魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

25 / 26
misson:25 未来に向かって

「それじゃアインハルト隊長、高町ヴィヴィオ隊長、本日より3日間の休暇に入ります」

「アインハルト隊長、行ってきます」

「はい、こちらは任せてください」

休暇初日の朝、礼をしてヴィヴィオと共に歩いていくシルヴィアを見送るアインハルト

「いい子だよね、シルヴィア」

そんなアインハルトの下にコロナがやってきた

「ええ、ヴィヴィオさん、昔の自分よりいい子だなんて言ってましたが」

「実際どうなんだろうね、そう言えば、リオはもう向こうについたのかな?」

 

リオは少々長めの休暇を利用してルーフェンの実家を訪れていた

「ただいまー!」

「リオ!お帰り」

修道服姿のリオをいとこのリンナ・タンドラが出迎える

「しばらく見ない間に立派になっちゃってまあ、その服も似合ってるわよ」

「えへへ、ありがとう、写真は送ったけど実際に着て見せるの初めてだもんね」

「さ、おじいちゃん待ちくたびれてるよ、あ、リオ朝ごはんは?一応用意してるけど」

「朝一で出てきたからお腹ぺこぺこ」

リンナに連れられ奥へと歩くリオ

「どのくらいこっちに居るの?」

「教会にも顔出さなきゃだけど、それは明後日にしたから明日いっぱい居れるよ」

 

「すいませんディエチさん、折角のお休みなのに」

「いいのいいの、車貸してもらってるんだからこのくらいはしないと」

運転するディエチに後部座席のロイスが申し訳なさげに声をかける、助手席にはバスケットを抱えたアンジュの姿も

ちなみにディエチに車を貸したのはヴィヴィオである

「でも、ディエチさんだって予定とか」

「あたしなんて休みの日はお料理ぐらいしかすることないんだし、にしても二人とも仕事熱心だよね、お休みの日まで予定が仕事関係なんて」

アンジュとロイスはそれぞれスバルとチンクに会うためディエチの運転する車で移動していた

本当は個別の予定だったのだが二人とも今日はクイントの墓参りに行くとのことで一緒に会うことにしたのだ

ちなみにロイスがチンクに会う理由ははやてが提案した彼の研修先がチンクの所属する陸士108隊に決まったためだ

 

シルヴィアと共にかつての母校を訪れていたヴィヴィオ

「それじゃあ、ありがとうございました」

「シスターシャッハ、ありがとうございました」

「はい、お疲れさまでした」

挨拶を済ませその場を後にするヴィヴィオとシルヴィア

「シルヴィア、ママの通ってた学校はどうだった?」

「うん、ママ、あそこでお勉強して、強くなったんだよね」

「あー、どうだろう、それもあるんだけど、師匠や友達のおかげ………何より、なのはママのおかげかな?」

シルヴィアの言葉にしばし考え込むヴィヴィオ

そんなヴィヴィオの呟きが聞こえたか聞こえていないのか首を傾げるシルヴィア

「何?シルヴィアは強くなりたいの?」

「うん、いっぱい勉強して、魔法も覚えて、ママよりもーっと、強くなる」

「うわっ、大きく出たね、でもなんだか楽しみ」

シルヴィアを見て幼いころの自分を思い出し苦笑するヴィヴィオ

「さ、次は海上隔離施設、サマーラもきっと待ってるよ」

「うん」

 

アンジュとロイスはチンク、スバルと共にエルセアにあるクイントの墓を後にした

「じゃあこの後は、二人の今後の話し合い、っても場所どうしよう」

伸びをしながら呟くスバル

「母上を救ってくれた礼もしたい、どうだろう、今夜はうちに泊まって、そこで話し合うというのは」

チンクの提案にスバルが手を叩いた

「それいい、そうしなよ、着替えは持ってきてるんでしょ」

「え、ええ一応」

「でも、いいんでしょうか」

「構わないさ、今夜は父上も帰ってくるそうだし、久々ににぎやかな食卓になりそうだ」

「あたしも気合入れよ、でも珍しいよね」

ディエチの言葉に全員が首をかしげる

「いや、チンク姉がそういうこといい出すの、いつもなら真っ先にスバルがいいそうなのに」

「あ、確かに」

笑いながらディエチの言葉に賛同するスバル

チンクはわずかに笑みを零すと

「それだけ姉もテンションが上がっているのかもしれないな」

とだけ言って一人先を歩いていく

残された一同は首を傾げながらも苦笑して彼女に続いた

 

「こちらからは以上です」

「了解や、ありがとうな、フェイト執務官」

自室でフェイトと通信していたはやて、今回の事件の事後処理について話し合っているところだった

「そう言えばはやて、ヴィクトーリア執務官はなんて?」

「ん?似たようなもんや、ただ今回の事件、あの子らには随分助けてもろたのは事実や、いくら感謝しても足らへん」

「ヴィヴィオ達、元チームナカジマのみんなにもね」

「もちろん忘れてへんよ、あの子たちの赴任期間終わったら食事にでも誘ってお礼するわ」

そう言って眠気覚ましのコーヒーを飲むはやて

「フェイトちゃん達にも結局助けてもろて………」

「私もなのはも気にしてないよ、大丈夫」

すると突然来客を告げるブザーが鳴った

「あ、はい、ほなフェイトちゃん、また今度な」

通信を切って扉をあけると狼姿のザフィーラが入ってきた

「ザフィーラ!わざわざ来てくれたんか?」

「チンクが不在でしたので、代わりに事後処理の書類を届けに」

「ありがとうな、そのかばんの中やろ」

そう言ってはやては席を立ってザフィーラの胴に巻いてあったカバンから封筒を取り出す

「何か、悩みごとですか?」

「ん、そう見えるか?」

「いえ、気のせいならいいのですが」

ザフィーラがそういうとはやては彼に抱きついた

「あぁ、この感じ久々や、なぁ、しばらくこうしててええか?」

「急ぎの案件もありません、どうぞ、気のすむまで」

 

「そうか、じゃあお前達は来週から休みなんだな」

その日の仕事を終えたカレルとリエラはクロノと通信で話していた

「予定の方はどうなっているんだ?」

「まだ先なんだけど、一応海鳴の実家に行こうかと」

「お母さんにも今回のことを報告したいし」

「そのことをキャロ姉に話したら、予定を合わせてくれるって」

「僕もそうするか」

「「え!?」」

突然のクロノの言葉に驚く二人

「なんだその反応は、僕だって家族サービスに努めることぐらいある、それに………」

そう言ってクロノはリエラに視線を向ける

「補助機能があるからと言ってエターナル・コフィンはそう簡単に使える魔法じゃない、リエラ、お前ももう一人前の魔導師だ、娘が夢を叶えたお祝いくらいしたって、バチは当たらないだろう」

魔法の才能に恵まれず悩んでいたリエラが初めて認められた

その事実に本人は涙を流した

「何かリクエストがあれば聞くぞ」

「うん………お父さん、ありがとう」

 

「「「「ごちそうさまでしたー」」」」

高町家では四人そろっての夕食を終え全員が手を合わせた

「ふぅ、もうお腹いっぱい」

「私も~」

「ママ、私眠くなっちゃった」

そう言ってシルヴィアがヴィヴィオの袖を引っ張る

「じゃ、ママと一緒に寝ようか」

そう言って寝ぼけ眼のシルヴィアを抱えて席を立つヴィヴィオ

「ほら、なのはママとフェイトママにお休みなさいして」

「うん、なのはママ、フェイトママ、お休みなさい」

「はい、お休みなさい」

「明日は一緒に遊ぼうね」

フェイトの言葉にうなづくとヴィヴィオに連れられリビングを後にするシルヴィア

「ふぅ、それにしてもヴィヴィオが養子を引き取ってくるなんてね」

「ヴィヴィオもそれだけ大人になったってことだよ、なのはももうおばあちゃんだね」

「ちょ、私まだそんな年じゃないって」

フェイトの言葉にむくれるなのは、フェイトはそんななのはの反応を見てくすくす笑う

「でも、まんざらじゃないでしょ、今日だっていきなりシルヴィアに飛びついて」

「驚かせちゃったことは反省してまーす」

そう言って机に突っ伏すなのは、そのあとシルヴィアを宥めるのは大変だったそう

 

「(なのはママ)」

夕食の片づけを終え自室へ向かう途中、ヴィヴィオがなのはに念話で語りかけた

「(あ、ヴィヴィオ、なーに?いきなり念話なんて、シルヴィアは?)」

「(もう寝ちゃった、今お話して平気?)」

ヴィヴィオの問いかけになのはは苦笑すると

「(いいよ、何か用事?)」

「(ちょっとね、今日、学校見学に行って、昔ママと一緒に行った時の事思い出したの)」

「(ヴィヴィオ、あの時私を守れるくらい強くなるって話してくれたっけ)」

「(覚えてる、その思いは今でも変わらないよ、私が執務官になったのはそのためだもん)」

ヴィヴィオのその言葉に首をかしげるなのは

「(ヴィヴィオが執務官になった理由?適性を生かしたいからとか、事件や事故で哀しい思いを生まない為とかじゃなくて?)」

「(もちろんそれもあるけど………今まで内緒にしてたんだけどね、一番はなのはママに大好きな教導の現場にいてほしいから、なのはママが危険な現場に出なくて済むようにって)」

ヴィヴィオのその言葉を聞いたなのはは目を見開き再び笑った

「(そっか、ヴィヴィオいろいろ考えてくれてたんだ)」

「(ねぇ、なのはママ、今幸せ?)」

「(すっごく、よしヴィヴィオ、今日は久しぶりに一緒に寝ようか)」

「(だめ、今入ってきたらシルヴィアが起きちゃう)」

テンションのあがったなのはをため息零しながら宥めるヴィヴィオであった

 

それから日が経ち

「八神部隊長、セイクリッド隊、3日間の休暇を終え、ただ今戻りました」

「うん、お疲れさま」

「あ、ヴィヴィオ、これ、お休みの間のお仕事ファイルね」

「あ、ディエチさん、ありがとうございます」

データを受け取ったヴィヴィオは目を通す

「うん、訓練前にちゃっちゃと片付けちゃおうか、クリス、手伝って」

そう言ってクリスと共に部隊長室を後にしようとするヴィヴィオだったが

「そう言えばアンジュ、進路のことずいぶん悩んでいたみたいだけど」

振り返って問いかけるヴィヴィオの言葉にアンジュは笑顔で構えた

「大丈夫です、私もう決めました」

「そっか、じゃ、後でたっぷりお話聞かせてね」

そう言って今度こそ部隊長室を後にするヴィヴィオ

「カレルとリエラの進路も決まっとるし、なんかもういよいよ終わりが近い感じやな」

そう言って窓に寄りかかるはやて

「部隊長たちはここに残られるんですよね?」

ロイスの言葉にはやては笑顔を見せる

「せやね、私自身は煮え切らん結果に終わってまったけど、皆は立派に育ってくれた」




おまけ(フォワード一同)
機動六課での日々を思い返して
「あれ?ロイス?」
「どこか怪我でもしたんですか、医務室から出てきて」
「いや、さっきの訓練で差し歯が………」
「差し歯?それってもしかして」
「前に隊長に殴られたところ、今となっては立派な勲章さ」
「私も、お父さんに認めてもらえて、自分の道を見つけることが出来て」
「離れ離れにはなっちゃうけどね」
「え?二人は配属バラバラなの?」
「カレルは次元航行部隊、わたしはお父さんの紹介で本局に」
「アンジュはどうするんですか」
「私も………今回のことで変わることが出来たと思うの、だから………」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。