魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:16 カルナージ

機動六課では現在ディエチとチンクが六課隊員やヴィクター達と話しあっているところだった

ディエチの瞳がカメラのレンズのように動いている

「これが戦闘機人、違法技術によって生み出された機械の体を持つ人造魔導師」

「件の乱入者、クイント・ナカジマ氏はこの戦闘機人に関する事件を追ってる最中殉職した管理局の元捜査官、地上本部のゲンヤ・ナカジマ捜査官長の妻にあたる人物だった」

ディエチとチンクの説明を聞いて遠慮がちにアンジュが手を上げる

「あの、ディエチさん達もその………戦闘機人?なんですよね?それがなんで今は………」

「我々の製作者、ジェイル・スカリエッティ氏が逮捕された際管理局に拾われてな、その時に手を汚したこともあったが、今は縁あってゲンヤ・ナカジマ捜査官長の養子として引き取っていただいている」

「もう一人の乱入者、ドゥーエは私たちと製作者を同じとする戦闘機人、ある事件で命を落としたの」

「信じられません、ディエチさんみたいな優しい人が………」

ロイスの言葉にディエチは笑いかけると

「でも、事実だよ、特秘事項だから知らない人も多いけど、あたしは去年保護観察期間を終えたばかり、だからって罪が消えた、なんて思っちゃいないけど、でも、今のロイスみたいなこと言ってもらえるとちょっと嬉しいな」

「私も最初聞いた時は信じられませんでした」

ディエチの言葉を繋ぐアインハルトも重苦しい表情だった

「そしてこの二人が現れた以上、高い確率で出現が予想される人物が一人」

チンクの言葉と共にドゥーエ、クイントを表示していた画面が切り替わり一人の男性が映る

「ゼスト・グランガイツ、元首都防衛隊のオーバーSランクの騎士だ」

 

会議が終わりセイクリッドの面々が隊舎を移動していた

「オーバーS、そんな相手まで出てくる可能性があるんですよね」

「私たち………勝てるのかな………」

不安げに呟くロイスとアンジュの肩をリオが力強く叩いた

「大丈夫、こっちだって何の準備もしないわけじゃないよ」

リオの言葉と同時に前を歩いていたヴィヴィオが振り返る

「どんな相手が来てもいいよう、集中強化訓練、結果次第じゃデバイスのロックも外していくから」

 

数日後、ヴィヴィオの運転する車でフォワード達ははやて、リインと共に次元港を目指していた

また、今回の訓練の結果次第でデバイスロックが解除されるということでマリーも同行している

「八神部隊長もいらっしゃるんですね」

「ああ、部隊の方は交替部隊に任せてあるから心配いらんよ、ディエチやチンクとは現地で合流や、出先から直接向かうそうやから」

「スペシャルメニューも用意したから、楽しみにしててよ」

そう言ってピースサインを作るコロナ

 

次元港内を移動する六課一同、すると突然何者かがヴィヴィオに飛び着いてきた

「ヴィヴィオ~!会いたかったよ~!」

なのはが涙ながらヴィヴィオにすり寄る

「た!高町なのは教導官!?なんで!?」

「なんでってなのはちゃんも一緒に行くからや」

「久々にヴィヴィオと一緒の旅行だからってテンションあがりっぱなしで大変だったぜ」

ため息交じりにはやての傍らにやってくるヴィータ

ヴィヴィオは半分呆れながらもされるがまま

後に本人の語ったところによるとこうなる気はしてましたとのこと

「だってだって、ヴィヴィオ執務官として独立してから家にもなかなか帰ってこないし」

とても航空戦技教導隊のエースオブエースと呼ばれてる人物に見えない様にアンジュとロイスが幻滅していると

「相変わらずにぎやかだな」

「ヴィヴィオ、カレル、リエラ、久しぶり」

筋骨隆々の肉体を持つ男性とブロンドの長髪の女性がやってきた

「ザフィーラ!」

「「フェイト姉!」」

「なんや珍しい組み合わせやな、シグナム達は一緒じゃないん?」

「シグナムは仕事先から直接向かうと」

「シャマル先生は一足先に向かったよ」

ふとここでアンジュとロイスが何かに気付いた

「フェイトって名前、確か前に………」

「あ、アンジュとロイスだよね、アルフから話は聞いてるよ」

「フェイト姉はアルフのマスターなんです」

「あー!そうだ!海鳴に行った時の!」

アルフの名前を聞いて思い出すアンジュとロイス

そんな二人の様子を見てはやてが助け舟を出す

「二人には名字の方が通りがええかも、な、テスタロッサ・ハラオウン提督」

「その名前は知っている!局内でも有名人だ」

「名前だけだとピンと来なかったけど、私も聞いたことある」

「っていうかなのはちゃんいい加減ヴィヴィオ離したりや、ぐったりしとるやん」

出発前から疲れてしまったヴィヴィオの額をぽんぽん叩くクリス

「だってだって、お仕事の話とか聞きたいし、しかも強くなったヴィヴィオと」

「だめー!それまだ内緒!」

何かを言いかけたなのはの口をヴィヴィオが慌てて塞ぎクリスが両手でバツを作った

 

やがて臨行次元船に乗り訓練の場所、カロナージへとやってきた一向

「さ、ここが目的地」

ヴィヴィオが示す先には立派なロッジが

「ようやく来たか」

「待ちくたびれちゃったよ」

「はやてちゃん、皆、久しぶり」

そんな一行を出迎えた3人の女性

「シグナム、アギト!元気そうやな」

「シャマル先生もお久しぶりです、いつも母がお世話になってます」

「ちょっとヴィヴィオ~、真っ先にそれ~?ヴィヴィオだって肘を壊した時お世話になったでしょ」

未だテンションの高いなのははヴィヴィオの言葉にむくれる

「まあまあなのは」

「そう言えば、ディエチさん達先に来てるはずだけど………」

「先に中に入って待ってるよ」

そう言って薪を抱えながら現れたのは背の高い二人の男性

「エリオ!トーマ!」

「初めまして、エリオ・モンディアルです」

「トーマ・アヴェニール、よろしく、さ、いつまでもここにいないで中に入ろう、スゥちゃん達ももう来てるから」

トーマに促されるままに中に入る一向

「あ、なのはさーん!皆―!」

「こっちですー!」

ロビーらしきところでディエチとチンク、それに彼女と話す女性達の姿も

 

「アンジュとロイスは初めてだよね………えっと、じゃあ、スバルから」

「はい、港湾特別救助隊所属、スバル・ナカジマです」

「こう見えて防災司令の候補として名前が上がるほどの人物だ、通称シルバーのエース」

チンクの説明にアンジュとロイスは驚き声を上げる

「えへへ、まあでも、私は指示とかより、現場で走り回ってる方が向いてるから、その話は辞退したんだけど、じゃあ次、ノーヴェ」

スバルは照れながらも隣にいたノーヴェに順番を回す

「うっし、ノーヴェ・ナカジマ、昔はスバルやディエチ達と一緒に救助隊でも働いてたんだけど、局で働くより子供達に魔法や格闘技教えて行きたいって思って、掛け持ちだった局の仕事を引退、指導者一本に絞って、いまはクラナガンでジムを経営してる、んじゃ、次ウェンディ」

ノーヴェの言葉と共に元気よく立ち上がる女性

「えー、ご紹介にあずかりました、ウェンディ・ナカジマ、救助隊にいたこともあるんッスけど、今は次元航行部隊の執務官補、船じゃ捜査主任やってるッス、んでこっちがあたしの上司の………」

「ティアナ・ランスターです、ヴィヴィオやフェイトさんと同じ執務官、あたしやスバルも昔は六課にいて、なのはさん達の教えを受けてたの、ちなみにスバルとは訓練校時代からの腐れ縁」

「ティア酷~い、そんないいかたないじゃん」

「うっさい!エリオ、次あんたよ」

「あ、僕はさっき表で済ませたから」

「じゃあ私だね」

そう言って立ち上がった女性を見てアンジュとロイスは首をかしげる

「あれ?どこかで見たような………」

「僕も何となく見覚えが」

「初めまして、キャロ・ル・ルシエです」

「「あっ!」」

名前を聞いた途端アンジュとロイスがいきなり大声を上げた

「思い出しました、私この人の本読んだことありますよ!」

「僕もある!生物学者のキャロ・ル・ルシエ博士!論文も出していましたよね!」

「そんな博士なんて、本業は局の魔導師で辺境自然保護隊に所属しているの、密漁者の取り締まりなんかが主なお仕事」

「有名人だねキャロ姉」

照れるキャロをリエラがニヤニヤしながらつつく

「そんなんじゃないって、ほら次、ルーちゃんだよ」

「はーい、このロッジ、ホテルアルピーノのオーナー、ルーテシア・アルピーノです」

「あっ、確か前に雑誌で見たことが」

「ありがと、元々は遊びに来てくれるヴィヴィオや友達をもてなすために始めたんだけど、だんだん本気になってきちゃってね」

と、ここで黒い無骨な恰好の生物が紅茶を持って現れた

慣れた手つきで全員にお茶を配るとそのまま立ち去る

「えっと………今のは?」

呆気にとられつつロイスが手を挙げ尋ねる

「私の召喚虫で大事な家族、ガリューって言うの、私こう見えて召喚魔導師なの、さ、リリィで最後だよ」

ルーテシアの言葉で最後の一人である柔らかい物腰の女性が立ち上がる

「リリィ・シュトロゼックです、トーマと一緒に災害派遣部隊で働いています」

リリィの言葉にアンジュとロイスは首をかしげる

「えっと、その災害派遣部隊って言うのは」

「文明の整ってない辺境や異世界で起こった災害なんかに対応するために派遣される、まあ、特救の異世界版って考えればいいよ」

アンジュの疑問にトーマが代わりに答えた

「ある事件でトーマと知り合って、いろいろ助けてもらって、トーマが災害派遣の仕事をしたいって言った時無理言ってついてきたの」

「俺、故郷で大きな事故にあって、家族もみんな死んじゃって、スゥちゃん」

「あ、あたしのことね、その事故の後で身寄りを亡くしたトーマを保護したの」

トーマの話に割って入って手を上げるスバル

「に、助けてもらうまでずっと一人ぼっちで、いろいろあって、俺もスゥちゃんと同じ災害救助の仕事に着くことにしたんだ」

「じゃ、こっちも自己紹介しちゃおうか、じゃあアンジュ」

「あ、はい!セイクリッド所属、アンジュ・マーキュリーです、小さい頃見たインターミドルの試合で………」

 

こうして自己紹介を終えしばらく談笑すると

「それじゃそろそろ訓練を始めるね」

コロナの言葉にフォワード達は首をかしげる

「じゃあ、アンジュとカレルは私と一緒に来て」

そう言ってウインクしながらヴィヴィオがロッジの裏手の方を指さす

 

アンジュとカレルはヴィヴィオと共に水着姿で川辺にやってきていた

「あの、ここで何を………」

「はい、カレルはこれ」

そう言って布に包まれた細い棒状のものを投げて渡すヴィヴィオ

「リオに借りた練習用の木刀、それ持ってついてきて」

そう言って一人ヴィヴィオは川の中に入ると中心付近で深呼吸する

「いいもの見えてあげる」

そう言ってヴィヴィオが拳を振るうと水柱が立ち川の水が綺麗に割れた

「これが………ヴィヴィオさんの格闘技」

初めて間近で見たその姿にアンジュの瞳は輝いていた

 

リオが腰に下げた二本の刀を手にとると刀身に炎と雷が纏われた

「じゃ、本気で行くからね」

「お願いします」

アイギスを構えたリエラがリオの言葉に全力で答える

ロイスもまた2体のゴライアスを相手に奮闘していた

 

ロビーで休んでいたスバルだったがアンジュ達のいる川辺の方角から大きな音が鳴ったのを見て笑みを零した

その川辺ではヴィヴィオに教わりながらアンジュが水きりに挑戦していた




おまけ(チンク・ナカジマ)
ギンガの隊長就任と同時に彼女の副官として努めていくことに
局員として以前から注目されていた彼女だが部隊長就任の話を蹴って副官の座に落ち着いた
それでもギンガ曰く自分が部隊長としてやっていけてるのは自分を支え隊員たちをまとめ上げる彼女の存在があってこそらしい
魔導師としても高い実力を持つ彼女だがデバイスを持つことは懐疑的であった
現在ではパートナーとなったネオと良き関係となっている

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