魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:11 決意を新たに

「リエラ、もう怪我はいいの?」

海鳴にあるハラオウン家が住む一室でエイミィがリエラに問いかける

「大丈夫、部隊長が治癒魔法かけてくれたから」

「それより母さん、あのリニスって人について、アルフは何か知ってるようだったけど」

カレルの問いかけにエイミィはため息を漏らしながら画面を開く

「あたしも直接見たのは初めて、これ、昔フェイトちゃん達から聞いた話をもとに作ったモンタージュ写真なんだけど」

エイミィが見せた写真の女性は確かに昨日見た古代遺失物狩りとよく似ている

「山猫の使い魔でフェイトちゃんやアルフに魔法を教えてくれた先生、最初にバルディッシュを作ったのも彼女なんだって」

そう言ってモンタージュ写真を閉じる

「けど、その人はもう」

「うん、契約が切れた使い魔は本来消滅してしまう、元々目的のために使い捨てにされることも多いからね、彼女もその一人だったの」

エイミィの話を聞いて俯くカレルとリエラ

 

アンジュの瞼を抑えながら色が変わってしまったその眼をじっと見るヴィヴィオとアインハルト

「どうしてこうなっちゃったんだろうね」

「アンジュさん、何か心当たりは………」

「ありません、私物心ついた時にはもう施設にいたので、両親のこととかもあんまり」

アンジュの言葉にため息を零すヴィヴィオ

「こっちでも調べてみるけど一応、帰ったらその眼診てもらって」

「当時の記録を調べてみれば何か出てくるんじゃない?」

「似た能力を持った魔導師がいたかどうかっていうのも調べた方がいいかも」

「あのリニスと言う方についても調べませんと」

「じゃあ向こう戻ったらまず無限書庫行かないとかな」

仲間達の提案に頭を抱えるヴィヴィオ

「外部捜査協力の手続きもあるし、ちょっと予定確認してみなきゃ、通信で話してくるね」

億劫そうに頭を掻きながら部屋を出るヴィヴィオ

入れ替わりにはやてとアリサが部屋に入ってきた

「反応がなかった理由わかったよ~」

「で、どうだったんですか?」

「この古代遺失物(ロストロギア)なぁ、もう死んどったわ、長い流出期間の間にすっかり枯れてしまったようや、リニスの魔力に反応して残存してた僅かな魔力を放出してたみたいやけど」

「あー、たしかにそんなのが時々出てくるですね」

過去の事例を思い返したリインがふと呟いた

以前にも何度かそういった事例があったようだ

 

「そういうわけで、今後の予定を確認したいんだけど」

ヴィヴィオは自身の副官でもあるファビアと通信で話していた

「次元航行部隊に確認したらヴィクトーリア執務官は現在出向中、2日後に帰還予定、あえるのは3日後」

「じゃあその前に無限書庫に行って情報を集めることができるんだね、ファビア」

「ん、ヴィクトーリア執務官には連絡済み、無限書庫はそっちの方が早い」

「司書長に連絡して………今回のことも古代ベルカ関連だよね?」

「可能性は高い」

ファビアの言葉にしばし考えるとヴィヴィオは立ち上がった

「オッケー!ありがとうね、ファビア」

「ん」

ヴィヴィオの言葉に軽く頷くファビア

「そうだ、お土産買ってあげるね、こっちのお店の、すごくおいしいシュークリーム」

ヴィヴィオの言葉にファビアは驚き瞳を輝かせた

「絶対忘れないで」

「大丈夫大丈夫、期待して待っててね」

ヴィヴィオは通信を切るとすぐに部屋を出る

「さて、問題は調べ物の方だけど、リオー!ちょっと頼みたいことがあるんだけど!」

 

一方アルフは一人湖畔を歩いていた

「アルフさーん!」

「ん~?」

誰かの呼ぶ声に振り返るとそこにはアンジュの姿が

 

「再生兵器?」

「まだ推測の域ですが恐らく」

アインハルトの言葉にリインが考えるしぐさを見せる

「以前にも死者を用いた人造魔導師が現れたことがあるです、もしかしたら」

 

「なるほどねぇ」

同じ頃アルフもアンジュから同様の話を聞いていた

「リニスはそいつらに利用されたってのか」

怒りに満ちた表情で歯を噛み締めるアルフ

「アルフさんは大好きなんですね、その、リニスって人のこと」

アンジュの問いかけにアルフは肩を落とすと

「ああ、あたしとフェイト、あ、あたしのマスターな、にとっちゃ本当の母親みたいなもんだった」

 

「えっと………ああ、これだ」

分厚い資料な様なものを本棚から取り出して机に置くエイミィ

「二人にはフェイトちゃんのこと、どこまで話したっけ?」

「えっと、フェイト姉がある事件の関係者で」

「身寄りを亡くしてこの家に引き取られた、までは前に一度聞いたことが」

「うん、その事件っていうのがね、PT事件、プレシア・テスタロッサ事件」

「テスタロッサって………」

「フェイトちゃんのお母さん、この事件で次元震に巻き込まれて消息不明に、リニスの主人でもあったみたい」

 

「プレシア・テスタロッサはある研究のために当時まだ幼いフェイトママの事を使い魔であるリニスさんに任せていた………」

ヴィヴィオもまた今回の事件を調べるため手持ちの資料を読んでいた

「リニスさんとの契約内容はフェイトママが一人前になるまで、そしてバルディッシュが出来上がると同時に契約が切れ、リニスさんは消えてしまった」

一通り読み終えたヴィヴィオは伸びをすると天井を見つめた

「プレシアさんがそうなった理由は魔導実験による事故、この事故は最終的に会社側が賠償金を払う形で決着してる………」

そこまで呟くとヴィヴィオは肩を落とした

「あのリニスさんは多分人造魔導師技術をもとにした再生兵器、となるとリニスさんの遺伝子情報が必要なはず、まずはこの実験の関係者当たってみるかなぁ、どこかで捜査の手も借りなきゃ」

そう言ってヴィヴィオは再び伸びをすると立ち上がって部屋を出た

 

「アルフ!」

一連の事情を聞き終えたカレルとリエラがアンジュと共にいたアルフに駆け寄る

「お~、カレルもリエラもどうした?」

「アルフ、僕たち頑張るよ、優しかったころのリニスさんを、きっと取り戻して見せる」

「今はまだあの人に敵わないかもしれないけど………フェイトお姉ちゃんもアルフも、ずっと私たちに優しくしてくれた、二人のためにも、六課の隊員としても、絶対に今回の事件を止めて見せる」

涙ながら叫ぶカレルとリエラの頭に手を置くアルフ

「ありがとな、カレル、リエラ」

「あ、あの、私も協力します」

「及ばずながら僕もね」

どこから聞いていたのかロイスが彼らに歩み寄る

「絶対に負けられない理由が出来たな」

ロイスのその言葉にアンジュも、カレルとリエラも頷く

「頼もしいな、今回の隊員たちは」

そんな彼女たちに歩み寄るグレーのポロシャツ姿の男性

「いつ来てもいい景色だな、このコテージは」

「クロノ?」

「「お父さん!?」」

突然現れたクロノを見て目を見開くアルフとカレル、リエラ

「クロノ………ってクロノ・ハラオウン提督!?」

「六課後見人の!?な、なぜこちらに!?」

突然のことに驚きながら敬礼するアンジュとロイス

「ああ、かしこまらなくていい、船の整備でしばらく休みになってね、久しぶりに帰省してみたら偶々君たちが」

「って、母さんからメールとか来てないの?送ったって言ってたけど」

「ん?」

カレルの問いかけにクロノがメールボックスを開いてみると

「ああ、来てるな、チェックするのを忘れていた、またどやされるかなこれは」

「仕事のメールは忘れないくせに」

アルフのつぶやいた言葉にクロノは困ったように頭をかく

 

「で、今どないしてるん?」

ヴィヴィオの母、高町なのはの実家でもある喫茶翠屋のテラスで軽くお茶をしていたはやての問いかけにアルフは

「ん~、久々に家族でランチしようってなってね」

「多分エイミィさんと一緒だと思います」

アルフの言葉をアンジュがつなぐ

「家族って………アルフ行かなくてよかったの?」

「リエラちゃんが誘ったでしょう?」

アリサとすずかの問いかけにアルフはジュースを勢いよく飲むと

「いいんだよ、せっかくの親子水入らずなんだから、あたしはのんびりさせてもらうさ」

と、笑いながら答えた

 

「そうか、そんなことがあったのか」

カレルとリエラから話を聞いたクロノはコーヒーを飲んでカップを見つめた

「僕も直接リニスとあったわけじゃないが………少なくとも出会ったころからフェイトの実力は確かだった」

「当時ですらAAAクラスはあったから、リニスの実力もその位、それ以上ってこともあるかも」

クロノとエイミィの話を聞いて俯くカレルとリエラ

「AAA………」

現在カレル達は陸戦Cランク、もしそうならリニスには遠く及ばない

「それでも………負けるわけにはいかないんだ」

カレルの言葉を聞いたクロノは満足そうに笑う

「二人とも自分のデバイスは持っているな」

クロノの問いかけに二人は首を傾げながらグラディウスとアイギスを掲げる

「実はね、そのデバイス………」

エイミィの話を聞いたカレルとリエラは驚き目を見開いた

 

こうして出張任務は終わりを告げ、フォワードたちには厳しい訓練の日々が戻ってきた

一日たって現在前線隊長4人対フォワードメンバー4人の模擬戦の真っ最中

その光景を眺めていたマリーの下にバスケットを持ったディエチがやってきた

「マリーさん」

「あ、ディエチ、また差し入れ?」

「はい、新人達、気合入ってるみたいですね」

「コロナの話だと、明日からデバイスリミッターを一つ解除していくそうよ」

「と、いうことは………」

ディエチの問いかけにマリーも頷く

「セカンドモード、この先もっと激しい戦いになると思う」

「私たちも頑張らなきゃ、ね、カノン」

「yes」

ディエチの呼びかけにスマッシュカノンが点滅して答える

 

ちなみに同時刻

「本当においしいですね、このシュークリーム」

「みてください、あのファビアさんの嬉しそうな顔」

通信士チームがヴィヴィオのお土産の翠屋特性シュークリームに舌鼓を打っていた

ファビアは余程気に入ったのかうっとりとした表情になっている




おまけ(アルフ)
なのはがミッドチルダに戻ってからは地球のハラオウン家に帰還
カレルとリエラが大きくなり魔法に興味を持つようになって以降はかつてリニスがそうだったように二人の魔法の先生を務めていた
現場を離れて長い彼女だったが実力は一切衰えておらず「あたしの力も案外捨てたもんじゃない」とは本人の談
二人が局入りして以降は主に家事などを担当
エイミィ曰く「助かってはいるがずいぶん長い事お世話になりっぱなしでなんだか申し訳ない気もする」らしい

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