶ。

 

「あの車を追ってくれ。」

 

 

クラーケンは頷くと車に張り付いて

車は走り出す。

一応、念のためだし後を追うか‥。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

成島屋百貨店にて。

 

 

 

 

 

 

「えぇっ?」

 

「おいっ!注文してないってどうゆうことだ?」

 

 

「穂むらさんでしょ?‥饅頭500個‥‥、

ん〜やっぱないな‥‥‥いや聞いてないんだよね。」

 

 

依頼主の言う通り饅頭500個を用意して

持ってきたのだがチェックしている従業員に

そんな物は発注していないと言われた。

 

「そ、そんなはずないです!昨日ちゃんと

注文を受けたんです!」

 

「桐谷さんを呼んでくれっ。和菓子担当の桐谷だ!」

 

雪穂と父親は従業員に必死に言うが

困った顔をして何処かへ行ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「残念ですが、不在なんですよ‥‥」

 

 

 

 

その時、他の発注トラックの横に

聞き覚えのある声が聞こえ雪穂と父親は

振り向く。

 

「あ、桐谷さん!」

 

「おい!饅頭500個の依頼はどうなってんだ!?

不在って目の前にいるじゃねえかよ!」

 

怒鳴る父親に桐谷はまるで

罠に掛ってもらったかの様に笑い出す。

 

 

「もういないんですよ‥‥、

桐谷という男は、3ヶ月前ほどに絶望して

死んでしまっておりましてね。」

 

 

「は?‥‥‥なに言ってやがるこいつ‥‥?」

 

 

「絶望って‥‥‥まさか‥‥‥!?」

 

首を傾げる父親に対して雪穂は顔色が変わる。

そして桐谷はニヤリと笑って顔に

怪物の顔が浮かび上がる。

 

 

「改めまして、ファントムのヴァルキリーと

申します‥‥‥。ふっふっふっふ‥‥。」

 

礼儀正しいお辞儀と共に桐谷は怪物態、

ヴァルキリーとすがたを変える。

それを見た周りの従業員や作業員たちは

悲鳴をあげて逃げ出す。

 

 

「っ!?ば、化け物!?」

 

「っ!‥‥‥そ、それじゃあ

毎日饅頭500個ってのは‥‥!?」

 

ヴァルキリーの姿を見るなり父親は驚き、

雪穂は怖じ気付きながらもヴァルキリーに聞く。

 

 

 

「ハッハッハッハッ!嘘ですよぉ。

そんなうまい話、あるわけないでしょぉ!」

 

 

 

とても卑劣な作戦にまんまと引っかかり

大爆笑をするヴァルキリー。

父親は車に積んである饅頭を見る。

 

 

「‥‥てことは何か‥‥‥

俺たちは騙されたってことか‥‥!

饅頭が‥‥全部無駄になっちまったのか‥‥!」

 

「‥‥そ、そんな‥‥‥!!」

 

 

「ハッハッハッハ!!いいですねぇ!

その顔っ!さぁ、お父さんの方は用済みです。

絶望して貰いましょうか!雪穂さんっ!!」

 

 

「ひっ‥‥‥!?」

 

 

ヴァルキリーは雪穂に手を出して近付こうとする。

雪穂はショックと恐怖で足が竦み、

ガチガチと震えていた。

 

 

 

 

 

「っ!うぉおおおっ!!!」

 

 

 

「んん!?こら!邪魔ですよ!」

 

 

すると父親がヴァルキリーのお腹に体当たりして

腰に手を巻きつけがっしりと掴む。

 

 

「逃げろ雪穂ぉ!早くっ早く行けえ!!」

 

「っ!お父さん!」

 

「邪魔、ですよ!フンっ!」

 

 

「ぐあっ!?」

 

掴まれてたヴァルキリーは難なく父親の

首を掴み、放り投げる。父親はトラックの

横面にぶつかり地面へ落ちる。

 

 

「さぁ、早く絶望して

新たなファントムを生み出してください〜!」

 

 

 

「ひっ‥‥お、お父さん‥‥!」

 

 

 

「逃げろ‥逃げろ雪穂おぉ!!」

 

 

 

雪穂に近寄るヴァルキリーを止めようと

身体を動かすが、先ほど吹き飛ばされた時に

足をくじいてしまい上手く立てずにいた。

必死に叫ぶが雪穂は倒れてる父親を見ると

その方向へ近寄る。

 

 

「‥‥何のつもりですか?」

 

 

「‥‥‥‥‥っ‥!!」

 

 

「ばっ!?よせ!雪穂!!」

 

 

雪穂は倒れてる父親の前に立ちはだかり

守ろうと両手を広げる。

 

 

 

「なるほど‥‥なら背後の男性が消えれば、

貴方は絶望するのですね‥‥。」

 

 

ヴァルキリーは納得する様に

自信の武器を取り出して構える。

雪穂もダメだと目を瞑ったその時。

 

 

 

 

 

「フッ!!」

 

 

「っ!?ぐあ!?ぐっ!!」

 

 

 

トラックの上から宙返りして着地して来たのは

仮面ライダーウィザードだった。

ウィザードは武器のウィザーソードガンを

銃モードでヴァルキリーを狙い

コントラクトリガーを引いて魔力でできた

弾丸をヴァルキリーに連発した。

 

 

「ぐぅっ!?指輪の‥魔法使い‥‥!!」

 

 

「あぶねぇ‥ギリギリセーフだな。」

 

 

 

「な、何だアンタは‥‥!?」

 

 

「晴希さん‥!」

 

 

ヴァルキリーとウィザードが睨む中

父親は目の前に現れた魔法使いを見て

警戒するが雪穂の発言でちらちらと二度見する。

 

 

「お、お前‥なのか‥!何だその姿‥‥!」

 

 

「これは、怪物から人々を守る為の姿です。

ここは俺がなんとかしますから、

雪穂ちゃんはお父さん連れて逃げろ!」

 

 

「は、はい!お父さんっ。」

 

 

ウィザードの言葉に雪穂は頷いて

父親の腕を肩に乗せて逃げる。

 

 

「どこまでも邪魔をしてくれます‥ねぇ!!」

 

 

「っ!?ぐがあっ!!」

 

 

ヴァルキリーの額が強く輝き

エネルギー弾を何発かウィザードに浴びせる。

ウィザーソードガンで受け止めきれなかった

ウィザードは積み立ててる別の発注品へ

ぶつかり倒れる。

 

 

「ふぅー!逃がしませんよぉ!!」

 

 

ヴァルキリーはウィザードを飛ばすと

逃げる雪穂達を見て羽を生やし、

飛んで後を追った。

 

 

「ぐっ!それはこっちも同じだっての!」

 

 

倒れた発注品の品を雑だが綺麗に積み重ねて

ウィザードはシフトレバーを動かし

左手の中指に付け替えたハリケーンリングを

ドライバーへとかざした。

 

 

 

《ハリケーン!・プリーズ

 

フーフー!フーフーフーフー!》

 

 

 

音声と共に

頭上に風の魔法陣が現れそこへ跳躍して

くぐり抜けるとウィザードはフレイムスタイルから

ハリケーンスタイルへと姿を変え、

風を纏ってヴァルキリーの後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちなさい!はぁっ!!」

 

 

 

ヴァルキリーは空中から光弾を放ち

逃げる父親と雪穂の周りに火花が散る。

 

 

「うおっ!?」

 

「お父さんっ!!」

 

 

その衝撃に父親は足に怪我を負い転んでしまう。

 

 

「今度こそ、貴方を絶望させれば

ノルマ達成です‥‥大人しく死んでください!」

 

 

「そうはいかないなっ!」

 

 

ヴァルキリーは地面に降り立ち

槍を振りかざそうとする所にウィザードが現れ

逆手持ちのウィザーソードガンで防ぐ。

 

「でやぁっ!」

 

「うっ!?おぁあっ!?」

 

そして身体に風を纏い回転斬りの要領で

ヴァルキリーに2、3撃を喰らわし、

吹き飛ぶヴァルキリー。

 

 

「んんっ!?頭にきましたよぉ〜‥!!」

 

ヴァルキリーは立ち上がると羽を生やし、

空中へ高く飛び立つ。

 

 

「さっきから同じ意見だな。俺もそのつもりだ。」

 

 

ウィザードはそう言いながら

ハリケーンドラゴンリングを取り付け

シフトレバーを上下に動かし、

ドライバーへとかざした。

 

 

 

 

《ハリケーン!ドラゴン

 

ビュー!ビュー!ビュービュー、

ビュービュウ!!》

 

 

 

荒々しい音声が流れウィザードの頭上に

一回り大きい風の魔法陣が現れる。

それと同時に風を纏ったドラゴンが

ウィザードの周りを咆哮を上げながら

飛び交いウィザードの中へ入り込み、

ウィザードはハリケーンスタイルから

ハリケーンドラゴンスタイルへと姿を変えた。

 

「な、さっきより全身緑になったぞ!?」

 

「あれ凄い強いんだよ!」

 

背後の2人はそう言いながら物陰に隠れ

ウィザードはスペシャルリングを

取り付けようとする。

 

 

 

「させません!ふぁっ!!」

 

 

上空にいたヴァルキリーが額に手をあて

先ほどより強力な光弾をウィザードに

降り注ぐ様に浴びせウィザードは爆発する。

 

 

「!晴希さんっ!!」

 

 

「‥‥‥‥心配すんなっ。」

 

 

爆発の中、ウィザードはスペシャルリングを

投げて右手の中指に上手いことはまり、

シフトレバーを上下に動かしてソレをかざした。

 

 

 

 

《チョーイイネ!

 

スペシャル!

 

サイコーッ!!》

 

 

音声が流れるとウィザードの背中に

魔法陣が現れウィザードは

浮上し、同時に魔法陣から

風を纏ったドラゴンがウィザードの背中から

身を包み込む様に翼を覆う。

咆哮を上げて背中にドラゴンの翼を宿した

ウィザードが風を振り払ってヴァルキリーを見る。

 

 

 

「ま、まさかお前も!?」

 

 

「そうらしいな。

さぁ、空中のショータイムだ!」

 

 

 

BGM 〜Blessed wind 晴希version〜

 

 

 

 

「ちぃっ!!」

 

 

ヴァルキリーは悔しげに舌打ちすると

そのまま街の方へ飛び交う。

 

「ふっ!」

 

ウィザードはドラゴンの翼を大きく羽ばたかせ

空中へと舞い上がると同時に周囲の風を纏い

ヴァルキリーに突進する。

 

 

「っ!?私の方が空中戦は得意ですよ!」

 

ヴァルキリーは突進攻撃をヒラリとかわすが

ウィザードはその素早い動きで

何度も突進攻撃を繰り出し、やがて、

 

 

「うぐぁっ!?」

 

「それで逃げたつもりか! ハァッ!」

 

 

かわそうとしたのを先読みしてウィザードは

ドラゴンの翼でヴァルキリーを斬りつける。

ヴァルキリーは一旦距離をとろうと

ウィザードから離れて秋葉原の街を再び飛ぶ。

それはウィザードも同じだった。

 

 

「フゥ!長時間飛べるんだな!

やるじゃねぇのドラゴンっ!」

 

 

自分が飛べたら誰だってこんな気持ちになるだろう。

ウィザードは戦いながら

秋葉原の空中を存分に満喫した。

 

 

「くっ‥ここは一旦離れて‥」

 

「行かせないぜ!」

 

 

「っ!?私より速いだと‥!?」

 

 

先回りしたウィザードはヴァルキリーの

前を浮遊し、ウィザードはサンダーリングを

取り付けてシフトレバーを動かし

サンダーリングをかざした。

 

 

 

 

《チョーイイネ!

 

サンダー!

 

サイコーッ!!》

 

 

音声が鳴り響くとウィザードはヴァルキリーの

周りを徐々にスピードを増して周囲を

何度も旋回しながら飛行する。

 

 

「っ!な、何だ!?」

 

すると秋葉原の上空に緑の竜巻とその頭上に

巨大な雷雲が出来る。

ヴァルキリーはそこから逃げ出そうと

竜巻の上へと浮上する ‥‥‥が。

 

 

 

「‥‥‥!!ぐぁあああっ!!?」

 

 

頭上から発生させた雷雲からの強力な落雷が

ヴァルキリーを襲う。

 

 

 

「きゃあっ!?」

 

 

「うお!朝っぱらから雷っ!?」

 

その衝撃は遠くにいる雪穂や父親にも走り

言ってしまえばかなりうるさい。

 

 

 

「さぁ!フィナーレだ!!」

 

 

ウィザードはさらにスピードを増して

ヴァルキリーを覆う竜巻に電撃が発生する。

 

 

 

「うっ、うっ!うぁあああああっっ!!」

 

 

逃げ場を失ったヴァルキリーは

竜巻の電撃と強力な落雲を喰らい

一瞬で焦げてチリとなった。

 

 

 

 

「‥‥‥っと。‥‥‥ふぃ〜。」

 

 

ウィザードは近くのマンションの上に

降り立ち、身体の力を抜いた。

 

さっきの技。名付けるなら

〝ドラゴンソニックサンダー〟と

言ったところだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

音ノ木坂学院 お昼休みにて。

 

 

 

 

『明朝の朝6時頃に突如秋葉原の上空に現れた

巨大な竜巻と落雲。専門家では何かの

前触れではないかと予測できない現象が

起きています。さらに驚く事に

この竜巻の中に人影らしき物が見えてる事が判明し、

これを調べる専門家を慌てさています。

現在秋葉原の周囲の市民の目撃情報をーーーーー』

 

 

 

「‥‥‥‥‥これ、晴希君だよね?」

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥。」

 

 

お昼の中庭、穂乃果はスマホでニュースを出して

ことりと海未との3人で俺を見ていた。

今朝戦ったヴァルキリーとの戦闘で

テレビに載ったのだ。

穂乃果が俺に聞くと俺は大量の汗を流して

目を逸らしていた。

 

「し、仕方ないだろ!?倒したんだから

結果オーライじゃん!」

 

 

「晴希。」

 

 

「すみません、マジでごめんなさい。」

 

海未のマジ顔に謝る俺。

うぅ‥あの必殺技はしばらく控えておくか‥。

 

 

「‥‥穂乃果ちゃんは大丈夫‥じゃないよね‥。」

 

ことりがふと思い出して悲しい表情で

穂乃果を見る。

饅頭500個の件は見事に騙されて

その500個は全て無駄になった‥と

思ってるのだろう。

 

 

「あはは‥だ、大丈夫だよ!

穂乃果はへーきへーき!‥‥

でもお父さん、ショックだったろうな‥

せっかく一生懸命作ったのに‥‥。」

 

 

「‥‥‥‥まぁ、作った甲斐、あったかもよ?」

 

 

「「「え?」」」

 

落ち込む穂乃果に俺がにやけながら言うと

ふと、穂乃果のスマホのバイブがなる。

 

 

「あ、お父さん‥‥もしもし?」

 

 

穂乃果は画面を確認して通話に出た。すると

 

 

 

「え、えぇえええええっ!?

う、うん‥うん!わかった‥‥!じゃあ、」

 

 

「ど、どうしたのですか穂乃果っ?」

 

 

通話を切り海未が尋ねるとプルプルと身体が

震えて俺たちを見る。

 

 

「な、なんか本物の和菓子担当者と

取材が来て‥、きぼうの穂むまん、

是非作ってくれっ‥って言われたんだって。」

 

 

「「‥‥‥えぇええええっ!?」」

 

 

穂乃果がそう言うと海未とことりは

ベンチから飛び上がる。

 

 

「は、晴希君!どうゆうことっ!?」

 

 

「あぁ、実は今朝雪穂達を追ってる途中で

道路の真ん中に突っ立ってる人がいてな。

注意してたらその人は和菓子担当の店の

社長だったのよ。新しい和菓子が思いつかないと

ボーっとしてたら道路の真ん中にいたらしくて、

たまたま持ってたきぼうの穂むまんを渡したら

偉く高評価だったらしい。」

 

 

「‥で、今の状況になった‥って事?☆」

 

俺の解説にことりが付け加えて

そゆこと、と俺は頷いた。

 

 

「なんか勝手な事してごめんな。

多分帰ったら両親大忙しだと思うぜ。」

 

 

 

 

「‥‥もぉ、いつも助けてもらってばかり‥。」

 

俺が苦笑しながら穂乃果に謝ると

ボソリと何かを呟いた。

 

 

「え?なんて言った??」

 

 

「ううん!何でもない!あ、晴希君

ドーナツもらうね!」

 

 

俺が聞くと穂乃果は首を横に振り

俺が食べてたプレーンシュガーを

1つとって口へ運んだ。

 

「がぁあっ!?俺のドーナツ!?」

 

 

「んー!今日もパンが美味い!」

 

「美味いじゃねえよ!俺の魔力の源だぞ!?」

 

 

「では私もお1つ。」

 

 

「ことりも〜☆」

 

海未とことりも穂乃果に続いて

プレーンシュガーをとる。

そして手元のプレーンシュガーは

自分の持ってる食べかけだけだった。

 

 

「あぁちょっ!?お前ら

いい加減にしろぉおおおお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

東京空港にて。

 

 

人々が空港を行き来する中

1人の少年がギラギラと差し掛かる

日差しを見ていた。

 

 

「‥‥‥やっと着いたぜ、日本!

ここにあいつらがいるんだな!」

 

 

毛皮のジャケットに豪快なライオンヘア、

大きなカバンとトランシーバーを持った

少年は1枚の写真を取り出す。

そこには穂乃果達と晴希が写っている写真だった。

 

 

すると少年のお腹が突然鳴り出す。

 

 

「あぁ‥‥‥は、腹減った‥‥食いもん‥‥。」

 

 

少年はお腹をおさえながら空港から出る。

写真の右上に書いてある住所、そこには

秋葉原と書かれてあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

 

「さて、あの少年。どれほどのものか

見せてもらおうか。」

 

白い魔法使いが睨む先には

日本に上陸した少年だった。

 

 

「今の内に逃げろ。」

 

「テメェ!?俺の飯に何しやがる!?」

 

「えぇ?」

 

グールに襲われる少年を助けるウィザードだが

逆に怒られた!?

 

 

「紫の‥魔法使い‥‥っ!」

 

「派手にやられてんなぁ‥傑作だわっ。」

 

久々に紫の魔法使い、秀夜登場!

そしてその先のファントムと交戦!

 

 

「やっと飯にありつけるぜぇ!!」

 

「マジか‥」

「マジで‥?」

「マジ、だね‥。」

 

ファントムに立ち向かうのは‥

獣の戦士!って‥マジですか!

 

 

 

 

第20話 マヨラーな魔法使い

 




ん〜‥バイトキツかった‥はい‥

はい、色々と死にそうなしょーくんです。
次回はマヨラーなあいつのご登場!
頑張ってかくぜぇ( ゚д゚)

評価、感想など是非、お待ちしてます(^^)

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