翌日起きてみると、当然ナルトは帰ってきていなかった。
計画通りだ。
配下の報告によると、無事ナルトは貧血で、倒れさせたようだ。
そのビジュアルは恐怖もので、あぶらむし見たいに膨れ上がったダニ?がナルトにこびりついている。
おそらくザブザに保護されてるだろう。
調べはしないけどね。
「大丈夫かしら?子供だけで。」
「なーに、心配入りませんよ。あいつはこれでも忍。」
「案外、野垂れ死んでるかもな。」
「そーね。」
心配するツナミさんは優しいね。
ま、貧血で倒れてるけどね。
暗部ってのはかなり怪しい。木ノ葉に待機させてる配下を使うと、お兄ちゃんにバレるかも知れないけど、探っとこうか。
いや、お兄ちゃんに直接聞いた方がいいよね?これ。
暗部が正体バラしてるんだから。
えーと、お兄ちゃんのカラス………… いたいた。
お兄ちゃんの机にタイプライターあったかな?
よし、繋がった。
いやー、至近距離で見るのもいいね。ママにそっくり。この前間違えた。
タイプライターって、あれだよね?
あいうえおだから。難しいな。
わりと私もブラックなことしてるね?
まぁ、里のためだと思って許してねナルト。
・・
翌日もナルトは帰ってこなかった。
先生は動けるようになり、サクラとサスケでナルトを探しに行った。
私は先生のストレッチに付き合っている。
まずは私をのせて人差し指のみで腕立て伏せだ。
「先生。もしもナルトが敵側の、ザブザ達を仲間にしようなんて言い出したら、どうする?」
「…………ミコ、それは。」
「もしもだから!」
「いいと言えたもんじゃないね。亡命じゃない限り、いや、亡命だとしてもよくない。おれは、やめるように説得するさ。」
「…………せんせ。私、強くなれる?サスケもナルトも修行してるでしょ?」
「大丈夫だよ。ミコはミコなりの戦い方があるだろ?」
「そーだね。」
・・
夕食前になって、サスケとサクラが帰ってきた。ナルトをつれて。
「軽い貧血で倒れてた。」
「そーなの?まぁ、寝かしちゃって。サスケ。
二人ともありがとね。」
サスケがナルトを布団へ運んで席につく。
サスケは、私の顔を見て首をかしげた。
「今日はやけに疲れてるようだな?何かしたのか?」
「ん?せんせに体術教わった。」
「ふーん、珍しいな。体術は合わなかったんじゃないか?」
「私もできなきゃダメだからね。護身術程度だし、神様もそこら辺、やっといた方がいいっていってたしね。」
「まっ!筋肉痛になっちゃい見ないけどね!」
うぅ、耳がいたいです。せんせ。
まぁ、筋肉痛が早いのは若さの証だよね?
先生ぐらいになると二日後ぐらいにきそうだけど、そこんとこどうなんだろ?
「ねぇ、ミコ。神様って氏神さまの?」
そこでサクラが神様のことを聞いてくる。
私は“見えちゃう人”だから神様が見えたり、幽霊が見えたりするけど、この世界じゃ、宗教で神仏の加護を受けたものしか見ることができないみたい。
「えぇ。火ノ国の氏神様!あー、氏子だっても詳しくはないんだっけ?」
「えぇ。信仰してるといっても名家でも大名でもないから、授業でもやらないしね。」
火ノ国の住民にとって、氏神さまは氏神さまだ。
祭事に参加するのも祭りのためだし、初詣とかも信仰よりもイベントだ。
私はうちはで運営側な訳だし、神様が教えてくれたからね。
それに、神様がいなかったらサスケも私もきっと生まれてない。
サクラにとっちゃ、関係ないも当然だよ。
「お主らには神がいるのか?」
「えぇ。タズナさん!私の一族が中心となって、奉ってる神様が木ノ葉の氏神だよ。
とっても綺麗で強いの。」
そこで、イナリが泣いているのに私は気がついた。
神様のことを聞いて、感動したのかな?
「なんで…なんで、そんなに頑張るんだよ!!修行なんてあいつ等には意味ないんだ!!どんだけ格好いいこと言って努力しても、本当に強い奴の前じゃ弱い奴はやられちゃうんだよ!」
「私たちとあなたは違う。」
「お前を見てるとイラッとするんだ!!この国のこと何も知らないくせに、でしゃばりやがって!!お前に、僕のなにが分かるんだ!!!辛い事なんか何も知らないでヘラヘラ笑ってるお前なんかとは違うんだ!!!!
それに、神様なんて!何夢見てんだよ!気持ち悪いんだよ!」
そうだよね。ナルトがいなくても、ある程度の話は進むんだ。
神様を侮辱されてるのは、答えるな。でも、この子は父親を目の前で殺されてるわけだし…………ねぇ?
「だから、悲劇の主人公気取ってビービー泣いてりゃいいってか?
お前みたいなバカはずっと泣いてろ!
泣き虫ヤローが!!」
そういったのはサスケだった。
以外だ。
少し、イナリとカイザの話を聞かせてたから
知ってるはずだけど、なかがよかったって聞いて、羨ましいそうにしてたから。
「さ、サスケ!」
「少し、そこら辺歩いてくる。」
「……うん。」
先生も少し、困惑してるみたいでなにも言わない。
「ごめんなさいね。イナリくん。
サスケ、悪気があったとかじゃないのよ。たぶん。
ただ、イナリくんが羨ましいかったんだとおもう。
私もサスケも父親はいるんだけどね?仲良くないから。」
「え?」
「言葉が悪かったけど、泣いてるだけじゃ後悔するぞ!って言いたかったんだと思う。」
「……。」
なんとかいえよ。
「が、ガトーらは私たちがどうにかしたげる!安心して待ってなさい!」
・・
翌日、ナルトが一回起きてしまったので、また貧血にした。
ツナミさんとイナリのために猪を拵えて警護するように言いつけた。
まぁ、ナルトがいるからいいけど。
たぶん、暗部ってのはほんと。
だから大丈夫だろう。
で、やっぱり大工さんが襲撃されてるわけだ。
私は無双こそできないけど、ある程度なら戦える。
どんどん霧がかっていく。
霧とか?(笑)って思う人は、霧のすごさを理解していない。自然発生でも、目の前にまとわりつくモヤ感と見通しの悪いストレス。
すごいじゃまだ。
言い表せないものがある。
「カカシ先生!これって!」
「そうだ!気をつけろ!」
目の前に、というより周りに水分身が現れたんだ。
「サスケ、やれ。」
そう、先生が言うとサスケが水分身を倒す。 あちらさんはあちらさんで評価をしていて、こっちまでは聞こえないけど原作通りだろう。
「あいつは、俺がやる。」
そういってからサスケとサスケの相手、白が戦闘を始める。
サスケは追い忍のふりをしていたことに、少し腹を立てていた。すかしたやろうが。気にくわない。っていう三下台詞をはいてた。
でも、準主人公、ヒロインの称号を持つサスケだ。
三下ではとどまらない。
救世主の因子をもってそうだし、原作の結末みたいに片腕を失わせたくない。
それに、あんな結末は迎えさせない。
イタチとサスケだけは救う。
私はそれだけで十分だ。
みんながみんな、幸せにならなくてもいい。
せめで、どうか、私達兄弟が幸せならそれでいい。
…………。
サスケのスピードは白より高い。
が、だめだ。
技術力が足りない!いくらサスケが天才だからって、積み重ねた実践経験の差が見えてしまう。
でも、けして倒せないわけじゃない。
白は優しい性格だ。
そこに付け入るしかない。
例えば、双子の兄を助けるために、その身を盾にして守り抜こうとする妹の姿とか?
いや、でも、なるべく怪我を負わないように。
それより、術を破っちゃえばもっといいのかも。
原作通りに進んでいってくれるので、やり易い。
あのドームができるまでに、タズナさんの警護のための配下を集めきらなきゃならない。
意識を集中させて、集合命令を出す。
無論、羽根虫を。
サスケが白を蹴り飛ばしたようだ。そろそろ、準備をしなくては。
「どうやら、スピードは俺の方が上みたいだな。」
そう、スピードは。
「ガキだガキだと、」
「先生黙って。」
ここで情報を渡したくない。
私の特色を知られたくない。
ザブザは、くつくつと笑い出す。
「白、分かるか?このままじゃ、返り討ちだぞ?」
知ってる。相手方はこちらが協力体制をとってると思い込んでいる。
だからこそ、殺されないという余裕が私にはあるけど、他三人は知らないままだ。
それでも、私の利益のためだけに、ザブザハと白にはここで死んでもらおう。
「残念です。」
そう、白はサスケに喋りかける。
そう、残念だ。
あの鏡のやつは、形成後、入る動作が必須。
そのつきをついてサスケをかっさらい、鏡のやつから抜ける。
せっかく出した秘術が無駄になってしまう。
残念。
「秘術、魔鏡氷晶」
今だ!
チャクラそうかにより、地面を滑る。
体制を落として、空気抵抗をなるべくなくすように。
ついでに、辺りに麻痺毒を撒き散らしておこう。
サスケには効かない値でだ。
私と長い間一緒にいるので、普通の忍び以上に耐性がついているから、安心できる。
先生も一緒に動いていて、私と先生を阻む形でザブザが前に出てくる。
「あなたの相手は、先生だ!」
私は先生を掴んで、ザブザの股下を通り抜ける。
通過時に、私の毒を塗っておいた千本で一刺ししてやった。
毒蛇のような毒。
出血毒で、血液のプなんとかを活性化させて、血液をわざと凝固させ、凝固因子を消費させて、止血させる為の凝固を阻害する毒だったきがする。
詳しく覚えてないけど、血が止まらなくなる毒だ。
追加効果で血管を破壊するから血液低下でんでんで死ぬ。
呼吸管理と腎機能管理をされない限り、血清が私にしか存在しないランダムブレンドなので、大抵死ぬはずだ。
人間に使ったのは初めてだ。
人間相手にどれほどまでいけるか、楽しみでもある。
「くそ!」
首切り包丁が降り下ろされる寸前、先生がザブザに技をかけにいく。
「お前の相手は俺でしょ!」
あの氷は見た感じ不純物が少ないように見える。けど、不純物が少なきゃ、透明でしかないはずだ。
ならどうだ?
中に入っている不純物が、チャクラだったら?
それだったら氷を鏡に見立てることが可能だ。
わずかなチャクラの動きもあるはずだ。表面が、溶け続けているのにも関わらす、大きさが変わらないのは、少量の水をチャクラで多く見せてるとか?
H2OのOをチャクラで代用してるとか?それを固めることで量を増やす?いや、Hを半分チャクラに変えてる?
そのところがわからない。
持久戦なら、冷えて固まるところに、私の毒を混ぜて違うものに変えてしまえるが、そんな時間はない。
どうするか?
サスケが火遁を使うが、氷は壊れやしない。
一定時間の熱が必要だ。
だけど、それをすることは不可能。
着火性のある毒物を撒くにしても、液体じゃなきゃサスケが危ない。
液体となると体内水分量をガッツリとっていかれるので、論外。
……………………。
まぁ、いい。
突っ込むか。
白は優しいから、サスケを殺す理由をつらつら喋ってる。
けど、そうはさせない。サスケは殺させない。
私がいるからだ。殺されなきゃいけないなら、私が身代わりになったっていい。
後ろからサクラのサスケと私への声援が聞こえる。
それをやめさせ、倒せないとカカシが明言する。
心を殺せない。
そう、判断された。
確かにそうだ。
心を殺して、人を殺めることは今の私にはできない。
ほんとの忍の苦悩もしらない。
人が死ぬところなんて、見たことがない。
ましてや奪う行為さえ。
それでもいいんだ。と、神が言った。
なら、いいんだ。と、思った私がいた。
それだけだ。
殺しに正当性もなにもない。ただ、命を奪い勝った。とのいうものしかこの場にはない。
狂ってていい。オカシクてもいい。
私は、私とサスケとお兄ちゃんが幸せならいい。
あ、ついでに一族も里の皆も。
私に向かって、千本が飛んでくる。
避けるか、当たるか、どちらでもいい。
…………?
あぁ、見えてる?私、千本が見えてる。
すごいね!主人公補正ってやつだ!
サスケはどうだ?ここから見えるかな?
うん。
少し、毛虫みたいに千本が刺さってるけど、原作見たいに針ネズミ張りのもんじゃないからいい。
サスケも開眼してる。
やっぱり、パパとママがいて、お兄ちゃんもいるから違うものがあった!
今ごろ、ザブザが先生に写輪眼対策について語ってるだろう。
そんな話はどうでもいい。
写輪眼は一種の精神疾患。
原作サスケはうちは惨殺事件で一度開眼していたが、この世界ではどうだ?
そんなこと起きていない。
ならなぜ、サスケが開眼したか?というのが疑問が生まれた。
けど、とるに足らないこと。
私の古い記憶に、答えが埋まってた。
私は、配下の度重なる死の無意識下において積み重なったストレス。
サスケは、五年前に起こった誘拐事件の際だ。
単純に抵抗したとき、私がサスケを庇って、手足が吹き飛んだせいだ。
私の転生特典に、望んだ体型をなにもしなくても維持できるものがあり、見事になおった。私もびっくり。
まぁ、 南賀ノ神社の神様 が手伝ってくれたから生きてられるんだけどね。
「サスケ!」
「ミコ?!」
サスケを掴んで、見事、鏡のやつから抜け出す。
楽々だった。
「サスケ、交代。」
先生たちと反対側になっちゃったけど、サスケは戻れる。
それと同時に、白がこちらにやって来る。
「ミコ。」
「サスケはタズナさんの方へ。」
「わかった。」
優しい白は、サスケを見逃してくれる。
私は、医療忍術さえあれば、どんな体の傷も直せるだろう。
体型。
体の形。そこらを詳細に設定したら、不死にもなれるかもしれない。
それに、ずっと秘密にしてきたこともある。
ずっと、信仰の賜物と思ってきたけど違ったみたい。
「どうやら、私は、尾獣に匹敵するチャクラ量があるみたいだ。」
開眼してはじめて気がついた。
私のチャクラ量は、常人をはるかに越えている。そんな感じはあったけど、単に精神年歴が高いのと、信仰の神秘と思い込んでたけど、まるでチート物の主人公じゃないか。
お決まりの潜在能力。予定調和で倒される敵。
面白い。
チャクラを周囲に放出させる。
放出させたチャクラも操作可能だ。
それを使ってしまえば、空中戦も可能なはずだ。
空を飛ぶ。
それができれば幅が広がる。
むしろ、水面歩行ができるから、空気中の水分を利用してしまえば歩けるはず。
けど、それはダメ。
どうせなら浮いた方がいい。
「あなたは私が殺してあげる。」
瞬身の術。
白の背後に回って首を狙う。
振り向き様、クナイを向けてくるので、肘を蹴る。
「ここじゃ、本来の力を発揮できないでしょう?」
「それはどうですかね?」
今度は私の周りであの術がかけられる。
サスケは火遁だった。
けど、私は慣れ親しんだ自らの炎を使えばどうだ?
サスケと違って撒き散らしてもなにもがいもない。
なら、やれる。
温度差を作り上げられれば、多少ダメージを受けてもすぐに回復できる。
まず可燃性の毒を。
何がある?やっぱり、火山ガス的な?
確かしたの方にたまる毒ガスがあったはずだ。
確か、硫化水素。臭いけど仕方ない。
うぇ、痛い。
はながつーんってする。
「…………?この臭い?」
濃度を濃くすればもっといけど、私に効かないから臭いがきつくなるだけだ。
なら、ここで着火して燃やしてしまった方がいい。
「これは、ウエ!硫化水素。すごい臭いでしょ?」
ムリムリ、耐えらんない!
私が火を吐くと、一気に爆発した。
普通ならあり得ないけど、硫化水素っぽいやつだからだ。
爆風で傷ついたので、血液を毒に変えて回復する。
体液を変化されれるのはとてもいい。
治ったらもと戻す。
「う、ぐ。」
白の方はかなりダメージが入っているようだ。
氷も砕けたし、よかった。
近づいて仮面を剥ぎ取る。
「ふふ、僕を殺さないんですか?情けをかけたみたいですけど、それは勘違いです。
知っていますか?ただ生きることの苦しみをを。」
「…………。」
いや、今のは殺す手段じゃないよ?
えー?
「ザブザさんにとって、弱い忍は必要がない。君は僕の存在理由を奪ってしまった。」
「そう。」
「君は、血継限界を持っている。ならわかるでしょ?」
私なら自分を守るために、ここで逃亡をする。
勝てない相手には出来る限り逃げろというのを教わってる。
「この血のせいで、父が母を殺し、僕を殺そうとしました。」
でも、白は里が違った。
うちは一族は里の設立一族。
そんな一族を迫害するなんて頭がイカれてる。
恐れより、尊敬される。
オビトのけんがあり疑われたが、パパはオビトを公表した。
死んだはずの人物が実は生きていたなんて、パパも考え付かなかった。
でも、許された。
理由は単純だ。
傀儡として使われてることの前に、うちは一族は、うちはオビトを裏切り者としたからだ。
愛の一族といわれているにも関わらず、そうしたのは先生の写輪眼関係。
やっぱり、血継限界を他人に譲るなんて許せなかったんだね。
「僕は、気がついたとき、父を殺していました。そして僕は、気がついてしまった。
必要とされていない存在だということを。」
そんなことを聞いても私は、たいした感想なんてない。境遇が違いすぎて同情すら覚えない。
「だから?」
「え?」
「だからなに?あなたはひとつ、勘違いしてる。さっきの攻撃、あなたを殺すための手段じゃないよ?
それに、安心して。ザブザも死ぬから。」
「どういうことです?」
「ザブザに毒を仕込んだ。血管を破壊して、血が止まらなくなる毒。蛇毒みたいなね。」
私の毒は、私のオリジナルブレンド。
同じものはその毒を舐めてみないと複製できないもの。
血清が存在しないし、適切な耐性も存在しない。
「どうする?ここで殺されて、私の土台になってよ。
あなたは私によって、重要なものになる。
最後は、私に望まれて、必要とされて死んでみない?」
まっすぐ、写輪眼を見せる。
使い方なら、慣れろ。そのうち使える。
弱くても、催眠にかかってくれれば、それでいい。
「わかりました。僕は、君のために殺されましょう。」
あぁ、最高。これがチートって訳だ。
邪道だろうけど、生きるためだ。仕方ないよね?