魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:20 二人のストライカー

ヴィヴィオの攻撃をバリアで防ぐなのは

「ヴィヴィオ、本当に強くなったね、でも………」

「Accel Shooter」

何とかヴィヴィオの体勢を崩すとそのまま魔力弾で反撃する

「私も母親として、負けるわけにはいかないの」

なのはの攻撃を防ぎ切れず空中に投げ出されるヴィヴィオ

すかさずなのはが砲撃の体勢に入る

「ストライクスターズ!」

なのはの砲撃がヴィヴィオを飲み込む、砲撃を終えたなのはがヴィヴィオの方を見る

「悔しい~!また差が開いてる~!」

瓦礫の中でごねるヴィヴィオ

だが、だからこそまた追いつく楽しみが出来たというもの

「なのはさん!ヴィータ教官やられちゃいました」

「え~?さっき回復したばっかりだよね」

「アンジュさんの勢いが凄いみたいです、それで他の皆の士気まで上がってギンガさんとエリオ君も苦戦してるみたいで」

「じゃ、流れをこっちに持ってこようか」

そう言ってなのはがレイジングハートを構えると魔力が集まり始める

「ブラスター1」

 

「こっちも行くわよ!」

ティアナがクロスミラージュを構え同様に魔力を集める

「カノン!奥の手で対抗するよ!」

「yes」

それを見たディエチがカノンを構える

「「スターライト………」」

「スマッシュカノン、モード………」

「「ブレイカー!」」

ディエチの声はなのはとティアナの集束砲撃の爆音に遮られた

爆発に包まれる陸戦場

「相変わらずおっかねぇ、皆どうなったかな」

それを見て思わずぼやくノーヴェだったが思考を切り替えモニターを見てみる

抵抗を試みていたディエチだったが勢いに負け壁に激突したらしく気を失っていた、戦闘不能になっている

「もぉ、ディエチったらいったい何したのよ」

だがそのディエチの反撃でティアナも戦闘不能になっていた

「誰かディエチの反撃見えたやついるか?」

ノーヴェの問いかけに全員が首を横に振る

一方ギンガとエリオはカレル、ロイスによって戦闘不能にされていた

だがこの2人と戦うのに精いっぱいだったカレルとロイスは哀れな事になのはのブレイカーの直撃を受け戦闘不能になっていた

アインハルトもフェイトを倒すことに成功するもブレイカーを回避しきれず戦闘不能

「さっきヴィヴィオとヴィータ教官がダウンしてたから後は………」

なのはは生き残ってはいるものの直前までのヴィヴィオとの戦闘でかなり消耗している

「There is a coming reaction approaching at high speed(高速で近づいてくる反応があります)」

そんな彼女にレイジングハートが呼びかける

見ると壁を疾走するアンジュの姿

「アクセルシューター」

必死に抵抗するなのはだがアンジュのスピードが速すぎてあたらない

「アクセルスマーッシュ!」

壁から飛び上がったアンジュがそのままなのはに攻撃を当てる

それによってなのはのライフがゼロとなる

「リボルバー………」

だが空中に取り残されたアンジュに近づく影が

「シュート!」

スバルの放った衝撃波で吹っ飛ばされるアンジュ、何とか着地してスバルを見据えた

スバルはブレイカーの直前に退避していたため到着が遅れた様子

アンジュの方はリエラの防御魔法に守られていたため何とか生き残った

そのリエラも防ぎ切れず戦闘不能になっているが

「これで元祖六課が一歩優勢」

「いえ、キャロちゃんは一対一には向いてない」

「スバルが倒れればアンジュを止める手立てはない、新生六課チームの勝ちだ」

 

「全力で行くよ」

「望むところです」

リボルバーナックルの装着された腕を構えアンジュを見据えるスバル

「ギア………エクセリオン!」

スバルの声と共にマッハキャリバーに魔力翼が展開される

 

「マジで全力じゃないッスか、容赦ないッスねぇスバルは」

「違うな」

ウェンディの言葉をチンクが制する

「その位しないと今のアンジュは倒せない」

 

二人の格闘魔導師が激突する

「(すごいや、アンジュ、いっぱい頑張ったんだね、この戦いだけでもわかるよ………けど)」

アンジュの勝負をかけた一撃をスバルの拳が跳ね返す

「ごめんね、あたしも先輩として、負けられないんだ」

バランスを崩し転倒するアンジュの眼に砲撃を構えるスバルの姿が

「ディバイン………」

今アンジュの体は完全に無防備になってしまっている、抵抗するすべはもはや残っていなかった

「バスタァー!」

スバルの砲撃を受け吹っ飛ばされるアンジュの体

倒れたアンジュは必死に立ち上がろうとするも、やがて力尽きその場に倒れてしまった

「試合終了~!今回は元祖六課チームの勝ちやね」

 

「あーあ、負けちゃった」

試合を終え集まる一同

「ヴィヴィオも強くなってるよ、大丈夫」

「私もまだまだでしたね、もっと鍛えていかなければ」

「ディエチ大丈夫ッスか?」

「ちょっとふらふらするけど平気」

「今回はしてやられたわ」

それぞれ感想を語り合ってる中、フォワード陣は負けた悔しさから重苦しい雰囲気だった

特にアンジュは責任を感じている様子

ついには泣き出してしまった

「私がもっとしっかりしていれば………ごめん、本当にごめん」

「ううん、私のサポートが」

「ずっと足踏みしてた僕にだって責任が」

「あの~、ちょっと言い辛いんだけど」

そんなフォワード達にリオが声をかける

「もしかして皆、負けたらそこで終わり、とか思ってないよね?」

「結果を見る試験じゃなくて、内容を見る試験だったんだけど」

コロナの言葉にフォワード陣が目を見開く

言われてみれば勝ったら合格、など一度も言われていない

「むしろエース揃いの元祖六課を相手にあそこまでやったんだし、評価は低くないと思うけど………」

そういいながらコロナは横目ではやてを見る

「ほな、ここは相手側の判断に任せよか」

そう言ってはやてはなのはに話を振るが

「だって、スバル」

「えええっ!?私ですか!?だって、こういうのはなのはさんが」

「だって私やられちゃったし、スバルに任せるよ」

なのはの言葉にフォワード達はスバルに注目する

「うーん、じゃあ、いいかな、みんな頑張ってたし、合格ってことで」

「いいんじゃない?実際いいところまでいったんだし」

「じゃあ」

スバルの言葉と共に一斉に沸くフォワード陣

特にアンジュは喜びのあまりまた泣き出してしまった

 

その後、残ったメンバーも加えて模擬戦などを行い

午後にはモード3を使いこなすための個別トレーニング

そのすべてを終えるころには

「う~」

「もうだめ~」

全員ロビーで倒れ伏していた

「あはは、みんな大丈夫?」

「明日動けるかちょっと心配です」

リオに声をかけられソファで眠りながらロイスが力なく答える

「今なのはさんとディエチさんが疲労抜き用の特製ドリンク作ってくれてるから」

「5人分、きっちり用意してくれるそうなので」

「え?5人って………」

「今頃体力使い果たしてるであろうあいつの分だ」

ノーヴェの言葉に首をかしげるフォワード達だったがよく見ると一人足りない………

 

「う~」

自身に充てられた部屋のベッドで体力を使い果たし青い顔で突っ伏すヴィヴィオ

クリスが小さな体で必死にその背中をさすっていた

すると突然部屋の戸がノックされる

「あ、はい、どうぞ」

ヴィヴィオの返事を聞いてはやてとチンクが部屋へ入ってきた

「少しいいか?」

「この姿勢のままでいいんなら」

「まあヴィヴィオもお疲れやしええやろ、さっき連絡があってな、捜査に進展があった」

そう言ってはやてが指を鳴らすと一人の老人の写真が表示される

「モーガン・ヴォクスター、おそらくはこの男が今回の事件の主犯、抹消されていた魔導実験事故の記録の中にこの男の名前があった、八年前から行方不明だそうだがな」

「名前的にもグレゴール・ヴォクスターの末裔っぽいですね、スカリエッティが言ってたのこの人かぁ、んしょっと」

チンクの言葉に何とか起き上がりながらヴィヴィオがモーガンの写真を見る

「この人の目的については何かわかってるんですか?」

「古代遺失物を集める理由に関してはまだ………だが、それとは別にもう一つ分かったことがある」

 

「これが………」

「はい、霊王が用いていた禁忌兵器、魔導兵器プルート」

同じ頃聖王教会ではカリムがユーノから問題の兵器について連絡を受けていた

「大地から生命力を吸い取ってしまう禁断の兵器、古代ベルカ戦争時代にグレゴール・ヴォクスター自ら使役したとされていて、無差別に破壊を繰り返す」

「当然といえば当然ですが、聞いててあまりいい印象はしないですね、他に何か?」

シャッハの問いかけにユーノは困ったような表情を見せる

「それが資料があまりにも少なくて、ただ」

「ただ?」

「気になることが一つ、プルートが起動してしばらくして、グレゴール・ヴォクスターが戦争中に命を落としているんだけど、その辺りの記録がどうも曖昧で」

グレゴール・ヴォクスターの不審死と共に彼の収めた国も滅んでいる

だがその理由がいくら調べてもわからないのだ

「時期的にはどのあたりなのかしら?」

「聖王戦争の末期、具体的にはゆりかごが起動するちょっと前」

「気になりますね………」

 

薄暗い部屋の中で咳き込むモーガン・ヴォクスター

やがてそれが収まるとそばにあった写真のようなものを見つめた

「もうすぐですよ………貴方からすべてを奪ったこの世界、私が壊して見せます、そうしたら私もあなたのいる場所へ………」

写真を手に取ったモーガンはそう呟くと

「管理局………貴様らにとっては陳腐なことだったろう………だが」

モーガンはかつて勤務したある企業での事を思い出していた

「お疲れさまです」

仕事を終え帰っていく女性を見送る若き日のモーガン

「私にとっては………ずっと」

手を振って笑い返す女性を見て若き日のモーガンは顔を赤くしていた




おまけ(スバル・ナカジマ)
エクリプス事件後正式にトーマを家族として迎え入れる
2年ほど前に防災指令昇進の話が出たが
指示よりも現場に居たいということで断っている
休日はイクスや姉妹を自宅に招いたり一緒に出掛けたりしている
トーマが仕事柄なかなか帰ってこないので寂しがっている

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