ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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あー1年が終わるなあ‥
来年卒業で社会人かぁ‥うへぇ( ゚д゚)


晴希「頑張れYOまだ高校生だYO!」

穂乃果「ヘイヘイッ!ファイトだYO!」

ぶっ飛ばすぞてめぇら!?((((;゚Д゚)))))))



第17話 本当にやりたいこと

 

部室にて。

 

 

「‥‥‥‥。」

 

高坂穂乃果を除くμ'sのメンバーは

アイドル研究部の部室で待機していた。

なぜなら今日は期末テスト用紙が

返ってくる日、そして‥

ラブライブ出場できるかできないかの

ある意味命日でもある。

 

なんとか3バカである

星空凛と矢澤にこは他のメンバーの

ご指導により赤点を免れたが、残りは

穂乃果だけだった。

先に終わった俺たちは深刻な顔をして

彼女の結果を待っているのだ。

 

そこへ。

 

 

「‥‥ふぅ。」

 

 

「あ、穂乃果ちゃんっ。」

 

「どうだったの?」

 

「全教科返ってきましたよね?」

 

「‥‥‥。」

 

ガチャリと扉が開かれ穂乃果が

部室に入ってきた。

それを待ちわびたように

南ことり、西木野真姫、園田海未は

すぐに結果を聞こうとする。

勿論、俺こと操真晴希もその気だ。

 

「凛はセーフだったよ!ブイ!」

 

「アンタ!私達が頑張ったんだから

その努力を水の泡にしないでよ!?」

 

凛は自慢気にブイを作り、

にこも声を上げながら心配する。

 

 

「‥‥穂乃果、どうなんだ?」

 

「‥‥‥う、うん。」

 

俺が真顔で聞くと先ほどから

元気なさ気な態度で鞄をゴソゴソと漁る。

 

 

「もうちょっと、いい点数を取れると

思ったんだけど‥‥‥、

 

 

 

ジャーンッ!! 」

 

 

 

そう言って取り出したテスト。

点数は‥‥‥‥53点!

 

 

「おぉっ!」

 

「「「「「「‥‥〜ッ!」」」」」」

 

褒められた点数じゃないが

まず第一に赤点を免れた。

皆は安心と喜びに気が高まりバンザイをする

 

 

「よぉし!今日から練習だー!」

 

「ラ、ラブライブ‥!」

 

「まだ目指せるって決まっただけよ?」

 

「まぁ、真姫。今は喜ぼうぜ?

せっかく3バカが赤点取らずに

済んだんだからさ。」

 

穂乃果、小泉花陽、真姫、晴希が

そう言って互いにハイタッチする。

まぁ、俺の言葉に穂乃果と凛とにこは

ジト目で俺を睨んでくる。

事実ですけどなにか?

 

 

 

 

ーーーー

 

理事長室にて。

 

 

「たったら〜ん 」

 

早速理事長に報告する為、

皆より先に練習服に着替えて

理事長室に向かった穂乃果。

彼女は鼻歌交じりで扉をノックする。

 

「‥‥‥あれ?」

 

だが返事がない。

留守かな?と思いながら静かに扉を開ける。

 

 

「そんな!?説明してください!」

 

「!」

 

理事長室の奥から大きな声が聞こえる。

それは生徒会長の絢瀬絵里だった。

 

「穂乃果ちゃん、早いよ!」

 

「そんな所でどうしたのですか?」

 

「しっ!」

 

後から来たことり、海未、俺は

扉の前で中を覗いている穂乃果に

声をかけるが、穂乃果に静かにと言われ

一緒に中を覗く。

 

「ごめんなさい‥

でもこれは決定事項なの。」

 

「‥‥‥っ!」

 

 

「あれは‥‥生徒会長‥‥。」

 

南理事長と話している絵里に気付き

俺は小さく呟く。かなり焦っているが

何かあったのだろうか‥?

そう思ってたのもつかの間、

俺たちはとんでもない事を聞いてしまった。

 

 

 

「‥国立音ノ木坂学院は、来年より

生徒募集を辞め、廃校とします!」

 

 

「えっ!?」

 

「「「‥‥っ!?」」」

 

ほぼ真っ先に驚いたのは

穂乃果だった。

 

廃校‥‥!?

‥‥やっぱり、生徒が少ないからなのか

‥‥!?

 

衝撃の事実を聞かされ

俺の頭の中は困惑していた。

 

「今の話!本当なんですか!?

本当に廃校になっちゃうんですか!?」

 

「っ!貴方達‥!」

 

穂乃果は急いで理事長の元へ駆け寄り

絵里がびっくりしているが、

構わず問い詰めていた。

 

「お母さん!私そんな事

全然聞いてないよ!?」

 

「お願いします!あと一週間!いえ!

あと2日でなんとかしますから!

もうちょっとだけ待ってください!」

 

ことりと穂乃果は気を焦っているのか

穂乃果なんて無茶な条件を出していた。

 

「一旦落ちつけ穂乃果。

‥‥‥理事長、それは本当なんですか?」

 

俺は自身を落ち着かせて

慌てる穂乃果の肩に手を置き 止める。

そして理事長に理由を聞いてみた。

 

「えぇと、廃校にすると言うのは、

オープンキャンパスの結果が悪かったら、

という話よ。今すぐって訳じゃないわ。」

 

「オ、オープンキャンパス?」

 

理由を聞いて唖然とする穂乃果。

‥かなり早とちりしてたみたいだな。

 

「一般の人に見てもらうって事?」

 

ことりが聞くと

南理事長はにこりと笑い頷く。

 

「見学にきた中学生にアンケートを

取って、結果が芳しくなかったら

廃校とする、そう絢瀬さんに言っていたの。」

 

「‥なぁんだ‥‥‥。」

 

「「安心してる場合じゃないだろ(わよ)」」

 

ホッと息を下ろす穂乃果に俺と絵里が

声を揃えて口を動かした。

俺と絵里は部が悪そうに互いに顔を逸らし

絵里が数秒経って話した。

 

「‥オープンキャンパスは2週間後の

日曜日、そこで結果が悪かったら

本決まりってことよ。」

 

「「「‥‥‥‥!」」」

 

絵里の言葉に3人は動揺する。

随分急な話だが、

そのオープンキャンパスの結果で、

ラブライブ出場どころか廃校になってしまう

かなり危ない状態だな‥‥‥。

せっかく期末テストを突破したのに、

この状況、どうしたものか‥。

 

 

「‥‥‥理事長、オープンキャンパスの

イベント内容は、生徒会で

提案させていただきます。」

 

一度目を伏せ、穂乃果達の前に立った

絵里はそう言って理事長を見つめる。

 

「‥止めても聞きそうにないわね。」

 

「はい、では失礼します。」

 

理事長が諦めた口調で言うとそそくさに

絵里は理事長室から出て行った。

俺はふと、動画で見た絵里の過去、

バレエの事を思い出す。

 

「‥‥‥。」

 

海未も同じ気持ちなのか俯いて

何かを考えているような瞳をしていた。

 

 

 

 

 

「‥‥。」

 

 

「どうするつもり?」

 

 

「‥希っ。」

 

理事長室から出た絵里に声をかけたのは

絵里の友達の東條希だった。

希はポケットから1枚のカード、

〝THE STAR〟と書かれたカードを

取り出して、絵里を見ていた。

 

「‥決まってるでしょう。」

 

そのカードの意味を理解したのか

絵里はそう言って、生徒会室へと足を運んだ

 

 

 

 

 

 

 

「なんとかしなくちゃ!」

 

「なんとかしないと‥‥。」

 

 

 

 

 

理事長室の穂乃果、廊下で絵里が

お互いにそう呟き、それぞれの行動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

屋上の階段付近にて。

 

 

 

「そんな‥っ!」

 

「じゃあ凛達は後輩のいない

高校生活‥‥!?」

 

「そうゆう事になるわね。」

 

「まぁ、私はその方が気楽でいいけど。」

 

理事長に報告するため待機していた

1年組とにこに先ほどの事実を伝えると

4人それぞれの反応を見せる。

当時の俺だったら真姫の言うことに

賛成してたかもしれない。けど、

今の俺は下級生がいないこの学校、

廃校になるこの学校を

止めたい気持ちでいっぱいだった。

 

「とにかく!オープンキャンパスで

ライブをやろう!それで入学希望者を

増やすしかないよ!」

 

「‥だけど、ライブやるには許可を

貰わないとできないだろ。」

 

俺が言った言葉に穂乃果はしまった!って

顔をして悩む。何も考えずに

突っ走るんだからこいつ‥。

 

「とりあえず、今は練習しましょ。

焦っても何も始まらないわ。」

 

真姫は髪をくるくるいじりながらそう言う。

 

「珍しくまともな事言うじゃない。」

 

「それどうゆうことっ?」

 

「まぁまぁ、じゃあ練習行くか。」

 

にこの言葉に真姫が突っかかるが俺は宥めて

屋上へと向かう。

 

「あ、先輩達は先に行っててもらえますか?」

 

「凛達、今日アルパカさんの

餌やり担当なんですにゃ!」

 

花陽と凛は止まって練習に遅れると

言ってくる。そういえば花陽達は

飼育員だったっけ。

俺は了解と言って他のメンバーと屋上を目指した。

 

「‥‥‥。」

 

1人、ずっと黙っている海未を見ながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

アルパカ小屋にて。

 

 

 

「メェエエエ。」

 

 

「こ‥‥これですか‥?」

 

絵里は生徒会の役員と希と

アルパカ小屋に来ていた。

生徒会で独自に行動して、

学校の良さをアピールする予定なのだが、

中々アイデアが決まらず、ふと思いついたのは

学校では珍しいアルパカだった。

視察しに来たのだが絵里は動物が

苦手なのか顔が引きつっている。

 

「はいっ。他校の生徒でも意外と人気、

あるんですよっ。」

 

生徒会の1人が是非にと推してくる様に

言ってくる。

 

「メェ?」

 

「‥‥‥ちょっと、これでは‥。」

 

白いアルパカの顔を見ながら絵里が

呟いた瞬間。

 

 

「バルルルッ!」

 

 

気に食わなかったのか茶色いアルパカが

唸り、絵里に唾をはいた。

 

 

 

 

 

「会長!?」

 

「大変っ!」

 

「うわわわわ〜!?」

 

もろに顔面に唾をはかれた絵里に

役員の皆は慌ててハンカチで顔を拭いていた。

 

 

 

「‥‥生徒会長‥さん?」

 

そこへ餌を運んできた花陽と凛が来て

何が起きたのか分からず首を傾げていた。

 

「‥貴方達。」

 

「あ!スクールアイドルの!」

 

 

「えっ!?あ、はい。」

 

顔を拭きながら絵里が花陽と凛の姿を確認すると

1人の役員がそう声を上げる。

 

「ちょうどよかった!今度オープンキャンパスが

あるんだけど、よかったらライブとか‥」

 

「待ちなさい、まだ何も決まってないでしょ。」

 

「あ、‥は、はい‥‥。」

 

役員が喋ろうとしたのを絵里が止める。

花陽と凛は互いに顔を見て

首を傾げるばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

屋上にて。

 

 

「1、2、3、4、5、6、7、8!」

 

海未の手拍子と共に花陽と凛も合流し、

穂乃果達は練習に励んでいた。

それは仮にオープンキャンパスで行われる

新曲の振り付けだった。

フィニッシュポーズを決めると手拍子が

終わり一息いれる穂乃果達。

 

「よし‥!おぉ、皆完璧!」

 

「よかった☆これなら、

オープンキャンパスに間に合いそうだねっ。」

 

全員が揃うダンスに穂乃果は喜び

ことりも自己評価でそう言う。

そこへどこかへ行っていたのか晴希が

屋上の扉から顔を出す。

 

 

「うす、やってるか皆。」

 

「あ、先輩どこ行ってたにゃ?」

 

「先生にオープンキャンパスの事を

色々聞いてた。オープンキャンパスでは、

それぞれの部活紹介があるみたいだぞ。」

 

「‥‥ってことは!?」

 

凛にそう返すと穂乃果がまさかと思い

声を上げる。それに俺は笑いながら

口を動かした。

 

「あぁ、ライブ披露ができるぞ。」

 

笑いながら言うとメンバーは喜び、

ガッツポーズなどをした。

 

「これで私達のダンスが

中学生に見せられるね!」

 

「まだです。」

 

テンション上がる穂乃果達に

静かな声で海未が否定する。

 

「‥えっ?」

 

「まだ、タイミングがずれています。」

 

「海未ちゃん‥、分かったもう一回やろう!」

 

海未にそう言われて穂乃果達は

もう一度ダンスを通してみた。

‥‥海未、やっぱり‥‥。

 

 

 

「1、2、3、4、5、6、7、8!」

 

 

再び、今度は俺の手拍子と掛け声と共に

穂乃果達は踊り始める。それを海未は

黙って見ていたが、どこか俯き顔だった。

 

 

「はいラストー!」

 

俺の掛け声にそれぞれがフィニッシュポーズを

決めて踊りが終了する。

 

「完璧!」

 

「そうねっ。」

 

「やっとにこの踊りについてこられたわね。」

 

「それはにこの方だろ。でも随分と

いい感じになったな。」

 

穂乃果、真姫、にこがそれぞれ自己評価をして、

にこの言葉に俺がつっこむと

ぬぁんですって!?と怒鳴られた。

 

だが、

 

 

「まだです。まだダメです。」

 

 

「「「「「えぇっ?」」」」」

 

やはり海未は彼女達の踊りを全否定する。

 

「うぅ、これ以上、上手くなれないにゃ‥」

 

流石に疲れてきたのか凛は肩を落として

元気なさげにそう言う。

 

「ダメです、それでは全然‥‥。」

 

「何が気に入らないのよ!

言いたい事があるなら言って!」

 

さっきから否定され続けてたせいか

真姫は声を上げて海未に近寄る。

 

 

「‥‥今の踊りじゃ、

人を感動、魅了できない、

そう思ってんだろ?海未。」

 

 

俺が言った言葉に穂乃果達は反応して、

海未は小さく頷く。

 

「どうゆう事?」

 

 

 

「‥‥ああ、実は‥。」

 

 

にこが不満気に聞いてくるので

俺は1度海未を見て、

絵里の過去について話す。

 

アレだけμ'sはおろか他の

スクールアイドルを否定する理由。

生徒会長の過去‥。

そして、

 

 

 

 

 

「「「「「「えぇ!?生徒会長に

ダンスを!?」」」」」」

 

 

 

 

やっぱり驚くよな‥。

俺は苦笑しながら生徒会長に

ダンスを教わろうと言った。

 

「あの人のバレエを見て思ったんです。

私達はまだまだですって‥‥。」

 

「ずっと否定してた理由がそんな事?」

 

海未がそう言うとにこが

ため息を吐いて口を動かしていた。

 

 

「でも、生徒会長、私達の事を‥‥。」

 

「嫌ってるよねー絶対!」

 

「つーか嫉妬してるのよ嫉妬!」

 

花陽、凛、にこがそう言うと

海未が真剣な表情になり口を動かす。

 

「私も初めはそうだと思ってました。

でも、あんな踊りを見せられては

私達の踊りは素人なんじゃないかって

思ってしまいました‥‥」

 

「‥そんなに凄いの?」

 

「天と地の差かな。」

 

海未の言葉にことりが俺に

問いかけてきたので、ちょっと

オーバーな感じもするがそう例えると

ことりではなく穂乃果がびっくりした。

 

「私は反対、潰されかねないわ。」

 

「生徒会長‥ちょっと怖い‥。」

 

「そうね、先輩はにこが入れば充分よ。」

 

真姫、花陽、にこがそう言う。

どちらかと言うとにこは後輩じゃないか?

‥と、言いたかったが俺はそっと心の奥に

その言葉を閉まった。

 

「私はいいと思うけどなぁ。」

 

「「「「ええっ!?」」」」

 

穂乃果の言葉に2年組以外が

驚き、反応する。

 

「アンタ何言ってんのよ!?」

 

「だって、ダンスが上手い人が近くにいたら

教えてもらいたくなるのは普通でしょ?」

 

「そうですね。」

 

「だったら!私は賛成!」

 

穂乃果の言う通りその考え方が正しいな。

上手い人がいれば教えてもらいたくなるのが

当たり前。海未が頷くと元気に了承してくれた。

 

「ちょっと待ちなさいよ!」

 

「わ、私は反対よっ!」

 

 

「でも、絵里先輩のダンスは‥

ちょっと見てみたいかも☆」

 

「あ、それは私も!

生徒会長の踊り、すごく気になります!」

 

にこと真姫が反対するが、

ことりと花陽は賛成した。

 

「‥‥多数決だと勝ってるぜ?」

 

「かよちんが賛成するなら、凛も賛成!」

 

「‥‥分かったわ。」

 

「‥‥どうなっても知らないわよ。」

 

俺がニヤつきながらそう言うと

反対してた残りのメンバーも賛成してくれる。

皆の賛同に深刻な顔をしてた海未は

やっとわらってくれた。

 

「よぉし!じゃあ早速聞いてみよう!」

 

穂乃果が腕を掲げて即座に

屋上の出口を飛び出して行った。

そのあとをことりと海未が追いかけて行く。

 

 

「‥本当、穂乃果の行動は毎度驚かされるわ。」

 

「それは同意ね。」

 

にこと真姫がそう言ってため息を吐くと

俺は少し笑ってしまう。

 

 

「お前らも初めて会った時は驚かされたぞ?

特に全身真っ白でウ◯チ頭‥‥」

 

 

「ちょ!?なんで思い出すのよぉぉ!?」

 

 

もはや黒歴史なのか俺の言葉に

にこは絶叫する。その様子を

真姫と花陽と凛は笑ってその場を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

帰り道、川付近にて。

 

 

 

「明日楽しみだねぇ!」

 

「はいっ。」

 

「絵里先輩、どんな練習してきたのかな?☆」

 

夏も狭まり、やっと夕日が落ちていく時間帯。

穂乃果、海未、ことりと一緒に帰ってる晴希。

あの後穂乃果が頼みに行ったらしいが

結果はなんと成功。明日の練習に生徒会長が

ご指導してくれるらしい。

3人はそれぞれご機嫌な様子で

隣で歩いてる俺はその光景を

微笑ましく見ていた。

 

「そういえば、晴希君、こんなに凄い踊りを

見たのにことり達の踊りを否定してなかったよね?」

 

絵里のバレエの動画を見ながらことりは

俺に聞いてくる。確かに絵里のバレエは凄い。

思わず凄いと呟いてしまうほどに。でも。

 

「確かに凄いけど、生徒会長の踊りと

お前らの踊りは違う。」

 

「‥違うとは?」

 

俺の言葉に否定していた海未が首を傾げる。

 

 

 

 

 

「うん、お前達の踊りは‥‥」

 

「調子は良さそうだな?魔法使い。」

 

「っ!?」

 

俺が言い掛けた瞬間、自身の身体の毛が

逆立つ様に身震いがしてその声の方角を

振り向く。

 

何故ならその声は聞いたことがある声だった。

 

 

 

「「「っ!?」」」

 

「なっ!?なんでっ!?」

 

 

声の先に立っているのは

フェニックスだった。

ひろき君のゲートを守る為に

西木野総合病院で戦って勝ったはず‥。

その場にいた穂乃果達もその怪物の姿を

確認して顔が青くなる。

 

 

 

「悪いなぁ、俺は何度倒されても蘇る、

不死身のファントム、〝フェニックス〟だ!」

 

 

 

「不死身だと‥!?」

 

不死鳥と言われる名だから

そのままの意味か!?

 

 

「くそっ‥‥!!

穂乃果、海未、ことり!隠れてろ!」

 

「う、うん!」

 

俺はドライバーオンリングを付けながら

穂乃果達に叫ぶ。それに頷いた穂乃果達は

逃げて、その後を使い魔のガルーダが

護衛するかの様に追う。

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

俺は腰のベルトにドライバーオンリングを

かざすと、ベルトがウィザードライバーへと

形を変える。そしてサイドのシフトレバーを

上下に動かした。

 

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

 

テンションの高い待機音声が流れる中、

俺はウォーターリングを付けて

バイザーを下げ、その左手を顔の横に軽く振る。

 

 

「変身。」

 

 

《ウォーター!プリーズ

 

スイ〜スイ〜スイ〜スイ〜》

 

 

魔法の言葉を言いながら俺はドライバーにかざす。

そして音声が鳴り響き、左手を真下に

振りかざすと足元に水の魔法陣が現れ

俺の身体を上へと通り抜ける。

そして俺は仮面ライダーウィザード

ウォータースタイルへと姿を変えた。

 

「‥フン。」

 

フェニックスは鼻で鳴らすとゆっくり

近づいて来る。ウィザードは武器の

ウィザーソードガン 銃モードで取り出し

フェニックスに向けてコントラクトリガーを

引いて弾丸を放つ。

 

「‥‥なんだそりゃ?」

 

「っ!!」

 

全くダメージを受ける気配を見せない

フェニックスは弾を受けながら平然と

こちらに近寄ってくる。

 

「おぉら!!」

 

「うがっ!?」

 

もう1度トリガーを引こうとすると

フェニックスは一気に詰め寄り

回し蹴りをする。

 

 

「ハァアアッ!!」

 

「あつ‥!?ぐぁああッ!」

 

 

蹴りで怯んだウィザードに

フェニックスは気合いと共に全身が炎に

包まれてそれを放出した。ウィザードは

それを受け、吹き飛ばされ川へと落下した。

 

 

 

 

「晴希君!?」

 

 

「あ、熱い!」

 

「すごい熱風‥‥!」

 

少し遠くの茂みに隠れてる穂乃果達は

フェニックスの炎に恐怖を感じつつも

吹き飛ばされたウィザードに向かって叫ぶ。

ガルーダも熱いのか鳴きながら周りを

飛び交っている。

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥ん?」

 

 

 

 

《ウォーター!シューティングストライク!》

 

 

「でやぁっっ!!」

 

 

川へ落ちたウィザードを腕組みしながら

フェニックスは見届けると

突然水しぶきと共にウィザードは出てきて

ウィザーソードガンの銃口に溜まった

エネルギーをフェニックスに向けて放った。

 

 

「フンッ!」

 

 

だがフェニックスは腕組みしたまま

その水のエネルギー弾を蹴り上げ

上空でエネルギー弾は爆発し、その水が

辺りに降り注いだ。フェニックスにも

降り注ぐが身体に付着する前に

水は蒸発していき、

フェニックスは煙に包まれていく。

 

 

「はっは、気持ちいシャワーだぜ。」

 

 

「‥‥だったらこれで!」

 

 

着地したウィザードは以前

圧倒的な力で倒したフレイムドラゴンリングを

左手に付けようとするが。

 

「‥やめとけ、今日は挨拶に来ただけだ。

この辺でお開きにさせて貰うぜ。」

 

 

「なにっ!?」

 

フェニックスは手を上げて止める。

 

 

「それともう一つ言っといてやる。

俺は何度も蘇るが、その度に強くなって

蘇る‥‥、もうテメェのその赤い指輪を

使っても俺は負けねぇぜ。」

 

「‥っ!?」

 

「次会った時は、今度こそ

その目障りなキラキラした頭、

粉々にしてやっからよ。じゃあな。」

 

「‥あ、待てっ!!」

 

フェニックスはそう言って

身体が赤く光ると同時に薄くなり、

その場から姿を消した。

 

 

「‥‥‥‥フェニックス‥、

不死身のファントム‥‥。」

 

 

怪物が名乗った言葉を俺は口にして

変身を解いた。そして

フレイムドラゴンリングを見つめる。

 

 

「晴希君!」

 

後ろから声が聞こえ、敵が去ったのを

確認にした穂乃果達が晴希に向かって走ってくる。

 

「怪我は、晴希君!」

 

「大丈夫っ!?」

 

「お怪我はありませんか!?」

 

3人は心配してくるが俺は平気だと

笑ってみせる。

女の子に心配されるのは普通に嬉しいぜ。

 

 

「さっきのファントム‥

晴希君が倒したはずだよね‥‥。」

 

 

「‥‥あぁ、厄介な敵が出てきたな‥。」

 

俺は再度フレイムドラゴンリングを見つめて

フェニックスが去って行った後を

見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

絵里の家にて。

 

 

「ーーーこの様に、音ノ木坂学院の

歴史は古く、この地域の発展に

ずっと関わってきました。さらに、当時の

学院は音楽学校という側面も持っており、

学院内はアーティストを目指す生徒が溢れ

非常にクリエィティブな

雰囲気につつまれていたと思われます。

そんな音ノ木坂ならではーー、」

 

 

「うわぁ!?体重増えたぁ!!

 

 

あ、‥すみません‥‥‥。」

 

 

音ノ木の魅力について、

絵里は亜里沙の友達を呼んで

説明していたのだが、途中で亜里沙の友達、高坂雪穂が居眠りして、起きた瞬間

そう叫んだ。

 

「ゆ、雪穂ちゃん、寝たらダメだって‥。」

 

その隣にいる同級生の天空寺拓人も

気まずそうに雪穂に注意していた。

 

「ごめんね?退屈だった?」

 

 

「いいえ!面白かったですよ!ね、拓人!」

 

「え、えぇ!?ええと‥‥は、はいっ。」

 

苦笑いする絵里に慌ててフォローする雪穂と拓人。

だが、

 

「私はつまらなかったな〜。」

 

「か、加奈芽さんっ‥」

 

拓人の隣、ベッドに座っている絵里の友人で

ボーイッシュで活発そうな女の子、

亜滝加奈芽(あたきかなめ)は

退屈そうに欠伸をして、

拓人はおどおどする。

 

「‥‥ごめんなさい。オープンキャンパス

までには直すつもりだから、

遠慮なくなんでも言って?」

 

「亜里沙も本当に面白くなかったわ。」

 

「亜里沙まで!?」

 

加奈芽に続き亜里沙は椅子から立ち上がり

素直に絵里にそう言った。

フォローしていた雪穂も驚いてしまう。

 

「お姉ちゃん、なんでこんな話してるの?」

 

「それは、学校を廃校にしたくないからよ。」

 

「‥私も音ノ木坂は廃校になってほしくない‥‥

でも、これがお姉ちゃんの、やりたい事?」

 

 

その悲しげな表情に絵里はその場で

立ち尽くしてしまう。

 

「そ、そうよ。学校を存続させる為に、、」

 

「エリーはさ。」

 

絵里が言いかけると独特な呼び方で

加奈芽が声をかける。

 

「ずっと気になってたんだけど、

エリーはスクールアイドルがやりたいんだろ?」

 

「え、そうなのお姉ちゃん?」

 

突然の加奈芽の発言に亜里沙は反応する。

 

 

「わ、私がスクールアイドルに‥‥?

‥そんなこと、あり得ないわ。」

 

 

 

 

 

「ん〜‥‥また意地張っちゃって。」

 

 

「っ、意地なんて張ってないわっ。」

 

絵里の態度に加奈芽は小さく呟いて

絵里の反応に苦笑すると

そこが意地張ってるのよと言って

ベッドへ寛いだ。

 

 

 

「拓人くーん、お姉さんと

一緒に寝るかい?」

 

「え?えぇええ!!?む、無理ですよっっ」

 

「あはははっ、冗談だ。

やっぱり拓人君は揶揄い気があるねー。」

 

「ちょ、ちょっと加奈芽さん!

拓人は純粋な子なんですから

いじらないでください!」

 

「んん〜?あれれ?雪穂ちゃん、

もしかして‥‥嫉妬かな?」

 

「んな!?ち、違いますよ!」

 

 

 

「お姉ちゃん、なんで拓人君と雪穂は

頬を赤く染めてるの?」

 

「‥貴方にはまだ早いわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

翌日、音ノ木坂の生徒会室にて。

 

 

 

 

「‥嫌でしょ?自分の学校が廃校になったら‥」

 

「それはそうやけど えりち、廃校を

なんとか阻止しなきゃって、

無理しすぎてるんやない?」

 

絵里の愚痴をタロットカードを

シャッフルしながら希は聞いていた。

 

「そんな‥無理なんて‥‥。」

 

「えりちも頑固やね。」

 

「私はただ、学校を存続させたいだけよ。」

 

絵里はそう言って立ち上がり

生徒会室を出ようとする。

 

 

「行くんやね?」

 

 

「‥‥‥引き受けたからには

行くしかないでしょ。

‥‥時間の無駄だと思うけど。」

 

 

希に止められた絵里は小声で言って

扉を開け、目的の屋上を目指した。

 

 

「‥‥星が動き出したみたいやね、

ね、クーちゃん。」

 

希が笑顔で名前を呼ぶと窓に張り付いてる

使い魔のクラーケンが反応して希の周りを

フヨフヨと飛び交った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

とある通学路にて。

 

 

「お姉ちゃん、最近笑ってくれてないなぁ‥。」

 

学校の帰宅途中、亜里沙は姉の絵里のことを

思いながら帰宅していた。

やはり音ノ木坂が廃校になってしまうのか

そのせいで絵里はここ最近まともな笑顔を

亜里沙に見せていない。亜里沙が話しかけても

作り笑いをしているようにしか見えなかった。

 

 

「よし、今日はお姉ちゃんの好きな

モッフルのチョコレートを買いに行こうっ。」

 

亜里沙は両手の拳を作りそう言った。

 

 

 

 

 

「‥‥‥。」

 

その背後にいるガーゴイルの

存在に気付かないまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

再び、音ノ木坂の屋上にて。

 

 

 

 

「どわぁっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

 

「凛ちゃん、花陽ちゃんっ、

大丈夫!?」

 

 

片足立ちで20分立っていた穂乃果達、

その中の花陽と凛がバランスを崩して

転けてしまった。片足を維持しながら

穂乃果は心配する。

 

練習していたμ's達の前に絵里が現れ

絵里なりの指導を受けてもらっていた。

が、今までの緩い練習とは違う

本格的な練習で皆はついていくだけで

精一杯だった。

 

 

「身体がかたいからそうなるのよ。

よくこんな状態で今までやってこれたわね。」

 

 

「‥す、すいません。」

 

絵里の横にいる俺は軽く頭を下げる。

それをガルーダとユニコーンが

慰めてくれるのか俺に寄り添ってきた

‥‥お、お前ら‥‥‥お兄さん嬉しいっす。

 

 

「ま、まだまだにゃあ!」

 

「せ、先輩っ、もう一度やらせてください!」

 

倒れていた凛と花陽は立ち上がり

皆と一緒にもう一度片足をして

練習を再開する。

 

 

「‥‥‥全員、一旦足を降ろして。」

 

「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」

 

 

絵里の突然の言葉に俺も反応して

皆は足を降ろして練習をやめる。

 

 

「どうしたんですか、絵里先輩。」

 

「‥何かいけないところがありますか?」

 

「あるなら教えてください!

すぐ直します!」

 

ことり、真姫、穂乃果が

途中止めにされたのがつっかかり

その理由を絵里に聞いている。

 

 

「‥‥辛くないの?」

 

口を動かした絵里の言葉に再度皆は

えっ と声をあげる。

 

「いきなり指導して厳しくしてるのに、

第一、2週間もない期間で

上手くなるかどうかも分からないのに‥」

 

「やりたいからです!」

 

「っ!?」

 

間入れず言った穂乃果に絵里は驚く。

 

「確かに練習は厳しいです!身体中痛いです!

でも、廃校を阻止したいという気持ちは

生徒会長にも負けません!だから、

練習を続けて下さい!お願いします!」

 

「「「「「「お願いします!」」」」」」

 

穂乃果に続き、メンバーの全員も

頭を下げる。絵里はその光景に

目を見開いたままだった。

 

 

「‥‥理解できないわ、貴方達の踊りは

素人以前の問題なのに‥」

 

 

「確かに素人以前すぎる問題かもしれません‥」

 

絵里の言葉に今度は柵にもたれかかっていた

俺が反応して絵里の前に立つ。

 

「生徒会長の踊り、指導は本当に凄い‥。

穂乃果達を素人だと言い張るのも分かります。

でもこいつらはそんな素人でも

頑張ってるんです。どんなにダンスが

下手でもこいつらのダンスは人を

笑顔にさせる力があります。

そうじゃないとあんなに人気が出てません。」

 

昨日、穂乃果達に言いそびれた事を

絵里の前で言った。

部長の受けおりだが、アイドルは笑顔に

させる為の仕事。頑張って、楽しく

踊っている所を見れば自然と笑顔になれる。

一生懸命差が伝わってくる、

それが、こいつら、μ'sの人気の理由だ。

 

「だから、俺からもお願いします。」

 

俺も絵里に深々と頭を下げてお願いする。

 

「‥‥っ‥‥。」

 

 

「あ、生徒会長!?」

 

だが、絵里は気に入らなかったのか

その場を後にして屋上から姿を消してしまった。

 

「やっぱり認めてもらえないのだろうか‥。」

 

 

俺はそうつぶやいて絵里が出て行った

扉を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

 

『これがお姉ちゃんのやりたい事?』

 

『やりたいからです!』

 

『こいつらのダンスは人を

笑顔にさせる力があります。』

 

 

亜里沙に、そして穂乃果と晴希に

言われた事が絵里の頭を過りながら、

廊下を歩いていた。

 

 

 

「うちなぁ。」

 

 

「っ! ‥‥‥希‥‥。」

 

 

沈む気持ちになっていると背後から

いきなり希に声をかけられる。

突然現れる神出鬼没な希には絵里も

毎度びっくりさせられる。

 

「うちな、えりちと友達になって、

生徒会やってきて、ずっと思ってたんよ。

えりちは本当は何がしたいんやろうって。」

 

「えっ‥?」

 

「一緒にいると分かるんよ。

えりちが頑張るのは、いつも誰かの為

ばっかりで‥だから、いつも何かを

我慢してるようで、全然自分の事は

考えてなくてっ」

 

 

「‥‥‥‥!!」

 

 

「学校を存続させようって気持ちも

生徒会長としての義務感なんやろ!?

だから理事長は、えりちの事、

認めなかったんとちがう!?」

 

その場から逃げようとする絵里を

珍しく感情的になる希に止められる。

 

「‥‥えりちの、えりちの本当にやりたい事は!?」

 

一旦区切った希の言葉に絵里は

次第に目に涙を溜める。

 

 

 

 

 

「よっしゃー!もう一回行くよー!」

 

「1、2、3、4、5、6、7、8!」

 

 

 

 

「っ!」

 

 

微かだが屋上から穂乃果達の

練習の声が聞こえる。

あんな態度をとったのに彼女達は諦めずに

練習を再開している。

 

それが、楽しそうで、

本当は、羨ましかったのだろうか、

絵里は口を開けてその声を聞いていた。

 

 

 

 

「‥‥‥何よ。」

 

 

すると絵里が小声で言って希は反応する。

 

 

 

 

 

「なんとかしなくちゃいけないんだから

しょうがないじゃない!!

私だって、好きなことだけやって!

それだけでなんとかなるんだったら

そうしたいわよっ!‥‥‥っ!」

 

 

 

「っ!?」

 

 

初めて見せる感情的になる絵里。

そして絵里の溜めていた涙が溢れ出す。

 

 

 

 

 

「‥‥っ!自分が不器用なのは分かってる!

でも!‥‥今更アイドルを始めようなんて‥

私が言えると思う‥‥?‥‥‥‥‥っ!」

 

 

 

「あ!えりちっ!」

 

涙を見られたくなかったのか、絵里は

その場から逃げて廊下を走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 

「はぁ‥はぁ‥‥‥!」

 

無我夢中で走る絵里は希からだいぶ離れ

廊下の突き当たりで立ち止まる。

そして気持ちを落ち着かせる為に

一旦深呼吸して涙を拭った。

 

「‥‥っ?‥‥‥亜里沙?」

 

 

すると絵里のスマホが鳴り

画面を確認すると亜里沙の文字が書かれており、

絵里は一旦息を吐いて電話に出た。

 

「もしもし、どうしたの亜里沙?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『‥‥‥妹さんは俺様が預かったッス。』

 

 

 

 

 

「っ!!?」

 

 

亜里沙の携帯のはずなのに

突然知らない声が聞こえ

絵里は経験したことのない恐怖をおぼえた。

 

 

「あ、貴方誰!?

亜里沙は!?亜里沙はどこなのっ!?」

 

 

『今声を聞かせてやるッス。』

 

 

『‥‥お姉ちゃんっ!』

 

 

「っ!亜里沙!!」

 

 

声が変わるとそれは間違いなく

亜里沙の声だった。

 

「要件は何!?亜里沙は無事なの!?」

 

 

『位置情報を送るッス。お前1人で

そこに来るッス、そうしたら妹は返してやるッス』

 

独特な口調で男は喋り、一旦区切る。

 

 

 

『もし誰かに言ったら、妹の命はないッス!』

 

 

 

『っ!きゃあああっ!!』

 

 

 

「亜里沙ぁっ!!」

 

 

亜里沙の叫び声と共に通話が切れ、

数秒経つと位置情報が送られてきた。

絵里は一刻を争う事態にすぐに向かおうとする。

 

 

「‥‥‥っ。」

 

 

が、一瞬脳内に晴希の言葉を思い出す。

 

 

 

『ファントムに狙われてるので、

何かあったら俺に知らせてください。』

 

 

 

絵里は一瞬迷った。

だが先ほどの男に誰の言葉を思い出し

尚且つ亜里沙の叫び声まで聞こえた。

絵里は妹の無事が最優先なので

そのまま妹の元へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

廃棄工場にて。

 

 

 

「はぁ‥はぁっ‥!亜里沙ぁ!」

 

 

「っ、お姉ちゃんっ!」

 

 

「ふん、来たッスね。

ちゃんと1人で来たッスか?」

 

 

工場の奥には両腕を柱に縛られた

亜里沙とその横にガーゴイルがいた。

服が少し汚れているだけで特に怪我を

していない妹を見て少しだけ安心する。

 

「えぇ!早く妹を返しなさいっ!」

 

 

「慌てるなッス。返す前に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前はここで死んでもらうッス。」

 

 

 

 

「えっ!?」

 

 

ガーゴイルがグールの魔法石をばら撒くと

無数のグールが現れ、呻き声と共に武器を構える。

 

 

「‥‥‥‥ひっ!?」

 

 

「お姉ちゃんっ!逃げてぇっ!」

 

 

「逃げてもいいッスけど、そしたら、

こいつの命はないッスよ!」

 

何十体もいる化け物に絵里は声を漏らす。

ガーゴイルはそう言って手の爪をギラリと

亜里沙に突き付ける。亜里沙は恐怖で

涙目になってしまう。

 

 

「やめなさい!私は逃げないわ!

亜里沙は、私が守る!

ああああぁぁぁっ!!」

 

絵里は気合いと共に出口の横に立てかけてある

鉄パイプを持ってグールに走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

音ノ木坂学院にて。

 

 

 

「あー、もう来客用のトイレまで行くの

マジで遠いんだけど‥‥っ。」

 

 

「あ、晴希君っ!」

 

晴希は一階まで降り来客用のトイレから

出てくると息が上がってる希が

こちらに近づいて来た。

 

 

「希さ‥‥どうしたんですか?」

 

 

「えりちが、えりちがいないんよ!

ずっと電話してもでえへんし!」

 

「っ!!希さん、亜里沙ちゃんの

電話番号持ってますか?持ってたら

かけてもらえますか?」

 

「う、うんっ!」

 

突然屋上を出て行った絵里は生徒会室に

篭ったのかと思っていたが‥。

俺はまさかと思い、希にそう言って

希はスマホをスクロールして通話ボタンを

押した。

 

 

「‥‥‥‥‥ダメや、かからない!」

 

 

「くっ!!やられた!」

 

 

ファントムが現れたのは1週間以上も前だ。

それから姿を現さず、俺が気を抜いてる

瞬間に襲ってきやがった‥!

自身の愚かさに俺は壁を拳で思い切り殴る。

 

 

 

「場所‥場所は‥!くそっ!ガルーダ!」

 

「待って晴希君!」

 

 

俺が急いで使い魔を呼ぶと希が止める。

 

 

「うちに任せてくれへん!?

私‥うちのカードは‥外さないから!」

 

 

「っ、お願いします!」

 

 

一瞬喋り方が変わったのを気にせず

俺は頷き、音ノ木坂を飛び出した。

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 

「希さん!少し熱いですけど

我慢してください!」

 

 

「う、うん!」

 

 

マシンウィンガーで走行している途中で

後ろに乗っている希にそう言って

俺はドライバーオンリングを付けてる

右手をベルトにかざした。

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

ベルトはウィザードライバーへ形を変え、

シフトレバーを片手で上下に動かした。

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

「変身っ。」

 

 

《フレイム!・プリーズ

 

ヒーヒー・ヒーヒーヒー!!》

 

 

俺は予めつけていたフレイムリングを

ドライバーにかざし、その左手を真正面に

振りかざす。音声が鳴ると共に魔法陣が

現れ、俺と希の身体を通り抜ける。

そして俺は仮面ライダーウィザードへと

姿を変えた。

 

 

「間に合ってくれよっ!」

 

変身したウィザードはそう言って

さらにアクセルを回して目的地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

「はぁっ!!」

 

 

 

「ーーッ!」

「ーーーッ!」

 

 

 

鉄パイプを振り回して

グールは多少怯むがすぐに体制を立て直す。

既に絵里は囲まれており近づけさせない様に

女子には思い鉄パイプを降り続けるだけだった。

 

「っ、あっ!!?」

 

 

すると一体のグールが槍を振り上げ

持っていた鉄パイプが飛んでいってしまう。

 

 

「今ッス!やっちまえッス!」

 

 

「お姉ちゃんっっ!!」

 

 

その光景をガーゴイルは高みの見物の様に

見て、亜里沙は怖い思いで胸が

はち切れる気持ちで絵里の名前を呼ぶ。

 

 

 

「っ!タァッ!!」

 

 

だが絵里は近づいて来た2体のグールの顎を

蹴り上げてダウンさせた。

 

 

「! お前戦えるんスカ!?」

 

「護身術を覚えてるの。とある友人からね!」

 

絵里はそう言って他のグールに立ち向かうが

 

 

「っ!きゃあっ!?」

 

やはり数が数、背後から蹴りを入れられ

絵里は転んでしまう。

 

 

「っ!!‥‥あぐっ!?」

 

 

立ち上がる絵里にグールの槍の刃が付いてない

箇所でお腹を強く殴られ絵里は倒れ込む。

 

 

「お姉ちゃんっ!お姉ちゃんっ!」

 

 

倒れ込む絵里を見て泣きながら亜里沙は叫ぶ。

 

「うぅ‥‥‥!!あああっ!!」

 

絵里はなんとか亜里沙に近づこうと

お腹を抑えて立ちはだかるグールに抵抗する。

 

「ぐふっ!?‥‥うぅううっ!!」

 

多少は抗えても人じゃない化け物に

人間の力は通用せず一体のグールに

首を絞められ絵里の身体は徐々に持ち上げられる。

 

 

 

「っ!お姉ちゃぁぁんっっ!!!」

 

 

 

「あり‥‥さっ‥‥‥!」

 

 

必死に声を出して亜里沙に手を伸ばす絵里。

首を絞める力が強くなり、絵里の意識が

朦朧としていた。

 

そして、周りのグールが絵里に武器を

振りかざす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《フレイム!シューティングストライク!》

 

 

 

 

 

 

 

瞬間。

 

 

絵里の周りに炎の弾丸が飛び交い

周りのグールはそれを受け爆散する。

 

 

「うっ!?」

 

首を絞めてたグールも爆散し、

絵里は吹き飛び、地面に転がる。

 

 

「な、なんスカ!?‥‥ぐあっ!!?」

 

 

ガーゴイルが困惑してると出口から

銃の弾らしきものが飛んできて

それをガーゴイルは喰らい、

火花を散らして吹き飛ぶ。

 

 

 

「えりち!」

 

「‥‥‥ファントム‥!」

 

 

 

「の、希‥‥?

と、‥誰?」

 

 

そこにいたのは希とウィザードだった。

希は急いで絵里の元へと駆け寄り

口元は切ったのか軽く血がついている。

そして服は汚れてあちこちが

ボロボロになってる所を見て希は泣き出す。

 

 

「えりち‥!えりちっ!‥‥良かったぁ!」

 

 

「な、何でここが‥?」

 

 

「そうッス!何でここが分かったんスカ!?

まさか、そこの女!やっぱ言ったんスね!」

 

 

絵里の疑問に倒れてるガーゴイルが叫ぶが

ウィザードは否定し、縛られてる亜里沙の

縄をウィザーソードガンを剣モードにして斬る。

 

「ここに来れたのは、希さんの

スピリチュアルパワーのおかげだ。

‥それよりファントム、

よくも生徒会長や亜里沙ちゃんを

こんな目にあわせてくれたな‥‥。」

 

ウィザードは亜里沙を絵里の元へ走らせ

ウィザーソードガンを構えて静かに言う。

 

 

「あぁ!計画が台無しッス!

こうなったらお前もあいつらも俺様が

捻り潰してやるッス!!」

 

 

 

「逆に捻り潰してやるよ、

 

さぁ、ショータイムだっ!!」

 

 

ウィザードは怒りを爆発し

声を上げガーゴイルへと

駆け出していく。

 

 

 

 

「お姉ちゃん!お姉ちゃぁんっ!!

ごめんなさいっ、ごめんなさい‥‥!」

 

 

「亜里沙っ!!良かった‥

亜里沙が無事で‥!」

 

亜里沙は泣きながら絵里にしがみつき

絵里もボロボロな身体でなんとか亜里沙を抱く。

そして、目先で戦っているウィザードを見る。

 

 

「あの方は‥一体‥‥?」

 

 

「‥仮面ライダーウィザード。

うちらの、音ノ木坂の操真晴希君の

もう一つの姿や。」

 

「えっ‥‥‥えぇっ!?‥ハラショー‥。」

 

涙を拭う希はウィザードを見て誇らしげに

言うと、絵里は驚いて亜里沙と同じロシア語を言う。

 

 

 

「ハァッ!」

 

「むぅん!」

 

ウィザードの剣撃にガーゴイルは対抗して

能力の石化をする。刃が通らず

火花だけが散っていく。

 

 

「っ!?痛ってぇえ!」

 

「こっちの番ッス!!」

 

手を抑えて怯むウィザードに

ガーゴイルは攻撃してウィザードは吹き飛ぶ。

 

「俺様の石化はどんな攻撃も通用しないッス!」

 

 

「っ‥、それはどうかな?」

 

ウィザードは埃を払いながら立ち上がり、

フレイムドラゴンリングを左手に付け、

シフトレバーを上下に動かし、

ドライバーへとかざした。

 

 

 

《フレイム!・ドラゴン

ボウー!ボウー!・ボウーボウーボォ!!》

 

 

 

荒々しい音声と共に背中に魔法陣が現れ

さらにウィザードから

炎を纏ったウィザードラゴンが出てきて

ガーゴイルに突進してガーゴイルは転がる。

そしてドラゴンはウィザードの周りを

飛び交いながら身体に入り込む。

そしてウィザードは紅蓮の炎と共に

フレイムスタイルから

フレイムドラゴンスタイルへと姿を変えた。

 

 

 

「ハアッ!」

 

 

ウィザードはウィザーソードガンを

銃モードに構え、ガーゴイルに向けて

コントラクトリガーを引く。

 

「っ!むぅん!」

 

ガーゴイルは瞬時に石化して弾丸を弾いた。

 

 

「ひっかかったな。」

 

ウィザードは小さくそう言って

ウィザーソードガンのハンドスプリングを

開き、コピーリングをかざした。

 

 

《コピー・プリーズ》

 

 

音声が鳴ると真横に魔法陣が現れ

そこから取り出したのは

もう一つのウィザーソードガン、

それを2丁拳銃の様に構える。

 

 

「ハアッッ!!」

 

 

2つのウィザーソードガンから放たれた

数発の弾丸が1列に動き、

石化のガーゴイルに当たる。

 

 

「‥‥‥っ!?むぐあぁぁあっ!!」

 

 

弾が効かないはずのガーゴイルに

ヒビが入り石化が解かれ

弾を喰らって吹き飛んでしまう。

 

「な、何でッスか!?

俺様の石化は無敵なはずッス!?」

 

 

「所詮は石だろ?同じ所を狙えば

亀裂が入る、さらにそこを狙えば

簡単に石なんて砕けるのさ。」

 

ウィザードは説明しながら

スペシャルリングを付け

シフトレバーを上下に動かし、

ドライバーへとかざした。

 

 

 

《チョーイイネ!

 

スペシャル!

 

サイコーッ!!》

 

 

音声が流れるとウィザードの背中に

魔法陣が現れウィザードは

ゆっくりと浮上していく。

それと同時に魔法陣から

炎を纏ったウィザードラゴンが

咆哮を上げながら

ウィザードの身体を背中から

貫く様に合体する。

 

 

 

「フィナーレだ、ハァアアッ!!」

 

 

ウィザードラゴンの口が開き

灼熱の業火の如く凄まじい火、

ドラゴンブレスが放出する。

 

 

 

「うぁ!?ううっ!うあああぁぁぁっ!?」

 

 

 

ガーゴイルは炎を受け、一瞬で

燃え上がると同時に苦痛を上げ、爆発した。

 

 

 

 

「‥‥ふぃ〜っと。」

 

 

 

 

「ハラショー‥‥。」

 

「‥お姉ちゃん、凄いでしょ、晴希さんっ。」

 

 

戦いが終わったウィザードを見てると

いつのまにか泣き止んだ亜里沙が笑顔で

そう言って絵里は再度ウィザードを見つめた。

 

 

「‥‥‥そうね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

翌日、音ノ木坂学院、生徒会室にて。

 

 

 

 

 

「あ、えりち、体調は大丈夫??」

 

 

「希‥大丈夫よ、軽い打撲で済んだわ。」

 

生徒会室で書類の片付けをしてる

絵里の前に希が扉を開けて入ってくる。

腕や足を数箇所包帯で巻かれて

少し痛々しい状態だが軽い怪我で済んだのだ。

 

「そっか‥‥今日はあの子達の所行くん?」

 

 

「‥‥‥いいえ、今日はやめとくわ‥。」

 

 

 

「ん〜‥やっぱ強行突破しかないかな‥?」

 

「えっ?」

 

「えりち、えりちにお客さん来てるんよ。」

 

 

希がそう言って生徒会室の扉を開く。

 

 

 

 

「‥‥!!」

 

 

 

 

 

 

 

入ってきたのはμ'sのメンバー、

そして晴希もだった。

 

 

「貴方達‥‥。」

 

 

絵里がそう言うと穂乃果は何も言わずに

絵里に近付き、手を差し伸べる。

 

 

 

「生徒会長、いや、絵里先輩っ。

お願いがあります!」

 

 

 

 

 

「‥‥練習?それなら昨日言った

課題をやって‥」

 

 

 

 

「絵里先輩!μ'sに入ってください!」

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

「一緒にμ'sで歌ってほしいです!

スクールアイドルとして!」

 

 

 

笑顔で穂乃果はそう言った。

突然の勧誘に絵里は戸惑う。

 

 

「何言ってるの‥?

私がそんな事するわけないでしょ‥。」

 

 

「さっき希先輩から聞きました。」

 

「えっ?」

 

海未の発言に絵里は希を見るが

彼女は上の空だ。

 

 

「やりたいなら素直に

そう言えばいいじゃない。」

 

「にこ先輩が言える台詞じゃないけど。」

 

「真姫ちゃんもにゃ。」

 

にこ、真姫、凛の順番で言うと

ことりと花陽はクスクスと笑う。

 

「ちょっと待って!

別にやりたいなんて言ってないわ!

大体私がアイドルなんておかしいでしょ!?」

 

 

「あ〜、焦れったいな〜。」

 

 

「っ、貴方‥。」

 

 

穂乃果達の後ろにいた晴希は

頭を掻きながら前へ出てくる。

 

 

「こんな狭い部屋で書類必死にやるよりさ、

外にでて、思いっきり踊って、歌ってみようぜ?

先輩の経験したことのない

スクールアイドルとしてさっ。ね、希さん。」

 

 

「そうやね、特に理由なんか必要ない、

やりたいからやってみればいいやん。

本当にやりたいことって、そんな感じに

始まるんやない?」

 

 

「‥‥‥っ!」

 

 

希が言い終わると皆は微笑み、

海未は絵里の背後に周り優しく肩に手を置く。

 

そして穂乃果横で俺も手を差し伸べる。

 

 

 

 

 

「さぁ、絵里先輩。

スクールアイドル、μ'sに入ってください!」

 

 

 

 

 

俺も笑顔になりその手を強く差し出す。

 

 

「‥‥っ、‥‥‥!」

 

 

絵里は泣きそうになりながらも

俺と穂乃果の手を掴み、椅子から立ち上がる。

 

 

「絵里さん‥‥っ。」

 

 

「これで、8人‥!」

 

 

「‥‥いや、もう1人いるよ、

そうでしょ、希さん。」

 

 

「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」

 

 

穂乃果とことりが感動してると

俺は目を閉じて希の名前を呼ぶ。

 

 

「希先輩も?」

 

 

「あぁ、事前に話してたんだ。

絵里先輩が加入したら、希さんも加わるって」

 

穂乃果にそう答えると希はカードを取り出して

絵里に近付く。

 

 

 

「占いで出てたんや、このグループは

9人になった時に未来が開けるって、

だから、付けたんよ。」

 

 

希は一旦区切って皆を見渡す。

 

 

 

 

「9人の歌の女神、『μ's』って。」

 

 

 

「ええっ!?」

 

「じ、じゃああの名前を付けてくれたのは

希先輩だったんですか!?」

 

メンバーが驚く中、希はびっくりしたやろ?

みたいなノリで笑う。

 

そう、穂乃果達のメンバーの名前は

希が付けたのだ。名前が決まらず

グループ名募集という箱を作って

当選していたらしい。

人任せが如何にも穂乃果らしいが

そこに1枚の紙が入っていた。

 

 

 

それが、μ's。

 

 

9人の女神。

 

 

彼女達のアイドルはそこから始まった。

 

 

 

「希‥‥全く‥‥‥。」

 

 

絵里は相変わらずの希に苦笑して

生徒会室を出ようとする。

 

「どこへ‥‥?」

 

 

 

 

「決まってるでしょ。

練習よっ。

とは言っても、私はまだ踊れないけどね」

 

 

 

海未が呼び止めると絵里は

笑顔でそう言った。

彼女の笑顔は何も囚われてない、

純粋で、見とれてしまう笑顔だった。

 

 

その言葉に俺たちは喜び、

早速屋上へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥9人の女神を支える

人柱の希望の勇者、晴希君‥‥。それと

少し遠くやけどもう一つ支えてくれる柱、

そして‥‥‥‥、

もう1人‥、新しい柱が出来そうや。」

 

 

皆が出ていく後に希は1枚のカード、

「HOPE」と「SHADOW」を取り出し、

そしてもう1枚を取り出した。

そこには、獣が描かれた

「BEAST」と書いてあるカードだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

2週間後、オープンキャンパスにて。

 

 

 

 

「皆さん!こんにちは!

私達は音ノ木坂学院の

スクールアイドル、μ'sです!」

 

 

 

開催されたオープンキャンパスの

グラウンドを借りてライブを

披露する事になったμ's。

青空満開の太陽に照らされながら

大勢の中学生は来てくれていた。

その中には亜里沙や雪穂、拓人達も来ていた。

その目の前で衣装を着込んだμ's、

穂乃果は司会を務めていた。

 

 

「私達は、この音ノ木坂学院が大好きです!

この学校だから、このメンバーと出会い、

この9人が揃ったんだと思います!

これからやる曲は私達が9人になって、

初めて歌う曲です!」

 

 

中学生に紛れて俺は穂乃果達を見ていた。

2週間で完成させた曲だから少し不安だが

それでも、俺は誇らし気に見る。

 

 

 

 

「今からが私達のショータイムです!

聞いてください!曲名は‥‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕らのLIVE 君とのLIFE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

μ'sのメンバーが声を合わせて

曲がなりだす。

 

 

これがμ'sの、9人になったスタートの曲。

 

 

俺は皆の明るい姿を精一杯見届けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

その屋上でホワイトガルーダが飛び交い、

白いコートを着た魔法使いが彼女達を見下ろしていた。

 

 

 

「これで9人が揃ったな‥‥、

物語は順調に進んでいく‥‥‥。」

 

 

 

 

その魔法使いは手に持つ黒く濁った

魔法石を取り出し見つめる。

 

 

 

「‥‥もうすぐ始まるな。

私にとっての、希望の日が‥‥。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

 

「見つけたよファントムっ!」

 

「バカヤロ!あ、たこ焼き美味しそうダネー」

 

穂乃果の目先には巨大な‥‥タコ?

 

 

「お父さんなんて嫌いだよっ、

穂乃果の言うこと全然聞いてくれないんだもん。」

 

「コラ、嫌いとかそうゆうこと言っちゃダメだ。」

 

ランチパックを食べる穂乃果の愚痴に

晴希は怒る。

 

 

「お時間は取らせません、すぐ済みますよ。」

 

「きゃあっ!?」

 

ファントムに狙われる少女‥って雪穂ちゃん!?

 

 

「お前で試させてもらうぞ!」

 

《ハリケーン!・ドラゴン!》

 

ウィザードの新しい姿!

ハリケーンドラゴンスタイル!

その実力は!?

 

 

 

 

第18話 穂むらの和菓子

 




やっと9人揃ったぁー!!

どうもしょーくんです!
いやー、個人的に長かった‥‥。
そして明日からバイトが長時間‥くそぅ、
もうすぐ春休みだからってめちゃくちゃ入れやがって
あの店長〜!‥‥あ、失礼。

感想、評価などがあれば是非お願いします!(^^)

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