私が後にうちの弟と関わってくるであろうとある三人と出会ってからしばらくの時が経ち中学三年になっていた
その頃になると小学生の頃に比べ私や秀吉もかなり成長し特に弟の秀吉のほうは背が特に伸び小学生の頃は私の方が身長が少し上だったのに今では同じくらいにまでなっている
それと背だけでなく演技のほうでもかなり腕を上げており小学生の時は余り上手く出来ていなかった声帯のモノマネまで今では本人と聞き分け出来ないくらいの精度になっている位だ
応援している身としてはそれは喜ばしい事ではあるのだがそれと比例してとある問題が起きていたのである。それは
「秀吉!何よこの点数!前よりまた下がっているじゃない!」
演劇に没頭するあまり勉強そっちのけになってしまい学力が低下してしまうという問題だった
「う、うむ。勉強しようとは思っておるのじゃがついつい演劇のほうにいってしまってのう」
「ついついじゃないわよ!三年生は受験生になるのよ?わかってる?」
「う、うむ」
「この調子だと文月学園の受験受けても落ちるわよ?確か文月学園の演劇部に入りたいんじゃなかったっけ?」
この頃受験生の間で評判になっていたのが文月学園だった。一つは世界的にも注目されている最先端システムを導入した試験校でまた他校とは少し違う教育方針をとっておりこの学園には多くのスポンサーが資金提供している為学費が安いこと
そしてこの学園のもう一つの売りが「社会に実力を発揮できる生徒を作ること」である。それは勉学だけにおいてではなく部活の方面にも力を入れており部活に使われる機材も他校を圧倒している為秀吉にとってもまさにうってつけの学校なのだ
「そうなのじゃがいざ机に向かって勉強すると最初のうちは良いのじゃがだんだん集中力がなくなってしまって(汗」
「…それで気が付くと演劇の事をやってしまっていると?」
私がそう聞くと気まずそうに頷いた
「やれやれ…。アンタの演劇対する熱意には尊敬通り越して呆れる部分があるわね」
「面目ないのじゃ(汗」
「…しょうがない、私が勉強見てあげるからしっかりやるのよ?」
「じゃ、じゃがそれだと姉上の勉強する時間が」
変な心配をする弟に私は
「…えい♪」ぺチン!とおデコにデコピンを放った
「イテテ…あ、姉上?」
「アンタは変な心配しなくていいの、それに私が伊達に優等生やってるの知らないわけ無いでしょ?アンタが心配するような事はないから安心なさい」
「そ、そうかの?なら申し訳ないのじゃがお願いしても良いかの?」
「任せなさい♪あ、それとしばらくは演劇控えてもらうからね?」
「えええ!?殺生な~(泣」
「問答無用」
その日からマンツーマンの勉強を始めた。秀吉はとにかく基礎が出来ていなかったのでまず基礎から始めていった
秀吉は基礎は出来ては居なかったが応用力はあったので基礎さえしっかり出来ていれば解ける問題が増えていった
そうして日々は過ぎていき受験前になる頃にはそれぞれ別れて勉強していた
秀吉が自室で最後の追い込みで頑張っているとコンコンとノックをする音が
「秀吉~ちょっと開けてくれる?」
「どうしたのじゃ?姉上?」
ドアを開けるとそこにはお盆を持った優子が。お盆の上にはおにぎりといれたてのお茶が乗っていた
「頑張ってる?ちょっと摘めるもの作ってきたわよ」
「おお♪有難いのじゃ♪一つもらおうかの♪」
そう言うとおにぎりを一つ取り口に入れた
「う~ん♪相変わらず姉上の作るものは上手いのう♪やる気も出てくるのう♪」
「う、うっさい!(///)お母さん達帰るの遅いから私が作っていったら自然と上手くなっていただけよ!!褒めたって何も出ないからね?」
褒められる事に慣れてないのか顔を真っ赤にさせる姉
「ワシはただ素直な感想を言ってるだけじゃ♪」
「ううう・・・」
しばらく顔を真っ赤にさせていたが落ち着くと秀吉の部屋の壁にかけてあったカレンダーを見ていた
そこには文月学園の受験の日に赤いペンでマルが付いていた
「…秀吉、ここまで頑張ってきたんだから二人揃って合格しましょうね?」
「…うむ!」
桜が舞い散るその日、合格番号が張り出せれた場所で双子の姉弟が嬉しそうに喜んでいる姿があった