ラブウィザード! 〜希望の柱〜   作:しょくんだよ

12 / 54
朝寒いとベットから出たくないでござる。
だが頑張って学校に行けたぜよ。
友達が飯を奢ってくれると言ってくれたからな!
(≧∇≦)
晴希「ゲスだな。」
ことり「ことりもそう思う‥かな?」
凛「ゲスにゃ。」
奢ってくれるって言われたら
喜ぶでしょ( ゚д゚)
それに言われなかったとしても
ちゃんと行ってるからなっ。
(; ̄ェ ̄)
晴希「それが普通だろ。」
ことり「普通じゃないかな?」
凛「普通にゃ。」
‥_| ̄|○


第12話 アイドルとしての自覚

「アイドル研究部?」

 

「そう、すでにこの学校にはアイドル研究部という

アイドルに関する部が存在します。」

 

翌日の放課後、正式な部活と認めてもらう為に

アイドル申請書を出す為に生徒会室へ訪れた

俺、操真晴希とμ'sメンバーの2年組、

高坂穂乃果、園田海未、南ことり。

活動メンバーが5人揃えば正式な部活として

認められると言われたらしく、

すでにメンバーは7人になっていたのに

申請書を出し忘れていた穂乃果。

周りの俺らがついていながら俺も

忘れていたのがなんか悔しい。

それで、今申請書を出したのだが‥

 

「アイドル研究部ってそんなのがあったのか‥。」

 

「部員は1人やけどね。」

 

この学校の副会長、東條希は

追加するように言ってくる。

え、1人?それ部活なん?

 

「え、でもこの前部活には5人以上って‥。」

 

この前とは俺が編入してくる前に

生徒会とそんな話をしたらしい。

穂乃果も部員が1人という点が

気になったのか希に聞いていた。

 

「設立する時は5人必要やけど、

その後は何人になってもいい決りやから。」

 

ふむ、なるほど。

1人なのに部を続けるってのもすごいな。

 

「生徒の数が限られている中、

イタズラに部を増やす事はしたくないんです。

アイドル研究部がある以上、貴方達の申請を

受け入れる事は認められないわ。」

 

生徒会長の綾瀬絵里は睨むような目付きでそう告げる。

ぐっ、相変わらずお堅いなーこの人。

 

「貴方もです、操真君。唯一男子生徒である

貴方はもっと別の事をしたらどうですか?

成績もそんなに悪くないはずです。」

 

絵里の言う通り晴希はテストの点などは

ほとんどが約80の高得点。

真面目に授業も受けていれば

もっと高い点数を取れるだろう。

 

そんな気はさらさらない。

勉強だるいっすもん。

いきなり話を振ってきたが

俺はすぐに答えた。

 

「‥勉強は好きでやってるわけじゃないですし、

例え生徒会長に何を言われようと

俺は辞める気は全くありません。それに

こいつらは学校を存続させようと真剣に

アイドルをやってます。

決してイタズラなんかじゃありません。」

 

「晴希君‥。」

 

俺が反論すると絵里は軽く息を吐く。

 

「‥そうね、少し言いすぎたわ。

「じゃあ申s‥」

とにかく、この話は終わりです。」

 

えぇえ、無理やり終わらせやがったこいつ。

そんなにμ'sの活動ダメなんですか?

穂乃果達もうーんと 暗い顔をして俯く。

 

「‥に、なりたくなければアイドル研究部と

ちゃんと話をつけてくる事やな。」

 

すると希が絵里の言葉に追加するように

口を動かす。

 

「希っ。」

 

「2つの部が1つになるなら問題ないやろ?」

 

「っ‥‥。」

 

絵里は歯噛みをしながら希の言葉を受け入れる。

 

「希さん‥。」

 

「ってなわけで晴希君、部室に行ってみれば?」

 

希は俺にウィンクしながらそう言った。

さすが希さん‥

こりゃクラーケンがくっつく理由も分かるな。

俺たちはさっそく1年組を連れて

アイドル研究部の部室へと向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「「「‥‥。」」」

 

 

「‥‥‥‥。」

 

 

 

アイドル研究部へと向かった俺とμ'sの6人は

目の前の女の子と目を合わせて唖然としている。

なぜならその子は解散しろと言って昨日は

うんちの帽子みたいなのを被ってた人物。

そして、ゲートでもある矢澤にこがその場に立っていた。

 

 

「‥お前‥あの時の‥」

 

「先輩、知り合い?」

 

昨日は変な格好だったので分からなかったが

にこは以前、俺にゲートだった真奈美が

詐欺師だと教えてくれた女の子だった。

その時の格好と同じなので会った瞬間すぐに分かった。

 

「まさか、お前がここの部の部長さんだったなんてな」

 

「‥‥。」

 

俺がそう言うとにこはなぜか腰を低く下ろす。

そして、

 

「ウニャァアアアッ!!」

 

「うわわっ⁉︎」

 

猫の様な素振りで威嚇し、

俺はびっくりして後退ると、その隙に

にこは部室の中へと急いで入り鍵を閉めた。

 

「やられたっ!」

 

「部長さん!部長さーんっ!

開けてくださいっ!」

 

穂乃果はドンドンとドアを叩くが

ドア越しに何やら荷物を積み立てる様な

重い音が聞こえてくる。

完全に入れない気だな‥。

 

「外からいっくにゃー!」

 

星空凛はそう言うと廊下を走り去っていった。

外からって、部室に閉じこもったら意味がないだろう。

‥仕方ない。

 

俺は周りをキョロキョロと

見回しながら、ポケットから

ドライバーオンリングを取り出し、

右手の中指にはめて

ベルトにかざした。

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

音声とともにベルトは形を変え、

ウィザードライバーへと変わる。

 

「せ、先輩?」

 

「何する気?」

 

1年生の小泉花陽と西木野真姫は

俺の突然の行動に問いかける。

 

「これじゃ話ができないからな。

強行突破だ。」

 

俺はそう言いながらウォーターリングを

左手の中指にはめ、ドライバーのシフトレバーを

上下に動かした。

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン‼︎

 

シャバドゥビタッチヘンシーン‼︎

 

シャバドゥビタッチヘンシーン‼︎》

 

 

テンションの高い待機音声が鳴る中、

俺はウォーターリングのバイザーを下げて

ドライバーにかざした。

 

《ウォーター!・プリーズ

 

スイ〜スイ〜スイ〜スイ〜スイ〜》

 

左手を真上にかざすと水の魔法陣が現れると同時に

穂乃果達は後ずさる。

魔法陣が俺の身体を下へと通り抜けると俺は

仮面ライダーウィザード、

ウォータースタイルへと姿を変える。

 

「は、晴希⁉︎まさかドアを壊すのですかっ‥⁉︎」

 

「えぇっ⁉︎ダメだよ晴希君!」

 

「とゆうか、校内で変身しちゃまずいんじゃ‥」

 

海未、穂乃果、ことりの順番でそう言うが

ウィザードはふふっと笑う。

 

「そんな事するわけないでしょ、

それにちゃんと人がいないか確認したから大丈夫だ。」

 

ウィザードはそう言いながらリキッドリングを付けて、

ドライバーのシフトレバーを動かしかざした。

 

《リキッド・プリーズ》

 

音声が鳴るとウィザードの身体は

みるみる溶け出していく。

そして、狭いドアの隙間の中へと

入って行った。

 

「おぉー!すごい!」

 

「‥本当、なんでもアリなのね。」

 

「この魔法、大丈夫なのかな‥?」

 

穂乃果、真姫、ことりがそう言うが

安心しろ、こんな事するのはこれが初で最後だろう。

 

 

 

 

「よっ。」

 

「ひぃやああっ⁉︎」

 

液状化から戻ったウィザードは

通り抜けた部室の中のにこへ挨拶すると

かなりびっくりして腰を抜かして尻もちをついた。

まぁ当然ですよね。

 

「びっくりした?」

 

「び、びっくりどころじゃないわよ⁉︎

アンタそれ犯罪よっ⁉︎」

 

「それ言われるとよわいな‥。

でも話も聞かずにドア閉めるからだぞ?」

 

ウィザードは変身を解いてそう言うと

にこはスカートを、はらいながら立ち上がる。

そして歩き出し、窓のカーテンを開けると

暗い部室に天気は曇りだが

光が灯り、明るくなる。

いきなり明るくなったので俺は目を軽く瞑ってしまう。

 

「‥あれから何も起こってないか?

怪物に襲われたりとか、、」

 

「っ‥‥起こってないわ。」

 

気のせいか怪物の言葉に

反応した素振りを見せたにこ。

 

「よかった。あ、でもまた襲われるかもしれないから

しばらく守らせてほし‥‥‥あれ?」

 

俺がにこの方を振り向くとそこに

にこの姿はなく、窓が開いた状態だけだった‥

 

って。

 

「逃げられたっ⁉︎」

 

俺は窓の外を見ると

走り去っていくにこを見る。

するとそこへ、

 

「にゃあ〜〜っ!待て待て〜!」

 

先ほど外へ飛び出していた凛が

タイミング良くにこの後を追っていた。

前言撤回。ナイスだ凛。

俺も窓から飛び出しにこの後を追う。

 

「にゃー!捕まえたーっ!」

 

だが予想外にもう捕まってた。

 

「んんっ!」

 

が、その場にしゃがみこんで

また逃げ出すにこ。

 

「あーっ、ちょっとー!」

 

「ちょっ、凛しっかり持っていろよ!」

 

 

 

「ふんっ、捕まるもんですかっ。」

 

にこは茂みの中へ入り

そこから飛び出すと‥。

 

 

 

 

「メェ?」

 

 

「えっ、うわあぁぁぁああああっ!?」

 

 

 

 

「すごい声が聞こえたぞ⁉︎」

 

「あっちからにゃ!」

 

俺と凛は叫び声が聞こえた

茂みの向こう側へ行くと

そこにはムシャムシャと草を食べてる

アルパカ達がいる小屋へたどり着く。

 

「あれぇ?いないにゃ。」

 

「おかしいな‥ん?」

 

アルパカの後ろに黒い影が見えたので

俺は覗き込んだ。

するとそこににこが仰向けで頭を打ったのか

たんこぶが出来て倒れていた。

 

あれ、なんか視界に

ピンク色のパンt‥

 

 

「っ!ほぁあっ!」

 

俺はなぜか咄嗟に

アルパカの小屋の角に勢いよく頭をぶつける。

 

「ど、どうしたにゃ⁉︎」

 

「い、いや、別に‥てか、倒れてるぞあいつ。」

 

凛は俺の行動にびっくりしながら小屋の中を覗き込む。

 

「あ、丸見えにゃ。」

 

「そうなんだよ、さすがにまずいかと思ってo‥」

 

俺は慌てて汗を垂らしがら片手で口を塞ぐ。

 

 

 

「見たんですか?」

 

「‥‥これは不可行為です。」

 

「ラーメン奢ってくれたら黙っておくにゃ。」

 

「お任せ下さい。」

 

「やったにゃ。」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「‥‥。」

 

 

鼻に絆創膏を貼ってるにこはふてくされていた。

あの後凛と一緒に捕まえて部室へと運んで

目を覚ましたら話そうとしていたのだが

まずそれよりも。

 

「ふあぁあ‥」

 

「すごーい‥」

 

「これは‥すごいな‥」

 

「A-RISEのポスターにゃっ。」

 

「あっちは福岡のスクールアイドルね。」

 

「校内にこんなところがあったなんて‥」

 

 

さっき皆より先に入ったのだが暗くて分からなかった。

部室の中にはスクールアイドルのポスター、

グッズ、CDやDVD、プロのアイドルの物まで

ずらりと棚やダンボールの中に詰め込んであった。

皆可愛い‥あ、いかんいかん。

 

「‥勝手に見ないでくれる?」

 

いや流石にこの量は見てしまうって。

 

「こ、ここ これは‥‥⁉︎」

 

花陽は棚にある1つの箱を手に取ると

身体中が震えだす。

 

「どうした花陽?」

 

「これは伝説のアイドル伝説!

DVD全巻BOX!!持ってる人に初めて会いました!

すごいですっっ!!」

 

「そ、そう‥?」

 

その箱を持った花陽は何時ぞやの時みたいに興奮して

目をキラキラさせながらにこに近寄る。

 

「なんだそれ‥?」

 

「へぇ、そんなにすごいんだぁ‥。」

 

「2人共知らないんですか⁉︎」

 

俺と穂乃果が首を傾げると

またすごい勢いで歩み寄る。

すると直様勝手に置いてあるパソコンを

たちあげてそのDVD全巻BOXの詳細を調べだす

俺と穂乃果、そして凛と真姫も気になり覗き込む。

 

 

 

「伝説のアイドル伝説とは、各プロダクションや

事務所、学校などが限定生産を条件に歩み寄り

古今東西の素晴らしいと思われる

アイドルを集めた

DVD−BOXで、その希少性から伝説の伝説の伝説!

略して『伝伝伝』と呼ばれる、アイドル好きなら

誰もが知ってるDVD−BOXです!」

 

「は、花陽ちゃんキャラ変わってない‥?」

 

 

すごい早口で説明する花陽。

穂乃果もさすがにびっくりしてる。

花陽って結構アイドルオタク‥?

 

「通販、ネットと共に瞬殺で落札される

しかも2セットも持っているなんて‥!!

‥尊、敬‥」

 

「家にもう1セットあるけどね。」

 

「本当ですか⁉︎」

 

「そんなに凄いのか‥。」

 

俺は花陽がにこに見惚れてる間に

パソコンでそのDVD−BOXの価格を確認してみた。

 

‥‥はっ⁉︎高っ!これがすぐに落札されんの⁉︎

これを2セットと、家に1セットあるって‥‥

矢澤にこ、お前は何者なんだ‥。

 

「じゃあこれみんなで見ようよっ。」

 

「ダメよ、それは保存用。」

 

「くぁぁぁあぁぁ‥‥‥。」

 

保存用て やはりこの方は只者ではないようだ。

そしてそれを聞いた花陽は机に突っ伏して涙を流す。

 

「で、伝伝伝‥‥っ。

うう‥ぅうっ‥うううぅ‥」

 

「かよちんがいつになく落ち込んでるにゃっ。」

 

そりゃそうだろう、少なくともこの値段は

高校生が買えるような額じゃないし。

 

「‥‥。」

 

「‥あぁ、気付いた?」

 

ふと、にこがずっと棚の上を見つめてることりに

声を掛けると、ことりはビクっと肩を震わす。

ことりの目先の物を見るとそこには

サインが書かれてある色紙が置いてあった。

 

「秋葉のカリスマメイド、

ミナリンスキーさんのサインよ。」

 

カリスマメイド‥?また凄そうな物が出てきたな。

 

「ことり、知っているのですか?」

 

「あ、えと、いやぁ?」

 

机でアイドルの資料を見ていた海未が問い掛けると

なぜか焦りながらことりは答える。

 

「ま、ネットで手に入れた物だから本人の姿は

見たことないんだけどね。」

 

にこがそう言うとどこか安心した様に

胸に手を置いて息を吐くことり。

 

「と、とにかくこの人凄いっ。」

 

それについては同感だ。

こんなにアイドルグッズや限定品らしいものが

集まってるんだから、お金持ちなのだろうか。

 

「それで、何しに来たの?」

 

やっと本題に入ってくれたにこに。皆は

それぞれ椅子に座る。

そして穂乃果が口を動かす。

 

「アイドル研究部さんっ。」

 

「‥にこよ。」

 

「にこさんっ、実は私達、

スクールアイドルを、やっておりまして」

 

「知ってる。」

 

「えぇ⁉︎なんで知ってるにゃ⁉︎

もしかして凛達有名人?」

 

 

ストーカー行為をしてたんだから当然だろう。

 

「どうせ希に部にしたいなら

話つけてこいって言われたんでしょう?

いずれそうなるとは思っていたけどね。」

 

「おぉ、話が早い!なら‥」

 

「お断りよ。」

 

「え?」

 

「お断りって言ってんの。」

 

「‥なんでダメなんだ?」

 

俺がそう訪ねるとにこは

一瞬周りを見て質問に答えた。

 

「言ったでしょう、アンタ達はアイドルを汚しているの。」

 

「で、でもっ。ずっと練習してきたから歌もダンスも!」

 

「そう言うことじゃない。」

 

穂乃果が割入るとそれを否定するにこ。

その否定にメンバーは首を傾げる。

 

「‥‥アンタ達、

ちゃんとキャラ作りしてるの?」

 

「え、‥キャラ作り?」

 

にこの言葉にますますハテナマークを浮かべる

μ'sのメンバー。

すると勢いよくにこは椅子から立ち上がる。

 

「そう、お客さんがアイドルへ求める時間は

楽しい夢のような時間でしょ!だったら、

それに相応しいキャラってものがあるの!

‥ったくしょうがないわねぇ‥‥‥、

いい?例えば。」

 

するとにこは後ろに振り返ると、、

 

 

 

 

「にっこにっこに〜❤︎

あなたのハートに にこにこに〜❤︎

笑顔届ける矢澤にこにこ〜❤︎

にこにーって覚えてラブにこっ❤︎」

 

 

 

「「「‥‥‥。」」」

 

突然してきたキャラ作り?に皆は唖然。

これがキャラ作りよと言わんばかりな顔で

どう?と自慢してくるにこ。

 

「うっ‥‥」

 

「これは‥」

 

「キャラというか‥」

 

「私無理ぃ‥」

 

「ちょっと寒くないかにゃ〜?」

 

「フムフム‥、」

 

穂乃果、海未、ことり、真姫、凛、花陽の

順番で答えていく。花陽だけメモ帳を取り出し

多分言われたことを書き込んでいただろう。

 

「‥そこのアンタ、今寒いって‥?」

 

ド直球の言葉ににこは怒り気味に

凛へと顔を向けた。

 

「あ、いや、‥す、すっごく可愛いかったです!

ほんとサイコーですっ!」

 

「あ、で、でもこういうのいいかもっ☆」

 

「そうですね!お客様を喜ばせるという

努力は大事です!」

 

「素晴らしいっ、さすがにこ先輩!」

 

などとあからさまに褒めている皆の言葉に

にこの肩は徐々に震え出した。

 

「よぉし、そのくらい私だって!」

「出てって。」

 

「えっ‥?」

 

「話は終わりよ。とっとと出てって!」

 

堪忍袋が切れたのかにこはμ'sメンバーを

次々と追い出していく。

 

「アンタも出て行きなさい!」

 

そして残った俺の前に立って手を引っ張ろうとする。

 

「そうだな、‥だが断る。」

 

「な、なんでよ⁉︎」

 

「さっき言いそびれたが矢澤、

お前はゲートなんだ。また襲われるかもしれない状態で

離れるのは危険だから、しばらくはお前を守らせてくれ。」

 

俺がそう言うと何故か頬が赤くなり

しばらく黙りこむ‥そして。

 

「わ、分かったわ。私もアンタに聞きたい事があるから

特別ににこの護衛を認めてあげる。

それと!私の事はにこって呼びなさい!」

 

‥なんでみんな下の名前で

呼んでほしがるんだ?

 

「ありがとう、にこ。」

 

俺は恥ずかしながら名前を呼び 頷く。

そして外にいる穂乃果達の元へ向かう。

 

 

 

「‥ってなわけで今日は矢澤と

一緒にいる事になったから。」

 

「えぇ⁉︎晴希君だけずるいよ!穂乃果も!」

 

「いけません穂乃果、

貴方がいってはまた追い出されるだけです。」

 

「そうだよ穂乃果ちゃん、それににこ先輩は

ゲートなんだからここは晴希君に任せよ?」

 

「う〜‥分かった。晴希君!

何かあったら知らせてよね!」

 

「わかったわかった。

一応俺からも部の話をしてみるよ。

じゃあ皆、お疲れ様。」

 

海未とことりに止められ大人しくなった穂乃果は

そう言って今日は解散し、廊下を歩いて行った。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

「うーん‥何で追い出されたんだろう。」

 

追い出された穂乃果達は1年生と

解散して海未とことりと穂乃果の3人で

帰る支度をしていた。

 

「何か間に触る事をしてしまったのでしょう‥

明日謝らなければいけませんね。」

 

少しの罪悪感がある海未は

肩を落としながら鞄を下げた。

 

「大丈夫だよっ、それに晴希君が

残ってくれたんだから

なんとかしてくれるよっ。」

 

ことりは海未を元気付けて海未は

徐々に笑顔を取り戻していく。

 

 

「やっぱり追い出されたみたいやね。」

 

突然教室の外から声がしたので3人は

振り向くとそこには希が

ドア越しに立っていた。

 

「あ、希先輩。」

 

「追い出されたって分かっていたんですか?」

 

海未がそう聞くとだいたいな〜 と言い

教室の中へ入ってくる。

ふと、穂乃果は希に聞いてみた。

 

「先輩、‥にこ先輩は

私達の事を嫌ってるのですか?」

 

「ん〜嫌ってると言うより、

羨ましいんやないやろか?」

 

「「「羨ましい‥?」」」

 

3人が首を傾げると

希は自分の鞄を置いて、

窓の外を眺めて口を動かす。

 

「実はにこっち、昔、この学校の

スクールアイドルやってたんよ。」

 

「えっ‥」

 

「スクールアイドル‥?」

 

「にこ先輩がですか‥?」

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

アイドル研究部にて。

 

 

 

 

「‥スクールアイドルを?」

 

俺はにこと共に残り

ファントムやゲートの事について教えていた。

昨日の事件もありすぐに信用してくれた。

そして俺はなぜあそこまで穂乃果達を

嫌っているのか再び聞くことにした。

そしたら、なんとにこはスクールアイドルを

してたらしい(まだ話途中だけど)

 

「‥えぇ、1年生の時にね。」

 

「こりゃびっくりだ‥でも、今はやってないみたいだが

もう辞めたのか?」

 

「‥‥私以外がね。」

 

「え‥、どうゆうこと?」

 

にこは1度息を吐いて棚に

置いてある資料などを見ながら語り出す。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

穂乃果達の教室にて。

 

 

「1年生の頃やったかなぁ‥

同じ学年の子と1つ上の先輩と3人で

結成してたんよ。練習もそれなりに

頑張ってたみたいやし、あの時の

にこっちはかなり生き生きしてたんや。

‥そして初のライブが行われる講堂の日、」

 

「成功したんですかっ?」

 

「穂乃果、まだ話の途中ですよ。」

 

気になるのか穂乃果はそう聞くと海未に

襟を掴まれ後ろへ下げる。

 

 

「慌てなくても逃げたりせぇへんよ。

‥そのライブの日にな、にこっち以外の

2人は、来んかったんよ。」

 

 

「え‥。」

 

「‥‥。」

 

「どうゆうことですか‥‥?」

 

「アイドルとしての目標が

高すぎたんやろうね、

その後日に1人辞めて、2人辞めて‥‥

だから、貴方達の事が

羨ましかったんじゃないかな。」

 

希は一度区切り、自分の鞄を持ちだす。

 

「でも、歌にダメ出し入れて、

ダンスにケチつけたりできるってことは

それだけ興味があって

見てるってことやろ?」

 

 

 

ーーーーー

 

 

再びアイドル研究部にて。

 

 

 

「‥そんな事が‥‥」

 

 

「‥‥まぁ、私のハードな練習に

ついていけれなかったんでしょうね。」

 

にこはふんっ と鼻を鳴らしながら

そう言っているがその顔はどこか

寂しそうな雰囲気だった。

 

「‥‥やめた2人はどうしたんだ?」

 

「1人は卒業したわ、もう1人は‥

私と同い年で別のクラス。でも最近学校に

来てないし、詳しくは分からないわ。」

 

「そか‥。」

 

おそらく、解散した後もこの部の

部長として、ずっと、ずっと1人で

残っていたんだろう。

 

 

「‥1人は辛いよな‥‥‥。」

 

「えっ?」

 

ボソッと呟いた俺ににこは

反応するが俺は話を変えた。

 

「まぁ、要は新しく結成されたμ's、

穂乃果達の事が

羨ましかったんじゃないのか?」

 

「はぁっ⁉︎ち、ちがうわよ!

あいつらはアイドルの基本が

なってないしアイドルを汚しているから」

 

「俺も素人だし基本とかそんなの

分からないけど、でもあいつらは

本気でやっているんだ。

お前はずっと影で見てきたんだから、

分からなくもないはずだ。そだろ?」

 

「っ‥‥‥。」

 

にこは押し黙る。

やっぱり羨ましかったんだな。

俺は椅子から立ち上がり、にこに言った。

 

「にこ、穂乃果達と一緒に

スクールアイドルしてみないか?」

 

「えっ‥?」

 

そんなに気になるならいっそ加入して

一緒にスクールアイドルをすればいい。

俺はそう思ってにこを誘う。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

音ノ木坂学院 校門前にて。

 

 

希から聞かされたにこの過去を

聞かされた穂乃果達は話を終え

あのまま学校にいてもどうしようもないので

雨が降る中3人は帰る事になった。

 

 

「中々難しそうだね、にこ先輩。」

 

「そうですねぇ‥先輩の理想は高いですから

私達のパフォーマンスでは

納得してくれそうもありませんし、

今晴希が説得をしてくれても

先輩は耳を貸してくれる感じもないですし‥。」

 

「そうかなぁ。」

 

「「え?」」

 

ことりと海未が困り果てていると先頭を歩いていた

穂乃果が急にそう言って立ち止まる。

 

「にこ先輩はアイドルが好きなんでしょう?

それでアイドルに憧れてて、私達にも

ちょっと興味があるんだよね?」

 

「う、うん。」

 

「それって、ほんのちょっと

何かあれば上手くいきそうな気がするんだけど」

 

「具体性に乏しいですね。」

 

「それはそうだけど‥」

 

 

 

 

穂乃果がそう言い終わると

前方に突然黒い石が飛び散る様に転がってきた。

声を出す間も無くその石から突然

グールが数十体現れる。

 

 

「きゃあっ⁉︎」

 

目の前に突然現れたグールにことりは

傘を落としてしまう。

 

「え!?ファントムっ!?」

 

「こ、これはグールです!

晴希に知らせなければ‥!」

 

 

瞬間、1台のバイクが穂乃果達の頭上を

飛び越え、近付いてきたグール達を跳ね飛ばす。

 

 

 

「よっと!」

 

バイクに乗っていた晴希は

その場でぬかるんだ地面なのにバイクを器用に回転させ

グール達を蹴散らしていく。

 

「晴希君!」

 

「うわぁ、上手上手☆」

 

「は、晴希!ここ校内ですよっ⁉︎」

 

「こんな状態で校則気にしてる

場合じゃないだろ、怪我はないな3人共。」

 

 

バイクから降りて3人の無事を確認した俺は

雨が降る中ドライバーオンリングを

右手に付け、ベルトにかざした。

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

音声とともにベルトは

ウィザードライバーへと形を変える。

 

「なんでグールがいるのか分からないが

さっさと片付けさせてもらう。」

 

俺はそう言いながらフレイムリングを左手に

付け、シフトレバーを上下に動かした。

 

 

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

 

待機音声が鳴り響き、俺はフレイムリングのバイザーを

下げながら魔法の言葉を口にする。

 

「変身っ。」

 

 

《フレイム!・プリーズ

 

ヒーヒー・ヒーヒーヒー‼︎》

 

フレイムリングをドライバーにかざし、

俺は左手を振り上げると魔法陣が現れる。

魔法陣は俺の身体を通り抜けると

俺は仮面ライダーウィザードへと姿を変える。

 

 

「穂乃果達は隠れてろ!」

 

「う、うん!」

 

「晴希君やっちゃえー!」

 

「穂乃果っ、早くしてください!」

 

ウィザードに言われて穂乃果達は校門の隅へと隠れる。

そしてウィザードは武器のウィザーソードガンを

剣モードで取り出し、

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

決め台詞を言ってグールの群れへ駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「‥‥。」

 

アイドル研究部にて。

 

あの後突然

晴希の使い魔レッドガルーダが来て

晴希は急いでどこかへ行ってしまった。

残ったにこは羽休めをしている

レッドガルーダを見つめていた。

 

「‥‥‥。」

 

スクールアイドルしてみないか?

 

晴希に言われた言葉がにこの頭をよぎる。

 

 

 

にこは‥にこは本当はアイドルをしたい。

しかし、また裏切られるかもしれない。

また自分だけ先を走って陰で何か

言われるかもしれない。

でも、、、

晴希のあの真剣な目を見て、

にこはどこか安心できるような

感じになっていた。

 

 

「‥‥信じてみよう‥かしら。」

 

 

 

 

「やめときなよ、どうせついていけなくなって

あたしみたいにやめるに決まってる。」

 

「っ⁉︎」

 

突然ドアから声がするので俯いてた

にこは振り返る。

 

「‥‥み、三咲‥?」

 

そこに立っていたのはにこが結成した

スクールアイドルの元メンバーの1人、

相川三咲だった。

赤い髪をなびかせながら三咲は

にこりと笑う。

 

「三咲!‥アンタ‥今まで何してたの‥‥!?」

 

「何って〜ゲームとか?学校

つまんなくなっちゃってさぁ。」

 

三咲は晴希が来る前から学校を今の今まで

来ていなかった。それがなぜ、放課後の今

きたのか、にこには全く分からなかった。

 

「本当最近雨続きで

嫌になっちゃうよねぇ〜‥」

 

「‥‥学校にも連絡寄越さずに

皆 心配してたのよ⁉︎」

 

「えー心配?ありがと〜っ、

会いに来た甲斐があったよ〜。

‥‥いや、もう()()()()()っけ」

 

「えっ‥」

 

三咲はそう言い終わると顔に怪物の顔が

浮かび上がり、怪人態 ハーピーへと姿を変える。

 

「っ!!‥‥うそ、なんで‥‥‥⁉︎」

 

「あっはは!邪魔な魔法使いも今は

グールが相手してくれてる、

これでゆっくりあんたを

ズタズタにできる

嬉しいわ、あんたがゲートで‥‥ふんっ。」

 

ハーピーは机を蹴り、その衝撃で倒れ込む

にこへと近付く。

 

 

「ーーーッ!」

 

「きゃっ!?な、なにこいつ⁉︎」

 

側にいたガルーダが甲高い鳴き声とともに

素早い動きでハーピーの周りを

飛び交い攻撃するが

それは数秒の時間稼ぎしかならなかった。

 

「もぉっ、鬱陶しいなぁ!」

 

狭い部室でハーピーは回し蹴りをして

ガルーダを蹴り落とす。その勢いで棚の

スクールアイドルの資料やポスターなどが

破れ、崩れ落ちる。

 

 

「っ!」

 

「‥んー?あれー?もしかして

壊されたのが嫌だったかなぁ?

‥‥‥それじゃあ〜。」

 

ハーピーは迷わず棚にあった

あのDVDーBOXの伝伝伝を足で掴み、

それを発泡スチロールのように

バキバキとへし折った。

 

「っっ!!何するの⁉︎」

 

「壊れちゃった〜

ごめんごめーんっ。」

 

「謝ってすむ問題じゃないわよ!

弁証しなさいよっ!!」

 

「‥‥ん〜これぐらいじゃ絶望しないか‥

わかったわよ、でも。」

 

「えっ、‥きゃっ⁉︎」

 

ハーピーはにこへ近づきにこの肩を

足で掴む。

 

「絶望してファントムを

生み出してからねっ。」

 

 

 

「っ!きゃあぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

そしてハーピーはにこを掴んだまま

窓から飛び出し上空へと羽ばたいた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

「これで決める!」

 

 

《キャモナスラッシュ!

シェイクハンズ!

 

キャモナスラッシュ!

シェイクハンズ!》

 

 

ウィザードは外でグールと交戦し

残ったグールに向けてそう言い放つと

ウィザーソードガンのハンドスプリングを開き

フレイムリングをハンドオーサーにかざした。

 

 

《フレイム!スラッシュストライク!

 

ヒーヒーヒー・ヒーヒーヒー》

 

ウィザーソードガンに炎の渦が宿り

それが徐々に大きくなる。

 

「ハァァァア‥‥ハァッ!!」

 

そして大きく振りかぶった

ウィザーソードガンから

火の斬撃が飛び、残ったグールを

焼き斬り、グール達は爆散した。

 

「‥‥ふぃ〜‥大丈夫か穂乃‥」

「晴希君!今学校の方から悲鳴が聞こえたよ⁉︎」

 

安否を確認しようとすると穂乃果がそう伝えてきた。

ウィザードはそのまま まさかと思い

アイドル研究部へと向かった。

 

 

ーー

 

 

 

 

「くそっ!やられた!」

 

アイドル研究部へ行くと無残にも散らかっている

部室があり、そしてにこの姿はどこにもなかった。

 

「あれっ⁉︎にこ先輩はっ‥⁉︎」

 

「ま、まさかファントムに!」

 

「ど、どうしよう穂乃果ちゃん!」

 

後から追ってきた穂乃果達も部室を見て

驚き顔が青くなる。

 

「まだ大丈夫なはずだ、俺は

にこの後を追いかける。

穂乃果達はくれぐれも気を付けてくれ。」

 

ウィザードはそう言って部室の窓から飛び出し

雨の中を走り去って行った。

 

 

 

 

 

 

「あんた達!さっきの悲鳴はなにごと‥‥

どうしたんだこの部室⁉︎」

 

「せ、先生っ⁉︎」

 

「いやえっとこれは!」

 

「ほ、穂乃果がお腹が空きすぎて

暴れてしまったんですっ。」

 

「う、海未ちゃん⁉︎なんてこと言うの⁉︎

穂乃果そんなことで暴れたりしないよ!」

 

「す、すみませんっ、つい勢いで‥。」

 

「へぇ、随分空腹みたいじゃないか、高坂。

3人共、ちょっと職員室まで来い。」

 

「ええぇ⁉︎私達何もしてないのにぃ!

ダレカタスケテー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥んん〜‥」

 

 

にこは目を覚ますと

知らない風景が目の前に広がる。

どうやら使われていない作業場みたいだ、

徐々に記憶が戻っていきすぐに身体を

起こそうとするが、

両手は縄で縛られ動けない状態でいた。

 

「気が付いた〜?」

 

「っ⁉︎アンタ‥」

 

積み立てたドラム缶の上に三咲、否。

ハーピーが足をブラブラさせながら座って

意識を取り戻したにこを眺めていた。

 

「やっぱ雨の日は最悪ねぇ、身体びしょ濡れ

ホント最悪‥。」

 

ハーピーは愚痴を言いながらドラム缶から飛び降りる。

 

「さぁて、どうしてほしい?

まずは顔からヤっちゃう?」

 

ケラケラと笑いながらハーピーはにこの顔を

翼の腕でくいっとあげる。

 

「み、三咲‥アンタどうしちゃったのよ‥!

なんで怪物なんかに‥」

 

「えー、そんなの簡単な事、

絶望しちゃったからよ〜」

 

「っ!‥どうして!アンタはそんな簡単に絶望する

人じゃなかったはずよ⁉︎」

 

「‥‥うるさいなぁ、まずはその口から

切り裂いていこーかな」

 

叫ぶにこにハーピーは足を上げて口元へ

爪を持っていく。

 

 

 

刹那 1台のバイクが壁を突き破り

ハーピーとにこの前へと停車する。

 

「あ、‥アンタ‥‥。」

 

「えっ⁉︎な、なんで魔法使いが⁉︎」

 

「鳥は水に濡れると体温が奪われて体力が消耗する、

長時間飛び続けれないから学校から近い

人気のいない場所へ行ったんじゃないかと思ってな。

お前も鳥の仲間だろ?」

 

バイクから降りたウィザードはそう言って

ウィザーソードガンを銃モードで構え、

ハーピーに向ける。

 

「っ!近付いたらこいつの首引き裂くわよ⁉︎」

 

ハーピーはにこへ近づき鋭い脚爪をにこへ向ける。

 

が、

 

ウィザードは躊躇いくコントラクトリガーを引く。

その弾はにこを避けハーピーに直撃する。

 

「きゃあっ!!?」

 

躊躇いない行動にハーピーは予測出来ず

その場から吹き飛ぶ。

 

「悪いけど人質とかそうゆうの俺には通用しないから、

‥‥大丈夫か、にこ。」

 

ウィザードはにこに近づき

鉄柱に繋がれてる縄をちぎる。

 

「お、遅いわよ‥‥‥」

 

「ヒーローは遅れて登場するっていうだろ?

さぁ、ケリをつけようぜ、ファントムさん。」

 

「‥!いいわよ!あんたからズタズタにしてあげる!」

 

「‥っ、ちょ、ちょっと待っ‥」

 

にこが叫ぼうとするがすでに

ウィザードは走り出しハーピーへ

コントラクトリガーを引き連発する。

 

「っっ⁉︎ふんっ!」

 

ハーピーは何発か喰らうが体制を立て直し

上空へと飛び交う。

そして作業場の天井へ足をつけ

それを踏み台にし、勢いよくウィザードへ

垂直落下する。

ウィザードは飛び退き交わそうとするが、

 

「あははっ!」

 

「なっ⁉︎ぐはぁっ!!」

 

地面へ蹴りを入れたと思いきや地面をも踏み台にし

ウィザードへとドロップキックを入れ

それを受けたウィザードは吹き飛ぶ。

 

「いってぇ‥っなろぉ‥⁉︎」

 

「ほらほら行くよぉ!!」

 

起き上がるとすでに目の前まで来ていた

ハーピーに両肩を足で掴まれ

そのまま宙へ投げ飛ばされる。

 

「うわっとと⁉︎」

 

投げ飛ばされたウィザードは空中で体制を立て直し

華麗に身体を回転させて着地する。

 

だが、

 

「あっはははは!!」

 

「‥っ!ぐっ、がはっ⁉︎」

 

勢いよく飛んで来たハーピーの足技を喰らい

防御する事も出来ず喰らい続ける。

 

「はぁっ!」

 

「ぐはぁっ⁉︎」

 

強烈な一撃の蹴りを喰らい、

ウィザードはさらに吹き飛ぶ。

 

「っつー!素早いなあっ。」

 

頭を抑えながらウィザードは立ち上がると

左手にランドリングをはめて

シフトレバーを上下に動かした。

 

「とっ捕まえてやるよ。」

 

 

 

《ランド!プリーズ

 

ドッドッ ドドドン・ドン ドッドッドン‼︎》

 

 

 

音声とともに真下へ左手を振りかざすと

周りの土や石が浮かび上がり、

それと同時に魔法陣も現れる。

そしてウィザードの身体を通り抜け

フレイムスタイルから

ランドスタイルへと姿を変える。

 

「色が変わったからってなんなの!」

 

ハーピーはそう言って羽ばたき

ウィザードに向かって飛んでくる。

 

「確かにこのスタイルだと素早さが劣って

お前に追いつけないだろうが‥。」

 

ウィザードはそう言って

飛んできたハーピーの足を豪快に掴む。

 

「えっ⁉︎」

 

「パワーはこれが一番、

優れてるんだ‥よぉっ!!」

 

ウィザードは掴んだハーピーを振り回し

積み上げるドラム缶へとぶん投げた。

 

「きゃあぁぁっ⁉︎」

 

飛ばされたハーピーはドラム缶に直撃し

その衝撃で崩れ落ちる。

その間にウィザードはバインドリングを右手に付け

シフトレバーを上下に動かし、かざした。

 

 

《バインド・プリーズ》

 

 

音声が鳴るとよろよろと起き上がるハーピーの

周りにいくつもの魔法陣が現れ

そこから土でできた鎖が飛び出し

一瞬でハーピーの身体を拘束する。

 

「ちょっ⁉︎なにこれ!反則よ!」

 

「反則で結構だ、

さぁ、フィナーレだっ。」

 

ウィザードはキックストライクリングを

右手に付けシフトレバーを動かそうとした。

 

 

 

「待って!!」

 

「っ?」

 

突然後ろからにこが叫ぶ。

 

「どうしたにこ、すぐ終わるから待って‥」

 

「違うわよ!そいつ、

私と昔アイドルをしてた、友達なの!」

 

「え‥‥まさかにこを

裏切ったっていう‥?」

 

 

ウィザードが驚いていると

拘束しているハーピーは

笑い出した。

 

 

「あっはははは!友達?笑えるんだけどっ。

あんたを友達なんて1度も思ったことなんてないわよ」

 

「えっ‥‥‥。」

 

 

「1人で熱心にやってて

本当にバカだと思ったよっ。

本気でライブ目指そうと思ってたの?

傑作‥!あっはははっ。」

 

 

「‥‥‥っ。」

 

にこは拳を握り締め、ハーピーの

言われるがままになっていた。

 

その時、

ウィザードはウィザーソードガンを取り出し

ハーピーに向けてコントラクトリガーを引いた。

撃った弾はハーピーの顔を擦り

頬から血が流れる。

 

「っ‥‥!!」

 

 

 

「もう喋るな‥、

‥‥それとにこ。

さっきも説明したが、

ゲートとなり生み出された瞬間に人は砕け散り、

死んでしまう。今、目の前にいるあいつは

その人間の姿、記憶までも擬態した‥

もう人間を襲う化け物だ‥。

前のあいつはもうすでにこの世に存在しない‥。」

 

 

「!‥そ、そんな‥」

 

その場で膝をつくにこに、

ウィザードは近寄り彼女の肩に手を置く。

 

「だから‥‥辛いと思うけど

ここは、俺に任せてくれ。」

 

ウィザードがそう言うと

にこは俯きながらも強く頷く。

そしてウィザードは立ち上がり

シフトレバーを上下に動かし

キックストライクリングをかざした。

 

 

 

《チョーイイネ!

 

キックストライク!

 

サイコーッ!!》

 

 

テンションの高い音声が鳴り響き、

ウィザードの右足に大地のエネルギーが

収束していく。

 

「うそ‥ちょっと!マジでやるの⁉︎

にこちゃん!止めさせてよ!

友達でしょ⁉︎ねぇ⁉︎」

 

ハーピーは拘束で動けないでいたのか

にこに助けを求める。

現実から逃げようと目を瞑るが

首を振り目を開ける。

 

 

「‥‥三咲、アイドル結成した時、

私とても嬉しかった‥。

でも、ごめんね‥‥‥三咲や先輩の事を

もっと考えればよかったね‥‥

本当にごめん‥‥ごめんね‥‥」

 

 

「っ⁉︎」

 

にこは涙目になりながらハーピーに謝り

ウィザードに目を向ける。

ウィザードもにこに目を向け頷き、

ハーピーへと向き直る。

 

「‥‥すまない。」

 

ウィザードはそう小さく言って

ハーピーに向けて走り出す。

そして飛び上がり。

 

 

 

「でぇやぁぁああああっっっ!!」

 

 

 

 

必殺技、

ストライクウィザードを放った。

 

 

「きゃああぁぁぁっ!!!」

 

ハーピーはそれをもろに受け爆発した。

 

 

 

 

「‥‥‥‥。」

 

地面に着地したウィザードは

変身を解き、にこへ歩み寄る。

 

「‥‥大丈‥いや、にこ すまない‥。」

 

「ふ、ふん。このくらい大したことないわよ

仕方ないことなんだからっ‥‥っ‥。」

 

必死に強がろうとするが徐々に目から涙が

こぼれ落ちるにこ。

 

 

 

 

「‥っ‥三咲は‥あの学校に入学して初めて‥

できた友達で‥私と趣味が合う‥

裏切られても‥あいつは‥‥三咲は私にとって、

大切な友達だったの‥‥!

なんで‥どうしてあんな姿になっちゃったのよ‥!

‥っ‥っ、、うわぁぁああああん!!」

 

 

 

 

感情を抑えきれず、にこは泣いた。

例え裏切られても、にこにとって

唯一の親友だったのだろう。

俺は胸の奥がズキズキと痛みながら

にこの頭を撫でた。

 

そして、泣きわめく少女と

外の雨が降る音だけが響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

夜、商店街の路地裏にて。

 

 

 

 

「はぁ‥はぁ‥うぅっ‥。」

 

雨が降り注ぐ中、

ハーピーは人間態、三咲に戻り

ウィザードに蹴られたお腹を抑えながら

誰もいない路地裏に座り込む。

 

「くぅ‥くそっ!‥魔法使い‥

手ぇ‥抜いたのかな‥!

めちゃくちゃ痛い‥‥ホントさい‥あく‥!」

 

三咲はそう言いながらお腹をさすっていると

路地裏の奥から人の歩く音が聞こえる。

 

黒い髪と赤いメッシュをした少年は

濡れながらもその路地裏をこちらへと

歩いてきた。

 

「‥‥。」

 

「‥‥っ‥。」

 

少年はちらっとその少女を見るが、

何事もなく去ろうとしていた。

すると、少年の懐から小さな

3つの首を持った犬が飛び出してきた。

まるでケルベロスのようなその生物は

急に三咲を見て吠え出す。

 

「な、なに‥⁉︎」

 

 

「‥‥へぇ‥。」

 

すると少年は振り返り、

どこから取り出したのか

ウィザーソードガンを銃モードで構え

三咲に向ける。

 

「っ!!」

 

三咲はその武器を知っていた為、

反射的に痛む身体を堪えながら

ぬれた地面を転がりながら飛び退く。

 

「こんなところにファントムがいるとはな〜」

 

「っ!な、なんでわかったの‥⁉︎」

 

「さぁ‥、

なんで‥かなぁ。」

 

少年はドライバーオンリングを

ベルトにかざす。

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

ウィザードライバーに変わったと

同時に少年はダークネスリングのバイザーを下げ、

シフトレバーを動かして待機音声を聞く間もなく

ダークネスリングをドライバーにかざした。

 

「変身」

 

 

《ダークネス!プリーズ

 

アク アク・アクアクアーク‼︎》

 

 

 

音声とともに少年は両手を

小さく広げる。

彼の真正面に紫色の魔法陣が現れ

少年の身体を通り抜ける。

そして少年は仮面ライダーダークウィザードへと

姿を変える。

 

「うぅ‥っ!」

 

三咲は身体を押さえながらも

立ち上がろうとするが。

 

「‥‥ふんっ!」

 

ダークウィザードは剣モードに構えて、

よろける三咲に向けて斬りつける。

 

「っ、きゃあっ⁉︎」

 

三咲は斬りつけられて転がる。

起き上がろうとするも

斬られた身体から激痛が走り

血が流れる。

 

「うぅう‥‥‥⁉︎」

 

顔を上げるとダークウィザードは

ウィザーソードガンを

銃モードに構えて三咲の頭に向けていた。

 

「最後に、何か言い残すことでもあるか?」

 

ダークウィザードは見下す様に

ウィザーソードガンを

グイッと突きつけてくる。

 

 

「‥‥(ここまで‥かな‥)

そうね‥‥最後に、あたし‥からも

謝り‥たかったかなぁ‥」

 

 

「‥はぁ?」

 

ダークウィザードは

それを聞くと大きく息を吐く。

 

「何を思ってそんなこと言ってるんかしらねぇが

1つ言っといてやる。てめぇらファントムは

人間から生まれたバケモンだろうよ。

ファントムがそんな感情を持ったって、

微塵も意味ねぇんだよ。」

 

 

 

「‥そうだよねぇ‥‥‥。」

 

 

 

 

 

 

 

ファントムのくせに‥

何考えてるんだろ、あたし‥

 

 

 

 

 

ごめんね‥にこちゃん‥

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

コントラクトリガーを引き、

鈍い音とともに、

三咲は倒れた。

 

 

 

 

 

変身を解いた少年は

倒れている三咲を見下ろしていた。

 

 

「‥‥絶望して死ぬ人間も、

あっけないほど脆くて、クソ弱いんだよなぁ‥。」

 

少年はそう言うと

側で見ていたケルベロスを手に乗せ

街の光が差す商店街へ歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

翌日、音ノ木坂学院

放課後にて。

 

 

 

 

昨日の件もあり、かなりブルーな気分でいた

俺は穂乃果達に呼ばれ

なぜかアイドル研究部へこいと言われ

今行ってる途中だった。

 

「はぁ‥、にこも落ち込んでるはずなのに‥

何しようとしてるんだあいつら‥。」

 

昨日の件は穂乃果達には、話さない方が

良さげだと判断し、

にこもそうしてほしいと言われた。

三咲は事情ができ、退学したということに

してもらったらしい。

 

そして、アイドル研究部に辿り着いた俺は

決心してドアを開けた。

 

 

 

「お茶です、部長!」

 

「今年の予算表になります、部長!」

 

「部長〜部室綺麗にしときましたにゃ〜。」

 

「さ、参考にちょっと貸して、部長のおすすめの曲。」

 

「な、なら迷わず伝伝伝を‥‥あれ‥ない‥?」

 

 

「‥‥なにこれ。」

 

入るとそこにはμ'sのメンバーが集まっており

にこを部長と呼んで親しんでいた。

当然、本人のにこは訳が分からず驚いている。

 

 

「ちょっ、何なのよ急に⁉︎」

 

「ところで次の曲を考えたいのですが部長!」

 

「やはり次は、さらにアイドルを意識した方が

いいかと思いましてっ。」

 

「それと☆振り付けで何かいいのがあったら☆」

 

穂乃果、海未、ことりがそれぞれ提案してくる。

 

 

「‥‥こんな事で、押し切れると思ってんの?」

 

にこの眉がピクピク動き始める。

すると穂乃果は笑顔で言った。

 

「押し切る?私はただ、相談しているだけです。

音ノ木坂アイドル研究部所属の、

μ's8人目のメンバー、そして

μ'sの7人が歌う、次の曲を。」

 

「えっ‥‥?」

 

「7人‥‥?」

 

俺は思わず口を開ける。

そして俺は何となく察し、

笑ってしまう。

 

「‥‥そう言う訳みたいだ。

穂乃果は1度言い出すと絶対止まらないぞ?」

 

俺はにこにそう言ってあげると

にこは周りを見渡す。

 

「‥わ、私はアンタ達と

アイドルをやるなんてまだ‥」

 

「にこっ。」

 

俺はにこの名前を呼び真っ直ぐ彼女の瞳を見つめた。

 

 

「‥にこはアイドルが大好きで、

ライブをやりたいんだろ?

‥1度歩んだ過去は変えられない、

だから、昔やり遂げれなかった事を

こいつらと‥μ'sのメンバーと一緒に

もう1度、踏み込んでみないか?

俺も全力でサポートする。」

 

 

そう言って一旦区切り、

にこへ手を差し伸べる。

 

 

「約束する、俺がにこの

最後の希望になってやる。」

 

 

「‥‥あ、あんた‥。」

 

「アンタじゃない、俺は

操真晴希って名前がちゃんとある。」

 

「にこ先輩!」

 

俺笑顔でそう言うと穂乃果が

俺の肩から顔を出し、にこの名前を呼ぶ。

 

「‥‥‥‥厳しいわよ。」

 

にこはそう言って俺の手を掴んでくれた。

 

「分かってます!アイドルへの道が

厳しいって事くらいっ」

 

「分かってない!アンタは甘々!

アンタも、アンタも、アンタ達も!

‥それと晴希!アンタもよ!」

 

「お、俺もか‥。」

 

それぞれに指を指し、最後に俺に指を指して

握手していた手を離しにこは腕組みをする。

 

「いい?アイドルってのは笑顔を見せる仕事じゃない、

笑顔にさせる仕事なの!それをよぉく自覚しなさい!」

 

厳しく当たるにこだが

皆はどこか嬉しそうに笑った。

 

 

「‥上手くいってよかったね☆」

 

「うんっ。」

 

「‥なぁなぁ、一体何があったんだ?」

 

小声で話しかけることりと穂乃果に

俺も小声で訪ねてみた。

 

「昔ね、海未ちゃんと初めて仲良くなった日、

あの時穂乃果ちゃんは何の前触れもなく

遊びに誘ったことがあるの、だからその要領で

にこ先輩に話しかけてみたってこと☆」

 

「あの時の海未ちゃん、すごい恥ずかしがり屋で

泣き虫だったんだよ〜。」

 

「ほ、穂乃果!余計な事を言わないでください!」

 

ギャーギャー騒ぐ穂乃果達を俺は苦笑しながら

1年組にアイドルについて語るにこを見た。

その顔は迷いがなくなり、本当の自分を取り戻した様に

生き生きとしていた。

 

「よっし!今日は新しいメンバーも増えた事だし、

俺がご飯を奢ってやる!」

 

「えっ本当⁉︎」

 

「やったぁ☆」

 

「そ、その前に練習が先ですよ!」

 

「凛はご飯が食べたいにゃーっ。」

 

「わ、私も白米を‥」

 

「それより練習でしょっ。」

 

「つり目の言う通りよ!さ、準備したら

屋上へ行くわよっ!」

 

「真姫よ!」

 

 

 

ワイワイと会話しながら俺達は

雨の止んだ屋上へ練習に行った。

 

新しいメンバー、にこと共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、仮面ライダーウィザード

 

 

「「「にっこにっこにー!」」」

屋上で皆でにこにこにー!

ど、どうしちゃったのぉ⁉︎

 

 

「これは、新しい‥指輪?」

 

神から渡された2つの赤い指輪。

何やら凄そうな予感?

 

 

「ワイズマン‥」

 

フェニックスとメデューサの前に

現れる謎のファントム。

 

 

「思う存分遊べれそうだなぁ」

 

「お望み通り、遊んでやるっ!」

 

ついに出くわすウィザードとフェニックス!

果たしてどうなる⁉︎

 

 

 

 

第13話 新たな指輪




途中でにこの特徴忘れかけました(>_<)

よぉしお次はいよいよ出しますぜぇ!
フェニックス様も戦いたくてしょうがないはずですよね(^^)

評価、感想などがあれば是非お願いします!(^^)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。