転生少年と月の目モドキ   作:琴介

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 前回作ったお弁当、特に出番は無かった。


第十二話:衝撃は突然やってくる

 何とか予定通り、十時過ぎには自然公園に来ることが出来た。

 俺はフェイト、アルフ、リニスの三人がアスレチックに挑むのを眺めながら、

 

「楽しそうで何よりだ……」

 

 近くのベンチで荷物番をしている。

 

『あ、使い魔の方はどう?』

『ご心配なく。昨日の一件から数は増えましたが、既に対策済みです』

 

 抜かりはありません、とセラフは言い切った。

 ……それにしても、此処に来るのも久しぶりだ。

 前に来たのって確か、一年生の遠足だっけ?

 あの時は色々あったなー、と考えていたら隣でアリシアがフェイトたちを見ながら、

 

『いやー、妹の楽しそうな顔が見れてお姉ちゃんは満足だよー。……でも、此処ってホントに公園? 遊園地じゃないの……?』

 

 どうやら初めて来た時と同じような事を思ったらしい。

 

『うんまあ、公園だよ、……多分』

 

 アリシアの言いたいことは良くわかる。俺も同じように疑ったからね。

 そりの種類が豊富な所は探せば此処以外にもあると思う。でも普通は、公園に燃え盛るジャングルジムとか氷のメリーゴーランドとか無いよね。

 ……しかも前より増えてるし。

 前に来た時のアトラクションに加え、雷っぽいのがバチバチしてる雲みたいなトランポリンや、渦巻く風っぽいのに乗るコーヒーカップみたいなモノが増えてるが中でも……。

 

「何でこの時期に雪山が……」

 

 もうね、意味が分からん。だってまだ春よ? なのに雪が積もってるなんて季節感ぶち壊しだな。

 ……あの場所ってそり滑りした所だよね?

 俺が見るのは前に、ウサギや犬や猫と言ったバリエーション豊富なそりで滑った小山だ。

 そんな雪景色の麓で、フェイトたちが雪玉を作って投げ合ってるのを見つけた。

 

「うーん、冷たそうだけど冷たくないんだろうなあー」

 

 ジャングルジムの炎も熱くなかったし、氷のメリーゴーランドも冷たくなかった。あの雪も、向うの雷と風も大丈夫そうだね、……あれ。

 

『どうしたの、アリシア?』

 

 ふと横を見たら、アリシアが立ち上がってフェイトたちに向かい、

 

『お姉ちゃんも混ぜろぉ――!』

 

 わー! と突撃して行った。

 

「…………」

『マスター、頭を抱えてどうしたんです?』

『……なんでもない』

 

 あの子、自分が幽霊だって忘れてない? さっきフェイトに怖がられてたのに……。

 ……まあ本人がそれで良いなら良いか。

 楽しそうに雪遊びするフェイトたちを見てたらそれも仕方ないよね。俺もアリシアと一緒に混ざりに行きたいし、それに……。

 

『あの二人は一緒に遊んだ事無いんだよね……』

 

 アリシアが事故で死んでからフェイトが生まれたって事は、フェイトはアリシアの事を知らないだろう。

 それならアリシアは幽霊として、誰にも気付かれずフェイトたちの傍にずっと居たという事になる。

 

『まったく、――お姉ちゃんは凄いなあ』

 

 並大抵の思いじゃ今日まで見守るなんて出来ないよ。

 

『ふふ、それは本人の前で言いましょうよ。大喜びしてくれると思いますよ?』

『恥ずかしいから嫌だ』

『おや残念です』

 

 と、セラフは落ち込んだように言った。

 何が残念なのか、聞かない方が良いような気がする。

 

「はあ。ん~、――ん?」

 

 軽く伸びをしたら、視界の端にチラッと見慣れた顔があったような……。

 フェイトたちが遊ぶ雪景色と反対側を見ると、ひとりの少女が歩いていた。

 

『なのはさんですね』

『何で!?』

 

 俺が言えた事じゃないけど、学校はどうしたのよ!?

 

『このままだと、フェイトとばったり出会って戦いになる可能性が……』

『ありますね。――結論から先に言うと、マスターが砲撃されるでしょうね!』

 

 それ冗談に聞こえないから。今の状況だとかなりの高確率で俺にディバインバスターが飛んで来るから。

 

『仕方ない。――リニス、ちょっと良い?』

『何かありましたか?』

『なのはが居たのよ。フェイトたちに会わないようにするから、荷物番変わってくれる?』

『なるほど、わかりました』

『じゃあ、よろしくねー』

 

 そう言って念話を切り、やって来たリニスと荷物番を交代してなのはの所へ向かった。

 

 

 ~よく見たら肩にユーノ君居た~

 

 

 アスレチックから離れた所でなのはが立ち止まるのを確認して、

 

「なのはさんや。リュック背負って此処で何してんの、ピクニック?」

「え? ――秋介くん!? ホントに居たの!?」

「キュッ!?」

 

 後ろから声を掛けたら飛んで驚かれた。

 ……危ねえ。ユーノ君落ちかけてるよ。

 なのはが急に動いたからユーノ君が必死に肩を小さな手で掴まって? いた。

 リニスもそうだったけど、どうやって肉球で掴まってんの? いやそれよりも……。

 

「ホントに居たって、……なに?」

「そのー、……公園の近くを通ったら、なんとなく秋介くんが居そうだなー、って……」

「……マジかー」

 

 何となくって、もしかしてなのは「気配感知」のスキルでも収得した?

 

『なのはさんには驚かされますね』

『ホントにねー……』

 

 えへへ、なんて照れ笑いしてるけど末恐ろしいよ。

 ……フェイトちゃんが居るかなー、じゃなくて良かったけど。

 その気になったら向うで遊んでるフェイトたちにも気付きそう……。そうなったらまず間違いなく、セラフが言った通りディバインバスターが飛んで来る。

 

『私が言ったのは砲撃ですよ。……ディバインバスター以上かもしれないですからね』

『…………』

 

 バカな、もうスターライトブレイカーを撃てると言うのか!? アレはまだ先のはず、……はっ!

 ……思ってたよりなのはの成長が早いみたいだから、もしかしたら……。

 昨日もセラフとリニスが話してるのを聞いたし、可能性はある。なんとしてもそれだけは避けねば……!

 

「秋介くん……?」

「ん? ああ、ごめんごめん。ちょっとそのフェレットが気になって……」

「あっ、秋介くんは初めてだっけ。ユーノくんって言って、今うちで預かってるんだ。ほら、ユーノくん」

「キュウ」

 

 と器用に頭を下げた。

 

「ほう。よろしくなー、ユーノ」

 

 ユーノの頭を撫でて思う。

 ……個人的には山猫リニスの方が好きね。

 フサフサ感が堪らないのよね。――そうだ。今度アルフにも触らせてもらおう。

 そうしよう。狼の毛触りってどんなもんなんですかね。

 

『私はどうです?』

『セラフは別枠。だけど好きだよ』

『マスター――!』

 

 照れるのは良いけど二人に見られないようにね。

 

「それで、何でなのはが此処に居るのよ。学校は?」

「た、体調が悪くて……」

 

 お休みしたの……、となのはが顔を背けた。

 

「なるほどねー。――もうちょっとマシな嘘つこう?」

「何で分かったの!?」

「むしろ誤魔化せると思ったのか……!」

 

 俺たちが居るのは自然公園ですよ? 普通、体調が悪い人は家で大人しくしてるって。

 ほら見てみ? ユーノも苦笑いしてるよ。

 

「うぅ、……じゃ、じゃあどうして秋介くんは此処に居るの!?」

「俺? 俺は、……学校行く気分じゃなかった。ただそれだけの事」

「アリサちゃんとすずかちゃんに怒られれば良いの」

 

 身も蓋も無いね! しかもなのはの言う通りだから困る。

 

「ふ、……謝ったら許してくれないかなあ、二人……」

 

 昨日は飛びかかりかけたアリサをなのはとすずかが抑えてくれたけど、明日はすずかも一緒になって飛びかかって来そう。もしそうなったら、なのはは助けてくれるよね? 一緒になって飛びかかってこないよね?

 

「あ、あははは、……明日もなのはお休みしちゃうし、アリサちゃんたち止められないね」

 

 ごめんね? となのはは手を合わせて謝った。

 ……くっ、なんて事だ。明日は大人しく二人に、……て、あれ?

 

「今、明日も休むって言った?」

「……うん。少しの間、学校をお休みする事にしたの」

 

 なるほど、だからリュック背負ってるのか。

 

「前に電話で探し物をしてるって話したの覚えてる?」

「一昨日の事を忘れるはずないでしょう」

 

 電話越しの声から威圧感を感じたのは、あの時が初めてだったからね!

 

「金髪の子とは会えたの?」

「うん、会えたよ。まだちゃんとお話は出来てないんだけど、名前は聞けたんだ! ふぇ――」

「はーい、そこまで」

「いふっ!?」

 

 プニッ、となのはが名前を言うのを、ほっぺを挟んで遮る。

 ……うーん、なのはも良い感じでプニプニだ。

 せっかくなので少しの間この感触を味わっていよう。

 

「続きはその子をなのはが連れて来てから聞くよ。だからちゃんとその子とお話してきな。わかった?」

「わはっはひょ、ひゅうふへふん!」

「――ぷふっ! く、ふ、…………あ、ごめん」

 

 ほっぺを挟まれたままで喋られると、思った以上に笑える。

 

『マスター、――ナイスです! 記録は撮りましたよ!』

『セラフ!?』

 

 そんなつもりは無かったのに……。油断も隙もないね、セラフ。流石だ……!

 

「ひゅうふへふん?」

「少しは抵抗しようよ……」

 

 ほっぺから手を離すと、

 

「――ッ!?」

 

 なのはが急に赤面して、その顔を手で隠した。

 ……いや遅いって。

 もっと早く反応してよ。まあプニプニ感が味わえたから俺は良かったけど……。

 

「秋介くん……」

「なに」

「……な、なんでも、ないの……!」

『マスター、ここは「どうした、熱でもあるのか?」的な感じでなのはさんのおでこに手をッ!』

『当てないから。ちょっと落ち着こう、セラフ?』

 

 急にどうした、セラフこそ熱でもあるんじゃないの?

 

『ふふ、私は落ち着いてますよ? 今のはちょっとしたお茶目です』

『…………』

 

 どうでした? とセラフに聞かれたが……。

 ……セラフに言われなかったら、あと一歩でおでこに手当ててたな……。

 危機一髪だね。なのはに恥ずかしい思いをさせる所だった。

 

「……なんでもないなら良いけど。……そんな事より時間は良いの? 何処か行く途中だったんでしょ?」

「――あぁあああ! そうだった! お迎えの待ち合わせをしてたの!?」

「キュッ!?」

 

 なのはが急に大声を出した所為でユーノが器用に耳を塞いだ。

 

「ごめんね、秋介くん! お迎えの人待たせちゃってるからもう行くね!」

「あいよ。気をつけてなー」

「うん、またね!」

 

 そう言って、なのははユーノを肩に乗せたまま走って行った。

 なのはの背中が見えなくなったのを確認して思う。

 ……これでしばらくは、なのはの方は大丈夫かね?

 アースラに合流するなら今までよりも魔法の特訓が出来るだろうし、それに……。

 

「フェイトと再会も近いかなあ……」

「呼んだ、秋介?」

「ふぇいっ!?」

 

 声の聞こえた後ろを恐る恐る振り向くと、

 

「ふぇ、フェイト……?」

 

 いつの間にかフェイトが立っていた。

 

『リニスさん――ッ!?』

『すみません、秋介! フェイトがそちらに――』

 

 もう来てるよ!?

 

『――って、もうですか!? それで、なのはさんは!?』

『大丈夫ですよ。フェイトさんが来たのはなのはさんが去ってからですから』

『え、そうなの?』

『はい。マスターとなのはさんが話していたのは聞かれてません』

『なんだ、それなら――』

『まあ、一緒に居たのは見られてますけどね!』

『『良くないよ(じゃないですか)!?』』

 

 やっべ、どうしよう。何とか誤魔化せないかな?

 

「どうかしたの?」

「い、いやどうもしてないよう? それよりも何で此処に……」

 

 そう聞くとフェイトは、

 

「……雪玉が勝手に浮いたり飛んできたりしたんだ」

 

 スッ、と遠い目になった。

 ……アリシアさんの所為じゃないですか!?

 お姉ちゃん何してんのよ!? また妹怖がらせてどうすんの!

 

『うぅ……。フェイトにお化けって、また言われた~……』

 

 何か念話が聞こえた気がするけど、この際無視して良いよね!

 

「……ごめん、今度注意しとくよ」

「え、出来るの!?」

 

 良かった~、とフェイトは胸を撫で下ろした。

 

「とりあえず、リニスの所に戻ろうか……」

 

 最近、アリシアのお陰で色々と焦ることが多くて困る。今度一回、ちょっと話し合おう……。

 

「うん。……あ、秋介」

「ん?」

「さっき一緒に居た子って、昨日の白い子だよね。リニスに聞いたけど、秋介の友達なんだよね?」

 

 誤魔化せて無かった! それに何で知ってるの!?

 

『……すみません。今朝、昨日の話をしていたらつい』

『リニスさあん……』

『うぅ、……本当にすみません』

 

 お弁当の用意しますね……、と誤魔化し気味に念話を切られた。

 勘弁してよ。何で今日は、こうも驚きが満載なのよ……。

 ……別に友達だって言うくらいなら良いか。

 フェイトなら砲撃が飛んで来ることも無いだろうし。

 

『なのはさんとは違って斬撃が飛んで来るかもしれませんね』

『…………』

 

 斬撃も飛んで来ないと、良いなあ……。

 

「そうね。リニスに何て聞いたか知らないけど、俺の友達だよ」

 

 そう答えると、

 

「……ごめんね。私の所為で、……迷惑かけてるよね」

 

 フェイトは寂しそうな声で言った。

 

「気にしなくて良いって。フェイトが謝るような事は無いから。それよりも急にそんな事を聞いて、……何か悩み事でもあるの?」

「……うん。悩み事って程の事じゃないんだけどね」

 

 え、マジで?

 

『どうしよう、セラフ。なんとなく聞いたら本当にフェイトが悩んでた』

『そうですね……。一応、人除けを張っておきましょうか。念の為、リニスさんたちが気付かないようにもしておきます』

『よろしく』

 

 これで周りに聞かれる心配は無いね。

 

「でも、どうして分かったの?」

「あー……。ちょっと前に似たような事があって、それでかな……」

「そうなんだ。……あのね、秋介に聞いてもらいたい事があるんだ」

「何でしょうか?」

 

 実はね、とフェイトは前置きして、

 

「私、クローンなんだ」

 

 とんでもない事を言いだした。

 

「――はい?」

 

 フェイトがクローンだって? 知ってるよ、そんなこ、……ええ何でフェイトが知ってんの!?

 

『どうしよう、セラフ!? 斬撃じゃなくて衝撃発言が飛んできた!』

『そうですね……。もしかしたら冗談かもしれませんよ?』

 

 はっ! それもそうだよね。フェイトなりの冗談かもしれないね!

 

「ち、ちなみにそのクローンって言うのは……」

「えっと、私の基になったのはお姉ちゃんでね? アリシアって言って、昔事故で死んじゃったみたいなんだ」

 

 はっはっは、……マジかー。

 

『……フェイトなりの冗談じゃなかった』

『そうでしょうね。フェイトさんが此処で嘘をつく意味がありませんから』

 

 むう、セラフの意地悪……。

 

「……じゃあ、ジュエルシードを集めてる理由って」

「母さんはアリシアの復活の為、って言ってたよ?」

「…………」

 

 あ、今回は教えてくれるんだ。でもなあ、この展開はちょっと……。

 

「不意打ち過ぎる……」

 

 しかもリニスが話してくれる前に〝以前の主の願い〟が分かっちゃったよ。

 ……フェイトは自分がアリシアのクローンだって事を知ってたのか。

 

「でもまあ、それならそれで俺のやる事は決まったか……」

「……?」

 

 何の事? とフェイトは小首をかしげた。

 

「ああ、こっちの話だから気にしないで。それよりも、セラフ」

『はい、此方ですね』

 

 セラフが言うと、俺とフェイトの間に三つのジュエルシードが現れた。

 

「え、どうして?」

「俺がジュエルシード集めを手伝わない代わり、かな」

「――ありがとう、秋介」

 

 そう言ってフェイトはバルディッシュにジュエルシードを回収した。

 

『良かったのですか、マスター?』

『使わせないから大丈夫。だって持ってたとしても、使わなかったら多少強引な言い訳でも通るからね』

『ふふ、それもそうですね』

 

 でしょ? リニスとの話があるからまだ動かないけどね。

 

「それで、俺に聞いてもらいたい事って他にある?」

「ううん、無いよ。……私がクローンだって事、それを知ってもらいたかったんだ」

 

 でも、とフェイトは続ける。

 

「それを聞いて秋介が私の事を嫌いになっちゃうんじゃないかって、少し不安だったけど……」

「まさか、俺はそんな事でフェイトの事を嫌いにならない」

 

 アリシアのクローンだとしても別人だ。性格も真逆で身長も違うからね。

 フェイトはフェイト。アリシアのクローンだなんて関係ない。

 

「フェイトは可愛いから、嫌いになる訳が無い。むしろ好きだね」

「――ッ!!」

 

 なのはたちとはまた違った可愛さが良いよね!

 

『あ、またやっちゃった……。カッコつけては無いからね!?』

『ふふ、そうですね……!』

 

 ちくせう、最後の最後で油断した。フェイトが変に受け取ってない事を祈ろう。

 

「とりあえず、リニスたちの所に戻ろうか」

「うん……」

 

 

 ~沈黙が辛い……~

 

 

 レジャーシートを広げるリニスたちを見つけると、その横で、

 

『あー、……おかえり~』

 

 アリシアが落ち込んでいた。

 ……自業自得でしょうに……。

 これに懲りたら少しは大人しくしてほしいね。

 

「おかえりなさい、二人共。戻ってこないので探しに行く所でしたよ」

「ごめん。ちょっと二人で話し込んじゃってさ」

「そうですか……」

「フェイト……?」

 

 アルフが俺の横で顔を伏せるフェイトを見た。

 

「何かあったのかい……?」

「いや特に無――」

「秋介に可愛いから好きって言ってもらったよ……!」

「「…………」」

 

 フェイトの衝撃発言で、リニスとアルフに無言で見られた。

 

「――くも無い、かな……?」

 

 二人の無言の視線が刺さって痛いよ。

 

『――秋介、私は!?』

『カワイイカラスキダヨー』

『なんか雑だぁ!?』

 

 そんな事ないって。てか、さっきまで落ち込んでたのにもう戻ったのか。

 

「……とりあえずお弁当食べたいです」

「そうですね、そうしましょうか」

「それもそうだね。あー、お腹空いた」

 

 リニスはお弁当を広げ、アルフは食べ始めた。

 

「私たちも食べよう、秋介?」

「だね」

 

 それで、食べ終わったら今度は俺も一緒に遊ぼう。

 フェイトが居るし、せっかくだから雷のトランポリンにでも行って見ようか。




 特に意味は無いけど学校で、

「む、教室にも秋介が居ないわ」
「電話もメールも無かったけど、遅刻かな?」
「なのはは用事で休むみたいね……」
「秋介君もお休みみたいだよ……」
「――明日来たら取っ捕まえてお弁当をあーんしてもらうわ!」
「――私はあーんしてあげよう……!」

 二人の少女はこんな感じだった。

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