魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:8 コンビネーションアタック

古代遺失物を護送していた機動六課だったが先の戦闘で広範囲殲滅魔法が行使されたこともあり陸士隊と共に安全確認を行っていた

「えらい派手にやったな………」

ロイスの攻撃でできたクレーターを見てはやてがため息を零す

本部で待機していたのだが隊員が負傷したこともあり駆けつけたのだ

「これは私が塞いでおきます、ゴーレム創成を応用すれば何とか」

「お願いなコロナ、フォワードのみんなは?」

「うちの車両で休んでもらってるよ」

そういって警邏隊隊長のハリー・トライベッカ二等陸尉がやってきた

「すまんね番長、急に来てもらうことになって」

「気にしないで下さいよ、警邏はこんなんばっかですから」

「カイザーは前線復帰できるんやね?それでヴィヴィオはどこいったん?」

「さっきから何度も呼び出してるんですが、返事がなくて」

二人が話していると一人の少女が近づいてきた

「はやて!」

紅いゴスロリ風のバリアジャケットに身を包むハンマーを持った少女がはやてに声をかける

「ヴィータ!?どないしたんやこんなところで」

 

意識の戻らないアンジュにディエチが人工呼吸を施し、それを終えると心臓マッサージを行った

すると突然アンジュが咳き込み口から水があふれ出す

「よし、ユミナ、あとお願い」

それを確認したディエチは額の汗を腕で拭うと医務官のユミナに後を託した

 

「ふぅ」

座り込んでため息を零すヴィヴィオ

右手で頭を抱えそのままうなだれた

「ムキになっちゃったなぁ、私も反省しなきゃ」

そんなヴィヴィオを白い制服に身を包んだ女性が見つめていた

 

「後は安静にしていれば大丈夫よ」

未だアンジュの意識は戻らないがユミナの言葉に仲間たちはホッとしていた

「カレル達は手当てしなくて大丈夫?」

「僕は何とか範囲外に出られたので、この後どうするか聞きに行かなくちゃ」

「私も行く、だいぶ魔力も戻ったしもう大丈夫です」

そう言ってカレルたちは外に出る

ふとディエチはそばで俯くロイスに歩み寄った

「ほら、叩かれたところ冷やさないと、赤くなってるよ」

そう言って氷嚢を差し出すディエチ

「ありがとうございます………」

ディエチからそれを受け取り頬に当てながらロイスがため息を零す

「あんなに怒った隊長は………はじめてみました」

「私もヴィヴィオと付き合い結構長いけど初めてだなぁ、ねえ、ロイスはなんで怒られたかわかる?」

ディエチの問いかけにロイスは俯きながら考えるとゆっくり口を開いた

「仲間を巻きこむと知りながら危険な魔法を使ったこと、それから………隊長や仲間の制止を聞かなかったこと」

「正解、じゃあヴィヴィオはどっちに怒ったと思う?」

「………制止を聞かなかったこと」

「はずれ、正解は危険な魔法を使ったこと、今回の任務、ヴィヴィオにはいろいろ思うところがあったんだ」

そう言ってディエチはロイスの隣に座り上を見上げた

「隊長は選手時代、結構無茶をした方と聞いていますが」

「うん、ヴィヴィオをコーチしてたの私の妹なんだけど、よく怒られてたの覚えてるよ、実際引退する前の年にもヴィヴィオは肘を壊してインターミドルを途中棄権してるし、でも、あの事件以来ヴィヴィオは無茶を嫌うようになった………」

 

「ヴィ~ヴィオ」

突然かけられた声に驚くヴィヴィオ

「え?なのはママ!?どうしてここに?」

白い制服に身を包んだサイドポニーの女性、彼女の母、高町なのはの姿に驚くヴィヴィオ

「今来てる部隊でちょうど教導中だったの、ヴィータちゃんも来てるよ」

「そうなんだ」

 

「ヴィヴィオのお母さん、高町なのはさんは知ってるよね」

「はい、航空戦技教導隊のエースオブエース、同時にいくつもの古代遺失物事件を解決した英雄」

「そう、強くて優しくて………彼女にあこがれる人はたくさんいたわ、私もその一人だし、もちろんヴィヴィオも、でもね………」

ディエチは俯き過去の出来事を思い返していた

「7年前、教導中に起きた古代遺失物(ロストロギア)の暴発事故で大怪我を負ったなのはさんはヴィヴィオと離れ離れになってしまった、完治できずに二度と会えない可能性すらあったわ」

当時のことを思い出してかディエチの表情も暗かった

「その頃のヴィヴィオは伸び悩んでいたの、でも、その事件がきっかけでヴィヴィオは悲しい気持ちを押し殺して強くなった、今回運んでいた古代遺失物(ロストロギア)はね、その時暴発したのとほぼ同じもの、辛いことを思い出させちゃうし、他の部隊にやってもらう話もあったんだよ、でもヴィヴィオはみんながいるからって」

「自分は………隊長の信頼を裏切ってしまったんですね」

「うん、それにヴィヴィオが執務官になったのって、犯罪でそういう悲しい思いを生まないためでもあると思うの、その時の古代遺失物(ロストロギア)、護送中の犯人が隠し持っていたものだから」

そう言ってディエチはロイスの肩に手を置いた

「確かに無茶が必要な時もある、けど、わかってあげて、ヴィヴィオの気持ち」

 

「そっか、ヴィヴィオも大変だったね」

ヴィヴィオから事情を聞いたなのはも彼女の話に考え込んだ

「ロイスにひどいことしちゃって、私、隊長失格かな」

「あーもう、ヴィヴィオったら」

座り込んで俯くヴィヴィオの頭を突然なのはが小突く

「誰だって失敗の一つや二つあるんだし、その位で落ち込まないの、私だって今のヴィヴィオと似たような失敗して、悩んだことあるんだし」

むくれながらなのはが語っていた

余談だがこの時本局で書類作業をしていた某執務官が寒気を感じ震えあがったという

「っていうか、そんなところまで私に似ることないでしょ、もぉ、昔の自分思い出して恥ずかしくなってきた」

「ははっ、何それ………でもありがとうなのはママ、おかげでちょっと元気出た」

そう言って立ち上がるヴィヴィオの表情はとても晴れやかなものだった

すると次の瞬間、トレーラーの待機してる付近から爆音が鳴り響く

「今の音は………」

「まさか」

 

古代遺失物狩りと使い魔が再び現れ襲撃を仕掛けてきた

リオとカレルが古代遺失物狩りと対峙していた

「叩いて砕け!ゴライアス!」

巨大なゴーレム、ゴライアスに乗ったコロナがアインハルト共に使い魔と対峙する

 

「クリス!」

ヴィヴィオは現場に到着するとバリアジャケットを装着し向かっていく

「私も」

なのはも首にかけていた自らの愛機、レイジングハートを手に取るもそんな彼女の行く手をヴィータのハンマーが遮った

「まあ待てよ、娘が心配なのはわかるけど、これはあいつらの戦いだ、あたしらはあたしらで出来ることやろうぜ」

「ヴィータちゃん………そうだね、じゃあ私たちは陸士隊と協力して非常線を張りに行こう」

そう言ってなのははヴィータと共にその場から離れていく

見るとハリーがすでに陸士の隊員たちに指示を出していた

「(頑張って、ヴィヴィオ、みんな………)」

 

「コメットブラスト!」

コロナが魔法弾と礫を放ち使い魔を攻撃するが悠々と飛んでかわされる

「覇王空破断!」

アインハルトが追撃するもこれもかわされてしまった

「動きを止めることができれば………」

二人の後方で控えていたリエラが悔しげに零した

 

「紅蓮拳!」

リオが放った炎を古代遺失物狩りが回避する

「切り裂け!」

「Jet Zamber」

飛び上がったカレルがグラディウスに電気を纏わせ斬りかかるがこの攻撃もかわされる

「ソニックシューター!」

ヴィヴィオがすかさず追撃するも古代遺失物狩りは魔法弾でヴィヴィオの攻撃を相殺する

 

「僕は………」

仲間たちが苦戦する様子を見ていたロイスは悔しさから拳を握っていたが

「行きましょうロイス、みなさんを助けに」

目を覚ましたアンジュがその手を握っていた

 

「この程度かしら?」

余裕の笑みで使い魔が上空からアインハルトたちを見る

すると次の瞬間彼女の周囲を水が取り囲む

「なにっ!?」

「コロナ副隊長!今です!」

リヴァイアスを構えたロイスが叫ぶと

「よくやったわロイス!ゴライアス!パージブラスト!」

ゴライアスの腕が勢いよく回転する

「ロケットパーンチ!」

回転したままゴライアスから分離した腕が水に囲まれ動きを取れない使い魔を直撃する

更に攻撃を受け落下していく使い魔にアインハルトが向かっていく

「覇王………断空拳!」

アインハルトの攻撃が決まり勢い良く吹っ飛ばされる使い魔

空中で何とか体勢を立て直すと

「くっ、しょうがないわね、ここは引いてあげる」

捨て台詞を残し飛び去って行った

 

それを見ていた古代遺失物狩りが一瞬動きを止めていると

「シャイニングセイバー!」

リヒトフリューゲルを使ったまま飛び上がったアンジュが斬りかかる

何とかかわす古代遺失物狩りだが着地したアンジュがそのままジャンプして追撃してくる

「アクセルスマッシュ!」

そのまま拳を叩きこむアンジュ

直撃をかろうじて避けた古代遺失物狩りも使い魔同様逃げ去っていく

 

こうしてロイスとアンジュの活躍もあり任務は無事完了したわけだが

「待機してるように言ったよね………アンジュもまだ動いちゃいけないはずでしょ」

現在二人は冷たい表情のヴィヴィオからお説教をされ正座のまま俯いていた

「あんなヴィヴィオさん始めてみました」

怯えるクリスとティオを抱きながらアインハルトがリオとコロナと共に苦笑する

「ま、非常事態やったから処罰の対象にはならんやろうし、お説教はヴィヴィオに任せよ」

「いや部隊長がお説教変わってあげてください!二人とも泣いてますよ!」

「というか私も泣きそうです、ヴィヴィオさん怖いです」

カイザーの二人とはやてがそんな話をしている間もお説教は続いていたのだった

「二人とも、少し頭冷やそうか」

 

「ロイス、アンジュ、ちょっといいかな」

任務を終え自由待機(オフシフト)に入ろうかというタイミングでヴィヴィオが二人に声をかけた

「何でしょう?」

「ごめんね、昼間は怖い思いさせちゃって」

「そんな、私たちが悪いんですし、気にしてませんよ」

頭を下げるヴィヴィオに気が引ける二人だったが

「それでね、今日は私もこれから自由待機(オフシフト)だから、一緒に御飯でもどうかと思って」

笑顔でそう告げるヴィヴィオにロイスとアンジュは顔を見合わせ

「「お供させていただきます」」

笑顔でそう答えた

「やっぱりヴィヴィオさんって、優しい人だったんですね」

「ああ、あのお説教も僕達のことを心配しての事だっただろうしね」

車をとりに行くヴィヴィオを見送りながらそう話す二人であった




おまけ(ファビア・クロゼルグ)
競技選手を引退後本格的に捜査官の道へ
2年ほどはやての下で学んだ後捜査官として独立
ヴィヴィオとは彼女が執務官として最初に担当した事件で組んで以降の仲
副官という立場ではあるがそれぞれが別の事件を担当することの方が多い
それでも大きな事件では手を取り合い解決に導いている
プライベートでは上官のヴィヴィオよりもアインハルトと一緒に居る方が多い

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