「あ、あの~、ところで木下先輩は今どうしてるんですか?」
小町は話を変えようと気になっていた優子のことについて聞いてみた
「ん? 優子? ああ、なんかどこかのボクサーみたいに真っ白になってたね」
ああ……、やっぱり心の傷は大きかったか……
「小町ちゃんは優子のこと知ってるの?」
「あ、はい。 同じバイト先で知り合って」
「ふ~ん。そっか~♪」にやにやり
「え? な、なんです?」
「小町ちゃん。 ちょ~っとお願い、あるんだけどね?」
「あ、あはは……。 初っ端から知り合いに恥ずかしい所見られるあたしって一体……」
只今、木下優子は真っ白になっていた
それはマッチ棒が燃え尽きた如く……
友人にいきなり言われ、場の流れでやってみたら一発目から自分のよく知る後輩に見られる
メンタルを削り落とされるには十分なくらいの失態である
コンコン……
控え室のドアからノック音が聞こえてくる
「は、は~い?」
「やっほ~♪ 復活した? 優子」
私がこんなことになった元凶が何食わぬ顔で入ってきた
「だ、誰のせいでこんな事になってると思ってるのよ。ううう」
「ごめんごめん。 まさかいきなり優子の知り合いがくるなんて思ってもなかったからさ」
「う~~~。 これじゃあ接客なんて無理」
「大丈夫♪ 解決策はもうあるから」
愛子の足元には大きな袋がひとつ置いてあった
「? なにそれ?」
「むふふ。 すぐにわかるよ。 代表~、ちょっと手伝って~」
それから十分後……
「な、な、なんで…。これが……」
「むふふ」
「……愛子、いい仕事してる」グッジョブ!
「いや~、演劇部に無理言って借りてきた甲斐があったよ~」
今、目の前にある鏡に映ってある自分に戸惑っている
それは私自身すごく見覚えのあるものだった
ブラウンのカラーコンタクトに長い髪を後ろに束ねポニーテールにしている自分
それはお店で接客するときの現在の設定だった
「ね? これなら優子だってばれないし安心でしょ?」
「え、ええ……。そうね」
確かにこれなら知り合いに会ってもばれにくいだろ……
でも……
なんでアンタがバイト先のことまで知ってんの!? 愛子!!
「ふふふ、なんで知ってるって顔してるね。 はい、こちら情報提供者さんで~す」
「ど、どうもです……」
こ、こまちちゃぁぁぁぁぁんんんん!!!! なんてことを!! (泣
「バイトの時と同じ容姿になればバレにくいからと工藤先輩に言われて。 これなら大丈夫ですね!先輩!」
「う、うん。 そうだね」
この子は私のことを思って教えたんだ。 この子は悪くない、うん……(泣
ええい!もうやけだ!考えるのは一旦置いておいて接客に集中しよう!
「そろそろ休憩やめて戻ることにするよ」
「頑張ってください! 木下先輩」
「うん。 ありがとう」
「今度は大丈夫だって。 そうそうバレたりしないって」
「はあ……、そう願うわ」
ぴこぴこするアレをつけて私は控え室を出た
「次、女性二名のお客様が入店します! だれかお願い!」
どうやら私が休んでいる間忙しくなっていたようだ
「OK! 私がいくよ」
「よろしく! ってあれ? 誰?」
「うちのクラスにあんな子いたっけ?」
よし、とりあえずクラスのみんなにはバレてないみたいね
これなら知り合いにあっても今度こそ大丈夫よね!
「おかえりなさいませ、お嬢様方!」
しかし、悲しきかなこの世の中にはこんなことわざがある……
「おや? これは思っていた以上ですね。クリス」
「うわ~、猫耳に猫しっぽ! あ、今動いた!!」
一度あることは二度ある、と……
感想お持ちしております。あと処女作をリメイクしてみたのでよかったらそちらも見てやってください・w・;