転生少年と月の目モドキ   作:琴介

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 誤字脱字、日本語がおかしい所があるかもしれない。
 良かったら教えてください。お願いします。
 では、始まるよー。


原作前
プロローグ:二つの山


 空が黄色い。

 そこに雲は無く、ただ、黄色が広がっていた。

 それを、寝転がって俺は見ている。

 

「まじかー」

 

 なんとなくだが、自分の状況が理解できた気がする。

 ……これって、もしかして……。

 俗に言う、あれかな? 二次創作でよくある――。

 

「ん?」

 

 ……頭の下に、なんかある。

 後頭部が、軟らかい"ナニカ"に乗っている。

 頭を動かしてみると、フニフニと弾力があり、顔を動かしても崩れない〝ナニカ〟。

 うーん、と考えながら頭でフニフニしていると、

 

「ふふふ」

 

 唐突に、頭の上あたりから声がした。

 

「へ――?」

 

 声の方を見ようと顔を向けると、横に布で覆われた大きなふくらみがあった。

 ……山……?

 違う。こんなところに布を被った山? があるわけがない。

 触ってみると軟らかく、弾力があった。

 なんだコレ、と考える。

 触った〝ソレ〟は、今なお後頭部に感じる〝ナニカ〟と同じ感触だ。

 そして、先ほどの声。あれは間違いなく女の人の声だった。

 今の自分の状態と、軟らかい〝ソレ〟と〝ナニカ〟に加えて女の人の声。

 導き出されるのは……、 

 ――胸か――!

 

「えっと、その、――ごめんなさいぃぃ!!」

 

 考えが至るや否や、俺は即座に起き上がり、土下座する。

 

「あら、もういいんですか? ふふふ、気にしていませんから、顔をあげてください」

 

 言われ、顔をあげると、さっきまで自分が寝ていた所に一人の女の人が座っていた。

 

「……誰?」

「神様です!」

 

 ものすごい笑顔で言われた。

 マジで? 神様って、ええ!?

 

「……お名前は?」

「イザナミです」

 

 ははは、……それって、

 

「……天照大御神とかの、お母さんの?」

「あら。よくご存じですね」

 

 ゲームとかアニメで、興味持って元ネタになってそうな神話とか、色々調べていた時期があったんで。

 

「……神様が俺なんかにどんなご用件で……?」

 

 ……いや、まあなんとなく予想はつくけど。

 

「あ、予想はついているんですね。なら、話は早いです」

 

 考えを読まれた!?

 

「ふふふ、私、神様ですよ?」

 

 それを言われると納得するしかなあ。

 

「――単刀直入にいいますが、貴方は死んでしまったんですよ」

 

 ですよねー。なんか知っているようなシチュエーションだったし。

 

「やっぱ、死んでたかー」

「……覚えています? 死んだ時の事」

「うーん。なんか、……ガラス? みたいなのが降ってきた」

 

 確か、学校帰りで駅に向かっている時の事だ。

 なんとなく、いつもと違う道を通って帰ろうとして、信号待ちをしていた時だった。

 危ない! と言う誰かの叫び声が聞こえ、ふと上を見たら、ガラスのようなものが降ってくるのがゆっくりと見えた。

 

「そうです。……そして私は、貴方に謝らなければいけません」

 

 何故? もしかして、俺が死んだのってイザナミさんの所為だった感じ?

 

「似たようなものです。本来、貴方はあの場で死ぬ運命ではなかったのです。

 私の子供たち、……アマテラスとスサノオが喧嘩をしてしまい、それを止めに入ったツクヨミも加わってしまい……、その影響が少なからず、人間界にも出たみたいでして……」

 

 ……え、喧嘩!?

 

「それで俺、死んだの……?」

「……はい……」

「他に死んだ人は……?」

「いません……」

 

 本当に、申し訳ありません、と頭を下げるイザナミさん。

 

「死んじゃったもんは仕方ないですって。気にしていませんから、顔をあげてください」

「ですが……!」

 

 ……親や友達を悲しませただろうなあ。

 録画していたアニメやドラマ、クリアしてないゲームに読みかけの漫画やラノベの続きが気になる。

 だけどそれでも、イザナミさんは謝ってくれた。神様なのに、頭を下げてまで。

 だから、

 

「ほんと、気にしてないですから。何だったらさっきの、その……。胸、……を触っちゃったのでチャラってことで」

 

 謝罪の言葉だけで十分だ。

 俺以外の犠牲者はいないみたいだし。

 

「……ありがとうございます。それで、ですね、……貴方を転生させようと思います」

「転生……?」

「今回は我々の不手際で貴方は死を迎えてしまったので、お詫び、と言うことです。

 ――所謂、第二の人生、を差し上げます」

 

 ……ほほう。それはありがたい。

 二度目の人生はめちゃくちゃ楽しんでやる……!

 

「そこで、貴方には選択をしてもらいます」

「選択って、転生先選べるの?」

「はい。まず一つ目は〝生前と同じ世界〟 二つ目は〝生前と同じ世界だけど違う時代〟 三つめは〝アニメやゲームなどの世界〟です。どこがいいですか?」

「三つ目で!!」

「ふふふ、即答ですか」

 

 やっぱり、と笑顔になるイザナミさん。

 当り前だ! アニメとかゲームとか、二次元の世界に行けるなんて最高じゃないですか!

 

「それで、どこの世界に転生できるんです!?」

「そうですね……。貴方が最近、はまり直していた〝魔法少女リリカルなのは〟の世界なんてどうですか?」

「マジで!?」

「よろしいですか? では、特典を五つ、決めて下さい」

「へ、五つ?」

 

 特典って、あれかな。

 よく二次創作とかである、所謂、チートな能力をもらって異世界へGo! みたいな?

 

「その通り、何でもいいですよ。好きなモノを選んで下さい」

「うれしいけど、何で五つ? こういうのって大抵、三つまでとかだよね」

 

 そういった二次創作の小説とかを読んだことがあるが、基本的には二、三個ぐらいだ。

 

「さっきも言ったように、お詫びだからです。原因となったアマテラス達三人と親である私と夫――イザナギの二人分です。――子の責任は親の責任、とも言いますからね……」

「……そっか」

 

 それなら、遠慮せず選ばせてもらおう。

 

「じゃ、一つ目はデバイスの――」

「ああ、それでしたら別枠でお聞きます」

 

 設定を、と言おうとしたら、先にイザナミさんが言った。

 

「なら改めて、一つ目は〝Fateシリーズに登場する宝具を全て使える〟で。

 ――でも、特殊能力系の宝具は、自分がそれ相応の強さになってから使えるようにしてください」

 

「構いませんが……」

 

 何故? と頭に疑問符を浮かべるイザナミさん。

 

「その方が鍛える楽しみが増えるし、自分が強くなったって実感できると思うから」

 

 ……使うかわかんないけどねー。

 どちらかと言うと武器・アイテム系の方が好きだし、使ってみたいのよね。

 

「……変わっていますね。自分から制限をかけるなんて」

「やっぱり?」

「ふふふ、自覚はあるのですね!」

 

 むう。笑われるとは思わなかった……。

 自分の顔が赤くなったのが分かる。

 

「まあまあ、ふふふ。それで、二つ目はどうします?」

「んー、じゃあ二つ目は〝全ての宝具を真名解放できる〟でお願いします。使えるだけじゃ意味が無いので」

「なるほど。それもそうですね」

「三つ目は〝全ての宝具に非殺傷設定が出来る〟でお願いします」

 

 武器系とか破壊兵器だからね。間違っても人殺しとかしたくない。

 

「それで、四つ目は〝一晩寝たら体力と魔力が完全回復する〟で。……次の日まで疲れが残るの、嫌ですから」

 

 やっぱり、朝は気分よく起きたいよね!

 

「五つ目は〝魔力量の成長限界突破〟でお願いします」

 

 最後は無難な感じで良いよね。

 

「わかりました。では、デバイスですが、何かご要望はありますか?」

「インテリジェントデバイスにしてください。それで、性能はFate/EXTRAシリーズのムーンセルと同じ性能でお願いします。……あ、〝事象の書き換えができる〟は無しで」

 

 さすがにそこまでは要らない。特典で〝Fateシリーズの宝具を全部使えるように〟と〝魔力量の成長限界突破〟を頼んだが、別にそれで無双をしたい訳でもない。単純に宝具を使ってみたいだけ。

 ……だって、ビーム撃ったり名前叫んで攻撃とか、誰でも憧れるよね?

 原作にだって関わってハッピーエンドにしようとは思うけど、ハーレムはどうでもいい。

 主人公たちとは友達くらいになりたい。だってその方が気楽でしょ。

 

「あら、それでよろしいのですか……。では、他の性能はどうします?」

 

 ふふふ、と口元を隠して笑うイザナミさんは、どこか楽しそうだ。

 

「他は、……無いかな……。イザナミさんにお任せで」

 

 特にこれといって思いつかないし。

 

「わかりました。そう言う事なら期待していてくださいね。……それで、魔力量はどうします?」

「最初はそんなに高くなくていいですよ。頑張って鍛えるから」

「……そうですか……。――では、次で最後になります」

 

 なんでございましょうか?

 

「――転生の前に、ご家族を一目見て行きますか……?」

 

 ――それは。

 

「……やめとこうかな」

「何故ですか?」

「――だって、泣きたくなっちゃうじゃないですか……」

 

 今だって、泣きたいし、謝りたい。先に死んでごめんなさい、と。

 

「ははは、……我慢してたのに、――なんで」

 

 涙が、溢れてくる。

 

「泣いてください。好きなだけ……」

「うぅっ――――」

 

 イザナミさんに抱きしめられ、

 

「うあ――!」

 

 一気に涙が零れた。

 

「我慢するなんて、……男の子ですね、やっぱり」

 

 イザナミさんは、俺の涙を拭い、頭を撫でてくる。

 

「……落ち着きましたか?」

「はい。なんとか……」

 

 久しぶりに泣いた、と思い今の状況を考える。

 イザナミさんの胸を借りていて、頭をなでられている。

 ……今、絶対顔赤い……!

 超が付くほど恥ずかしさが込み上げてきた。

 

「とりあえず、離して……。……めっちゃ恥ずかしい」

「ふふふ、もう大丈夫みたいですね」

 

 そっと、優しくイザナミさんは離れた。

 

「では、気を取り直して、転生と行きましょうか!」

「お願いします」

「はい! それでは、行きます――!」

 

 えい! と言う掛け声とともに、俺の体が、光に包まれた。

 

「――よい、人生を。戸田・秋介(とだしゅうすけ)くん」

 

 イザナミさんの、とびっきりの笑顔が見えた瞬間、俺の意識は途切れた――。

 

 

 ~視点変わってイザナミさん~

 

 

 これで彼は第二の人生を送る訳ですが……。

 

「デバイスは奮発するとして、戦闘面では少し心配ですね……」

 

 鍛えるとは言っていたものの、今のままでは過ぎた力に振り回されるだけでしょうね。

 

「転生時期は原作の四年前にしましょう。年齢は五歳で、両親は既に他界、と」

 

 袖から一枚の紙を取り出して、筆で書きこんでいく。

 これなら転生先の世界で〝彼女達〟と幼馴染です。それに四年も特訓期間があれば、十分に使いこなせるようになると思いますからね。あの子なら大丈夫です。きっと心強い助っ人が現れる筈ですから。

 ……あと目覚めた時の反応が面白そうですね。

 

「初期の魔力量はEにしておきましょう。……あ、家の設備も充実させておきましょうか」

 

 これで準備は出来ましたが、やはりまだ、心配が残りますね……。

 ……おまけで何か、スキルでもつけましょうか?

 懐から手鏡を取り出して覗く。

 

「ええと、あの作品のスキルで良い感じのモノは……」

 

 手鏡に映し出される一覧を見る。

 

「あら、――このスキルなんて良いですね。私からならなにか、役立つかもしれませんね。ランクは、……EXにしておきましょうか」

 

 他になにか、彼の役に立ちそうなスキルはありませんかね?

 ……彼は別段、ハーレムなどは考えないようでしたね。

 だからといって単に強力なスキルを付けるだけでは面白くないです……。

 

「どうしましょうか……」

「だったら、……このスキルはどうだ? これなら彼の助けにもなるだろう」

 

 後ろから声がした。

 

「あら。来たのですね、ナギさん」

「おう。俺も一言、彼に謝りたかったからな。……まあ、間に合わなかったようだが」

「ナギさん……」

「俺だけじゃないぞ?」

 

 子供らも、と夫が言うと、

 

「……あれ、一足遅かった?」

「お前が羊羹食ってるからだろうが!」

「あ痛っ!?」

「まったく。どうして二人はすぐ喧嘩するんですか……」

 

 子供たち――アマテラス、スサノオ、ツクヨミが現れた。

 

「貴方達まで来たのですね。……残念ながら、今しがた送り届けた所ですよ」

「えー。お話したかったなー」

「……姉さん。私達が此処に来た目的、忘れてませんか?」

「ソンナコトナイヨー?」

「コイツ……」

「はあ……。申し訳ないです、母さん」

 

 顔を背けるアマテラスを見てツクヨミは頭を抱えた。

 

「……まったく、貴方達のミスでこうなってしまったのですよ。――反省してくださいね……?」

「「「「はい――ッ!」」」」」

「良い返事です。でも何故、ナギさんまで?」

「ははは、……つい。昔を思い出しちゃったよ……」

 

 あの時は貴男が悪いのですよ? ふふふ……。

 

「ヒッ!?」

「……まあ、今となっては些末な事です。それよりもナギさん。このスキルは……」

「あ、ああ。此処に来る途中、話を聞いていたんだがな。そのスキルをちょいと改良して付ければ、彼の選んだ特典と合わせて良い感じになると思ってな」

「改良、……ですか。――良いですね! 汎用とか特有とか取っ払いましょう!」

 

 なんだか楽しくなってきました! 流石は私の夫です。

 ……これなら心配する必要はありませんね!

 私の選んだスキルと合わせて効果が出るようにもしなければ……。

 

「当然ランクはEXだな。――そうだ! 彼の望まないようなスキルを消して、その分他のスキルがブーストされる、みたいな感じにしよう!」

「ナギさん、良いアイデアです。なら、魅了系は消して問題は無いですね」

 

 後はデメリットになるようなスキルも消しましょう。それが原因でなにかあってはいけないですからね。

 

「お母さん、お母さん! 私は時代とか地域の制限も無くせば良いと思います!」

「――採用です。他にはなにかありますか?」

 

 では私が、とツクヨミが手を挙げた。

 

「彼の成長に合わせ、スキルのランクが調整されるようにするのはどうでしょう?」

「なるほど。……それなら、あの子の特典と同じようにすればいい塩梅になりますね!」

 

 最初は魔力量と同じくEで、最終的にはAかEXランクになるようにしましょう。

 これでおまけのスキルは決まりました。この二つがあれば、大抵の事は何とかなるでしょう。

 

「では次に、あの子のデバイスですが――」

 

 ふふふ。あの子は一体どんな反応するのでしょうね! 楽しみです!




 次回もプロローグです。

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