ガイ班と無事に合流した私たちは、入り口に施された封印術を解くため配置につくことになった。
鳥居の奥に封がされた大岩。
ここで一番印象的なのは鳥居だろう。
鳥居があれば何かしらの物を霊的に封印していると思わせて、たまたま通りかかった一般人は下手に触らない。
社がないから近くに村ができる可能性も低く、隠しアジトとしては最適だ。
信仰心をうまく使っている。
そんなアジトに突入するのは、ボタンフックエントリーとか言う、ドア入口を挟んで左右に展開する突入方法なんだけど、サクラが岩を砕くからダイナミックボタンフックエントリーと言えばいいと思う。
ただ、このエントリーをするのは私とサスケ以外。
私とサスケはクリスクロスエントリーという入り方。
ボタンが左右に展開するのにたいしてクリスは名の通りクロスする。
私が左から入り右に抜け、サスケはその真逆を行く。
入り口にワイヤーを張って不用意に出られなくするのが目的。
例えば目視確認されたとしても、鳥のスピードを緩める必要があるため、それだけに時間を稼げる。
できるだけ室内戦に持ち込む。最悪毒にたいして無敵の私と、私とずっといて自ずと毒耐性が付いたサスケ、解毒薬を打ったら誰か二人で相手しなくてはならないだろう。
問題なのは、デイダラだ。
片目を隠してないだろうから、幻術にハメることができるだろうけど、うちはにたいする恨み辛みがないから、どんなことをしてくるのかが予想しづらい。
「サクラ、ボタンフックエントリーだ。」
原作ナルトは、そうゆー入り方知ってたんだね。私なんてつい最近まで知らなかったよ。馬鹿馬鹿言われてる割に覚えてるんだねぇ。
地面に重く、岩の砕ける音共に土埃が私たちの視界を狭めた
サクラが岩を壊したのだろう。
私もサスケも写輪眼になり、砂埃の向こう側のチャクラを感知しようと目を開く。
私たちはお互いを、お互いの位置を確認して、ワイヤーでトラップをはる。
チャクラは二つ。ひとつは人間大のもの。もうひとつは糸屑みたいに絡まった物。
チャクラの糸が沢山見えた。
中に入って黙視できたのはサソリとデイダラ、我愛羅だったもの。
「サスケ、デイダラは口を使って爆発物を産み出す。両手に口があるから、切り落としてから顎を抉ろうと思う。」
「わかった。俺は……両手を切り取れってことだろ?できるのか?」
「大丈夫。それくらい出来ないとダメだから。」
室内戦になると思うから、爆発物は早々使ってこないと思うけど。
「うん?入り口にワイヤー?ほぉ、鳥対策か?うん?」
動きからして、デイダラは左目を隠していない。
幻術にかけることはできるけど……二人組だから無理そうだ。
いや、それでも幻を見せることが出来る。
毒物による幻覚作用なら、指定はできなくとも幻を見せることが出来るんだ。
いや、もうここは毒殺?
影分身を放って、私は解毒になるものをここで生成してればいい?
いや、それは危険だな。
「黒髪の、随分と綺麗ななりしてるじゃねぇか。一瞬で散らせて芸術にしてやるぜ。うん。」
「いや、その美貌ならこの俺が人傀儡にして、永遠の美を与えてやろう。」
そら!補正ってすごい!私は美しくて可愛い!
「ふん!一瞬で散るなんてごめんよ。それに、人傀儡?私は人間の垂らす糸に踊らされたくない。それにそんな冷たい永遠なんていらない。」
「冷たい……か。」
私が影分身を特攻させるが、サソリの傀儡の尻尾……尻尾で消されちゃう。けれどそれだけでいい。それだけで十分だ。
隣に居たデイダラが倒れる。
それは眠るように、夢を見るように。
苦しむことなく浅く息をして幻覚を見ている。
「あ?」
突然倒れたデイダラにサソリは文句を言いながら幻術返しをするが、起きるはずがない。
当然だ。だって毒物による効能で眠っているのだから。
致死性を持ちながら安全に殺せる毒はこれだ。屋外なら即死のものを用意できるけど、ここじゃ不味いだろう。
サソリのほうはやっぱり効かないらしく、倒れてはいないけど、だいぶ楽になった。
「……なにをした?幻術じゃないな。」
「正解。それは毒。私も毒の使い手だよ。いや、そんなことどうでいいか。さ、戦闘を始めましょ。」