魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:15 新たなる影

爆発と共に廃ビルからサマーラが飛び出した

「とにかくあいつを引き離さないと」

そう言ってサマーラは廃棄都市区画を飛び回るが

「逃がさんぞ、ネオ!」

「Consent」

チンクはスティンガーを投げつけるとサマーラの進路上の建物に突き刺した

更に魔力で構成されたワイヤーによりチンクの体が引っ張られサマーラの目の前に到達した

「なにっ!」

「Stinger」

すぐさまチンクはサマーラに向けてスティンガーを投げつける

「爆ぜろ!」

爆風で吹き飛ばされたサマーラ、次の瞬間アンジュとロイスが拳と剣を構えサマーラを見据えた

 

「ほないくでハルにゃん!」

「はいっ!」

若干戸惑いながらもジークに続くアインハルト

リニスの電撃をかいくぐり掌打を叩きこむジーク

「行きますよ」

背後に回ったアインハルトが腕を勢いよく引いた

次の瞬間リニスの首筋めがけて回転の勢いを加えた強烈な肘打ちが決まる

「うわっ」

「えぐい攻撃するなぁアインハルト隊長」

「聞こえていますよ!」

その攻撃を見たユーノとカレルが軽く引いたが

「ハルにゃん後ろ!」

先ほどのダメージなど全く感じていないかのように立ち上がったリニスがアインハルトに襲い掛かるが

「アイギス!ギアセカンド!」

小さな盾のようなものが現れたかと思うと防護魔法がアインハルトを守った

「ナイスフォローです、リエラさん」

アイギスを構えるリエラの周りには同じような盾がもう一つ浮いていた

「あの小さな盾は?」

「防御魔法を同時発動するためのビットです、アイギスのモード2は複数個所での防御が可能になるんです、その分魔法の維持や発動にこれまで以上の集中力を使うんですが」

ユーノの問いかけに答えると自身もリヴァイアスを構えた

「それじゃ、僕らも行くぞ、リヴァイアス」

「OK, second form activated」

リヴァイアスが輝くと同時にロイスの周りを水が渦巻く

また、彼のバリアジャケットにも変化が見られた

「へえ、君はバリアジャケットも変わるんだ」

「この形態になると装甲少し減らさないと制御しきれないんですよ、その分火力は上がるんですけど扱いづらいんですよね」

ユーノの言葉にため息をつきながら答えるロイス

 

「「ギアセカンド!」」

「「Anfang」」

アンジュの体が銀色の光に包まれグラディウスが銃のような形に変化する

「ディバインバスター!」

拳に溜めこんだ魔力を打ち出すアンジュ

「トライデントスティンガー!」

3つに枝分かれした直射砲撃がグラディウスから放たれる

サマーラが何とかその攻撃から逃れると

「リヒトフリューゲル!」

「駆けろ!ソニックムーブ!」

アンジュとカレルが追撃する、カレルほどではないにせよアンジュもまたかなりの速さでサマーラに迫る

「しつこいわね」

サマーラは追撃してくる二人に向けて攻撃を放とうと振り返るが

「ケイジングサークル!」

その隙にヴィヴィオが魔力の輪を生成しサマーラの動きを止めた

「しまった!」

「シャイニングセイバー!」

「ジェットザンバー!」

アンジュとカレルの同時攻撃を受け吹っ飛ばされるサマーラ

更に両サイドのビルに待機していたヴィヴィオとリオが構えた

「ディバインバスター!」

「紅蓮吼牙!」

ヴィヴィオとリオの砲撃を受け落下するサマーラ

すぐさまヴィヴィオがビルから飛び降りてバインドをかける

駆け付けたリオが気絶したサマーラを掴んで抱える

「これであとは古代遺失物(ロストロギア)だけど………」

「それなら問題ない」

ヴィヴィオの言葉を遮ったのはチンクだった

「私がこいつらを引き付けてる間に姉上達が秘密裏に運び出す算段だった、先ほど移送が完了したと連絡があったよ」

「えっと………」

アンジュが戸惑っているとチンクがこちらに気付きウインドウを表示する

「陸士108隊部隊長補佐のチンクだ、アンジュ………だったな、よろしく頼む」

「えっ!?私の事………」

「妹からのメールで知っている」

「チンクさんは、ディエチさんのお姉さんなの」

「おね…えっ!?」

アンジュの驚きぶりに何かを察した一同の表情には苦笑いが浮かぶ

眉を顰めるチンクから死角になる位置にいたヴィヴィオが目配せしながらこっそり指先で黙っているように伝える

ちなみにカレルはチンクとは何度か面識があるのでアンジュの反応にウケて笑っているだけだった

 

「渦巻け!リヴァイアス!」

ロイスがリヴァイアスを振るうと同時にリニスの足もとから水柱がいくつも現れる

飛び上がったリニスに向けてゴライアスが拳を振り下ろす

だがリニスはそれをかわすとゴライアスを駆け上がっていく

コロナの横を通り抜けると砲撃でゴライアス諸共コロナを狙い撃つ

だがリエラの盾がコロナを守った

「ゴライアス!」

崩壊したゴライアスをコロナが瞬時に組み直す

「ギガントナックル」

再びゴライアスがリニスに向けて拳を振り下ろす、さらに

「覇王空破断」

アインハルトの攻撃が同時にリニスに炸裂する

何とか持ちこたえたリニスの背後にジークが突然現れる

「こいつで………」

右腕に魔力を纏うジーク

「しまいやぁ!」

そのままリニスの背中に攻撃を叩きこむ

落下したリニスに向けてリエラがアイギスを掲げる

「(ここでストラグルバインドを使えば、リニスを正気に戻せるかもしれない)」

ストラグルバインドは捕縛魔法だが対象者の強化魔法を解除する効果がある

もしこれでリニスにかけられた精神操作を解くことができれば………

「フェイト姉達が大好きだった優しいリニスに戻すんだ!力を貸して!アイギス!」

リエラの声とともにアイギスが強く輝く

「Struggle Bind」

 

「さ、そろそろ行くぞ」

「あ、サマーラはあたしが連れてくよ」

気絶したサマーラをチンクが持ち上げようとした

だがリオがそれを制してサマーラを担ぐ、次の瞬間

「っ!?」

ローブを被った何者かが高速でリオに向かってきた、間一髪スティンガーを構えたチンクがその攻撃を受け止める

 

「あっ………」

捕縛魔法を発動しようとしていたリエラは背後からの攻撃で背中を切り裂かれた

「リエラ!」

「リエラさん!」

突然の乱入者に驚く一同

「ケヴァイア・クーゲル!」

すぐさまジークが乱入者に向けてを放つ

だが鋭い爪がローブの下から現れたかと思うとジークの弾幕を容易く切り裂いた

「なっ!?高密度弾を引き裂いた!?」

「(あかん、“今”のうちやと勝たれへん)」

その光景を見て唇を噛むジーク

だが次の瞬間背後から感じる魔力に寒気を感じた

「しもた!リニス!」

乱入者に気を取られた隙に復活したリニスがファランクスの発射態勢に入っていた

「ゴライアス!皆を守って!」

コロナが2体のゴライアスを追加で創成して守りに入ろうとする

だが一足遅くリニスの攻撃が放たれた、ゴライアスのスピードでは追いつけない

 

「くっ、なんて重い一撃だ」

かろうじて攻撃を受け止めたチンクだが攻撃の勢いが強すぎて競り負けそうだ

「ネオ!」

素早く腕を振るうと移動にも使われた魔力のワイヤーが乱入者を捕える形になる

だが素早い動きで乱入者はそれを回避、チンクに向けて鋭い蹴りを放つ

そしてチンクは一連の動作を見て気付いた

「(移動時に聞こえるこの音、それにこの動き………シューティングアーツ!?)まさか!」

チンクの中である一つの結論にたどりつくとすぐさまそれを確認するためスティンガーを大量に出現させる

「できれば外れていてほしい、が、その正体見えた!」

チンクのランブルデトネイターによって起こった爆発が乱入者のローブを吹き飛ばす

 

リニスの放ったファランクスが炸裂し辺りが煙に包まれる

「まったく、世話の焼ける補佐官ですわね」

煙を切り裂いて現れたのは重厚な鎧を思わせるバリアジャケットに身を包んだヴィクターだった

どうやら彼女がリニスの攻撃を相殺したようだ

だがすでにリニスと乱入者の姿はなく逃亡した様子

「ナイスやヴィクター、助かったわ」

「私だけではないわ」

そう言ってヴィクターの向く先にはバリアジャケット姿のディエチが、彼女も救援に来ていたようだ、

リニスと乱入者の気配がないことを確認した彼女はカノンを待機状態に戻す、その表情はどこか浮かない様子だ

「どうかしたのかしら?」

「乱入してきたほうの霊魂兵器、敵に気付かせない隠密術と鋭い爪、ジークが追ってた犯行グループに紛れ込んだのもあの人………」

 

爆風がやむと乱入者の姿はなくリオが担いでいたはずのサマーラの姿も消えていた

「逃げたか、済まない、派手な爆発が裏目に出てしまった」

「それよりチンクさん、正体見えた、って言ってましたよね、あの乱入者に心当たりが?」

アンジュの問いかけにチンクは暗い表情で俯いた

「あの霊魂兵器が使っていたのは魔法と格闘術の複合戦闘術、シューティングアーツ!あれほどの使い手となると一人しかいない」

「戦闘機人、ナンバーズの一人、ナンバー2、ドゥーエ」

「元時空管理局地上部隊捜査官、クイント・ナカジマ」

ディエチとチンクが告げるとほぼ同時刻、どこかの森の中

ヴィヴィオ達との戦いで倒れたサマーラが小さな少女に介抱されている

そこへやってくるサマーラを見下ろす二人の女性、ドゥーエとクイントの姿があった




おまけ(ユミナ・アングレイヴ)
中等科卒業後も院生としてしばらくは在学
学士資格を習得し卒業後はノーヴェの紹介でシャマルに師事
医療の道へ進み時空管理局の医局員として勤務
昨年主任医務官の資格を習得しはやての誘いとシャマルの推薦もあって六課の主任医務官へ
疲れた隊員たちに得意のマッサージを施すのが日課となっている
フォワード陣のほか隊長陣などもよく彼女のマッサージを受けている
また、六課にくる以前からアインハルトの主治医も務めており
プライベートでも彼女と過ごすことが多い
かつての夢であったスポーツドクターもナカジマジム専属として勤めている

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