魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:17 最終試練

「とりあえず今日はここまで」

「あ、ありがとうございました………」

フォワード達が4人まとめて地面に倒れ伏していた

「みんな大丈夫?」

そんな彼女たちをリオが覗き込む

「し、しばらく休めば大丈夫だと………」

 

テラスの水飲み場で頭から水を被るアンジュ

「しかし、やっぱり隊長たちはすごいな、コロナ副隊長、あんな大型のゴーレムを2体も同時に操作するなんて」

「あ、本気になればもう一体出せるって聞いた」

「えっ!?」

リエラの言葉に青い顔になるロイス

「よぉ、大丈夫かお前ら」

「あ、ヴィータ教導官」

丁度そこへヴィータがやってきて全員を見回すと

「なんだ、おまえらみんな練習着ボロボロじゃねえか」

「え、ええまぁ」

「今日は特に」

「後で持ってこいよ、繕っといてやるから、で、どうだ、あいつらと訓練してて」

ヴィータの問いかけに全員が肩を落とす

「今日の訓練でつくづく思い知りました、ヴィヴィ隊長やアインハルト隊長はもちろん、リオ副隊長の剣技、コロナ副隊長の大型のゴーレムを複数操作できる魔力と集中力」

「ま、ヴィヴィオとアインハルトは特にだな、リオも元々道場の出身だし、コロナも総合で教導隊入りしてるのなんてあいつぐらいだし、教導隊は空戦ランクがほとんどだからな」

「あれ?コロナ副隊長総合で取ってるんですっけ?」

「あ、お前らコロナが空戦も出来ること知らないんだっけか?まあでも明日になったら見られるかもな」

「アンジュさんは嬉しいんじゃない?ヴィヴィオさんの格闘技見たがってたし、スパーまで出来て」

「あっさり負けちゃいましたけど、とても引退したなんて思えないくらいで」

アンジュの言葉に水を飲んでいたヴィータは口元を拭うと

「そりゃあ当然だって、なんせ」

 

森の中で乾いた音が数回響く

ノーヴェが見守る中ヴィヴィオとアインハルトがスパーリングをしていた

だが次の瞬間アインハルトがヴィヴィオの拳をはじいてその喉元に拳を突き付けた

「よし、そこまで」

立会いをしていたノーヴェの声と共にティオとクリスも二人の中から出てくる

「あ~、やっぱもう格闘技だけだとアインハルトさんには敵わないや」

「そんなことはありません、こちらも必死でしたし」

「引退前の頃より背も伸びたし、細かい技術なんかを会得すれば戦えないわけじゃないからな、元々カウンターヒッターっていうのは技巧派のスタイルだし、見たところキレも悪くはない」

ノーヴェの投げたタオルを受け取り汗を拭うヴィヴィオ

「えへへ、忙しいけど合間を見て基礎トレーニングは続けてたんだ」

「立派なこった、そういえばヴィヴィオ、お前またフォーム変えたか?」

「うん、前のフォームに近くなったんだ」

「16歳の時にひじを痛めてフォームを矯正したんでしたね、あの後大変そうでしたけど」

「今度のフォームは今まで一番しっくりくるかな」

「けど、六課に入って以降はトレーニングの時間見つけるのも大変だろ、ディエチからもすっげぇ忙しいって聞いてるし」

「六課にいる間も自由待機の時など私たちとスパーをしていたので」

「成程な、うちの馬鹿にも見習ってほしいぜ」

 

なのはたちと共にトレーニングしていたウェンディが大の字で息を切らしながら空を見上げる

「き、きついっす」

「Check the extreme fatigue throughout the body(全身に極度の疲労を確認)」

ウェンディの言葉に彼女の首に掛けられた姉妹たちと同型のデバイスが点滅する

「私も疲れました」

「疲労状態を確認、ウェンディ・ナカジマ氏と比べ体力低下率-20%、残存体力値に問題なし、ウェンディ・ナカジマ氏の体力値に問題あり」

「勝手に比べんなッス」

リリィの傍らを浮遊していた本、銀十字の書の行動に青筋を立てるウェンディ

「時間もいい感じだし今日はもう上がりにしちゃおうか」

「みんなに明日の事を伝えなきゃ」

 

「模擬戦!?しかも高町教導官達と!?」

「あ、なのはで構わないよ」

汗を流し温泉に浸かっていたアンジュ達だったが翌日の事を聞き驚きの声を上げた

「そ、訓練の最終段階、元祖機動六課メンバーとの陸戦試合、この内容次第で次のステップに進むか決まるから」

「(この人たちに勝たなきゃ………次に進めない)」

コロナの言葉を受け拳を握るアンジュ

「頑張ろうね、ギン姉」

「え?」

スバルに声を掛けられ驚くギンガ

「ギンガも出たら元祖六課の方が一人多くなっちゃうわよ」

「だってギン姉だって前の六課で一緒だったんだし仲間外れに出来ないよ」

マリーの指摘に腕を振るスバル

「せやけどただでさえ実力や経験の違う相手に人数で下回るのはなぁ、そりゃリミッターで最大出力は制限するけど」

「う~………あ!だったら、新生六課にももう一人いればいいんですよね」

「もう一人………ってもしかして」

ティアナの言葉と共に全員の視線が一か所に集まる

「~………ん?どうしたのみんな」

鼻歌交じりに腕を伸ばしていたディエチだったが自分に視線が集中していたことに気付き首をかしげる

 

「というわけでディエチにも出てほしいんだけど………駄目かな?」

ディエチはあまり好戦的ではなくどちらかと言えば穏やかな性格だ

進んで模擬戦に参加するとはとても思えないのでスバル以外の一同は無理だと考えていたが

「いいよ、ちょうど試したいことあるし」

「ええっ!?」

ディエチがあっさりOKしたことで驚愕の声が上がる

 

一同が温泉から上がって夜食に向かうと

「お待ちしておりました」

ディードの姿があった、隣にもう一人紳士服に身を包んだ青年の姿

「ディード!それにオットーも」

「模擬戦の時に結界を張ってもらおうおもてな、教会に連絡しておいたんよ」

「まだまだ未熟な身ですがお役に立てれば幸いです」

「さ、もう準備は出来ていますから皆さんどうぞ」

ディードの言葉に全員が食堂へ向かう中、オオカミ姿のザフィーラが周囲を見回していた

「ザフィーラどうしたの?」

「いや、シグナムとアギトの姿が見えないと思ってな」

シャマルの問いかけにザフィーラがそう答えると全員が一斉に辺りを見回した

「本当だ、いない」

「あ、多分まだ温泉やね、シグナムお風呂好きさんやから、すぐ連れてくから皆は先行っといてな」

そう言ってまだ温泉にいるであろうシグナムに念話で呼び掛けるはやて

 

翌朝、まだ日が昇ったばかりの早い時間からアンジュは一人自主トレをしていた

素振りを終え一息ついていると

「気合入ってるね、今日の模擬戦?」

「あっ!あの………」

スバルとトーマに見られていたことに気付いたアンジュはもともとの性格もあってか縮こまってしまう

「そんなに緊張しなくていいよ、ところで、何か悩んでるのかな?」

スバルのその言葉にアンジュは目を見開いて俯いた

「わかりますか?」

「うん、私も格闘型だし動き見たら何となく、よかったら聞かせてくれないかな」

スバルの言葉にアンジュは座り込んで自らの手を見つめた

「怖いんです、自分の力が、使いこなせる自信がなくて………」

アンジュの眼が変わったあの時、彼女は力に振り回された、その話を聞いてスバルとトーマは苦笑していた

「何となくだけど、君の気持ちわかるよ、俺達も似たようなもんだからさ」

「えっ?」

「トーマもちょっと面倒な力持っててね、最初は大変だったんだよ、暴走したら見境ないし」

「スゥちゃんの方は………もうディー姉から聞いてるよね?」

「あっ………じゃあ」

ディエチから聞いた話を思い出しスバルを見るアンジュ

「うん、あたしも戦闘機人、ディエチ達とはちょっと違うんだけど」

そう言ってアンジュの隣に腰掛けるスバル

「でもね、兵器と作られたこの力も、今じゃ救助の役に立ってるし、トーマだって」

「あ、まぁね、スゥちゃんと比べたらまだまだだけど」

スバルとトーマの話を聞いて考える様子を見せるアンジュ

「何か私たち似てるよね、あたしもね、小さいころ空港で事故にあって、その時助けてくれたなのはさんに憧れて局の魔導師になったの」

スバルのその言葉にアンジュは伏せていた顔を上げた

スバルの話は幼いころインターミドルの映像で見たヴィヴィオに憧れ格闘技をはじめ局に入ったアンジュと確かに似ている

「だからかな?アンジュの気持ちはよくわかるし、根拠はないんだけど、きっと大丈夫な気がする」

 

やがて朝食を終え模擬戦が始まる

「オットー、結界お願いや」

「はい、レイストーム、出番だ」

「Yes sir」

グローブ型のデバイス、レイストームにオットーが指示を出すと一瞬で結界が張られる

 

「というわけで、安全のため周囲には結界が張ってあるけど、うっかり破壊したりしないよう注意してください、ルールはDSAAのものに準拠、ハンデとして元祖六課チームにはリミッターによる出力制限を施します」

立会人のノーヴェの説明が終わり両チームが愛機を構える

「それじゃあ元祖六課、先輩の意地を見せちゃおうか」

「なんの、なのはママ達にだって負けないよ」

親子そろって仲間達に鼓舞をする

そして全員が同時に愛機を掲げた

「「「「「「「「「「「「セーット!アーップ!」」」」」」」」」」」」

全員がバリアジャケットを身にまとい作戦会議が始まった

「前半はとにかく自分の相手に集中、チャンスを待って一気に叩くよ」

なのはたち元祖六課が作戦を立てる一方

 

「あの………お願いがあるんですけど」

新生六課の一同は普段内気なアンジュが自分から意見を言いだしたことに驚いていた

 

「そんじゃ」

「試合開始ですー!」

リインの言葉と共にアギトが信号弾を打ち上げた

「「ウイングロード!」」

スバルとギンガが拳を地面にたたきつけると魔力の道がフィールド内に張り巡らされた

そのまま二人は自ら作った道に乗って進んでいく

すると正面から向かってくる影が

ヴィヴィオとアンジュがウイングロードを伝ってギンガとスバルにそれぞれ向かっていく

 

「お願いがあるんですけど」

 

アンジュが光の刃をスバルに向かって振り下ろす

反撃してきたスバルの蹴りを回避して拳に込めた魔力を打ち出す

スバルも同様に砲撃を放ちアンジュの攻撃を相殺した

「私に………スバルさんと戦わせてください」

スバルとアンジュ、両者の拳が激突する




おまけ(フェイト・T・ハラオウン)
執務官としていくつもの事件を解決
局内でも名前の知れた有名人
現在は提督に昇進、L級艦の艦長を務めている
乗組員は若い職員が多く彼らの夢がかなうために自ら協力することも多い

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