転生したら猫かぶりのあの子になっていた   作:秀吉組

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第25話

一回戦はAクラスが勝利し続いて二回戦が行われた

 

 

「二回戦を行います。各代表前に!」

 

 

高橋先生がそう言うとそれぞれの代表が前に出た

 

 

「待ってて秀吉! 秀吉の仇は僕が打つよ!」

 

 

そう言って前に出たのは観察処分者であり学園一のバカ、吉井明久

 

 

そんな彼の対戦相手はと言うと

 

 

「君の相手はこの僕だ。吉井君♪」

 

 

久保利光、二年の学年次席である

 

 

「え? 何これ……」

 

 

「お、おい! もう久保が出てきたぞ!!」

 

 

「Aクラスの奴ら確実に勝ちを取りに来やがった!!」

 

 

いきなりの事に唖然とする吉井君と騒ぎ始めるFクラス。まあ二回戦でもう学年次席が出るとは誰も思ってはいなかっただろう。無理もない、だって……

 

 

「な、なんで久保君が出てるの!?」

 

 

「久保は終盤に出すんじゃないのか!?」

 

 

Aクラスの面々も知らなかったから(泣!!!

 

 

「ちょ、ちょっと優子!! もういきなり久保君が出るってどういう事なの!?」

 

 

「い、いや~、そのね?実は…」

 

 

それはFクラスが交渉を終えAクラスを後にした直後まで遡る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「木下さん!!」

 

 

「うわ!? ど、どうしたの? 久保君」

 

 

Fクラスが帰った途端もの凄い勢いで久保君が私の下にやってきた。そりゃもう椅子から転げ落ちそうな位に……

 

 

「代表戦でもし吉井君が出てきたら僕と当たらせて欲しいんだ!」

 

 

「ご、ごめんね久保君。久保君には重要な終盤当たりでお願いした─」

 

 

「お願いだ木下さん!僕にとって重要な一戦なんだ!」

 

 

「で、でもね? 久保君程の強力な戦力を序盤で出すというのは」

 

 

「木下さん!!」

 

 

目が本気だ……。そうだった。久保君、吉井君にほの字だったのすっかり忘れてた。う~ん序盤で久保君を投入するのは原作とは異なる展開になるしそれは痛い点になるんだけどこの様子じゃ説得は無理みたいだし……

 

 

「え、え~と。そ、それじゃあお願いできるかな?久保君」

 

 

「ありがとう木下さん!吉井君……、他の誰かの手によって散らされる位なら僕の手で!」

 

 

最後に何やら危ないことを呟きながら久保君は戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……とまあこんな事あってね」

 

 

「な、なるほどね。でも何で久保君そこまで吉井君にこだわるんだろうね?」

 

 

愛にも色んな形があるって事だよ愛子……

 

 

「では二回戦の選択科目は何にしますか?」

 

 

「吉井君、君は何がいいんだい? 君の望む教科を選んであげるよ」

 

 

「……随分余裕だね久保君。でも今回はその提案に甘えさせてもらうよ!」

 

 

これでうちのクラスの選択権は無くなるわけか。この選択が後で響かなければいいけど……

 

 

「それじゃあ、日本史でお願いするよ」

 

 

「分かったよ。高橋先生! こちらの希望で日本史でお願いします!」

 

 

「分かりました。対戦科目「日本史」了承します!」

 

 

「「試獣召喚(サモン)!」」

 

 

Aクラス 久保利光

396点

 

VS

 

Fクラス 吉井明久

68点

 

 

この点数の差を見てAクラスの面々は久保君の勝利を確信していた

 

 

だが……

 

 

 

 

 

 

 

「おい!? なんだ!? この泥仕合は!?」

 

 

「何やってるんだ! 久保! 早くケリをつけちまえ!」

 

 

直ぐに決着が着くと思われていた勝負はAクラスの予想を裏切り長期戦に入っていた

 

 

Aクラスの大半は久保君が遊んでいると思っているのだろうが当の本人からはそんな様子は一切見られなかった

 

 

「ハッ!!」

 

 

「おっと!」

 

 

鋭い一撃を繰り出すも紙一重で避けられてしまう久保君。そんな久保君を遊んでいるどころか焦っている様に私には見えた。けして久保君の召喚獣の攻撃が遅いわけではない、それを上回るくらいに吉井君の召喚獣の動きが早いのだ

 

 

これが観察処分によって鍛えられた召喚獣の速さなのか。これは不味いことになるかもしれない……

 

 

それからしばらくする頃にはあんだけあった差は見る影もなかった

 

 

Aクラス 久保利光

89点

 

VS

 

Fクラス 吉井明久

68点

 

 

久保君は吉井君の今までの攻撃パターンを解析し何とか反撃に転じようとするがそれでも吉井君の召喚獣のスピードに付いて来れずついに……

 

 

「くっ!そこだ!!」

 

 

「甘い!!」

 

 

「し、しまっ」

 

 

攻撃を読まれ逆にカウンターを貰ってしまった久保君の召喚獣は大きく飛ばされそして点数が0になり消滅した

 

 

「……、ハッ! こ、この勝負、勝者Fクラス」

 

 

目の前で起こった事に戸惑いながら高橋先生がそう宣言すると教室内で響めきと歓声が鳴り響いた

 

 

Fクラスにとっては奇跡が、Aクラスにとっては悪夢が起こった瞬間だった


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