魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:21 動き出した野望

サマーラが一人廊下を歩いていた

やがて広い場所にやってくるとそこに収容されている巨大な物体を見上げた

「来たか」

「モーガン」

そんな彼女に歩み寄るモーガン・ヴォクスター

「あんたから渡されたこれ、一体何なの?」

そう言って右腕につけた腕輪がモーガンに見えるよう腕を突き出すサマーラ

「すぐにわかるさ、すでに計画は最終段階へと移っている」

その言葉を聞いてサマーラは俯く

「そうか、これでようやく………マスターはどこに」

サマーラの問いかけにモーガンは巨大な物体の足もとを指差した

そこには彼女のマスターである少女の姿が

「なんであんなところに?」

「これからプルートとの同期を始める、プルートのコントロールシステムと一体化させねば起動は出来ないのでな」

モーガンのその言葉にサマーラは目を見開いた

「ちょっと待てよ!コントロールシステムと一体化って………そのあとマスターはどうなる!あたしとの約束は!」

「そうか、お前は知らなかったな、あいつは………」

モーガンの言葉を聞いたサマーラは腕を震わせる

「そう言わけだ、お前にもまだ利用価値はある、もうしばらく働いてもらう」

「モーガン!」

サマーラが勢いよくモーガンに飛びかかるが

「守護獣風情が」

モーガンが指を鳴らすと同時にサマーラの腕輪から電流が走る

「なっ!これっ!くそっ!外れないっ!」

必死に抵抗を試みるサマーラだがやがて意識が薄れていきその場に倒れた

「マスター………」

 

ミッドチルダ北部の森の中で一人立っていたチンクの下にセイン達が走ってくる

「ごめんチンク姉、遅くなった」

「構わんよ、よく来てくれたな」

「この下ですか?」

そう言ってオットーがが自身が立ってる地面を足先で軽く叩く

「ああ、ようやくつかんだ足取りだ、だが内部の詳細は不明で確信もない」

「で、あたしに調べてこいと、チンク姉も人使いが荒いねぇ」

チンクの言葉を続けながら十字架のペンダントを首にかけるセイン

「すまんな、だがこういうのはお前の得意分野だろう?」

「まあね、それじゃ、ちょっくら見て来ますか」

「このあたりは先史時代グレゴール・ヴォクスターの収めていた区域だ、十分に気をつけろ」

「了解」

そう言ってセインは自身の能力、ディープダイバーで地面にもぐりこんだ

「頼んだぞ、セイン」

地面にもぐりこんだセインはすぐさま通路のようなスペースに出た

「どうやら間違いないみたいだね、チンク姉、聞こえる?」

 

「ああ、こっちでも動きがあったよ、どうやらここで間違いなかったようだな」

セインからの通信を受けたチンク達の周囲を多数の傀儡兵が取り囲んでいた

すると突然辺りに振動が響き渡る

「まさか!」

周囲を警戒していると少し離れた地点から巨大な生物兵器が姿を現した

「魔導兵器プルート………すでに動き出していたか」

 

プルートが動き出したことで六課の面々も大急ぎで準備していた

「よし、すぐに出れるよ」

バイクを整備していたリオは確認を終え一緒にいたコロナに声をかける

「こっちも準備OKです!」

もう一台の赤いバイクを引っ張ってきたのはラグナだった、そばにはエルスの姿もある

「飛行許可も下りた、すぐ行ける」

ファビアも自身のデバイス、魔女箒のヘルゲイナーを持ち準備万端だ

 

「ラグナさんも戦闘魔導師だったんですね」

前線メンバーのほとんどが参加するブリーフィングだが

リオとコロナ、ラグナとエルスはバイク、ファビアは飛んで一足早く現場に向かう

「副隊長と通信士組はこのままチンク達と合流や」

「僕達は、直接プルートと対峙することになるんですね」

ロイスの言葉にはやては重々しく頷いた

「プルートもそうやけど、もう一つ問題が………」

そういってはやてが映し出した画面に映っていたのは

「霊魂兵器たち………ですね」

「せや、この子たちもある意味ではモーガンの被害者、出来ることなら救ってあげたい」

プルートの周囲を移動する霊魂兵器たち、リニスやドゥーエ、クイントの姿だった

「みんなの任務は霊魂兵器とプルートの進軍を阻止すること、それだけや」

 

出撃のためヘリポートへ向かう道中

「私とヴィヴィオさんは直接プルートを叩きます、皆さんは霊魂兵器と傀儡兵器を」

「そっちの指揮はディエチさんが執ってくれるから」

「「「「はいっ」」」」

ヴィヴィオの言葉に力強く答えるフォワード達

「ヴィヴィオ達や私のリミッターもすぐ外せるって、万全の状態で行けるよ」

「広範囲攻撃は僕の独壇場、周りの傀儡は任せてもらうよ」

 

傀儡兵器と交戦していたチンク、オットー、ディード

するとバイクに乗ったリオたちがやってきた

一行はバイクを降りるとすぐに臨戦態勢に入る

「クーゲルライフト!」

ラグナが拳銃型デバイスを構えるとすぐさま傀儡兵器に向かって発砲する

カードリッジを使いきり交換している間に傀儡兵器が迫るが

「パニッシャー!」

ラグナの前に出たエルスがすかさず拘束して彼女への攻撃を阻止した

這え 穢れの地に(グラビティブレス)

ファビアの重力発生魔法で多数の傀儡兵器が動きを止める

数体の傀儡兵器がそれをかいくぐり襲い掛かる

次の瞬間バリアジャケットを纏ったオットーとディードが傀儡兵器を薙ぎ払った

「チンク姉様、ここは我々が」

「わかった、今のうちに突入するぞ」

チンクの合図と共に彼女達の足もとで小さな爆発が発生し地下の空洞へと落下する

 

一方一足早く突入したセインは基地内部を探索していた

「どっかにプルートをコントロールしてるやつがいるはずだけど………」

次の瞬間彼女に向かって魔力弾が降り注ぐ

煙が晴れた後には肩と腰に防具がついただけのシンプルなバリアジャケットを纏ったセインの姿が

「いきなりご挨拶じゃん………ん?」

魔法弾を放った相手………サマーラを見て異変に気付くセイン

「こいつまさか操られて………でもなんで」

 

リニス達と傀儡兵器を伴い移動していたプルート

次の瞬間砲撃がそのプルートに直撃する

だがプルートは全く意に介さず移動を続けていた

「やっぱり駄目か」

砲撃を放ったディエチが呟いた

次の瞬間彼女に向かって飛びかかってくる影が

「やっぱそう来るよね」

それを確認したディエチがすぐさまその場を離脱する

 

プルートの少し後方を移動していたリニスとクイントに向かって走る光

カレルがリニスを掴んでそのまま離れていく

更にリエラがその後を追う

リエラを止めようとクイントが襲い掛かるが

「させない!」

アンジュがその拳を受け止める

 

「傀儡兵器たちは任せろ!リヴァイアス!フルドライブ!」

大漁の傀儡兵器たちを前にロイスがサードモードを開放、更に装甲は薄くなり彼の周りに水が渦巻いている

「ポセイドンウェーブ!」

動けない傀儡兵器に大量の水が襲い掛かる

「どんどん来い!いくら来ようと僕がすべて洗い流してやる!」

 

「ユーノ司書長、プルートのデータの方はどうですか」

プルート本体の下へ向かったヴィヴィオはアインハルトと共にユーノと通信していた

「まだまだ少ないね、ただ仕組みとしては聖王のゆりかごに似てる、鍵となる人間がコアと一体化することで動くらしい」

「聖王のゆりかご………あまり思い出したくない名前ですね」

その名前を聞いたヴィヴィオとアインハルトは拳を握る

「だから、鍵になってる人間をコアから分離できればプルートを止められるかもしれない」

「わかりました、ひと先ずその方針で動いてみます、ヴィヴィオさん」

「了解!探査魔法でコアの位置を探ればいいんですよね、クリス」

アインハルトが呼びかけるとヴィヴィオは探査魔法でプルートをスキャンする

「見つけた!クリス!内部スキャンお願い!」

ヴィヴィオの指示を受けクリスがプルート内部のスキャンを開始

すぐにコアの映像が出てきた

「えっ!?」

「子供!?」

サマーラのマスターである小さな少女がコアと同化しているのを見て驚く一同

「ひどいことを………」

ヴィヴィオはそう呟いて拳を握った

 

リニスの魔法弾がカレルに降り注ぐ

「アイギス!」

割って入ったリエラが防御魔法でそれを防ぐ

「取り戻すんだ………フェイト姉が大好きだった優しいリニスを」

グラディウスを構えたカレルは魔法弾を凌ぐと斬撃のエネルギーをリニスに向かって放つ

「フォトン“ランサー”!」

尊敬するフェイトから教わった魔法、その魔法を元々フェイトに教えたのはリニスだ

カレルはその魔法でリニスの心に語りかけようとしていた

 

ドゥーエの攻撃を受け倒れ込むディエチだったが

「IS ヘヴィバレル」

その言葉と同時にディエチの瞳が黄色に変わる

再度彼女にドゥーエが爪を振るう、ディエチはそれをかわすとすかさずカノンを構える

「シュート!」

砲撃がドゥーエに向かって放たれるが容易くかわされる

素早く跳躍したドゥーエはディエチに迫る

「つらいよね、ドゥーエ姉」

ドゥーエの攻撃をカノンで受け止めながらディエチが呟く

「こんな形でなんて会いたくなかった、ドゥーエ姉だってきっと悲しいんだ」

シューターでドゥーエをひきはがしながら涙を流すディエチ

「だから」

ディエチがカノンに手を添えると弾帯のように連なったカードリッジが現れる

「vulcan Smasher」

カードリッジの炸裂と共に続けざまに魔法弾がカノンから放たれる

 

「その悲しみを我々が断ち切る」

スティンガーを手にチンクが目の前の相手………ゼスト・グランガイツを見据えた

リオとコロナもそれに合わせて身構えた

 

クイントの蹴りを受け大きく吹っ飛ぶアンジュ

追撃しようとしたクイントの攻撃を拳で受け止める

「行くよ、ブリュンヒルデ、フルドライブ」

「Sacred form」

アンジュの体が光に包まれる




おまけ(オットー&ディード)
保護観察期間を終えた際お祝いとして専用のデバイスをプレゼントしてもらった
ディードはアームドデバイスのツインブレイズ
オットーはブーストデバイスのレイストーム
ディードは髪型を変えリオからもらったリボンを使い髪を後ろで束ねている
オットーも少し髪を伸ばし軽くゴムでとめている
髪型を変えても中性的なまま
リオが教会入りして以降彼女にルーフェンの格闘術を教えてもらった
そのため二人のバリアジャケットはルーフェンの武術衣装(地球でいうカンフースーツ)に近い

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