ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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今回はUA記念ストーリーを
考えていましたが
ご都合により
少しストーリーを進める事にしました。
(>_<)
出来たら次回の次辺りでやる予定です!
あくまでも予定です( ゚д゚)


絵里「ハラショー!初めまして作者さん。
もうストーリーは決まったのかしら?」


ふおおおおお!絵里ちゃーん(((o(*゚▽゚*)o)))
決まったんだぜ!記念ストーリーの内容は
大体頭に入ってるぜい!

絵里「そ、そうなの‥‥‥。」

晴希「これが作者さんですよ絵里先輩。」

絵里「なんというか‥騒がしいお方ね‥。」



第18話 穂むらの和菓子

秋葉原、電気街にて。

 

 

「おーい穂乃果っ。もう終わったかー?」

 

「あ、うんーっ!もう大丈夫だよー!」

 

「じゃあ行きましょう。」

 

7月の中旬に差し掛かる休日、

本格的に暑くなり 人混みが蒸し暑い中、

俺こと操真晴希と

μ'sの高坂穂乃果と、園田海未は

穂乃果の親に頼まれおつかいに来ていた。

 

オープンキャンパスも無事終わり、

結果はかなりよかった。これならまだ

希望があるかもしれないと

理事長も喜んでいたしな。

そして何より、新たにμ'sに加わった

生徒会長の絢瀬絵里と東條希が加入して

9人になったμ's。まさに9人の女神って感じ。

 

「よしっ、帰りますかな。」

 

「うんっ!」

 

「はい。」

 

俺は買い物袋(まぁ荷物持ち)を受け取り

穂乃果の家、穂むらに戻ることにした。

 

「海未ちゃんっ、ことりちゃんは

今日はこれないんだよね?」

 

「はい、用事があるとか何とかで

今日は来れないと言ってました。」

 

2人の言う通り、いつも3人いるもう1人の

メンバー、南ことりは今日はいない。

とゆうか、最近休日は穂乃果曰く、

あまり遊んでないらしい。

家庭の事情か何かだろと俺は思い込んでいるが。

 

「‥ま、誰だって用事くらいあるさ。」

 

「ん〜気になるけど‥、って晴希君!

その指輪はっ!?」

 

「晴希、新しい指輪ですか?」

 

俺はふと、昨日家の机に置いてあった

ウィザードリングを取り出して眺めていると

穂乃果と海未がくいついてくる。

 

「お、気付いた?そうなんだよ、しかも2つっ。」

 

「おー!‥ん?これって‥‥‥。」

 

「あのドラゴンの指輪と似ていますね‥。」

 

俺が取り出したのは変身リング、

ハリケーンリングによく似た指輪だった。

もう一つは魔法リングでドラゴンが落雷を

落としてる絵柄の指輪。

そして海未の言った通り、変身リングは

フレイムドラゴンリングと同じ様に

額辺りに別の宝石が入っており角らしき物もある。

 

「こいつもまたドラゴンの力なのかもしれないな。」

 

「凄〜い!また晴希君パワーアップするんだね!」

 

穂乃果はハリケーンの指輪を取ると

エンゲージのハメてる右手ではなく

左の中指にハリケーンの指輪をつけて

そう言った。

 

 

「よぉし!穂乃果も負けてられないよ!

街を脅かす怪物!今すぐ出てこーい!」

 

「あ、穂乃果っ!」

 

穂乃果はそう叫んで走り出した。

海未が呼び止めるにも無邪気な彼女は

そのまま走っていく。

 

「なんか、変なスイッチ入ったか?」

 

「調子に乗るといつもこれです‥。」

 

全く穂乃果は‥と、ため息を吐く海未。

その気持ちは重々分かる。

 

 

 

 

 

 

「アンタって本当最低!!」

 

 

ふと、声のする方に俺と海未が振り向くと

若い男女が喧嘩してて女性は男性に

痛そうなビンタをしていた。

 

「うはぁ‥、可哀想‥‥。」

 

「何か悪い事でもしたのでしょうか?」

 

遠くから見ていた俺たち、するとそこへ。

 

 

「待ちなさい!」

 

帰ろうとする女性にさっき走って行った

穂乃果が女性の前に立ちはだかっていた。

 

 

「今、あの人を絶望させたねっ!」

 

「‥は?アンタ誰?」

 

 

突然現れた穂乃果に女性は苛立ちながらも

首を傾げる。いやちょっと嫌な予感しかしない。

穂乃果は人差し指を突き出して

口を動かした。

 

 

「貴方はもしかして、ファントムじゃないですか!?」

 

 

「え?‥フ、ふぁんと??」

 

 

「人を絶望させる怪物、ファントム!

貴方の運命は‥‥私が決めるよ!

 

‥痛い!?」

 

 

 

 

 

「あぁー!ごめんなさい!この子

最近熱っぽくてたまにおかしなこと

言うんですよっ!」

 

「本当にすみません!

穂乃果! 治りましたか?

はい、では、失礼致します!」

 

「え、あ、はい。」

 

顔の横に親指を立てて何処かで

聞いた事のある台詞を言った穂乃果に

俺は魔法陣で取り出した

ハリセンで穂乃果の頭を叩いて

海未と一緒に慌てて止めに入り

穂乃果を連れてその場を逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

「はぁ‥はぁ‥、ちょいと穂乃果っ。」

 

「穂乃果、貴方何を考えて‥‥」

 

 

恥ずかしすぎて結構遠くまで逃げた

俺たちは穂乃果を説教しようと

背後から付いてきたであろうと振り返る。

 

 

 

「「って、いない!?」」

 

だがそこには穂乃果がいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ‥うぅ‥えぇーん〜‥!」

 

 

「君!もしかしてファントムに

泣かされたの!?」

 

 

目を離した隙に穂乃果は石段に座って

親と逸れたのか泣いている男の子に

近寄る穂乃果。

 

 

「絶望したらダメだよ!

絶望が貴方のゴールになっちゃう!

だから諦めずに希望を持って!

明日へ‥さぁ、振り切ろう!」

 

 

「ちょ、ちょっとあなた!うちの子に

何してるの!?」

 

 

変な台詞を言いながら勘違いで男の子を

元気付けているとその母親であろうお方が

穂乃果に走って近寄ってくる。

 

 

 

「あ、私は高坂穂乃‥ぶっ!?」

 

 

 

 

「すみません怪しい者ではないんですよ〜!」

 

「そうなんです!ほら謝ってください!」

 

見つけた俺と海未は穂乃果の頭を無理矢理

何回か下げてその場から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ‥はぁ‥!おい穂乃果!」

 

 

「全くいい加減に‥‥!」

 

 

逃げ出した俺たちは今度こそ説教しようと

振り返るが‥‥

 

 

「「またいない!?」」

 

穂乃果の姿は何処にもなかった。

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥。」

 

 

「怪しい‥‥今度こそアレはファントム‥。」

 

 

 

物に隠れて一部しか見えないが

赤い触手な様なものが見える穂乃果は

岩陰に隠れてその物体を見ていた。

そして穂乃果は勇気を出して飛び出す。

 

 

「見つけたよファントムっ!」

 

 

「‥‥‥っ!?」

 

 

飛び出した穂乃果が叫ぶ先には

タコのぬいぐるみを着た人物だった。

その手に持たれているのは

『たこ焼き只今セール中!』と書かれた

チラシだった。

見るからにファントムじゃない事は

子供にでも分かるだろう。

 

 

だがしかし、

 

暴走した穂乃果は止まらなかった。

 

 

 

 

 

「繋がったよ‥‥今の私の脳細胞が

トップギア‥‥。ファントム!

ひとっ走りつきあってもらぅぐ!?」

 

 

 

 

「バカヤロ!お邪魔しましたー

あ、海未さん、たこ焼き美味しそうダネー」

 

「そ、そうですねー!一枚貰って

いいですかー?ありがとうございますっ。

失礼しますー!」

 

 

また早とちりしてる穂乃果を見つけて

俺と海未はチラシを一枚貰い

穂乃果を連れてその場から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

「「穂〜乃〜果〜‥‥‥!!」」

 

 

 

「ご、ごめんなさい‥‥。」

 

 

今度はまた何処かに行かないように

穂乃果の周りに晴希の使い魔を見張らせ

俺と海未は説教をしていた。

 

 

「お前、空回りしすぎ‥。

あんなに騒いでたらファントムも

逃げちゃうから。」

 

「勝手に決め付けてたら他の人に

迷惑がかかりますっ、次したら許しませんよ、

いいですね!?」

 

「は、はい‥‥。」

 

2人に説教されてシュンとなる穂乃果。

‥まぁ穂乃果なりに役に立ちたかったのだろう。

すると俺のお腹がぐぅ〜と鳴る。

 

 

「ん、とりあえず、もう取り乱すなよ?

うし、ちと早いが帰る前にどっか食べに行くか!」

 

「そうですねっ、さっきのたこ焼き

買いませんか?セール中でしたし。」

 

 

「あ、穂乃果もたこ焼き食べたい!」

 

 

穂乃果はケロッと立ち直り、

たこ焼きに目を輝かせた。

俺と海未は思わず笑い、先ほどの

ぬいぐるみを着た人物の所へ行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

マンションの屋上にて。

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥。」

 

「‥‥おっせぇな。」

 

 

「どうもどうも!お待たせして

申し訳ございません!」

 

 

メデューサとフェニックスが待機していると

行儀よくマンションの扉から入ってきた

騎士の様な姿をしている

ファントム、〝ヴァルキリー〟が現れた。

 

 

「おせぇぞヴァルキリー!」

 

 

「すみませーん‥、上司の人間に

捕まってしまいまして‥、

あんまりうるさいので、顎。

潰してやりましたよぉ!エヘヘへ!

トマトジュースみたいに血が湧き出ながら

もがいて苦しみ死ぬ姿、もう大爆笑ですよ!」

 

ペラペラと恐ろしい事を喋る

ヴァルキリーにフェニックスはご機嫌になる。

 

「ハッハァッ!いいねえっ!

だがなヴァルキリー、やり過ぎるなよ?」

 

「はい?」

 

ヴァルキリーの肩に腕を置いて

フェニックスはメデューサに指を突き立てる。

 

「うちの上司様は、おっかないからよ。」

 

「‥‥ヴァルキリー。」

 

「はい〜?」

 

先ほどから睨むメデューサは

ヴァルキリーの名前を呼ぶ。

 

 

「お前に頼みたい仕事が出来た。」

 

「はいはいはいっ、メデューサ様の

ご命令とあらば、喜んで!」

 

 

ヴァルキリーは上司を煽てる様な

感じでメデューサに近寄る。

 

 

「少々厄介だが、お前にピッタリの仕事よ。

‥絶望させ、新たなファントムを生み出しなさい。」

 

「かしこまりました。」

 

メデューサは一枚の写真を取り出して

ヴァルキリーに渡す。ヴァルキリーは確認すると

屋上から飛び降りてその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

穂むらにて。

 

 

 

「あら、美味しいじゃないこのたこ焼き。」

 

「うんっ、これは美味しいよっ。」

 

お遣いに行って穂乃果の暴走もあったが

なんとか穂むらに帰ることができた俺たち。

帰る前にたこ焼きを買ったんだが

これが美味しいのなんの笑

70代のおばあちゃんが作ってたんだけど

かなりの腕前だった。

で、余分に持って帰ったのを穂乃果のお母さんと

妹の高坂雪穂に食べさせてるのだが

2人も高評価だった。

 

「もー、2人ともそんなに食べたら

豚みたいに太っちゃうy」

「フンッ!」

 

「あぐっ!?」

 

穂乃果が笑いながらそう言いかけた瞬間

お母さんが側にあるティッシュ箱を投げて

顔面に直撃した。

 

「‥ええと、穂乃果のお父さんは‥?」

 

「え?あぁ、あの人なら今厨房よ。

お得意様用の和菓子を作ってるの。」

 

穂乃果のお父さんにもたこ焼きを買ったのだが

いつも厨房にいるため中々顔を出さないのだろう。

俺も見たことあるのは‥2、3回ぐらいかな‥?

あまり喋らないし本当親方みたいな感じで怖いし‥。

 

 

「っとゆうか、おばさん

手伝わなくていいんですか?」

 

「大丈夫よっ。あの人厨房には

あまり他の人いれないから。」

 

「私も手伝おうとすると追い出されるんだよ!」

 

それはお前の料理スキルがダメなんじゃ‥。

穂乃果のお母さんに続いて穂乃果が

そう言うが俺は心の中で静かに突っ込んだ。

 

 

「ほら、買い物も済んだし部屋に戻るよっ。

海未ちゃん、晴希君っ。」

 

穂乃果がそう言って立ち上がり、

ちょっと不機嫌そうに

2階へと上がって行った。

 

「あ、穂乃果っ‥‥‥ったく。

海未、行こうぜ。」

 

「そうですね、ではおばさま、また後ほど」

 

 

「はいはいっ、たこ焼きありがとね。

晴希君、海未ちゃん。」

 

「ゆっくりしてねー、美味しかったよ〜っ。」

 

海未が挨拶すると母親と雪穂は

たこ焼きを食べながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、雪穂。」

 

「んんー?何、お父さん?」

 

晴希らと入れ違うように奥から

穂乃果のお父さんが暖簾を上げて顔を出し

雪穂の名前を呼ぶ。

 

「和菓子出来たから持って行ってくれ、

いつものお得意様のやつだ。」

 

「えー、あそこの人偉そうだから嫌だよ〜。」

 

「文句を言うな、厨房の前に置いてるから

頼んだぞ。」

 

父親はそう言ってまた厨房へと戻っていった。

 

「めんどいな〜、お母さん持って行ってよ〜」

 

 

「こら雪穂、そんな事言っちゃいけません、

お母さんは店番あるから出れないわ。」

 

「そう言って実は持って行きたくないんでしょ?

‥わかったよ、持っていくよ。」

 

雪穂は気だるそうに立ち上がり、

服を着替えるため部屋へと戻っていき、

数十分後、 軽く上に着た雪穂は

厨房へと行き、 お得意様の和菓子を

包んだ風呂敷をもった雪穂が出てくる。

 

「じゃあ、お母さん。

行ってくるねー。」

 

「行ってらっしゃい、気を付けて運ぶのよ?」

 

母親の忠告にはいはいと受け流して

店を出て行く雪穂。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

穂むら2階。

 

 

 

「お母さんもひどいよね!娘の顔に

ティッシュぶつけるなんてっ。」

 

「あれは明らかに穂乃果が悪いのですよ?」

 

「穂乃果本当の事言っただけだもん!」

 

穂乃果‥世の中言っちゃいけない事も

あるんだよ?‥‥と言いたかったが

なんか言われたらめんどいので

俺は心の中にソレは閉まっておいた。

 

 

「にしても、本当穂乃果のお父さんは

あんまし見ないな〜。」

 

「私は何度も会ってますし

よく会話もしますよ?」

 

「え、マジで?」

 

 

俺の問いにはいと頷く海未。

んー、人見知りなのか‥?あの人が

よく会話するとこって‥ダメだ、

想像できない。

 

 

「もおっ、2人ともやめてよ。

お父さんの会話なんてっ。」

 

そう思ってる側で隣の穂乃果が

饅頭を食べながら言ってくる。

 

 

「え、何でだ?」

 

 

「今喧嘩してるらしいですよ。」

 

 

海未の言葉にあ〜 と理解する。

まぁ、年頃だもんな。

 

 

「お父さんなんて嫌いだよっ、

何かとケチつけるしアイドルをやるって

言った時は反対されたし

穂乃果の言うこと全然聞いてくれないんだもん。」

 

などとぐちぐち文句を言って

頬を膨らませる穂乃果。

 

 

「コラ、嫌いとかそうゆうことを

言っちゃダメだろ?一応親なんだから

親孝行とかもしてやらないと‥」

 

「してるよ!店番!」

 

少しドヤ顔で威張る穂乃果に俺は

ずっこけてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「よっと、‥重いなあ‥。」

 

 

 

穂むらと書かれた風呂敷を持った

雪穂は両手で持ちながらいつも頼んでくれる

料亭へと配達に行っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お忙しい所すみません。」

 

 

 

 

「え?」

 

 

ふと、男性らしき声が聞こえ

背後を振り返る。

が、誰もいない。

辺りを見回しても小さな小道なので

人の姿はどこにもない。

 

 

「やだなぁ、上ですよ、上。」

 

 

雪穂はその声に言われるがまま

上に顔を上げると遥か上空に

浮いてる物体を見つける。

 

 

「え?何あれ‥?」

 

刹那。

 

 

「は じ め ま し て」

 

 

 

「っ!!?きゃあぁぁあっ!?」

 

 

点で見える距離の物体が一瞬で

雪穂の目の前まで近寄りその物体、

ヴァルキリーは雪穂に挨拶する。

化け物が出てきた雪穂は

恐怖と一瞬で目の前まで来た化け物に

驚き、悲鳴を上げて足を竦んでしまう。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

穂むらにて。

 

 

 

「相変わらずここの和菓子は美味しいな。」

 

「えぇー!?穂乃果飽きたよぉ!

パンとかそっちが食べたいー!」

 

「和菓子屋の娘が駄々こねてどうするんですか‥。」

 

 

海未がため息を吐いて寝そべって

手をバタバタさせる穂乃果を見てると

窓をコンコン叩く音が聞こえて皆は振り向く。

 

「あ、ユニちゃん。」

 

穂乃果が反応する先に小さな青い馬がいる。

それは晴希の使い魔、ブルーユニコーンが

部屋の窓を外から叩いていた。

 

 

「‥出たな、ファントムっ。

悪い、ちょっと行ってくる!」

 

ユニコーンの知らせに俺は理解して

立ち上がる。そして急いで

部屋から出て行った。

 

 

 

 

「晴希君、お気を付けて。

‥‥‥どうしました、穂乃果?」

 

 

「‥‥‥私も行ってくる!」

 

 

無事を祈る海未に対して穂乃果が黙っていた。

そして海未が聞くと穂乃果は立ち上がり

部屋から飛び出していった。

 

「えぇ!?ちょ、穂乃果!」

 

海未が呼び止めようとするも、

既に階段を降りて穂むらから出て行く姿を

2階から確認した。

 

「あぁ!‥ユニさんっ、穂乃果の護衛

お願いできますかっ?」

 

窓にいるユニコーンに海未がそう言うと

ユニコーンは頷き、走っていく穂乃果の

後を追って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

「ば、化け物!?‥‥もしかして、

お姉ちゃんや亜里沙の

言ってたファントムって奴!?」

 

 

「おやおや、私達の事をご存知でしたか?

それは光栄でございますねぇ。」

 

 

じりじりと後ずさる雪穂にヴァルキリーは

自分の事を知ってて嬉しいのか軽くお辞儀をする。

 

「では、少しよろしいでしょうか?

お時間は取らせません、すぐに済みますよ。」

 

そう言ってヴァルキリーは自分の武器なのか

それなりに大きい槍を取り出す。

 

「‥‥‥っ!!」

 

 

雪穂にとってソレは凶器にしか見えなかったので、

風呂敷を抱えてその場から走る。

 

 

 

「おやおや?鬼ごっこですか?

ですが言ったはずです、お時間は取らせませんと」

 

 

 

ヴァルキリーはそう言うとその場から

跳躍し、一気に雪穂の目の前へと着地する。

 

 

 

「きゃあぁっ!!?」

 

 

雪穂は驚いて腰が竦んで倒れ込む。

 

 

「ひっ‥‥!?」

 

「では、失礼します‥‥‥」

 

 

倒れ込んだ雪穂にその槍を構えて

雪穂へと振り下ろした。

 

 

だが斬ったのは雪穂ではなく、

手に持っていた和菓子だった。

和菓子は真っ二つになり中身が出て

地面へと落ちる。

 

 

 

 

「あっ‥‥‥!!」

 

 

 

「はっはっはっは‥‥っ、

良いですねぇ、その顔‥」

 

 

 

「でぇやぁっっ!!」

 

「!ぐあっ!?」

 

 

ヴァルキリーが雪穂の顔を見て笑っていると

隣から走ってきた晴希のジャンプキックを

もろに受けて吹き飛んだ。

 

 

「っと!‥って雪穂ちゃん!?

怪我は‥‥!?」

 

 

「は、晴希さん‥私は‥でも‥‥‥」

 

 

地面へ着地して狙われてるのが

雪穂だと知って驚く俺。

怪我はなさそうだが隣に無残にも散らばっている

和菓子を悲しい顔で雪穂は見る。

 

「これ‥もしかしてお得意様の‥‥?」

 

「‥‥‥。」

 

雪穂は和菓子を確認するが中身も

グチャグチャになっててとても人に出せれる

状態ではなかった。

 

 

 

「ぐぅっ、指輪の魔法使い!」

 

 

「‥あぁどうも、お怒りの指輪の魔法使いです。」

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

ヴァルキリーが立ち上がりながら

俺を呼ぶと俺は静かに怒り、

ドライバーオンリングをベルトにかざし、

ベルトはウィザードライバーへと形を変えた。

そしてヴァルキリーと向き合うと

俺はシフトレバーを上下に動かす。

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

 

テンションの高い待機音声が鳴り響き、

俺はフレイムリングを左手の中指に付ける。

 

 

「変身。」

 

 

フレイムリングのバイザーを下げながら

魔法の言葉を言ってドライバーへとかざす。

 

 

 

 

《フレイム!プリーズ

 

ヒーヒー・ヒーヒーヒー!!》

 

 

 

「っ、暑っ!?」

 

 

音声が鳴り、俺は左手を横へ振り上げる。

雪穂の目の前に魔法陣が現れ

その魔法陣の熱波に雪穂は顔を隠す。

 

そして魔法陣は俺の身体を通り抜けると

仮面ライダーウィザードへと姿を変えた。

 

 

「えっ‥これがウィザード‥‥!」

 

 

「雪穂ちゃんの目の前で変身するのは

初めてだな、危ないから下がってろ‥ハッ!」

 

 

驚く雪穂にそう言いながらウィザードは

ウィザーソードガン、銃モードでヴァルキリーに

構えてコントラクトリガーを引く。

 

 

「っ!うっ!?」

 

 

いきなり向けられ撃たれるヴァルキリーは

銃弾を喰らい、後ずさる。

 

 

「お前、甘い物食べたいなら店で食えよ。」

 

 

「ふっ、ご親切にどう‥も!」

 

 

ヴァルキリーは言い切ると槍を構えて

ウィザードへ降りかかる。

 

「っ!はっ!」

 

ウィザーソードガンを剣モードに変えた

ウィザードはその槍を防ぎ、斬りかかる。

 

「はっ!」

 

「でいっ!!」

 

お互いの武器がぶつかり、火花を散らす。

ウィザードは一旦距離を取り

ランドリングを取り出して

フレイムリングと交換するように取り付ける。

そしてシフトレバーを上下に動かし

ランドリングをかざした。

 

 

 

《ランド!・プリーズ

 

ドッドッ ドドドン・ドン ドッドッドン‼︎》

 

 

 

音声と共に左手腕を真下に向けると

黄色い魔法陣と無数の岩が浮かび上がる。

その魔法陣はウィザードの身体を真上へと

通り抜けるとフレイムスタイルから

ランドスタイルへと姿を変える。

 

 

「ふん〜、色が変わるとどうなるんです?」

 

 

「こうなるのさ、ハッ!!」

 

ヴァルキリーが警戒しながら問い掛けると

ウィザードは答えてウィザーソードガンを

振りかざす。受け止められるほど大雑把な

動きでヴァルキリーは笑いながら槍で

受け止めようとする。

 

「っ!?ぐはっ!!」

 

だが、ランドスタイルの力にヴァルキリーは

受け止めきれず肩を切られてその場に膝をつく。

 

「よっとっ!!」

 

 

「ぐあぁあ!!」

 

その状態でウィザードは回し蹴りを

ヴァルキリーに当て、重い一撃を喰らった

ヴァルキリーは隅に置いてある工事道具や

ドラム缶に突っ込み倒れる。

 

 

「んんっ!‥‥今回のノルマは果たした

事ですし、撤収しましょうかねぇ‥!」

 

 

「っ!」

 

 

ヴァルキリーの額が強く輝きだし、

ウィザードは察してディフェンドリングを

右手の中指に付けてシフトレバーを動かしながら

ウィザードライバーへとかざす。

 

 

 

《ディフェンド!・プリーズ》

 

 

「ハァッ!」

 

「フンッ!」

 

 

ヴァルキリーから放たれるエネルギー弾に

ウィザードはディフェンドで作った

即席の分厚いコンクリートの壁で防ぐ。

 

 

「ふっふっふっふ‥‥。」

 

 

エネルギー弾を放ったヴァルキリーは

静かに笑ってその場から去った。

 

 

「っ!‥逃げられたか‥。」

 

「晴希君ーっ!」

 

 

壁で見えなかったのかディフェンドを解くと

目先にヴァルキリーの姿がどこにもなかった。

 

変身を解くと遠くから声が聞こえ

しゃがみこんでる雪穂と一緒に振り返る。

 

「穂乃果!お前何でここに!?」

 

「あ、お姉ちゃん‥。」

 

 

 

「心配だからついてきて‥って雪穂!?

えぇ!?もしかして雪穂がゲート!?

大丈夫雪穂!?」

 

「わ、私は大丈夫だよ‥。」

 

 

現れた穂乃果は雪穂を見るなり驚く。

ってそれどころじゃないな。

 

「雪穂ちゃん‥‥それ‥やっぱダメか。」

 

 

「‥‥はい‥。」

 

「これって、料亭の和菓子‥?」

 

俺と穂乃果が近寄ると雪穂はグチャグチャになった

和菓子を持って立ち上がる。

 

 

「‥これはどうしようもないな‥、

とりあえず事情を説明しに行こう。

俺も一緒に行くから。」

 

 

「はい‥‥あ、その前に

お父さんに電話しないと‥‥。」

 

 

雪穂はスマホを取り出して電話をかける。

親に叱られると思うような顔で嫌々電話する

雪穂を見て俺は申し訳ない気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

料亭にて。

 

 

 

 

「は?化け物に襲われて、

お菓子が全部ダメになった?」

 

 

「「も、申し訳ありませんでした!」」

 

 

いかにも口うるさそうな料亭の奥様に

雪穂と穂乃果は深々と頭を下げる。

 

 

「納品が出来ないならまだしも、

化け物だなんて、子供だって

そんな言い訳しないわよ!ごまかさないで

ちゃんと理由をおっしゃい!」

 

「ご、誤魔化してなんか‥」

 

 

「本当なんです、信じられないかもしれないですが‥」

 

「信じられるわけないでしょ!?」

 

雪穂と俺が必死に言い訳しようにも

信じてもらえず奥様の怒りは増すばかりだ。

変身して見せるか‥?いや、こんな頑固の

奥様じゃ化け物見せない限り難しいか‥。

 

 

「でもっ!」

 

 

 

 

「黙れ雪穂!」

 

 

 

突然、背後から男性の声が聞こえる。

振り返るとそこには海未と強面のおっさん‥

あれって、穂乃果のお父さんじゃん!

 

「お父さん‥っ。」

 

「〔穂乃果っ、晴希、無事ですか‥!?〕」

 

海未は空気を読んで小声で俺と穂乃果の

心配をしてくる。2人は何ともないので

お互いが頷き、海未はほっと腕を撫で下ろす。

だが問題は‥、

 

 

 

「‥うちのモンが失礼しました。

これ、早急で作った代わりのお品です。

短時間で作ったので揃ってない物もありますが

その代わりにお詫びの印にいくつか饅頭を

追加させていただきました。

誠に申し訳ありません、今日はこれで

許してもらえないでしょうか?」

 

父親は何度も深々と頭を下げて

そう言ながら新しい風呂敷を渡す。

え、この短時間でその量を‥?

何この人、神ですか?

 

「‥‥確かに、ほとんど注文してたのと同じですね。

‥‥今回はいつもお世話になってる穂むらさんの

顔に免じて大目に見ときましょう。」

 

 

「もちろん、代金はうちの方で保たせて

いただきます。この度は‥、

誠に申し訳ごさいませんでした。」

 

「「‥‥!」」

 

父親が頭を下げると雪穂と穂乃果も一緒に

深々と下げる。

 

 

「‥‥娘さんにも厳しく言うといてください。

子供染みた言い訳をするのは気分が悪いですから。」

 

そう言って奥様は玄関に入って扉を閉めた。

 

 

 

‥‥一瞬、あの婆さんを魔法で驚かせて

失神させたろうかと思ったが、やめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

穂むらにて。

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

「ごめんなさい‥!」

 

 

穂むらの居間にて家族は集合して

雪穂は父親に謝っていた。

胸が痛む光景だったが今回はどうしようもない‥。

 

 

「で、うちの娘がそのゲートとやらで、

怪物に襲われてると?」

 

 

「は、はい。そうなんです‥‥。」

 

 

父親は俺に目線を向けてそう聞いてくるので

俺は俯きながら答えた。‥初めて喋った気がする。

 

「ほ、本当だよお父さん!穂乃果も何度も

助けられたし、それに海未ちゃんも!」

 

 

「黙れ!」

 

 

穂乃果の必死の言い訳に一括する父親。

 

 

「嘘かどうかは問題じゃない。

受けた仕事は死んでもこなす、

それが職人の信用だ。

‥‥今回の失態で、料亭の信頼が

失われたかもしれない、それだけだ。」

 

 

父親はそう言って立ち上がり、

厨房へと入って行った。

残った俺たちは気まずそうに俯く。

 

 

「‥大丈夫よ、雪穂。

失敗は誰にでもあるわ。

後でちゃんと謝りましょ、ね?」

 

 

「‥‥お母さん‥‥。」

 

雪穂は母親に励まされ泣きそうになる。

‥こんな時って、母親が居たら心強いよな。

 

 

「‥晴希君、もしさっきの話が本当なら

この子を守ってくれる?晴希君なら任せられるから。」

 

 

「っ、はい!任せてください!」

 

 

母親の優しい言葉に俺は力強く頷く。

母親はにこりと笑うと父親のいる厨房へと

入って行った。

 

 

「‥‥‥お姉ちゃん、晴希さんに海未さん、

迷惑かけてごめんなさい‥。」

 

雪穂はしょんぼりした顔で俺たちに

謝ってくるが、

 

「気にすんな、俺たちは何ともないぜ。」

 

「そうですよ、貴方は何も悪くありません、

悪いのはファントムなんですから。」

 

 

俺と海未が慰めてると俺は海未の

ファントムの言葉で思い出す。

 

 

「(さっきのファントム‥

随分あっさり諦めたな‥‥

また何か仕掛けてくるのか‥?)」

 

先ほど戦ったファントムは

ゲートである雪穂を襲わず

簡単に逃げて行った。

それに引っかかり俺は考え込んでしまう。

 

 

「どうしよう、海未ちゃん、晴希君、雪穂。」

 

 

俺が考えてると穂乃果はプルプルと手が震えだす。

 

「どうした穂乃果?」

 

 

「もし料亭に信頼を失われたら、

穂むらが潰れて、もしかしたらホームレスにぃ!」

 

「ええぇっ!?」

 

‥まだ信頼を失われてないと思うけど。

口を開けて焦る穂乃果に落ち込む雪穂も焦る。

 

「雪穂!お姉ちゃん決めたよ!

うちの和菓子を広めてもっとお客さんを

増やすことにする!」

 

「広めるって‥、どうやるんですか?」

 

穂乃果の言葉に海未は首を傾げる。

 

 

 

「それは、お店以外で売ればいいんだよ!」

 

 

 

「「「‥お店以外?」」」

 

 

「うん!明日から頑張るぞー!」

 

 

 

自身を持って言う穂乃果に俺たちは

声を揃えて穂乃果を見たのだった。

 

‥って明日からかい。

 

 

 

 

ーーー

 

厨房にて。

 

 

 

 

 

「貴方、厳しすぎよ?」

 

 

「‥‥フン。」

 

 

母親が入ると鼻を鳴らしながら

父親は饅頭の生地を作っていた。

 

 

「怪物騒ぎ、本当は知ってるんでしょう?

雪穂から電話受けた時心配そうな顔してたものね。」

 

「おまっ、‥うるさい。」

 

 

母親はクスクスと笑っていると作業を止めて

顔を赤くする父親。

小さな噂だがここ最近怪物を目撃したという

情報が穂むらの周りで起きていた。

偶然耳にした父親と母親も半信半疑だが

ファントムの存在を知っていた。

 

 

「‥店に戻れ、客が来るかもしれないだろ。」

 

 

「この時間帯暇なのよ〜」

 

 

動揺を隠す為に母親を厨房から追い出す父親。

時刻は夕方、日が沈みだし。

涼しい夜がやってくる時間だ。

 

「‥‥‥‥。」

 

そして、母親がいなくなると父親は

雪穂のいた居間を見て軽く息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

翌日、音ノ木坂学院にて。

 

 

 

 

「メェエエエッ。」

 

 

 

「おぉーよしよし、今ご飯上げるからね〜」

 

 

「凛もお腹空いたにゃーっ。

かよちん、真姫ちゃん!学校終わったら

ラーメン食べに行くにゃ!」

 

 

「別にいいけど、本当ラーメン好きね。」

 

 

お昼休み、アルパカの飼育小屋にて、

飼育担当の小泉花陽、星空凛、

そしてお手伝いの西木野真姫が体操服を着て

いつも通りの生活を送っていた。

 

 

 

 

「花陽ちゃん!凛ちゃん真姫ちゃん!」

 

 

 

「あ、穂乃果さん。」

 

「どうしたんですかー?」

 

「‥てゆうか何その格好?」

 

 

頭には鉢巻を、

そして両サイドになぜか

クールボックスを肩に紐を通して

かかえてる穂乃果が現れた。

 

 

 

「お饅頭買ってください!」

 

 

 

「「「‥‥えぇ?」」」

 

 

「是非、3時のおやつに!」

 

「ま、まだ3時じゃないけど‥。」

 

近付いて来た穂乃果に花陽は小さく

つっこみ、穂乃果はクールボックスから

沢山の饅頭や和菓子を取り出す。

 

 

「ちょ、ちょっとこんなにいらないわよ!」

 

「わー、いっぱいあるにゃー!」

 

 

「わ、私もこんなに沢山は‥!」

 

 

「花陽ちゃん!」

 

「は、はひ!?」

 

 

遠慮する3人のうちの花陽に肩をがっしり

掴む穂乃果。

 

 

「この饅頭の生地、お米でできてます!」

 

 

 

「全部買わせていただきます!」

 

 

「は、花陽!?」

 

 

穂乃果の言葉に花陽は目を輝かせて

何処から取り出したのか財布を出す。

 

 

「ありがとうございまーす!

合計で5425円になります!」

 

 

「しかも高いじゃない!」

 

 

「まぁまぁ、真姫ちゃん。

あ、アルパカさんもお饅頭いる?」

 

「メェ?」

 

「アルパカさんに食べさせちゃ

ダメですー!!?」

 

 

真姫のつっこみを無視して穂乃果は

白いアルパカに饅頭を食べさせようとするが

花陽に止められた。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

生徒会室にて。

 

 

 

「ちょっとー!何でにこまで

片付け手伝わされなきゃいけないのよー!」

 

「ええやん、暇してたんやろ?」

 

 

「絵里先輩、この書類はここでいいですか?」

 

 

「えぇ、ありがとうことり。」

 

 

書類や落し物の整理を手伝っている

南ことりと矢澤にこ、そして生徒会の

絢瀬絵里と東條希は今日も穏やかな

生活を送っていた。

 

 

「絵里先輩、希先輩にこ先輩!ことりちゃん!」

 

 

 

「あ、穂乃果ちゃん☆」

 

「こんにちは穂乃果ちゃん。」

 

「あら穂乃果‥どうしたのその格好?」

 

「な、なんか嫌な予感しかしないわ‥。」

 

 

ことり、希、絵里、にこの順番で穂乃果の

格好(以下略)を見て驚く。

 

 

 

「お饅頭を買ってください!!」

 

 

「ええっ?いきなりどうしたのよ?」

 

近寄る穂乃果に絵里はびっくりする。

そしてクーラーボックスから大量の和菓子や

饅頭を取り出して生徒会の机に置く。

 

 

 

「へぇ、いっぱいあるんやねっ。」

 

「ちょっと、多いかな‥‥?」

 

「多すぎるわよ!?」

 

「‥これは、何て食べ物かしら?」

 

 

希達が見る中、絵里だけは首を傾げて

一つの大福を手に取る。

 

「じゃあ、サービスで1個食べてみてください!」

 

 

「あ、ありがとう‥‥‥‥‥はむっ‥‥

‥‥‥‥‥‥‥!ハラショー!」

 

 

美味しかったのか食べた瞬間

目を輝かせる絵里。

 

 

「さぁさぁ、にこ先輩も‥!」

 

 

「い、嫌よ!私はいらないわよ!」

 

 

「にこ先輩!買わないと

地の果てまで追いかけますよ?」

 

 

「それ強制じゃないのよ!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

放課後、屋上にて。

 

 

「‥‥‥‥で、皆買わされてしまったわけですね。」

 

 

屋上で練習をする為に集まった俺たちは

それぞれの鞄に大量の和菓子が詰めらている。

 

 

「な、何なのよ一体もう!」

 

「まぁ色々あってな‥。」

 

「その穂乃果先輩はどこ行ったの?」

 

「ん?あぁ、大量に売るとかなんとかで

街の方に行ってくるだとさ。」

 

 

にこが叫んでると真姫が髪をいじりながら

聞いてきたので俺はそう答えた。

 

 

「‥晴希。おそらく穂乃果は

また暴走するかもしれません、

ですから今日は様子を

見に行っていただけないでしょうか?」

 

「あぁ、そうする。

てか、そのつもりだったしな。

じゃあ、皆。先にお疲れ」

 

 

「「「「「「お疲れ様ー。」」」」」」

 

「お疲れ様です。」

 

「ほななーっ。」

 

海未の言葉に俺は了承して扉を開け、

屋上から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

秋葉原の街中、とある公園。

 

 

「ーー!?ーー!?」

 

 

「タコさんはー、茶饅頭なんて〜

如何でしょうか? えいっ!」

 

 

じりじりと狭まる穂乃果は昨日会った

タコのぬいぐるみの穴の中に無理やり

饅頭を入れて、タコのぬいぐるみは

その場に座り込んだ。

 

 

「よし、全部売ったぞー!」

 

 

「あれ、‥お姉ちゃん!?」

 

 

売り終わった穂乃果はガッツポーズをしてると

学生姿の雪穂がこちらを見て近づいてくる。

 

「あ、雪穂!私がんばったんだよ!ほら!」

 

 

「うわ!本当に売ったんだ‥凄いね‥。」

 

クーラーボックスの中身を見せるなり

雪穂はびっくりする。

 

朝に店の饅頭や和菓子を大量に持って行き

(一応、親には許可もらった)

売れるわけないと雪穂は思っていたが

それをやり遂げだ穂乃果を見て再度びっくりする。

 

 

「これで穂むらは大丈夫だね!」

 

「1日だけじゃ大丈夫じゃないと思うけど‥。」

 

 

 

 

「全くその通りですよ。」

 

 

 

 

ふと、穂乃果はその声の方角を振り向く。

雪穂は聞き覚えのある声だったので

まさかと思いながら振り向く。

 

 

 

「っ!ファントム!?」

 

 

「‥あ‥‥‥き、昨日の‥‥!!?」

 

 

 

「お嬢さん、昨日ぶりですね、

それと、そちらのお嬢さんは初めまして、

私、ファントムのヴァルキリーと申します。」

 

 

ヴァルキリーは初対面の穂乃果を見て

深々とお辞儀をする。

 

そしていきなり現れた怪物に周りの市民達は

悲鳴をあげて逃げ出す。

 

 

「たまたま通りかかったら貴方達が見えましてね、

せっかくなので襲わせていただきます。

邪魔な魔法使いもいないことですし。」

 

「っ‥‥!!」

 

 

ヴァルキリーの言葉に穂乃果は動揺する。

晴希は今学校にいて、こちらまで来るのに

時間がかかる。今呼んでも逃げ切れることが

できないのだ。

 

 

でも、

 

「行くよ!雪穂!」

 

 

「っ‥‥う、うん!」

 

 

姉である穂乃果は雪穂の手を引っ張り

ヴァルキリーから逃げ出す。

 

 

「ふっふっふ‥‥逃がしませんよ〜。」

 

 

ヴァルキリーは笑いながらゆっくり

歩いて穂乃果達の後を追おうとする。

 

そこへ、

 

 

「ハァッ!!」

 

 

「っ!?ぐぁっ!?」

 

 

1台のバイクが接近し、乗っていた晴希は

ウィザーソードガンの銃モードで

ヴァルキリーに向けてコントラクトリガーを引く。

数発を受けてヴァルキリーは吹き飛び、

後方にある石段へ体をぶつける。

 

 

「は、晴希君!?どうして!?」

 

「晴希さんっ‥!」

 

 

逃げる穂乃果と雪穂はエンジン音に気付いて

バイクに跨ってる晴希に声をかける。

 

 

「あんな売り方して街の方に行ったら

不安になっちゃうっての。

まあ、来て正解だったな。」

 

 

「あんな売り方‥‥お姉ちゃん!」

 

 

「あ、あははは‥‥テヘッ☆」

 

俺の言葉に雪穂は察して穂乃果に怒鳴る。

穂乃果はバレたという顔で舌をだす。

 

 

「んんん!!指輪の魔法使い‥‥!

悪いタイミングでいつも来ますねぇ!」

 

 

「まぁ、正義の味方、

仮面ライダーだから当然だろ。」

 

 

俺はそう言いながらバイクから降りて

ウィザーソードガンをヴァルキリーに向ける。

 

 

「でしたら、こちらは!」

 

 

ヴァルキリーは腰からグールの魔法石を取り出すと

それをばら撒き、地面から無数のグールが現れ、

武器を構えてこちらを見てくる。

 

「な、何あれ!?」

 

「穂乃果、雪穂ちゃん、早く逃げろっ。」

 

 

「う、うん!雪穂、早く!」

 

 

 

俺の言葉に穂乃果と雪穂は逃げ

ある程度見送ると俺は予め出してた

ウィザードライバーのシフトレバーを

上下に動かしてヴァルキリーと向き合う。

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

 

「変身。」

 

 

俺は魔法の言葉を言いながらフレイムリングの

バイザーを下げてドライバーへとかざした。

 

 

 

《フレイム!・プリーズ

 

ヒーヒー・ヒーヒーヒー!!》

 

 

 

真正面に左手を掲げると前方に魔法陣が現れ、

晴希の身体を通り抜ける。

そして俺は仮面ライダーウィザードへと姿を変えた。

そしてウィザードはすぐに

コピーリングを付けてシフトレバーを動かし、

ドライバーへとかざした。

 

 

《コピー・プリーズ》

 

 

その音声がなるとウィザードの横に

魔法陣が現れ、そこからコピーで作り出された

もう1人のウィザードが現れる。

 

 

「ウィザードが‥2人ですか?」

 

 

「「はは、びっくりでしょ?」」

 

 

ヴァルキリーが驚いてると2人の

ウィザードは同時に喋りグールの群れへと

走り出す。

 

 

「「ハァッ!」」

 

全く同じ動きで側転、バク転、蹴りなどを

入れてグールも困惑しただダメージを受けていった。

 

 

「「よっと!」」

 

 

お互いが出したウィザーソードガンで

周りのグールを次々と撃っていく。

そして一部はそれを受けて爆散する。

 

「ふぅ、次はこいつだ。」

 

 

ある程度残ったグールに

ウィザードはコピーしたウィザードを戻して

ハリケーンリングを左手の中指に付ける。

シフトレバーを上下に動かして

ハリケーンリングをドライバーへかざした。

 

 

 

《ハリケーン!・プリーズ

 

フーフー!フーフーフーフー!!》

 

 

音声と共に左手を真上に掲げると

頭上に風を纏った緑の魔法陣が現れ

ウィザードの体を真下へと通り抜ける。

そしてウィザードはフレイムスタイルから

ハリケーンスタイルへと姿を変えた。

 

 

「ふ、‥ハァッ!」

 

 

ウィザードはウィザードローブを払い

ウィザーソードガン、剣モードで

グール達へ駆け出す。

 

「ハァッ!セイッ!」

 

華麗な動きでグール達を斬りつけ

突き出した槍はウィザーソードガンでいなして

そのグールの懐を斬りつける。

 

 

「私もいますよ!!」

 

 

「っ!ぐっ!?」

 

 

グール達の後ろで待機していたヴァルキリーが

飛び上がり取り出した槍をウィザードにむけて斬りつける。

 

「はっはっはっはっ!」

 

「あぐっ!ぐぁああっ!」

 

 

不意打ちにやられ連撃を喰らい吹き飛ぶ

ウィザード。

 

 

「は、晴希さん!」

 

 

「晴希君っ!」

 

 

その背後で穂乃果と雪穂は心配そうに

名前を呼ぶがウィザードは大丈夫だと

軽く手を挙げる。

 

 

「せっかくだ、お前で試させてもらうぞ!」

 

 

立ち上がると同時に新しく手に入れた

緑の変身リング、

ハリケーンドラゴンリングを左手の中指につけて

シフトレバーを上下に動かし

その変身リングをかざした。

 

 

BGM 〜Just the Beginning

μ's version〜

 

 

 

 

 

《ハリケーン!ドラゴン

 

ビュー!ビュー!ビュービュー、

ビュービュウ!!》

 

 

 

 

 

荒々しい音声がなるとウィザードの身体は

ゆっくりと浮上し、頭上に一回り大きい

風の魔法陣が現れる。

それと同時に風を纏ったドラゴンが

ウィザードの周りを咆哮を上げながら

飛び交いウィザードの中へ入り込む。

そしてウィザードは風のドラゴンの翼を広げ、

ハリケーンスタイルから

〝ハリケーンドラゴンスタイル〟へと

姿を変えた。

 

 

 

「おぉ!あれが晴希君の新しい姿だね!」

 

「す、凄い‥‥」

 

影から見る穂乃果と雪穂はウィザードの

姿を見るなり驚いている。

 

 

「ふっ、さぁ、ショータイムだ。」

 

 

自身の新しい姿に気が高揚して

ウィザードはウィザーソードガンの

ハンドスプリングを開き

コピーリングをかざした。

 

 

《コピー・プリーズ》

 

 

音声がなるとその隣に魔法陣が現れ

手を入れる。そこからコピーで作り出した

もう一つのウィザーソードガンを持ち、

2つのウィザーソードガンを逆手持ち

に構えてグールに駆け出す。

 

 

「虚仮威しです!!行きなさい!」

 

 

「フン!ハァッ!!」

 

ヴァルキリーはグールに命令して

ウィザードを迎え撃つがパワーアップした

ウィザードの逆手持ちの剣撃にグールは

抗うこともできずやられていく。

 

「そらよっと!」

 

 

「うっ、がはぁっ!?」

 

 

ウィザードはヴァルキリーの前で

空中回転し、回転斬りの要領で

ヴァルキリーを連続で斬りつける。

 

 

 

「凄い凄い!‥‥私も、

何か出来ることは‥‥。」

 

その華麗な動きのウィザードを見て

穂乃果は興奮し、ボソッとつぶやく。

 

 

「うぅ‥!?」

 

 

膝をつくヴァルキリーに一旦距離を取ると

周りのグール達が守るよいにヴァルキリーの前に立つ。

 

 

「大サービスとでもいこうか。」

 

 

ウィザードはもう一つ、神から貰った

魔法リング 〝サンダーリング〟をつけて

シフトレバーを動かしたドライバーへと

かざした。

 

 

 

《チョーイイネ!

 

サンダー!

 

サイコーッ!!》

 

 

音声が鳴り響きウィザードは前方に

右手を上げる。すると魔法陣が現れ

そこからドラゴンの形をした雷撃が現れ

グール及びヴァルキリーに向かって

飛んでいく。

 

「うぐぁああっ!?」

 

 

凄まじい雷の音と共にグール達は一瞬で爆散し、

ヴァルキリーはガードをするにも

それを喰らう。

 

 

「うっは!スゲェ威力だがうるせぇ!!」

 

 

発動してるウィザードは片耳を抑えながら

そう叫ぶ。

 

 

 

「ぐぅっ‥‥‥? はぁっ!!」

 

 

するとヴァルキリーは雷から飛び退き

素早い動きで背中から羽を生やして飛ぶ。

 

「なっ!?飛ぶのかよ!」

 

ウィザードが反応してウィザーソードガンを

銃モードで構えようとしたその時。

 

 

 

 

 

「えっ?きゃあああっ!!?」

 

 

 

 

「お姉ちゃんっっ!!」

 

「しまっ!?穂乃果っっっ!!」

 

影から見ていた穂乃果をヴァルキリーが

掴み上げ、頭上高く穂乃果を持ったまま

ヴァルキリーを浮上する。

 

 

 

 

 

「指輪の魔法使い!

やれるものならやってみなさい!」

 

 

 

「ひっ!?は、晴希君‥‥‥!!」

 

 

 

 

片手で穂乃果を持ち、

もう片方に持つ槍を穂乃果に突きつけていた。

 

 

 

 

 

「穂乃果っ!!!」

 

 

 

 

ウィザードは抵抗できないまま、

恐怖で涙目になる穂乃果を

ただ見ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

 

 

「私‥、邪魔なだけなのかな‥。」

 

晴希の足手まといになった穂乃果は

ひどく落ち込む。

 

 

「私に挑むなんてね‥‥。」

 

晴希の前に現れた幹部のメデューサ!

どうなるウィザード!?

 

 

「あいつらは、俺の希望でもあるんだ。」

 

晴希と語る穂乃果の父親、

さすがお父さん!

 

 

「さぁ、空中のショータイムだ!」

 

ウィザードに翼が!?

ドラゴンの力を見せてやれ!

 

 

 

 

第19話 希望の穂むまん

 




はい!なんとか今日中に書いたしょーくんです!
いやー頑張った!

今回は穂乃果が頑張る姿を書いてみました!
頑張りすぎて色々名セリフが‥?


評価、感想があれば是非お願い致します!(^^)

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