魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:14 合同作戦

機動六課、本日の任務は発掘隊の護衛

出土した古代遺失物を敵が狙う可能性があるため機動六課が護衛に着くこととなった

今回発掘隊のリーダーを務めているのは考古学者であり無限書庫の司書長でもあるユーノ・スクライア

はやてやヴィヴィオ達とも縁深い人物である

「けど、このタイミングで発掘作業なんて盗りに来いといってるようなもんなんじゃ」

古代遺失物狩りの出現が懸念される現状、思わずロイスはそう呟くが

「それは違うよ、盗られない為の発掘さ、古代遺失物狩りが盗掘なんかの方法を使う可能性はゼロじゃないからね、そういうのを未然に防ぐためにも発掘を続けていかなくちゃいけないんだ」

そんなロイスに対して近くで壁画を調べていたユーノが声をかけた

「なるほど、考え方もいろいろですね」

「ユーノ司書長!こっちでなんか出てきました」

「あ、ああ、今行くよ」

ヴィヴィオに呼ばれユーノがそちらに向かう

 

一方チンクは付き添いの局員と共にある場所を訪ねていた

霊王と今回の事件の関連性、それらを知る可能性の高い人物の下へ

鉄格子の向こうにいる人物を確認すると向き合うように座るチンク

「お久しぶりです………ドクター」

ジェイル・スカリエッティ

元広域次元犯罪者で大規模テロ事件、JS事件の首謀者

かつて機動六課の活躍で逮捕され、現在はここ、第9無人世界グリューエンの軌道拘置所に収監されている

「久しいねチンク、息災かい」

「ええ、妹達もみんな元気にしています………ですが、今日は仕事で来ています」

チンクの真剣なまなざしにスカリエッティはため息を零した

「また何か尋ねごとかい?まぁ、ちょうど退屈していたところだ、話くらいは聞こうか」

「あなたなら存じていると思いまして、霊王と聖騎士、そしてそれらに関係していると思われる禁忌の力について」

チンクの言葉にスカリエッティはしばし考える様子を見せる

「フム、聖騎士の末裔は確か随分前に火事で死んだと記憶しているが」

「娘が一人、生き残って現在管理局で働いています」

「ああ、生き残りがいたのか、で、それがわかっているなら本命は残りの2つか」

スカリエッティの言葉にチンクは無言のまま頷く

「霊王か………随分昔に調べてみたことがある、が、ただで話すわけにも」

「わかっています、今回は急を要していますので先にお持ちしました」

そう言ってチンクは持参した紙袋からワインのボトルを一つ取り出した

「すでに許可は得ています、どうぞ」

「なるほど、流石だチンク、よくわかっているじゃないか」

「長い付き合いですから、それで」

「霊王の名の由来と言うのは死者の魂を利用した兵器を好んで用いたからと言われている、まあ、そのせいか随分嫌われていたみたいだがね」

「その兵器についてはすでに出現が確認されています、記録上消滅した筈の使い魔が現れました」

「ほう………誰の使い魔かわかるかい?」

スカリエッティの問いかけにチンクは若干言い淀むが

「………プレシア・テスタロッサ氏です」

それを聞いてスカリエッティは額に手を当て突然大声で笑い始めた

「あー、彼の仕業だね、間違いない」

「何か御存じなのですね!?」

チンクの問いかけにスカリエッティは彼女を見ると

「霊王の末裔は確かに実在する、もっとも、私が直接会ったわけではないので名前も居場所もわからない、まあ、知っていたとしても役には立たなかっただろうがね」

「いえ、確証が得られて安心しました」

「そうかい、じゃあ代わりにひとつ面白い話をしてあげよう」

立ち去ろうとしていたチンクはスカリエッティの言葉に振り返った

「霊王はね、死者兵器のほかに禁忌兵器を所持していたんだ、どんなものかまでは知らないがね、ベルカ戦争時代、聖騎士の国を滅ぼし彼女の命を奪ったのは霊王の国の兵器だ」

それを聞いたチンクは驚き目を見開く、だが表面上平静を装い礼をして立ち去った

スカリエッティは受け取ったワインを見つめふと考え込んだ

「そう言えば君は彼と面識があったね………」

 

一方こちらは第3管理世界ヴァイゼン

ジークはここで違法盗掘を行っていた人物の引き渡しを行う予定だった

だがいざやってくると捜査員達の様子がおかしい、何やら慌てた様子で話し合っている

捜査員の一人がジークに気付き彼女に敬礼をする

「次元航行部隊、執務官補のジークリンデ・エレミアです、予定していた容疑者の引き渡しに来たんですが………」

「はい、お伺いしております、容疑者はこちらに………ですが」

「三人と窺っていたんですが………一人足らんようですね」

「それと、押収した所持品の中から古代遺失物(ロストロギア)と思われるものが持ち去られていて」

「………まさか」

それを聞いたジークはしばし考え込むと

「容疑者の人たちと少々話をしてもよろしいですか」

 

「次元干渉型の古代遺失物(ロストロギア)!?」

ジークからの通信を受けヴィヴィオは驚きの声を上げた

「せや、犯人グループが以前手に入れたものをミッド廃棄区画にひそかに隠していたらしいねん、狙いは多分………」

「でも、ついさっきこっちでも古代遺失物(ロストロギア)が見つかって」

「部隊を二つに分けるしかありませんね」

アインハルトの言う通り

どちらに敵が来てもおかしくない状況では部隊を分けて対応するしかない

だが戦力が分散してしまうのは危険だ、ヴィヴィオ達が悩んでいると

「私も力を貸そう」

「うちもや、元々うちの言いだしたことやし」

チンクとジークが協力を申し出た

「ヴィヴィオさん、やらせてください」

アンジュも志願したことでヴィヴィオの覚悟も決まった

「よし、じゃあちょっと危ないけど隊も分けるね、カレルとアンジュは私とリオと一緒にミッドへ向かう、ロイスとリエラはここに残って警護を続けて」

隊を分ける、ヴィヴィオのその指示に一瞬困惑する、だがすぐにその意図は理解出来た

ミッドへ向かうカレルとアンジュは機動力の高い二人、対して残って警護するのは防御に向いたリエラとロイスだ

「では私とコロナさんはここに残って指揮を」

「うちの今おるとこやとハルにゃんたちのほうが近いんやけど………」

「私も異存はない、こちらは廃棄都市区画に向かおう」

増援の二人も目的地は決まった

「お願いします、それじゃあ行くよ、リオ、カレル、アンジュ!」

「みんな、気をつけてくれ」

ヴィヴィオ達の去り際ユーノが声をかける、その言葉にヴィヴィオも手を挙げて答えた

 

スカリエッティとの面会を終えていたチンクはすでにミッドチルダに来ていた

廃棄都市区画に向けて全速力で走る

「意外と早い初陣になってしまったな」

懐から取り出した淡い黄色のクリスタルがついたネックレスを見つめ呟くチンク

見た目はディエチのスマッシュカノンに酷似している

廃棄都市区画に入るとチンクはジャンプして高く飛び上がった

「ネオスティンガー!セットアップ!」

声と共にチンクの体が光に包まれた

 

廃棄都市区画を見渡す高いビルの上でヴィヴィオは待機していた

「リオ、そっちはどう?」

 

ヴィヴィオからの念話を受け取りながらリオはアンジュとカレルを引き連れ走っていた

「ジークさんの情報をもとに向かってる所、まずはチンクさんと合流して…………」

リオが言いかけると黒い魔力弾が降り注ぐ

「そうはさせなくてよ」

黒い羽根で使い魔が空から彼女達を見下ろしていた

「あんたはリニスの仲間の!」

「カラス女!」

カレルの発言にガクッとなる

「失礼ね、あたしにはサマーラっていう名前があるんだから!あたしが守護獣だからって差別すんじゃないわよ」

「初めて聞いたよ!」

サマーラの言葉に突っ込みながらリオはあることに気付く

「っていうか今守護獣って言った!?ってことは………」

「え?何?どう違うんですか?」

アンジュはリオの言ってることが理解できず首をかしげていたが

「守護獣は真正古代ベルカで使われる呼称だ、つまりこいつの主人は真正古代ベルカ」

いつのまにかグラディウスを構えたカレルがアンジュの疑問に答える

「だから何?あんた達には関係ない事、古代遺失物はあたしがいただくわ」

魔力弾でリオたちの動きを止めるとサマーラは一直線にある場所に向かう

「情報では確かここに………」

「お前達の好きにさせるわけにはいかない」

ある廃ビルの中に入り込んだサマーラに向けてナイフのようなものが投げつけられる

「誰!?」

サマーラの視線の先には濃いグレーのコートを羽織り紫を基調としたバリアジャケットを身にまとうチンクの姿、両手にはクリスタルのついたグローブをしている

「陸士108隊、部隊長補佐、チンク・ナカジマ二等陸尉」

 

遺跡のアインハルトたちに向けて魔力弾が降り注ぐ

リエラがアイギスを使いその攻撃を無傷で凌いでみせる

「もうやめて!リニス!」

必死に呼びかけるリエラだったがリニスは意に介さず攻撃を続けてくる

「(リニスには届かないの………私たちの声………)」

「諦めたらあかんよ」

涙を流すリエラの言葉を遮るようにリニスの砲撃を何者かが引き裂いた

「あっ………」

黒いバリアジャケットを纏い長い黒髪を靡かせリニスを見据えるのは

「届かないやない、届かせるんや、あの人に君らの声を」

「「ジークさん!」」

元インターミドルチャンピオン、現在は執務官補を務めるジークリンデ・エレミアだった

「ハルにゃん!コロにゃん!久しぶりやわぁ!二人とも元気しとった?」

両腕を振りながらアインハルトとコロナに声をかけるジーク

「あ、はい、ご無沙汰しております」

「ですが今はそんな場合では………」

そんな彼女にリニスが砲撃を放つが

「ふっ」

ジークは掌底を放ちその砲撃を打ち消した

「あかんよ、あんたの事きれいな思い出のまま覚えておきたい人がおるんや」

リエラの方をチラ見しつつ言い放つジーク

 

「ネオ!」

「Stinger」

どこから現れたのか鋭いナイフのようなものがチンクの手の中に納まる

すぐさまチンクはそれをサマーラに向け投げつけた

当然サマーラはそれを回避するが

「爆ぜろ!」

「Rumble Detonator」

チンクの詠唱と共に投げられたナイフが爆発し爆風でサマーラはバランスを体勢を崩し倒れた

「悪いが高ぶる気持ちを抑えられん、手加減できないから覚悟しておけ」

新たなナイフを出現させながらサマーラにそう宣言するチンク

 

「一緒に思い出を過ごした人の心を踏みにじるような真似、うちは絶対ゆるさへんで」

リニスを見据えるジークの瞳には確かな闘志が宿っていた




おまけ(ヴィクトーリア・ダールグリュン)
競技選手を引退した後時空管理局へ入局
雷帝の血と高い実力、持ち前の人当たりの良さから流れるように昇進
入局後2年で執務官試験に合格
すぐに局内でその名が知れ渡ることになる
自身の副官として彼女と共に入局したエドガー
そして選手時代からの友人であるジークを置いている
現在の魔導師ランクはSSランク

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