「ここは、佐谷直哉君の心の中よ」
「直哉君の心の中?どうしてそんな事になったの?」
「直哉君が、お姉さんの死を受け入れれない状態で、なおかつ感情的になって、直哉君は眠っていた霊力を、暴走しかけた時、貴女の眠っていた破邪の血の力で抑える事が出来たのだけど、そこでありえない問題が起きたの」
「ありえない問題?」
「ええ、今貴方達二人はトランス状態に陥ってるの」
「トランス状態?」
「ええ、この状態が続けば、二人は確実に死ぬわ」
「えええーーー」
「トランス状態から抜け出すには、如何したらいいの?教えて」
「それは、さくら貴女が、佐谷直哉君に、生きる希望を与えればいいんだけど、見てよ、直哉君の絶望した心を」
「なっこれは」
「貴女がこの中から直哉君を見つけ出し、生きる希望を与えなければ、貴女も直哉君も、この漆黒の闇に吸収されるわ」
「そんなーー」
「それでもやるの?さくら」
「それに今なら、私の力で、さくらだけなら、トランス状態を解除するのは、簡単に出来るけど?」
「・・・」
「私思うのよ、直哉君はあれだけ死にたがってるんだから、このままでもいいんじゃないの?」
「確かに・・・そうかも知れない」
「なら・・・」
「でも私は直哉君を助けるのを選ぶわ」
!!
「正気?さくら」
「ええ、私は本気よ、それに大神さんも言ってた、直哉君を救えるのは、私だけだって」
「花組の中で、肉親を亡くしてるの私だけだから」
「そう決意は変わらないのね?」
「うん」
さくらがそう言うと、幼いさくらは消えた。
そしてさくらは、直哉の精神助けるため、暗い闇の世界に入り込んだ。
「お姉ちゃん何で、僕を置いて、死んじゃったの?」
「ねえ、誰か答えてよ」
「直哉・・・」
!!
「薫お姉ちゃん」
「直哉・・・私は貴方の事が嫌いだったの」
「え、嘘だよね」
「嘘じゃないわ、それに貴方と私は、本当の姉弟じゃないの、私のお父さんが、拾ってきた子供なのよ、直哉貴方は、そして何も知らない貴方に教える事をしなかった最低のお姉さんなのよ、私は」
「嘘だ!!、嘘だ!!そんなの信じられない」
「きゃああ、なんて力なの?直哉君落ち着いて」
「うおおおおお。もう誰も信じるもんか、薫お姉ちゃんも、皆信じられるか、どうせ僕は、生きててももしょうがない人間だし死んでやる」
「だめえええ直哉君、そんな風に力を使っちゃ駄目だよ」
「お前は、誰だ?何故ここに居る」
「直哉君!!お願いだから、私と元の世界に戻ろうよ」
「さくらさん・・・」
「五月蝿い直哉は、ここで死ぬんだ邪魔をするなあ」
「直哉君聞いて、誰も信じられなくなったら、駄目だよ、それに貴方の気持ち私もわかるから」
「え、さくらさんも?」
「私も、大好きだった。お父様が、死んでるのよ」
「だから直哉君、少しずつで良いから、私を信用して」
「・・・さくらさん・・・」
その時直哉の精神世界に蔓延していた闇が、消えたのだった。
そして、直哉とさくらは、トランス状態から抜け出せたのだった。