ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

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今回は晴希とフェニックスと
交戦する少し前のお話になります。

次回作じゃなくてすみません(>_<)


SS. 紫の魔法使いとトップアイドル

少年は音楽が好きだった。

大抵1人の時はヘッドホンをつけて

音楽を聞いていた。

 

 

 

 

『‥‥‥は‥‥?』

 

 

 

だが、突然の不運がやってきた。

 

いつも聞いていたヘッドホンを外すと

突然警報が鳴り響いていた。

慌てて外しトイレから戻ると

 

少年の目の前に広がる

無数の同じクラスの死体。

 

『‥‥‥え‥‥え‥!?』

 

用を足してる間に

何が起きたのか分からず

その死体を見て

叫びそうになる

吐きそうになる

狂いそうになる

 

 

刹那

 

 

『‥‥‥うぁっ!!? えっ!?あ!?』

 

 

突然少年の足に激痛が走り

少年は倒れ込む。

少年は直様自分の足を見ると

銃で撃たれたのか血が溢れ出す。

少年は激痛で叫ぶ。

 

すると奥から

数人の黒い服で顔を

ガスマスクか何かで隠した人物が

銃を向けてこちらに近づいてきた。

言葉が分からない。

恐らく外人だろう。

だがそんな事を考えてる暇はなかった。

 

『うぅ‥!!!? あぁがぁぁっ!!』

 

少年は痛みと恐怖で全身が逆立ち、

匍匐前進の要領で逃げだそうとするが

 

 

 

その背中をそいつらは容赦なく

銃で乱射される。

 

 

 

 

 

 

‥‥‥‥‥

 

 

 

 

同じ人間なのに‥なぜ、

簡単に殺してしまうのだろうか‥‥

 

 

なぜ、人はこんなに脆いのだろうか‥

 

 

 

少年は血を吐き出しながら息を途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥!!」

 

朝の7時。

とあるマンションにて。

 

 

 

 

 

目を覚ますと少年の身体と顔は

汗でぐっしょりしていた。

呼吸も荒い。

 

「‥‥ちっ、最悪だ‥‥。」

 

少年は頭を抱えて

そう呟く。

とりあえずベッドから出て

シャワーを浴びる事にした。

 

 

ーーー

 

 

 

シャワーを浴び終わり

洗面所から出ようとすると

つけてもないのにテレビの音が聞こえる

少年は警戒しながら開けるとそこには、

 

「‥‥‥おい、勝手に入ってくんなよ。」

 

 

「ん?おぉー秀夜、グッモーニング!☆」

 

 

朝からテンションの高い老人は椅子に座って

勝手に菓子を食べながら

少年の名前を呼ぶ。

 

 

 

 

ーーーーー

秀夜part

 

 

藍崎秀夜(あいざきしゅうや)‥‥

俺の名前だ。そして、

仮面ライダーダークウィザードでもある。

 

 

朝からテンション下がってるってゆうのに

このじじいは構い無しに現れてくれるなぁ。

 

「どうじゃ、こっちの世界は慣れたか?」

 

「あぁ、‥好き放題にできるからな〜‥」

 

「んん〜‥ファントムを倒してくれとるみたいじゃし

あまり口は出さないが‥晴希とも仲良くした方が

いいと思うんじゃが。」

 

「は?なんで?」

 

あんなザコと仲良くなってどうするってんだ?

神も随分弱い転生者を選んだもんだな。

 

「つーか何の用?指輪でも

持ってきてくれたのか?

ならさっさとよこして消えろ」

 

不機嫌な俺はじじいにそう聞いた。

 

「せっかちめ、そのつもりじゃがー‥

お主‥学校に行っておらんじゃろ?」

 

「‥は?」

 

神はビシッと秀夜に指をさしてくる。

秀夜は学生に編入する設定でこの世界に

来たが女子だらけ音ノ木坂は行かないと拒否。

困った神は別の学校にするからそっちは

行ってほしいと頼んだ。

その時は了承してくれたみたいだが。

 

「わざわざ編入先を変えてやったのに

拒否しおって、学校行かなかったら

指輪なんてやらないもんねぇ。」

 

「‥‥。」

 

その歳で拗ねるなきもちわりぃ‥‥。

はぁ、朝からクソだるいなぁ、

なんでこんな奴が神をやってるのか

全く理解できねぇ‥。

 

秀夜は苛立ち頭をかきむしって考える。

 

「‥もらえる指輪は使えるんだろぉな?」

 

「チョー使えるぞっ。」

 

グッと親指をあげて神はそう言ってくる。

一応、ウィザードの指輪は一通り

持っているが(晴希が持つ変身リングは除く)

俺が使っているこの紫の指輪‥

これはオリジナルなのか全く知らない‥

まぁかなりつえーし俺は気に入ってるがな。

 

「じじい、このダークネスリングみたいに

オリジナルの強い指輪作れんのか?」

 

「口悪いぞお主、‥まあ用意できなくもないが

‥それよりお主はまだ()()

あるようじゃのぉ。」

 

「あ?記憶?」

 

「うむ、ここに飛ばされた転生者は

ワシのミスで向こうの世界の仮面ライダーに

ついての記憶が徐々に

無くなってしまうはずなんじゃが‥」

 

「‥‥言われてみりゃあ‥‥。」

 

秀夜は口に手を当てる。

ウィザードの知識はそこそこ知っているが

最近になって徐々にその記憶が抜けていく

事に今気付く。

 

「‥ふん、そんなこたぁどーでもいい。

さっさと指輪よこして消えろ。」

 

記憶が消えようと今の生活に支障はでない

秀夜はさらっと表情を戻し神に

手の平を差し出す。

 

「同じ言葉を使われるとワシ傷付くぞ‥

さっきも言ったじゃろ、学校行かなかったら

指輪はやらんと」

 

「ちぃ、嫌な条件出しやがって‥‥

‥‥だぁ!‥‥‥わかったよ‥

だがもし、貰う指輪がクソだったら

じじいだろうが神だろうが関係なくぶっ殺す」

 

「ホッホッホ!安心しろ、ほれ、制服と

学校の資料と手続き書じゃ。どうせお主

この世界に来た瞬間に捨てたじゃろうし」

 

神はそう言いながらどこから取り出したのか

一通りの物をバサバサと机の上に置く。

秀夜がその資料を手に取り眺めていた。

 

 

「‥‥‥私立ねぇ。」

 

まぁ、金あるから関係ないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「‥‥ここか、‥でっか。」

 

 

バイクで辿り着いた秀夜は

目的の学校へと到着する。

が、それは学校と呼べる所ではなく

もはやどこぞのビジネスビルだった。

 

 

その名も、UTX学園。

 

 

すると懐から頭が3つある小さく黒い生物が

秀夜を見るなりバウッと吠える。

 

「あ?わーってるよ、別に逃げやしねーって」

 

こいつは使い魔のブラックケルベロス。

‥まぁ役に立つ。

 

「‥‥にしても、この派手な色の服は

慣れねーしなんか気色悪いなぁ。」

 

UTX学園の制服は白で統一されてる

真新しい制服だ。世代の若者は羨ましがるだろうが

秀夜にとっては気に入らないようだった。

そう思いながら秀夜は学園の駐車場にバイクを止め

はやく終わらせようとそそくさに

学園の方に向かう。

 

「きゃっ!?」

 

「?」

 

その時、角で女の子とぶつかり

女の子はよろけて倒れてしまう。

 

「いたた‥‥あ‥ごめんなさいっ。」

 

「‥‥ち、どこ見てんだ。」

 

秀夜は小声でそう言って学園へと向かう。

 

 

 

 

 

 

「菜穂!大丈夫!?」

 

「あ、うん‥平気。」

 

「何なのあいつ!?ぶつかってきといて素通り!?

ちょっと文句言ってくる!」

 

「あ、いいよいいよ!私がぶつかったんだし‥‥

それより、あの人ウチの生徒なのかな‥‥?

私達と同じ色の制服だけど‥。」

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「‥というわけで、家庭の事情により遅れましたが

この学園に編入してきた新しい生徒です。

さ、編入生、こっちで自己紹介を‥

どうしました?不機嫌な顔をして。」

 

「‥‥‥。」

 

手続きを終わらせ

クラスへと案内された秀夜。

入った時は中々驚いたもんだ。

出席登録はスマホにインストールされる

AI機能を使って改札口みたいなところで

タッチしたら開かれる扉。

最新の施設が搭載され不満があればすぐ

支給されるシステム。

そして本物のシェフが作る

昼の高級バイキング。

色々と心を揺さぶられるが、

 

 

今俺はとっっっても不愉快だ‥‥‥。

 

「ここ、女子しかいねーの‥‥‥?」

 

「あたりまえです、ここは女子校ですよ?」

 

 

あんのじじいぃぃぃい!!!

 

 

ーー

『‥ここ、男子もいるんだろーな?』

 

『あ、安心せい、ちゃんと資料にものってあろう?

共学化だと。』

 

『‥‥確かに。』

 

『それと、お主。学校で揉め事を起こすなよ?

それも踏まえて行くようにな?』

 

『はぁ?‥‥だっりぃな。』

 

ーー

 

資料にはそんなこと書いてあったが

今よく見たら上から

偽物の紙貼ってあるだけじゃねえか!!

クッソ!こんなガキみたいな

小細工に騙されたなんて!

学校終わったら覚えてろよあのじじい‥!

 

「藍崎君、早くこちらへ。」

 

先生が手招きをして秀夜を呼ぶ。

小さく舌打ちしながら教卓の前に行き

睨みつけるように周りを見る。

 

「‥‥藍崎秀夜だ。」

 

小さな声でそう言って

秀夜は用意してくれたであろう

空いてる席へ座り込み腕に顔を乗せる。

 

‥机にモニターって‥どんな高校だよここ‥

 

突然の編入生に女子生徒は困惑し

小声などが聞こえはじめる。

 

 

 

 

「‥なんか感じ悪くない?」

 

「最悪‥なんで男子生徒がここに?

私それ避ける為にここ来たんだけど‥」

 

「でも顔はかっこいいかも‥。」

 

「えーあんなのがタイプ?やめときなって」

 

 

 

 

などとあまり良さげじゃない話が

聞こえるが秀夜はフンと鼻を鳴らして

無視をする。

 

 

「‥‥‥‥。」

 

その中に1人、おでこを出した

女の子が秀夜をジッと見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「‥‥‥だりぃ、早く学校終われやクソ‥」

 

午前の授業を終え

テーブルディスクに突っ伏す秀夜。

真面目に授業せずに何処かで

サボるつもりだったのだが

どこへ行っても警備の人やSBっぽい輩がいて

サボれるどころじゃなく大人しく授業を

受けるハメになったのだ。

 

「‥‥‥飯か。」

 

女子生徒達は秀夜をチラチラ見るなり

教室を出て行く。時刻は昼過ぎ、

あの高級バイキングが食べられる

時間帯だろう。秀夜はソレだけ少し期待して

席を立ち上がる。けど、

 

「‥‥‥食堂どこだ?」

 

ここはとにかくバカ広い学園。

歩き回るだけで1日が終わってしまいそうになるほどだろう。

人に聞くのは嫌いだし、女子生徒に

着いて行くのも嫌だった。

秀夜はしぶしぶ資料を取り出すと、

 

 

「これからお食事?」

 

 

「‥‥あ?」

 

突然背後から声を掛けられ秀夜は

振り向く。そこには3人の少女がいた。

 

 

‥‥おでこに巨乳にホクロ‥。

 

秀夜の脳内でそう認識すると

真ん中の背の小さく前髪は短めで

おでこを出している女の子が口を動かす。

 

「貴方が編入生の藍崎秀夜君‥ね?

初めまして、私は綺羅ツバサ。

スクールアイドル、【A-RISE】の

リーダーをしているわ、よろしくねっ。」

 

「私は統堂英玲奈。

同じくA-RISEのメンバーだ。

以後、よろしく頼む。」

 

紫の髪でロングヘア。

スラッとした長身の女の子は

歳上らしい?口調で自己紹介をする。

 

「優木あんじゅでーす。

同じくA-RISEのメンバーよ。

よろしくね〜〜。」

 

ウェーブがかった茶髪のロングヘア。

おっとりした口調で彼女も自己紹介をしてくる。

すると。

 

 

 

「きゃーっ!ツバサ様〜!」

 

「玲奈様ー!今日もお美しいですーっ!」

 

「あんじゅ様ー!こっち向いてくださいー!」

 

 

 

などと、周りの女子生徒がバカみたいに

騒ぎ出して彼女達の名前を呼ぶ。

 

「‥うっせぇなぁ‥‥、で。

その‥ナントカズって奴らが俺になんか用?」

 

秀夜がそう言うと3人は

初めて見る様な顔で秀夜を見出す。

 

「驚いたな‥お前、私達を知らないのか?」

 

「いや、初対面だろーが。」

 

「世間では誰でも知ってるはずだよ?

スクールアイドル知らないの?」

 

玲奈とあんじゅは驚いた顔で

そう言ってくる。

言われてみればこの世界は学校で

アイドルが結成できるみたいな話‥だっけ?

 

「‥知らねぇし興味ねぇな。」

 

俺にとってはどーでもいい話だった。

じじいとはこの世界のファントムを殺せと

言われてその目的の為に力を得た。

それ以外の話は全く聞いていない。

 

「‥‥ふふっ、ますます面白いわね。」

 

「‥‥何が?」

 

ツバサは笑うとずいっと一歩前に出てくる。

 

「今からお昼でしょ?

一緒にお食事しましょっ。」

 

「は?断る、なんで初対面の奴らなんかと

‥っておい!!勝手に手を引っ張るな!」

 

「どうせ声掛けなかったら迷ってたでしょ?

なら、案内してあげる。そのかわりに

一緒にお食事ね 」

 

「はぁ!?ふざけん‥っ!

おい!テメェらこいつの部下かなんかだろ!?

なんとかしろよ!」

 

無理矢理腕を引っ張られひこずられる秀夜は

後ろからついてくる英玲奈とあんじゅに叫ぶ。

 

「‥すまない。ツバサがこうなったら

私達も止められないんだ。しばらくだが

ツバサの我が儘に付き合ってほしい。」

 

「そうゆうことっ。諦めた方がいいかな〜。」

 

 

「ちょっと英玲奈、我が儘ってどうゆうこと?」

 

英玲奈とあんじゅがそう言うと

秀夜を引きずりながらツバサは振り向き

プクッと頬を膨らませて2人を睨む。

 

 

「がぁああぁ!何なんだよテメェらっ!!」

 

秀夜は苛立ち叫ぶが彼女は止まることなく

食堂へ強制に行かされた。

 

朝から本当に最悪だ、ちくしょう‥‥‥。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

「ふーん‥‥テメェらはそのスクールアイドルで

今人気の‥えー、アライズ?なわけだな?」

 

「さっき言ったのに聞いてなかったのね‥」

 

ローストビーフにかぶりつきながら秀夜は

感心してると呆れたようにツバサはため息をつく。

 

強制に連れてこられた秀夜は

あまりにも豪華なバイキングに心を揺らされ

好きなものを好きなだけとっていいと

シェフに言われてお構いなくとり

その料理の美味しさゆえに

大人しくなってツバサ達の話を聞いていた。

この学校のこれ(バイキング)だけは

好きになりそうだった。

 

どうやらA-RISEはUTX学園の

看板アイドルユニットで、

選抜で選ばれた3人はプロのダンサーなどから

厳しい指導を受けてもらい今人気急上昇の

スクールアイドルみたいらしい。

 

「そんなアイドルが俺に何の用?」

 

先ほど話しかけてきたツバサに秀夜は

そう聞くとニコリと笑って口を動かす。

 

「貴方、私達のマネージャーにならない?」

 

「‥‥‥いやなんで?」

 

「貴方に興味が湧いたからよ。

貴方は他とは違う何かを持っている‥

そんな気がしてねっ。」

 

ウィンクをしてツバサは笑顔でそう言ってくる。

‥‥なんだこいつ、俺が魔法使えるってのを知って言ってるのか‥‥?

 

「‥‥‥俺に魅了されちまったのか〜、

仕方ねぇな‥」

 

食べ終わった秀夜は立ち上がり

紅茶を飲み干す。

 

「ふふっ。じゃあ‥‥‥」

 

「断る。」

 

「‥‥一瞬、期待させたつもりなのかしら?」

 

そう言ってツバサはしょんぼりする。

マネージャーなんてクソだるいのをして

何になるってゆうんだ。ぜってーいやだ。

 

「秀夜君どこ行くの?」

 

席を立ち食堂から出ようとする秀夜に

あんじゅがデザートを食べて呼び止める。

 

「馴れ馴れしく呼ぶな。

別にどこ行こうが勝手だろ。」

 

そう言って秀夜は出て右側へ行こうとする。

 

「編入生、教室なら左を真っ直ぐ行って

エレベーターで7階だぞっ。」

 

英玲奈が大きめの声で伝えると

少し顔を赤くしてそそくさに左側を行く秀夜。

ぐっ、やらかした‥‥‥。

 

 

「‥‥ツバサも変わった奴を気に入ったな」

 

「本当ね、てゆか秀夜君食べるの早すぎ、

しかもあの量。」

 

英玲奈がやれやれと軽く息を吐くと

あんじゅは目の前の秀夜が食べた皿を見る。

おそらく2、3人前の量を取ったはずなのに

会話をしている時に一瞬で食べてしまっていた。

 

「よほどお腹が空いていたのだろう。

‥ん?‥‥どうしたツバサ?」

 

英玲奈は食事を止めて考え事をしてる

ツバサに声をかける。

 

「‥‥‥どうやって彼を引き入れようかしら、

英玲奈、あんじゅ、何か手はないかしら?

強引でも構わないわ。」

 

 

「あらら、相当気に入ったみたいね。」

 

「‥‥はぁ、ツバサ、気に入った人に

すぐ声をかける癖、直した方がいいぞ。」

 

「む‥、何?私がナンパしてるような

言い方しないでくれる?」

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

「‥‥本当広いなここ。」

 

秀夜は窓の外のビルや人々を見つめながら

そうつぶやいて教室に戻っていた。

すると奥の方から叫び声らしい声が

聞こえてくる。

 

「あー?なんだぁ?」

 

秀夜は大体予想がつき、

思わず笑みをこぼしてしまいながら

悲鳴が聞こえたその先へ向かった。

 

 

 

ーー

 

 

 

 

「ひっ‥‥‥!!?」

 

 

生徒の女の子は突然現れた怪物に怯え

廊下の隅へと逃げ込む。

警備員はその怪物に何かされたのか

寝込んでしまって動かない。

 

 

 

「ひゃっはー!さっそくお嬢様学園の

女子生徒に巡り会えるなんてついてるぜぇ!

しかも可愛い!」

 

「お、落ち着け!俺たちの目的は

A-RISEだろう?」

 

目の前にいる体は緑で毛で覆われ

1体は棍棒、もう1体は剣を持っている

2匹の〝ゴブリン〟はそう言って

女の子の目の前でもめている。

 

「まぁでも、こいつは俺たちが

持ち帰ってもいいんじゃねえか??」

 

「んっへへへへ‥確かになぁ‥

それじゃ遠慮なく‥」

 

「ひっ‥!!」

 

手を出そうとするゴブリンAに

女の子は目を瞑る。

 

 

「おいおい楽しそうじゃねぇかぁ。」

 

 

「「あ?」」

 

「‥‥‥‥?」

 

ゴブリン達と女の子はゴブリン達の背後にいる

少年へ顔を向ける、

そこにはウィザーソードガンを肩に置いた

秀夜が獲物を見つけたような笑みで

ゴブリンらを見ていた。

 

「はぁ?なんだお前、‥てかなんだその服?」

 

「こ、こいつこの女の子と色一緒だぜ!?」

 

「はぁ?何言ってんだ?ここは女子校だろーよ」

 

ゴブリン達は秀夜の服を見て

そう会話してると秀夜はニヤニヤと

口を動かす。

 

「ざんねーんっ。今日から

男子が1人増えましたーっ。」

 

秀夜はそう言ってドライバーオンリングを

右手の中指に付けベルトにかざした。

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

音声が鳴ると共にベルトは

ウィザードライバーへと形が変わる。

 

「一気に2匹も出てくれるなんてなぁ、

ラッキーだぜっ。」

 

秀夜は喜びながらダークネスリングを

左手の中指に付けドライバーの

シフトレバーを上下に動かす。

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン‼︎

 

シャバドゥビタッチヘンシーン‼︎

 

シャバドゥビタッチヘンシーン‼︎》

 

 

 

テンションの高い待機音声が流れ

ゴブリン達は音にビビり後ずさる。

 

「‥‥朝の時の‥‥」

 

女の子はそう呟きダークネスリングの

バイザーを下げる秀夜の姿を見る。

 

 

 

「変身。」

 

 

《ダークネス!プリーズ

 

アク アク・アクアクアーク‼︎》

 

 

 

ドライバーへかざすと音声が流れ

秀夜は両手を軽く広げる。

真正面から紫の魔法陣が現れ

秀夜の身体を通り抜けると秀夜は

仮面ライダーダークウィザードへと姿を変える。

 

「げぇ!?指輪の魔法使い!?」

 

「そんなの聞いてねぇぞ!?」

 

「俺もファントムがここに

いるなんて聞いてないぜ?」

 

ダークウィザードはウィザーソードガンを

剣モードに構えてゴブリンらを見る。

 

「派手に戦ったらじじいに怒られるからなぁ‥

物足りないが‥‥‥

手短に行かせてもらうぜぇえ!!」

 

ダークウィザードは走り出し

ゴブリンA、Bへと斬りかかる。

 

「ギャア!?」

 

「ぐあっ!?」

 

素早い攻撃に身体が追いつけず吹き飛ぶ

ゴブリンA、B。

 

「‥‥‥っ!」

 

「おい。死にたくなけりゃ逃げろ」

 

ダークウィザードは怯える女の子に

そう言うが女の子は動けないのか

足が震えていた。

それを見て舌打ちしながら

ダークウィザードは再び

怯んでるゴブリンらへと斬りかかる。

 

「がぁ!?」

 

「うわぁ!?‥こんの!」

 

ゴブリンBは剣を振り回し反撃するが

ダークウィザードは難なくかわす。

そしてダークウィザードはしゃがみ

ゴブリンBの足を斬りつけ

 

「フンッ!!」

 

痛みで膝をつくゴブリンBに

回し蹴りを入れ背後のゴブリンAと共に

吹き飛びその先の階段の下へと落ちる。

 

「はぁ‥こいつら弱いなぁ‥‥。」

 

階段の上からため息を吐きながら

ダークウィザードはゴブリン達を見下ろす。

 

「こ、こいつ!つえぇぞ!」

 

「い、一旦出直すぞ!」

 

 

「はぁ?逃げずにここで死ねよ。」

 

ダークウィザードは

ウィザーソードガンに力を入れ

紫に発光しだす。

やばいと思ったゴブリンらは

上から侵入したのか窓の隅に

小さな穴が出来ておりそこへ2匹は

跳躍して逃げようとする。

 

「逃がすかよぉお!」

 

ダークウィザードは隣の壁を駆け登り

落ちそうになる瞬間壁を蹴り

ゴブリン達の間合いを詰める。

 

「しまっ!?」

 

「ッラァ!!」

 

飛んできたダークウィザードに反応が遅れ

ゴブリンBはウィザーソードガンで

横振りに斬りつけられる。

 

「ぎゃああああっ!!」

 

ゴブリンBはダメージに

耐え切れずその場で爆散した。

 

 

 

「‥‥‥ちっ、1匹逃したか。」

 

ダークウィザードは着地して

ゴブリンAがいない事を確認して舌打ちをする。

そして変身を解き女の子を見る。

 

「‥‥あ、あの‥‥助けてくれて

ありがとうございます‥私金沢菜穂って

いいます‥‥あの、何かお礼を‥」

 

「いらね。」

 

おどおど喋る菜穂に秀夜は冷たくそう言って

その場を去る。が、思い出したかの様に

秀夜は立ち止まる。

 

「‥‥あ、ここであったことは誰にも言うな」

 

秀夜はそう言って再び歩き出す。

菜穂は何とか立ち上がり

秀夜の背中を見ていた。

 

「‥‥‥指輪の魔法使いさん‥‥。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

教室にて。

 

 

 

 

 

 

「ねぇ聞いた?お昼休み、廊下で

警備の人達が倒れていたらしいよ?」

 

「あー聞いた聞いた、でも倒れてた理由が

分からなかったみたいよ?」

 

「えー、なんか怖いっ。」

 

 

 

 

 

 

放課後やっっと授業が終わって

秀夜は開放感と達成感で自己満足していた時。

昼に起きた事件がクラスの中を噂で

広がっていた。

 

「何か起きたみたいね。」

 

「あぁ、だから早く帰りたいから手ェ離せ」

 

何となく予想していたが

秀夜の席にツバサ達が来て

ツバサは秀夜の手を掴んでいた。

 

「今から練習に行くの。貴方も参加ねっ。」

 

「何でだよ!いい加減にしろテメェら!」

 

秀夜は強引のツバサに叫ぶが

全く聞こえないつもりなのか笑みを絶やさない。

強引に引きはがそうとしても

再度ツバサは掴んでくる。

面倒だと思い秀夜はある事を提案する。

 

「ならこうしようか、テメェ、

コーヒー嫌いだろ?」

 

「え?」

 

秀夜は昼に食べながら聞いてた

ツバサ達の会話を思い出す。

 

ーー

『ツバサちゃんは砂糖で薄めても

コーヒーだけはダメなのよね〜。』

 

『うっ‥仕方ないでしょ、

あんな苦いの何でみんな飲めるのよ。』

 

『まだまだ‥だな。』

 

『ちょっと英玲奈、今バカにしたわね?』

 

ーー

 

「お前がコーヒーを一気飲みできたら

練習を見てやる。飲めなかったら帰る、

そして2度と付きまとうな、いいな?」

 

「ぐっ‥‥。」

 

流石のツバサもこの条件は狼狽える。

 

「いい条件だ編入生。

ツバサのコーヒー嫌いを

克服できる機会かもしれん。」

 

「えっ!?」

 

「良かったねツバサちゃんっ。」

 

「あ、あんじゅまで!?」

 

英玲奈とあんじゅは

やる気なのかツバサの肩を掴む。

 

「い、いいわよ!やってやろうじゃない!」

 

 

「へっ、決まりだな。」

 

 

 

ーーーー

 

 

 

食堂にて。

 

「‥‥‥‥っ!!」

 

ツバサは目の前に置いてある

砂糖も何も入れてないブラックコーヒーを

見て硬直している。

 

「はっは〜、早くしろよ〜?」

 

「あ、貴方Sね‥‥。」

 

「さぁてねぇ。」

 

秀夜はニヤニヤしながらツバサと

同じブラックコーヒーを美味しそうに飲む。

あいにく俺はコーヒーが大好きなんでね。

 

「ツバサっ。いくんだ!」

 

「ツバサちゃん頑張って!」

 

英玲奈とあんじゅに応援されツバサは

勢いに任せてカップを持ち口へ運ぶが

 

 

 

「うぇぇえ‥‥!コーヒーぃまずいよぉ‥!!」

 

 

朝の振る舞いが嘘みたいに

ツバサは泣き始める。

 

「お子様にはキツいわな〜‥。」

 

秀夜がそう言うとカチンときたのか

再度コーヒーを口へ運ぶ。

 

「おぇえ!‥‥‥やっぱムゥリィイ!」

 

再び涙目になり拒否するツバサ。

 

「ツバサ!お前はトップアイドルを

目指すのだろう!?ここで負けてしまっては意味がないぞ!」

 

「ツバサちゃん!

飲んでも死なないから、大丈夫だから、

頑張って!」

 

英玲奈とあんじゅに背中を押され

ツバサは決心をついたのか

 

「‥‥‥んぐ!!」

 

「ぉお。」

 

一気飲みした。

あーマジか。

ちょっと予想外な結果に秀夜は

ビックリするが。。

 

「‥‥‥‥‥。」

 

ツバサはその場に倒れた。

 

 

「「ツバサ(ちゃん)ーー!?」」

 

 

「‥‥。」

 

は、なんかアホらしくなってきた。

 

秀夜は鞄を持って食堂から出て行った。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

「っしゃあ。指輪が貰えるー」

 

伸びをしながら秀夜はUTX学園を出て

駐車場へ向かおうとする。

学校へ行く事は達成したし、

指輪は貰えるんだからな。

秀夜はふっと頬が緩む。

 

その時だった。

 

 

「きゃあぁあああ!!」

 

「ん?」

 

UTX学園から生徒の悲鳴が響き渡る。

秀夜は上を見上げると

窓ガラスからガラスの破片と共に

何かが飛び出し他のビルの上へと着地する。

それは昼に逃したゴブリンだった。

ゴブリンはどデカい袋を持って

秀夜がいる場所の反対側の

ビルの下へ降り、姿を消す。

 

「ツバサ様がさらわれた!?」

 

「A-RISEの皆もよ!!」

 

学園の生徒からそんな声が聞こえ出す。

 

「‥ちっ、何やってんだあの女子共。」

 

秀夜は使い魔のケルベロスを出して

追跡をさせる。その間に秀夜は

自分のバイクの所へ行きエンジンを入れ

ゴブリンが逃げた方向へと走り出した。

 

 

 

ーーーーーー

 

「‥はぁ、こわかったなぁ」

 

放課後帰り道、金沢菜穂は今日あった

ファントムの事を思い出しながら

通学路を帰っていた。

お嬢様学校と言えるだけのことはあるのか

周りの市民から目線がちらほら向けられる

だがそれはもう慣れたのか菜穂は平気で

街中を歩いている。

 

「‥‥あの人‥何者なんだろう‥‥。」

 

ゴブリンと同時に今日編入してきた

1人の男性を思い出す。

そして彼は姿を変えて怪物と戦っていた。

 

 

『死にたくなけりゃ逃げろ』

 

 

「‥‥‥ちょっと、かっこよかったかな‥」

 

菜穂はそう言って手に持っている

小包を見る。

 

 

 

 

「‥受け取ってくれるかな‥‥

‥‥‥‥‥あれ?」

 

菜穂は少し顔を染めるとデカい袋を持った

男が路地裏へ入っていくのを確認する。

あまりにも不自然な袋が気になり菜穂は

後をついて行く。

 

 

 

 

 

 

だいぶ奥まで行くと

使われてない壊れたビルの中へたどり着く。

 

「うわ、薄気味悪い‥。」

 

菜穂は怖くなり帰ろうとするが

話し声が聞こえ出すので恐る恐る覗き込む。

 

 

「貴様ら!こんな事をしていいと

思っているのか!?」

 

「そうよ!早く帰してよっ!」

 

 

「っ!英玲奈さんにあんじゅさんに、

ツバサさんっ‥‥‥!?」

 

声を荒げていたのは縄に縛られてる

英玲奈、あんじゅ、そしてツバサの

A-RISEの3人だった。

そしてその先にいる2人の男は

3人の顔を見るなり笑い出す。

 

「そーだな!ファントムを生み出したら

帰してやってもいいぜ?な、アニキ。」

 

「あぁ、さて、どうやったら

絶望するんだ?人気のスクールアイドルちゃんよぉ。

その顔をズタズタにしようか?

それとも、女の子の初めてを奪ってやろうかぁ??」

 

「「「っ!!?」」」

 

男の言葉に3人は顔色が変わる。

そして2人の男は怪人態、ゴブリンへと

姿を変える。

 

「!?か、怪物!?」

 

「ひっ!?」

 

「‥‥‥‥!」

 

ゴブリンになった姿にツバサ達は

驚きゴブリン達を睨む。

 

「さっさとやっとこうぜアニキ!」

 

「そうだな‥‥じゃあ遠慮なく‥‥!?」

 

ゴブリン達が手を出そうとした時

突然1匹のゴブリンの頭に軽い衝撃が走る。

 

ゴブリンは振り向くと鉄パイプを持った

菜穂がそこに立っていた。

 

「なんだぁ?」

 

「ハッ‥ハッ‥ぅぅ!」

 

「っ!ウチの制服‥!?」

 

叩かれたゴブリンは誰だと首を傾げる。

ツバサ達は突然来た生徒にビックリし、

本人の菜穂はビビりながら

鉄パイプを握りしめる。

 

「ん?あー!こいつ可愛かった子!」

 

「きゃっ!?」

 

部下のゴブリンはそう言って

アニキ分のゴブリンの前に立ち菜穂の持つ

鉄パイプを奪い取り投げる。

 

「へっへー!まさか自分からここへ来るなんてな!

アニキっ、こいつ貰っていい?」

 

「はっ、好きにしろ。」

 

「あ、貴方逃げなさい!!」

 

ツバサは叫ぶがゴブリンは既に腕を掴んで

逃げる事ができなかった。

すると鞄から1つの小包みが落ちる

 

「あっ‥‥」

 

「あ?なんだこれ?」

 

ゴブリンはそれを持つと中には

多少崩れているがチョコクッキーが入っていた。

 

「げっ、菓子かよ。

なんだテメェ彼氏でもあげるのか?

ははは!残念だなぁ、今から俺のものになるから

用意する時間を間違えたようだ、なぁ!」

 

そして、ゴブリンは高笑いしそのお菓子を

グシャリと握り潰し地面に叩きつけた。

 

 

 

「‥‥!!‥ぁ‥‥‥! うぅ!?」

 

その光景を見て菜穂は

突然胸の奥に激痛が走る。

そして菜穂の顔にヒビが入る。

 

「えっ‥?なにっ?」

 

「おいおいおい!こいつゲートかよ!

マジかよ!メデューサさんからは

何も聞かされてねぇぞ!?」

 

「まさかゲートがまだいたとは、

だがでかした。これでファントムが

また1人増えるな。」

 

身体にヒビが入る菜穂の姿に

ツバサ達は困惑しゴブリン達も予想外だったようだ。

 

「そいつはもう放ってろ、

こいつらも絶望させるぞ。」

 

「ちっ、可愛かったのになぁ。」

 

ゴブリンは掴んでた菜穂の手を離し

菜穂はその場で四つん這いになる。

 

「‥‥‥‥っ‥‥‥」

 

菜穂は砕けながらも小包を見つめる。

 

 

友達と選んでせっかく買った物、

お昼に助けてくれたあの人への、

‥‥‥私なんかが選んでも、

多分、受け取ってくれなかっただろうな‥

 

 

その時、

 

もの凄い衝撃と共に壁が破壊され

1台のバイクが入ってくる。

 

「な、なんだ!?」

 

「っ!!?」

 

「「「きゃっ!?」」」

 

ゴブリン達はバイクから降りる

人を見ると。

 

 

「みぃつけた‥‥化け物ちゃんよぉ。」

 

ヘルメットを外しゴブリンの姿を確認するなり

不気味な笑顔になる。

 

「ゲッ!?指輪の魔法使い!?」

 

「なんだと!!なんでここが!?」

 

「し、秀夜‥君‥?」

 

 

「テメェらの匂いはコイツが覚えているからよぉ。

‥‥てか、なんで2匹いるんだ?1匹倒しただろ?」

 

なぜか2体になってるゴブリンに

秀夜は肩に載っているケルベロスの説明しながら

首を傾げていた。

 

「てめーが俺の部下を殺したらしいじゃねえか

落とし前つけさせてもらうぞコラ‥。」

 

 

「‥‥‥あっそ。」

 

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

 

 

ゴブリンCは鈍器を持って秀夜に向けて構える。

その間に秀夜はドライバーオンリングをベルトに

かざし、ウィザードライバーへと形を変える。

 

「秀夜君!あぶない!」

 

「編入生!早く逃げろ!」

 

 

 

「うるせぇ、いいからテメェらは

そこで黙って見てろ。」

 

あんじゅと英玲奈は叫ぶが秀夜は

そう言ってドライバーの

シフトレバーを上下に動かす。

 

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン‼︎

 

シャバドゥビタッチヘンシーン‼︎

 

シャバドゥビタッチヘンシーン‼︎》

 

 

 

 

テンションの高い待機音声が流れ始め

ゴブリンCやツバサ達は何事かと

秀夜を見る。ゴブリンAは1度分かっているので

警戒態勢を取り武器を構える。

 

秀夜はダークネスリングを左手の中指にはめ

バイザーを下げる。そして

顔を引き裂く様に左手を顔の横に振り

ドライバーへとかざす。

 

 

 

「変身!」

 

魔法の言葉を言って。

 

 

《ダークネス!プリーズ

 

アク アク・アクアクアーク‼︎》

 

 

 

 

音声とともに

両手を小さく広げると

真上に紫の魔法陣が現れ

秀夜の身体を下へと通り抜ける。

そして仮面ライダーダークウィザードへと

姿を変える。

 

「え‥秀夜君!?」

 

「な、なんだあの姿!?」

 

「‥なんか、すごぉい‥‥‥。」

 

ツバサ、英玲奈、あんじゅの順番で

姿が変わる秀夜に驚く3人。

 

「‥‥‥ん?」

 

ダークウィザードはゴブリンの横で

ヒビが悪化する菜穂に気づく。

 

「‥‥‥魔法‥‥使い‥‥さん‥‥。」

 

微かだが菜穂もそう呼んで

ダークウィザードを見つめる。

 

「‥‥はっ。テメェもゲートかよ。

しかも生まれそうになってるし。」

 

ダークウィザードは笑いながら

そう言ってゴブリン達にウィザーソードガンを

剣モードで構える。

 

「なら、早いとこ終わらせてやるかぁ!」

 

ダークウィザードはその場から跳躍し

空中へ飛び上がると菜穂の隣にいた

ゴブリンAへウィザーソードガンを振りかざす。

 

「ちょ‥!?ぐはぁっ‥!!?」

 

ウィザーソードガンはゴブリンAの身体を

貫きくし刺にする。

 

 

「ほら、死ねよ‥‥‥ウォラァア!!」

 

 

「ぐっ‥‥ぎゃあああぁぁ!!」

 

ダークウィザードはくし刺にした状態で

ゴブリンAを斬るようにウィザーソードガンを抜き、

ダメージに耐え切れずゴブリンAは爆散した。

 

 

「なっ!?てめえ!よくもやってくれたな!」

 

ゴブリンCは怒り鈍器を持って

ダークウィザードへ振りかざしてくる。

 

「よっと。」

 

ダークウィザードはウィザーソードガンで

受け流しゴブリンCの懐を斬りつける。

 

「ぐっ!?オラァ!」

 

「おおっ、いいねぇ!」

 

斬りつけられたゴブリンCは痛みに耐え

鈍器を振り、ダークウィザードを吹き飛ばす。

 

「セェイ!!」

 

「ぐっ!?」

 

吹き飛ばされたダークウィザードは

天井に足をつけそこから勢いよく飛び、

ゴブリンCへと飛び蹴りを喰らわせる。

諸に受けたゴブリンCはそのまま地面へ

打ち付けられる。

 

「ふん‥。」

 

足で押さえつけダメージで動けない

ゴブリンCを見ながら

ダークウィザードは

ウィザーソードガンのハンドスプリングを開く。

 

 

《キャモナスラッシュ‼︎

シェイクハンズ‼︎

 

キャモナスラッシュ‼︎

シェイクハンズ‼︎》

 

 

待機音声が流れダークネスリングを

ハンドオーサーにかざした。

 

 

《ダークネス!・スラッシュストライク‼︎

 

アクーアクーアクー・アクーアクーアクー》

 

 

ウィザーソードガンに紫の炎が渦を巻き始め

ダークウィザードはソレをゴブリンCに向ける。

 

「ぐっ!?ま、まて!悪かった!

見逃してくれ!頼むっ!」

 

ゴブリンCは命乞いをするが

ダークウィザードはそれを

楽しむように笑い出す。

 

「はぁ?そんな姿で命乞いとかするなよ‥

オラァァアッ!!」

 

ダークウィザードはウィザーソードガンを

振り下ろし胸部辺りに突き刺す。

言葉を出すこともなくゴブリンCは

そのまま爆散した。

 

 

「‥‥‥‥ケルベロース。」

 

ダークウィザードは変身を解かず

そう言うとツバサ達の前にケルベロスが現れる

 

「え、わわっ、何これ⁉︎」

 

ツバサが驚くとケルベロスは飛び付き

縛っている縄を噛み切る。

 

「‥あ、ありがとう‥。」

 

「‥礼を言う。」

 

あんじゅと英玲奈が礼を言うと

ケルベロスはバウッと吠えて

地面に飛び降りその場に座り込む。

そしてダークウィザードは

かなり悪化している菜穂に近付き

エンゲージリングを無理やり指に付ける。

 

「‥‥‥こ、れは‥‥?」

 

「助かりたけりゃ黙ってろ。」

 

菜穂の言葉にダークウィザードは

そう言うとシフトレバーを上下に動かし

菜穂の手をベルトにかざした。

 

 

《エンゲージ・プリーズ》

 

ドライバーから音声が鳴ると

菜穂は倒れこみその上に魔法陣が現れる。

 

ダークウィザードはそれを確認すると

その魔法陣の中へと飛び降りて姿を消した。

 

 

 

「‥‥彼、何者‥‥‥?」

 

「わ、わからない‥だが、

あの運動神経、中々素晴らしかったな。」

 

「ツバサちゃんも

変わった人に目をつけたね〜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「っしょっと‥‥。あ?ここ秋葉原じゃん。」

 

菜穂のアンダーワールドに

ダークウィザードは飛び降りると

先ほどいたUTX学園の近くの街中だった。

 

その正面にお菓子屋らしき物が見え

そこでお菓子を買ってる菜穂の姿を確認する。

 

 

「‥‥お?」

 

すると菜穂の顔にヒビが入り

そこから耳鳴りするほどの咆哮とともに

巨大な いも虫のようなファントム

〝ワーム〟が姿を現わす。

 

「ははっ!出たなぁ!

そんじゃあこっちも。」

 

ダークウィザードはドラゴライズリングを

右手の中指に付けシフトレバーを動かし

ドライバーへとかざした。

 

 

《ドラゴライズ!プリーズ》

 

 

音声が鳴るとダークウィザードの頭上に

巨大な魔法陣が現れそこから紫の

ウィザードラゴンが咆哮と共に飛び出す。

 

ウィザードラゴンはそのままワームへと

突進し秋葉原の地面を掘り進むワームを

うまいこと掴み上げ空中へ持っていく。

だがワームは抗い、ウィザードラゴンを

締め上げるように絡み付き

身動きが取れなくなったウィザードラゴンは

そのまま落下し地面へと落ちる。

 

「あーあ、何やってんだおい。」

 

ダークウィザードはそう言って

ウィザーソードガンを銃モードに構えて

ワームに向けてコントラクトリガーを引き

銃弾を連発する。

 

「ーーっ!?」

 

直撃したワームは苦痛と共に

ウィザードラゴンから離れ再び地中へと潜る。

 

《コネクト・プリーズ》

 

その間にダークウィザードは

コネクトリングでバイクを取り出し

ウィザードラゴンへと走り出す。

 

「さぁ、俺に従いな!ドラゴン!」

 

ダークウィザードはバイクごと跳躍し

ウィザードラゴンの背中に合体する。

バイクと合体した姿、

ウィンガーウィザードラゴンは

咆哮と共に飛び上がり地中を掘り進む

ワームを空中から見つめる。

 

「面倒だなぁ‥‥あの穴狙うか。」

 

 

ダークウィザードはワームが掘った一番大きい

穴に向けてそう言ってウィザーソードガンの

ハンドスプリングを開く。

 

 

《キャモナシューティング‼︎

シェイクハンズ‼︎

 

キャモナシューティング‼︎

シェイクハンズ‼︎》

 

 

待機音声が流れると

ダークネスリングを付けた左手を掲げ

ハンドオーサーへとかざした。

 

 

《ダークネス!・シューティングストライク!

 

アクーアクーアクー・アクーアクーアクー》

 

ウィザーソードガンの銃口にエネルギーが集まり

穴に向けて狙いを定める。

 

「‥‥‥‥ラァッ!!」

 

そしてコントラクトリガーを引き

収縮したエネルギーを放つ。

それと同時にウィンガーウィザードラゴンも

口から火炎放射を放ちその穴に

はいっていく。

 

「ーーーーーーッ!!?」

 

穴の奥から咆哮が聞こえ

焼きあがるワームが飛び出してくる。

そして、ダメージに耐え切れず

ワームは爆散した。

 

 

「‥‥‥あー疲れた。」

 

ダークウィザードは爆散した事を確認し

ウィンガーウィザードラゴンの咆哮と共に

そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

時は14話の回。

その病院の場所にて。

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、菜穂さん。」

 

 

「え、あっツバサさん‥‥あれ?

え!?秀夜君!?帰ったんじゃっ?」

 

 

「クソっ‥帰るつもりだったのに‥!」

 

 

あの後、菜穂のアンダーワールドから

ファントムが消え無事に済んだが

ゲートの悪化がひどく

数日入院することになった。

症状も回復し明日には退院できる所まで

いった菜穂に1回でもお見舞い行けと

ツバサに言われこうして来てるわけだった。

それと同時に。

 

「え!?ここにファントムが現れたの!?」

 

「う、うん。でも2人の魔法使いが

倒してくれたみたいなの。」

 

「へぇ、やるじゃない秀夜君。

‥‥‥ん?2人?」

 

「俺以外にも魔法使いいるぞ。」

 

「ええぇっ!?」

 

ツバサは菜穂と秀夜の説明に驚いていた。

あの件で秀夜が魔法使いってこともバレ、

ファントムの存在も話すはめになった。

 

それだけならまだよかったんだ‥だが。

 

ーー

 

『貴方が魔法使いってことは秘密にしてあげる。

ただし、私達のマネージャーになってくれるならね。』

 

『はぁ!?なんでだよ!?』

 

『ファントムと戦ってる時の動き。

只者じゃないと判断したし、

私は貴方に興味がある、

そして、‥コーヒーちゃんと飲んだわよ?』

 

『ぐっ‥!?しまった‥‥』

 

『じゃあ決定ね よろしく秀夜君っ。』

 

ーー

 

と、なったんだ‥‥‥‥‥。

 

くそ、やらかしたぜほんと‥‥ダリィ‥。

 

 

 

 

「それじゃあ、私は練習があるから

また明日学校でねっ。秀夜君行くわよ。」

 

「勝手に行ってろ。」

 

「魔法使い学校にバラしてもいいのかな?」

 

「‥‥‥!テメェ覚えてろよ‥‥。」

 

なぜここまでバラせるのを拒否るのか

それは秀夜がUTX学園のバイキングに

ハマってしまいもし退学させられたら

それが食べれなくなるので

こうして嫌々と付き合ってるわけだった。

 

「あ、あの‥秀夜君‥。」

 

「‥‥‥‥あぁっ?」

 

出ようとする秀夜を菜穂が呼び止め

不機嫌な秀夜はそう返事する。

 

「‥‥助けてくれて、ありがとうっ。」

 

「‥‥‥。」

 

菜穂がそう言うとふん と鼻を鳴らして

病室から出て行く。

 

 

 

 

「‥‥。」

 

今日はやたらお礼されるなぁ‥‥。

あの魔法使いの周りにいたオレンジ頭の

奴らにさっきの女子にも‥‥。

 

「ね、秀夜君。」

 

「‥‥‥‥んだよ。」

 

病院の廊下を歩いていると

突然ツバサが声をかける。

 

 

「そろそろ私の名前も呼んでほしいな?」

 

「は?知らねえ。」

 

「ちょっと!せめて苗字くらい呼びなさいよっ。」

 

「ちっ‥‥‥じゃあ。」

 

「うんうんっ。」

 

一旦区切った秀夜はチラッとツバサを見て。

 

「[チビ]な。」

 

「ちょっと!デリカシーないの貴方!?」

 

「コーヒーも碌に飲めねぇテメェに

ピッタリだと思うが?」

 

ギャーギャーと騒ぐツバサに

秀夜はそう言って病院を後にする。

 

 

 

その姿を窓から菜穂は見つめていた。

 

 

「‥‥‥例えツバサさんでも負けませんよ‥。」

 

 

菜穂はそう言って

中指に付けてるエンゲージリングと

秀夜を見つめるのだった。

 




はい、オリジナル全開の話でした!
UTX学園とかA-RISEのキャラがよくわかんないぜ( ゚д゚)
あ、ちなみにオリキャラの
金沢菜穂は かなざわ なお ←こう読みます。

次回はちゃんと次回作なんで、(>_<)

評価、感想などがあれば是非お願いします!(^^)


秀夜「おい!指輪もらってねぇぞ!?」

え?まぁ次出た時に使わせますからw

秀夜「てめ!?笑っただろ!おいっ!!」

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