魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:3 始動

魔導師昇格試験から数日たったある日

「はい、近代ベルカ式のデバイス、あなたの魔力値を参考に組んであるけど一応注意して」

眼鏡をかけた緑色のショートカットの女性………マリエル・アテンザ技官からチューンナップしたデバイスを受け取るアンジュ

「ありがとうございます、えっと………」

部屋の様子を見渡して首をかしげるアンジュ

何やら段ボールがたくさんあるようだが

「ああ、ごめんね、今ちょっと荷物まとめてたから」

「どこか行かれるんですか?」

「出向だよ………っていけない!ごめん、これからちょっと行くところあるから」

「はい、ありがとうございました」

アンジュが出ていくとマリエルもカバンをとり辺りを見回す

「えっと………ああ、あったあった」

 

地上本部の一室でははやてとリインがフォワード候補について話し合っていた

「そうか、カレルとリエラは元気にやっとるか」

「はいです、二人ともすっかり立派になっちゃって」

楽しそうに話すリインにはやても笑顔になるが

「ファビアの話だとロイス・ローレンス陸士は実力に関しては申し分ないんですが………」

「ん?何か問題あるんか?」

リインの表情を見て首を傾げるはやて

「それが、コミュニケーション面に多少の問題が、才能や実力ゆえ周囲からも浮いた存在のようで………」

「あー、時々おるタイプやね、まあ何とかなるやろ」

少々考えるしぐさを見せるはやてだったがすぐに明るい表情で返した

「問題を起こさないといいんですが………」

 

一方その頃マリエル技官はディエチのもとを訪れていた

「はい、じゃあこれ」

「ありがとうございます」

マリエルから小さな箱を受け取るディエチ

彼女が箱を開けるとやや大きめの橙色のクリスタルがついたネックレスが入っていた

「今時間大丈夫?」

「はい、出向の手続きを終わらせてきたところなので」

「じゃあ、認証と調整も済ませちゃおうか」

マリエル技官の言葉にディエチも笑顔で答え二人で訓練室へと向かった

 

「ん~!終わったぁ~!」

事件関連の事務処理を終わらせ大きく伸びをするヴィヴィオ

「お疲れ」

「後は法務部に引き継ぎに行って、人事部に出向関係の書類を出しに行けば終わりかな」

これからやることを確認するとクリスがぐっと親指を突き出した

「ファビア」

「わかってる、これ」

そう言ってファビアが差し出したのは出向手続き用の書類が入った茶色い封筒

「ありがとう、クリス~!行くよ~!」

ヴィヴィオの言葉に賛同するかのようにクリスが移動した

「ファビアのは………」

「今やってる仕事終わったら自分で出しに行く」

「ん、分かった」

 

そして時は流れいよいよ六課始動の日

隊舎の廊下をマリーとディエチが歩いている

茶髪の女性、アルト・クラエッタが配備されたばかりの新型ヘリをピカピカに磨いていた

そしてヴィヴィオも………

「ヴィヴィオさん、準備出来ました?」

アインハルトが問いかけると陸士隊のブラウンの上着に袖を通しボタンを止めるヴィヴィオの姿

「バッチリです!」

 

機動六課部隊長室

テーブルに写真立てを置くはやての姿

「みんな、頑張るから見たってな」

写真を見つめながら笑うはやてをリインが見つめていた

すると部隊長オフィスに来客を告げるブザーが鳴り響く

「どうぞ」

はやてが返事をすると

「失礼します」

制服を着たヴィヴィオとアインハルトが入ってきた

「高町ヴィヴィオ執務官」

「ハイディ・アインハルト・ストラトス・イングヴァルト一等陸尉」

「本日ただいまより、機動六課へ出向となります」

「どうぞ、よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いします」

挨拶をすませた三人の姿にリインが笑みを零す

「ええ!?今なんかおかしいところありました!?」

「やはり、フルネームは長すぎましたかね………局員証もアインハルト・ストラトスになってますしやはりそっちが」

「いや、そうじゃなくて、なんだか懐かしいと思いまして、前の六課の初日もこんな風でしたから」

リインのその言葉に3人も笑顔になる

ふと、また誰かが訪ねてきたらしくブザーが鳴り響いた

「どうぞ」

「「失礼します」」

はやての返事と共に扉が開かれると赤いカチューシャをしたショートカットの女性とロングヘアーを後ろで束ねた女性が入ってきた

二人とも陸士隊の制服を着ている

「リオ!コロナ!」

「はい、リオ・ウェズリー修道騎士」

「コロナ・ティミル三等空尉」

「本日ただいまより機動六課に出向となります」

「どうぞよろしくおねがいします」

「はい、よろしくおねがいします」

そう、かつてのチームナカジマのチームメイトである二人だった

挨拶をすませた二人にヴィヴィオとアインハルトが駆け寄る

「お二人も六課のメンバーなんですね」

「八神部隊長から聞いてない?」

「ううん全然」

「4人で直接会うのは本当久しぶりだね、ヴィヴィオが執務官試験受かった時以来だから」

「じゃあ1年ぶり?」

「1年半位………かな」

「みんな忙しかったし最近はメールのやりとりぐらいだったもんね」

久しぶりの再会を喜ぶ四人

「ところで、お二人の所属は………」

アインハルトがきくとリオがヴィヴィオの肩に腕をまわした

「あたしはヴィヴィオの隊、セイクリッド隊の副隊長」

「わたしはアインハルトさんのカイザー隊の副隊長、で新人たちの教導も担当してるの」

「そっか、コロナ教導隊だっけ」

「わたしも戦技教官資格は持っているのでお手伝いできると思います」

「お手伝いって………アインハルトさんのほうが上司でしょ」

アインハルトの言葉に苦笑いするコロナ

ふとヴィヴィオは気になったことがありリオのほうを見る

「リオ、教会のほうはいいの?」

そう、リオは普段は聖王教会で働いている修道騎士だが………

「大丈夫、元々嘱託で局員証も公式の魔導師ランクも持ってるし、騎士カリムからもぜひって言ってもらってるから、ま、外部出向扱いなんだけど」

局員証を見せながらリオがそう話しているとクリスとティオが彼女達に歩み寄る

「あ!クリスとティオも制服着てる!」

「二人ともすごく似合ってるよ」

久々の再会に楽しく話す四人を見て遠い目になるはやて

「なぁリイン、もしかして私ら忘れられてへんか」

「まあまあ、せっかくの再会ですから」

「こうして4人で同じ格好をするのって、ジムにいた時以来だよね」

「中等部上がったばっかりの頃は学校の制服も4人一緒だったけど、一年の時だけだったからね」

そう言ってヴィヴィオが自身の制服のリボンを摘む

「陸士隊の制服って初めて」

「そっか、ヴィヴィオは普段執務官の黒の制服だもんね、あたしも普段は修道服だけど」

「うん、局に入ったばっかりの頃、フェイトママやティアナさんの補佐で本局の制服着たことはあるんだけど」

楽しく話すヴィヴィオ達を笑顔で見ていたはやてだったが再び扉がノックされるとあわてて姿勢を正す

「あ、どうぞ~」

それに気付いたヴィヴィオたち4人も話をやめ扉のほうへ目を向ける

「失礼します、あ、隊長たちもお揃いでしたか」

入ってきたアルトはヴィヴィオ達を見て敬礼するが

「そんなかしこまらなくていいですよ、アルトさんの方が年上ですし」

ヴィヴィオのその言葉にアルトが目を細めて笑った

「アルトさん?」

「いやぁ、あの小さくて泣き虫だったヴィヴィオが今こうして六課で隊長をやっていると思うと、時間が経つのは早いなぁって」

「もう!アルトさん!泣き虫は余計です!」

「そっか、アルトさんは前の六課の時にもいたからヴィヴィオの小さいころのこと知ってるんだ」

「そうなの、でね、フェイト執務官が転ばないようにと言ったそばから転んで泣きそうになっていたりとか」

「アルトさん!」

幼いころの恥ずかしい思い出をバラされ顔を真っ赤にするヴィヴィオ

それを見た全員が笑い出す

「あ、そうだ、忘れるところだった、ディエチが手放せないから代わりに、報告してもよろしいでしょうか?」

頬を膨らませむくれるヴィヴィオを無視して話を進めるアルト

「どうぞ」

「フォワード陣をはじめとした新生機動六課部隊員とスタッフ、全員揃いました、現在ロビーに集合、待機させています」

「了解、ほんなら恒例のあいさつといこうか」

「「「はいっ」」」

「今はもう泣き虫じゃないもん」

未だにむくれるヴィヴィオをクリスが宥めていた

そんな様子に全員が苦笑いする

 

ディエチやマリエル、アンジュやロイス、カレルとリエラをはじめとした隊員たちのもとへやってくるはやてたち

台座に上がったはやてが集まった隊員たちを見回す

「機動六課課長兼本部隊舎部隊長、八神はやてです」

はやてのあいさつともに隊員たちは一斉に拍手する

「平和と法の守護者、時空管理局の部隊として、事件に立ち向かい人々を守っていくことが、私たちの使命であり、なすべきことです、そのためには私だけでなく、隊長たちやフォワードたち、メカニックやバックヤードスタッフ、全員が一丸となって事件に立ち向かっていくことが必要だと思ってます、どうか皆さんの力を貸してください」

はやてのその言葉に全員から拍手が沸き起こる

「ま、長い挨拶は嫌われるんで、以上、機動六課部隊長、八神はやてでした」

はやてが締めると再び拍手が沸き起こる

「(頑張っていかなあかんな、今度こそ後悔なんかせんように)」

台座から降りるはやては感極まって泣きそうになっていた

 

はやてのあいさつが終わるとフォワード四名に前線隊長四人が歩み寄る

緊張した様子のアンジュにヴィヴィオが声をかける

「来てくれたんだね、嬉しいよ」

「あ、ありがとうございます」

照れながらも礼を返すアンジュ

「私はこれから部隊長と出かけるから、この後の事はコロナに」

ヴィヴィオの言葉と共にコロナが前に出る

「カイザー分隊副隊長、コロナ・ティミルです、六課には航空戦技教導隊からの出向で来ています、みんな、ついてきて」

そう言って移動を始めるコロナにフォワード陣が続いた




おまけ(高町ヴィヴィオ)
ヴィヴィオの主な経歴
Stヒルデ魔法学院中等科卒業
士官学校に2年間在籍、在学中に執務官補考査試験を満点合格
フェイトの補佐を2年、ティアナの補佐を1年務めたのち執務官試験に合格
士官学校、執務官試験共に一発合格だったことに関してフェイトは複雑な心境らしい

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