サスケの妹は生物の支配者   作:イェス

17 / 30
夜間教室

木ノ葉崩し後1ヶ月。

やっぱり私も忙しく、分社で神楽を踊ってみたり、厄払いをしてみたり祈祷を捧げたりととても忙しい毎日を送っている。

それらの仕事一緒に国境警の備動物たちなどに指示を送ったりと、疲れてしまった。

 

「ただいまぁ。」

「お帰り。ミコ。」

 

真っ先に出迎えてくれたのがお兄ちゃんだ。

出迎えたあとスタスタと台所に向かっていって、それについて行くとお兄ちゃんがフライパンやら包丁を持ち出した。

 

ん?と言うより、お兄ちゃん仕事明けだよね?報告書持ってたっとき居たよね?え?私より先に帰ってる?

 

「お兄ちゃん!?何してるの?」

「何って、ミコとサスケの晩御飯の準備をだな。」

「いやいや、お兄ちゃん休んでてよ!ずっと働いてたでしょ?」

 

お兄ちゃんは私より忙しいのに……サスケは帰ってきてないみたいだし、何とかして休ませなきゃ。

てか、自分疲れてるのに家族のためって……お兄ちゃん。

称えるしかないじゃん!

 

「晩御飯なにがいい?」

「夜、入ってるからお茶漬け。」

「……ほんとにそれでいいのか?肉とか……。」

「うん。大丈夫だよ!」

 

お兄ちゃんが白米を準備しているときに、お茶漬けの素を探しだしてヤカンで水を沸かし始める。

さすがに夜の任務が続くのは辛いし、食べやすいものが良い。

 

「俺がやるからいいのに。」

「ダメ!お兄ちゃんは私より働いてるんだから、休めるときに休まなきゃ。」

 

ぶっ倒れたらどうするの?ほんと!

火影の補佐の代わりはいてもお兄ちゃんの代わりはいないんだから!

 

「お前はまだ子供だろ?」

「お兄ちゃんもね。」

「俺は火影補佐で、事務だから。」

「私も日課の延長線だよ。」

「脳を使うだろ。」

 

そう、二人で言い合いをしてると、玄関からサスケの「ただいま~」といった気の抜けた声がする。

外の態度とは大違いだ。

 

「おかえりー。」

 

お兄ちゃんはてを止めてサスケのいる玄関に向かっていく。

遠くでお兄ちゃんが家にいてエプロンを着けてることに驚くサスケの声が聞こえる。

そりゃそうだ。

 

「お、ミコただいま。」

「ん、サスケおかえりー。」

 

どんぶりにお湯をいれ始めたところでサスケとお兄ちゃんが来た。

 

「あれ、お前9:30までにアカデミーじゃなかったか?」

「あら、まだ9時よ。これ食べてパパって行っちゃうわ。」

「そうか……大丈夫か?」

「ん、危険はないわ。」

 

今日は夜の間だけ咲く花の調達任務で、アカデミーの子達を連れて採取に行くのだ。

星下草と言う花で、花自体はシロツメクサに似てるくせして葉っぱ紅葉ににたものだ。

一応薬草で、いい傷薬になる。

 

「ごちそうさま。食器サスケお願いね~。」

「おぅ、行くのか?」

「うん。いってくる。お兄ちゃん、サスケ行ってきます。」

 

木ノ葉の夜は真っ暗ではないものの、一般人からしたら随分暗いほど。

店が並ぶところは明るいものの、少し路地を入ってしまえば光源が必要となる。

電柱を渡っていっているのだけれど、熱心なアカデミー生が点々と歩いているのが見える。

誰もかれも、下を見ながら歩く。

 

もったいない。

木ノ葉は綺麗に星が見えるのに。

確かにここは異世界なんだろう。

知ってる星なんてない。

赫映様に問うてみたけど、赫映様もここの星座を知らないらしい。

 

「お、イルカ先生じゃん。」

 

歩く人の中にイルカ先生を見つけたから、とりあえず絡んでみる。

 

「あぁミコか。……そうだ。上忍になったんだってな。おめでとう。」

「うへへ、ありがとせんせ。これで私は先生の上司かー。」

「ぉ、そうだな。今日はミコ隊長だな!」

「なら先生はうみの副隊長だね!」

 

先生はビシッと敬礼をして見せて、ミコ隊長っ!とふざけて言う。

だから私も副隊長。と呼ぶ。

さてさて、お仕事モードに入らねば!

 

「今日は47人来ると言うことで、復興支援と言うより、夜の探検と題して行こうと思います。星下草が群生している場所も聖域ですしね。」

「そうなのですか。ありがとうございます。」

 

さっきの通り、私が隊長。先生が副隊長だ。

夜の森は危険じゃないかって?

危険を無くすために私が来ているのだ!

夜ってこともあり、アカデミー生は乗り気じゃなく、先の戦いで親を失った子供も要るらしい。

だから楽しく。だ。

 

アカデミーに着いたら軽く打ち合わせをして集まるのを待つ。集合時間五分前に全員が揃い、点呼を終えたら探検開始だ。

探索と言ってもポイントはわかっているので、そこに向かいながら軽く話をするのだ。

 南賀ノ神社の神について。

 

 南賀ノ神社で信仰している神は、赫映様と言う神だ。

本名は別にあるが、今はその名前らしい。

 

赫映様はもともと天界と表す世界の管理をしている神様で、死んだ生き物の魂をみて、別の器に入れるから洗浄作業を行うかを選ぶ、役職のトップだそうだ。閻魔に似たものと思ってくれてもいい。

赫映様は善性の比率が高い神様で、よっぽどのことをしない限りは怒らない。

 

「はーい!うちはのおっちゃんとかは、神様のことをミオヤ様っていうのはなんで?それも名前?」

「待ってたよ!その質問!

ミオヤ様っていうのは、君たちで言うパパやママや先生にちかいものだよ。赫映様はうちはの者のご先祖様なんだ。」

 

 

幼い頃からそういった話は各家庭でされていると思うが、本家の話は早々聞けるもんじゃないぞ。アカデミー生よ!

耳かっぽじって聞くがいい。

 

「結局神様はいい神様なの?」

「神に良いも悪いもないの。信仰すればなにかしら恩恵を貰えるかもしれないわ!」

「なら、どうして信仰するの?」

「今はまだ、皆を守ってくださってるからよ。」

 

今から向かうのはセイカソウの群生地。

普段は眷属さんたちが休んでいる場所なのだが、セイカソウが急成長してしまって暮らしにくくなってしまったと言うことで、このように採取をすることを赫映様が許した。

 

セイカイソウは傷薬を作くれる薬草で、根っこは猛毒だが、茎や葉は質の良い薬となるから重宝される。

人工栽培はされていなく、聖域のみに自生するため、神社の良い収入源になる。

セイカイソウの下には死体が埋まっているが、それは秘密だ。

 

「案外知られてないけど、セイカソウは空が晴れてるとき、綺麗に輝くです。ほら見えて――」

 

……え?木々が騒がしい?何か、起こってる?

木々の声を聞くに、千手の……アカデミー生にいるんだと思うんだけど……。

 

「どうしたんだ?コレ?」

「いや、ちょっと気になることが……森が騒がしいのよ。」

「森が騒がしいってねぇちゃん……。」

「ホラホラ!セイカソウ摘み作業に入りなさいっ!」

 

木ノ葉丸たちを採取に向かわせてイルカ先生の方に行く。

勿論、千手の生徒のことだ。きちんと木々に説明しなくてはならない。

 

木々に説明だって?

ここは聖域よ。木々に意識みたいなものあるのよー。

 

「先生。生徒の中に千手の子がいるでしょ?どの子?」

「ん?いや、今回は居ないぞ?」

「えっ?」

 

いない……。

不味い。不法侵入されちゃ、大変だ。

騒いでるのは、千手を含めた侵入者が5人と……5人?この時期に5人組……

まさか、木霊?

大蛇丸の代わりが蜥蜴丸だったら、サスケの代わりは?

でも、動機がわからない。はっきりいってしまえば、木霊は血筋しか取り柄がない。

その他はすこし良いって程度。

 

行くか行かないか迷っていたら、木々達が居なくなったと言ったのでもう別に良いだろう。それに、個々を突っ切っちゃえば直ぐだから、余所者や千手が突っ切らないことなんてそうそうないし!酔っぱらいが迷っちゃったのね!

 

「いや、問題はもう解決したみたい。

みんな!あまりとおくいかないでねー!」

 

 

遠くに行かないように指示して、私もセイカソウを摘んでいく。

大体一時間ほどしたところで生徒を集め、セイカソウを回収して森を抜けた。

 

・・

 

報告のため、夜道を歩いているとベンチに少女が寝かされていた。

良く顔をみてみれば、千手一族だとわかる。

 

うぅ、ここで見逃したらうちはの評価が下がる。

かといって婚約破棄した私が何かとかかわるのもなぁ。

でも、わたしにも立場ってモノがあるしぃ、ええい!ままよ!

 

「ちょっと!こんなところでなに寝てるの!」

「はうぁ!木霊にーさま!……はっ!お前はうちはミコ!」

 

おきてそうそう戦闘体制に入れるのは感心するけど、私に対してそんなことするのはいただけないなぁ。

代々引き継いできた信仰による信頼感はまだまだ強くなってるんだから!

 

「落ち着きなよ。とって喰うわけじゃないよ?こんなのなかに幼っこ一人で何してるの?」

 

私ってば、超お姉さんじゃない?またまた評価上がっちゃうよ。

それにしてと何でこんなところに……ん?ここってたしか、サスケとサクラが話してたところ……?

ああぁそんな!まじか!やっぱり代役として木霊が居たのかっ!

ぐぬぬぬ、仕方ない。次に繋がるって思うしかない。

 

「……うちはのあなたに助けを求めるのは癪だけど、仕方ないわ。私のお兄さま、千手木霊が里抜けしたの。蜥蜴丸のもとに向かうためにね。」

 

随分しっかりした子だなぁ。

 

「あぁ、そうなのね。えぇ、あなたはもう帰りなさい。えーと、名前は?」

「千手ヒビキよ。」

「えぇ、ヒビキ。私から火影殿に伝えるわね。」

「え?追うんじゃなくて?」

「えぇ、ホウレンソウは基本中の基本だから。」

 

うそでーす。追いたくないから火影に言うだけでーす。ごめんね。

ここで代わりになった木霊を捕獲してサスケが狙われるのが嫌なのよ!それに、まだ時間じゃないし!

千手なんてどうでもいいから。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。