魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:7 焦り

初出動から数日がたちました

あの初出動の翌日から隊長たちも訓練に参加するようになり

どんどん激しくなっていく訓練に私は付いて行くのがやっとで

でも、努力は決して私を裏切らなかった

 

フォワードたちは現在ヴィヴィオを相手に模擬戦形式の訓練を行っていた

「ソニックシューター」

ヴィヴィオの放った多数の魔力弾がフォワードメンバーたちに降り注ぐ

「任せてください」

前に出たリエラが展開した防御魔法が魔力弾を防いだ

「リヒトフリューゲル!」

「駆けろ!ソニックムーブ!」

アンジュとカレルが勢いよく突っ込んでいくが

「甘いよ!」

ヴィヴィオは飛び上がると空中で瞬時に魔力弾を生成した

「セイクリッドクラスター!」

魔力弾がはじけたかと思うと広範囲にわたって降り注ぎフォワードたちに襲いかかる

 

訓練が終わると全員地面に倒れ伏していた

「みんな大丈夫?」

そんなフォワード陣の顔をヴィヴィオが覗き込む

「さすが、高町隊長は強い、インターミドル都市本戦優勝はだてじゃないか」

「そう言えば、私そのことで気になってたことがあるんですけど」

ロイスの言葉を聞いたアンジュが立ち上がってヴィヴィオに声をかける

「ん?何?」

「ヴィヴィオ隊長が訓練に加わって結構経ちますけど、私隊長が格闘技を使うところまだ見てないんです」

「え?………ああ、アンジュは知らなかったね」

アンジュの質問に笑い始めるヴィヴィオ

「ヴィヴィオさんは局入りする時に格闘技を引退して、今は射撃型のスタイルに変えたんだよ」

困惑するアンジュにカレルがそう答えた

「そう………なんですか」

「でも格闘技を辞めたわけじゃないから安心して、必要なら使うし、今でも鍛錬は続けてる、前はフロントアタッカーだったんだけど今はガードウイングでやってるの」

「(ガードウイングか、なるほど、状況次第で切り替えているわけだ)」

ヴィヴィオの言葉を聞いていたロイスはふと考えていた

「元々潮時ではあったんだ、選手時代に肘を壊してフォーム変えてからは伸び悩んでて………そのせいでフィニッシュブロー使えなくなっちゃったしなぁ、あ、ねぇ、逆に今度は私から質問していい?」

「え!?な、なんでしょう」

ヴィヴィオの言葉に戸惑いあわてるアンジュ

「(すぐこれだ、戦闘の時はいいが普段はどうも頼りない、こんな奴が僕の相棒だなんて)」

「アンジュの魔法で少し気になることがあるんだ、シャイニングセイバーだっけ?ちょっと使ってみてくれない?」

「え?けど………訓練の後で魔力があまりないのでできるかどうか」

戸惑いながらも魔法を行使してみるアンジュ

白い魔力が光を吸収して剣の形を成していく

「やっぱりそうだ、これ集束魔法だよ」

ヴィヴィオの口から出た集束魔法という言葉に全員が目を見開いた

「え?集束………えー!?集束魔法ってあれですよね!?周りの魔力を集めて吸収するっていう………え!?」

「うん、間違いないよ、この感じはミウラさんの抜剣と同じ、近接型の集束魔法だよ」

「そんな、私なんて………大体私ベルカ式なのに」

「うん、私の知ってる限りじゃ初めて見るね、でも、アンジュならきっと使いこなせるよ」

そのやり取りを見ていたロイスが鋭い視線を向けていた

近くで訓練メニューを見直していたコロナはその視線に気づき真剣な目で彼を見つめた

「そろそろ個人スキルの練習も始めた方がいいかな?」

そんなコロナにリオが声をかける

「え!?あ、うん、リオにはロイスのことをお願いしたいんだけど………でもロイスは………」

あわてて表情を作るコロナだったがリオには見抜かれていたようで

「大丈夫だよ、きっとなじめるようになるって、チームナカジマ、そういうのは慣れっこでしょ」

「クスッ、そうだったね」

 

リオとコロナがそんな話をしている同時刻

「クシュ、風邪をひいてしまったんでしょうか?」

部隊長に提出する書類を持って廊下を歩いていたアインハルトがくしゃみをしてその場で立ち止まった

 

「クチュン」

「風邪ですか?」

通信士仲間のラグナやエルスと書類仕事をしていたファビアもくしゃみをする

「意外と可愛いくしゃみするんですね」

エルスの言葉に頬を赤らめむくれるファビアだった

 

前線メンバーとユミナはその日ディエチの運転するバンで移動していた

今日の任務は郊外で押収された古代遺失物(ロストロギア)の護送、先日のように襲われる危険性が高いため六課が護衛につくことになった

近隣の陸士部隊と空戦魔導師にも警戒してもらい管理局まで運ぶことになっていた

現在その古代遺失物(ロストロギア)が入った箱はリエラが持っている

不安そうに何度も周囲を見回すアンジュ

「大丈夫、今回は私たちも一緒だし、後方で副隊長たちも警戒してるから」

そんなアンジュにヴィヴィオが声をかける

「(ヴィヴィオ)」

そんなヴィヴィオにディエチが念話で語りかける

「(その護送対象の古代遺失物(ロストロギア)って、確か………)」

「(大丈夫ですよ、みんな曲がりなりにも局員なんですし、古代遺失物狩りもエネルギー目的なら暴発させるようなことはしないと思います)」

「(だといいんだけど………)」

 

「しかし、本当に現れるんでしょうか?」

「可能性は高いと思うよ、局に着けば厳重に保管されることになる、狙うなら今しかない」

「ならなんでヘリを使わないんですか、そっちのほうが………」

「そうもいかないよ、空中で襲われたらアンジュやカレルは戦えない、リエラも有効な攻撃手段はないし、敵に空を飛べる魔導師がいるんならこっちでないと………ほら、早速」

助手席のロイスの疑問に答えていたディエチだったが前方に古代遺失物狩りがいることに気付きブレーキをかける

リエラ以外のメンバーはすぐさまバリアジャケットを装着し車の外へ飛び出した

「リエラはここで待機、万が一の時はそれを守っていてね」

ヴィヴィオはリエラにそう伝えると自身もバリアジャケットを装着し構えた

 

古代遺失物狩りが複数の魔力弾を飛ばすがグラディウスをふるったカレルがそれをすべて切り捨てる

「ヴィヴィオさんのソニックシューターに比べればこれくらい………」

その隙にリヒトフリューゲルを発動したアンジュが近づいていく

「アクセルスマッシュ!」

勢いよくこぶしを振り上げるアンジュ、だがこの攻撃は容易く受け止められてしまう

「邪魔だ!」

古代遺失物狩りに向けてロイスが水を使って攻撃する

だが今のタイミングは危険だった、避けたからよかったがアンジュにも命中する可能性が高かった

 

「ロイス!」

彼の行動を見たヴィヴィオが止めようとするが

「あなたたちの相手は私よ」

先日の使い魔が彼女に向かって蹴りを入れる

ヴィヴィオが何とかガードするとアインハルトが殴りかかる

「あなたはいったい何者ですか、だれの命でこんなことを」

「答えるわけないでしょう」

そう言って使い魔は黒い魔力弾を複数出現させる

「ダークバレット」

「覇王流!旋衝破!」

魔力弾をアインハルトが投げ返すが空中を自在に飛ぶ相手に当てることができない

「ソニックシューター・アサルトシフト!」

ヴィヴィオが追撃を仕掛ける、旋回中でよけられずこの攻撃は命中した

「やるわね」

何とか体勢を立て直した使い魔はヴィヴィオとアインハルトを見てつぶやいた

 

「フォトンスティンガー!」

カレルの放った攻撃をことごとくかわす古代遺失物狩り

「ポセイドンスパイラル」

水が渦を巻きながら向かっていく

だが古代遺失物狩りは舞うようにいてその攻撃を容易くかわしていく

「ポセイドンスピア!」

ロイスはそれを読んでいた

鋭い一撃が古代遺失物狩りに向かっていく

しかし古代遺失物狩りが杖をふるうと光の輪がロイスの攻撃を引き裂いた

「何!?うわぁっ」

攻撃を受け倒れてしまうロイス

「ロイス!」

「うるさい、僕の邪魔をするな!」

駆け寄ろうとしたアンジュとカレルを制したロイスは詠唱を始める

その詠唱を聞いた一同は目を見開いた、ロイスが使おうとしているのは広域殲滅用の儀式魔法だ

「まつんだロイス!ここでそんな魔法使ったら」

「あら、なんかやばそうね」

それを見た使い魔が古代遺失物狩りのほうへ飛んでいく

「やめなさいロイス!みんなを巻きこんでしまう!」

ヴィヴィオもあわてて止めるがロイスの耳には届いておらず詠唱を続ける

「It is a dangerous master」

リヴァイアスも説得を試みたが

「構うかあああ!ポセイドンロアー………」

「やめて!ロイス!」

説得を効かないロイスにアンジュがあわてて駆け寄る

その光景を見てヴィヴィオの脳裏にある光景がフラッシュバックする

拳を握りながらヴィヴィオもロイスを止めるため向かっていく

「デストラクション!」

そのままロイスの魔法が発動、大量の水が大きな波となって周囲を飲み込んでいった

 

「あれは………」

後方で警戒していたリオとコロナはロイスの魔法で出現した水柱を見て目を見開いた

「まさかロイス………急がなくちゃ」

リオはバイクのスロットルを全開にして水柱の発生した地点へ向かった

 

水が引くと古代遺失物狩りと使い魔の姿はなかった

「見ろ………追い払った、僕の勝ちだ、やったんだ、ハハ、ハハハッ」

勝利に沸いていたロイスだったが次の瞬間現れたヴィヴィオに頬を強く叩かれた

「ロイス!自分が何をやったかわかってるの!」

彼女の後ろにはアインハルトに介抱される傷ついたアンジュの姿もあった

ロイスの魔法から必死に逃れたカレルは地面に手をついて肩で息をしている

ディエチとリエラが乗ったトレーラーはリエラが防御魔法で水から守ったもののそのリエラが疲労困憊でトレーラーにもたれかかっていた

「しかし、あそこで負けるわけには………自分は任務を遂行するために………隊長たちだったらわかるはず………」

ロイスの言葉を聞いてヴィヴィオは険しい表情で拳を握ったかと思うと次の瞬間にはロイスの顔面めがけて拳を叩きこんでいた

「ロイス………あなたは何もわかってないよ」

そう呟いて倒れたロイスに背を向けて立ち去ろうとするヴィヴィオ

「しばらく頭を冷やしてなさい」

冷たく言い放ってヴィヴィオはその場から立ち去った




おまけ(ディエチ・ナカジマ)
救助隊でシューターとして働いていた
機動六課の再結成に合わせ手伝いができる人材をはやてが探していることを父親経由で知り自ら志願
部隊の本格始動に向けて協力していくことに
指導後も主にはやての補佐を務める他輸送隊の護衛なども務め、交代部隊の責任者も兼任
現在は寮暮らしであり自室には最新式の調理器具がそろえてある
部隊員たちに差し入れを作って持っていくのは彼女の役目

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