魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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misson:10 覚醒する力

流出した古代遺失物(ロストロギア)を探すため海鳴へとやってきたアンジュ達新生六課のメンバー

「疲れた~」

「一通り町を見て回ったけどそれらしい反応はなしか」

「移動性があるわけでもないのにどうして………」

「まあ、何かあったらセンサーが働いてくれますよ」

サーチャーの設置と中距離探査を終えロッジへと戻ってきた

「おぉ、みんな戻ったか」

「おかえり~」

アルフとアリサがそんな彼女を出迎えると続いて白いヘアバンドをした女性が彼女たちに駆け寄る

「ヴィヴィオちゃん、みんなも久しぶり!」

「すずかさん!お久しぶりです!」

手を取り合い再会を喜ぶヴィヴィオとすずか

すると車が一台ロッジにやってきた

「ん?あの自動車は………」

それに気づいたロイスが首をかしげていると車から2人の女性が降りてきた

「みんな、お仕事頑張ってる?」

「カレル!リエラ!」

「美由希さん!」

「お母さん!」

「「えっ!?お母さん!?」」

驚いた様子のアンジュとロイスに気付いた女性達はそちらに振り替える

「初めまして、カレルとリエラのお母さんで元時空管理局管制司令、エイミィ・ハラオウンです」

「その親友でヴィヴィオの伯母、今はこの街で実家の喫茶店を手伝ってます、高町美由希です」

「あっ!アンジュ・マーキュリーです」

「ロイス・ローレンスです」

突然のあいさつに驚きながらも敬礼で返すアンジュとロイス

「アンジュに、ロイスだね」

「二人とも、ヴィヴィオやカレル達をよろしくね」

「とんでもない!」

「お世話になっているのはこちらの方ですから」

戸惑うアンジュとロイス

すると美由希が何かに気付く

「あ、いい匂い~」

「え?あ、本当だ」

「ああ、きっとはやてちゃん達ですね」

 

「お、みんなおかえり~」

鉄板焼きを準備しながら出迎えるはやて、となりでは下拵えをするアインハルトの姿も

「ぶ、部隊長、それにアインハルト隊長まで」

「わざわざそんな」

「気にせんでええよ、元々お料理は趣味でな、久々に包丁握れて嬉しいんよ」

「私も好きで手伝っているだけですから」

「うわぁ、おいしそう」

「私たちもごちそうになろうかな」

「そう言う思てたくさん用意したよ、遠慮せず食べてな~」

こうして夕食は現地の人々を交えて交流会も兼ねた形となった

「へぇ~、ヴィヴィオも頑張ってるんだ」

「はい、強くて優しくて、私たちのこと、大事に思ってくれて」

「うん、そういうところ、なのはちゃんそっくり」

「その分、怒るとちょっと怖いんですけど」

先日のことを思い出し青い顔で落ち込むロイスとアンジュを見てアリサとすずかは首をかしげる

 

「アインハルト、コロナ、カレルとリエラはちゃんとやってる?」

「はい、任務でも頑張ってますし」

「訓練も順調、心配はいらないです」

「もう、母さん、少しは僕達を信じてよ」

「私たちはお母さんの子なんだよ」

「だから心配なの、旦那と違ってあたしは魔法戦はからっきしだし」

「まあまあエイミィ、アインハルトとコロナもこう言ってくれてるし」

エイミィを宥めながら苦笑いする美由希

 

その後海鳴スパラクーアⅢで入浴を済ませた一同は現在施設内の卓球場にいた

「なかなかやるね、アンジュ」

ヴィヴィオ、リオのペアとアンジュ、ロイスのペアの対戦

特にアンジュの実力には目を見張るものがありほぼ一人でヴィヴィオ、リオを相手に善戦していた

「施設にいたころよくやっていたので」

「すごいな、僕はついていくのでやっとだ」

肩を落としながらリオの球を打ち返すロイスだったがリヴァイアスに反応が

「隊長!」

「えっ!?」

ロイスの呼びかけに驚いたヴィヴィオが思わず打球を強く叩いてしまいそのままロイスの顔面に直撃

大の字に倒れ込むロイスだった

 

アンジュ達が現場に急行すると手のひらサイズの水晶のようなものを持った古代遺失物狩りが

「古代遺失物狩り!?こんなところにも現れるなんて」

「あれが今回の古代遺失物(ロストロギア)!?」

「気を付けてください、先ほど届いた情報によればその水晶は高エネルギーの集まりです、ここで暴発したら町ごと吹っ飛んでしまいます」

「そうはさせない、カレル達の故郷は私たちが守ります」

アインハルトから届いた念話に気合を入れるアンジュ

光のリングを飛ばしてきた古代遺失物狩りの攻撃をかわし切りこんでいく

「ポセイドンスパイラル!」

ロイスの攻撃は古代遺失物狩りに容易く避けられてしまう

だが避けた先にアンジュとカレルが待ち構えていた

「Holy blade」

「切り裂け!」

「Jet Zamber」

斬撃で古代遺失物狩りを狙うがこれはロイスの水を利用して避けられてしまう

「(攻撃は素早く動きながら)」

カレルは攻撃しながらコロナに教わったことを反復していた

「(相手の攻撃だけじゃなくて………)」

そしてそれはアンジュも同様だった、ヴィヴィオの教えを思い出しながら戦っていた

「(全体をよく見る)」

古代遺失物狩りの射撃魔法をかわしながら再度切り込むアンジュ

「(攻撃と防御の両立………今僕に出来ることは)

リオとの訓練を思い出しながらロイスがリヴァイアスを構えた

水が古代遺失物狩りの進路を阻んでいく

「アクセル………」

避けた先にいたアンジュが古代遺失物狩りの背後に回った

「スマーッシュ!」

古代遺失物狩りの背中に強烈な一撃が決まる

吹っ飛ばされるとそのまま倒れ数回地面を転がっていく

その際古代遺失物狩りの手を離れた水晶をリエラがキャッチする

 

「すごいね、あいつらヴィヴィオが稽古つけてるんだろ?」

それを見たアルフが思わず口笛を鳴らしながら感心する

と、次の瞬間アルフの目の色が変わった

「嘘だろ………あれって」

 

立ち上がった古代遺失物狩りの周囲に複数の魔方陣が展開されては消え、スフィアが次々出現する

「まずいな、でかいのが来る」

「だったらその前に………」

突っ込もうとするアンジュだったが足元に展開した魔方陣から走った電気が彼女達の動きを封じ込める

「くそっ、どうすれば………」

「私がやる!アイギス!力を貸して」

古代遺失物狩りの魔法に対抗すべくリエラが防御魔法を展開する

スフィアから次々と攻撃が放たれリエラの展開した防御魔法に衝突する

「(信じるんだ、私の力を、アイギスの力を!)」

 

フォワードたちの姿が煙に隠れ見えないなか、隊長陣とアルフが現場に駆け付けた

古代遺失物狩りの攻撃がやみ煙が晴れていく

「はぁ、はぁ………」

するとそこには傷だらけのリエラの姿が

「な、何とか、防げました………後は………お願い………」

そう言い残しリエラはその場に倒れてしまう

だが彼女の活躍で後ろの3人は無傷で今の攻撃を凌いだ

「ありがとう、リエラさん」

アンジュはそう呟くと古代遺失物狩りに向けて突っ込んでいく

勢いよく拳を振り下ろし地面を砕いた

さらに空中へ逃れた古代遺失物狩り目掛けて鋭い蹴りを繰り出す

古代遺失物狩りはこの攻撃を避けることができず両腕を前に出して受け止める

だが防ぎ切れずに土手にたたきつけられた

アンジュが追撃しようとするが

「もうその必要はない」

ロイスに止められる

アンジュはほとんど無意識のうちにやっていたようで戸惑っていた

「ん?どうしたんだ?その眼?」

「え?眼?」

ロイスの言葉に首を傾げるアンジュの瞳は元の色から鮮やかな銀色に変化していた

 

倒れ込んだ古代遺失物狩りにアルフが詰め寄った

アルフは袖口を乱暴につかむと血走った眼で古代遺失物狩りをにらみつけた

「あんたには聞きたいことがある、なんであんたがあの魔法を………ファランクスを使える!」

先ほどの魔法はアルフにとってなじみのある魔法だった

それを古代遺失物狩りが使えることが気に食わないようだ

だが古代遺失物狩りは答える様子がない

「なんとか言えこの野郎!」

その態度に腹を立てアルフが爪を立てながら古代遺失物狩りに襲い掛かる

アルフの攻撃を片手で受け止めた古代遺失物狩りだが衝撃で身にまとっていたフードが引き裂かれた

「なっ!」

その姿を見たアルフは目を見開いて驚いた

「どうしてなんだ………」

薄めのブラウンの髪、山猫のような耳で白い服を着た女性

目の前にいる存在をアルフは信じられなかった

なぜなら………

「なんで生きて………それよりも………どうしてあんたが古代遺失物を狩り集めるような真似………」

戸惑いながらのアルフの問いかけに目の前の人物は答えようとしない

「なんとか言ってくれよ!どうなんだ!リニス!」

古代遺失物狩りの正体。それはアルフや彼女の主人に魔法を教えてくれた恩人………ある人物の使い魔だったリニスだったのだ

アルフの悲痛な叫びにもなにも答えずリニスはバインドを引き千切るとアルフを蹴り飛ばしその場から立ち去った

「アルフ!」

「アルフさん!」

隊長陣やフォワードメンバーも急いでアルフに駆け寄る

すると突然アルフは拳を勢い良く地面にたたきつけた

彼女は涙を流しうわ言の様に呟いていた

「なんでなんだよ………なんでリニスが………」




おまけ(エルス・タスミン)
前作の時点で地上部隊の警邏隊に勤務
周囲の後押しもあってか法務の道へ進むため勉強中
本格的な勉強を前にはやてからの誘いを受け機動六課へ
自由待機などの時間を使って執務官試験に向けて勉強をしている

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