魔法少女リリカルなのは Vivid Wing stars   作:ライジングスカイ

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というわけで1年の時を経て帰ってまいりました
前作から6年
今作から自分の考えたオリキャラたちが登場していきます
いろいろ設定に無理があるかもしれませんがどうかついてきてくれるとうれしいです


misson:1 憧れを胸に、翼開くとき

小さいころから………これといった取柄もなくて

弱い自分が嫌だった………でも………

少女が一人、映像記録を見て眼を見開いていた

その中で戦っている少女の姿に見入って、瞳を輝かせていた

あの人のようになりたくて、その憧れを胸に頑張ってきたんだ

やがて成長した彼女は格闘技を始めた、憧れをこの手につかむために

 

黒い制服に身を包んだ女性がブロンドのサイドテールを揺らしながら一人歩いていた

「うん、今日はこの後オフなんだけど、やっぱり気になっちゃって、うん、今日は久々にそっち帰れるよ、うん、それじゃ」

通信を終えると彼女の肩に乗っていたウサギのぬいぐるみが首を傾げた

「ん?なんだか楽しそう?そうだね、向こうにはアインハルトさんもいるって話だし」

ウサギの身振りをみて女性は笑顔を見せる

「これから会う子がどんな子なのか、楽しみだから」

 

ミッドチルダ

臨海第8空港近隣 廃棄都市街

一人の女性がそこに立っていた

長い栗毛を後ろで束ねた女性はあたりをしばらく見回して通信画面を開く

「OKです八神司令、生命反応、危険物反応なし、サーチャーとオートスフィアも無事設置完了、いつでも開始できます」

「了解、ほな私らはこっちのモニターで見てるから、そっちよろしくな、ディエチ試験官」

通信相手からの声にディエチは笑みを零し端末を操作する

 

一方廃ビルの屋上では槍をもった一人の少女が試験会場である都市街を見下ろしていた

黒く長い髪を靡かせ決意を胸に拳を握ると通信画面が開く

「こんにちは、魔導師昇格試験受験者のアンジュ・マーキュリー二等陸士で間違いないかしら」

ディエチが画面越しに微笑みながら尋ねると少女………アンジュは戸惑いながら

「はい、陸士257隊所属、アンジュ・マーキュリー二等陸士です」

「よろしい、所有ランクは陸戦Cランク、今日はBランクの試験で間違いありませんね」

「はい、間違いありません」

「確認終了、本日の試験官を務めさせていただきます、ディエチ・ナカジマ二等陸尉です」

「よろしくお願いします」

そこまで言ってアンジュは何かに気付いたように考え込む

「って、気のせいかな、この人どこかで………」

「なにか?」

「あっ、いえ、何でもないです」

ディエチが首をかしげるのを見て慌てるアンジュ

「(頑張らなきゃ………あの人に追い付くためにも)」

拳を握りしめるアンジュ

小さいころ見たインターミドル

そこで戦っていた2人の少女

特にブロンドに緑と赤の虹彩異色が特徴的な少女

闘いの中でとても楽しそうで、まっすぐできれいな瞳をしていた

その姿が彼女には輝いて見えた、あの人のようになりたい

そう思い魔法や格闘技の腕を磨いてきた

努力の結果その腕を買われ管理局へと入局することとなり彼女は今ここにいる

 

上空を飛ぶヘリコプターの内部でアンジュの様子を見ている者たちがいた

「いやぁこうして見とるとスバル達の試験を思い出すなぁ」

そう零しながら画面を見て笑顔になる茶髪に黄色と赤の髪飾りが特徴の女性と

「それで、彼女が例の………」

その隣で真剣な表情でモニターを見る碧銀の長い髪を大きなリボンでまとめてポニーテールにしている女性

 

時空管理局特別捜査官

八神はやて中将

 

時空管理局陸上警備隊所属

アインハルト・ストラトス一等陸尉

 

「せや、結構面白い子でな、アインハルトもきっと気に入ると思うよ」

「どうやら始まったようですね」

アインハルトの言葉にはやてもモニターに注目する

 

「リヒトフリューゲル」

アンジュの背に白い翼のようなものが広がり勢いよく地面を滑空していく

「移動魔法の一種でしょうか?」

「うん、あの翼から魔力が出てる、あれで加速させてるんやろ」

 

オートスフィアから攻撃が放たれアンジュに向かっていく

だがその攻撃は命中するかと思われた瞬間に空を切った

そのまま銀色の魔力を纏ったアンジュが槍で一突きしてでオートスフィアが破壊される

 

「今の動き………」

「お、アインハルトも気づいたようやね」

アンジュのその戦い方を見てアインハルトがつぶやくとはやてが笑みを零す

「よぉ似てるやろ」

はやてのその言葉と共にアンジュがターゲットを拳で撃破する

 

「八神司令から聞いてはいたけど、本当そっくりね」

ゴール地点でモニターを見ていたディエチも思わずつぶやく

「相手の攻撃を見切る観察眼とスピード、そして懐に飛び込む勇気」

 

「攻撃直後のわずかな隙を捕らえる反撃型の格闘スタイル………」

アインハルトが見ているモニターではアンジュがオートスフィアの攻撃をかわし槍に魔力を纏わせ攻撃を仕掛けていた

「カウンターヒッター」

アインハルトがそう言うのと同時にオートスフィアがアンジュの攻撃で破壊された

「私にはもう一人別の子がかぶって見えるけどな、術式も近代ベルカやし」

そう呟くはやての脳裏には過去の出来事が浮かんでいた

「さーて、この子は最後の難関をどう突破するかな」

そう言って画面を操作するはやて

「えっと今回設置されたのはっと、ありゃ、移動式の大型スフィアやな」

「高出力攻撃で目標を殲滅する自走式の移動スフィア、もし一撃で倒せなければ………」

「反撃でそのままリタイア、さて、どう対処するんか見物やね」

そう言って笑うはやての顔を眺めて首をかしげるアインハルト

「ん?どないしたんやアインハルト」

「いえ、なんだか八神司令、とても楽しそうに見えたので」

アインハルトのその言葉にはやてはにやにやと笑いながら画面に向き直った

「楽しいよ、前の六課立ち上げた時のこと思い出すし、何より今度こそ悔いのないようにしたいって、せっかくみんなが背中押してくれたんやから」

はやては思い出していた、彼女のために大切な家族が用意した書類を差し出す姿を

「アインハルト、うち頑張るよ、みんなの思いに応えるためにも」

 

「はぁっ!」

勢いよくターゲットを貫くアンジュ

ターゲットを破壊し次のフロアに移るといきなり高出力攻撃が彼女に向かって飛んできた

それに気付いたアンジュは何とか回避して前方を見据える

そこには先ほどはやて達の危惧していた大型スフィアが彼女を見据えるかのように待ちかまえていた

 

「さあ、いよいよボスの登場やで、アインハルトならどないする?」

「一度でも当たればそれだけで危険ですから、まずは中距離攻撃で隙を作って………」

「お?」

ふとはやては画面の中のアンジュの瞳を見て目を見開いた

「どうやらこの子は違う選択肢みたいや」

はやてのその言葉と共にスフィアから高出力攻撃がアンジュに向かって放たれる

「リヒトフリューゲル」

翼を展開したアンジュが横に向かって疾走するとスフィアが標準を彼女に向けながら移動を始める

アンジュはと言えば槍をしまうと移動しながら拳に魔力をため始めていた

「負けられない………あの人みたいに………」

そう言って拳を振り上げるアンジュ

スフィアの攻撃をかいくぐり懐に飛び込んだ

「強くなるんだ!」

そのまま魔力をため込んだ拳を下からスフィアに向けて叩きこむ

「アクセルスマッシュ!」

彼女の一撃で大型スフィアはたやすく飛ばされ天井に激突して爆散した

 

「決まりやな」

その光景を画面で見ていたはやてはそう言って立ち上がった

「アンジュ・マーキュリー………この子なら」

 

ディエチの待機しているゴール地点にはやてとアインハルトの乗ったヘリが降り立った

「八神司令?アインハルトも………」

ヘリから下りてきた彼女達を見て驚いた様子のディエチ

「あとは戻ってくるのを待つだけやろ、この調子なら合格間違いないし、ここで待たせてもろてもええやろ」

「わかりました、では彼女は………」

「まあ引き受けてくれるかは本人次第やけどな」

そう言って彼女が来るであろう道筋を見るはやて達

だが待っていたのはしばしの沈黙

三人ともしばらくして変に思ったのか首をかしげる

「変やな、あの子のスピードやともうつくころなんやけど」

「何かトラブルでしょうか?」

「あ、来たようです」

アインハルトの言葉と共にアンジュがふらつきながらゆっくりとこちらに向かってきた

その様子に三人の頭に再び疑問符が浮かんだ

「歩き?なんで?」

「しかもなんかすごく疲れてるような………」

「というか彼女………バリアジャケット解けてませんか?」

確かにこちらに向かう彼女の姿は局の制服姿

一体何があったのだろうか、そう思って全員が彼女に駆け寄った

「アンジュ・マーキュリー二等陸士!?大丈夫ですか?」

「す、すいません」

ディエチが声をかけるとアンジュが手に握っていた何かを差し出す

「大型スフィア………倒したのは………いいんですけど………で、デバイスが………」

息を切らしながら彼女が差し出したのは壊れたデバイス

彼女が使用していたものだろうが煙を上げて沈黙していた

「オーバーヒートでしょうか?」

「(あれ?この人は確か………)」

彼女のデバイスに覗き込んだ女性の顔を見てアンジュは目を見開いた

彼女が魔法や格闘技に進むきっかけとなったインターミドルの試合

あこがれの人と戦っていた対戦相手、何度も記録映像を見ている彼女は見間違えるはずがなかった

「みたいだね、えっと………」

ディエチが受け取ったデバイスに触れてみると見事に火花が散っていた

「どうやら魔力に耐え切れなくなって壊れたみたい、はりきりすぎちゃったね」

「あぁ、またやっちゃった」

ディエチに言われ落ち込むアンジュ、口ぶりから察するにデバイス破壊の常習犯のようだ

「ははっ、こりゃ予想以上やな」

肩を落としながら笑っていたはやてがふとゴール地点から歩いてくる影に気付いた

「なんや、来とったんか」

「ええ、正式採用が決まったら、私の部下になるわけですから」

その声に顔を上げたアンジュが見たのは黒い制服を着こなした女性の姿

その姿を見たアンジュは目を見開き驚いた

白いリボンで結ばれたサイドテールを揺らしながらアンジュに歩み寄ったのは………

「はじめまして、アンジュ・マーキュリー陸士、本局執務官、高町ヴィヴィオです」

局員証を見せるその人は、かつてアンジュが惹かれた憧れの人だった




おまけ
こちらでは毎回キャラクターたちが前作の後どのような道を進んできたかに触れていきたいと思います

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