インフィニット・ストラトス~悪魔は乙女と踊る~   作:ラグ0109

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#28 悪魔と乙女と帰る場所

束を背中にしがみつかせたまま無言で寮へと戻ってきた俺と千冬は、既に消灯時間になっていたことにホッと胸を撫で下ろした。

何といってもVIP中のVIPである篠ノ之 束が、寮を訪問したとなれば上へ下への大騒ぎになるのは目に見えている。

しかも事件直後…そんな事になれば、教師陣の睡眠時間がゼロになることは必定だ。

俺は何も問題が無いとはいえ、同僚にそんな目に合って欲しくないからなぁ…。

束に黙ってないと殺すと脅しを入れて抜き足差し足で千冬と共に入る寮は、消灯時間と言うこともあって静まり返っていて何処か物寂しい。

 

「…何処までついてくる気だ?」

「えー、そりゃもちろん愛の巣まで!」

「もうちょい声抑えろ…」

 

眉間を揉みながら、背中にしがみつく束をずるずると引きずり続ける。

地下施設から一向に離れる気配の無いところを見ると、寮長室までやって来ることは充分に考えられた。

…此処に住むとなるとクーの扱いをどうするのだろうか?

いや、答えはもう見えている…ある意味ドイツの機密存在であるあの小娘を、この場所に置くのは非常に不味い気がする。

遺伝子を弄繰り回されて体を弄ばれて…クーの存在が世間に露見した場合、どうなるか分かったものではない。

まぁ、一度助けたものを見捨てるほど情が無い訳でもないので、暴れるのも吝かではないんだが…千冬には正直に話しておいた方が良いだろう。

どうにも面倒事が重なり始めている気がしてならないな。

 

「んっふふ…アモンは良い匂いがするなぁ…」

「否定はしないが…」

「臭いって言われるよかマシだけど、嗅ぐんじゃねぇよ…」

 

束は俺のうなじに顔を埋めて、深呼吸をするように匂いを嗅ぎ続ける。

暴れられるよりは良いのだが、匂いを嗅がれる度にどうにもむず痒い。

しかも、束がそう言った変態的行動を取る度にぐいぐいと千冬が俺に体を寄せてくる。

…こう言う所、本当に可愛いんだがなぁ…普段が普段なんだよなぁ…。

 

「なんだ、言いたいことがあるなら言ったらどうなんだ!?」

「千冬、声、声。徹夜は嫌だろ…?」

「むぅ…」

 

千冬の唇に人差し指を押し当てて黙らせると、顔を真っ赤にして途端に静かになる。

廊下に響くのは、俺と千冬の足音と束の呼吸音くらいになる。

俺が僅かに腕を広げると、千冬はすかさず自分の腕を組ませて指を絡ませる様に手を繋いでくる。

素知らぬ顔で腕を組んできているが、グイグイと自分の胸を押し付ける様にしている辺り、束にリードを許すまいと言う意思が感じられる。

箒や一夏が今の俺の惨状を見たらどう思うのやら…。

何事もなく、熾烈な女の戦いに挟まれながらも寮長室に辿り着けば、思わず俺は固まる。

何というか…こう…空気が違うのだ。

 

「あれれ~、どうしたのかなぁ~?」

「…お前な、なんかやったろ…?」

「何をした、束?」

 

千冬も同様に寮長室の変化に気付いたのか、千冬も胡乱な目で俺の背中から依然として離れない束を見つめている。

束は不敵に笑いながらも沈黙し、俺に鍵を開ける様に促し始める。

 

「いいから、いいから…早く入ろうぜぇ~」

「…処す?」

「…内容によりけりだ。鍵はアモンが持っているのだろう?」

 

千冬は諦めろ、と首を横に振ってため息を吐く。

この辺の諦めの速さは付き合いの長さ故なんだろう…仕方なく懐から鍵を取り出して差し込んで開ければ、目の前に予想通りの人物が慎ましやかに立っていた。

 

「おかえりなさいませ」

「「……」」

「たっだいまー!クーちゃん!」

 

黒いゴシック調のエプロンドレスに身を包んだクーは、恭しく俺たちに頭を垂れて出迎えてくれる。

まるで、今まで帰って来るのをそこで待ち続けていたかのようだ。

束は元気よく俺の背中からクーに声をかけると、漸く背中から離れてツカツカと寮長室へと入っていく。

 

「…思った事言っていいか?」

「言うな…大体わかる…」

「何か…粗相を働いてしまいましたか?」

 

俺と千冬は殆ど同じタイミングで片手で両目を覆い、起きもしていない頭痛に耐える。

そんな様子を見たクーは、おろおろとした様子で俺たち…取り分け、俺に対して恐れる様に声をかけてくる。

 

「いや、気にすんな…お前は悪くねぇ…悪くねぇんだ…」

「そうだな…お前の保護者がな…」

「は、はぁ…一先ず、お入りください」

 

クーに促されるままに俺と千冬は、『元』寮長室へと足を踏み入れていく。

寮長室に踏み入れた俺は、強い眩暈を覚える。

体調を崩したとかそういう事ではなく、原型を留めることなく変貌してしまった寮長室を見てしまったからだ。

まず、部屋の間取りが拡大していた…兼用だったはずのリビングと寝室は完全に分けられ、革張りの高そうなソファーに、踝まで埋まりそうなカーペットが敷き詰められている。

リビングに設えられたゴシック調のキャビネットには千冬の好きな銘柄の酒が並べられている。

ソファーの前に置いてあるテーブルは大理石製の物が置いてある。

いつからここは高級ホテルのスィートルームになったのだろうか?

 

「まてまてまて…どうしてこうなった、つか間取りがおかしい!テメェどうやって拡張しやがった!?」

「そりゃもう、量子空間に片足突っ込んでるからねぇ~。便利でしょ~?」

「戻せ、束…頼むから…」

 

束は聞く耳持たぬと言わんばかりにソファーにだらしなく座り、テーブルに置いてある籠の中に入っているクッキーに手を伸ばしていく。

深いため息とともに千冬に手で風呂に入る様に促し、俺は束の座っているソファーとは対面に腰掛ける。

 

「なんと説明すれば良いんだ…」

「もうなるようにしかならねぇよ…風呂入ってこいってば」

「いや、この娘の事に関して聞かなければならないこともあるからな」

 

千冬は自分の背後に控えているクーを指で指し示し、俺の隣に座って身を寄せる。

どうも、厄介事であるならば一気に腹に抱えてしまおうと言う魂胆が見えるな。

クーは束の隣にちょこんと座り、静かに黒く染まる金の瞳をこちらに見せてくる。

その瞳は闇に浮かぶ月の様に、どこか儚げで幻想的にさえ見える。

 

遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)…」

「そ、クーちゃんはその最後の生き残りだよ。アモンと束さんで施設をボッコボコにしてやったからね。あ、ドイツ軍の隊長さんもだっけ~?」

「…そうだな」

 

千冬は自分の手を組んで強く握り、軽く息を吐き出す。

この分だと、ドイツ軍が過去に何をしていたのかはある程度独自に調べていたようだな…手助けしたのはボーデヴィッヒのおっさんか。

どこまで知っているのか…だが…。

 

「束、アモンも巻き込んだな?」

「最初はスケープゴートにするつもりだったんだけどね…興味湧いたからこうして学園に居る訳だけど」

「やっぱり見捨てる気だったか…まぁ、過ぎたことをとやかく言うつもりはねぇけどな」

「さっすがアモン、話がわっかるぅ~!」

「後で泣かすけどな!」

 

大方、あの時は千冬や一夏と仲良くしている俺が気に食わなかったとかそんな理由で、秘密研究所を襲撃したテロリストとして差し出すつもりだったんだろう。

勿論、そうなっても逃げ切る自信はあるんで問題は無かったが…。

自分が中心に世界が回っている…と言う考え方は、その内調教して改めさせて行けばいいだろう。

 

「ひっどいもんだよ~、その隊長さんと違って、クーちゃんは完全に玩具扱いだったからね~」

「束、それは関係ねぇ話だろ…蒸し返すな」

「いえ、私は大丈夫です」

「震えてるのにか?」

 

殴る蹴るの暴行だけならまだ良かっただろう、慰み者にされてしまうのも仕方が無かったかもしれない…けれども、玩具の様に、子供が蟻を踏み潰すように尊厳を叩き折る様な真似をクーは受けてきた。

クーは顔をやや青ざめさせて、僅かばかり顔を俯かせている。

束は今になってそんなクーの様子に気付いたのか、クーに抱き着いて子供をあやすように頭を優しく撫でていく。

 

「クーちゃん、メンゴメンゴ!ちょっと無遠慮だったねぇ!」

「い、いえ…私は構いません…すべては救っていただいた束様とアモン様に恩返しができれば…」

「もぅ!ママとパパだって教えたでしょ?」

 

…この場合、パパってのは俺の事を指すんだろうな。

懐から煙草を取り出して口に咥えて火を点けると、横からどこか恨みがましい視線が俺に注がれてくる。

そんな目をされても、俺は何も答えられません。

 

「あ、そういえばクーちゃんは自己紹介してなかったねぇ!ほら、アモンとちーちゃんにしてあげて?」

「はい、束様」

「何処までもマイペースだな、おい…」

 

すっかり、俺と千冬は束のペースに飲まれてしまい、会話の流れを掴めなくなってしまっている。

クーはゆっくりと立ち上がり、スカートの裾を摘まんで深々とお辞儀をする。

 

「クロエ・クロニクルと申します。以後、お見知りおきを…アモン様、織斑様」

「渾名だったのか…」

「束…その名は…」

「へっへ~、良いでしょう?私たちは忘れちゃいけない名前だし…」

 

クー…もといクロエは俺と千冬の反応に首を傾げ、何処か不思議そうにしている。

俺としても、千冬の少し驚いたような顔は何処か新鮮で、そして何かが引っかかる。

少なくとも、世間一般に認知されている束の交友関係に、千冬以外の名前と言うのは知られていない。

もちろんプライベートの話なので、世間に認知されていない交友関係も勿論あるだろう。

千冬は少しだけ悲しそうに顔を伏せ、束は穏やかに笑みを浮かべるだけだ。

俺は1つだけ咳ばらいをして、リビングに広がる沈黙の空気を振り払う。

 

「ともあれだ、ボロボロだったクロエを助け出し、少しばかり不安だったが束に預けてたわけだ」

「…どうして、助けた?」

「ハッ、俺に理由を求めんなよ。やりたい事をやるのが俺なんだからな」

 

千冬の静かな問いに、俺は軽く肩を竦めた後にソファーにふんぞり返る様に座りなおす。

欲求にただただ忠実であれ…自己満足であろうと利己的であろうとだ。

その果てに何が待っていようとも。

 

「アモン…なんでもかんでもと抱えられる訳ではないだろう?」

「さて、な…できる事とできない事くらいは分かってるつもりだけどな」

「アモンにできないことは無いよ…だって束さんがいるからね!」

 

束はドヤ顔で大きく胸を張り、鼻息を荒くする。

出来ないことは何もない…そう、信じて疑っていない顔だな。

実際のところ、束にもできないことがあるだろうに…。

 

「ところで、だ…クロエの扱いはどうすんだ?」

「6月にここに転入してくる奴らいるでしょ?そいつらと一緒に学園所属にするよ~」

「何を勝手な…それにその話はまだ…」

「束様、私は束様のお世話ができれば…」

 

6月…随分と中途半端なタイミングで、転入生を寄越してくるもんだな。

まぁ、学園の難関試験を突破さえできれば、転入自体は何も問題が無い。

タイミングどうこうなんて言うのは、大して関係が無いのだ。

クロエの所属の話を進めようとすると、クロエは首を横に振って嫌そうにする。

 

「クーちゃん、そんなに嫌?」

「はい」

「これまた、きっぱり言うな…。目か?」

 

クロエは静かに頷き、瞼の上からそっと自分の目に触れる。

どうしたって人と違ってしまう部分…それも目に見えて分かってしまうそれは、クロエにとってもコンプレックスとなってしまっているようだ。

クロエはちょこんとソファーに座った後、俯いたまま強くスカートの裾を掴む。

 

「…私はこの目をあまり見られたくありません。私自身、割り切れていると言う訳では…」

「束、母親役をしていると言うのであれば、あまり無理強いはするな」

 

千冬が束に対してピシャリと言うと、束は唇を尖らせてそっぽを向いてしまう。

ただ、母親と言う言葉に反応したのか、渋々と言った感じだが静かに頷く。

 

「かと言って、この部屋に缶詰って訳にもいかねぇだろ?束と同様に客人として丁重にもてなす形にしといた方が良いんじゃね?」

「分かっている…学園としろIS委員会にしろ、束の居場所が割れているのは色々と都合が良い」

「…申し訳ありません」

「「何がだ?」」

 

いきなりクロエが深く頭を下げてきたので、俺と千冬は異口同音に同じ言葉を発して同時に首を傾げる。

それは見事なシンクロっぷりだったらしく、束は『ウププ…』と忍び笑いを漏らして笑いを堪えているが、千冬は勘に触ったのか懐に入れていたボールペンをナイフ投げの要領で束の額に投げ飛ばして黙らせる。

スコン、と小気味の良い音を立てて、ボールペンは束の額に直撃して砕け散った。

…どんな力で投げりゃ砕けるんだよ…。

 

「クロエ…子供は大人に迷惑をかけても構わないんだ。その逆はあってはならないがな。だから、今は精一杯生きて、精一杯成長しろ…お前なりにな」

「お前には色々あるんだろうが、小難しい事は抜きにして生きてみな。俺のダチみてぇに眉間に皺を寄せてたら可愛い顔が台無しだ」

「だから、お前はそうやって軽口を叩くな…」

 

千冬と一緒にクロエを諭してやると、本当に優しくコメカミを拳で小突かれる。

何時もであれば少しだけ本気の拳が飛んでくる筈なんだが…。

 

「千冬…お前、手加減できたのか?」

「お前は私を何だと思ってるんだ…」

「イチャついてないで、束さんの事を心配してくれても良いんじゃないかな!?」

 

俺の言葉に、千冬は呆れたようにため息を吐く。

どう思ってるかと言われれば素直に言ってやりたいところだが、今度は手加減なしで拳が飛んできそうなんで黙っておくことにする。

鋼鉄の女とかトビキリの美人とか。

そうこうしている内に、痛みに悶え苦しんでいた束は漸くこちらに向き直り、頬を膨らませて抗議の声を上げる。

そんな俺たちの様子を見て、クロエは口元を押さえてプルプルと震え始める。

 

「…っ…」

「クーちゃん…?どこか苦しいのかな!?」

「おいおい、大丈夫か?束、コアは馴染んでるんじゃねぇのか?」

「万が一なんてこの束さんが起こすわけないよ!」

「ち、ちがいま…フフッ…」

 

クロエは堪えていたものを抑えきれなくなったのか、小さく笑いだしてしまう。

俺と束は、顔を見合わせてホッと一息つく。

折角助けたものがいきなり亡くなるなんて、笑い話にもなりゃしない…等と思って胸を撫で下ろす。

 

「申し訳ありません。その、あまりにも仲が良かったので…」

「まぁ、仲良くなきゃこれからやっていけねぇからなぁ…」

「そうそう、家族みたいなもんだしね!」

「籍入れてねっつの」

 

漸く落ち着いたのか、ひとしきり笑い終えたクロエは深々と頭を下げて謝罪してくる。

別に謝る様な事でもないんだがな…恩人って思ってるからこそ、あまり失礼な態度をとりたくないってところか。

クロエと束とで朗らかに笑っていると、今度は千冬から不機嫌そうな咳払いが飛んでくる。

 

「んんっ!…お前たち、コアとはどういう事だ?」

「あー、まだ言ってなかったか…」

「そうだそうだ!クーちゃんの心臓がISコアだっていうのを教えるの忘れてたぜ!」

「おい」

 

束は自分で頭を小突きながら舌を出し、軽い感じで千冬に謝る。

いや、謝る様な事でもないんだがな…。

 

「いやいや、待て…それではなんだ?この娘は喋るISと言う事か?」

「生体同期させなきゃね、この子は遠からず死んでたんだよ…。ちーちゃん、これは私でもどうしようもないこと。それだけ、酷いことをされてたってことさ」

「…この件に関しては他言無用だな。束、お前の方できっちり面倒を見ておけ。学園にもクロエの体の事は伏せておく」

「それが懸命だわな…クロエの身を案じるなら」

 

束の事だから、何かしら身を守る手段を持たせているだろう…だが、今までペットの様に飼われていた少女が、非常事態にすぐ対処できるとは思えない。

…学園内に俺を襲った奴等の仲間が居るのは、明白な訳だし。

 

「そだねぇ…まぁ、束さんの傍以上に危険で安全なところはないさ!」

「言うねぇ…」

「そこにアモンとちーちゃんが加わることで、最強に見える」

「調子の良いことを…まぁ、良い。一先ず明日理事長に話を通すから、アモンもついてこい」

 

千冬の言葉に俺は素直に頷く。

どのみち、専用機関連の書類の提出なんかもあるんで、同行するのは何も問題が無かった。

あとは…。

俺はジィッと束を見つめる。

 

「やだ…アモンが熱い視線で見てる…」

「脱ぐな脱ぐな…ヤらねぇし、ガキの前でヤるかってんだよ!?」

「アモンは、大人しくしているかどうかと、箒と仲直りしろ…そう言いたいんだろう?」

「そう言うこった。学園に来たのはその辺も絡めてなんだろ?お前にしちゃ思い切りもよかったからな」

 

束がエプロンドレスを脱ごうとするのを止めると、千冬から補足するように説明が入る。

如何せん、何でもできる癖に好きな奴にはとことん不器用だ。

好意をもった相手には、ドストレートにしか想いを伝える事が出来ない。

その癖、本気で嫌われていると分かると、途端に割れ物を触ることもせずに眺めるだけだ。

対人関係が壊滅的だと、こうも両極端になるものなのだろうか…?

 

「まぁ…いつまでも、このままって言うのは…良くないし?」

「…お前、何を吹き込んだんだ?」

「いや、口酸っぱく仲直りしろって言っただけだったんだがな…」

 

束は、両手を組んでモジモジと体を揺すりながらたどたどしく本音を口にする。

これから起こることに対する不安なのか、それは歳不相応に少女らしかった。

俺はゆっくりと立ち上がって束の傍まで向かい、頭についているメカニカルなうさ耳を引っこ抜いて直接ワシワシと頭を撫でていく。

 

「まぁ、フラれたら慰めてやるし、骨も拾ってやる」

「アモン…ありがと」

「…!?」

 

束が俺に対して礼を口にすると、今度はその反応に対して千冬は目を丸くして驚く。

…お礼をまともに言うなんてこと、自体殆ど無かったんだろうなぁ…。

引っこ抜いたうさ耳を束に手渡すと、俺は隣に座っていたクロエを抱きかかえる。

 

「俺先に寝るわ…疲れた」

「あ、あぁ…おやすみ」

「んっ!寝室皆一緒だからね!」

「…あいよ~」

 

クロエは緊張が解れていたのか、スヤスヤと穏やかな寝息を立てて眠っている。

兎に角、明日だ…今日はもうゆっくりと寝ちまおう…。

俺は千冬たちに見送られながら、クロエを起こさないようにゆっくりと寝室へと向かった。




束が襲撃中にすぐに来なかった理由


部屋の大改装に忙しかったから(嘘

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