ガンダムビルドファイターズ〜fighter To LINK〜   作:勘張 明倫

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茄「突然だけど、前回のあらすじです。
準決勝まで駒を進めた私達ですが、買収を持ちかけられた対戦相手・・・金松飾率いる《ゴー☆ジャスキング》の圧倒的猛攻を受けて一時退却した私達。
性能に困惑する私達と、
摩耶花ちゃんが気づいた真実とは・・・・・


こんな感じ?」

グッジョブでございます!(by作者)



第8章 開幕!ガンプラバトル大会地区大会編IIB

高「歪められてる?

それってどういうことだよ摩耶花。」

 

いまいち状況が飲み込めない俺が摩耶花に聞き直すと、

摩耶花は冷静になり一呼吸置きながら俺たちに状況説明を始めた。

 

 

摩『・・・まずおかしいのはあの二人組。

太っちょはクラスメートと言ってたがあれは大嘘だ。

 

あの2人はさっきも言ったけど年は20を超えてるはずだからね。

この間僕が参考に見てた20歳以上限定のエキシビジョンマッチであの2人は最優秀成績を残してる。

 

・・・思い出したのは今だが、間違いはないよ。

僕は警戒すべき相手だと確信したからもう間違えない。

 

そしてそれはアンダー20しか参加できないこの大会にとってレギュレーション違反であること以外何でもないのさ。』

 

茄『で、でも!

それだとすると審判がだまってないはずだよ?

それにそういう申請の時気づくとと思うんだけど。』

 

高「・・・あぁそうか、

奴の事だ・・・大方買収したんだろう。

レギュレーションを監査する担当とこの試合の審判を。」

 

摩『・・・それだけじゃないよ。』

 

ようやく頭が追いつき、怒りで拳を握っていた時摩耶花は静かにそう言った。

 

摩『それだけじゃない。

彼の不正はさらに存在した。

 

・・・おかしいと思ったんだ。

いくらIフィールドを持っていたとしても全く無事なんてことはあり得ない。

 

多少凹むとか焦げるとか色々描写が粒子によって演出される。

それがこれの醍醐味だからね、

けど太っちょの機体にはそれは見当たらないどころか胴を斬りにいった高谷の刀が真っ二つに折れてる。

刀にはIフィールドは適応されないし実弾防御もありそうにない。

 

Iフィールドでもなくさらに異常な硬度を持つもの・・・としたら、

もはや一つの可能性しか考えられない。』

 

摩耶花はそこまで一息で喋ったのちに大きなため息をつき、

 

 

摩『・・・スティールパーツだ。』

茄『えっ!?』

高「なに?」

 

はっきり、短く言い切った。

それを聞いたことのない俺はそれがなんなのか理解せず首をかしげたが部長はかなり驚いていた。

 

茄『で、でもそれじゃあ!

かなりの反則だよ!!

武器以外での多量の鉄パーツは使用したらバトルに影響があるから公式戦では禁止されてるのに!』

摩『・・・奴はそれを金の力で可能にした。

おそらくあれを製造したのは彼自身じゃない。

 

誰か他の人に作らせたんだ。

プラフスキー粒子の影響を受けちゃまずいところにスティールパーツを貼り付けるだけでも、その所は粒子の干渉を受けなくなる。

 

つまりあれは・・・正当法では撃破するのは難しいよ。

なにせ、胴とシールドに使われてた場合防御は完璧なものになる。

それを突破する術は・・・おそらくない。』

 

摩耶花の弾んだ声に部長は息を呑み俯いた、

・・・が、

 

 

高「・・・あんのくそったれガァァァ!」

 

もはや殺意だった。

俺が抱いたその気持ちは怒りを超えて殺意に変わっていた。

あまりの怒気に部長は少し怯えていた。

俺はデブリから出てあのクソデブを倒すために飛び出そうとするが、

 

ガッ!

 

摩『待つんだ高谷!

今突っ込んでもやられるだけだ!』

 

摩耶花がサブアームと自身の腕で俺を抑えた。

 

高「ふざけんなクソが!

あいつはこのバトルをなんだと思ってやがる!

 

離せよ摩耶花!

俺があいつをぶっ潰してやる!

潰させろ!

そうじゃなきゃ気が済まない!あいつは、この場にいちゃ」

 

摩『僕だって同じ考えなんだよ高谷!!

けど・・・今ここで君がやられたら、誰があいつにとどめを刺すんだ!

憎しみが何も結果を生み出さないということを、解れ!』

高「!!」

 

摩耶花の一言を受けておれは冷静になる、

たしかに状況は摩耶花の言う通り・・・今おれが飛び出しても何にも対抗策がないんじゃただやられるだけ。

それこそあいつらの思う壺じゃないか?

冷静になると怒り心頭だった俺がアホらしく思えた。

 

高「・・・すまん摩耶花、その通りだ。」

摩『分かればよろしい。

・・・けど、本当に困った。

 

彼らを打倒するには今の僕たちには余りにも必要なことが足りていない。

まずはこのファールの外・・・観客席にいる妨害者を取り押さえたいもんだね・・・』

茄『た、多分審判に話をしても・・・』

 

高「ダメだろうな、

あの審判も買収されてたら俺たちの方が咎められかねない。

それにその訴えを聞いた妨害者が今いる場所を動いたらさらにどこにいるかわからなくなる。

そうなると後で突きつけることも難しい。」

 

まさに《詰み》であった。

このまま相手がいつまで待ってくれるかわからない、

観客席にも妨害者がいて審判に伝えられない、

かといって自分達で探そうとするとガンプラを失う上に逃げられる可能性がある。

なすすべはないと思えてしまった。

 

摩『・・・よりによって、高谷のお兄さんが観戦しにきた時にこんなことが起きるなんて・・・』

 

高「・・・ん?

摩耶花、俺の兄貴がなんだって?」

 

兄貴が観戦?

そんなこと俺は一言も聞いてはいないおれは摩耶花に聞き直した。

 

摩『あ、あぁ。

高谷に内緒で頼むって言われてたんだけど・・・

今日仕事を休んででも高谷の勇姿を見るーとか言ってたんだよ。

 

んで、今ぐらいの時間に試合を見にくるって。』

 

高「・・・あんの野郎。

来るなら来るで連絡の1つでも・・・・・・!!」

 

何も言わずに勝手に仕事を休む兄貴に少しイラだったが、

おかげでおれはアイデアを思いついた。

 

この状況を打開するかもしれない、けれど危険な案を。

 

高「・・・摩耶花、部長。

今この状況を打開するかもしれないアイデアが浮かびました。」

 

茄『本当?

それって一体どんな』

 

高「・・・けど、

2人にとってもかなり危険な案なんです。

これは」

 

摩『危険だとしても、一応聞いておくくらいはいいだろう?

それにそれで状況を打開できるのなら是非とも聞かせてほしいな。』

 

 

考えうる懸念すらもはねのけて2人は俺に聞き入る。

信頼されていることのありがたさを痛感しながら、俺は説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高「・・・・という作戦だ。

2人を傷つける策しか思いつかないで情けないけど、今のこの状況を打開するにはそれしかない。

あとはこのフィールドの外が気づくのを信じるだけだ。」

 

摩『・・・なるほど、君らしい懸念だった。

けどそれくらい我慢して見せるさ。

何かあったらその時はそのときだしね』

茄『そうだよ!

そのくらいで引くくらいなら最初からここに来てないから!

・・・私達なら大丈夫だよ、高谷君。』

 

作戦を伝えてもなお2人は決意が固い。

少し考えたのち、

 

高「・・・よし、行こう。」

 

2人に指示を出し、デブリを飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜高谷隼人side〜

 

隼「ここが、ガンプラバトル大会の会場か・・・

すげー人だなおい。

こんだけの人がガンプラ好きなのか・・・

 

お、皇先生はあそこだな?」

 

俺は弟には内緒でガンプラバトルの会場にやって来ていた。

今日は仕事が入ってたのだが、どうしてもあいつのバトルが気になった俺はなんとかマネージャーに話を通してもらい休みをもらった。

 

そして今ここにいるのである。

感激しつつも皇先生の座る席を見つけてそこに向かう。

 

隼「どうも、皇先生!」

皇「・・・!

あ、あぁ・・・もう着いてたのね、隼人君。」

 

皇先生は俺の学年教師のうちの1人で、俺とは何回か授業であった人だ。

俺のモデルと学業の両立のプランを立ててくれた人で、俺にとってはかなり助かる先生・・・なのだが、

 

隼「?

どうしたんですか皇先生。

あまり浮かない顔で・・・あ、ここの席いいですか?」

 

皇「ええ、大丈夫。

・・・実はね、高谷君達の試合が・・・あまりいい方向に流れてなくて。」

 

皇先生達のいる席は通路側でしかもひと席開けていてくれてたので俺はそこに座る。

そして皇先生の視線の先を見ると、高谷達が苦戦していた。

 

[ばるかん]・・・や[びーむましんがん]・・・ってやつかな?

それを相手に向かって打つのだが当たっていない。

当たったとしても致命傷にはなっておらず、ここで3人は大技らしき技を発動した。

 

・・・・・しかし途端に3人は首を抑え、そのせいか大技は外れてしまう。

再び大技を出そうとするも相手に詰められて攻撃がおぼつかない。

 

 

隼「な、なんだなんだ?

めっちゃ苦戦してるじゃないですか!」

皇「・・・ええ、そこがおかしいのよね。

というより・・・何か違和感を感じるの。

はっきりとはわからないけど・・・」

 

?「・・・ナスが大技外す・・・ありえない。

ナスは慎重派・・・大技の時・・・狙い定める。」

 

皇先生とその隣にいる女子生徒が感じているであろう違和感を口に出す。

 

俺も少しおかしいと考えていた。

だって、大技を放つ時に首を抑える必要はどこにもないし、そんなことしても命中の確率下がるだけ。

しかも首を抑えるのは大技の時だけ、普通に[ばるかん]を打つ時は抑えないのだ。

とするとあの3人は・・・・

 

隼「なんで、大技の時に首を抑えるんだ?

・・・抑えないといけない状況・・・まさか!?

皇先生!

ここって、いっつもこんなに盛況なんですか?

観客の多さが半端じゃないですよね?」

 

皇「ど、どうしたのいきなり・・・

まぉ、たしかにこの大会はわりと予選でも人は多いと思うけど。」

 

隼「・・・もしかして、の範囲だけど・・・

この観客の中に対戦相手の息がかかった誰がが、妨害してるってこと考えれませんか?」

 

皇・?『!!』

 

俺の感で考えた推察に先生と生徒はハッとしてこちらを向く、

 

皇「まさか、スリングショットか何かで彼らに向かって!?」

隼「可能性の話・・・でも、本当なら辻褄があうんですよね。

先生、

あの3人の抑え方からそいつらがいる可能性のある場所とか推測できます?」

 

皇「・・・・あの角度からなら・・・

ここと、ここと、ここ。

バレないようにいるとするならおそらく1人ずついるはずよ。」

 

先生が観客席のマップを見ながら予測して地点を割り出した。

 

隼「・・・よし、

俺は1人取り押さえてくる。

2人も行く場合は、誰か周りの人に手伝ってもらってください!

俺たちで、継芯を助けるんだ。」

 

?「わかった・・・高谷の・・・お兄さん。」

皇「隼人君も、気をつけてね。」

 

 

俺たち3人は席を立ち、スマホに送られた地点を探しに行った。

姿なき妨害者からあいつらを守るために。

 

隼「(継芯、待ってろ。

すぐにこの状況から助けてやる!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜高谷side〜

 

 

茄『イタタ・・・!!

みんな!

皇先生達が動いた!』

 

その知らせは俺たちをすこし奮い立たせた。

痛みに耐えながらあえて大技を打つことで外にいる先生達にのみ知らせる。

 

兄貴は無駄に勘が鋭く、皇先生は予測推測がかなり正確。

その2人が合わされば気づいてくれるのではないか?というかなり行き当たりばったりな作戦だったが、うまくいったようだ。

 

あとは俺たちが大技を出し続けて妨害者が俺らを妨害したところを捕まえて貰えば、

俺たちの妨害は無くなり、大技を思う存分放つことができる。

 

 

茄『高谷君の作戦通りだね!

2人とも、あと少し・・・痛みを耐えて頑張ろう!』

摩『了解!』

高「了解!」

 

 

部長の指示を聞いあと、俺たちはデブを含むチームゴー☆ジャスキングに改めて勝負を仕掛ける。

 

金『ぷぷーー!!

そんなにがっついたところで無駄だよ!

大技すら当てられない下手くそな君たちじゃ、僕には勝てないさ!』

高「っるせぇ!

ほざいてろこの成金が!」

 

口の悪すぎるバトル、

多分この試合を見てる人からしたらあからさまに不快かもしれない。

 

しかし、俺は今内心穏やかではなくそれが少し抑えきれてないのだ。

 

この作戦が失敗してしまうと2人にも継続してダメージが入ることになる。

それだけは何としても避けたいのだ。

 

バルカンやサーベルで斬りかかるなどして分断しようと考えるのだが、

親衛隊がごときハミングバードとEXーSガンダムが邪魔をする。

 

しかし、2人の支援もあり、なんとかデブを分断できた。

 

金『無駄だと言ってるだろぉ?

なぜ抗うのさ、何故に受け入れない?』

 

デブが呆れたように俺にビームライフルを撃ち続けるが、

俺は奴と距離を離した後向き直り、石破天驚拳の構えに入る。

 

高「・・・俺は、お前みたいな汚ねぇ奴になんか負けやしない!

他のみんなも、そうおもってるからだ!

 

食らいやがれ!

石破!天!驚!拳!!」

 

 

俺はコマンドを押して来たる衝撃に備えて体を強張らせた。

が、首への痛みは起きずにそのまま石破天驚拳は真っ直ぐ金松に飛んでいく。

 

金『なにぃ!?』

 

慌てて金松はシールドでガードするが、

着弾した時点で爆発を起こして爆風が金松を包み込んだ。

 

高「・・・痛みを、感じない!?

ということは!!」

 

隼「おーーーい!継芯ーー!!」

 

観客席の一部から起こった声に俺は振り返る。

そこには、

 

隼「お前らを妨害する不届きな輩、捕まえてやったぞー!

これで心置きなくバトルしやがれーー!」

 

右手に掴む奴からぶんどったのか、左手に持った装着型のスリングショットを振りながら俺に叫ぶ兄貴がいた。

普段ならここで少し静かに!と起こる場面だが今の俺には最高の知らせだった。

 

高「あ、兄貴・・・まさか本当に見つけられるとは・・・少し見直したぜこんにゃろう!」

 

茄『高谷君!

フウカの方も取り押さえることが出来たみたい!』

摩『皇先生も捕まえたみたいだよ。

・・・全く、敵に回したくないね・・・あの三人は。』

 

俺たちの視線の先には、しっかり妨害者を捕まえた観客席にいる3人がこちらに手を振っていた。

 

だが、俺は少し警戒していた。

もしかしたら・・・

 

高「けど、提案しておいてなんだが妨害者が3人とは限らない。

もしまだ残ってたら・・・」

摩『大丈夫だよ高谷、たとえそうだとしても・・・彼らが許さないだろうさ。』

 

つい口にしてしまった不安を聞いた摩耶花が俺にそう言うと、

会場のどよめきが強くなった。

 

「おい・・・妨害者ってどういう?」

「お、俺見たぜ!

あいつら左手につけたスリングショットを対戦相手の・・・トリなんとかのやつに撃ってた!」

「まじかよ!

てことはあの対戦相手・・・それ以外に何かしてんのか?」

「というか、なんで審判止めないの?」

「そういう不正だと普通気づくわよね?」

「まさか審判も・・・」

 

そのどよめきは疑念に変わり、

チームゴー☆ジャスキングへと突き刺さる視線となる。

 

審判も話題に上がり、どうしようかオロオロと迷っていた。

 

爆風が収まり、中から現れたデブの機体は損傷していた。

・・・シールドと胴体を除く箇所を。

 

金『・・・・ぐぐぐぐ!!

うるさいぞオーーディエーーーンス!』

 

 

突然吠えた、

それは喧嘩を仲裁するために吠える犬が如く、

または指摘をされ続けた悪ガキが開き直るが如く。

 

ざわざわと噂をする観客達に対して突然吠えた。

 

金『・・・いいかオーディエンスども!

お前らが捕まえたとするその妨害者だがな!

 

そいつらはおそらく俺のファンだ!

俺に取り入って俺の権力を餌に生きながらえる寄生者だ!

なのに貴様らは寄ってたかって俺たちのチームのせいにしやがって!

 

試合に集中できないだろうが!

黙って試合をみろぉ!

審判!これは試合を続行する流れでいいんだよな!』

 

審判「は、はいぃ!

試合は続行!続行です!」

 

デブの咆哮に観客席は静まり返る、が、それは正論だったから黙ってるわけではない。

・・・観客の視線は、審判や妨害者よりもデブへと向かっていた。

呆れ、侮蔑、そして怒り。

 

それに気づいていないデブに俺は改めて向き直る。

 

高「・・・お前、自分が何をしたのかわかってないな?

しかも味方を平気で切り捨てるなんてよ。」

 

金『ふ、ふん!

対戦相手に生意気にも説教かい!?

だいたいなんなのさ!

彼らは僕とはなんら関係のない「哀れだよな、お前。」・・・・な、なんだと!?』

 

デブが言い訳を垂れようとしていたところに突きつけた俺の指摘にデブの言い訳が止まる。

 

高「哀れだよ、

今のお前・・・見ててすんげぇダッセェぞ。

 

そのプラモだって、味方の2人だって。

お前が汗かいて見つけ出した仲間ってわけでもないんだろ?

大方誰かに金を持たせて雇わせて連れて来させて。

 

そのガンプラもさ、誰かに作らせたやつを使ってるんだろ?

そんでもって全てがバレたらそれらを捨てて自分だけは生き残ろうとして・・・

何もかもがダッセェよお前。」

 

金『・・・お前に・・・お前に俺の何がわかるクソが!!

俺は!金松グループの後継ぎとなる男だ!

 

金松グループはつい最近になってヤジマ商事と連携してガンプラバトルの方面へと進出を始めたんだ!

 

俺は後継ぎにゆくゆくなれると思っていたのに、お父様がいきなり「金松グループを継いで行く男になるのならば、

せめて地区予選大会くらいは突破して見せよ。」とか言い出すからいけないんだ!

 

だから俺は今ここで勝たなきゃいけないんだよ!

それになぁ!!

 

ガンプラバトルって言ってもよぉ!

結局誰が作ろうが強いガンプラを持ってるやつが一番勝てるじゃねぇか!

完成度の高く武装も豊富なガンプラこそがこのバトルを勝利する秘訣だ!

 

誰が作ったとかそんなの関係ねぇだろうがぁ!

なに自分でガンプラを作って試合に出たからって偉そうにしてんだよ!

自分で作るガンプラとか、腕が弱けりゃただの雑魚だろうが!』

 

今の今まで隠していたのか、

ガンプラを愛する観客が大勢いる中でデブは叫び続けた。

 

駄々をこねる子供のように、自分を正当化するように。

 

・・・だが、俺はデブから視線を外すことなく操縦桿を握り話を続ける。

 

高「・・・金松、金松 飾。

 

お前の言うことは半分くらいあってる。

このガンプラバトルでのガンプラの完成度や作り込みはバトルに影響される。

 

どんなに丹精込めて作ったとしても、しっかりと組めていなかったりゲート処理やポリキャップのはめ込みミスがあれば簡単にプラモは壊れちまう。

 

けど、それを補うのがビルダーだ、それを補って戦うのがファイターだ。

だからこそ、ガンプラファイターは『自分が作ったガンプラ』ってやつにかなりの価値を見出すんだ。

 

誰かに作らせたガンプラがたとえ強くても、想いと熱意、そして・・・前に進む覚悟を持ったファイターならきっと乗り越えられる!

 

お前がこの試合でなしたことはその全てを侮辱するものだと分かれ!

 

ここにいるガンプラが大好きな人達全てを敵に回して、お前がそんな栄光をつかもうとしても結果的にみんなはこう言うだろう。

 

『金松グループの後継者はガンプラで不正をした男だ。』とな。

 

金松!!

お前らがどんなことをしてもな!

俺達ファイターは止められねぇんだよ!」

 

俺の演説にも近い話が終わった途端観客席から拍手が上がり、

「トリニティ」コールが会場を包む。

 

それを受けて暖かい気持ちになるったが、

 

金『く、クソ!

この凡人風情ガァァァァァ!!』

 

キレてしまったデブは腰に下げていたジャイアント・ガトリングを連射してきたが、

怒りのためか弾はまとまっておらず俺は光の翼を展開してデブに接近する。

 

金『何故だ!何故当たらない!』

 

高「それがお前の限界だ!

受け取りやがれ金松!

これがぁ!」

 

接近しながらコマンドを押し、ゴッドフィンガーを発動するが拳は握ったまま突っ込む。

 

高「俺のぉ!」

 

そしてそのまま突っ込み、デブの機体の土手っ腹に拳を突き出す!

 

高「覚悟だぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そしてゴッドフィンガーのエネルギーをそのまま集約し、

 

高「ゴット、エクスプロージョン・・・エンド!」

 

そのまま自機の腕を巻き込む大爆発を巻き起こした。

 

デブの機体は無傷ではあったが、

吹っ飛んだ勢いが宇宙空間では減速することもなくフィールドの外へと向かって行く。

 

金『ば、バカな!僕の・・・僕のガンプラがこんな!!

こんな凡人にぃぃぃぃぃ!!』

 

デブの悲鳴を最後に機体は宇宙に消えていき、

 

《プレイヤー4、フィールドアウト!》

 

アナウンスがデブのフィールドアウトを知らせた。

 

高「・・・あとは、あの二機・・・か。

けど、腕はもう一本しか・・・この状態じゃ」

 

戦うのはきつい。

そう俺が考えたその時、

 

《プレイヤー5、6。リタイヤコマンド!

バトルエンド!》

 

残りの2人がなんとリタイヤしたため、バトルは終わり粒子が離散した。

 

会場は歓声に包まれた、やまないトリニティコールが会場を一体化させていた。

 

 

茄「やった!!

準決勝突破だよ、高谷君!」

摩「まさかの作戦がちだったね、と言うか・・・あの3人がまさか見つけてくれるなんて思わなかったよ。

見つけてくれなかったらどうなってたことか。」

 

高「あぁ、けど・・・なんでまたあの2人はリタイアを」

 

金「このくそどもがぁぁぁ!」

歓声と余韻をぶち壊す金切り声。

 

デブがリタイアした2人を指差しながら怒鳴り散らしていた。

2人は黙ってデブを見続ける。

 

金「お前らがリタイアしなければ勝てたかもしれなかったんだぞ!?

何故あそこでリタイアした!!

俺の意見もなしにリタイアしやがってこのくそどもが!」

 

?「・・・・私達は。」

 

怒鳴られ続けてきた彼らが、まっすぐと金松を見て口を開く。

 

?「私達は、彼らの言う通りガンプラファイターだ。

このガンプラも私達が作ったもので、私たちに答えてくれる。

 

楽しい試合を見せることが私達の一番の楽しみだった。

しかし、あなたはそれを汚したのみにあらず私たちの存在自体を汚した。

 

あの女子2人に言われて気づきましたよ、

やはりファイターに必要なのは正々堂々と戦うことだと。

 

・・・なので、私達はリタイヤしました。

妹に誇れるファイターで居続けるために、こんなつまらないことはもうしたくなかったのです。」

 

金「・・・ほぅ・・・つまり何か?

そんなつまらないプライドなんかでこの僕の勝利を踏みつぶしたと!?

・・・わかった!もういい!

君らとの約束は無しだ!

妹さんとともに、この僕に逆らったさばきを受けろ!」

 

?「残念ですが、それは無理ですね。

あなたが裁きを受ける側ですから。」

 

デブの脅迫めいた叫びを聞いて2人は驚愕したが、

その後ろからスーツを着た男性が現れた。

 

デブもそれに気づいて「何者だ!?」と声を荒げる。

 

十「アァ、これは失敬。

私はガンプラバトル公式審査委員の、十四松華助と申します。

 

金松さん、あなたやりたい放題やらかしてくれましたね〜・・・

 

違法ガンプラの製造依頼、大会のレギュレーション違反。

はたまた審判たちの買収に、対戦相手に対する買収行為。

その他諸々で逮捕状が出てるんですよ。

 

アァ、心配しなくてもこれはすでにあなたのお父さんが許可した事なので、

父親を隠れ蓑に逃げるなんて事、しないで下さいねぇ。」

金「そ、そんな!?

お父様がこの僕を!?」

 

十「残念でしたね、連れていけ。」

 

十四松さんが支持を飛ばすと後ろに控えて居た部下らしき人が放心状態のデブを会場から連れ出した。

十四松さんはつかつかと残った2人に歩み寄り優しく声をかけた。

 

十「・・・あなた方が守ろうとした妹さんは無事ですよ、

病院に継続入院できることが決まりました。

 

・・・今回の研磨、情状酌量がつくようになんとか取り計らって見ますから。」

 

?「・・・お願いします。」

 

2人は安堵したような表情を浮かべると、

十四松さんに連れられて会場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、

 

高「しかし、兄貴の勘の良さは相変わらずだな。

おかげで助かった・・・ありがとう。」

 

隼「いいってことよ!

変なことして勝つような輩にお前を負かすわけにはいかなかったしな。」

 

会場を出た俺達は先生や兄貴と合流していた。

兄貴は無駄に誇らしげに話していたが、今回はその功績があるため俺は我慢することにした。

 

皇「けど、すごいじゃない。

明日はいよいよ決勝戦!

明日勝てば貴方達チームトリニティレイヴンは全国出場よ!」

 

茄「そ、そう言えば・・・怒ってて忘れてましたが、私達ここまできたんですね!?

あー・・・今からでも緊張してくる・・・」

 

高「今緊張してどうするんすか部長、

・・・で、皇先生。

俺たちの相手のチームはもう決まってるのか?」

 

俺が先生に相手のことを聞こうとしたその時、先生の携帯が鳴った。

 

先生が携帯を操作しながら顔つきが変わり、そして俺たちに言った。

 

 

 

皇「・・・今決勝戦に進出した相手がわかったわ。

今大会優勝の有力候補の1つ、ホルン学園のチーム『アメイジンググレイズ』を破って決勝戦に進出したのは、

 

チーム『創生の輝き』。

・・・今回のダークホースね。」

 

対戦相手の名前が出て俺たちは気を引き締める。

地区予選大会も、いよいよ大詰めを迎えようとしていた。

 

 

 

 

 




次回、
『開幕!ガンプラバトル大会地区予選大会編final』

茄「私達は、乗り越えてみせる!
そして掴むんだ!全国への道を!!」

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